「企業で活躍するためには、問題解決力が重要!」と聞いたことがある人は多いと思いますが、なぜ重要なのか、能力を身につけることでどんなメリットがあるのかを知っていますか?
学生の皆さんは、問題解決力について深く掘り下げて考えることで、社会人となり企業で活躍するイメージを描くことができます。「問題解決力」について理解を深め、自己PRでアピールしていきましょう。
目次
問題解決力が求められる理由
問題の本質を見極めるため
問題の本質を見極め、最適な解決策を講じていく上で、問題解決力の高さが問われます。ビジネスは判断の連続です。広い視野を持ち、自分の状況のみならず、部署や組織全体など幅広い視点から問題の本質を見極められる人が仕事で成果を残せます。
また問題を解決することに加え、昨今ではAIと共存する社会が浸透しつつある中で、新たに問題となる部分を自ら発見し、意見を出せる力も重要なスキルです。
仕事の生産性に直結するため
問題解決力は、仕事の効率や生産性に直結します。基本的に企業では1週間で40時間程度、就業する時間が定められています。限られた時間の中で成果を残すために、1つ1つの問題を時間内に解決しなければなりません。
問題解決力が高いことは、コミュニケーション能力の高さの指標とも考えられます。特にチームで業務を遂行する場合には、協働しながら問題の解決に向けて適切なコミュニケーションを取ることが求められるのです。
問題解決力のアピールになる問題の種類は?
問題解決力の理解度を高める初歩として、問題の種類について知ることが重要です。問題に応じて、原因の特定までの過程や解決に向けたアプローチの仕方が異なります。
発生型
発生型は、すでに顕在化していて目に見えている問題のことです。例えば業務中のミスや売上・利益が減少しているなどの問題が該当します。
発生型の問題については、問題に対して解決策を考えれば良いのですが、時に本質的な原因を見極めないと解決しない問題もあります。慎重に問題を見極め、解決策を考える必要があります。
設定型
設定型は、個人や組織が設定した目標やノルマを達成する過程で生じる問題のことです。例えば、月額利益を1,000万円と掲げている中で、半分の日数を経過した段階で売上が半分にも満たない状況であるとします。目標に対して現状のギャップを埋める必要がありますが、この時に検討すべき要素が設定型の問題です。
どうすれば目標を達成できるかという視点で、ボトルネックとなっている部分を特定し、改善策を講じていく過程が解決に向けたアプローチとなります。
潜在型
潜在型は、現状は顕在化していないが今後発生しうる問題のことです。例えば、業務の属人性が高まり、自分が辞める時の業務を誰に任せるのか、若手社員の教育不足で将来的に現場を任せられる社員がいないなどの問題が該当します。
潜在型の問題は早期に発見し、解決に向けアプローチしなければ、後々大きな悪影響を受ける可能性があります。すぐに解決できない問題である場合でも、どのように解決すべきなのか思案しておくことが大切です。
問題解決力を効果的にアピールできる構成
①自分の強み(結論)
②理由を示すエピソード(問題提起)
③学び・結果(根拠)
④入社後の活かし方(自己PR)
自分の強み(結論)
自己PRを伝える際には、まずは結論となる「問題解決力がある」ことを端的に伝えましょう。結論ファーストで話を切り出すことで何の話をするのか聞いてもらいやすくなります。
問題解決力を強みとして伝える際は、「目標に向けて、周囲との関係を構築しながら問題を解決する能力があります。」など、どのように問題を解決していく力に強みを持っているのかを説明できると良いです。
理由を示すエピソード(問題提起)
自分の強みである「問題解決力」があることを伝えたのちに、その理由となるエピソードを紹介します。この時、エピソードは選考企業が容易に理解できるようなトピックを選びましょう。
エピソードを紹介するポイントとして、問題に対する解決策を具体的に話すことが大切です。この部分を他者と差別化することで、選考企業の評価が変わります。
学び・結果(根拠)
次にエピソードを通じて、どのような学びや結果に繋がったのかを伝えます。エピソードを締める内容を端的に伝えましょう。
学びや結果を伝える際は、数値化できる指標を伝えることで客観性を持たせることができます。根拠となる部分が客観的であれば選考企業にも納得してもらえるエピソードとなるでしょう。
入社後の活かし方(自己PR)
最後に、イメージや仮説ベースで問題ないので、入社後どのように活躍するのかを伝えましょう。企業は自社で活躍できる見込みのある候補者を採用するため、問題解決力を活かし、今後どのような活躍ができるかをアピールすることが大切なのです。
【経験別】自己PRで問題解決力を伝える例文
アルバイト経験
私の強みは、問題の原因を特定し、適切な解決策を実行できる問題解決力です。学生時代に飲食店のホールスタッフを2年間経験しました。
そこでは、忙しいランチタイムの人手不足が原因で、注文された料理を完成させるのが遅くなり、お客様からクレームが入ることがしばしばありました。そのような状況の中で、私は即座にフロアマネージャーに相談しながら、他のスタッフと協力して効率的にオーダーを処理する体制を構築したことや、新人スタッフでもすぐに即戦力となれるように業務をマニュアルの作成に着手しました。
その結果、年間でのクレーム件数も約半分にまで減少し、ホール業務も生産性を高めることにつながりました。
貴社の業務においても、企業の抱える問題の本質を見抜き、根本的な解決のできるコンサルティングをしていきたいと考えます。(400字以内)
お客様からクレームが入るという課題の設定に対し、解決策が具体的に書かれています。また結果においても定量的に書かれており、説得力のあるエピソードとなっています。
最後に貴社の業務に結びつける部分では、アルバイト経験から得られたことで、どのように業務の中で貢献していきたいかを書けると良いでしょう。
インターン
私の強みは、目標に対して最適な課題を設定できる問題解決力です。インターン時代には製薬企業のインターンを経験し、新製品の売上拡大に向けてどんなことをすべきかプレゼンを行いました。プレゼンに向けて意識した点は2点あります。
1点目は、定量、定性の両面から課題抽出を図ったことです。売上数値推移を可視化した上で、適切な売上目標の設定に努めたことや、顧客のインサイトから製品の魅力が伝わる施策を検討しました。
2点目は、メンバー間の信頼を築きタスクの分担を行ったことです。提案内容や資料のクオリティを高めるために、各メンバーの役割を明確化しタスクを分担することでプレゼンの目的の共有化につながり、一貫性のあるプレゼンに仕上げることができ、結果的に最優秀賞という結果を得られました。
この経験を貴社の営業活動の中で、多角的に問題を分析し、メンバーを巻き込みながら業務を推進していきたいと考えます。(400字以内)
インターンでの経験をテーマにする場合は、事前にエピソードを深掘りし、伝えたい要点を整理して書くようにしましょう。例文ではプレゼン準備において工夫した点を2つに分けて書いています。
また、応募職種に活かせるであろうインターン経験をテーマに書くことで、即戦力で活躍できる人材として評価を得られる可能性があるため、テーマ選定が重要といえるでしょう。
留学
私は逆境においても粘り強く問題解決に取り組む力が強みです。
学生時代にアメリカに1年間留学しました。留学先ではアジア人の割合が低い中で、ホームステイや語学学校などを体験しました。最初は英語のレベルについて行けず、苦労しましたが、アメリカでのコミュニケーションに慣れるべく、語学学校で積極的に受講生や教員に話しかけたり、学校のイベントに参加することで気軽に話せる友人を増やし英会話力の向上を図りました。
結果、語学学校を卒業し、アメリカの大学院を受験できるレベルまで語学力を高めることができました。貴社の業務においても、逆境下でも泥臭く工夫を怠らず行動しつつ結果を残すことを意識して働きたいです。(300字以内)
留学経験をテーマにする場合に注意したいポイントは、体験談のみを冗長的に書いてしまうことです。自己PRとして成立させるためには、問題解決力を伝えることを目的として、前述した骨子となる要素を留学前後も踏まえて考えるようにしましょう。
例文では、語学学校を卒業後の過程も書いています。留学前後でどのような成長や結果に結びついたかを定量的に書くことが重要です。
部活動・サークル
私は自ら立てた目標に向けてPDCAを回し計画的に課題を解決することが強みです。 学生時代に陸上競技部に所属し、100mでインカレ(全国大会)に出場することを目標に活動しました。
目標に向けて課題となるのは筋力強化であることが明確であったため、目標とする大会の2年前から計画を立て、筋力アップを図ってきました。工夫した点として、定期的に筋力を測定し、目標とする大会までの進捗を可視化してきました。
進捗が悪い場合には、強度の高い練習を実施するなど、PDCAを効果的に運用することで着実な筋力アップにつながり、最終的に、インカレ出場を果たすと共に自己ベストを更新できました。
貴社のマーケティング職においても、目標数値に対して、PDCAを効果的に運用しつつ成果を残していきたいと考えています。(350字以内)
部活動やサークルをテーマに自己PRを考える場合は、応募先企業の業界や職種に紐づくエピソードを書くことが重要です。例文ではマーケティング職において求められるスキルである「PDCAの運用」についてのエピソードを交えています。
あらかじめ、希望する業界や業種に関する知識を深めつつ、応募先企業で活躍する上で活かせる可能性のあるエピソードを考えることで、説得力のある自己PRとなるでしょう。
自己PRで問題解決力を伝える際の留意点
問題発見能力についても触れる
問題解決力と並行して、「問題発見能力」についても着目しましょう。前述の通り、近年では問題解決の得意なAIが発展してきています。AIと共存する社会が浸透する中で、問題を発見したり、自分で適切な課題を設定できたりする人材を企業は求めているのです。
また、「潜在型」の問題を解決するには問題発見能力が求められ、現状を正しく分析し問題を洗い出すことが求められます。問題発見能力をアピールすることで、他の候補者との差別化を図れますので、意識して自己PRに取り入れましょう。
エピソードをシンプルに整理しておく
問題解決力を伝える理由となるエピソードをシンプルに整理しておくことも大切です。自己PRの差別化や独自性を追求して、冗長なアピールとなってしまうと要点が伝わらなくなってしまいます。
問題発見から解決までの過程を整理して分かりやすく伝えることが重要です。また、同じ問題でも自分なりの着眼点を持ち要点をまとめていくことで、他の人が気づかない問題や解決方法をアピールでき、評価も高まる可能性があります。
ESにまとめるときは、「簡潔にわかりやすく」を心がけましょう。
問題を解決した過程を入社後のイメージに結びつける
自己PRの締めくくりでは、問題を解決した過程を入社後のイメージに結びつけることが適切です。エピソード部分から文脈的につながりのある入社後イメージを伝えることで、選考企業の印象に残りやすいです。
入社後イメージから逆算して問題解決力を活かした自己PRを考えるのもおすすめです。自己PRを伝える目的を整理し、選考企業に刺さる自己PRを考えましょう。
自己PRでアピールできる「問題解決力」を鍛えるコツ!
問題解決力を自分の強みにしていきたい方や能力の磨き方を知りたい方は多いでしょう。そこで、日常生活から問題解決力を鍛えるコツを3つ紹介します。
批判的思考を持つ
批判的思考は、意識的に自分の考えを批判的にみる思考のことです。自分の思考のクセを見抜き、主観や先入観に囚われずに物事を見ることで、より客観的に情報を評価し、論理的な解決策を導くことにつながります。
情報や考え方など、あらゆる物事に対して多様な角度から検討する癖を身につけることで、論理的・客観的思考を身につけることができます。
物事に対する「Why」を考えるクセをつける
特定の物事に対して、Why思考を持つ習慣を身につけることも問題解決力を養う上で重要です。「なぜこの問題が発生してしまったのか?」を自問自答し、問題を深く掘り下げて考えることで、問題の本質を見極めたり、潜在的な原因の発見につながります。
まずは日常生活の出来事を例に、Why思考を実践しつつ、問題解決力を鍛えることが大切です。そうすることで、いざ仕事で問題が発生しても迅速に対応できるでしょう。
理由や根拠に基づいた言動を心がける
仕事においては当たり前のことですが、理由や根拠に基づいた言動を日常生活から心がけましょう。ここまで解説した問題解決力や問題発見力を鍛える土台となる能力の一つに論理的思考能力があります。
仕事の成果やパフォーマンスには必ず理由や根拠があります。逆に言えば仕事でミスをした場合、その理由や根拠がわかっていなければ繰り返しミスをするのでは?と捉えられマイナス評価となってしまうでしょう。
PDCAを回し計画的に問題解決に着手する場合などにも論理的思考が求められます。直感的に動いてしまいがちな方は、日常生活から理由や根拠に基づいて行動する習慣を身につけることから始めましょう。
問題解決力を身につけて自己PRに繋げよう!
就活の自己PRにおいて問題解決力をアピールすることができれば、選考突破に大きく近付くことができます。些細な出来事でも、これまで自分が経験してきたことの中で問題解決力に繋がる部分を見つけてみましょう。
社会人として問題や課題に向き合い、解決した経験やスキルは、自分自身の強みとなり、そういった人材を求めている企業もたくさんあります。本記事の書き方や留意点を抑えた上で、自己PRで問題解決力を効果的にアピールできるようにしましょう。