企業のHPなどを調べると「探究心が強い人材」を求めている企業が多いことがわかります。物事を深く知ろうとする探究心は、さまざまな仕事で役立つスキルだからです。

しかし、実際に自己PRで探究心をアピールしようと思っても「どのように伝えたら良いのか」「企業はどんな探究心を求めているのか」がわからず悩む学生も多いのではないでしょうか。

この記事では、企業から評価されやすい探究心のアピール方法について解説していきます。自分が持つ探究心を魅力的に伝えるポイントを知り、選考突破を目指しましょう。

「探究心」はさまざまな仕事に活かせる能力

探究心とは「物事について深く究明したり原因を解明したりする気持ち」のことです。探究心と聞くと、必要とされる業種や職種が限定されるのでは?と思う人も多いかもしれません。しかし、探究心はどんな仕事でも必要とされる能力の一つです。

探究心がある人は、納得できる答えを得られるまで粘り強く調査したり、1つの物事の本質を見極めるために深掘りして追求していく性質があります。そのため、与えられた仕事に最後まで真摯に向き合うことができると言い換えることができるでしょう。

最後まで粘り強く向き合う姿勢は、どの職種においても重要視されるポイントです。つまり、探究心は社会人にとって必要不可欠なスキルなのです。

また仕事の専門化や分業化が進む現代では、特定の分野を極めようとする探究心が強い人材の重要度も飛躍的に増しています。

探究心をアピールするメリット

課題に対して最後まで向き合う力を伝えられる

探究心が強い人は「課題に直面しても投げ出さず最後までやり抜く」という特徴があります。

仕事をする上では当然、課題や問題が発生します。そんな時に探究心がある人は「なぜ問題が発生したのか」「解決する方法は何なのか」と志向を巡らせ問題を解決しようと行動します。物事に対して深く考え行動し成果を出す力は、仕事においても魅力的なスキルです。

探究心をアピールする際は「問題解決に対する積極的な姿勢」や「与えられた仕事を最後までやり抜く姿勢」を強調しましょう。

成長意欲をアピールできる

入社する時点ではどの学生も実務経験はなく、能力の差もほとんどないため、企業はESを通して入社後の成長幅や将来性を見ています。

企業は探究心が強い人に対し、現状に満足せず学び続けることで成長し、結果を出してくれることを期待しています。また学び続けることで幅広い知識を持ち、仕事の質も向上することから、将来性を感じています。

探究心をアピールし成長意欲を表現したい人は、「納得がいくまで深く知りたいという前向きな姿勢」や「新しいことを吸収したいという姿勢」を強調するのがおすすめです。

一つの物事を極められる

探究心が強い人は、妥協せずひとつの物事を極めようとする特徴があります。企業は、探究心を発揮して物事を極めた人材に対し、継続力の強さや粘り強さ、我慢強さを評価するでしょう。

仕事上では幅広い業務をこなせるオールマイティな人材を必要とする一方、一つの業務に特化したスペシャリストも同様に求められています。ひとつの物事を極めた経験を企業でどのように活かすのか、できるだけ具体的にアピールしましょう。

「極める」ことをアピールする際は、何をどのように極めたのか、極めた過程を伝えることで説得力のある文章になります。

好奇心も併せてアピールする

探究心を強みとしてアピールする際は、「好奇心」を一緒にアピールすると効果的です。「何かに興味を持つ心」という意味の言葉に、探究心好奇心がありますが、好奇心は「新しいことや珍しいものに興味を持つ心」、探究心は「物事について深く知ろうとする心」というように意味合いが少し違います。

もともと関心がある物事への探究心の高さだけをアピールするより、新しいものにも興味を持ち探究していく力を示すことによって「この人材はどんな仕事でも興味をもって取り組んでくれる」と印象付けられます。

企業では、どんな商材やサービスに対しても興味を持ち、気づけばその分野の専門家のように成長してくれる人材を求めています。探究心をアピールする場合は、新しい知識を深めたいという好奇心も合わせてアピールするようにしましょう。

自己PRで「探究心」を魅力的に伝える構成

探究心を伝える構成
  1. 結論(自身の強みが「探究心」であること)
  2. 過去の経験(探究心を発揮したエピソード)
  3. 仕事への再現性(学びをどのように活かすか)

自己PRの構成は「結論▶︎過去の経験▶︎仕事への再現性」の順で作成することが重要です。

冒頭に提示する「結論」とは、アピールポイントや強みを指します。最初に「探究心が強みです」と伝えることによって、採用担当者にアピールポイントを強く印象付けます。また冒頭に結論があることで、そのあとの内容も理解しやすくなります。

次に強みの根拠となる「過去の経験」を提示します。探究心を発揮した経験を示すことで、結論に説得力を持たせます。過去の経験を述べるときは「なぜ深く知りたいと思ったのか」「探究心を発揮してどんな行動をとったのか」「行動した結果、自分や周囲にどんな影響を与えたのか」を具体的に述べましょう。

また「どう考えたのか」という感情面を付け加えると、さらに内容が充実します。ESでは文字数が指定されていることが多いので、行ったことの説明は簡潔にまとめることがポイントです。

最後に強みである探究心を「どのように仕事に活かすか」「自分が持つ探究心は再現性があり仕事に活かせる能力だ」といったところまで伝えられると高評価につながります。経験から得た学びを活かせる内容にまとめましょう。

自己PRで探究心をアピールする例文

諦めない探究心

例文

私の強みは、最後まで諦めずにやり通す力です。継続が難しい問題に直面しても諦めずに努力し続け目標達成を目指します。

大学時代は陸上部に所属し、全日本大学駅伝のメンバー入りを目指していました。日々練習を積み重ねていましたが、大会半年前に太ももに肉離れが起き、全治2カ月との診断を受けました。しかし怪我を理由にメンバー入りを諦めきれなかった私は、以下の取り組みを行いました。

  1. 怪我の部位以外の筋肉トレーニング
  2. 徹底した栄養管理と安静、リハビリをバランスよく行う

数日間のトレーニングの休止やチームからの離脱が必要と判断されたときは、焦る気持ちが強くなりましたが、目先の状況ではなく大会出場のイメージを持つことで気持ちを落ち着かせ乗り越えました。結果として、大会出場を果たすことができました。

貴社に入社後、継続することが難しい状況でも「今できることを」を見つけ、最大限努力し目標達成に向けて頑張りたいと思います。(450字以下)

問題解決のために「諦めない探究心」は、どんな職種でも必要とされる能力です。特に、研究職や教師など結果が出るまでに時間がかかる仕事や、クレーム対応などストレスがかかりやすい仕事、営業職や販売職のようにノルマがある仕事などは、特に諦めない探究心が必要となります。

諦めない探求心をアピールする場合は、困難があっても目標達成のために頑張り続けたことを具体的に伝えましょう。

学び続ける探究心

例文

私の強みは、興味を持ったことを掘り下げて学び続ける探究心です。

学生時代は地域復興を願う和歌山県〇〇町の地域活性ボランティアに注力しました。旅行で訪れた際に自然豊かな同町の素晴らしさ、地域の方々の優しさに触れ、私も町おこしのお手伝いをしたいと強く感じたからです。

地域の歴史などを調べる中で「坂本川柱松」という伝統行事があり、現在は人手不足で中止されていることを知りました。そこで町おこしの一環として伝統行事の再開を提案し、2年かけて実現させました。周辺大学にも参加を呼びかけ、再開後も大学の取り組みとして坂本川柱松を継承していただくことが決まりました。同町の皆さんからも感謝の言葉をいただき、大きな達成感と喜びを得ることができました。

私はこの経験を通して興味を持ったことを掘り下げて探究することの大切さ、そしてやり抜くことで得られるものが必ずあると実感できました。貴社に入社しましたら、与えられた仕事に関心をもち最後までやり抜きます。そして自分に足りない知識を学びながら成長したいと考えています。(450字以下)

物事を深く知ろうとする探究心をアピールする際は、専門的な領域を伝えることもあるでしょう。文字数が限られるESの自己PRでは、できるだけ簡潔にわかりやすくまとめましょう。

企業は探求した結果ではなく「プロセス」を見ています。結果のすごさではなく「困難があってもやり遂げた」その事実に価値があるのです。探究心をアピールする際は、継続したプロセスを重視し伝えるようにしましょう。

物事を極める探究心

例文

私の強みは、物事を極める探究心です。

学生時代は、学習障害を持つ生徒に国語と算数をワンツーマンで指導する家庭教師のアルバイトをしました。学習障害を持つ生徒は特性がひとりひとり違うため、それぞれの苦手分野に合わせたカリキュラムに沿って指導することが大切です。しかし、カリキュラムに沿って指導するだけでは生徒は楽しく学習できず、自分も生徒と心が通じ合っているという実感が得られませんでした。そこで私は、発達障害学習支援サポーターの資格をとり学習障害について知識を深め、生徒の気持ちに寄り添いながら指導にあたりました。

その結果、カリキュラムに沿って生徒と接していたときより、生徒が積極的に学ぼうとしてくれるようになった経験が強く心に残っています。入社後はこの経験をいかし、物事の本質を見極めるために自分なりに模索しながら目的達成に向けて最大限の努力を重ねます。(400字以下)

物事を良いほうに導くために自分で考えながら行動したエピソードは、探究心を魅力的にアピールできます。また「カリキュラムに沿うことが最も重要だ」という意思を示すことで、ルールを守りながら、プラスαの知識を深めようとする人だと印象付けられています。

探究心が強い人は「没頭しすぎると周りが見えなくなる」と捉えられがちです。そういった短所をカバーするために、あくまでもルールを守りながら、最大限の探究心を発揮できたことをアピールしましょう。

粘り強い探究心

例文

私の強みは、目標に向かって粘り強く努力を重ねることができることです。周囲を巻き込んでより高い目標を目指します。

学生時代はバスケットボール部に所属しており、ポジションはポイントガードでした。ポイントガード志望は多く、レギュラーになれる確率は低かったですが「自分が誰よりもメンバーの良さを引き立たせることができる」という信念を持ち、レギュラーを目指して練習に励みました。

私は1試合を通して走れる持久力と、パスの精度を上げる練習を中心に地道に力をつけました。また他のメンバーと積極的にコミュニケーションをとり、メンバーがやりたいプレーや、どこに・どのタイミングでパスが欲しいのかを徹底的に分析しプレーに活かしました。結果、最後の試合ではレギュラーを勝ち取り、チームを勝利に導くことができました。

仕事においても目標達成のために粘り強く努力を重ね、チームを良い方向へ導く役割を果たしたいです。(400字以下)

探究心を「粘り強く努力する」ことに置き換えてアピールしている例文です。探究心は物事に没頭しすぎて周りが見えなくなるイメージもあるため、探究心と同時に「協調性」や「献身性」をアピールするように心がけるのがおすすめです。献身性は、チームで結果を出そうとする人間性を強く印象付けます。

粘り強く目標に取り組む姿勢と献身性を同時にアピールすることで、採用担当者に、チームのために努力できる人物であるという良い印象を与えることができるでしょう。

適応力が高い探究心

例文

私の強みは、与えられたものに対して自分なりに面白さを見いだし積極的に取り組むことができる点です。

学生時代、バスケットボール選手の育成に携わりたいという思いから、中級から上級者向けのミニバスケットボール教室の立ち上げを仲間と一緒に計画しました。しかし初心者の方からの問い合わせが多く、急きょ対象を「初心者」に変更することになりました。当初は高いレベルの指導を行いたいという気持ちが強かったため、大学卒業までの期間、初心者指導に従事することに迷いもありました。しかし仲間たちと意見交換をする中で、子供たちにバスケットボールの楽しさを伝えることの大切さを見出すことができ、やりがいをもって指導にあたることができました。

私はこの経験から、与えられたものに対して関心を持ち、自分なりにやりがいを見つけて取り組むことの大切さを実感しました。仕事においても何事にも積極的に取り組み、自身の成長、そして貴社の成長に貢献したいです。(450字以下)

探究心は、頑固なイメージをもたれる可能性もあるため、環境に応じて行動や考え方を切り替える「適応力の高さ」を合わせてアピールしています。仲間に素直に相談したエピソードは、探究心が持つ頑固なイメージを和らげ、周囲と協力する姿勢を示すことができています。

一つの考えにこだわりすぎていると、頑固な人に思われるだけでなく、視野が狭いイメージを与えてしまいます。適応力のある探究心をアピールするためには、周囲の意見を取り入れていることや、客観視しながら取り組んでいることをアピールしましょう。

自己PRで「探究心」を魅力的に伝える3つのポイント

仕事を最後までやりきる姿勢を示す

探究心をアピールする場合は、困難があっても仕事を最後までやりきる姿勢を示すことが大切です。探究心が強い人は、何事にもまじめに取り組む特徴があるため、受け取り方によっては、一度失敗が起こると立て直すまで業務が停滞してしまうのではないかという心配を生むことがあるからです。

仕事を最後までやりきる意思を伝えるためには、周囲と協力する姿勢を示すと良いです。失敗しても周囲に協力を求めることができる人材は、業務の停滞をいち早く打破し、物事を前進させる印象を与えることができます。

協調性をアピールする

探究心が強い人は没頭するイメージが強く、没頭するあまり周囲が見えなくなってしまうのでは?と協調性を心配されることがあります。多くの企業は、社員に協調性を求めていることが多いため、周囲を気に配れない人は敬遠されてしまう可能性があります。

探究心をアピールする場合は、周囲に対する配慮や、優先順位をつけた行動を示すことが大切です。探究心を発揮した結果、周りにも好影響を与えたエピソードであれば、探究心と協調性を備えている人材と判断され、評価も上がるでしょう。

物事に取り組んだ期間をアピールする

探究心が強い人は、一つのことをとことん追求する性質があり、難しい問題が発生した場合も解決するまで多くの時間を費やしてしまうイメージがあります。

また、諦めずに最後までやり通す力も優れているため、見切りをつけるタイミングを見誤る可能性も懸念されます。見切りをつけるタイミングを誤まると、お金と時間を無駄にしてしまう場合が多く、被害を最小限に抑えたい企業とっては大きな不安要素となってしまいます。

探究心をアピールする際は、物事に取り組んだ期間や、撤退のタイミングを見極めたエピソードなども併せて記入できると良いでしょう。そうすることによって、限られた期間の中で探究心を発揮する姿を印象付けられます。

また「物事に取り組む期間をあらかじめ設ける」「期限内に成果が出なければ諦める」など、事前にルールを設定することで物事に取り組んだ期間を強調できます。

差別化を目指すなら!探究心を別の言葉で言い換える

企業は自己PRを通して、就活生の人柄や価値観を知りたいと考えています。そのため、「私の強みは探究心です」とだけ伝えても、人柄や価値観まで伝わらない可能性があります。

探究心は「物事を深く究明する心」「問題の原因を解明する力」など幅広い意味をもっています。あなたの探究心がどんな性質をもっているのかを正しく伝えるために、探究心を別の言葉に言い換えて具体的に表現するのがおすすめです。

探究心を言い換えると以下のようになります。

  • 物事を深く知ろうとする

  • 粘り強く最後まで諦めない
  • 継続力がある
  • 物事の本質を見抜く力
  • 物事を掘り下げて究明する
  • 一つのことに集中できる

探究心を伝えるコツを抑えて魅力的な自己PRにしよう

探究心は、社会人にとって重要な資質の一つであり、自己PRでアピールできる魅力的な強みです。

しかし、伝え方を間違えると「夢中になりすぎて周りが見えなくなる」「深く考えすぎてしまう」とマイナスに捉えられてしまうこともあります。探究心のメリットとデメリットの両方を理解し、メリットが引き立つようにアピールしましょう。

また志望する企業の求める人物像によって、どのような切り口でアピールしたほうが良いか見極めることも大切です。ポイントを押さえ、探究心を最大限にアピールできる内容を意識して自己PRを作成していきましょう。

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