目次
チームワーク力を持つ社員に企業が期待すること
組織全体で高い成果を目指す企業は「チームワーク力」を持つ人材を必要としています。
それは、チームワークの重要性を実体験から学んだ人材は、チームワークのよい集団を作るために重要な要素を理解し、実践してくれるからです。
重要な要素としては、下記の項目があげられます。
- 一人一人の弱点や苦手を補い合い生産性を高める
- チーム共通の目標を立てる
- 明確な役割分担
- チーム内のルールを守る
- コミュニケーションの重要性
チームで活動する上で社員同士が得意不得意を補う方が生産性が高まります。また、メンバーが同じ目標に向かっているチームは、高い成果を出すことができます。
チーム内の雰囲気もとても重要です。明確な役割分担を定め、一人一人が共通のルールを守ることで居心地の良い職場が作れます。居心地の良い職場は、社員の定着率を高め、経験や知見を持つ社員が長く実力を発揮してくれるため、チームワークのある人材は重宝されています。
採用担当者が自己PRを通して確認していること
企業は自己PRを通して「自社にとって必要な特徴を持っている人材かどうか」を確認しています。言い換えれば「あなたはうちの会社で活躍ができますか?その理由はなんですか?」と問われているのです。
企業からの質問の意図を考えるとアピールする内容は、その企業が「好き」「尊敬している」といったアピールより、「自分の特徴は企業に合っている」「入社後はこんな活躍ができる」といったアピールをするように心がけましょう。
ありきたりなチームワーク力のアピールは逆効果
チームワーク力は多くの企業が社員に求めたいスキルです。チームワークをアピールした自己PRは、採用担当者の感心を引くことができるでしょう。
しかし、内容や書き方を間違えてしまうと、逆にマイナスな印象を与えてしまう場合もあります。ありきたりなエピソードや具体性に欠ける中途半端な表現では、採用担当者の印象に残りません。
「団体競技の経験があるからチームワーク力があります」と言われても、団体競技の経験がある就活生は沢山います。団体競技の経験からどんなことを学んだのか、入社後その経験をどのように活かすのかを具体的に述べましょう。
「チームワーク」を魅力的に伝えるポイント
企業が求めている「チームワーク力」を意識する
企業が求めているチームワーク力は、他人と交流をする上で必要となる「対人スキル」です。
業務上は、プロジェクトや打合せなど多くの共同作業があります。チーム内はもちろん、他部署や社外の方との共同作業をスムーズに行えることが成果に繋がるからです。
対人スキルは、コミュニケーション能力や他のメンバーに対する思いやり、意見が異なる人との対話力、相手の意図や感情を正しく理解できる能力を指しています。
チームワーク力を引き立たせる構成
<チームワークを効果的に伝える構成>
- 結論(アピールポイント)
-
具体的なエピソードから結論を裏付けする
- エピソードから学んだこと
- 経験をどのように活かすか伝える
①初めに結論(アピールポイント)を書く
最初に結論から述べることで、採用担当者にアピールポイントが伝わりやすくなります。冒頭に結論がないと、採用担当者は何が強みなのかわからなくなり、読み進めるのを辞めてしまうかもしれません。
書き出しのポイントは、ただチームワークがあると伝えるのではなく、どのようなチームワーク力なのかを具体的に述べます。「私はチームワークを作るきっかけになれます」のように、どのようなチームワーク力なのかを明確に伝えましょう。
②具体的なエピソードから結論を裏付けする
アピールポイントを伝えたら、その根拠となる具体的なエピソードを書き結論を裏付けします。アルバイトやゼミ、部活など、エピソードの種類は何でもいいですが、チームとして協力し合えたことがわかる出来事にしましょう。
エピソードは決して「特別なこと」でなくても良いです。取り組みの内容や役割を添え、結論に繋がるエピソードを選びましょう。
③エピソードから学んだこと
エピソードから学んだ改善点や改善するためにとった行動、行動から得られた成果を整理して述べます。採用担当者は、エピソードを通してあなたの問題解決能力を見ているので、行動そのものが失敗していても問題ありません。
チームの中で問題を解決した経験は再現性があるとみなされ、採用担当者はあなたを「周囲と協力しながら活躍できる人材」と期待するでしょう。
④経験をどのように活かすかを伝える
採用後、経験から得た成果をどのように発揮するかを伝えます。「チームワークの大切さを○○に活かす」「チームワーク力を生かして○○したい」という内容に繋げましょう。
経験から得た成果を仕事でどのように活かすかを見通している就活生は、成長意欲があると判断され採用の可能性が上がるでしょう。
「チームワーク」が引き立つ自己PRの例文
運動系の部活やサークルの経験を活かした例文
私の強みは協調性があることです。大学時代は、野球部の副キャプテンを任されました。ある時、私はキャプテンの役割でもある「チーム全体に対する指揮」に口を出してしまいました。その時は、キャプテンと意見が合わずチーム全体の雰囲気を悪くしました。私はキャプテンを補佐する副キャプテンという立場をきちんと理解せず意見を述べてしまったことを反省しました。
その後は、キャプテンと常にコミュニケーションを取り、キャプテンの手が回っていない部分を引き受けました。具体的には、部員一人一人の意見の吸い上げや、細かなサポートです。その結果、新入部員90名を含む計300名の部員数を誇る野球部を作り上げることができました。
この経験を活かし御社に入社した後も、チームにおける自分自身の役割を理解し、協調性をもって仕事に取り組みたいと考えています。(400字以内)
例文のように、行動自体が失敗していても問題ありません。「どんな失敗をしたのか」「どんな工夫をして問題を解決したのか」「どんな結果になったのか」がわかるように組み立て、問題解決能力をアピールします。
ただ「野球部の副キャプテンだった」とアピールしてもどのようにチームに貢献したのか伝わりません。副キャプテンとしてどんな経験をし、どんな工夫をしたのか、それでチームはどうなったのかを肉付けしていきましょう。
ボランティア活動の経験を活かした例文
私の強みは、相手の感情に寄り添い、良好なコミュニケーションを取ることです。
学生時代は、介護福祉施設のボランティア活動に注力しました。私は認知症の方の担当をさせていただいたのですが、はじめはコミュニケーションを取ることが難しく、相手の感情を汲み取れない時期もありました。私は相手の様子や介助の内容によって積極的に話しかける場面と、会話を控えめにし、寄り添う場面を分けて接するように心がけました。すると徐々に相手の方から笑いかけてくださる回数が多くなりました。言葉での会話ができなくても、相手と気持ちが通じていることが伝わってきて嬉しかったです。
相手の気持ちや状態に配慮した行動は、貴社の業務にも活かせます。入社後は、常に最適なコミュニケーションを意識し、チームメンバーが働きやすい環境づくりに注力したいと考えます。(400字以内)
業務上は、思い通りにいかないことも多く発生します。例文のように、コミュニケーションを取ることが難しい相手に対してもあきらめずに向き合った行動は、環境に合わせて考えや行動を変える適応力の高さをアピールできます。
またエピソードは「特別なこと」よりも、仕事上でよくあるシーンを連想できるものがおすすめです。採用担当者は、入社後に経験を活かして活躍しているあなたを想像するでしょう。
アルバイトの経験を活かした例文
私の強みは、チームの目標達成に向けてチームワーク力を強化する存在になれることです。大学時代は、コールセンターのアルバイトをしました。接客業は、お客様に直接かかわるやりがいのある仕事ですが、クレーム対応も多い業務だったので、慣れるまではつらく感じることもありました。私がクレーム対応に悩んでいると、すぐに先輩が的確なアドバイスを出してくださいました。私もヘルプに入ってくださる先輩にクレームの内容を簡潔に伝えるように努めました。
その結果、徐々にクレーム対応にも自信がもてるようになり、チーム全体の受電数も大きく増やすことができました。このように、一人一人の苦手や弱点を補いながら協力していくことが目標の達成に大きく繋がることを学びました。
私は、これからもチームワークを大切にし、いづれはチームの苦手や弱点を補える存在になれるよう取り組んでいきたいと考えています。
(400字以内)
チームワーク力をアピールする際は「ただの仲良し」にならないように気をつけましょう。例文のように、助ける側も助けられる側も、果たすべき責任をやり遂げていることが大切です。メンバー全員が同じ目的のためにベストを尽くしたことをアピールしましょう。
また、チームをまとめる役割でなかったとしてもチームの一員として尽力した経験は、結果を裏付ける魅力的なエピソードです。
「チームワーク」を別の言葉で言い換える
自己PRでチームワークをアピールする場合は、下記のような言葉に言い換えるのもおすすめです。
「チームワーク」という言葉は伝わりやすいですが、具体性に欠けます。
経験から得たチームワークがどんな性質のものかを具体的に説明することによって、あなたの魅力を強くアピールすることができます。
<チームワークの言い換え例>
- 協調性
- 傾聴力
- コミュニケーション能力
- 共感力
- 誠実さ
- 責任感
- 献身性
- 適応力
「チームワーク」に結び付きにくい経験
チームワークの反対の言葉に「ワンマン」があるように、チームワークに結び付きにくい経験は、ライン作業や清掃員、新聞配達など一人でできる作業です。
一人でやる作業を自己PRに記入する場合は、チームワークではなく、真面目さや責任感の強さ、努力家といった強みをアピールする方が良いでしょう。
また、一人でコツコツ作業ができる人は、自己管理ができる、決断力がある、スキルアップに意欲的といった能力も持っているはずです。このような長所は、チームワーク力にも繋がります。
入社を希望する企業が「チームワーク力」を重視しているなら、エピソードを変更し、チームワーク力に繋がる長所をアピールするのも良い方法です。
自己PRで「チームワーク」をアピールする時の注意点
主観的な表現はしない
主観的な表現にならないように注意しましょう。主体的は表現とは、自分ひとりの考えや感じ方に偏っている表現です。主観的な表現をすると「あなたがそう思っているだけで、周りはそう思っていないのでは?」と採用担当者が受け取る可能性があります。
「チームワークを重視した結果、チームの雰囲気がよくなった」ではなく「チームワークを重視した結果、○○の成果がでた」と具体的な成果をアピールしたほうが効果的です。自己PRでは、誰が見ても最もだと感じる、客観的な表現を心がけましょう。
同時に複数の強みをアピールしない
同時に複数の強みをアピールしないように注意しましょう。同時にアピールすると、何をアピールしているのかわからなくなるからです。
「私はチームワークに自信があり、行動力もあり、何事にも真剣に取り組みます」ではなく「私の強みは、相手の状況や感情に配慮し、良好なコミュニケーションを取ることです」と1つの強みをアピールしたほうが効果的です。
リーダーシップが無いような表現はしない
チームワークを強調しすぎると、「チームに頼って主体性がない」「リーダーシップが無い」と捉えられる可能性があります。
例えば、「リーダーの指示を守り悪循環を改善した」と表現するのではなく、「悪循環の改善のため、主体的にチームに働きかけた」と表現した方が効果的です。
主体的に動けることも合わせてアピールしていきましょう。