ESの語尾は「ですます調」「である調」どっちが正しい?

エントリーシート(ES)を書く際、語尾を「ですます調」「である調」のどちらにするべきかということはよくある悩みどころでしょう。

結論としては、どちらが正解ということはなく、どちらの語尾を使用しても問題はありません。

「ですます調」と「である調」にはそれぞれメリットとデメリットがあり、読み手に与える印象が異なります。

アピールしたい内容に合わせて使い分けるのも良いでしょう。

ESの語尾で重要なのは、ES内の全ての文章をどちらかの語尾で統一するということです。

ES内の複数の文章においても語尾が統一されていないと、非常に読みづらく、ES全体のまとまりが失われてしまいます。

また執筆者は細部にまで気を配れず、仕事ぶりも粗雑なのではないかという悪印象を抱かれてしまう可能性もあります。

ESを書く際は、語尾が揃っているかということに注意を向けましょう。

ESの「ですます調」「である調」は印象が全く異なる

「ですます調」の文章

私の強みは、課題解決に主体的に取り組む力です。大学時代、学生会の役員として活動しており、当時の私たちの課題は、イベントの企画や運営においてのコミュニケーション不足でした。

そこで、私はメンバーとの定期的なミーティングを通じて、個々の意見やアイデアを集約し、課題を洗い出しました。また、チーム内でのコミュニケーションを活性化するため、SNSを活用し、円滑な情報伝達を図りました。結果として、メンバー間の連携が向上し、より質の高いイベントを提供できるようになりました。

このような経験を通じて培った課題解決能力は、貴社でも活かせると確信しています。新たなチームの中で、効果的なコミュニケーションと協力を促進し、組織全体の発展に貢献していく所存です。

「である調」の文章

私の強みは、課題解決に主体的に取り組む力である。大学時代、学生会の役員として活動しており、当時の私たちの課題は、イベントの企画や運営においてのコミュニケーション不足であった。

そこで、私はメンバーとの定期的なミーティングを通じて、個々の意見やアイデアを集約し、課題を洗い出した。また、チーム内でのコミュニケーションを活性化するため、SNSを活用し、円滑な情報伝達を図った。結果として、メンバー間の連携が向上し、より質の高いイベントを提供できるようになった。

このような経験を通じて培った課題解決能力は、貴社でも活かせると確信している。新たなチームの中で、効果的なコミュニケーションと協力を促進し、組織全体の発展に貢献していく所存だ。

参考:求人ボックス

上記2つの文章は、内容は同一で、語尾のみを変えたものです。

読み比べてみると、中身は変わらないにもかかわらず、異なる印象を受け取れることが分かると思います。

「ですます調」は柔らかく丁寧な印象、「である調」は力強く堂々とした印象を感じられるのではないでしょうか。

詳細は後述しますが、それぞれにメリットやデメリットがあるため、状況に応じて使い分けていきましょう。

ESの「ですます調」「である調」の使い分け方

文字数制限によって変える

ESで「ですます調」と「である調」の語尾を使い分ける際、文字数制限に注目する方法があります。

「ですます調」の文章は全体を敬語で構成することになるため、文字数が多くなりやすいです。

反対に、「である調」は敬語が不要であるため、文章を短く書くことができます。

そのため、短い文字数に収めたい場合は「である」調を選び、文字数を稼ぎたい場合は「ですます」調を選ぶというように使い分けるのも良いでしょう。

志望する業界や企業によって変える

ESで語尾を使い分ける際、志望する業界や企業に合わせて変えるという方法もあります。

「である調」は物事を簡潔に断言できるため、「ですます調」に比べて文章に力強さ説得力が生まれやすいです。

そのため、自信が感じられる表現が好まれやすい業界や企業では、ESを「である調」で統一することをおすすめします。

「である調」は「マスコミ」「商社」「コンサルティング」といった業界で好まれやすいと言われています。

迷ったときは「ですます調」で統一する

ESの語尾を「ですます調」と「である調」のどちらで統一するべきか迷ったときには「ですます調」を使用することをおすすめします。

ESは採用担当者という目上の立場の人に向けて書くものであり、敬語を扱う「ですます調」は礼儀正しい印象を与えることができます。

また社会人のビジネスシーンにおいても、基本的には「ですます調」が使われます。

そのため、ESでは「ですます調」を使用するのが一般的であり、無難とされています。

「ですます調」のメリット

礼儀正しく柔らかな印象を与えられる

「ですます調」は敬語を用いた丁寧な文体であるため、礼儀正しい印象を与えることができるというメリットがあります。

先述の通り、ESは目上の立場である採用担当者に読んでもらうものです。

そのため、「ですます調」を用いることで、社会人のマナーとしての礼節をしっかりとわきまえていることを伝えられるでしょう。

敬語が問題無く扱えるということは、一緒に働く上で気持ち良く働けそうな印象を与えます。

また強く断定する「である調」よりも柔らかな印象なので、読み手に不快感を与えるリスクも低いでしょう。

文章が読みやすくなる

ESの文章を「ですます調」にするメリットとして、採用担当者にとって読みやすい文章になるということが挙げられます。

社会人が扱う文章は基本的には「ですます調」であり、採用担当者が読み慣れている文章も同様であるためです。

採用担当者は非常に多くのESに目を通すものであるため、違和感無くスムーズに読むことができるESは好感を抱いてもらえるでしょう。

文章の読みやすさを確保したい場合には、「ですます調」を使うことをおすすめします。

「ですます調」のデメリット

正しい敬語で書くことが難しい

「ですます調」で正しい敬語表現の文章を書くことができれば、先述の通り、採用担当者に礼儀正しい印象を与えることができます。

一方で、正しい敬語表現を使うことが難しく、誤った敬語表現を使ってしまった場合には、マイナスの印象を与えてしまうというデメリットがあります。

ESを書き終えた際には、入念に敬語表現をチェックするようにしましょう。

また友人やキャリアアドバイザーなど他の人に添削を依頼すると、自分では気付けなかった誤りを見つけられるかもしれません。

稚拙な印象の文章になりやすい

「ですます調」は語尾に変化を持たせることが難しく、文章が単調になってしまいやすいです。

「~です。」「~ます。」という表現が続く単調な文章は読み手に稚拙な印象を与えてしまいかねません。

それを防ぐためには、文末表現を工夫する必要があります。

例えば、「サッカー部でキャプテンを担当。」のような体言止めを入れるという方法があります。

ただし特徴的な表現技法を使い過ぎると、かえって読みにくい文章になってしまうため、使用頻度やタイミングには注意しましょう。

文字数が多くなりやすい

先述の通り、「ですます調」は敬語を用いるため、「である調」に比べて文字数が多くなりやすいという特徴があります。

ESは内容を具体的に書かなければいけないことが多いため、自然と伝えたい内容も多くなります。

制限により、文字数を少なく抑えなければいけない場合には、「ですます調」の特徴はデメリットとなってしまうでしょう。

その際には、表現を言い換えたり、必要性の薄い表現を削ったりして、要点は残しつつも文章量を抑えられるように工夫しましょう。

「である調」のメリット

力強い文章になる

「である調」は「ですます調」に比べて、文末で固く断言できるという特徴があります。

「ですます調」にあるような柔らかさが無いため、アピールをはっきりと伝えているような力強い印象を与えやすいというメリットがあります。

文章に力強さが生まれると、読み手に自信を持っているように見せることができるため、説得力が増したり、強く意思を示したりすることができます。

また「である調」を使うことで、ESでは一般的とされる「ですます調」の文章と差別化され、採用担当者の印象に残りやすくなるでしょう。

多くの内容を詰め込むことができる

「である調」は「ですます調」とは異なり、語尾に敬語を使用しません。

そのため、同じ内容の文章でも「ですます調」より少ない文字数で書くことができます。

文字数制限のあるESでは、文章により多くの内容を詰め込むことができるというメリットが生まれます。

ただし、多くの内容を書けるからといって、必要性が薄い情報ばかりを詰め込んでしまわないようにしましょう。

「である調」のデメリット

偉そうな印象を与えてしまうリスクがある

ESでは語尾に敬語を使い、礼儀正しい印象を与えられる「ですます調」で文章を書くことが一般的とされています。

「である調」の文章は、敬語を用いずに強く断定するという性質上、友達口調に近い文体となってしまいます。

「ですます調」が一般的とされる中で、敢えて「である調」を使用すると、表現次第では上から目線で偉そうな印象を与えてしまうリスクがあります。

「である調」を使う際は、採用担当者という目上の人に読んでもらうESだということを意識して、上から目線の文章になっていないかをよく確認しましょう。

堅い文章になりやすい

「である調」はレポートや論文などでよく使われる文体であり、物事を淡々と述べるのに適しているという特徴があります。

そのため、「である調」の使用は文章に堅い印象を生んでしまいやすいというデメリットがあります。

堅い文章になってしまうと、文章に力強さが生まれやすいというメリットもあまり活かせなくなってしまいます。

堅い印象が生まれる原因は、主に「〜だ。」「~である。」という文が続くことにより、文章全体が単調なものになってしまうことです。

「である調」においても、先述の体言止めなどの表現技法を用いて、文末表現を工夫しましょう。

ESを書くときに注意するポイント

語尾は統一する

再度の注意になりますが、ES内の全ての文章で語尾を「ですます調」「である調」のどちらかに統一しましょう。

アピールしたい内容に合わせて、志望動機は「ですます調」にして、自己PRは「である調」にするといった異なる項目での使い分けもNGです。

読み手に敢えて使い分けているという意図が伝わりづらく、粗雑に書き上げたのではないかと疑われてしまうリスクが高いです。

全体で文体を揃えて、まとまりのあるESに仕上げましょう。

言葉や表現の間違いに気を付ける

ESを書く際には、適切な言葉や表現を使用できているかという点も重要です。

ESは文書であるため、話し言葉は使わず、「書き言葉」のみでまとめる必要があります。

例えば、「御社」は話し言葉であるため、ES内での応募先の呼称は「貴社」に揃えましょう。「~なので」という表現も話し言葉であるため、「~であるため」などの表現を使用しましょう。

また「成績を上げれました」「主将を務めてました」などの「ら抜き言葉」「い抜き言葉」の使用にも注意が必要です。

「〜たりする」のような文法上の間違いにも気を付けましょう。正しくは「〜たり、〜たりする」というように「〜たり」が2回以上続きます。

「ですます調」の文章を書く場合は、敬語表現の間違いにも気を配りましょう。正しい敬語を扱うことはマナーであるため、それができていない文章は低く評価されてしまいます。

ESを書き終えたら、言葉や表現方法の入念なチェックを欠かさず行いましょう。

内容を疎かにしない

ESを書く際、語尾ばかりに気を取られ、内容が疎かにならないように注意しましょう。

ESは自分を企業に紹介するためのものであり、その内容から人柄やスキルなどが評価されます。そのため、ESの内容は選考に大きく影響する重要な要素になります。

語尾がきちんと揃えられていても、肝心の内容が魅力的でなければ、良い評価をしてもらうことはできません。

伝えたいことが読み取りやすいか、自分の魅力をアピールできているかということをしっかりと意識して書きましょう。

文字数制限に対して少なく書き過ぎない

文字数制限に対して、極端に少ない文字数で文章を書いてしまうと、アピールできることが少なく、自信が無さそうな印象を与えたり、手抜きをしていると思われてしまう可能性があります。

一般的には、文章の文字数は「○○字以内」「○○字程度」などの制限として示されている文字数の8割以上が適切であると言われています。

ESにおいては、最低でも8割以上、理想としては9割以上の文字数が良いとされています。

文字数が足りないという場合には、表現の言い換えなどを行い、適切な文字数に届くように工夫しましょう。

ESは内容重視!自分の良さが引き立つ語尾でアピールしよう

ESを書く際、「ですます調」と「である調」のどちらの語尾を用いても問題ありません。

敬語を扱う「ですます調」は礼儀正しく柔らかな印象、固く断定する「である調」は力強く自身に満ちた印象を読み手に与えることができます。

迷ったときには、より一般的に用いられている「ですます調」を選ぶと無難で安心できるでしょう。

語尾の選択で注意するべきなのは、どちらを選ぶかということではなく、全体で語尾を統一するということです。

語尾がバラバラだとESのまとまりが損なわれてしまうため、必ず揃えましょう。また語尾ばかりを気にし、内容を疎かにしてはいけません。

ESではアピールの核となる内容が一番の評価の対象であり、最も重要です。
熟考した内容に合わせて、自分の良さが引き立つ語尾を選び、より良いアピールに繋げましょう。

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