負けず嫌いな性格は、企業に向けたアピールポイントの1つです。逆境にめげない強い精神力、努力を続ける向上心などは、仕事をする上でも重要な力と言えます。

しかし、同時に、競争心の強さは周囲との関係構築への不安や利己主義を企業に感じさせてしまうため、必ずしも強みとはならないことがあります。

この記事では、自己PRで「負けず嫌い」をアピールする時に注意したいポイントや具体的な書き方を例文付きで解説していきます。

企業が求めている「負けず嫌い」な人間とは

企業は「負けず嫌い」をどう評価しているか

一般的に負けず嫌いという言葉からは、向上心の強さ逆境に負けない精神力を感じられます。ほかにも、何事にも果敢に向かっていくチャレンジ精神や、勝つことへのこだわりが生み出す熱心さなど、仕事をする上で重要になる要素を多分に含んだ言葉です。就職後も仕事に対して熱心に取り組んでくれるだろうという期待が持てるため、多くの企業は負けず嫌いを好意的に評価しています。

特に、数字がモノをいう世界である営業職は、最も負けず嫌いな人を評価していると言えるでしょう。契約を取るためのトークやプレゼンなどの技術の向上、新規開拓のために未知の場所へと飛び出していくチャレンジ精神、いずれも負けず嫌いな人が持つ能力が欠かせません。

他にも、自分を磨き続けることが求められるクリエイターエンジニアなどの技術職も負けず嫌いを評価している職種です。

負けず嫌いは必ずしも好意的に受け取られない

しかし、負けず嫌いのアピールは、企業や職種によっては逆効果になることもあるため注意が必要です。負けず嫌いは競争心や闘争心の現れでもあります。そのため、そもそも他社や部内での競争をしない職種、例えば事務職や経理職では強い闘争心を持つことは、周囲との不和の原因になるため、あまり好意的には受け取られません。

これらの職種は、組織としての和を何よりも重視します。そのため求めているのは、負けず嫌いであることよりも周囲と円滑なコミュニケーションができ、お互いに協力できる力です。

勿論、ある程度の向上心や逆境への粘り強さは働く上で必ず要求されるでしょう。ただ、過ぎたプライドの高さや承認欲求が伝わってしまう負けず嫌いのアピールは「組織で働くことに向かない」と判断されかねないので注意しましょう。

企業が求めているのは「自分に負けない」心の持ち主

企業が求めているのは、自己研鑽や成長を求めて弱気な自分や逆境に打ち勝つ力を持っている、負けず嫌いな人物です。入社後も持ち前のアグレッシブな向上心や、士気の高さで周囲を引っ張り組織に良い影響を及ぼす人材として、本人、ひいては組織全体を成長させてくれる期待を企業に抱かせます。

そのため、負けず嫌いを自己PRするときに、「何が何でも負けたくない」という、強すぎる他人を想定したアピールは避けましょう。常に相手への敵愾心を持ち、職場環境や人間関係を乱す人物として企業の目に映ります。

それよりも「高い目標を設定して努力し続けた」という自分を想定したアピールにしましょう。このような自己PRをする方が、企業の目にも自己研鑽精神力の強さをアピールでき好印象です。

負けず嫌いをアピールする自己PRの構成

最初に結論を書く

結論から述べることで、その後の内容が何についてのものなのかを明確に示すことができます。これにより、採用担当者にアピールポイントが伝わりやすくなり、狙い通りの印象を与えられます。

ただし、あくまで先に概要を伝えるための部分であるため、冗長になるのはNGです。ここでは簡潔に内容をまとめ、理由や具体例などはその後に書くようにしましょう。

理由や根拠を示す

次に、結論に対する理由や根拠を示しましょう。内容はなるべく具体的に書き、成果などはさらに数値を用いると説得力が上がります。

取り上げるエピソードは基本的にどんなものでも問題ありませんが、明らかな誇張や虚偽があるものは疑念を与える可能性があります。派手でなくとも十分に理由や根拠は示せるため、実体験に基づいた内容に留めるようにしましょう。

入社後の意気込み

最後は、自分の強みを入社後にどのように活かしていくかを述べます。ここでも具体性を持たせて書けると、より自分の価値が伝えやすくなります。

ここは自己PRの締めにあたるため、最初の結論と同じく、文量は抑えめで簡潔にまとめる必要があります。短くとも印象的な言い回しを考えて記載しましょう。

自己PRで負けず嫌いをアピールするポイント

負けず嫌いは勝負事で発揮される性格です。そのため「勝つための努力を惜しまない」「常に挑戦し続けられる」というプラスのイメージと同様に、「プライドが高い」「敵愾心が強い」というマイナスのイメージもついて回ります。

より自分の負けず嫌いを企業に対して魅力的にアピールするには、これらのマイナスイメージを転換させなければなりません。ここからは、負けず嫌いをより魅力的に自己PRに入れてアピールする方法を解説します。

自分が負けず嫌いだからこそできたことを話す

注意すべきは負けず嫌いは、あくまでも人の「性格」です。そのため負けず嫌いだけを前面に押し出すと、自分の性格のことだけを面接官や企業に伝えることになってしまいます。

特に、負けず嫌いには多様な意味や受け取り方が考えられるため、あまりにも大きな言葉やくくりで話すことは避けましょう。受け取る企業に対して、自分の意図とは全く異なる印象を与えるばかりではなく、自分らしさのない埋没した自己PRになってしまいます。

面接官や企業が知りたいのは、その人物の考え方や内面であり、さらに言えば、その考え方に基づいた行動が入社後も期待できるかという点にあります。理想は「自分の負けず嫌いな性格で、他人にこれだけの良い影響を与えた」エピソードが自己PRできることですが、それでなくとも自分が負けず嫌いだったからこそ成しえたエピソードがあるはずです。

自分の中の負けず嫌いを掘り下げ、自分しか経験のないエピソードを交えた自己PRにしましょう。

負けず嫌いだからの短所を知っておく

負けず嫌いな人は時として、競争心の高さから攻撃的に見えることがあります。また、勝利へのこだわりを捨てきれず、他人との協調性に欠ける印象を与えてしまうことは否めません。仕事は個人だけではなく組織において成り立っているため、就職活動の自己PRで「他人と円滑なコミュニケーションが取れない」と判断されることは致命的です。

また、これらは一般的にネガティブな印象を与えるものです。それを本人が積極的に売り込んでくると、企業と本人の間で著しい認識のギャップが生まれてしまい、企業からは「自分の強みを理解していない」と判断されかねません。

自己PRでは、それらの短所を飲み込んだ上で、乗り越えるためにどのような取り組みをしてきたかを伝えましょう。そうすることで「自己認識を正しく持っている」こと、同時に「欠点を強みとして活かすことができる」人物であると企業に印象付けられます。

例えば、「自分の勝つためのこだわりを理解してもらうために、積極的に相手とのコミュニケーションを取った」「成績を上げるために同じ志望校の同級生と一緒に切磋琢磨した」などの一文があるだけでも、受ける印象は異なります。

負けず嫌いを長所として活かすには「努力」が欠かせない

負けず嫌いを企業に長所として印象付けるためには、自分が勝つために何をしてきたかが重要です。単に負けず嫌いを自己PRするだけでは、企業に「何と戦ったのか」「勝敗の基準は何か」「本当に負けず嫌いなのか」が何一つ伝わりません。

自分の負けず嫌いが発揮されたエピソードのなかで、「勝つために何をしたか」は必ず織り込みましょう。この努力の大きさが大きいほど、企業に対して並々ならぬ「負けず嫌い」さを自己PRできます。

また、相手の大きさも重要なポイントです。例えば、負けたくないとした対象が毎回の試合で何度も完勝している相手だと、受ける印象はどうでしょうか。「負けず嫌い」というよりも嫌味なプライドの高さを感じてしまい、非常に印象が悪くなります。負けたくない相手を自分と同じ実力以上の持ち主にすることで、努力の価値も生まれます。

負けず嫌いを自己PRする例文

勉強での負けず嫌いを自己PRする例文

例文

私の強みは負けず嫌いで、高い目標に向かって努力し続けられるところです。特に、発揮したのは大学受験を控えた高校3年生のときです。

3年生の夏頃まで、私はあまり成績が向上せず、担任の先生から志望校の再検討を勧められました。しかし、どうしてもその大学で学びたいことがあった私は、何としても合格すべく今まで以上に努力をしました。それまでも、毎日の課題に加えて自主的な勉強を夜遅くまで続けていましたが、部活を引退した夏からは、勉強の時間をさらに延ばし、平日は1日5時間、休日は12時間の勉強を受験日まで続けました。その結果、見事合格を勝ち取ることができました。

入社後も、負けず嫌いな性格を活かして、高い目標に挑戦し続けることで貴社に貢献したいと考えています。(350字以内)

この文章では、負けず嫌いを「目標に向かって努力できること」と定義付け、その定義に沿って自分が努力したエピソードを記載しています。

最初に「どのような負けず嫌い」かを明確にすることで、その後の文章とのズレがなくなると同時に、企業に対しても誤解させない文章を書くことができます。具体的な目標や、それに向かった努力の跡を明確にすると、並々ならぬ努力ができると印象付けられます。

部活での負けず嫌いを自己PRする例文

例文

私の長所は、どんな時にも諦めない心の強さです。私は大学で、サッカー部に所属していました。部活ではインターカレッジでの優勝という目標を掲げ、毎日遅くまで練習に打ち込んでいましたが、1年、2年の試合ではなかなか勝利に結びつかず、常にリーグ降格圏をさまよっていました。

そのような状態のなかでは、チームの雰囲気も悪く、部員同士の間にも不和が目立ち、非常に危険な状態が続いていました。そこで、3年生のときに、私は同級生だけではなく先輩や後輩も巻き込み、「チームが勝つために何をするか」を徹底的に話し合いました。一試合ごとの敗因を突き止め、日々の練習に明確な目標を持たせることで、全員が同じ方向を向いて活動できるようにしました。

その結果、3年生の大会では、インターカレッジに出場しただけではなく、優勝を勝ち取ることができました。貴社においても、これまでの経験を活かし、お客様や社会に貢献できるような提案をしていきたいです。(450字以内)

この文章では負けず嫌いを「諦めない心の強さ」と表現しています。目標に向かって諦めない心の強さは、仕事の上でも重要になるポイントです。同時に、ただ自分が周囲に勝つことだけではなく、チーム全体のために負けず嫌いを発揮したエピソードが盛り込まれています。

企業は組織です。組織のために自分の「けず嫌いを発揮できる人物は、入社後もチームの中で中核として引っ張っていく人物として、企業は期待できます。

趣味や特技での負けず嫌いを自己PRする例文

例文

私の強みは、負けず嫌いで常に自己成長を心がけていることです。私は小学生のときから、毎日欠かさずランニングを続けてきました。当初は体力づくりにと始めたため、長い時間を走ることもできず、すぐに息が上がっていました。それでも、「明日は今日よりも長い距離を走ろう」という気持ちを常に持ち、毎日走り続けていました。

その結果、今では毎日平均して8㎞を毎日走っています。また、体力もついたため、高校・大学を通して多くのスポーツで活躍することができました。その負けず嫌いな性格から自分の力に制限を付けず、常に限界に挑戦し続けています。この強みを活かして貴社でも多くの事に挑戦し、自己成長していきたいです。(300字以内)

この文章では、負けず嫌いを「自己成長」という形で述べています。趣味の範疇だと競争相手がいないため、必然的に負けず嫌いを発揮する相手が自分になることが多く、自分に打ち勝ったエピソードに自然となります。

働く上で自分の技術や能力を高めることは必須です。趣味であっても、自分を高め続けられる素養がある人物は企業にとって、欲しい人材と言えるでしょう。

負けず嫌いを効果的に自己PRしよう

負けず嫌いは、「向上心」や「自己成長への渇望」、「精神力の強さ」などが感じられる魅力的な長所です。多くの企業でも好意的に受けとめられることは間違いありません。ただ、伝え方を間違えると「プライドが高い」「周囲に馴染めない」などの短所と捉えられることもあります。

長所としてアピールするためにも、自己分析を徹底的に行い、自分の「負けず嫌い」を明確にすることで、自然と自分らしい自己PRになります。エピソードを深掘りし、自分だけの自己PRを作成していきましょう。

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