真面目さは自己PRとしてありきたりなようですが、十分に有効な長所です。ただし、真面目さをアピールする学生は少なくないため、他の学生にはない自分なりの真面目さを掘り下げて伝える必要があります。
この記事では、企業が評価する真面目さとは何かを解説するとともに、オリジナリティのある真面目さエピソードの作り方や、真面目さをPRする時の注意点なども紹介します。
目次
自己PRで企業が評価する真面目さとは
真面目という言葉は一般的には「嘘やいい加減なところがなく誠実である」という意味があり、社会で働く上では必須のスキルです。しかし、企業が評価する真面目さはさまざまで、業務の性質に応じて求められる真面目さが異なります。
ここでは、就活の自己PRで真面目さを伝えるときにアピールするべきポイントを紹介します。
困難な場面でも諦めず最後まで仕事を完遂できる
社会に出て仕事を始めると、思う通りにいかないことはいくらでもあります。困難な場面に直面した時、途中で投げ出さずに最後まで成し遂げる力は、社会ではなくてはならない能力です。
真面目な人は難しい問題にも責任を持って正面から向き合い、目標を達成するために努力を継続することができます。
学生時代に学業やアルバイトなどで困難を乗り越えて成果を出した経験がある人は、ぜひそれを真面目さとしてアピールしましょう。
仕事を計画的に進められる
限られた時間の中で与えられた仕事を終えなければならないシーンは少なくありません。真面目な人は目標から逆算して事前にやるべきタスクを洗い出し、優先順位や効率性を考えた上で計画的に行動できます。最終的に決められた期限や納期を守って仕事を完了できるため、社内外から信頼されやすいのも特徴です。
このような人材は自己管理能力が高いだけでなく、分業が必要なプロジェクトなどでも段取り良くチームの仕事をまとめてくれることが期待できます。計画性はどのような業務であっても重要となる能力であるため、企業から高く評価されやすいでしょう。
地道な努力を続けられる
世の中の仕事は、取り掛かってすぐに成果が出るものだけではありません。営業やマーケティングなど、チャレンジを継続して初めて望んだ結果が得られる仕事もあります。
真面目な人はそうした地道な努力を必要とする仕事であっても、コツコツと粘り強く取り組むことができます。
なかなか結果が出ない時期でも、誰かに管理されなくとも自分が今何をすべきか考え、行動し続けられる人であれば、企業としても安心して仕事を任せられるでしょう。
周囲から信頼されやすく人望が厚い
真面目な人は嘘や誤魔化しを嫌い、曲がったことを良しとしません。そのため仕事で手を抜いたり、いい加減に済ませたりすることなく、何事にも真剣に取り組みます。
「自分に非があれば素直に認めて謝る」、「言動に一貫性がある」、「裏表がなく誰に対しても平等に接する」といった姿勢も真面目な人の強みです。真面目さは誠実さとも言い換えられます。
仕事ぶりが誠実な人は「あの人に任せておけば大丈夫」と社内外から人望を得やすいため、どこの企業でも求められる人材といえます。
自己PRで真面目さを効果的に伝える構成
<真面目さを伝える構成>
①最初に真面目さが強みであることを述べる
②真面目さを発揮したエピソードを紹介
③真面目さがどのような成果・結果につながったか
④真面目さを仕事にどう活かすか
まずは、自分の強みが「真面目さ」であるという結論を述べましょう。結論ファーストで書くことで話の内容が明確になり、読み手にも言いたいことがストレートに伝わります。
また、単に「私の強みは真面目なことです」と書くよりも「私は地道な努力を粘り強く続けることが得意です」など、どのように真面目なのかを具体的に表現した方が読み手に印象づけることができます。
結論を述べたあとは、真面目さが強みであることを裏付ける具体的なエピソードを説明しましょう。例えば、アルバイトで真面目さを発揮した経験について書くのであれば、自分が直面した問題や課題、それに対するアクション、成果・結果をまとめます。
自己PRでは、あなたが自発的に考えて行動したことと、その結果が重要視されます。そこにあなたの人間的な魅力や仕事に対する向き合い方が表れるからです。エピソードトークに終始せず、自分の考えや行動を伝えることを意識しましょう。
最後に、この真面目さを仕事にどう活かすのか、企業に貢献できるポイントを絡めてアピールします。採用するメリットを感じてもらい、入社後に活躍してくれそうなイメージを持ってもらえる内容になっているか確認しましょう。
オリジナリティのある真面目さエピソードの作り方
真面目さをアピールする他の学生の中から採用担当者の目に留まる自己PRを作るには、エピソードにオリジナリティが必要です。
ありきたりなエピソードではなく、自分らしい真面目さを見つけるための方法を解説します。
1.自分の真面目エピソードを書き出す
自分らしい真面目さとは何かを見つける上で自己分析が欠かせません。アルバイトや大学のゼミ、部活、インターン、習い事、友人や家族との関係など、どんな場面でも構わないので、真面目さを褒められた経験を思い返してみましょう。
褒められた経験はなくとも、長く続けている部活やアルバイト、習い事などがある人は、それだけで物事を真摯に継続する力が備わっているといえます。
エピソードが上手く思いつかない場合、特別なエピソードが必要だと考えている可能性があります。自己PRは自分の人柄や能力をアピールすることが目的ですので、人より優れていることをアピールする必要はありません。一度友人や家族に尋ねてみると、それまで自分では気づかなかった自分の真面目な一面が見えてくるでしょう。
2.エピソードの共通点を探し深掘りする
真面目エピソードを掘り下げていくつか書き出していくと、自分の行動や考え方に共通点が見えてくるはずです。シチュエーションや相手に関係なく発揮される真面目さ、それが「自分にとっての真面目さ」です。
同じ真面目さのアピールでも、例えば「地道な努力を続けられる真面目さ」や「仕事を計画的に遂行する真面目さ」など、自分なりの真面目さを定義することで、他の学生との差別化ができます。
このステップを踏まえて抽出された真面目さは、過去の複数の経験に基づいている強みであるため、採用担当者に説得力のある自己PRができるでしょう。
3.自分の真面目さをどう発揮するか提案する
自分らしい真面目さの定義づけができたら、どのような場面でその強みが発揮できるのかを企業の求める人材像や志望職種に応じて提案しましょう。
取引先に断られても粘り強く交渉することが求められる営業などの職種であれば、「困難にぶつかっても諦めずに挑戦を継続できます」といった提案が効果的です。採用担当者に入社後のあなたの活躍をイメージさせることができれば成功といえます。
自己PRでは真面目さを言い換えて差別化する
シンプルに「真面目」と表現するよりも、他の方法で言い換えた方がどのように真面目なのかが伝わりやすいものです。他の学生との差別化にもつながります。
真面目の言い換え表現は下記です。
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責任感が強い
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何事にも真摯に取り組む
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几帳面で細部まで手を抜かない
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忍耐強い
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最後までやり遂げ
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計画性がある
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誠実で信頼されやすい
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成長意欲がある
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向上心がある
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地道な努力を積み重ねられる
自分の真面目さが何か、深掘りしていくことで適切な言い換えが見つかるはずです。
「真面目さ」のエピソードから、どのように伝えると魅力が最大限に伝わるかを考え、自分に合ったフレーズを用いてみましょう。
【経験別】真面目さの自己PR例文
部活
私は大学時代、サッカー部のキャプテンとして選手一人ひとりと誠実に向き合い、チームの成績向上につなげることができました。私が所属していたチームは過去数年間、全国大会への出場実績がなく、選手の士気も低下している状況にありました。そこで現状を変えるために選手全員にヒアリングを行ったところ、怪我の多さや練習スタイルに問題があることが判明しました。
私は怪我防止策として、疲労の溜まった状態で怪我のリスクが高い練習をしないことを提案し、体力のある前半に試合形式での練習を行い、後半で個別の技術練習や筋力トレーニングを行う体制に変更しました。その結果、選手の怪我が減少して徐々にチーム全体のモチベーションが高まり、公式戦での勝利回数も増えました。さらに3年次には念願の全国大会への出場も果たすことができました。
貴社に就職できた際には上記の経験を活かし、持ち前の誠実さと課題解決能力を武器に、周りから信頼される仕事をしてまいります。(450字以内)
この例文では、チームの現状把握から課題の発見、解決策の提案・実施と、目標を達成するために自分で考えて行動したことが順序立てて説明されている点がポイントです。
実際の業務は個人で完結できるものは少なく、チームで取り組むものが多くあります。個々のメンバーが能力を発揮できる環境を整え、目標を達成したチームマネジメントの経験は、社会に出てからも応用できるでしょう。
アルバイト
私の強みは何事も自責思考で捉え、前向きに取り組むことです。大学時代、居酒屋でアルバイトをしていた際、繁華街という立地もあって来客が多く、マニュアル通りの提供時間が守れずに多数のクレームが発生する事態が発生していました。
クレームへの不満から愚痴をこぼしたり、すぐに退職してしまったりする人が多いなか、私は現状を改善すべく、従来の「注文ベース」から店の一押しメニューを積極的に勧める「提案ベース」での接客を意識することに努めました。
最初は想定通り進まず苦労しましたが、仕込みや在庫管理の状況に合わせて料理やドリンクを提供できるようになったことで、徐々に提供時間が短縮され、クレームが減少しました。また、スタッフの定着率も少しずつ改善していき、それまでの活躍が評価されて3ヶ月後にはアルバイトリーダーに抜擢されました。
このように現状を素直に受け止めて改善策を講じ、成果が出るまで継続する経験は貴社での業務でも生かせると考えております。(450字以内)
アルバイトという立場ながら課題に対して自分なりにできることを模索し、継続することでクレーム減少と責任ある立場への抜擢、社内での品質表彰という3つの成果につなげた理想的なエピソードです。
すぐには成果に結びつかなくても、投げ出さずに仕事に向き合う姿勢から真面目さがうかがえます。
可能であれば、クレーム発生率やスタッフの定着率の変化を具体的な数字とともにアピールできると、より説得力が高まるでしょう。
資格取得
計画的に物事を進め、目標達成のために行動できるのが私の強みだと考えます。私は大学時代、授業と競技ダンス部での活動、将来に向けたIT関連資格の勉強の両立を目指していました。
しかし、授業とハードな練習で1日が終了してしまい、資格の勉強ができるのは通学中の電車内と、授業の休み時間のみでした。そこで限られた時間でも効率的に勉強するために1年間の勉強計画を立て、通学中はインプットの時間に当て、休み時間は友人に出題してもらい、アウトプットする形で毎日勉強しました。
結果的に、競技ダンス部の全国大会の出場メンバーとして活躍していた傍ら、2年次の終わりに資格試験に合格できました。授業と部活に並行して試験に合格する前例がなかったため、校内でも文武両道の活動を表彰されました。
上記の通り、私は時間が限られる中でも計画を立てて目標に向かって継続して取り組むことができます。貴社でも常に計画的に行動して貢献していきたいと考えています。(450字以内)
普段の授業とハードな部活動をしっかりこなしつつ、将来を見据えて資格取得のために計画的に勉強し、合格を果たすというのは、簡単に実現できることではありません。
計画性や忍耐力も同時に兼ね備えていることが伝わる理想的な自己PRといえます。
やや全体に占めるエピソードの割合が多いため、もう少し「計画的に物事を進める能力」を応募職種の特性に絡めて書けると良いです。
留学
私は周囲に流されず自身の目標を持って行動することができます。私は大学4年時にフランスの国際大学へ交換留学した経験があります。しかし、英語での授業が中心だったため、フランス語や現地の文化を学ぶためには英語だけに頼らず地元のコミュニティに溶け込むことが必要でした。
留学先には日本人も多く、休日は日本人同士で過ごす学生が多かった一方、私は積極的にフランス人中心のゼミや授業へ参加するなどして現地の言語と文化を学びました。1年間という短期間の留学でしたが、最終的には現地試験の「日常会話に問題ないレベルとされる」B2レベルに合格することができました。また、現地で仲良くなったフランス人の友人の親族内クリスマスイベントに招待されるなど思い出深い経験をすることができました。
このように、自身の目標のために流されずに行動することが私の強みです。社会人になってからも会社の目標を自身の目標に落とし込んで最後まで一貫して取り組んでまいります。(450字以内)
周囲に流されず自分で設定した目標に向かって努力する力も、真面目な性格のアピールには効果的です。語学試験への合格という実用的で目に見える形での成果に加え、現地の人と交流を深め、温かい関係を築くというヒューマンスキルもアピールできています。
ただ、この例文でも自分の強みをどう業務に活かしていくかという内容がやや薄いため、実際の業務での再現性を意識するとベターです。
ゼミ
私の強みは困難な課題に対して真摯に向き合い、望んだ成果を得るために努力を継続できることです。大学院のゼミで「急速なデジタル化の進展に伴う倫理的・法的な問題」について研究していた際にこの強みを発揮しました。
研究では、まだ社会的にそれほど注目されていないデジタル化の弊害を浮き彫りにすることが目的でした。それには膨大な文献を調査してその中から質の高いものを選別し、適切に分析や批評を行う必要がありました。長い時間と根気を要する作業でしたが、教授や研究室の仲間に協力してもらいながらコツコツと情報収集に努め、多角的な視点からの情報を総合的に分析することで、現実の課題を正確に捉え、知識を深めることができました。最終的にはデジタル化が社会にもたらす隠れた倫理的・法的問題を学会で指摘し、解決への第一歩として議論の俎上に載せることができました。
貴社の業務においても、答えのない課題に対して正面から取り組み、よりよい社会の実現に向けて貢献していきたいと考えています。(450字以内)
膨大な文献を読み込み、その品質も精査しながら情報を取捨選択するというハードな研究を途中で投げ出さずにやり遂げたことから、意志の強さや粘り強い性格が伝わってきます。
研究過程のアピールで終わらず、学会での発表という具体的な成果にもつなげられており、堅実な仕事ぶりが期待できそうな自己PRに仕上がっています。
自己PRで真面目さをアピールする際に注意すること
真面目さは長所になり得る一方で、短所とも捉えられる性格です。真面目な性格の魅力を理解してもらうためには、真面目な性格が持つマイナスな側面も押さえておく必要があります。
そこで自己PRで真面目さをアピールする際の注意点を紹介します。
主体性がなく受け身な印象にならないようにする
受けた指示に素直に従う、ルールを守ることも真面目さのひとつですが、場合によっては「言われたことしかやらない」「指示待ち人間」「成長意欲がない」とネガティブに評価されてしまう可能性もあります。
実際のビジネスの場では、与えられた仕事をこなし、時間や期限を守るだけでは十分ではありません。自分で考えて行動すること、自分の意見をきちんと主張することも重要です。
真面目さをアピールする時には、課題に対して自発的に行動したエピソードを伝えるように意識してすることが大切です。
誇張や嘘は避ける
エントリーシートにある自己PRは、誇張や嘘の多い項目として注意して見られています。自己PRに書ける内容がうまく思いつかないと、つい実際の経験を盛って書いてしまうかもしません。
しかし、面接では書かれてある内容を深掘りされることがほとんどです。質問への回答に矛盾があったり、あやふやなところがあったりすると確実に企業に怪しまれます。
また、前章で真面目さは誠実さとも言い換えられると述べましたが、真面目さをアピールする文章で嘘を書くというのは、それ自体が信用を失う行為です。
自己PRでは必ずしも周囲に誇れるような派手なエピソードがなくても構いません。学生時代の経験から「自分なりの真面目さ」を分析して正直に書くことが大切です。
ネガティブに捉えられないように注意する
真面目で正義感の強い性格は、一方で「自分のルールにこだわる」「頑固」「融通が効かない」「柔軟な対応ができない」といったマイナスのイメージを抱かせる可能性もあります。
実際の業務ではイレギュラーな事態が発生することも多く、職種や業種に関係なく臨機応変な対応ができることは業務をスムーズにこなす上で不可欠な能力です。
周囲との協調性を持ち合わせていること、状況に応じた対応もできることを伝える一言を付け足せれば、真面目さをネガティブに捉えられるリスクを回避できるでしょう。
真面目さの伝え方を押さえて効果的な自己PRにしよう
真面目さは多くの企業で効果的なアピールポイントですが、オリジナリティの低い内容や、短所を分析できていないような内容では、かえって低い評価になってしまうおそれがあります。
自己PRで個性を出すためには、エピソードの深堀りが必要不可欠です。この記事を参考にして、これまでの経験を振り返り、より魅力の伝わる自己PRを作成できるようにしましょう。