銀行業界は、多くの新卒就職者が殺到する人気の業界の1つです。毎年多くの新卒者がエントリーしており、各種ある業界のなかでも高い順位につけています。

この記事では、銀行業界への就職を目指す人のために、銀行業界の現状を解説するとともに、志望動機の書き方を解説していきます。志望先ごとの例文もあわせて紹介しますので、こちらを参考にして完成度の高い志望動機を作成しましょう。

銀行員の職種

総合職

総合職では営業や事務、本部業務など幅広いスキルを求められる職務に携わります。一般職よりも収入が高い傾向にありますが、その分異動や転勤も多いのが特徴です。

営業では個人だけでなく、特定の企業の重役を相手にやり取りをしなければならない場面もあるため、通常の営業職と比べても強い責任感が求められる職種となっています。

また、本部業務では高い専門性が求められるため、在学中に関連する研究に携わっていた人などには有利といえます。

一般職

一般職は、通常の銀行で見かける職員全般を指します。大きく分けて窓口業務と後方事務の2種があり、後方事務が窓口業務のサポートをするという形で業務が行われています。

窓口業務は、銀行の窓口で入出金や口座開設など様々な用件を承るのが主な業務です。幅広い客層を相手にしなければならないため、コミュニケーション能力や機転、愛想のよさも求められます。

後方事務では、窓口で請け負った用件に対応するため、実際に入出金や手続きなどを行う役割を持っています。基本的に事務に専念し、間違いのないように業務を遂行することが求められるため、接客や電話対応などは行いません。

銀行の実態

銀行の3つの業務

銀行は、証券会社や保険会社などと一緒に金融業界の一角をなす企業です。規模や扱う制度の違いはありますが、基本的には「お金のあるところからお金のないところへお金を融通する」ことが主な仕事です。まずは、銀行の業務である「金融」について解説します。

預金業務

1つ目が、預金業務です。いくつかある銀行の業務のなかでも、1番想像しやすい業務ではないでしょうか。企業や個人からお金を預かり、それを管理する業務です。

銀行を介した金融において、「お金があるところ」とは預金者を指します。そのため、お金を預けてもらわなければ銀行は仕事ができません。

預けてもらうメリットを作るために、普通預金定額預金など口座を作る特典を用意したり、手数料を引き下げたり、と多くの銀行が知恵を絞っています。

融資業務

2つ目が、融資業務です。貸付業務とも呼ばれ、預金業務で預かったお金を必要としている人へと融資します。住宅ローンや学資ローンなどの各種ローンはすべて銀行の融資業務の一環です。

勿論、貸したお金をそのまま返してもらったのでは、銀行の利益はでません。返すときに利息を取ることで、銀行は利益を得ています。こちらもまた、借りてもらわなければ利益がでないため、個人向けにも多くの商品が開発されています。

為替業務

3つ目が、為替業務です。為替というと外国通貨と日本国通貨の交換をイメージしますが、まさにその通りです。銀行には代表的な諸外国の通貨が準備されており、海外に行く日本人、もしくは日本に来た外国人と通貨の交換を行います。

このほか、公共料金などの銀行口座からの引き落としや、給与の振り込み受付など、お金を動かす業務全般を指して為替と呼びます。銀行は、この為替を一手に担う存在です。

銀行の8つの種類

日本各地に存在する銀行は、成り立ちや取引規模、取り扱う金融商品によって、大きく8つの種類に分類することができます。ここでは、代表的な銀行とともにその8種類を紹介します。

メガバンク

代表企業
  • みずほ銀行
  • 三井住友銀行
  • 三菱UFJ銀行

1つ目が、メガバンクです。主に東京や大阪などの都市部を中心に全国展開しており、多くの取引先と抱えている規模の大きな銀行です。個人客だけではなく、大手企業もこれらの銀行に口座を用意し取引に利用しています。

また、みずほ銀行のみずほフィナンシャルグループに代表されるように、それぞれが上記の3銀行を中心とした巨大な金融グループ企業の中核になっている点も特徴です。かつては、ここにりそな銀行も加え、都市銀行と呼ばれていました。

ただ、日本において、メガバンクとその他の銀行とに明確な判別基準はありません。一般的には、「1)バブル崩壊後におきた都市銀行の経営統合により発足した銀行」「、2)中核になる銀行は旧財閥系などの古い歴史を持つ銀行」、とされています。その点において、成り立ちの異なるゆうちょ銀行や、再編に参加しなかった三井住友信託銀行はメガバンクとして扱われていません。

地方銀行

代表企業
  • 東北銀行(仙台)
  • 千葉銀行(千葉)
  • 京都銀行(京都)など

2つ目が地方銀行です。定義としては、全国地方銀行協会に所属する銀行と、第二地方銀行協会に所属する銀行を指します。基本的に本社を置く都道府県内を中心として展開しているため、出店範囲は狭く知名度も全国的とは言えません。

しかし、上記の協会の加盟銀行の大多数は、所在の県における最大規模の金融機関として利用されており、地域に強く密着した銀行と言えます。県内の主要企業の最大の融資担当を担うほか、地域開発や投資を行うなど地域経済に大きな影響力を持っています。

ただ、地方銀行は二極化が激しい企業でもあります。事業拡大を狙って隣県や海外に出店できる銀行がある一方で、経営統合を進めて生き残りを図る銀行も存在します。

参考:地方銀行一覧|一般社団法人全国地方銀行協会 (chiginkyo.or.jp)

加盟地方銀行一覧|一般社団法人第二地方銀行協会 (dainichiginkyo.or.jp)

信用金庫・信用協同組合

代表企業
  • 京都中央信用金庫(京都)
  • 城南信用金庫(東京)など

銀行は株式会社であり、基本的には自社と株主の利益追求を目的として、日々活動を続けています。しかし、3つ目に紹介する信用金庫(以下、信金)と信用協同組合(以下、信組)は、株式会社ではありません。それぞれ「信用金庫法」「中小企業協同組合法」によって、地域の中小企業が共同して出資し合った相互扶助のシステムが信金と信組です。

そのため、信金と信組は利益の追求よりも、地域の発展や出資した組合員である企業の扶助に主眼を置いています。一方で業務内容については、預金や融資、為替などほかの銀行とそれほど大きな違いはありません。

信託銀行

代表企業
  • 三井住友信託銀行
  • 三菱UFJ信託銀行

4つ目が、信託銀行です。基本的な業務内容は、ほかの銀行と同様に預金・融資・為替の3つを行っています。ただ、信託銀行は3つの業務に加えて、個人や企業の資産運用を代行する信託業務と、遺言書の管理や不動産売買を仲介する併営業務の2つを行っています。銀行によっては、通常の銀行業務を行わず後者の2つがほとんどという場合もあります。

基本的に、銀行の利益は返済時の利息と取引時の手数料です。しかし、信託銀行は資産運用を行うため、株式の売却益や為替相場の変動による差益などによる収益があります。個人よりは法人に向けたサービスが多いため、銀行としての機能は既存の銀行の方が優れていると言えます。

インターネットバンキング

代表企業
  • 楽天銀行
  • PayPay銀行
  • SBIネット銀行

5つ目が、近年急速に規模を拡大しているインターネットバンキングです。これらの企業の特徴として、ほかの銀行とは異なり実際の店舗を持たないことが挙げられます。口座開設の申し込みから手続きまでを、全てネット上で行える手軽さも預ける側にとっては、利点と言えるでしょう。

特に楽天銀行は、グループ会社との連携の基軸に位置づけられており、日々のネットショッピングや、カード、証券への支払いにも利用できるため、急速に申し込み者が増えています。また、ネットの発達により新機軸のサービス展開を行っていることも特徴です。口座アプリのリリースやタッチ決済のPaypayはその最たる例と言えます。

外資系投資銀行

代表企業
  • ゴールドマンサックス
  • バークレイズ など

6つ目が外資系投資銀行(以下、外銀)です。外銀の業務は、M&Aの仲介や、債権・株式などの証券の引き受けと、業務内容は証券会社とほとんど変わりません。銀行ではありますが、預金などは引き受けず、証券を通じた企業の資金調達の手伝いを行っています。

高年収であり安定した人気を誇る外銀ですが、どの企業も非常に内定までは厳しい競争に勝ち抜かなければなりません。業界への理解は勿論のこと、景気動向を判断する広い視野情報収集能力、そして、英語力も必要になるため、万全の対策が求められます。また、行内の部門ごとに採用が行われるため、採用情報は注意しておきましょう。

中央銀行

代表企業

日本銀行

7つ目は、国家の経済安定を担う中央銀行です。日本の場合は、日本銀行一行のみを指します。国家の金融の中心であるため、中央銀行は「発券銀行」「銀行の銀行」「政府の銀行」という3つの役割を持つ、ほかの金融機関とは全く異なる性質の銀行です。

例えば、紙幣である日本銀行券の発行は、日本銀行が全て行っています。また、各種の反則金や税金の受け付けなど、政府のお金の管理も業務の一環です。

なお、日本銀行は財務省が所轄していますが、行政府からは独立した一法人です。そのため、行員の扱いは国家公務員にはならず、採用も公務員の採用とは別枠で日本銀行独自で行っています。

参考:日本銀行 | 採用2024 | 採用情報 : 日本銀行 Bank of Japan (boj.or.jp)

付帯する銀行

代表企業
  • ゆうちょ銀行
  • セブン銀行
  • auじぶん銀行
  • JAバンク

8つ目は、銀行業界のなかでも非常に特殊な部類の銀行です。これらの銀行は本業とするべき業務を行う企業と連携して、その業務を円滑に進めるために金融取引を行っている企業です。

実店舗は置かれず、ゆうちょ銀行は郵便局、セブン銀行はセブイレブンのATMでサービスが提供されています。そのため、ここで紹介した銀行を利用する上で、これらの企業に勤めている人はまず見かけません。

これらの企業の採用は、一般的にはグループ会社で一括して実施されます。そのため、採用形態によっては、希望通りに銀行業務に従事できるか分かりません。どのような配属やキャリアラインになるのか事前に採用ページを確認しておきましょう。

参考:日本郵政グループ新卒採用ページ| JAPAN POST GROUP RECRUIT

銀行業界の今後の動向

①銀行も安全な就職先ではない

バブル崩壊後、日本国内の銀行は不良債権の回収ができず、急速に体力を失いました。特に、1997年の北海道拓殖銀行、翌98年の日本長期信用銀行日本債券信用銀行の倒産は「銀行も決して安全ではない」という就職先としての「銀行」の神話に終止符を打ったと言えるでしょう。

30年経った現在も、多くの銀行は十分な体力を蓄えているとは言えません。変革性将来性に期待が持てないと、多くの新卒者が回答していることからも明らかです。すでに「一度入行すれば将来安泰」という時代ではないことを肝に銘じておきましょう。

②業界全体で利益は減少傾向にある

銀行の主な収益源は、返済時の利息です。しかし、日本では長らくマイナス金利などの低金利政策が続いており、貸し付けても大きく利息が取れない状態です。また、そもそも借りる人自体が減っていることもあり、返済時の利息で利益を挙げることが難しくなっています。

銀行の利益減少の原因は、不況だけではありません。カード決済やタッチ決済などキャッシュレス化の進行も、銀行にとっては大きな痛手です。単純に現金を使用する機会が減ったため、従来まで見込めていた取引手数料の獲得が難しくなっています。

③地方銀行の統廃合

地方銀行には、さらに少子高齢化による人口減少の問題ものしかかります。利用する母数が減少すれば、その分収益が減るのは当然の事です。そのため、2013年頃から地方銀行は経営統合が盛んに行われています。ほかにも、メガバンク3行の傘下に入る、証券会社や不動産会社との連携を図るなど、各地の銀行は生き残りに必死です。

地方銀行の統合は、どこでも起こりえます。2018年4月のみなと銀行、近畿大阪銀行、アーバン銀行の3行合併のほか、同年10月の第四銀行と北越銀行の合併など、都市圏に近い地方銀行でも合併が進み、グループ会社化しています。これらのグループ化によって、どの銀行も人員削減が進んでいることには注意しておきましょう。

銀行業界を取り巻く現状は、非常に見通しが暗いのは事実です。しかし、銀行業界とて無策ではありません。オンラインの活用やAIの導入などコスト削減策や、企業とのつながりを活用した人材紹介やM&Aの仲介など、新規事業の展開を進めています。また、メガバンクを始め、地方銀行のなかにも海外展開を進めている銀行も存在します。新たな収益源をどこに見出すか、それをいかに確保するかが、今後の銀行業界の課題と言えるでしょう。

銀行業界に求められる人物像

責任感と誠実さは何よりも重要

2006年におきたみずほ銀行の顧客情報流出は、流出にみずほ銀行の行員が関わっていたとして、本人は業務上横領で逮捕、そして支店や銀行全体に対して金融庁からの行政処分が下されました。この事件以後、みずほ銀行は業務改善に関する進捗を発表し続けており、現在も信頼回復に努めています。

銀行員が扱うお金は、お客様から預かったお金です。そこに万が一は許されません。ミスしたときに素直に失敗を認める誠実さ、そもそもミスをしない注意深さは銀行員に何よりも求められる素養です。お金という非常に重いものを扱うからこそ、銀行員には強い責任感がなくてはなりません。

他業界を勉強する学習意欲の高さ

銀行業界は顧客獲得のために、常に新しいサービスを提供し続けています。そのため、新しいサービスの内容を把握することや、政府から発表される金融業界への法令など、採用後も勉強を続けなければなりません。

銀行業界を目指すならば、さらにそれ以外の業界についても勉強しなければなりません。

銀行は預かったお金を企業に貸し出すことで利益を得ています。その相手がどのような存在なのかを知るためには、多様な業界についての知識が必要不可欠です。

特に、貸したお金が返ってこないことは銀行にとって最も避けたい事態です。相手を見て「本当に貸して問題ないのか」を判断するためには、相手企業そのものや所属する業界への深い理解が求められます。

社会情勢を知る高い情報収集能力

過去、総理大臣や財務大臣の何気ない一言で株式市場が乱高下した例がいくつもあるように、経済は政治に強く影響を受けます。特に、グローバル化が進んだ現代では、日本国内にまったく波風が立たなくとも、海外の政治・経済動向に影響を受けることも珍しくありません。国内外で何が起きているのかを把握することは、銀行業界では必須です。

また、情報収集だけではなく、それが結果的に自分の顧客に対してどのような影響があるのかまで推察できるようになると、顧客側からの信頼につながります。特に、顧客の損につながる情報はいち早く察知できるよう常にアンテナを張っておく必要があります。

銀行業界の志望動機を書くときの4つのステップ

1.なぜ「銀行」にこだわるのかを明確にする

まずは「銀行」へのこだわりを明確にしましょう。銀行は金融業界の一部でしかないため、単にお金を扱う仕事がしたいのであれば銀行業界である必要がありません。わざわざ志望するからには、ほかの企業ではできないことがあるはずです。銀行がほかの金融業界の企業と何が異なるのかを理解することが、志望動機作成の第一歩です。

経済に貢献したい、企業の発展の手助けをしたい、という銀行の実務に即した理想でも、やや俗っぽくとも給与面待遇面などの銀行の実情を踏まえたものでも問題ありません。まずは、ほかのどれでもない銀行業界を選ぶ理由を明確にしましょう。

2.誰を相手にした仕事をしたいのかを明確にする

銀行での働き方は大きく3つあります。1つ目は店舗に来たお客様の相手をする窓口業務

2つ目は外で顧客開拓に動く営業業務、そして、3つ目が人事や経理を担当するバックオフィス業務です。このどれかが欠けても銀行の業務は停滞します。

上記の3つのうち、自分がどの部署で働くのかまでイメージできると、志望動機は非常に作りやすくなります。同じ顧客でも個人向けに口座開設の案内をする仕事と、企業相手に融資の提案をするのは別のベクトルです。自分が銀行でしたい仕事を中心に志望動機を練り上げましょう。

ただ、昨今、多くの銀行では窓口担当と営業担当の垣根が薄くなっています。そのため、エンジニアなどの専門的な知識が求められる職種以外は、基本的に総合職としての採用です。事前に採用形式の確認は怠らないようにしましょう。

3.「その銀行でなければならない」理由を明らかにする

一口に銀行といっても、メガバンクから信用金庫まで、扱う金額も経営展開する範囲も全く異なる銀行が無数に存在します。このなかから1行を選ぶのであれば、そこには「その銀行でなければならない」理由が必ず存在するはずです。

例えば「海外で働きたいから海外に支社がある外銀」や、「地元の経済に貢献したいから出身地の地方銀行」など、同じ種類の銀行でも、その銀行にした理由を考えてみましょう。

選んだ理由は、採用担当が最も知りたい部分です。将来性や仕事内容のほか、その銀行だけが展開しているサービスなど、具体的に伝えましょう。その銀行の特徴を織り交ぜた志望動機は熱意が伝わる印象の良い志望動機になります。

4.求められる人物像に対して自分の強みを考える

多くの銀行は採用ページに「求める人物像」「取締役からのメッセージ」を掲載しています。銀行が求める人物像と自分の強みが合致している志望動機は、採用担当から見ても企業研究の深さが推察できるため、非常に良い印象を与えます。

ただ、入行時ばかりではなく、その後のビジョンも重要です。採用ページには、ほかにも「現役行員のキャリアに関する紹介」が掲載されています。実際に働き始めてから何をしたいのか、自分の強みはどう活かせるのかについて、現役行員のキャリアから考えてみましょう。

実際に働くイメージが固まっていると、志望動機の具体性が増し、企業研究の成果のアピールにもつながります。

銀行業界を志望するときの志望動機の例文

銀行業界の志望動機は、銀行の8種類それぞれに合致したものであることが条件です。例えば、メガバンクを志望しているのに、「地域貢献がしたい」という志望動機は、やや的外れな印象を与えてしまいます。それぞれの銀行で何ができるのか、そして、自分が何がしたいのかを主軸に志望動機を考えていきましょう。

メガバンクを志望する場合

例文

私は、企業や人が何かを諦める原因の1つにお金の問題があると考えています。事実、私も貴行の教育ローンがなければ、経済的な問題で進学を諦めていたと思います。このことで私はローンなどで、人や企業のサポートができる銀行業界に興味を持ちました。

そのなかで貴行を志望する理由は、貴行の掲げる「最高の信頼を通じて、お客様・社会とともに発展していく」というビジョンに感銘を受けたからです。私は大学での勉強を通じて、お金とは社会の信頼の現れであると考えています。相手を信頼してお金を貸し、また、借りた側も発展することで信頼を返し貴行も発展する。私も貴行からの信頼を返したいと思っています。

貴行に入行後は、私のようにお金の問題で困っている人を金融を通じてサポートしていくことを考えています。日本だけではなく、世界中の人々の生活を豊かにすることが私の目標です。(400字以内)

この例文は非常に王道です。業界へ興味を持った理由その銀行を志望する理由、そして、自分がしたいことの分かりやすい3段構成になっています。特に、その銀行を志望する理由について、銀行の経営ビジョンを自分なりに解釈した上で、実体験を交えて話したことで、文章全体が一貫したものとして成立しています。

興味を持ったきっかけは、どんな些細なものでも問題ありません。ただ、銀行は普段の生活に強く関わる存在です。ほかの新卒者の志望動機と重複する可能性が高いため、そこから自分の色をどれだけ出せるかが突破のポイントと言えるでしょう。

地方銀行を志望する場合

例文

私は、金融を通じた地域貢献を目標にしています。県内の銀行の中でも、貴行は地域密着を強く打ち出しており、貴行であれば私の目標が実現できると思い志望いたしました。

私は貴行が大規模な拠点を置かれている〇〇市の出身です。私が小さい頃は、多くの町工場が動き、商店街にも多くの人が行き交う活気のある街でしたが、昨今の不況もあり段々と廃れているのが実情です。この状況を変えるためには、やはり先立つものが必要だと考えています。そのなかで、貴行の実施している地元企業対象の融資や地域在住者限定のローンは、地域を活性化させる一手になると確信しています。

私は大学時代に学んだ金融や地域経済の知識を活かし、お客様のニーズに合わせた必要なサービスを提供していきます。そして、地元のお客様との信頼関係を築いて貴行の発展、ひいては地元の活性化に貢献していきたいと考えています。(400字以内)

この例文では、自分の目標から書き始めています。最初に自分の目標を明確に相手に伝えることで、「この目標達成のためには、貴行以外考えられない」という後半にある選択の理由に説得力が増します。

また、実情に対して「先立つものが必要」であるという、現実的な解決策を提示しています。銀行業界は、非常に現実主義のシビアな業界です。理想だけを詰め込むと「現実性がない」と判断されてしまいます。現実的な視点に立った問題への解決の糸口を示すことで、掲げた目標を達成するための熱意と銀行業界である必然性がより伝わります。

信託銀行を志望する場合

例文

私は、現在の日本に留まらず、未来の日本へとつながる仕事をすることが夢です。私は日本の景気が良かった時代を知らない世代です。そのため、小さい頃から将来の年金や日本経済の見通しの不透明さを授業で学習してきました。その不安の解消と個人的な興味から、大学では資産運用に関するサークルに入り、実際にNISAを始めました。

貴行を志望する理由は、貴行が採用メッセージなどで打ち出されている「信頼」と「好循環を生み出す社会インフラ」の2つに強く惹かれたためです。現在、日本全体が不況であり、社会全体で将来の見通しが暗いのは事実です。しかし、単なる金融だけに留まらず多岐に渡る事業展開を行っている貴行であれば、不透明な状況を改善できると確信しています。

貴行であれば、私の夢が叶うと思っています。貴行に入行後は、大学時代に培った投資の経験や、サークル内で同級生や後輩の問題解決を図った経験を活かして業務を行い、多くの顧客から信頼されるとともに、今後の日本の発展に貢献します。(450字以内)

昨今はNISAなどの少額で始められる投資も増えており、投資経験のある新卒者も多いのではないでしょうか。新卒の採用は、今後に期待したポテンシャルでの採用です。しかし、既に投資を実践して、ましてや成果を出しているような人材は企業にとって貴重です。

そのため、投資の経験は重要なアピールポイントになります。金融業界は、全体の動きとして、新しい金融商品をどの銀行も大々的に売り出す傾向があります。そのため「NISAをしている」という一言だけでも、十分にトレンドを追いかけている証明になります。ただ、不況やIT化などは、銀行業界だけのトレンドではないため多用は禁物です。

信用金庫を志望する場合

例文

私は貴庫での仕事を通じて、この街の発展に貢献したいと考えています。私は、大学進学を機にこちらに住み始めたので、失礼ながら貴庫のことは知りませんでした。しかし、アルバイト先の店主も、地元出身の友人からも貴庫の高い評判をうかがっています。私も貴庫に口座を作りましたが、そのときの窓口の担当者の方の対応が非常に丁寧であったことが印象に残っています。

貴庫では金融に関する業務以外にも、地元の祭りへの協賛や清掃活動など、地域社会への活動を活発に行っているとうかがっており、多様で密接な地域との関わり合いが長く愛される要因であると思っています。

大学時代に学んだ地域経済に関する知識を活かして、私も地域の人たちに愛されている貴庫の一員として働き、さらなる街の発展に貢献したいと思い、志望させていただきました。(350字以内)

簡潔ですが、最初に志望理由を述べ、特定の信用金庫を志望する理由へとつながっています。志望理由は長ければ良いというものではありません。長いだけで中身のない話では採用担当の興味をひかないので、簡潔にまとめることも重要です。

信用金庫や信用組合の志望動機は、地域経済に関する内容になりやすいため、地方銀行の志望理由との明確な差別化が必要です。この志望動機では、「地域社会への活動」という信用金庫ならではの要素を織り込んで差別化しています。

外資系投資銀行を志望する場合

例文

私は、社会や企業に大きな影響を与える仕事をすることが夢です。そこで貴行の投資部門での業務を通じ、さらなる日本のグローバル化、そして、日本経済の発展に貢献したいと考えています。

私は、日本経済を今後も発展させるためには、海外からの投資を呼び込む必要があると思っています。なかでも海外からの投資が呼び込めるものは、日本の技術資源だと考えます。まだ知られていない技術者や職人たちへの投資が盛んになれば、日本の経済だけではなく、技術革新にもつながると思います。貴行は、新規事業に関する投資実績が多い銀行です。技術のある企業の新規事業をサポートすることが、今後の日本経済には欠かせません。

また、私は3年ほどアメリカへの留学経験があるので、英語でのコミュニケーションにも自信があります。大学時代に学んだ経済の知識と英語、そして、持ち前の明るい性格で、顧客の信頼を獲得し、貴行と顧客、そして、経済の更なる発展に貢献したいと思い、志望させて頂きました。(450字以内)

この志望動機では、自分の目標から始め、現状と今後の予測を伝えることで自分が入行後にしたいことを明確に伝えています。採用のポイントの1つは、「一緒に働いているイメージができるか」です。その点において、この志望理由は、採用側も入行後の働く姿を想像しやすい志望理由と言えます

また、外資系投資銀行は、海外の顧客ともやりとりするため英語のスキルは必須です。自分がどの程度の英語ができるのかについては、必ず伝えるようにしましょう。

銀行業界の志望動機を書くときの注意点

文章は何度もチェックする

銀行員には、何よりも誠実さ責任感が重要です。それは入社する前のエントリーシートにも同様に求められます。誤字脱字が目立つ、同じ内容なのに記入項目ごとに数値が異なるというミスを銀行は目ざとく見つけます。

ミスを放置したまま提出することは「自分の行動に対する責任感がない」「注意力にる」と非常に印象が良くありません。志望動機のなかだけではなく、全体を通して矛盾やミスはないか、提出前に何度も見直しましょう。

また、矛盾が許されないのは、この後に控える面接試験でも同様です。面接で話す内容がエントリーシートと食い違っていると、銀行からは不信感を持たれてしまいます。当然、不信感を抱いた相手に対して、自分のお金を預けようと思う人はいません。エントリーシートから面接まで一本芯の通った言動を心掛けましょう。

「経済を動かす」発言は好まれない

意外に思われるかもしれませんが、銀行業界の志望動機として「私が経済を動かす」云々の動機は好まれません。特に、地方銀行はその傾向が強く現れます。そもそも銀行の業務形態は、お金を預ける人間とお金を借りる人間の両方がいて初めて成り立ちます。

このような物言いは、「銀行の業務を理解していない」発言と捉えられてもおかしくありません。また、やや傲慢な物言いに聞こえてしまうため、避けた方が無難でしょう。

銀行業界を目指す上で最も重要なことは、やはり責任感誠実さです。相手がいるからこそ銀行は成り立っていることを忘れないためにも、文面からも責任感や誠実さが伝わる文章を心掛けましょう。

「貴社」「御社」ではなく、「貴行」「御行」で表記する

企業を指す敬語として、書き言葉には「貴社」、話し言葉には「御社」を用いるのが一般的です。ただ、「社」とあるとおり、これらは株式会社への敬称であり、銀行を対象にする場合は使われないことに注意しましょう。

銀行の場合は、「貴社」ではなく「貴行」と書き、「御社」ではなく「御行」と話しましょう。また、信用金庫の場合は、「貴庫」「御庫」です。些細な違いかもしれませんが、正しい言葉遣いができていないとマナーの悪さを露呈することになります。正しい言葉遣いをするだけでも、相手の印象は大きく変わるので注意しましょう。

同様に「入社」ではなく「入行」と表現するなど、銀行業界は相手企業の呼び方が一般企業とは異なる点が多いため、正しい言葉遣いを事前に確認しておきましょう。

銀行を正しく理解することが選考突破の第一歩

近年、どの銀行も採用枠を減らし、採用基準を高く設定しています。そこへ多くの新卒者が殺到するため、選考の難易度は比べ物にならないほど上がっています。そのなかで突破するためには、まずは「銀行とは何か」を正しく理解しなければなりません。

銀行業界は日常生活で目にすることが多い分、中途半端に分かってしまっていることが多い業界です。まずは、その先入観を排して、業界研究を行いましょう。銀行業界の仕組みや、正しい現状を理解することで、より印象的な志望動機を作成することができます。

こちらの記事を参考に、銀行業界や志望先の研究を進め、自分の志望度をアピールできる志望動機を作りましょう。

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