教育業界は、文字通り「教える」ことに関わる業界です。主には子どもを対象にした学校予備校などを指します。ただ、昨今は大人向けのカルチャースクールも発展しており、教える対象は子どもだけに留まりません。既存の学習塾の多くも、保護者の教育熱の高まりもあり、今、教育業界全体は活気づいていると言ってよいでしょう。

反面、教師の労働条件や教育現場の状況を見て、ネガティブなイメージを抱いている人が多いことも事実です。ほかにも、大学入試改革に伴う指導要領の改訂や少子化問題など対応しなければならない課題は山積みです。

この記事では、教育業界を目指す人に向けて業界を紹介するとともに、志望動機の書き方を解説していきます。

教育業界の3分野

学校教育の分野

1つ目は、教育業界の主体とも言える学校教育です。保育園や幼稚園から大学までのいわゆる公教育を行う機関を指します。

ここで就労するためには、各機関に応じた専門の免許が求められます。各学校は勿論ですが、保育所は保育士免許、幼稚園は幼稚園教諭免許が必要です。昨今、嫌な話題が続いているのは事実ですが、やはり学校教育の分野を抜きにして、日本の教育は成り立ちません。それほどまでに重要な分野です。

各学校は大きく私立公立に分けられます。公立学校の教師は県や市町村の公務員という扱いですが、私立学校の場合は、その学校を運営する学校法人の従業員になるため雇用保険や待遇面で違いがあります。

採用方法や採用時期は、私立公立だけではなく各自治体においても違いがあるため、必ず募集要項を確認するようにしましょう。

民間教育の分野

代表的な企業
  • 河合塾
  • 明光義塾
  • 家庭教師のトライ
  • ヒューマンアカデミー など

2つ目が、民間教育、つまり塾や予備校、家庭教師などの分野です。また、この分野には大人向けのカルチャースクールを運営している企業も含まれます。教育の主な対象は小学生から高校生までの就学している児童・生徒です。

しかし、少子化の問題もあり、どの塾も生徒集めに苦慮しています。そこで、学習塾経営で得たノウハウを活かし、大人向けの英会話教室を開校したり、留学生向けの日本語教育の場を提供するなど、多面的な経営をする企業が増えつつあります。

子どもが一定数いる限りはなくならない学校教育とは異なり、現在の民間教育はどんな企業でも倒産の可能性はなくなりません。特に、上記のような全国展開する企業におされて、地方の個人塾の多くは苦戦しています。どの企業も生き残るために、他の企業と差別化できる点を探し続けています。この差別化が企業の求める人材にも現れるため、志望する企業の状況については、必ず確認しておきましょう。

教育を支える分野

代表的な企業
  • 啓林館
  • 東京書籍
  • ベネッセ
  • リクルート など

3つ目が、教育を支える分野です。学校や塾での指導内容は、文部科学省からの指導要領によって規定され、その指導内容は教科書やワークという形で学校や塾に提供されます。教育を支える分野には、まず教科書やワークを作る出版社が含まれます。

また、教育に関する研究機関も、この分野に属します。多くは教育学部を持つ大学に併設されていますが、ベネッセや公文のようにグループ傘下に独自の研究機関を持つ企業も少なくありません。そのほか、リクルートのように子どもに向けた学習アプリやソフトを開発する企業も多く存在しています。

なお、この記事では、主に民間教育の分野、塾講師予備校で働くことを目指す人に向けて解説しています。

教育業界の職種

教育業界というと教員免許の有無が合否に関係するように感じますが、免許は必須ではありません。ただし、免許があれば、教育に関わるある程度のスキルを持っていることの証明にはなります。

講師

主に子どもに対して指導を行い、成績アップや志望校合格へと導くことが求められます。指導の他にも、生徒や保護者との面談なども業務の一環です。その業務内容は、一般に想像される「学校の先生」と、それほど大きく変わりません。

ただ、学校の先生に比べると非常にシビアな世界です。講師の評価基準は主に生徒からのアンケートや成績の上昇率などがありますが、これらが低い講師は容赦なく左遷や解雇処分が下されます。特に、大学受験予備校は生徒を志望校に合格させることが仕事です。合格に導けない実力では、生き残ることは難しいでしょう。

サポートスタッフ

講師の授業が円滑に行えるように、例えば授業で使うプリントの作成や印刷などを行います。大規模な企業であれば、出版部や編集部という形で独立した部署となっていることもあります。

塾の授業を野菜に置き換えるならば、講師は農家であり、サポートスタッフは農家の使う肥料や機材を作る会社と言えます。

講師のように厳しい評価基準はありませんが、校舎の規模が大きいほど生徒や講師の数も増えるため、当然負担は大きくなります。休む時間が取りにくいため、塾の職種のなかでは最も激務になる可能性があることには十分に注意しましょう。

事務・営業職

塾にも一般的な会社と同じく事務営業職が存在します。少ない生徒数を多くの塾で分け合うため、営業の存在をどの塾も非常に重視しています。また、昨今はWeb経由での問い合わせも増えており、ホームページの作成なども手がける部署です。

ほかにも、生徒の管理や請求書の送付などを手がける事務職も存在します。これらの職種は、生徒や保護者と接する機会がないため、業界を外から見たときに分かりにくい存在です。しかし、円滑な授業運営のためには欠かせません。

ただ、人数の少ない小規模な塾では、上記の職種を全て1人の先生が担当していることも少なくありません。職務内容によっては、主軸であるはずの講師業務が疎かになってしまうことも十分に考えられます。純粋な講師業務を求めている場合、ほかの業務がどの程度まで許容できるのかは、会社を選ぶときの重要な基準になります。

教育業界の現状と将来性

少子化への対応は待ったなしの課題

教育業界において最大の課題は、少子化への対応です。どれほどよい商品を用意しようとも、どれだけ先進的なサービスを提供しようとも、そもそも顧客がいなければ商売になりません。少子化は教育業界の顧客の減少と同義です。そのため、各社はそれぞれ独自路線を打ち出して、生き残ろうと必至です。

例えば、入塾年齢を引き下げ、卒業年齢を引き上げて生徒1人を長く定着させる施策を取る企業もあります。少子化は根深い課題であり、どこの企業も対応に苦慮しています。

ただ、これをビジネスチャンスと捉える企業も数多くあります。子どもが少なくなっても、親が子どもに期待することは変わりません。勉強ではなく習字や絵画などを教えるカルチャースクールの展開や、座学から離れて自然体験や社会見学を行う企業というのも出始めています。従来の「勉強」という枠組みに捉われないことが、教育業界から少子化に対する1つの回答と言えるでしょう。

制度変更にどこまで対応できるか

多くの企業は、日本や世界の社会情勢を見ています。ただ、教育業界が影響を受ける指導要領の改定はおよそ10年に1度と頻度が非常に少ないことが特徴です。

その分、変化は非常に劇的です。自分が子どものときには全く学習していない科目や内容が、次々と出てくるため、この変化についていかなければなりません。

新しいビジネスチャンスであると同時に、対応しきれなければ自社が深刻なダメージを受けることになります。

働き方改革で仕事は大きく様変わりするか

SNSを見ていると、現役の教員や講師と思われるアカウントの悲痛な叫びを目にします。確かに、子どもたちの未来を作るという教育業界は、やりがいのある仕事です。しかし、労働であり給与を受け取る以上、やりがいの一点だけに絞った仕事では、いずれ破綻することは目に見えています。

昨今叫ばれている働き方改革も、教育業界は業務の特性上、業界全体が置いてけぼりにされている印象が否めません。だからこそ、そのなかで改善に取り組む先進的な企業は高く評価され、生徒数を増やしています。

教育業界に求められる人物像

「教えることが好き」がスタートライン

教育業界は他人とのコミュニケーションが非常に活発な業界です。同僚や他社とのやり取りは勿論ですが、顧客とは長い時間を共にするため、相手と関わることが苦になるようでは、教育業界には向いていません。

また、やりがいを重視する業界であるため、まずは他人に対して「教えることが好き」ということが最初の第一歩です。

授業を磨き続ける向上心

教育業界の特異性として、「サービスの受益者と支払う人間が違う」ことが挙げられます。授業を受けるのは子どもですが、お金を支払うのは子どもの保護者です。つまり、子どもだけではなく、保護者も納得させられる商品の質が求められます。

全員を納得させる授業を提供し続けるのは、非常に困難です。講師は教える「技術職」でもあるため、自分の授業の腕前を磨くことや、関連する知識を吸収し続ける向上心は、必ず求められます。

流行を追い続ける情報収集能力

子どもを相手にする場合、相手は10歳近く年が離れています。それだけ離れていれば、物事への感じ方や好きなことも異なって当然です。

子どもの好きなこと、流行っていることを知ることは、このギャップを埋める上で非常に重要になります。話のきっかけづくりになるだけではなく、実際に教える上でも注意すべきところが見えるようになります。

人を導くコーチング能力

塾や予備校の講師の多くは「答えを言わない」先生です。この点が、学校教育とは明確に異なります。学校の授業は最後に教員が正解を告げる「ティーチング」であることが一般的です。全員を規定の水準に引き上げることが求められる学校教育では、分からなかった生徒を出すことはご法度です。

そのためにも、全員を正しい方向へと案内するティーチングが有効に働きます。また、最後に答えを示すことは、全員が納得して授業を終えるためにも欠かせません。

これに対して、塾は言ってしまえば全員を同水準にする必要は全くありません。生徒の目的も方向性も別々なため、同水準にしようとすることは非常に困難です。そのため、講師側が答えを明示しないことで、相手に考える力を付けさせる「コーチング」が求められます。

相手の分からない点を明確に掴み、それに対する適切な課題を提供するコーチング能力は、相手に対する観察力や状況把握能力が重要です。

教育業界の志望動機を作るときのポイント

学校教育に向けた志望動機では通用しない

教育業界の志望動機として、最も重要なことは学校教育に関する分野、つまり教員を目指す志望動機と、それ以外の分野の志望動機を必ず分けることです。

同じ教育業界の分野であっても、学校教育とそれ以外の分野では大きな隔たりがあります。この隔たりを理解した上で志望動機を考えましょう。

「子どもの成長が見たい」では不十分

教育業界を就職先に選ぶときに「教えることが好き」「人が成長する手助けをしたい」という理由は、確かに立派な理由です。しかし、公益性が求められる学校教育とは異なり、あくまでも塾や予備校、出版社は民間企業です。どれだけ高尚な教育に関する理念があったとしても、自社の利益追求が根底にあることは忘れてはいけません。

また、昨今の民間教育は顧客が限られている子どもへの教育から、大人向けの生涯学習へとシフトしている企業も多々あります。対象が子どもばかりとは限らないため、「子ども」ばかりを前面に押し出した志望動機は、企業によっては敬遠される可能性があります。

「企業」に対して何ができるかを求めている

民間企業に勤める以上、子どもだけではなく「企業」に対しても何ができるかを志望動機には加えなくてはなりません。自分を雇うことが企業にとって、どんなメリットがあるのかを考えてみましょう。

もし「企業」に対してというのが難しいようであれば、もう少し広く対象をとって「社会」に対してでも問題ありません。あるいは、徹頭徹尾「自分」について語ることも選択肢です。子どもだけを見た志望動機では、結局「なら学校の先生になればいい」となってしまいます。自分の志望動機の根本を揺るがすため、注意しましょう。

「誰を」相手にする教育をしたいかがスタートライン

具体的に誰に対するに携わりたいかに関しても内容に含めましょう。さらに、自分が「何故その対象を選んだのか」の理由も考えます。

ただ、ここで「教育に寄与したい」「合格の手助けをしたい」などの理由だけでは、やはり「誰でもよい」という印象が拭えず、企業としても納得できません。そう感じるようになったエピソードなどを交えて伝えることで、説得力を持たせるようにしましょう。

企業の独自性は必ず把握しておく

一口に塾と言っても、多くの企業が乱立している状況です。塾はかなり参入障壁が低い業界であるため、大都市に行けば塾の教室が隣り合っている光景も珍しくありません。そのような状態なので、企業はそれぞれ「独自性」を打ち出して顧客獲得を狙っています。

例えば、同じ大学受験予備校であっても、代々木ゼミナールは小中学生向けの塾も展開し、小さいころからの一貫した教育を展開しているのに対し、東進ハイスクールや河合塾は、徹底して大学受験に狙いを絞っています。また、地方の塾では地元の高校入試に最適化された授業を展開しています。授業や経営方針が異なると、当然入塾する生徒層も異なるため、自分の経験や知識が活かせない可能性があります。

トレンドを押さえて独自性を魅せる

教育業界への志望動機は「教える」ことが中核になるため、どうしても志望者ごとの差があまり生まれません。似たり寄ったりの内容では、志望者独自の要素を企業側にアピールできず、印象に残りにくいため、書類審査の段階から先へ進めなくなります。

志望動機には、志望者ならではの独自性を盛り込むことが重要です。例えば、自身の強みを活かした志望動機にすることも、一考の価値があります。ITに強いなら、そのIT技術を使って遠方の生徒に向けた授業を展開したり、保護者との連絡に使えたりするかもしれません。

他にも、少子化や大学受験改革などの社会的な動きに対して、求められる指導者の姿も変化します。この変化にどう対応するのか、志望動機では自分なりの答えをつづりましょう。

「教える」ことで何をしたいのかを明確にする

社会の変化とともに求められる指導者の姿は変化します。かつては厳格で徹底した指導を行う教育者が求められていましたが、近年は学生の権利意識も高まり、そのような先生は敬遠される傾向にあります。しかし、教育の最大の目的は「社会と未来を作る」ことにあります。これだけは、分野が違っても、時代が違っても、教育業界にいる人間の根底にあり続けるものです。

塾や予備校に行かずとも自宅で保護者が教えたり、社会人なら独学で勉強することも難しくないでしょう。それでも教育業界が存在し続けるのは、教育を通じた「何か」を社会に、そして未来に提供し続けているからに他なりません。

そのため、志望動機にも「教える」ことを超えた先にある自分がしたいことを明確にしておきましょう。

凝り固まった意見や考えはなるべく避ける

子どもたちに近い距離で接する身として、柔軟性のある姿勢が大切になります。「先生」としての自分の発言を、子どもたちは信じてついていくことになります。色々な価値観を持つ子どもたちを尊重し、真っ向から否定するようなことはするべきではありません。多様な子どもに対応して柔軟に対応できることをアピールしましょう。

子どもたちは大人の言動から想像以上に影響を受けているため、子どもたちの模範となることを常に心がけましょう。

また、新技術の開発や研究の結果、教えることが自分が学んだ時とは変わっていることは十分に考えられます。教えることを生業とする以上、この変化には付いていかなければなりません。あまり古い意見や考え方をしていると、企業から「勉強する意思に欠ける」という判断を下されてしまいます。

教育業界の志望動機の書き方

➀教育業界を目指す理由

現在、活躍されている塾や予備校講師の前歴や経歴を見ていると、決して教育学部の出身者ばかりではありません。むしろ、そちらは少数派とさえ言えます。それでも長年に渡り活躍されているのは、自身の強みを正しく把握し、業界に入ってからも徹底的に磨いた結果でしょう。

教育業界は、何が強みとして役立つか分からない業界です。単純な学校教育に関する知識があることは勿論ですが、しゃべりが上手い、絵が上手いなど一見教育とは関係ないように見えることでも役に立つことがあります。

逆に、自分が強みだと思っているものが、企業目線では一切通じないこともありえます。自分のスキルや経験がどのように教育に活かせるのかを考えてみましょう。

➁教育業界の中でもその企業を志望する理由

企業研究を欠かさず、独自の要素を活かした志望動機を書くようにしましょう。志望企業の強みや事業形態から独自性を出すことができるでしょう。これにより、企業と応募者のマッチ度を測ることができます。

その企業が何を重視し、どのような考えで事業を行っているかを明確に把握し、自分の共感をうまく志望動機に落とし込むのがコツです。

➂教育を通じた自分の将来像

相手に教えることだけを志望動機にしては、動機としては非常に弱いものになります。教育自体は学校でも家庭でも行われており、独学で学ぶ人も少なくありません。そのため、教育業界を志望するにあたって真に求められる内容は、「教育を通じて成し遂げたい」ことです。

これ自体は、教育業界のどの分野であっても変わりません。社会の変化や発展など、教えることでどんな影響を生徒や社会に与えたいのかを志望動機には盛り込みましょう。

ただ「自分が英語を教えることで、教え子たちに世界で活躍する人材になってほしい」というような人に期待する志望動機は、社会に与える影響としては不十分です。もっと主体的に「自分が英語を教えることで、さらに日本の英語教育を発展させる」というような、自分の人柄までアピールできる内容を書きましょう。

教育業界を目指す志望動機の例文

大学時代の経験を活かす志望動機 

例文

私は、大学時代、塾講師のアルバイトをしていました。そのなかで時折生徒から貰える「成績が上がった」という子どもの成長にやりがいを感じ、教育業界を志望しました。業界のなかでも貴社は、「すべては生徒一人ひとりのため」という理念のもと、授業や各種サービスを展開しておられます。子どもにも「得意な子」「苦手な子」がいて、一人ひとり適した授業が違っています。私も授業のなかで、彼らに対する最適な授業を常に模索し続けていました。

入社後も、塾講師のアルバイトの経験を活かして、より生徒一人ひとりに適した教育を心がけ、生徒の能力の向上に努めたいと考えています。また、貴社の教育理念を社会へと広げ、教育を通じて貴社と社会の発展に貢献していきたいと考えています。(350字以内)

大学時代のアルバイトに塾講師や家庭教師を選んだ人も多いのではないでしょうか。アルバイトでも業界の一端に触れた経験があるのであれば、志望動機に活かしましょう。実際に自分がどんな授業をしたのか、どんなことに苦労したのか。可能であれば、その指導の結果として実績も書いてみましょう。採用担当も興味を惹かれるはずです。

また、自分の教育理念と企業の教育理念が一致していることは重要です。極端なことを言えば、名門校合格を掲げる塾に対して、「分からない子もできるまで」という教育理念を持って入社すると、働き始めからのギャップに圧し潰されてしまいます。ミスマッチ防止のためにも企業の教育理念は必ず確認しましょう。

民間教育の重要性を説く志望動機

例文

私は、今後は学校以外の教育サービスを充実させることが、これからの社会には必要だと考えています。私は大学4年生のときに教育実習を母校で行いましたが、現代は既に塾や通信教育などで先の学習をしている生徒がほとんどでした。その経験から、全員に合わせた授業を展開する学校教育では、「より先を」希望する子どもの期待に応えられないのではと思うようになりました。

貴社は子どもを学年で区切らず、段階別に分けた授業を行っています。このように生徒の理解度や希望に合わせて授業を柔軟に変更できる点に魅力を感じました。貴社であれば、より先を希望する生徒の期待に応えられると確信しています。入社後は私も通われている生徒や保護者の期待に応え、貴社の発展に尽くしたいと思います。(350字以内)

教育業界の志望動機において、学校教育と民間教育の差別化は重要なポイントと言えます。ありきたりな理由では、企業としても「なら学校の先生に」となってしまい、志望動機として成立しません。

この志望動機では、学校教育の弱点にフォーカスし、民間教育ならば、その弱点の解決につながるとしています。また、志望先がそのニーズに対応した企業であるため、特定企業を選んだ理由にスムーズにつなげられます。

ただし、何かの弱点を突く志望動機は、採用担当によっては「悪いところしか見ていない」と思われてしまいます。あくまでも教育業界は学校教育が主軸です。主軸をないがしろにするようでは、業界全体への熱意を疑われてしまいます。

企業に対する熱意を全面にした志望動機

例文

私が教育業界に興味をもったきっかけは、貴社で活躍されている〇〇先生に教わったことが始まりです。大学入学後、改めて〇〇先生の著書を拝読させて頂くなかで、卒業後の進路として教育業界、そして、貴社を志望したいと考えるようになりました。

私は、貴社のようなレベルの高い教育サービスの提供が、今後グローバルに活躍出来る人材を育てるためには欠かせないと思っています。英語は勿論ですが、貴社はそれ以外の外国語や科目の指導も、全てが高いレベルで行われています。

私は大学時代にアメリカや中国、ヨーロッパ各国に留学し、それぞれの言葉をネイティブレベルで話すことができます。貴社では言葉のプロとして様々な授業を担当し、生徒を高いレベルへと引き上げ、さらに社会を発展させていきたいと考えています。(350字以内)

業界に興味を持つきっかけは、何でも大丈夫です。誰かへの憧れも志望動機としては十分な理由になります。この志望動機では、その憧れを話すことで、自分の経験から業界に興味を持ったきっかけ、そして、特定の企業を選ぶ理由までを一貫したものにしています。ブレがないため企業としても採用後の働きに期待が持てます。

ただ、企業に所属する個人に向けた熱意に絞るのは禁物です。相手への依存が強く、もしその人がいなくなった場合、「辞めてしまうのでは」という疑いを持たれてしまいます。あくまでも興味を持つ対象は企業にし、個人に対する熱意はきっかけ程度に留めておきましょう。

自分らしい志望動機を作ろう!

教育業界がほかの業界と大きく異なるのは、人の将来に関係する点です。教えたことがすぐに身につく人はなかなかいません。教えてから数週間、数か月、もしかしたら何年も経ってから開花することもあります。

そのため、目に見えた成果が現れない仕事も少なくありません。それでも、人の将来をよりよい方向へ導くことは、やりがいのある仕事です。

自分が教育にかける熱意を上手に志望動機へと昇華させてみましょう。

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