エントリーシートの頻出項目のひとつである「学生時代に頑張ったこと(ガクチカ)」。ガクチカでは自分が頑張ったことを通して、選考企業で活躍できる人材であるということをアピールするものです。
中でも運動系の部活動の経験は、努力や成果がわかりやすく伝えられるためおすすめです。「結果を残していないからアピールにならないのでは」と躊躇っている人もいるかもしれませんが、実は役職や大きな結果がなくても問題ありません。成果を残すためにどのように行動したのか、その過程を企業は重要視しています。
今回は、体育会系の部活についてガクチカで書くときのポイントや例文を解説します。ぜひ、参考にしてみてください。
目次
企業がガクチカを聞く目的とは?
企業がガクチカを聞く目的は主に2つあります。自社に興味を持ってくれたあなたがどんな人間なのか人柄を見ること、何をモチベーションに動くのかを知るためです。
ガクチカのエピソードや経験から、あなたはがどんな考え方をするのか、どんな事を大切にしてきたのかなど企業とマッチする人柄であるかをチェックします。
また、企業が知りたいのは何をモチベーションに動くのかという事です。自己成長に繋がることがモチベーションの根源となれば、成長意欲が高いという評価にも繋がります。
ガクチカからあなたの人柄やモチベーションを効果的にアピールするためにも、書き方のコツやポイントをしっかりと押さえていきましょう。
ガクチカに体育会系の部活をテーマにするメリット
チーム内でどのように貢献できたかをアピールできる
会社では部署やプロジェクトなど、複数人で協力しながら仕事を進めます。
そのため、体育会系の部活はサッカーやバレーボールなどの団体競技を中心に、チームで協力しながらプレイするため、人間関係を構築できる能力や協調性があるとして、評価されることが多いです。
また、チーム内での貢献をアピールすることで、自分の価値観や人間性を伝えられます。体育会系の部活を題材にしたガクチカは、チーム内でどのように貢献したのかを伝えやすいため、おすすめします。
目標に向かって努力できる人材だとアピールできる
体育会系の部活では、「大会のスターティングメンバーに選ばれる」「全国大会出場」などの目標に向かって努力する姿勢をアピールすることができます。
そのため、ガクチカでは、目標を達成するために努力したエピソードや、困難を乗り越えて努力を続けた経験などを伝えることができるのが体育会系の部活に所属していた強みです。
企業では営業職やコンサルティング職を中心に、結果を求められます。なかには、体育会系の部活に所属していた就活生を求めている企業も存在しており、就活で有利に進められる可能性もあるでしょう。
ストレス耐性があることを証明できる
体育会系の部活では、練習や試合などを通じて、さまざまなストレスを抱えることが多いでしょう。企業で勤めると理不尽な経験が発生する可能性があるため、ストレス耐性をチェックしている企業もあります。
そのため、体育会系の部活でガクチカに書くことで、ストレスに耐え、それを乗り越えた経験などをアピールできるのが、強みです。
もし、部活動で苦しい経験をし、乗り越えた経験がある方は、ストレス耐性がある人材だとアピールしてみましょう。
体育会系の部活のガクチカが評価されやすい業界
商社
商社は、特に体育会系の部活のガクチカは効果的なアピールに繋がります。その理由としては業界の特性から、体力や精神力が重視されるためです。
商社の場合、国内外問わず出張が多く、慣れない環境に身を置きながらも仕事で成果を残さなければならないこともあります。そのため、色々なところを飛び回る体力や、そこで仕事をする精神力が求められるのです。
不動産
不動産の特に営業職では、体育会系の部活動経験は強みとなります。不動産ではフィールドセールスや、高額な商品の売買が行われます。そのため、体力や精神力はもちろん必須です。
また、不動産では目標を達成する力が求められます。高い目標に向かって計画を立てて実行する、そのような経験は部活動でもあったはずです。
人材
人材業界では、求職者やクライアントとのやりとりが主な仕事です。人同士の関わりや、その中での信頼関係の構築などが重要となってくるため、コミュニケーション能力やリーダーシップなどが求められます。
部長を勤めた経験や、後輩の教育、メンバーのモチベーション管理などアピールできる経験は、部活動のエピソードを遡れば必ず見つかるはずです。
メーカー
メーカーは、チームで仕事をする場面が多いためチームワークや協調性がある人材が求められます。場合によっては、業種や年齢層が全く異なる人たちとチームを組むこともあります。
部活動のエピソードは、先輩後輩との関わりや、団体競技でチームワークを高めた経験など、協調性をアピールできるポイントが沢山あります。メーカーを志望する場合は、部活動のガクチカで協調性やチームワークをアピールするのがおすすめです。
体育会系の部活を題材にしたガクチカを書く上でのポイント
ガクチカはPREP法を基づいて作成する
PREP法とは、Point(結論)・Reason(理由)・Example(具体例)・Point(結論)の頭文字をとった、ガクチカの構成方法があります。
文章の流れがわかりやすくなり、ガクチカの質を向上させることで、企業側に自分の強みを印象付けられます。
具体的な書き方としては、下記の通りです。
- 頑張ったことを結論として述べる
- その理由を記載する
- さらに具体的に説明する
- 最後に結論を繰り返して、経験を述べる
PREP法を基づいて作成することで、理論的にわかりやすく、説得力のあるガクチカを作れるためおすすめの方法です。
しっかりと自己分析を行う
質の高いガクチカを書くためには、まずは自分の強みや弱み、価値観などをしっかりと自己分析することが大切です。
自己分析することで、自分の経験や学びを、企業の求める人材像と結びつけられるため、就活のなかで重要視されます。
体育会系の部活での経験を振り返りながら、自己分析を進めることがおすすめです。自己分析が上手くいかないときは、チームメイトやキャリアカウンセラーに相談することで、客観的な意見を聞けます。
ガクチカでは、具体的なエピソードとともに、どのような強みを身につけたのかを明確に伝えられるよう、意識しながら書きましょう。
部活での活動で得た強みをアピールする
企業は就活生の良いところを知りたいです。そのため、ガクチカでは、部活での活動で得た強みをアピールすることが重要となります。具体的なエピソードとともに、どのような強みを身につけたかを明確に伝えるようにしましょう。
なかなか書く内容を思い出せない場合は、下記のアピールに頻繁に使われる強みを参考にその強みに当てはまるエピソードがないか考えてみましょう。
- 目標達成意欲
- 縁の下の力持ち
- 積極的な行動
- 協調性
- 継続力
上記以外にも、たくさんの種類の強みが出てくるでしょう。書きやすい強みで良いので、部活で得た強みをアピールすることが大切です。
部活での課題や困難を乗り越えた経験を書く
企業は、困難に立ち向かい、乗り越えられる人材を求めています。そのため、部活での課題や困難を乗り越えた経験を書くことで、そのような力をアピールできます。
例えば、廃部危機などの問題を解決した場合は「問題解決能力」、レギュラーになれず悔しい思いをしたが引退するまで諦めなかった場合は「忍耐力」などを鍛えられたといえるでしょう。
具体的にどのような課題や困難に直面し、どのように乗り越えたのかを明確に伝えることが重要です。また、その経験から何を学んだのかについても伝えるようにしましょう。
部活で貢献したことを具体的に書く
「部活で貢献した」というだけでは、企業にどのような貢献をしたのかが伝わりません。そのため、具体的なエピソードを書くことで、自分の貢献をわかりやすく伝えることが大切です。
例えば、バスケットボールで全国大会に出場した経験がある場合、全国大会に出場するためにどのような役割で、どのような取り組みを行ったかをガクチカに落とし込んでみましょう。
ただ結果や感想を述べるのではなく、客観的な事実を述べることで、より説得力のある文章を書くことができます。
成果は数値で記載する
部活で成績を残したことだけをアピールしても、どれだけ貢献したのかがわかりません。できるだけ、数値を用いて、成果を具体的に示すようにしましょう。
例えば、部活の成績が、自分の入部前と比べてどのように変化したかや自分が考えて作成した練習メニューがどのようにチームに貢献したかなどが挙げられます。
ガクチカを書く際には、具体的な数値で成果を記載することで、説得力を持たせることができます。ぜひ、数値の部分も意識して書いてみましょう。
体育会系の部活を題材したガクチカの例文
目標達成意欲をアピールした例文
私はサッカー部でのレギュラー獲得を目指したことです。私は大学からサッカーを始めたため、入部当初から小・中学生から始めているチームメイトと実力の差がありました。そこで、練習量を増やすことに重点を置き、週6でシュートの練習をしたり、筋肉量を増やすために腹筋や腕立て伏せなどの筋トレに励みました。練習日には、大学1年生からレギュラーとして活躍しているチームメイトと一緒に戦術練習し、プレイを参考にし、自分のプレイスタイルに取り入れる努力をしていました。約1年半、練習量を積み重ねた結果、私は大学2年生の秋にレギュラー入りを果たし、最終的には、県大会のスターティングメンバーとしてチームに貢献できました。この経験から目標達成のためにひたむきに努力する大切さを学びました。(350字以内)
この例文では、レギュラー入りを果たすエピソードを通して、目標に向かって努力できる人材であることをアピールしています。また、サッカーを始めた時期を記載することで、企業側もイメージがしやすいでしょう。
県大会のスターティングメンバーとしてチームに貢献したことだけではなく、レギュラーになるため、どのように努力したかを詳しく書いているのが良い点です。また、練習量を数値で表しているため、説得できる要素があります。
体育会系の部活に打ち込んだ経験がある人は、目標に向かって頑張ったことをアピールしやすいでしょう。目標達成意欲が高いことを自分なりのエピソードで伝えてみましょう。
縁の下の力持ちをアピールした例文
私は大学4年間、バレーボール部のマネージャーとして選手をサポートしてきました。所属する部活では、前半好調でも試合の終盤には逆転を許してしまうことが多いことが課題でした。そこで選手の1日の食事や練習内容を確認した結果、栄養のバランスが取れていないことが判明しました。試合中に良いプレーができない理由が、栄養不足であるという危機感を持ち、マネージャー5人で、栄養学と料理について学びました。私は栄養面をサポートするリーダーとして選手に日頃から簡単に栄養バランスの良い食事が取れる方法の冊子を制作し、選手に配りました。誰でも実践できる手法だったため、部内アンケートによると選手からの満足度は95%でした。最終的には、選手は栄養面も含めて部活に向き合った結果、試合に勝てるようになりました。私は栄養面を中心に、縁の下の力持ちとして、選手に貢献できました。(400字以内)
この例文では、バレーボール部のマネージャーが縁の下の力持ち的な存在として活躍したことを記載しています。
ただサポートをしただけではなく、「なかなか試合中に良いプレーができない課題」の原因をどのように解決したのかを具体的に書いているのがポイントです。
さらに、栄養バランスの良い食事が取れる方法の冊子を配った後に、どのぐらいの期間で、試合の成果が出たのかを数値で記載するとより具体的なガクチカが完成されます。
具体的なエピソードを交えながら、書くことを意識してみましょう。
怪我を乗り越えた経験をアピールした例文
私はラグビー部員として怪我をしながらも引退まで諦めずに部活を続けました。大学2年生の春の大会で、膝の靱帯を損傷しました。「完全に復帰するのは難しい」と言われ、退部するべきか悩むほど苦しい思いをしました。しかし、大学入学前から憧れていたラグビー部に入部できたときの気持ちを思い出し、引退するまでに頑張ろうと決意しました。まずは通常の練習に戻れるよう、膝を少しずつ動かすことを中心のリハビリに励みました。怪我の回復状況に合わせて、週3から週5で続けました。ラグビー部の練習よりもきついと感じた時期もありましたが、結果、1年後にチームメイトと一緒に練習できるまでに回復しました。引退時の最後の大会ではレギュラーとして試合に出場することができました。この経験を通して、アクシデントがあっても最後まで諦めないことを学びました。入社後も目標に向かって粘り強く、困難を乗り越えていきたいです。(400字以内)
この例文では、怪我を直してでも頑張りたい理由を明確に記載しています。特に憧れに向かって努力できる、また初心を思い出し突き進むことができる姿勢は魅力的に映ります。
企業は、困難に立ち向かい、乗り越えられる人材を高く評価する傾向があるため、困難にぶつかった経験がある人は「どのように乗り越えたのか」「何がモチベーションになったのか」など、心情なども用いながらそのときの背景が伝わるように、文章を作成してみましょう。
リーダー経験をアピールした例文
私は大学3年生のときに、バスケットボール部の新歓リーダーとして部員を増やすために尽力しました。当時、部員10人と少なく、練習も思うようにできず、廃部危機の状況でした。そこで、私が中心となって、たくさんの新入生が入部してくれるよう、春の勧誘活動に力を入れました。チラシ配りや部活動説明会の他に、SNSでの誘致に力を入れました。SNSのつぶやきやプロフィールに「#春からA大学」のハッシュタグをつけている学生をフォローして、ダイレクトメッセージで、バスケットボール部に入部するメリットや見学会を紹介しました。その結果、前年は30人見学に来て5人入部だったのに対し、60人見学に来て18人入部しました。最終的には、試合を想定した練習もたくさんできるようになり、チームを強化することに貢献できました。部活動を通して、危機的な状況を乗り越えるために積極的に行動する大切さを学びました。(400字以内)
部活での役職と聞くと部長・副部長を思い浮かべる人が多いでしょう。しかし、新歓リーダーやトレーニングリーダーなど、部長以外の役職を与えられ活躍した経験がある人もいるのではないでしょうか。部分的なリーダーでも、自分が中心となって頑張ったエピソードがあれば、立派なガクチカを作成することができます。
今回は、新歓リーダーとして廃部危機を救ったエピソードを紹介しています。なぜ廃部危機だったのか、部員数で表したことで、企業側も状況を理解ができるでしょう。また、新しいメンバーを集めるためにSNSのDMで勧誘したエピソードを記載したことで、課題に対して工夫しながら解決できる人材だとアピールができています。
また前年の入部数と今年の入部数を具体的な数値で提示したことで、効果がどの程度あったのかが具体的に伝わる内容に仕上がっています。数字を用いた成果や評価は、アピールに効果的なので積極的に取り入れましょう。
忍耐力をアピールした例文
陸上部に所属し、400メートルハードルの選手として活動したことです。私は、高校時代から400メートルハードルの選手として活動しており、大学での部活は高校時代とは比べ物にならないほどレベルが高く、思うように記録が伸びないスランプに陥りました。そこで私は、自分のフォームを動画で撮影し、客観的に分析することにしました。動画を見てみると、自分のフォームには、いくつかの改善点があることが判明しました。そこで、その改善点を一つひとつ克服するために、練習メニューを工夫し、取り組みました。毎日同じ練習を繰り返し、時には挫折しそうになることもありましたが、成果を残せるように練習を続けました。その結果、努力が実り、ついに自己ベストを更新することができました。この経験から、忍耐力があれば困難を乗り越えられることを痛感しました。仕事においてもコツコツ努力を続ける姿勢を発揮していきたいです。(400字以内)
部活でなかなか成果が出せず苦しんだ経験を持つ就活生は多くいるでしょう。
今回のように高校時代から活動している場合は、そのこともふまえて記載することで、部活動を長期に渡り継続していることをアピールできるのでおすすめです。
スランプに陥るきっかけには書けていますが、もう少し練習内容や自己ベスト更新するまでの期間を具体的に書けると、より良いアピールにつながるでしょう。
期間や結果を数値で書けるよう、意識した文章作りが大切です。
体育会系の部活を題材にしたガクチカを書く上での注意点
起こった出来事をそのまま羅列しない
ガクチカを書く上で、行ってきたことや起きた出来事をそのまま並べた書き方をしないことが大切です。ただ出来事を並べただけでは、企業に自分の強みやスキルをアピールすることができません。なぜなら、出来事の羅列だけでは、その出来事から何を学び、どのような強みやスキルを身につけたのかが伝わらないからです。
部活での経験を通して学んだことや、身につけた強みをアピールすることが重要です。具体的なエピソードとともに、そこから何を学んだのか、どのような強みを身につけたのかを明確に伝えるようにしましょう。
専門用語を使わない
体育会系の部活では、ルールや練習方法などで専門用語がよく用いられます。しかし、ガクチカでは、専門用語を使いすぎると、企業の担当者が理解できない可能性があるため、注意が必要です。
専門用語は極力使わずにガクチカを書くようにしましょう。専門用語を使う場合は、補足のテキストを添えるよう心掛けることが大切です。
ガクチカは、わかりやすい言葉で伝えられているかも非常に重要視されるため、文章を完成した後はわかりにくい部分がないか何度も読み返しましょう。
企業でも活かせる強みになっているかを確認する
部活での経験を通して身につけた強みが、企業でも汎用できるものになっているかを確認しましょう。企業で活かせる強みを明確にしていないと、採用担当者に伝わらないからです。
営業職志望であれば「目標達成に向けた努力」や「コミュニケーション能力」が活かせる可能性があります。実際に企業で働くイメージを持って、自分の強みがどのように活かせるかを考えることも大切です。
自分が書いた内容が、企業でも活かせる強みであるか不安な場合は、キャリアカウンセラーやOB・OGなどの就活のプロや社会人に確認すると良いでしょう。
結果は正直に書く
ガクチカでは、結果も正直に書くことが重要です。結果を盛ったり、誇張したりすると、企業に信頼感を与えることができません。
結果を正直に書くことで、自分の強みやスキルをよりリアルに伝えられます。また、結果が悪かった場合でも、そこから何を学んだのかを明確に書きましょう。
その経験から何を学び、どのような強みやスキルを身につけたのかを正直に伝えることで、企業に自分のポテンシャルを評価してもらえる可能性があります。
ガクチカで自信を持って体育会系の部活経験をアピールしよう!
体育会系の部活経験をガクチカを通して自信を持ってアピールすることは効果的です。
部活で貢献したことや成果を残す上で行動した内容を書くことで、企業側を説得する力強いアピールになります。また、ガクチカを具体的に書くには、自己分析が大切です。自己分析で得た内容を元に書いてみましょう。
ガクチカに自信がない場合は、出来上がったガクチカをキャリアカウンセラーやOB・OGに添削してもらいましょう。第三者に見てもらうことで、自分では気付いていない強みや無意識に使っていた用語などに気付くことができます。
エントリーシートは選考の第一関門です。書類審査を突破できるよう、体育会系の部活経験を具体的に落とし込み自分の強みをアピールしていきましょう。