「自己PRでリーダーシップをアピールしたいけれど、ESに書けるような立派なエピソードがない」「ありきたりな内容になってしまう」と悩んでいる学生は多いのではないでしょうか。
リーダーシップの形はひとつではありません。「自分らしいリーダーシップとは何か」を考えることで、他の学生とかぶらない魅力的な自己PRを作ることができます。
この記事では、企業に好印象を与えるリーダーシップのアピール方法を解説していきます。
目次
企業に評価されるリーダーシップとは
自ら問題解決や目標達成に向けて行動できる
自らが先頭に立って問題や課題の解決に向けて動き、チームのメンバーに行動指針を示すことはリーダーシップの条件のひとつです。それによってチームの方向性が明確になり、一体感を向上させることができます。
指示がないと動かない、もしくは指示された以上のことはしない人がチーム内にいると、上司は自分の仕事を中断して、逐一指示を出さなければならず、結果としてチームの生産性が落ちてしまいます。リーダーという立場ではなくとも、人に言われる前に自ら問題や課題を見つけ、解決に向けて考えて動けるメンバーが多い方がチームの生産性が高まります。
学生時代に明確にリーダーというポジションを経験したことがなくとも、何事にも当事者意識を持ち、主体性を発揮してくれる人材であれば企業から高く評価されるでしょう。
他のメンバーの意思を尊重できる
他のメンバーの意見や意思を尊重することもリーダーシップの条件のひとつです。チームは異なる経験やスキル、バックグラウンドを持つメンバーの集まりです。それぞれの意見を尊重することで、異なる視点からのアイデアが生まれ、問題に対する多様な解決策が得られます。
また、リーダーがメンバーの意思を尊重する姿勢を示すことで信頼関係が生まれ、チーム内でのコミュニケーションがよりオープンになり、協力や連携が促されて業務効率が高まります。
チームを鼓舞して結束や士気を高められる
問題を抱えているメンバーを放置している職場では、メンバー間での助け合いが生まれず、結束が弱まります。チームに貢献しようという気持ちも生まれてこないでしょう。リーダーシップのある人は、自分の仕事だけでなく他人の状況にも目を配り、必要があれば励ましてチームの結束や士気を高めることができます。
チームのモチベーションを維持する上で、仕事に関して悩んでいるメンバーを適切にサポートしたり、励ましの言葉をかけたりすることは不可欠です。リーダーはチームメンバーのモチベーション管理も自分の仕事として引き受けることができるのです。
人を巻き込んで動かすことができる
目標を達成するためにはリーダー1人だけがやる気満々ではダメで、他のメンバーや関係者を積極的に参加させ、協力を得なければなりません。人を巻き込んで動かすためには、目標達成への熱意がなければ不可能です。
また、日頃からメンバーとコミュニケーションを重ね、信頼を築いておくことも必要です。視野が広く、周囲への気遣いができる人には信頼が寄せられ、メンバーもその人の意見を受け入れやすくなります。そうしたリーダーが提示する目標であれば、メンバーは共感を示し、その達成に向けて自分も努力しようという気持ちが生まれるでしょう。
リーダーシップを効果的に伝える構成
①最初にリーダーシップが強みであることを述べる(キャッチフレーズで言い換えられると尚良し)
②リーダーシップを発揮したエピソードを紹介
③リーダーシップがどのような成果・結果につながったか
④リーダーシップを仕事にどう活かすか
一番始めに「リーダーシップ」が強みであることを述べましょう。結論を最初に持ってくることで、言いたいことが明確に相手に伝わります。シンプルに「私の強みはリーダーシップです」と書いても構いませんが、キャッチフレーズをつけたり、他の表現で言い換えたりすると、読み手にあなたのことを強く印象付けることができるでしょう。
次に、学生時代の経験でリーダーシップを発揮した具体的なエピソードを書いていきます。直面した困難についての記述はなるべく簡潔にまとめ、その解決に向けてあなたが考えて行動したこと、行動の結果として得られた成果の部分に厚みを持たせて書くようにしてください。可能であれば具体的な数値で成果をアピールできると説得力が増します。
最後に、あなたのリーダーシップをどう仕事に活かしていくのかを述べて全体をまとめましょう。
自己PRでリーダーシップをアピールする時のポイント
企業が求めるリーダーシップのあり方を把握する
一口にリーダーシップと言っても、自分が率先して動いて周りを引っ張っていくタイプのリーダーシップと、メンバーが意見を出しやすい環境を整備してチームの方向づけをするタイプのリーダーシップがあります。企業がどちらのリーダーシップを求めているかによって、自己PRに書くべきエピソードの中身も変わってきます。
経験した事実はひとつでも、どこにフォーカスを当てるかによってエピソードの印象を変えることができます。企業の求める人物像を事前にしっかりと把握し、企業のニーズに応じてエピソードをアレンジするようにしましょう。
挫折や失敗から得た学びを踏まえる
自己PRのエピソードには、成功談だけでなく挫折や失敗、そしてそこから得た学びも盛り込めるとあなたの人間性が伝わりやすくなります。
ESの記入欄に収まりきらなければ無理に書く必要はありませんが、面接ではESの内容を掘り下げた質問をされる可能性があるので、スムーズに答えられるよう準備しておくとよいでしょう。
リーダーシップを言い換えて差別化しよう
チームを統率するためのアプローチの仕方はさまざまあり、リーダーシップのとり方も人によってさまざまです。他の学生と差別化し、オリジナリティを出すために、リーダーシップを別の表現で言い換えてみましょう。
リーダーシップの言い換え表現としては、次のようなものがあります。
- 周囲を巻き込んで物事を進められる力
- メンバーの意見をまとめてチームの方向性を統一できる力
- 物事を俯瞰して捉え、重要な意思決定ができる力
- チームのモチベーションを管理できる力
- イレギュラーな事態にも臨機応変に対処できる力
- 集団をまとめる力
- チームを引っ張る力
- 統率力
- 指導力
- マネジメント力
- 実行力
- 決断力
学生時代の経験を深掘りしていくと、自分らしいリーダーシップのあり方が見えてくるはずです。チームをまとめる上で自分がどんな手段を取り入れてきたのか振り返ってみましょう。
【経験別】リーダーシップの自己PR例文
部活
私は大学の演劇部での経験から、全体の課題解決に向けて自ら率先して動くこと、部員の意見を尊重して取り組むことの大切さを学びました。練習では部員たちから脚本の内容に対する不満の声が頻繁にあがり、演技練習が中断してしまうことが少なくありませんでした。そこで私は脚本のレベルを高めるため、地元の劇団の方に講師をお願いして脚本作りについての勉強会を開催しました。また、部員の意見を反映した脚本を完成させるために10回以上のミーティングを開催し、企画や構成を練り直しました。その結果、脚本のクオリティが劇的に向上し、部員の士気が高まったことで、学内演劇大会で優勝を果たすことができました。商品企画の仕事においても、周囲の意見を尊重し、チームで協力しながら目標を達成した経験を役立てられると考えております。(350字以内)
課題解決のために率先して行動する姿勢や周囲の意見を尊重して物事を決定する姿勢はリーダーシップの条件のひとつであるため評価できます。
ただし、商品企画という仕事と、周囲の意見を尊重してチームで協力しながら目標を達成するという経験の結びつきがやや弱い印象です。商品企画のプロセスにおいて、それらの強みをどう役立てられるのか、実際の仕事での再現性を意識して考え直してみましょう。
アルバイト
私は大学時代、居酒屋のアルバイトで新人教育を任されたことをきっかけにリーダーとして必要なことを学びました。新人は仕事に慣れていないため、ミスをしてしまうことが多々ありました。そこで、私は本人の性格や飲み込みの早さに合わせた指導を心がけました。また、新人が仕事に早く慣れるように、先輩や同僚と協力して新人がミスをした際はその原因と改善策を一緒に考えてフォローしました。その結果、新人は1ヶ月程度で仕事に慣れ、ミスも大幅に減りました。自信がつくにつれて仕事へのモチベーションも高まり、常連のお客様からお褒めの言葉をいただけるようにもなりました。貴社に入社できた際には、リーダーとして相手の立場に立って考え、適切な指導を行う経験を活かし、周囲から信頼され、慕われる販売員を目指して仕事をしてまいります。(350字以内)
自分の功績よりも後輩である新人の成長に焦点を当てている点に好感が持てるエピソードです。本人への指導を工夫するだけでなく、先輩や同僚など周りの人も巻き込んで新人が早く仕事に馴染めるように尽力する姿勢からリーダーとしての素質が読み取れます。
新人教育において苦労した点や、新人が仕事に慣れるまでの期間をどの程度短縮できたのかなども盛り込めるとより具体性が高まるでしょう。
ボランティア
私の強みはどんな時でもリーダーシップを発揮して臨機応変に対応できることです。大学のボランティアサークルに所属し、地域の小学生を対象とした野外イベントを担当した際、当日に台風が直撃し、プログラムを変更する必要に迫られたことがあります。私は参加者の安全を第一に考え、室内でできる企画を提案し、子供の興味や関心を把握するためのアンケートを実施しました。すると、全体的にYouTubeへの関心度が高かったことから、動画の制作や編集方法を学ぶワークショップの開催を決定しました。その結果、子供たちや保護者から「楽しくて勉強にもなった」という声をもらうことができました。貴社でのイベント運営においても、想定外の問題が起きた際でも状況を多角的に判断し、お客様にとって常にベストな対応をしていきたいと考えています。(350字以内)
イベント当日に台風が直撃して十分な準備期間も取れなかったにもかかわらず、機転を利かせて無事にイベントを成功させたのは立派な成果です。
イベントの運営者として参加者の安全に配慮し、子供たちの希望も踏まえた上で代案を提案している点から、物事を俯瞰して見るスキルや他者の意見を尊重するスキルもアピールできており、リーダーシップを伝える自己PRとしては模範的な例文といえるでしょう。
ゼミ
私は人を巻き込んで動かすことが得意です。大学のゼミでゼミ長を務めることになった際、メンバーのやる気が低く、活動が低迷していました。そこで、私は全員参加のミーティングを開き、ゼミの今後の方向性を統一するために「学会での最優秀賞獲得」を自分達の目標に設定しました。また、授業とは別に互いの進捗状況を報告しあう短時間のミーティングを2週間に1回実施し、交流の機会を増やしました。その結果、メンバーが主体的に活動に参加してくれるようになり、ゼミの雰囲気も明るく活発になりました。最終的に最優秀賞は逃したものの、優秀賞を獲得することができました。このように周囲を巻き込んで目標を達成した経験を活かし、貴社では皆を引っ張る頼れる営業マンとして活躍していきたいです。(350字以内)
ゼミのリーダーとしてチームの課題を分析し、共通の目標設定とコミュニケーションの活性によって停滞しているチーム活動を盛り上げたエピソードです。
やる気のないメンバーに働きかけるのは勇気のいることですが、短時間のミーティングを重ねてコミュニケーションを増やすことは信頼関係の構築につながっていきます。面接での深掘り質問に備え、メンバーの足並みを揃える上で苦労したことなどにもスムーズに答えられるように準備しておきましょう。
文化祭の実行委員会
私の長所はチームをゴールに導くリーダーシップです。私の大学の文化祭は例年来場者数が前年を下回っており、今年は来場者数を前年から10%増やすことが目標でした。実行委員会の委員長としてメンバーと会議を重ねたところ、ステージ企画のマンネリ脱却が課題との結論に至りました。そこで私は新企画として大学OBのお笑い芸人の誘致を提案しました。OBの多忙さから話が難航し、諦めムードが漂う時期もありましたが、日々メンバーを説得し、OBが所属していた研究室の教授の協力も得て、なんとか誘致を実現できました。この企画が学内で話題を集め、最終的な来場者数は前年の15%と目標も達成できました。貴社に入社できた際には、持ち前のリーダーシップを活かし、困難にぶつかっても諦めず目標達成に向けて貢献していきます。(350字以内)
このエピソードでは、計画の途中で困難にぶつかっても諦めず、周囲のメンバーを励まし、第三者にも協力を要請して目標達成まで漕ぎ着けた点が評価ポイントです。数値でアピールできる成果を伴っているため、説得力もあります。
改善点としては、士気が低下している周囲のメンバーにリーダーとしてどう働きかけ、モチベーションを維持させたのかがもう少し詳しく書けると、あなたらしいリーダーシップのとり方が伝わるでしょう。
自己PRでリーダーシップをアピールする際に注意すること
協調性もアピールする
チーム内ではどうしても声の大きい人の存在感が大きくなりがちですが、自己主張が強いだけではリーダシップがあるとは言えません。リーダーがメンバーの意見に耳を傾けないワンマンな姿勢がチームに浸透すると、メンバーは仕事に対する意欲を失ったり、チームで対立や不協和音が生じたりします。
他のメンバーの意見を尊重してチームの結束を高めたエピソードなども盛り込み、協調性を兼ね備えていることを同時にアピールすることを心がけましょう。
チームの功績を自分だけの手柄にしない
自分の行動がチームの目標達成に貢献したとしても、たった一人で成し遂げられることはないはずです。自分の功績だけに焦点を当てると自信過剰、傲慢と思われる可能性があります。目標達成のためにチームのメンバーにどのように働きかけて、その結果チームがどう変わったのかをアピールするようにしてください。
メンバーがそれぞれの強みを発揮できるように準備や調整をしたエピソードがあれば、リーダーシップに加えてマネジメント力や指導力もアピールできて効果的です。
肩書きよりも成果を伝える
役職や立場をアピールしても行動が伴っていなければ意味がなく、かえって採用担当者の印象を悪くするおそれがあります。
公式にリーダーという肩書きが与えられていなくとも、自分がイニシアティブを発揮して他の人のために考えて動いた経験があれば、それも立派なリーダーシップです。肩書きだけに捉われず、成果を伝えることが大切です。
社風や業務内容を意識してリーダーシップを自己PRしよう!
熱意や情熱で人を動かすだけがリーダーシップではなく、「周囲の意見を尊重して問題の解決策を考える」、「困っている人を励ましてモチベーションを維持させる」こともリーダーシップのひとつです。
どのようなリーダーシップが企業に求められているのかを分析し、社風や業務内容に合わせたエピソードを考えることが大切です。
自分らしいリーダーシップの表現方法を探し、他の学生に埋もれない魅力的な自己PRを完成させましょう。