「自己PRでアピールすることがない」と書けずに悩んでいる就活生は非常に多いです。「成功体験や実績、大きな結果がなければアピールにならないのでは?」と思っている人も多いですが、自己PRはそのような経験がなくても十分にアピールすることができます。
この記事では、自己PRが書けないと思い込んでいる人の原因や対処法、自分の強みをアピールする自己PRの書き方を解説しています。
例文を参考に自分の長所を活かした自己PRを作成していきましょう。
自己PRがない・書けないと感じる理由
自分のことを過小評価してしまっている
自分のことを過小評価していると、自分にはアピールできることや強みがないと考えたり、「こんなことを書いても意味がないかもしれない」と決めつけてしまって、自己PRが書けないことも多いです。
しかしながら、自分は当たり前にこなしていることが、実は他の人にとっては難しいということもあります。
自分では自然とできていることなので、アピールできる材料だという自信が持てないかもしれませんが、他の人からは立派な強みであると判断してもらえることもあるのです。まずは、自分ができること、得意とすること、褒められたことがあることなど、広く書き出してみることが大切です。
自己分析が足りていない
これまでの経験を振り返っても、自己PRすることがないと感じる場合、自己分析が不足していると考えられます。
過去の経験をただ振り返るのではなく、壁にぶつかったときに何を考え、感じ、どのような行動をとって乗り越えたのか、深く掘り下げ、自分の発揮した力や思いを言語化していく必要があります。
強みになる要素は柔軟性、リーダーシップ、傾聴力、協調性、忍耐力など、他にもたくさんあります。深く自分の内面を知っていくと、アピールしたいポイントが必ず出てくるはずです。
派手なアピールでなくてはならないと考えている
企業が自己PRを通して知りたいのは輝かしい実績や採用担当者をアッと驚かせる経験ではなく、就活生の人柄や価値観です。
どのような思考で物事に取り組んでいるのか、モチベーションの源泉、自分の思いといったものを通して伝えることができるので、立派で派手な実績は必須ではありません。
実績を使った方がより伝わるので、数字を用いられる場合は積極的に取り入れます。特殊な結果でなくとも自分の魅力が伝わるエピソードを選びましょう。
自己PRが見つからないときの対処法
他の人に聞いてみる
学校の先輩や友人、アルバイト先の先輩・社員、家族、など自分以外の人に強みを聞いてみるという方法があります。他の人に聞く最大のメリットは、自分では全く気が付かなかった強みを知れることができるという点です。
学校からアルバイト先まで聞ける範囲が幅広いので、複数の人に聞いてみると良いでしょう。同じ意見が何度も出てきた場合、自信を持ってアピールすることができるはずです。特に既に社会に出て働くサークル・部活の卒業生、アルバイト先やインターン先の社員の人の意見は就活で活かしやすいのでおすすめです。
小さなエピソードでも自信を持つ
特別な経験や実績でなくても、自己PRとしては十分な内容になりえます。企業が知りたいのは就活生の人柄や、その企業とのマッチ度です。
求めている人物かどうかを確かめてもらう上で、立派な実績は必須ではありません。むしろ、小さなエピソードであっても、自分の人柄が良く出ている内容であれば、十分に魅力をアピールすることができます。
そのため、これまでの経験から特に自分自身の個性が出せたと感じているものを抜き出し、深堀りしてみましょう。自信を持って堂々とアピールすれば、そのエピソードが派手なものでなくとも好印象を残せるでしょう。
失敗経験や短所を掘り下げてみる
「成功体験がない」「長所が浮かばない」と思っている人は、失敗経験や短所から見つけてみると良いでしょう。自己PRで求められるのは成功経験があるか否かではありません。失敗したからこそ学べたことや、得たこともあるはずです。
また、これらを自己PRに取り入れることで、ネガティブなことからも学び取れる力がある人材だというアピールにも繋がります。長所が浮かばない人は、短所の方が浮かびやすい傾向にあります。短所に感じるところにも、良い一面が隠れています。
自分の良くない所だと思っていたことを、深く追求すると「最後までやり遂げられる力がある」「物事を自分ごととして捉えられている」など、自己PRで使えるプラスの面が見えてきます。自己PRが見つからないときは、失敗経験や短所から気づけるポイントを振り返りましょう。
応募先企業の求める人物像から見つける
自己分析を深めてもアピールできることがないと思ったときは、企業が求める人物像を自分に照らし合わせてみるのもおすすめです。
求める人物像は企業のHPの採用ページや就活サイトに記載されていることが多いので、まずはHPを読み込みましょう。中には明確に人物像を公開していない企業もありますが、社員紹介ページや企業理念などからヒントを得ることはできます。活躍している人材の特徴や、行動指針をチェックすると良いでしょう。
また、社長や人事担当者に対するインタビュー内で求めている人材について触れられているケースもあります。気になっている企業に該当する記事がないか検索してみてください。
情報を調べ、浮き上がってきた求められる人物像と自分との共通点を探すことで、自己PRに取り入れることができます。ただし、求める人物像に無理に合わせたり、虚偽の内容にするのはやめましょう。
自己PRの書き方
①自分の強み・アピールしたいことから書く
②経験した時の背景・状況を伝える
③課題と解決策を書く
④応募先企業で強みを活かして働きたい意志を伝える
①自分の強み・アピールしたいことから書く
分かりやすい自己PRにするためのコツは先に結論を伝えることです。
文章の最後に強みが分かる構成の場合、読み手側は序盤では強みを推察しながら読み進める必要が出て来ます。途中の内容の印象が薄まってしまったり、整理するためにもう一度読み直す手間が発生してしまうため、避けるのが無難です。
「結論から書く」を意識することで、最も伝えたいキーポイントの書き漏れを防ぐこともできます。また結論が簡潔に述べられていると、文章をまとめられる力や論理的思考力のアピールにも繋がるのです。
自己PRにおける結論とは「自分の強みやアピールしたいこと」。したがって、自己PRの書き始めにはこれらの要素を持ってくるようにしましょう。
この時、企業が求める人物像と近しい強みを優先的に選ぶようにすると効果的です。ただし、内容を偽るのではなく、自分の強みの中から近しい要素を選び、応募先企業に相応しい人材であるアピールをしましょう。
②経験した時の背景・状況を伝える
自己PRでアピールしたい力が発揮された時の状況について触れることで、自己PRの内容が読み手により伝わりやすくなります。
ゼミでの集まり、アルバイトでの接客中、後輩への指導中、留学先の学校やホームステイ先など、さまざまな場面があります。
長々と細かな説明をする必要はありませんが、どのようなシチュエーションで力を発揮したのかイメージしやすい一文があると良いでしょう。応募者の解像度が上がり、自己PRの内容がより伝わります。
③課題と解決策を書く
その状況で自分が直面した課題・問題はどのようなものだったか、そしてどんな行動によって解決したのか記載しましょう。課題を見つけ出す力、問題を解決できる力のアピールにも繋がります。
自己PRの内容に説得力を持たせるコツは、できる限り具体的な内容にすることと、客観的な評価を取り入れることです。目の前の課題についてどのように考え、どんな行動をとったのか、簡潔にまとめましょう。
客観的な評価とは、例えば、上司やお客様、周囲の人たちから得た評価を指します。時給が上がった、教育係を任された、表彰された、実際にいただいた言葉などが挙げられます。自分だけでなく周囲から認めてもらったという事実が伝わる内容が理想的です。
④応募先企業で強みを活かして働きたい意志を伝える
最後に、入社後は自己PR内で語ってきた強みを企業で活かして貢献したい気持ちをアピールして締めくくりましょう。文章の最後に改めて自分の強みに触れることで、読み手の印象にも残りやすくなります。
選考中は書類や面接を通して、企業に対して入社したい気持ちを伝えることが大切です。自己PRの最後に、応募先企業で活躍したいというアピールをするのはおすすめです。
【パターン別】自己PRの例文4選
勉強
私には諦めずに続ける力があります。
入学当初「1年生の間に英検準1級に合格する」という目標を掲げましたが、2回の試験に落ちていました。
2回目に落ちた際には、諦めてTOEIC受検に切り替えようかと考えましたが、どうしても合格したい気持ちが強く、原因を追及して勉強法を変えました。
語彙力アップのため、隙間時間に1日平均15単語を覚えることと、1週間かけて数問の長文問題への理解を深めていくことを約1年間行い、3回目で合格に至りました。
着実に目標に近づいている感覚に喜びを感じていたため、コツコツと毎日勉強を積み重ねていくことが苦ではありませんでした。
この経験を通して、今では「継続は力なり」が私のモットーです。
入社してからも、困難な状況になった時にも決して簡単に諦めることなく一歩ずつ歩みを進めていける人材となれるよう努めていきます。(400字以内)
大学に関連した内容以外の物事でも、自己PRでアピールできます。自己PRが思い浮かばないときは、プライベートで自分が頑張っていることは何か振り返ってみても良いでしょう。
また、行ったこと伝える際には数字を入れるのもおすすめです。上記の場合「1日」「15単語」「毎日」「1週間」などが挙げられます。他には「〜%」「〜割」「円」なども分かりやすい数字です。
量や時間などの客観的な数字が分かると、自己 PRの内容がイメージしやすくなります。
部活
私は挑戦を恐れない人間です。学生時代は「やらなかった後悔は一生残る」という思いから、未経験ながらチアリーディング部に入部しました。
運動部出身でもなかった私は入部当初、基礎練習に着いていくのもやっとだったため、帰宅後には走り込みと筋トレを行なって体力と筋力アップを図りました。また休日にも基礎練習を行い、柔軟体操は毎日欠かさず、ダンスレッスンにも通うようにしました。努力を続けた結果、他校の方から「幼少期からチアをしているのかと思った」と言ってもらえるまで上達する事ができました。
自分だけができないという辛い時期もありましたが、毎日充実感を感じており、新しいことへの挑戦が人生を豊かにしてくれるのだと学びました。今後も新しいことに臆せずトライしていく姿勢を活かして、貴社で活躍したいです。(350字以内)
上記の部活を使った例文では、アピールしたい要素が「挑戦・チャレンジ精神」となっていますが、挑戦にもさまざまなタイプがあります。
分かりやすく分けると【新しいことへの挑戦】【苦手なものごとに対する挑戦】【難しい状況を打破しようとする挑戦】です。
それぞれ結果に辿り着くまでのプロセスや考え方に違いが出てくるので、自己PRで使う際は注意しましょう。自己PRの文章をまとめる際には、違いがあることを意識しておくと書きやすくなります。
サークル
私の強みはみんなを繋げられるバランサーであることです。
立ち上げたサークルでは当初、他サークルと活動場所を共用していました。しかし準備と後片付けの範囲や、使用日を巡り険悪なムードが漂っていました。
両サークル内で不満が留まっていることが問題だと考えた私は、相手サークルの代表者に意見交換を打診しました。
意見交換にあたって下記2点を意識しました。
・自分の意見に偏らないよう、サークルメンバーに必ず相談しながら進めること
・相手サークルのメンバーも心置きなく活動しやすい条件にすること
譲れない条件と妥協ポイントを徹底的に突き詰め調整した結果、両サークルの雰囲気は次第に穏やかになり、サークル活動で交流できるまでに変化しました。
入社してからも、様々な立場の人のことを尊重しながら主体的な行動をとっていきたいです。(350字以内)
複数の物事を説明したい場合、最初に「2つあります。」「2点です。」のように数を伝えておくのも良いでしょう。
説明したいパートを単語や短い文章で表現できないときは、どれくらい列挙されるのかあらかじめ分かっていた方が読み手は読みやすくなります。
また、一目で分かりやすい箇条書きを取り入れるのもおすすめです。とくに一文が長くなるときは、箇条書きでまとめた方が分かりやすくなるでしょう。
自己PRは読みやすさも大切なポイントなので、内容に合わせて書き方に工夫をこらしましょう。
アルバイト
私は常に目の前のことに意欲的に取り組みます。
近所の小さなレストランでアルバイトをしているのですが、「客層を広げたい」というオーナーにSNSの活用を提案し、SNSを任せてもらうようになりました。
注文や会計時に「来店のきっかけ」を聞いてみると、想像以上にSNS投稿がきっかけのお客様が増加していることがわかり、もしかしたら売り上げアップに繋がるのでは、と考えました。
そこで、イベントや季節に合わせた高価格帯のコースの紹介や、団体予約ができることをアピールした投稿を取り入れることで、単価アップを試みました。
最終的に若年層の集客と平均単価のアップに繋がり、単価を上げたいと目標を設定された訳ではありませんでしたが、自分で考えたことがお店の売り上げに反映されていくことにやりがいを感じました。
貴社においても課題に対し、主体的に取り組み、売り上げに貢献していきたいです。(400字以内)
アルバイトを使った自己PRは、実際に仕事をする時の考え方や価値観が伝わるのでおすすめの題材です。
ただしアルバイトで売り上げアップに貢献したことを伝える場合、ただ単に「売り上げが2.5倍になりました。」と言った数字だけをアピールした自己PRで終わってしまってはもったいないです。
採用担当者が知りたいのは応募者の人間性なので、自分がとった行動や考え方が伝わる文章は必ず入れるようにしましょう。自己PRで使う際は注意しましょう。
どんな題材でも自信を持って自己PRしよう
自己PRがないと思っている人でも、自己分析を深めたり周囲の人に聞いてみると、必ず1つはアピールできること・したいことが浮かんでくるはずです。
立派な成果や大きな実績やがなくても問題はありません。むしろ大きな結果を残しても、結果にしか触れられていなかったり、自分の価値観が伝わらない内容だとマイナスの印象にもなりかねません。
自分がどんな思いで取り組んだのか、得たことは何かが伝わるように深掘りし、自信を持って自己PRを作成していきましょう。