「コミュニケーション能力」は幅広い領域を指しているため、曖昧な言葉であると言えます。そのため、自己PRで具体的にアピールするためには、「伝える力」「聞く力」など、そこに含まれる要素を抽出して強みとすることがおすすめです。

本記事では、各要素に注目し、コミュニケーション能力を具体的かつ個性的な内容で自己PRに落とし込むための方法を解説しています。部活、アルバイトなどの経験別の例文も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

コミュニケーション能力とは?

コミュニケーション能力とは、他者との協調や意思疎通に必要な能力のことです。仕事においては、社内・社外の人間と信頼関係を結び、円滑に業務を進めるために欠かせません。

多くの企業や幅広い職種で重宝されるため、就職活動において、優れたコミュニケーション能力を持っているということは汎用性の高いアピールポイントであると言えます。

しかし、それと同時に自己PRのアピールポイントとしては定番中の定番であるため、他者と差別化できなければ、採用選考では埋もれてしまいやすいでしょう。

コミュニケーション能力を効果的にアピールするためには、重要なポイントがいくつも存在します。それらを押さえ、採用担当者にとって魅力的に映る自己PRを作り上げましょう。

コミュニケーション能力が企業に評価される理由

良好な対人関係の形成に役立つ

企業に所属する場合、仕事は自分一人だけで完結するものではありません。どこかで必ず社内外の他者との協力が必要になるため、他者と良好な関係を築くことは欠かせません。

信頼関係を築くことができれば、意見交換や相談をしやすくなるなど、お互いに働きやすくなります。また社外の人間と良い関係を構築できた場合には、新たな仕事が生まれることにも繋がります。

そのため、対人関係に重要な高いコミュニケーション能力は企業に評価されやすい傾向にあります。

仕事を円滑に進められるようになる

仕事を円滑に進めるためには、先述の仕事仲間との良好な関係の構築だけでなく、情報共有をしっかりと行えるということも重要です。よく「報告」「連絡」「相談」をまとめて「報連相(ほうれんそう)」と言いますが、これは社会人には欠かせないスキルであるとされています。

ミスやトラブルの発生を迅速に報告する、必要事項を性格に連絡する、疑問点や懸念点を相談するなど、「報連相」をしっかりと行うことがスムーズな仕事の進行に繋がります。

この「報連相」に関わるスキルもコミュニケーション能力に含まれるため、多くの企業に重宝されます。

コミュニケーション能力は言い換えてアピールする!

ただコミュニケーション能力が高いとアピールするだけでは、何が優れているのかが相手にいまいち伝わりにくいでしょう。これはコミュニケーション能力が様々な要素を含んだ抽象的な言葉であるためです。

そのため、「相手の話をよく聞いて理解する力」「物事を分かりやすく伝える能力」など、アピールしたい要素を抽出した、より具体的な言葉に置き換えることがおすすめです。そうすることで、アピールポイントをよりはっきりと分かりやすく伝えることができます。

以下に、コミュニケーション能力に含まれるアピールにおすすめな要素をピックアップしてご紹介します。

協調性

協調性とは、立場や考え方の異なる他者と同じ目標の達成に向けて協力できる力のことです。つまり、様々な属性の人と良い関係を構築・維持しながら、共に仕事を進められる能力であると言い換えられます。

これは、仲間内で良い空気感を作り、互いにストレス無く、円滑に業務をこなすためには欠かせないものです。仲間と対話したり、協力して進めたりする機会は多く存在するため、幅広い企業で重宝されます。

伝える力

社会人にとって、相手に分かりやすく、正確に物事を伝える能力は非常に重要です。情報伝達の際に誤解やミスが生じたことが、業務に支障を与えたり、信頼関係を損なうことに繋がってしまうためです。

社内外の仕事仲間と情報共有や対話をする機会は日常的に発生するため、この能力も多くの企業で求められています。

また営業やプレゼンテーションなどにおいて、物事を魅力的に伝える際にも役立つため、そのような機会が多い職種では、より歓迎されるでしょう。

聞く力

聞く力とは、相手の話によく耳を傾け、その内容や意図を正しく理解する能力のことです。聞く力においては、相手の話をしっかりと最後まで聞いたうえで、自分の意見や疑問点を伝えるという真摯に話を聞く姿勢が重要です。

相手の話を途中で遮って否定意見を押し付けるというようなことは好ましくありません。相手が自分の意見を伝えづらい空気感を作ってしまい、建設的な対話が不可能となってしまうリスクがあるためです。

聞く力は、相手自身や相手の意見を思いやり気遣う力に通じていると言えます。他者との会話や意見交換の機会が多い仕事では、特に喜ばれるコミュニケーションスキルでしょう。

質問する力

分からないことを誰かに質問できる力は、社会人にとって非常に大切なものです。仕事において、分からないことを分からないまま放置しておくことは、その後のミスの発生などに繋がってしまうからです。

例えば、他者から依頼された仕事を疑問点を抱いたまま進めてしまえば、依頼者のニーズに応えられないリスクが大きくなってしまいます。疑問点をしっかりと解消することは、仕事に関わる物事への理解を深め、円滑に業務を進めることに活きていきます。

これは幅広い仕事に当てはまるため、適切にアピールできれば、採用担当者に魅力的なアピールポイントだと感じてもらいやすいでしょう。

コミュニケーション能力の高さを効果的に伝える構成

効果的にアピールできる自己PRの構成

①【結論】コミュニケーション能力が強みである

②【エピソード】強みを発揮した経験

③【入社後について】強みをどのように活かすか

コミュニケーション能力が強みだと伝える結論

自己PRでコミュニケーション能力をアピールする際は、「私の強みはコミュニケーション能力の高さです」というような結論から文章を始めましょう。

これは「これからコミュニケーション能力に関する話を展開していきます」と読み手に明示することに繋がります。

コミュニケーション能力が話の軸であるということが明らかにされることで、その後に展開される話を理解してもらいやすくなります。

コミュニケーション能力を発揮したエピソード

前述の結論だけでは、強みを持っていることの証明にはなりません。結論を伝えられたら、実際にコミュニケーション能力を発揮したエピソードを具体的に伝えて、強みを持っていることの裏付けをしましょう。

この際、どのように発揮したかという過程を段階を踏んだ構成で伝えられると良いでしょう。いつどんな「課題」に遭遇したか、その解決のためにどのような「目標」を掲げ、どのように強みを発揮して「対処」したのかというようなものです。

エピソードを段階分けすることで、内容が整理され、読み手に理解されやすくなります。また具体的な過程が分かることで、そのコミュニケーション能力の活かし方を示すことができます。

エピソードの締めには、どのような「結果・成果」が得られたのかということも伝えましょう。コミュニケーション能力が実際にプラスの効果をもたらした、すなわち強みとして機能したことを印象付ける必要があるためです。

入社後にコミュニケーション能力をどのように活かすか

エピソードを伝えられたら、コミュニケーション能力を入社後にどのように活かすかを述べて、文章を締めましょう。

強みは仕事で活きるからこそ、採用担当者に価値を見出してもらえるものです。そのため、コミュニケーション能力という強みがしっかりと仕事でも活かせるものであると示す必要があります。

仕事への活かし方を伝えることは、採用担当者に実際に働くイメージを想像してもらうことにも繋がります。自社の風土や求める人物像に合致し、業務に貢献してくれそうだと思ってもらえた場合には、高く評価されることでしょう。

コミュニケーション能力を魅力的に伝えるコツ

自分ならではの表現で結論を伝える

最初に「私の強みは〇〇です」と結論を述べる際、コミュニケーション能力を自分ならではの表現で表すことをおすすめします。

例えば、「相手の伝えたいことを適切に捉える傾聴力」「相手に合わせて物事を分かりやすい表現で伝える力」というようなものです。

先述の通り、コミュニケーション能力は自己PRのアピールポイントとしては定番であるため、他者と差別化することが重要です。

自分の強みを的確に表す表現を用いることで、読み手に自分ならではの魅力を感じ取ってもらいやすくなるでしょう。

裏付けエピソードの結果を数字を示す

コミュニケーション能力を裏付けるエピソードの結果を述べる際、数字で表せる成果がある場合には、是非とも数字を用いて示してみましょう。例えば、コミュニケーション能力を活かして「ビブリオバトルで良い成績を収めました」と述べても、曖昧でその成果の凄さが伝わりにくいでしょう。

一方、「40人が参加したビブリオバトルで2位に入賞しました」というように数字を用いた場合には、具体性が上がり、より凄い成果を残したということを印象付けられるでしょう。

簡潔な情報のみで非常に高い説得力を生み出すことができるため、取り組みの結果を示す際には積極的に数字を用いることをおすすめします。

より仕事に活きる要素をアピールする

仕事は他者と協力して行うことが多いため、コミュニケーション能力は多くの企業で重宝される強みであると言えます。

しかし、コミュニケーション能力には「伝える力」「聞く力」などのように複数の要素が存在します。そのため仕事によっては、その中でも特に歓迎されやすい要素があることでしょう。

例えば、営業職では、営業先に自社製品などをより魅力的にアピールし、契約成立に繋げる必要があるため、特に「伝える力」が重宝されることでしょう。

このように、可能であれば応募先の仕事内容に合わせて、よりアピールに効果的な要素を選んで自己PRを作成できると良いでしょう。

【経験別】コミュニケーション能力の自己PR例文

部活

例文

私の強みは、情報を正確かつ分かりやすく伝達する力です。これは学生時代に野球部で主将を務めた経験を通じて培われました。

野球部の運営においては、その日の練習メニューなど日々の活動に関する情報や指示を分かりやすく伝え、部員全員に正しく把握してもらう必要がありました。最初はSNSを用いた単純なメッセージの送信で試みましたが、それでは上手く伝わらず、活動がスムーズに進められないこともありました。

この経験から、最初に要点を述べること、箇条書きで簡潔な情報を羅列することなど、整然として分かりやすい情報の書き方を学び、実践に活かしました。結果として、部員との連携が強化され、練習を円滑に進められるようになりました。

貴社においても、情報共有に気を遣い、仲間との連携を高めることでスムーズな業務進行に貢献したいと考えています。 (400字以内)

例文では、コミュニケーション能力の中でも「伝える力」に焦点を絞って話を展開しています。コミュニケーション能力という広い領域ではなく、伝える力というより具体的な強みを題材とすることで、話の軸がより明確になっています。

伝える力をエピソードで裏付けする際には、何をどのように伝えていたかについてしっかりと触れることを意識しましょう。

読み手に伝える力の具体的な詳細が分かるため、その強みを有していることに関して納得してもらいやすくなります。

ゼミ

例文

私の強みは、大学の○○ゼミで磨いた、他者の話をよく聞き、理解する傾聴力です。

ゼミ活動では、異なる意見や背景を持つメンバーと協力して目標を達成することが求められました。私は一人ひとりの発言に真剣に耳を傾け、彼らの考えに対して理解を深めることに注力しました。

とある会議で、メンバーから私の意見に対して異議を唱えられたことがありました。私は即座に反論せず、冷静に彼の意見の意図を理解しようとしました。その結果、チーム全体で建設的な議論を重ねる空気感を作り出すことができ、より良いアイデアをまとめることができました。この経験から、傾聴力がコミュニケーションを円滑にし、チームの協力を促進することを学びました。

貴社においても、異なる視点を尊重して、仲間との円滑なコミュニケーションに努めていきたいと考えています。(400字以内)

例文では、「傾聴力」を強みとしています。このとき、ただ傾聴力と述べるのではなく、他の言葉を添えて修飾し、自分ならではの表現で表すことで、より具体的かつ他者と差別化された強みに演出することができます。

傾聴力などの「聞く力」を強みとする場合、相手の発言をただ真剣に聞いていたと述べるだけでは不十分です。しっかりと発言を聞き、内容を理解した結果、どのような言動に繋がったのかというように、「聞く」という行為がその後に活かされたことを明確に伝えましょう。

アルバイト

例文

私の強みは他者と円滑に連携し合う協調性です。飲食店でのアルバイト経験が、この強みを一層磨く機会となりました。

ある日、ランチタイムの混雑した状況で急な人手不足が発生しました。しかし、私は冷静さを保ち、仲間たちと連携を図りながら、スムーズなサービス提供の実現に努めました。

具体的には、こまめに他のスタッフとコミュニケーションを取ることで、自分のタスクだけでなく、他のスタッフの進捗状況も把握しました。そして、役割分担して協力体制を築くことで、オーダーの受け渡しや料理の調理進行を円滑化し、効率的かつ高い質を維持したサービスを提供し続けることができました。

この経験を通じて、協調性がチームの一員としての力強さを生み出すことを痛感しました。貴社においても、協調性を活かし、仲間との連携強化を図って組織全体の成功に貢献したいと考えています。(400字以内)

先述の通り、協調性とは、他者と良い関係を築きながら、同じ目標の達成に向けて協力し合うために必要なコミュニケーションスキルのことです。

協調性をアピールする場合、他者と連携して物事を成し遂げたエピソードで強みを裏付けすることができれば、説得力の高いアピールに繋げられるでしょう。

このとき、他者とどのように連携したか、自分がどのような役割で貢献したかを具体的に述べることで、協調性を活かしたあなたの働き方をイメージしてもらいやすいでしょう。

自己PRにおいては、採用担当者に入社後に強みを活かして働く姿を想像してもらうことが重要です。

イメージされる人物像と企業との相性が良ければ、高く評価してもらえる可能性が高くなるためです。

自己PRのエピソードが見つからないときの対処法

他者にコミュニケーション能力を発揮した例を聞く

自分でコミュニケーション能力を発揮したエピソードを見つけられない場合には、他者に自分が能力を発揮した例が無いかを聞いてみると良いでしょう。

このとき、家族や同級生、教授、アルバイト先の同僚など、異なる属性を持った複数の知人に話を聞くことをおすすめします。

この場合、それぞれの知人が異なる場面や立場であなたとの関わりを持っており、別の視点からあなたを捉えています。そのため、より多様な意見を得られる可能性が高いでしょう。

他者の自己PRを参考にする

エピソードが見つからない場合には、他者が同じ企業や同業他社に向けて書いた自己PRを参考にしてみるのも良いでしょう。

こんなエピソードもアピールして良いのか、こんなアピール方法もあるのかというような気付きを得られるかもしれません。

リクルートが運営する求人サイト「リクナビ」の関連サービスである「OpenES」では、先輩の書いた自己PRを閲覧することが可能です。

業種や学科系統ごとに絞り込みを行って閲覧することもできるため、同業他社に向けた自己PRを簡単に見つけることができます。

便利なサービスを活用して、より良いエピソードを見つけましょう。

自己PRにコミュニケーション能力を書くときの注意点

アピールする要素は一つに絞る

先述の通り、コミュニケーション能力には様々な要素があり、その要素に焦点を当てることで、強みをより具体的に表現することができます。

自己PRでコミュニケーション能力を扱う際、アピールする要素は一つに絞ることをおすすめします。

例えば、「伝える力」と「聞く力」の2つをアピールしたい場合、それぞれに対してエピソードで裏付けを行う必要が出てきます。

この場合、話が冗長になり、散らかってしまいやすいです。

読み手にとっては読みにくく、要点を捉えにくい文章となってしまうため、効果的なアピールができなくなってしまいます。

そのため、アピールするのは一つの要素に留め、分かりやすく効果的な自己PRを作成しましょう。

文章の分かりやすさに気を付ける

コミュニケーション能力をアピールポイントとした場合、その分だけ採用活動においてコミュニケーションに関して厳しくチェックされるリスクが増える可能性があります。

その中でも「伝える力」をアピールした場合には、自己PRの文章が非常に分かりやすいものでなければ、アピールに説得力が生まれません。

読みやすさ、内容の分かりやすさについて、他者にチェックしてもらうなどして、可能な限り文章を推敲し、良いものに仕上げることをおすすめします。

面接で高度なコミュニケーションを求められるリスクを把握する

書類選考を通過した場合には、面接に臨むことになります。

エントリーシート(ES)の自己PRでコミュニケーション能力をアピールした場合は、面接においても高い水準のコミュニケーションを求められる可能性が高まります。

採用担当者の期待に応えなければ、ESの内容が嘘や誇張したものなのではないかと不信感を抱かれてしまうリスクがあります。

コミュニケーション能力をアピールポイントとする際には、そのリスクをしっかりと把握しておきましょう。

そして、面接本番でコミュニケーション能力が強みであることに説得力を出せるようにするために、より入念に練習を重ねることをおすすめします。

分かりやすい話の展開の進め方や話し方、声のトーン、表情など、言語から非言語能力に至るまで、コミュニケーションに関する様々なことに神経を巡らせましょう。

自分一人だけでなく、他者にチェックしてもらいながら練習することで、至らない点をより正確に把握できるでしょう。

コミュニケーション能力を自分ならではの表現でアピールしよう!

コミュニケーション能力は他者と協力して仕事を遂行する社会人にとっては、欠かせないスキルです。

多くの企業で歓迎されるスキルであるために、定番のアピールポイントとなっており、多くの人が強みとして挙げることでしょう。

そのため、「物事を分かりやすく伝える力」など自分の強みがより具体的に表れるように言い換えることが重要です。

他者と差別化し、自分ならではの魅力が伝わるように工夫することで、採用担当者の印象に残る効果的な自己PRを作り上げましょう。

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