医療機器業界は、医療と技術革新の未来を拓く重要な分野であり、例年就活生から高い人気を集めています。選考において、志望動機の内容は採用・不採用の道を大きく左右します。本記事では、医療機器業界について伝えるとともに、志望動機の作成に必要なステップや書き方を解説します。記事後半では、志望動機のパターン別に例文も紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
医療機器業界の志望動機を作成するために業界を知ろう!
そもそも医療機器とは?
医療機器とは、医療目的で使用される機械や装置、器具、またはその他製品の総称です。これらの機器は、医療診断や治療、モニタリング、予防、リハビリテーションなどの場面に用いられています。
大きく分けて「一般医療機器」「管理医療機器」「高度管理医療機器」の3つに分類されます。
分類 | 具体例 |
一般医療機器 | 血圧計 体温計 聴診器 X線フィルム 手術用ガーゼ など |
管理医療機器 | 家庭用マッサージ器 X線撮影装置 補聴器 注射針 電子内視鏡 など |
高度管理医療機器 | 人工心肺装置 人工透析器 輸液ポンプ ペースメーカーステント |
日常生活で身近なものから、病院やクリニックで使用する大型のものまで非常に様々な種類があります。
各企業によって取り扱う種類が異なるため、しっかり企業研究を行い機器の基本知識を身につけておきましょう。
医療機器業界の3つのビジネスモデル
医療機器業界は、「医療機器メーカー」と「医療機器商社」、「医療機関」の3つの主要な部門から成り立っています。
それぞれの部門は、医療機器の開発、供給、販売および使用に関して異なる役割を担っています。それぞれが独自の専門的な知識と機能を持ち、医療機器の開発から最終的な使用に至るまでのプロセスにおいて、密接に連携しています。
印象に残る志望動機を作成するためには、志望企業が担う役割や機能を十分に理解することが大切です。
①医療機器メーカー
医療機器メーカーは、医療機器の開発や製造、品質管理を担当している会社です。先述した多種多様な医療機器を開発し、それらを市場に提供します。
日本国内には、多くの優れた医療機器メーカーがあります。なかでも代表的な企業としては、「株式会社オリンポス」「キャノンメディカルシステムズ株式会社」「テルモ株式会社」などが挙げられます。
これらを含め約30もの医療機器メーカーが存在しますが、各会社で製造分野が異なることが特徴的です。
②医療機器商社
医療機器商社は、医療機器メーカーが製造した医療機器を販売し、流通させる役割を担ういわゆる卸業者です。
医療機器という特殊な製品を取り扱うため、流通に関しても高度な技術と品質管理が求められます。したがって、製品に関するアフターフォローを徹底することも医療機器商社の重要な業務の一つです。
代表的な企業としては、「シップヘルスケアホールディングス株式会社」「日本ライフライン株式会社」「株式会社日本エム・ディ・エム」などが挙げられます。これらの企業は、国内の医療機器市場で重要な役割を果たしており、高品質な医療機器の供給とサポートを提供しています。
③医療機関
医療機関は、病院や薬局などのことを指し、製造された医療機器を実際に使用する現場になります。診断や治療、手術、リハビリテーションなどあらゆる場面において必要な医療機器の提供を医療機器商社から受けます。
代表的な医療機関としては、「日本赤十字社」「国立病院機構」「国立がん研究センター」などが挙げられます。これらの医療機関は、高度な医療技術や設備を備え、患者の診断や治療、ケアに尽力しています。
医療機器業界の市場規模と動向
国内の医療機器産業は、2004年以降増加しており、近年は2〜3兆円を推移しています。これは、世界全体の約7%程度を占めており、アメリカに次いで2位の市場規模となっています。少子高齢化に伴い、医療機器業界は今後もさらに需要が高まることが予測されます。
ここ数年は、少子高齢化による医療費負担の増加や新型コロナウイルスなどの影響により、健康意識の高まりが強く、個人のスマートフォンで使用できるウェアラブル機器の開発も進んでいます。
医療機器業界の主な仕事内容
総合職
医療機器業界の総合職は、主に営業職のことを指します。医療業界では、「SR」とも呼ばれています。主に、病院などの医療機器を定期的に訪問し、現場の課題や悩みを把握したうえで、自社製品による解決を提案します。
製薬会社の営業職であるMRとは違い、公的な資格は必要ではないため、文系学部の学生も目指せる職種です。しかし、取引先が医療のプロである医師や看護師であるため、医療分野に関する知識の習得が必要となります。
技術職
医療機器業界の技術職は、研究・開発や生産技術、サービスエンジニアに分けられます。
研究・開発職は、新しい機器の開発や既存機器の改良に携わります。生産技術職は、自社製品の生産プロセス全般を管理し、品質管理や生産効率の向上を行います。
サービスエンジニアは、機器の設定や定期メンテナンス・保守、修理などを行う仕事です。このような技術職は、主に工学部や理学部、理工学部、生物学部というような理系の学部卒や、大学で何かしらの研究に携わった経験がある学生が多く活躍しています。
医療機器業界の志望動機作成に必要なステップ
医療機器業界を志す理由を明確にする
志望動機を作成する際は、医療機器業界や志望企業に関する知識を得たうえで、なぜ医療機器業界を志望しているのか、その理由を明確に伝えられるようにしましょう。
志望動機には、説得力が求められます。医療機器業界を志す理由が明確であれば、面接官や選考担当者に熱意や情熱が伝わり、良い印象を与えることができます。
また、自分の興味や価値観が明確になることで、本当にその業界に適しているのか、改めて見つめ直すことにも繋がります。
どの仕事を志望しているのかを明確にする
医療機器業界と一言で言っても、総合職や技術職など様々な職種があります。就任先によって仕事内容も違えば、求められるスキルや適性なども異なります。そのため、自分が志望企業においてどの仕事に携わりたいのか、志望する仕事を明確にする作業が必要です。
携わりたい仕事についてリサーチしていると、自然とその企業に関する知識や理解が身に付くことでしょう。目指す業界や職種に関する具体的な知識や理解を持つことで、志望動機をより具体的に表現することができます。
志望企業を選択した理由を明確にする
志望動機のなかで、面接官や選考担当者が最も注目するのは「なぜ、この企業を志望しているのか」という項目です。曖昧な理由を述べてしまうと、「うちじゃなくても良いのでは?」とマイナスな印象を与えてしまいます。
企業側は、志望動機を通して学生がチームや組織に適しているのかどうかを評価したいと考えています。なぜその企業に対して興味を持っているのかを伝えるためには、企業に関する十分な理解と研究が必要です。志望度を伝えることは、企業との関係性を構築する第一歩となります。
自分の強みと企業が求める人物像の共通点を探す
志望動機を作成する際は、自己分析を徹底し、企業が求める人物像との共通点を探しましょう。選考を勝ち進めるためには、志望動機で企業にどのように貢献ができるのかを伝えることが大切です。
企業側は、貢献意欲の高い応募者は自分の能力や経験を持ってチームに貢献し、共通の目標に向かって努力する準備ができていると評価します。結果的に、組織の発展や成長を促進できるというように、採用するメリットをイメージできるのです。
入社後のキャリアビジョンを考える
志望動機でキャリアビジョンについて触れると、企業側に対して長期的に働く意欲があること、その企業でどのように成長していきたいのかという意志を示すことができます。企業側からすると、従業員の定着率や継続的な貢献を期待できるため大きなメリットです。
また、学生が企業や業界にマッチしているかどうかを評価する材料にもなります。入社後のキャリアビジョンを伝えることは、企業と学生の両方にとって重要な情報であり、有益な意思表示となります。
医療機器業界の志望動機の書き方
①冒頭に志望動機を簡潔に記載する
志望動機を作成する際には、結論から書き始めることがポイントです。よって、一文目は医療機器業界やその企業を志望する理由を簡潔に記載しましょう。
一番伝えたい内容を冒頭に持ってくることで、読み手に対して分かりやすい文章を提供できます。これは、ESだけでなく面接のときにも効果的な方法です。
志望動機を伝える際は、最も伝えたい内容を最初に持ってくるということを意識して文章を作成しましょう。
②志望動機が生まれた背景や理由を伝える
結論の次に、理由を記載します。医療機器業界を志望する理由やその企業を志望する理由など、志望動機が生まれた背景を伝えます。
このときの理由に関して、「社会貢献がしたいから」というようなありきたりな言葉を並べないように注意しましょう。決して悪いというわけではありませんが、読み手に熱意を伝えるためには根拠のある理由が必要です。
企業側は、なぜあなたがその職場で働きたいのか、なぜこの企業に興味を持っているのかを知りたいと考えています。そのため、深い関心や具体的な理解を示すことで、志望動機をより強力に伝えることができます。
③具体的なエピソードを加える
理由の次は、具体例を記載します。理由に加えて具体的なエピソードがあると、より説得力のある志望動機が作成できます。
例えば、家族の病気や障害で医療機器を使用していた経験や、医療機器企業でのインターンシップ経験など個人によって業界にまつわるエピソードを持っていることでしょう。そのような具体的なエピソードは、人の記憶に残りやすいです。
独自性のある志望動機は、面接官や選考担当者の記憶に残りやすく、良い印象を与えることができます。そのため、志望動機では、具体的なエピソードを盛り込むことを心がけると良いでしょう。
④入社後の目標や達成したいことで締めくくる
最後に、再び結論を出します。志望動機の場合は、入社後の目標や達成したいことで締めくくることが効果的です。あなたが入社してから、その企業や組織でどのような貢献をしたいのか、将来の展望を示すことができます。
入社後のビジョンを全体の最後に持ってくることで、あなたの話に一貫性を持たせることができ、全体的なメッセージがより明確に伝わりやすくなります。また、文章の最後の内容はより人の記憶に残りやすいため、強烈な印象を残すことで、他の就活生との差別化が図れます。
医療機器業界の志望動機でアピールできる能力や特性
コミュニケーション能力が高い
医療機器業界では、コミュニケーション能力の高さは非常に重要な要素であるため、それをアピールすることは大変有益です。業界内で活躍するためには、医師や看護師、研究者、マーケティング担当者など様々なバックグラウンドを持つ人々との円滑なコミュニケーションが不可欠です。
製品の開発から導入、維持管理、顧客サポートに至るまで、あらゆる局面で求められます。そのため、どのような人とも良好な関係性を築くことができる人は、業界での仕事に向いており、志望動機でも十分にアピールできるポイントとなります。
チームワーク力がある
医療機器業界は、製品開発や品質管理、マーケティング、顧客サポートなど様々な分野においてチームワークが不可欠です。チームワーク力がある人材を集めることで、効果的なチームが形成され、プロジェクトの成功に貢献できることが期待されます。
また、チームワーク力がある人は、情報共有や意思疎通においても円滑に進めることができます。したがって、チームワーク力を具体的なエピソードとともにアピールすることで、能力やポテンシャルを示すうえで非常に有益となります。
問題解決能力が高い
問題解決能力の高さは、多くの業界や職種で非常に重要なスキルであり、アピールポイントとなります。特に、医療機器業界のような専門的で技術的な分野においては、さらに重要なスキルです。
高い問題解決能力を持つ人材は、迅速に問題を特定し、解決策を提供することができます。適切な方向性を示し、解決策を見出せる人材は、組織全体の成長に大きく貢献でき、面接官や選考担当者に好印象を与えることができます。
提案力が高い
医療機器業界は技術の進化が速く、市場競争も激しいため、常に革新的なアイデアやソリューションが求められます。提案力のある人材は、業界の変化に適応し、新しい製品やサービスを開発・改善する際に重要な役割を果たすことができます。
医療機器の開発や運用には、あらゆる技術的な課題が伴います。提案力が高いことをアピールすることで、主体的に考え、行動し、組織の成長や発展に大きく貢献する意欲と能力があることを示すことができます。
責任感が強い
医療機器は、患者さんの健康や生命に関わる重要なものであり、その安全性と信頼性の保障が求められます。そのため、業界内の全ての関係者には高い責任感が要求されます。
高品質な医療機器を提供するためには、関係者全員が責任を持って業務に取り組む必要があります。志望動機で責任感の強さをアピールすることは、医療機器業界が患者さんの健康と生活に直接影響を与える重要な役割を果たしていることを理解していると示すことができます。
向上心が強い
医療機器業界は急速に変化しており、常に新しい技術やイノベーションが求められています。向上心のある人材は、技術の進化について学び、自己成長をさせることができます。自身の向上心を通じて、企業に貢献したいという意思を明確に示すことで、良い印象を与えることができるでしょう。
業界での経験を通して、自分を向上させ、より高いレベルの責任や役割を果たすことに興味を持っているというアピールに繋がります。
【例文】医療機器業界の志望動機
例文①営業職を志望する場合
私が貴社を志望する理由は、過去の経験から患者さんの生活を支える製品の提供に貢献したいという願いを抱いているからです。以前、地域の病院で患者支援のボランティアに参加し、高齢者の笑顔を見ることで、医療機器の重要性を深く理解しました。この経験から、顧客との信頼関係を築きながら、適切な医療機器を提案する営業職に魅力を感じています。そして、貴社が持つ技術力とイノベーションに強く共感しております。私は、貴社の技術力とイノベーションが、医療機器業界における真のリーダーシップを象徴していると信じています。もし、入社することができましたら、責任感や提案力を強く発揮し、医療機器を必要としている方々の笑顔が増やせるよう、貢献していきたいと考えています。(350字以内)
この例文は、学生時代に参加したボランティア活動がきっかけとなり、医療機器業界の営業職を目指している学生の志望動機です。
なぜ、医療機器業界の営業職を志望しているのか、なぜその企業を志望しているのかという部分に触れることで、企業に対して熱意を伝えることができます。
また、自分の経験を交えることで、独自性の高い志望動機になります。他の就活生との差別化を図るためには、オリジナルなエピソードは効果的です。
例文②技術職を志望する場合
私は、医療機器の開発や発展に貢献したいと考え、貴社を志望しました。数年前、私の祖母が重病に見舞われました。その際、入院していた医療機関の先進的な医療機器によって、治療とリハビリテーションを上手く進めることができました。この経験から、医療機器の重要性と技術の進歩が人々の生活を変える力があるのだと、深く感謝し理解を得ました。貴社では、業界の中でも医療機器の開発技術に関して、トップレベルで注力されています。開発が進むことで、これまで以上に多くの患者さんや家族の方が支援を得られるようになるという希望を抱いています。大学の研究活動では、新たな知識を追求し、未解決の課題に挑戦する喜びを体験しました。このような私の知的好奇心を活かし、医療機器の技術開発に携わり、貴社の発展へと貢献したいと考えています。(350字以内)
この例文は、家族の病気の経験を通して、医療機器業界の技術職を目指すようになったという学生の志望動です。こちらも、自分のエピソードを加えることで、独自性の高い志望動機となっています。
技術職は、より専門性の高い職種であるため、仕事内容への理解も大切です。開発に関する職種は、大学時代に専攻していた内容が活かせるケースが多くあります。自分の強みとしてアピールすると良いでしょう。
医療機器業界への理解度が志望動機の評価に繋がる!
医療機器業界の志望動機を作成する場合は、業界の特徴や企業が取り扱う製品、仕事内容などを十分に理解することが大切です。業界研究や企業研究を徹底したうえで、志望動機の内容の作成に取り掛かりましょう。
数多ある業界・業種のなかで、なぜ医療機器業界なのか、なぜその企業なのかを上手くアピールすることで、選考で高評価を得られます。今回お伝えした要点や例文を基に、他の就活生と差別化が図れる志望動機を作成しましょう。