自己PRで集中力をアピールするための伝え方や具体的な書き方に悩んでいる方も多いのではないでしょうか。集中力の高さを強調するために重要なのは、独自性の高いエピソードを通して明確にアピールすることです。
本記事では、自己PRで集中力をアピールするときの方法や周囲と差別化するためのポイント、注意点について解説しています。
目次
そもそも集中力とは?
集中力とは「特定の物事に対して、意識を一点集中させて取り組める力」です。
人は集中力が切れている状態では、その物事に無関係なことにも意識が向いてしまい、結果的に物事の進行度・クオリティが低下します。一方、意識が一点集中していれば、周りの環境・状況に左右されることなく対象の物事に取り組むことができるため、ハイクオリティな結果へとつながります。
集中力は少なからず誰もが持ち合わせていますが、この能力はセルフコントロールが上手い人ほど、発揮する条件やタイミングを調整しやすい傾向にあります。
社会人は、与えられている仕事のプロである姿勢が求められます。そのため、仕事の精度を高められる能力の一つである集中力は、自己PRの場でも大きな強みとなります。
集中力を強みとしている人は、積極的に自己PRでアピールしていきましょう。
集中力を強みとする人が自己PRでアピールできること
マルチタスクが得意
複数の物事を同時並行で進めるためには、非常に高い集中力が必要です。
マルチタスクをこなすためには、各タスクの進め方・進捗・課題の有無を視点を上手く切り替えながら把握する必要があるためです。
一方、集中力がない状態では意識が分散してしまい、確認・対応漏れなどのミスが生じてしまう恐れがあります。また、本来よりも十分に能力を発揮できず、タスクのクオリティも低下しやすい傾向があります。
複数のタスクを掛け持つ業務は、責任のある重要な役割であることが多いです。そのため、マルチタスクをこなせるスキルは、将来的なキャリア形成においてもプラスに働くアピールポイントです。
仕事のクオリティが高い
集中力が高い状態で物事に打ち込める人は、仕事の精度が高い印象を与えます。なぜなら、意識を分散させずに一つの物事へ向き合っている状態では、ミスや問題が起こる可能性が限りなく低いためです。
集中力が低い状態で完成させた仕事は、何らかのミスや問題が隠れている可能性が潜んでいます。その仕事を提出された上司の心には、「また間違いがある…確認くらいちゃんとしてよ」という気持ちが浮かぶでしょう。
完成度の高い仕事ができる人は企業から信頼されやすく、重要な仕事を任せてもらえるチャンスが増えます。人事担当としても、そのようなスキルを兼ね備えている学生さんを採用したいと思うのが自然といえます。
粘り強く物事に打ち込める
集中力が高い人は、忍耐強く物事に取り組めるという印象を人事担当へ与えることができます。
一般的に、大人が一つの物事へ集中できる時間は50分という説があります。しかし、50分間の中でも同じ度合いで集中しているわけではなく、15分間の中で波があると言われています。
集中力がある人は、「物事をやり遂げる」という目的意識が強いため、この波に呑まれにくい傾向があります。仕事を途中で放り出したり中途半端な部分で終わらせないので、仕事が仕上がるスピードや精度が高いといえます。
そのような人はビジネスの場でも信用されやすいため、物事へ粘り強く取り組める姿勢は、大きなアピールポイントへつながります。
他の学生と差がつく!自己PRで集中力をアピールするポイント
実体験のエピソードを通して伝える
自己PRで集中力を伝える時は、あなたの実体験を交えてアピールすることが非常に重要です。
実体験の説明がないまま「集中力があります!」という主張を行った場合、「どのようなプロセス・いきさつがあって集中力を得られたのか?活用できたのか?」というストーリーが全く分かりません。
人事担当は大勢の就活生から自己アピールを受ける身なので、「集中力がある」という主張だけでは心を動かされません。あなたオリジナルのエピソードを聞いて初めて、「この子は集中力がある子なんだな」と知ることができます。
実体験は、アルバイト・インターンシップ・勉強・留学など、何でも構いません。大事なことは、「あなたが自信と実体験をもって自己PRできるか?」です。自分の強みが発揮できたエピソードを選ぶようにしましょう。
数値などを交えて具体的に表現する
自己PRに説得性を持たせるために重要なのが、「数字による裏付けされた表現」です。
たとえば「テストの成績が大きくアップした」と伝えるよりも、「テストの成績が学年100位→10位にアップした」と伝えた方が説得力の強さは段違いといえます。
また、集中力の強さを伝える上で「時間を数字で伝える方法」もおすすめです。「3ヶ月間集中して勉強した結果、テストの成績が学年100位→10位にアップした」などのように時間と結果の両方を数値化させて伝えれば、より裏付けされた自己PRが可能となります。
仕事でどのように活かせるのかを伝える
自己PRで集中力をアピールする際は、その強みを「仕事でどのように活かせるのか」を述べることが重要です。
人事担当は、あなたが集中力の高さを培った経緯・エピソードについて詳しく知りたいのは事実です。しかし、集中力を仕事へ活かすイメージが明確でなければ、自己PRとしては「弱い」と判断されてしまいます。
もちろん、どのような仕事においても実際に経験しなければ内情までは分かりません。まずは現段階での仮説でも良いので、「集中力の高さをどうやって活かせるのか?」を、あなたの志望職種に当てはめて考えてみましょう。
言い換え表現を用いる
あなたを含む多くの就活生が、企業の選考を通過するために自身のアピールポイントを熟考します。その中でも、「集中力」は就活生、企業の双方から多くの人気を集めるアピールポイントです。
そのため、他の就活生と差をつけるためには、あえて「集中力」を別のワードに言い換える必要があります。たとえば、「一つの物事に打ち込める力」「細部に渡って配慮できる」「一度決めたら最後までやり遂げる忍耐力」など、頭を柔らかくすれば様々な言葉へ変換することが可能です。
また、「集中力」という言葉を細かくかみ砕いて伝えることで、「抽象的な言葉で完結させず、自分の言葉に言い換えてアピールできる子だな」というプラスの印象を人事担当へ与えることができます。
自分の人柄を交えてアピールする
自己PRの目的は、言葉の通り「自己アピールによってあなたの印象を強める」ことです。それと同時に、あなたの魅力を人事担当へふんだんに伝えるチャンスでもあります。
集中力はスキルの高さを明確にアピールできる要素ですが、あなたのパーソナリティを知る上では少々、情報不足感が否めません。
「なぜ集中力を発揮できたのか」「集中力を高められたきっかけは何か」など、自分自身の考え・価値観を交えて伝えると良いでしょう。
自己PRを通して「あなた」という人間を知ってもらえれば、「あなたと一緒に働いてみたい」と人事担当に思ってもらえる可能性が高まります。
短所のカバー方法も一緒に述べる
自己PRにおいて、集中力は間違いなく大きなアピールポイントです。
しかし、どのような物事もプラス面・マイナス面が存在するように、集中力の高さは見方を変えればマイナス要素として捉えることもできます。
たとえば、「集中力がある」=「一つの物事に取り組める力」としてかみ砕いた場合、マイナス面として「視野が狭くなりやすい」という解釈ができます。
面接では、人事担当がマイナス要素をカバーするための方法について、あえて就活生へ質問を投げかける場合もあります。そのようなシチュエーションになっても慌ててしまわぬよう、短所のカバー方法を一緒に伝えると良いでしょう。
前述したパターンでいうと、「物事に一度集中すると周りが見えなくなりやすいので、1時間に1回は手を止めて、進捗確認するように心がけています」などといった伝え方が正解パターンの一つです。
集中力の自己PRが刺さりやすい職種
事務職
一般的な事務職とは、様々なデータ・情報の取りまとめや資料作成が主な業務です。
事務職は確認・対応漏れなどの業務ミスの少なさを第一に求められるため、一つの物事へ取り組める集中力の高さが求められます。さらに複数の案件・業務を同時並行で進める場合も少なくないため、マルチタスクが得意な人も事務職に向いています。
また、経理などの事務職は、会社の売上管理に携わります。一つのミスが大きな損失につながってしまう恐れもあるため、原則としてミスが許されない仕事です。そのため、集中力があることは仕事のミスが少ない人材とみなされ、事務職への適性が高いと判断されるでしょう。
エンジニア職
この仕事は、システム管理やサーバ保守、管理などの情報管理・ソフトウェア設計に携わります。
実際の業務は地道で緻密なことがほとんどのため、作業が長時間におよぶことも少なくありません。長時間に渡ってプログラミングを書き続ける場合もあるため、エンジニア職=自分との闘いといっても過言ではありません。そのため、地道な作業にも気を抜かずに取り組める集中力の高さが求められる職種です。
また、一つの小さな不具合がネットワーク故障、サーバーエラーなどの致命的なトラブルにつながるケースもあります。小さなミスも見落とさないような高い注意力を持つ方は、多くの現場で重宝されます。
クリエイティブ職
この仕事は、プロデューサーやディレクターなどの企画・管理系から、デザイナーや編集、ライターなどの制作系まで幅広い職種が挙げられます。
「クリエイティブ」という言葉の通り、0から1を生み出す仕事のため、集中力がない状況では良いアイディアを生み出せません。集中力がないまま無理やり業務を進めたとしても、成果物のクオリティが低かったり、何らかミスが隠れている可能性も高い傾向です。
クリエイティブ職は、「いいものを創造する」という意識をいかに研ぎ澄ませるかが、業務の精度を左右します。このことから、クリエイティブ職には物事へ真摯に取り組める集中力の高さが求められると言えます。
集中力をアピールできる自己PRの例文5選
ゼミ活動
私が集中力を培うことができた経験は、ゼミでのイベント企画・運営です。
私は地域イベントを実施するゼミのリーダーに選任されました。イベントの準備期間は3ヶ月間と短いものでしたが、「どうしたら地域の方々に喜んでもらえるか」を常に考え、皆様に喜んでいただけるアイディアを数多く出し、ゼミメンバーを牽引しました。
さらにメンバー全員で広報活動を積極的に行った結果、イベントには想定の2倍以上の方々にお越しいただき、「素敵な機会をありがとう」というお声も多くいただきました。
このような結果を実現できたのは、短い期間でもミッションを全うするために目の前のことに意識を一点集中できたおかげです。
入社後も集中力の高さを活かして、短期間でも成果を出せるよう効率的に業務に取り組んでいきます。(350字以内)
この自己PRのポイントは、集中力を培ったプロセスと結果が数字を用いて表現されている点です。
リーダーを務めた経験がある点も、責任感をもって物事に取り組める人物像がイメージしやすい傾向です。
さらにイベント企画の経験がある点も「アイディア出しが得意」という印象を与えられるため、様々なポテンシャルを秘めている点をアピールできる自己PRといえます。
部活動
私は大学時代、演劇部に所属しており部長を務めました。
大学3年生の春に都内30校が集う演劇会への参加を控えていた際、直前に主演メンバーがケガをしてしまい、舞台に立つことができなくなってしまいました。
その際、私は部長としての責務を果たすべく、そのメンバーに代わって役を引き受け、開催3日前から全てのセリフと動きを覚え、舞台に立つことができました。私の演技を見たお客様からは、「直前で仕上げたとは思えないほど素晴らしかった」というお声をいただきました。
このようなことができたのは、舞台を必ず成功させたいという決意と強い集中力の賜物だと考えています。部活動で発揮した私の集中力を活かして、ハイクオリティな仕事の結果を出したいと思います。(350字以内)
集中力を発揮できたプロセスが判りやすくまとめられている点がポイントです。
また、部長を勤めていたことや、主演に代わって役を引き受けたという責任感の強さもアピールできている点も高評価につながりやすい要素です。
集中力以外にも強調したい部分がある際は、エピソードに織り交ぜながら伝えることで「この子はデキるな」と人事担当に思ってもらえる可能性が高まります。
アルバイト
複数のタスクをバランスよく進めることができる点が私の強みです。
私はアウトバウンド系のコールセンターにて、50名のメンバー管理・マネージメントを行うリーダーを務めました。同時に個人としての架電対応も課されたのですが、個人の成績もクリアし、さらにチーム達成率150%という結果を残すことができました。
これらを達成できたのは、各タスク別の目標を適切に設定し、達成にむけて着実に進捗を進める行動を行えたからです。非常に高い集中力が必要とされましたが、目標達成を見据えて一つひとつこなしていきました。
この経験から、マルチタスクをスムーズに進めるスキルが備わったと思います。入社後も広い視野を持って業務を遂行し、貴社に貢献したいです。(350字以内)
マルチタスクが得意という点を端的に述べている点がポイントです。
また、メンバー管理の人数やチーム達成率の%を数字で表現している点も裏付けされた自己PRとしてプラスの印象を受けます。
この自己PRはマルチタスクの高さが伝わるので、特に刺さりやすい職種は事務職などが挙げられます。
複数のタスクを同時並行できた成功談が実際の業務へ活かせるイメージを立てやすいです。
ボランティア活動
私の長所は、一つの物事に対して真摯に取り組める集中力です。
大学1年生から所属しているボランティア団体で、私は絵画プロジェクトのリーダーを務めました。その絵画は、約300名のイベント参加者の手形をひとつに集めて完成させるものでした。
私自身このような取り組みは初めてでしたが、プロジェクトを成功させるために様々な美術館へ足を運んでアートを学び、美術の先生に段取りや制作ポイントを教えてもらうなど、様々な取り組みを行いました。結果として絵画プロジェクトは大好評で終わり、市のコンクールで金賞を受賞しました。
私の誰にも負けない強みは、一つの物事に没頭できる高い集中力です。貴社に入社した暁には、持ち前の集中力を活かして、クオリティの高い結果を出し続けたいと思います。(350字以内)
この自己PRのポイントは、物事へひたむきに取り組めるパーソナリティが伝わる点です。
本文にある初の取り組みであった中で情報収集を重ねたエピソードから、真面目で真摯な姿勢を持つ人物像が想像できます。また、イベント参加人数がボランティア活動の規模感を自然に表現しています。
クオリティの高い成果を残した経験を入社後も活かしたいという主張も、一貫性のある自己PRであるという印象を与えます。
長期インターンシップ
私の強みは、限られた時間内でも成果を出せる集中力の高さです。
私は不動産会社のインターンシップにて、営業活動に取り組んだ経験があります。
インターンシップから内定へつなげるためには、お客様のニーズを汲み取り適切なアドバイスを行う提案力が必要だと考えました。そこで、ヒアリング練習と提案ロープレに集中して打ち込んだ結果、入社後1ヶ月でインターンシップの中でトップの業績を上げることができました。
このように、短期間でも集中して成果を発揮できることが私の強みです。これらの経験を活かして、貴社に入社できた暁にはデータを適切に分析し、課題解決に導きたいと思います。(300字以内)
このPRのポイントは、成果を出した期限に焦点を当てて集中力の高さをアピールしている点です。
あえてプラスすべき要素を言うのであれば、インターンシップ参加人数を追記することです。この自己PRだと、何人中何人の割合で営業TOPとなったのか?が分からないため、成果の凄みが少々イメージしにくいといえます。
そこだけ肉付けできれば、十分説得性のある自己PRであると言えるでしょう。
自己PRで集中力をアピールする時の注意点
エピソードとして適切かどうか
自己PRで集中力をアピールする場合はエピソードの内容が適切であるかの見極めが必要です。集中力のエピソードは、内容によっては誰にでも当てはまるようなことと思われてしまう場合もあります。
例えば、「テスト期間中に集中して勉強に取り組んだ」「何事にも高い集中力で取り組むことができる」など、抽象的な言葉で表現してしまうと、誰にでもできる当たり前のことだという印象を与えてしまいます。そのため、エピソードに独自性や具体性を持たせるようにしましょう。
短所にもなり得る
集中力のアピールは、捉え方によっては短所にもなり得ます。エピソードに偏りがあると、「融通が効かない」「周りが見えなくなる」などと捉えられてしまう可能性があります。
そのため、集中力をアピールする際には、「周囲への気遣い」「自分の興味のないことにも集中できる」など他のアピールポイントと、それに基づくエピソードを複数用意しておくことがおすすめです。
集中力が評価されない職もある
集中力は仕事をする上で必要なスキルですが、必ずしも全ての職場で評価されるとは限りません。そのため、業界分析や企業研究をしっかりと行った上で、集中力が効果的なアピールとなるかどうか判断しましょう。
特に、人とコミュニケーションを取りながら進めていく仕事では集中力よりも、柔軟性や臨機応変さなどが求められます。そのため、自分の志望する業界や職種に合わせ、「何事にも真摯に取り組むことができる」「色々なことを同時進行することができる」など表現や視点を変えてみると良いかもしれません。
集中力をアピールして好印象を企業へ与えよう!
自己PRにおいて、集中力の高さは大きなアピールポイントとなります。
しかし、「集中力」という言葉がやや抽象的だからこそ、あなた自身の実体験・エピソードをふまえて、あなたの言葉としてかみ砕いて伝えることが重要です。数字を用いて具体的に伝えられれば、より説得性のある魅力あふれる自己PRが可能となります。
本記事の冒頭でも触れたように、集中力の高さは社会人となった後も仕事のクオリティを左右する非常に重要な要素です。そのようなスキルを既に得ていることを上手く人事担当へアピールできれば、あなたを「デキる就活生」として見てもらえる可能性がグッと上がるでしょう。
あなた自身のラブコールが企業へ上手く届いた暁には、「内定」という結果が見えてきます。満足のいくかたちで就活を終えるためにも、本記事の内容を活かしてもらえたら嬉しいです。