「志望動機と自己PRで同じような内容になってしまう」「どう書き分ければいいかわからない」といった悩みを抱えている就活生も多いでしょう。

志望動機と自己PRは、採用担当者があなたを評価する上で重要な要素です。両者の違いを理解し、一貫性を持たせることで、より説得力のある内容にすることができます。

本記事では、志望動機と自己PRの違いから、効果的な書き方、一貫性を持たせるためのポイントまで、例文も合わせて詳しく解説します。効果的なアピールで選考を突破するためにもぜひ参考にしてください。

志望動機と自己PRの違いとは

志望動機と自己PRは、エントリーシートや面接で必ず問われる重要な項目です。

しかし、多くの就活生が両者の違いを十分に理解できていないため、うまく書き分けることができていません。志望動機では企業への熱意や将来のビジョンを、自己PRでは自分の強みと具体的な貢献について伝えます。

志望動機は「なぜこの企業か?」

志望動機では、「なぜその企業で働きたいのか」という理由を明確に示しましょう。採用担当者は、就活生の企業への理解度や入社意欲を志望動機から判断します。

希望する業界を選んだ理由から、企業選択に至るまでのプロセスを明確に説明するとよいでしょう。

また、自分の価値観と企業理念との接点を見出し、入社後のビジョンまで含めて説明できると、より説得力のある志望動機になります。

自己PRは「自分の強みを企業でどう活かすか」

自己PRでは「これまでの経験や実績から培ってきた強み」を具体的にアピールします。単に自分の長所を述べるのではなく、その企業で求められる人材像に沿った形で自己アピールすることが重要です。

特に、自分の強みがどのように形成されたのかを、具体的なエピソードで説明しましょう。また、入社後どのように企業に貢献できるかについても言及することで、採用担当者もあなたを採用する価値を見出すことができます。

志望動機と自己PRを繋げて一貫性を持たせる3ステップ

一貫性をもたせる3つのステップ

①企業の共感ポイントを見つける

②自分の強みや経験を企業のニーズに結びつける

③将来のビジョンと貢献意欲を伝える

1.企業の共感ポイントを見つける

まずは、応募企業のビジョンや使命に共感できるポイントを見つけましょう。企業の共感ポイントを見つけるためには、企業研究をしっかり行うことが重要です。

企業のウェブサイトや業界ニュース、会社説明会を通じて、企業理念や事業内容、将来的なビジョンを把握します。志望する企業が業界でどのような立ち位置や使命を目指しているかを理解しましょう。

例えば、企業が「技術革新で業界に新しい風を吹き込みたい」と掲げている場合、その実現に向けた具体的な取り組みをどのように進めているかなどもチェックしましょう。

2.自分の強みや経験を企業ニーズに合わせて結びつける

次に、企業が求める人材像に自分の強みや経験をどう結び付けるかを考えましょう。そのためには、自己分析で自分の強みを明確にし、企業研究で企業の求める人材やニーズを理解しておくことが大切です。

チャレンジ精神を求める企業に対しては、自ら新しいプロジェクトに挑戦した経験や、難しい課題を乗り越えたエピソードを挙げることで、企業の期待に応えられる姿勢を示すとよいでしょう。

ただ「私は貴社が求める人材です」といっても説得力はありません。エピソードを交え、自分の強みが企業でどう活かせるかを具体的に伝えることで説得力が増します。

3.将来のビジョンと貢献意欲を伝える

入社後にどのようなビジョンを実現したいかを具体的に示し、そのための意欲を表します。企業研究と自己分析の結果を突き合わせ、どういったところでどのような貢献ができそうか考えてみましょう。

ここでのポイントは、志望動機での将来像と自己PRでの強みが自然につながることです。

たとえば、「グローバル展開を推進したい」という企業に対して、自己PRで語学力や異文化理解力をアピールし、志望動機では「その能力を活かして海外事業の発展に貢献したい」と結びつけるといった具合です。

このように、企業の目指す方向と自分のスキルや経験がしっかり結びついていることを示すと、採用担当者に「この人は自社で活躍できそうだ」という具体的なイメージを持ってもらえます。

志望動機に盛り込みたい3つの要素

①なぜその業界を志望するのか

業界志望理由は、単に「成長産業だから」「安定しているから」といったありきたりな理由ではなく、業界の特徴や課題に対する自分なりの見解を示すことが重要です。

例えば、IT業界志望であれば「デジタル化が進む中で、テクノロジーを通じて社会課題を解決したい」といった具体的な理由を述べましょう。また、その考えに至った経緯や、業界に対する理解度もあわせて示すことで説得力が増します。

業界について深く理解するために、日頃から業界レポートやニュースで最新の動向や課題を確認しておくとよいでしょう。上場企業の年次報告書や事業計画を読むと、業界全体の課題や方向性がわかります。

また、業界のセミナーやイベントに参加し、現場の空気感や専門家の意見を知ることも有効です。これらの情報をもとに、自分の関心や目指す役割が業界にどう結びつくかを考えます。

②なぜその企業を選んだのか

同じ業界であっても、各企業には独自の強みや特徴があります。そのため、志望する企業の独自性や競合他社との違いを理解し、「なぜその企業を選んだのか」を具体的に説明することが大切です。企業研究を通して得た情報から、その企業ならではの魅力や自分が共感した点を深掘りしましょう。

志望企業について深く知るためには、ホームページや年次報告書で企業の長期的な目標や強みを調べてみるとよいでしょう。企業が目指す方向性や独自の特徴を理解でき、自分がなぜその企業に惹かれたのかが見えてきます。

また、同じ業界の他社と比較し、志望企業の強みや他社との違いを探りましょう。例えば、技術力が高い、顧客サービスに力を入れているといった点があれば、それが自分にとって魅力的だった理由を具体的に説明すると効果的です。

さらに、企業が過去に手掛けたプロジェクトや社会への貢献を知ることで、企業の価値観や姿勢に共感できるポイントを見つけやすくなります。

③入社後のビジョンや目標

ビジョン設定に必要な3つのこと
  • 強みを活かせる現実的な目標を設定する
  • 企業の方向性と自分のキャリアプランを結びつける
  • 具体的な貢献方法を示す

入社後のビジョンや目標を志望動機に含めることで、採用担当者に長期的な価値を示すことができます。上記の3点を意識してビジョンを設定しましょう。

例えば「5年後には○○の分野でリーダーとして活躍し、新たなプロジェクトを牽引したい」のように、強みと目標がつながる具体的なキャリアプランを示すとよいでしょう。IT分野の場合は「デジタル化が進む中で新しい技術を積極的に取り入れ、業務効率化を図りたい」といった、企業の成長に沿った実現可能な目標設定が効果的です。

自己PRとの一貫性を意識した志望動機例文

例文1:IT企業

例文

私が貴社を志望する理由は、技術革新を通じて社会課題の解決に取り組む姿勢に強く共感したからです。
特に、貴社が進めている高齢者向けデジタルサービスの開発に興味を持ちました。私は大学時代、プログラミングサークルで高齢者向けスマートフォン教室を企画・運営した経験があります。その際、デジタル技術が高齢者の生活をより豊かにできる可能性を実感しました。
貴社では、技術力を活かしながら、実際に利用者の声を丁寧に拾い上げてサービス開発をされています。このような、技術と人の接点を大切にする企業文化に深く共感し、私も貴社の一員としてデジタルデバイドの解消に貢献していきたいと考えています。(300字以内)

「IT企業で働きたい」という漠然とした希望ではなく、企業の具体的な事業に焦点を当てている点が好印象です。また、自身の経験と企業の方針を効果的に結びつけているため、説得力があります。

IT業界は変革の激しい業界なので、最新技術への理解や知識のアップデートが常に求められます。常に最先端の情報を入手できるよう心がけ、入社後のビジョンについてその企業に応じた具体的な新規サービスの提案などができると、一目置かれる存在になれるでしょう。

例文2:商社

例文

私が貴社を志望する理由は、新興国における環境配慮型事業の展開に魅力を感じたからです。
大学での環境経済学の研究を通じて、経済発展と環境保護の両立が重要な課題だと認識しています。卒業論文では「東南アジアにおける再生可能エネルギーの普及と経済発展の関係性」をテーマに研究し、現地でのフィールドワークも実施しました。その過程で、環境技術の導入には現地のニーズや文化的背景への深い理解が不可欠だと実感しています。
貴社はアジア地域での再生可能エネルギー事業において、現地企業との強固なネットワークを活かしながら、持続可能なビジネスモデルを確立されています。私は留学経験を通じて培った語学力と異文化理解力を活かし、現地企業とのパートナーシップ構築に携わることで、経済発展と環境保護の両立に貢献したいと考えています。(350字以内)

具体的な分野に注目し、自身の研究テーマと企業の取り組みを効果的に結びつけている点に一貫性があります。

また、企業の強みを具体的に挙げており、しっかり企業研究をしたことが伝わるでしょう。

留学経験があるのであれば、具体的にどの国で、どのようなプロジェクトに関わったかなどに触れると、即戦力としての期待感を高められます。

商社は総合商社から専門商社まで、各社の取り扱う商材や注力分野が大きく異なります。志望する商社の特徴や強みを十分に理解した上で、自身のキャリアプランとの接点を具体的に示すことで、より説得力のある志望動機を作成できるでしょう。

例文3:小売業

例文

私が貴社を志望する理由は、地域に密着した店舗づくりへの取り組みに感銘を受けたからです。
貴社では、各店舗が地域の特性や顧客ニーズに合わせた品揃えや売り場づくりを行い、単なる物販にとどまらない地域コミュニティの場を創出されています。私は学生時代、地域の商店街活性化プロジェクトに参加し、地域密着型の商業の重要性を実感しました。
特に、貴社の「地域創生プロジェクト」では、地元生産者との協働や地域イベントの開催など、革新的な取り組みを実践されています。私も貴社で、地域に根差した店舗づくりを通じて、お客様と地域社会の架け橋となれることを目指しています。(300字以内)

地域密着型という企業の特徴的な取り組みを具体的に理解し、実際の施策にも言及している点が評価できます。

また、学生時代の経験から得た気づきと、入社後の目標が自然につながっており、説得力のある志望動機になっています。

アルバイトなどの実務経験を通じて企業や業界を志望するようになったきっかけは、具体的なエピソードとして志望動機に入れやすいでしょう。独自性のある志望動機は、他の就活生との差別化が図れます。

例文4:サービス業(ホテル)

例文

私が貴社を志望する理由は、「おもてなしを通じた感動創造」という理念と、それを実現するための具体的な取り組みに深く共感したからです。
貴社では、マニュアル化された接客だけでなく、一人ひとりのスタッフが考え、お客様一人ひとりに合わせた最高のサービスを提供されています。特に、宿泊客の些細な言動からニーズを察知し、期待以上の体験を提供する「アンティシペーション・サービス」の考え方に強く惹かれました。
カフェでのアルバイト経験から、お客様の期待を超えるサービスを提供する喜びを知りました。貴社で、より高度なホスピタリティを学び、実践することで、世界中のお客様に感動体験を提供できる存在になりたいと考えています。(300字以内)

「おもてなしを通じた感動創造」という企業理念だけでなく、「アンティシペーション・サービス」という具体的な取り組みにも言及しており、深い企業研究をしたことが伝わってきます。

カフェでのアルバイト経験と、そこから得た気づきを効果的に組み込んでおり、ホスピタリティに対する理解と情熱が感じられる志望動機となっています。お客様から感謝された経験など、より具体的なエピソードを加えることで、さらに説得力のある内容になるでしょう。

志望動機は、いかに採用担当者の印象に残るかが書類選考突破のポイントです。あなたならではの経験やエピソードを織り交ぜ、個性的で説得力のある志望動機を作成しましょう。

自己PRで伝えるべき3つの要素

①自分の強み

自己PRの核となるのは、あなたの強みです。就活における強みとは、単なる性格や特徴ではなく、企業で活かせる具体的なスキルや能力を指します。

たとえば「コミュニケーション能力が高い」といった漠然とした表現では、他の就活生との違いを示すことができません。「多様な価値観を持つメンバーの意見を集約し、プロジェクトを成功に導く調整力がある」というように、具体的に説明できる強みを見つけましょう。

強みを見つける際は、周囲からの客観的な評価も参考になります。アルバイトでの上司や先輩からのフィードバック、サークル活動での仲間からの評価など、第三者の視点を取り入れることで、より信頼性の高い自己PRを作ることができます。

②強みを裏付けるエピソード

「協調性がある」「努力家である」というような強みを単に主張するだけでは、説得力に欠けるだけでなく、他の就活生との差別化ができません。

採用担当者の記憶にしっかり残すためにも、その強みがどのように培われ、実際にどう発揮されたのかを示す具体的なエピソードが必要です。このエピソードは、あなたならではの経験で、かつ志望企業での活躍をイメージさせるものが望ましいでしょう。

エピソードを語る際は、次のような要素を含めると効果的です。状況・行動・工夫・結果を明確に伝えることで、あなたの強みが実際に役立つことを具体的に示せます。

  • どのような状況だったか
  • なぜその行動を選んだのか
  • どのような工夫や努力をしたか
  • 具体的にどのような結果が得られたか

③強みをどう企業で活かすか

自己PRの最後の締めくくりは、強みを具体的に活用する方法です。「貴社に貢献したいです」といった抽象的な表現ではなく、企業の事業内容や課題に即した具体的な提案をしましょう。

たとえば、グローバル展開を目指す企業には、「異文化理解とコミュニケーション力を活かし、海外拠点の橋渡し役として貢献したい」などと示すと効果的です。自分の強みが企業のビジョンとどう結びつくかを具体化しましょう。

ただし、実現可能性を考慮し、過度に大きな提案は避けるのが賢明です。

志望動機との一貫性を意識した自己PR例文

例文1:コミュニケーション能力

例文

私の強みは、多様な立場の人々の意見を理解し、円滑なコミュニケーションを実現する力です。
大学時代のプログラミングサークルでは、地域の高齢者向けにスマートフォン教室を企画・運営しました。初めは専門用語を多用してしまい、参加者の方々に十分な理解を得られませんでした。
そこで、参加者一人ひとりの理解度や興味に合わせて説明方法を工夫し、実際の生活シーンに即した具体例を用いることで、徐々に理解を深めていただくことができました。最終的には参加者の80%以上から「とてもわかりやすかった」という評価をいただき、継続的な参加につながりました。
この経験を活かし、貴社の高齢者向けデジタルサービス開発において、ユーザーの声を丁寧に拾い上げ、開発チームと利用者を繋ぐ架け橋として貢献したいと考えています。こうした取り組みを通じて、より使いやすいサービスの実現に寄与できればと考えております。(400字以内)

「相手の理解度に合わせた説明方法の工夫」や「生活シーンに即した具体例の活用」など、コミュニケーション能力の中でもとくに秀でている部分を具体的に示せているため、説得力があります。

また、その強みを企業の事業と結びつけており、入社後の具体的な貢献イメージも明確です。

コミュニケーション能力は多くの学生が挙げる強みです。そのため、「コミュニケーション能力」という抽象的な言葉は使わず、「わかりやすく説明するのが得意」や「傾聴力を持って会話できる」など特にアピールしたいポイントに絞って言い換えるとよいでしょう。

例文2:語学力と異文化理解力

例文

私の強みは、異文化環境での円滑なコミュニケーション能力です。
1年間の東南アジアでの留学経験で、現地学生との共同プロジェクトをリードする機会がありました。言語の壁だけでなく、文化的背景による考え方の違いに直面しましたが、相手の価値観を理解し尊重する姿勢の大切さを学びました。
とくに、環境保護に関する意識の違いを感じた際は、各国の経済状況や生活習慣を踏まえた上で議論を重ね、全員が納得できる解決策を見出すことができました。このプロジェクトは最終的に学内コンペティションで優秀賞を受賞しました。
貴社の新興国における環境事業において、この経験を活かし、現地のニーズと日本の技術をマッチングさせる橋渡し役として貢献したいと考えています。(350字以内)

留学時の共同プロジェクトというエピソードを通じて、文化的な価値観の違いを乗り越えた具体的な経験と、その成果が明確です。

近年の企業活動はますますグローバル化が進んでおり、海外とのビジネスや異文化コミュニケーションの機会が増えています。海外留学の経験がある場合は、単なる語学力だけでなく、異文化理解や課題解決の具体的なエピソードとして積極的に取り入れると、より印象に残る自己PRとなるでしょう。

例文3:マーケティング力と企画力

例文

私の強みは、地域のニーズを的確に捉え、具体的な施策に落とし込む企画力です。
大学3年次、インターンシップで参加した商店街活性化プロジェクトにおいて、地域住民200名へのアンケート調査を実施し、データに基づいた提案を行いました。調査結果から、子育て世代の利用が少ないことが判明したため、子育て支援施設と連携したイベントを企画しました。
毎月開催する「親子でつくる商店街マルシェ」を立ち上げ、地域の方々と協力して運営した結果、子育て世代の来街者が前年比150%に増加しました。また、この取り組みが地域メディアに取り上げられ、商店街の認知度向上にもつながりました。
貴社の地域密着型の店舗運営において、このようなマーケティングスキルと企画力を活かし、地域特性に合わせた売り場づくりや集客施策の立案に貢献していきたいと考えています。(400字以内)

この自己PRでは、「地域住民200名」「来街者が前年比150%」など具体的な数値が入っているため、成果がしっかりと示せています。また地域メディアでの掲載という第三者からの評価もあり、企画力の確かさが伝わってきます。

客観的な評価や具体的な数値を盛り込むことで、自己PRの信憑性や説得力が高まります。

自身の経験を振り返る際は、具体的な数値や第三者からの評価、受賞歴などがないか、意識的に探してみましょう。たとえアルバイトやサークル活動での小さな成果でも、具体的に示すことができれば効果的な自己PRの材料となります。

例文4:ホスピタリティ

例文

私の強みは、お客様一人ひとりのニーズを察知し、期待以上のサービスを提供するホスピタリティマインドです。
カフェでのアルバイト経験で、単にオーダーを取るだけでなく、お客様の表情や会話から真のニーズを読み取ることを心がけてきました。例えば、仕事の打ち合わせでご利用のお客様には、話し声が他のお客様の迷惑にならない座席をご案内したり、タイミングを見計らって料理を提供するなど、状況に応じた配慮を行いました。
その結果、常連のお客様が増え、接客に関する社内表彰を2度受賞しました。また、新人スタッフの教育も任されるようになり、自身のノウハウを共有することで、店舗全体のサービス品質向上にも貢献しました。
貴社でも、この経験を活かしながらより高度なホスピタリティを身につけ、お客様一人ひとりに心に残る感動体験を提供できるよう努めていきたいと思います。(400字以内)

この自己PRでは、具体的な成果に加え「新人スタッフの教育を任された」という上司からの評価も示されており、ホスピタリティスキルの高さが説得力を持って伝わってきます。

また、「仕事の打ち合わせでご利用のお客様への配慮」など、具体的なサービス例を挙げることで、ホスピタリティという抽象的な強みをわかりやすく表現できています。さらに「店舗全体のサービス品質向上」という、組織への貢献まで言及できている点も効果的です。

「ホスピタリティ」という言葉は、その意味が広く曖昧になりがちです。単なる接客での配慮だけでなく、相手の立場に立って考える力や状況に応じた行動力など、ビジネス全般で活かせる要素を含んでいます。

自己PRでは、ホスピタリティという言葉をそのまま使うのではなく、自分の強みを具体的な表現で示すとよいでしょう。

ESの志望動機と自己PRの欄が同じ場合は?

①志望動機をメインに自己PRを補完する

効果的に伝える構成

①企業の魅力や志望理由を述べる

②その企業で実現したいことと、それを可能にする自身の強み

③具体的な経験やエピソードによる裏付け

④入社後のビジョンと貢献意欲

上記は志望動機を軸として、それを裏付ける形で自己PRを組み込んでいる構成になっています。このような段落の構成で記載すると、簡潔に内容をわかりやすく伝えることができるでしょう。

段階ごとにしっかりと内容を定めて組み立てることで、志望動機と自己PRを組み合わせても綺麗な形でまとめることができます。

上記構成をふまえた例文が下記となります。

例文

貴社は「人生最高の瞬間をデザインする」という理念のもと、一組一組のカップルに寄り添ったオリジナルウエディングを提案されています。とくに、おふたりの出会いや思い出を演出に反映させる姿勢に深く感銘を受けました。

私は、お客様一人ひとりの想いを丁寧に引き出し、それを形にする提案力を活かして、心に残る結婚式を創り上げていきたいと考えています。大学時代から培ってきたヒアリング力と企画設計力を、ウエディングプランナーとして存分に発揮できると確信しています。

学生団体での学園祭企画では、100名以上の参加者に事前ヒアリングを実施。一つひとつの要望を丁寧に聞き取り、予算内で最大限の満足度を追求した結果、イベント満足度98%を達成しました。この経験を通じて、人々の想いを実現することへのやりがいを強く感じました。

入社後は、おふたりの希望を超える感動的な演出が提案できるプランナーを目指します。(400字以内)

②志望動機と自己PRを明確に分ける

見出しや段落で区切りをつけ、それぞれの内容を明確に分けて記載する方法もあります。

志望動機には企業研究で理解した強みや特徴、志望理由と入社後の展望を、自己PRには自身の強みとその具体例や企業での活用方法などを記載します。

ただし、内容面での一貫性は必ず保つようにしましょう。

例文

【志望動機】日本の優れた製品を世界に広め、グローバルな価値創造に貢献したいと考え、貴社を志望いたしました。貴社は50年以上にわたり、アジア地域との強固な信頼関係を築き、環境配慮型商品の取り扱いを強化することで、サステナビリティと収益性の両立を実現されています。私は入社後、アジア市場における環境配慮型商品の展開に携わり、持続可能な社会の実現に貢献していきたいと考えております。

 

【自己PR】私の強みは、異なる価値観を持つ人々との関係構築力です。留学中の環境問題をテーマとした国際学生フォーラムでは、5カ国10名のメンバーをまとめるリーダーを務めました。言語や文化の壁を越えて意見をすり合わせ、各国の環境規制の違いを踏まえた実現可能な提案を行い、最優秀賞を受賞しました。この経験で培った異文化理解力とリーダーシップを、貴社の海外事業展開において発揮していきたいと考えています。(400字以内)

自己PRと志望動機を書く時によくある質問

Q.志望動機と自己PRはエピソード内容が被っても良い?

完全に同じ内容を繰り返すことは避けるべきですが、同じエピソードや経験を異なる視点で活用することは問題ありません。

同じエピソードを異なる角度からアピールすることで、むしろ説得力が増します。

Q.志望動機と自己PRに一貫性は必要?

一貫性は非常に重要です。採用担当者はあなたの書類をさまざまな角度から評価しており、志望動機と自己PRの内容に矛盾があると、あなたの本気度や信頼性を疑われかねません。

志望動機と自己PRが自然につながり、「この人なら本当に活躍してくれそうだ」と採用担当者を納得させられるような内容を書くよう心がけましょう。

Q.志望動機と自己PRがどうしても繋がらない時は?

志望動機と自己PRのつながりが弱い場合、その多くは企業研究と自己分析が不十分なことが原因です。

志望動機と自己PRを効果的に結びつけるには、企業の事業内容や課題を深く理解し、そこに自分の強みをどう活かせるか具体的に考える必要があります。時間はかかりますが、この準備こそが説得力のある内容を書くための近道です。

一貫性のある志望動機と自己PRで内定を勝ち取ろう

志望動機と自己PRは、採用担当者があなたを評価する重要な判断材料です。志望動機では企業を選んだ理由と将来のビジョンを、自己PRでは具体的な強みと貢献可能性をアピールすることで、相互に補完し合う内容にしましょう。

両者の一貫性を保つには、企業研究と自己分析を徹底的に行い、具体的なエピソードを通じて自分の強みを証明することが欠かせません。また、入社後のビジョンを示すことで、より説得力のある内容となります。

志望動機と自己PRは別々の項目ですが、採用担当者はこれらを総合的に判断します。内容に矛盾がないよう慎重に検討して、企業の採用担当者に響くエントリーシートを作成しましょう。

本記事で解説した内容を参考に、あなたらしさを活かしながら、一貫性のある志望動機と自己PRを作成し、志望企業への内定獲得を目指してください。

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