就活のESや面接で必ず問われる「ガクチカ」。テーマやエピソードは決まったものの、最後をどう締めくくるべきか迷っている方は多いのではないでしょうか。ガクチカは締め方によって、企業への印象を大きく左右します。
本記事では、ガクチカの締め方のパターンや意識するポイントに焦点を当て、自信を持って企業にアピールできるガクチカを作成するためのヒントを詳しく解説します。さらに、記事後半では例文も紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
ガクチカの締め方は2つのパターンがある
ガクチカの締め方①その経験から得た学びを書く
ガクチカの締め方の1つ目のパターンは、文章の終わりで、その経験から得た学びや成長を強調するという書き方です。例えば、「私はこの経験から、◯◯ということを学びました」というような書き方で締めくくります。
その経験がどのように自分自身を変え、成長させたのかを明確に示すことで、ガクチカの内容がより効果的に演出できます。ただ経験したことを伝えるのではなく、そこから何を学んだのかを伝えることを意識して作成しましょう。
ガクチカの締め方②入社後にその経験をどう活かすのかを書く
2つ目のパターンは、入社後、学生時代に力を入れていた経験をどのように活かすのかについて具体的に書きます。例えば、「この経験を活かし、貴社でも◯◯の業務で貢献したいと考えています。」というような書き方で締めくくります。
自身の経験がどのような点で会社に貢献できるのかを示しましょう。そうすることで、仕事に対して意欲的であることや企業への志望度をアピールすることができます。
企業がガクチカで見ているポイント
論理的な思考ができるか
課題に対してどのような取り組みをどのような理由で行ったのかという点からは、論理的な思考力や分析力を読み取ることができます。これらは社会人として必須の能力であるため、多くの企業はそれがどの程度備わった人材かを知りたいと考えています。
そのため、曖昧であったり、根拠に乏しい理由が書かれていると、それだけで能力不足であると判断されかねません。
経験から学びを得ているか
ガクチカを経て学んだことは、必ずしも企業の業務と一致するわけではありません。しかし、企業が知りたいのは「どんな知識や能力を身に着けたか」ではなく、「どんな姿勢で物事に取り組む人か」という点です。
ガクチカの内容が事業と関係なくとも、取り組みやその結果に対する姿勢は、入社後の仕事に対する姿勢に通じるものがあります。企業はそこから就活生がどのように働いてくれる人材かを判断しています。
コミュニケーション能力があるか
ガクチカのほとんどは、複数の人間との関わりが必要となるテーマです。課題解決のための取り組みに他の人との協力や協調がみられない就活生は、「独善的」「協調性がない」と判断される可能性があります。
仕事の場では、個人の能力だけでなく他者と適切なコミュニケーションが取れるかどうかが重要です。取り組みの内容が素晴らしく、能力の高さがうかがえるものだとしても、コミュニケーション能力に欠けている人材は敬遠される傾向にあります。
そのため、取り組み自体は成功を収めていなかったとしても、その過程で話し合いや意見の出し合いなどを十分にしたことが伝われば、高い評価を得ることができるでしょう。
自社に合った人柄か
人柄や考え方に良し悪しはありませんが、社風によっては人柄がその企業に合わない場合もあります。ガクチカの書き方によって印象を多少変えることもできますが、基本的にはありのままの人柄をアピールすることが重要です。
性格の合わない人と働くことは、職場にいる人にとっても、新しく入社する人にとっても負担となります。選考の場だけ取り繕ってその後に無理をするよりも、自分には合わなかったのだと気持ちを切り替えて、次の企業に挑戦することをおすすめします。
評価されるガクチカの書き方と締め方
①学生時代に力を入れたこと
ガクチカの冒頭は、学生時代に力を入れて取り組んだことを明確に記載します。「私が学生時代に力を入れていたことは、◯◯です。」「私は、◯◯の活動に力を入れて取り組みました。」という文章で書き始めます。
ここは、ガクチカのテーマとなる部分です。例えば、サークル活動やゼミ、アルバイト活動などが挙げられます。最初に何を取り組んだのか結論を伝えることで、読み手が文章の方向性を理解しやすくなります。
②その活動に興味を持った理由や背景
取り組んだことを伝えた後は、その活動になぜ興味を持ったのか、理由や行動に移すに至った背景について説明します。例えば、サークル活動やゼミをテーマとするのであれば入ったきっかけを伝え、趣味をテーマとするのであれば、その趣味をなぜ始めたのかを伝えます。
興味を持ったきっかけを伝えることで、人間性や価値観などをアピールすることができます。また、努力をし続けられた理由を記載するのも良いです。頑張って取り組めたことを伝えることで、どのようなことをモチベーションにするのかを理解してもらえます。
③その活動における目標や課題
力を入れて取り組んだ活動において設定した具体的な目標や、達成するために直面した課題について述べます。例えば、期限や技術的な困難、チーム内の意見の不一致などが挙げられます。
読み手が同じような経験をしたことがない場合でも、具体的な目標や課題を伝えることで、当時の状況をイメージしやすくなります。また、読み手に対してどのように粘り強く取り組んできたのか、努力の過程を理解してもらうことができるでしょう。
④目標達成や課題解決のために起こした行動
目標や課題に対する戦略やアプローチ、具体的な行動、実行したタスクやプロジェクトについて述べます。例えば、目標達成のために設定したタイムラインやスケジュール、役割分担の方法、必要な資源の確保などの戦略などを明確に示します。
また、困難に直面した際の対処法や柔軟な判断、他者との協力やコミュニケーションについて触れるのも良いです。起こした行動を説明することで、主体性や課題解決能力、チームワークスキルなどをアピールすることができます。
⑤起こした行動によって得られた成果
実際の行動によってどのような成果をもたらしたのかを具体的に述べます。例えば、プロジェクトの成功や目標の達成、課題の解決、チームメンバーとの協力関係の構築など、様々な面での成果を挙げましょう。
ガクチカは、あくまでもどのようなことに対して力を入れて取り組んでいたのかをアピールする項目です。そのため、成果の大小が問われているわけではありません。努力の過程がしっかり伝われば、企業から高い評価が得られます。
⑥取り組みを通して成長できたこと
ここからは、ガクチカの「締め」の部分に入っていきます。この部分では、どのような点で自分が成長できたのかを具体的に述べます。
例えば、新たなスキルや知識の獲得、問題解決能力やリーダーシップの向上、困難に対する柔軟な対応力やチームワークスキルの向上などが挙げられます。さらに、取り組んだ活動を通じて築いたコミュニケーションスキルや対人関係の構築なども挙げることができます。
学生時代に力を入れて取り組んだことで、何を学びどのような部分が成長できたのかを洗い出してみましょう。
⑦志望企業や職種での活かし方
経験から得た学びや成長できたことと、志望企業や職種での活かし方を結びつけることで、より好印象を与えることができます。例えば、リーダーシップ能力が向上したのであれば、志望企業でチームを率いてプロジェクトを成功に導くことができると述べることができます。
また、コミュニケーションスキルが向上した場合は、その企業やクライアントとの関係構築に貢献できると説明します。志望企業や職種に応じて、自身の成長と貢献を具体的に説明することが大切です。これにより、自分の経験が企業のニーズとマッチし、価値ある貢献が期待できることが伝わります。
ガクチカの締め方の参考に!テーマ別の例文5選
例文①サークル活動
私は学生時代、「自然愛好家」のサークルに所属し、積極的に自然保護活動に参加しました。定期的な清掃や植林活動に加え、地元の小学校やコミュニティセンターと協力して自然環境に関する啓発イベントを企画しました。しかし、時にはメンバー間での意見の対立や意思統一の困難がありました。そこで私は、サークル内でリーダーシップを発揮し、活動の計画や運営に積極的に関わり、メンバーのモチベーションを高めるためのミーディングやワークショップを開催しました。これらの経験を通じて、リーダーシップやチームワーク、計画力を身につけるとともに、地域社会への貢献や持続可能な未来への取り組みの重要性を理解しました。貴社の業務においても、身につけたリーダーシップやチームワークのスキルを活かし、プロジェクトの推進やチームの効率的な運営に貢献していきたいと考えています。(400字以内)
ここでは、サークル活動をテーマにしたガクチカの例文を挙げています。サークル活動に注力していたという方は多いでしょう。最後の締めの文は、志望企業での業務でどのような貢献をしていきたいのかについて言及しています。サークル活動で得た経験や学びをまとめ、それが自己成長やキャリア形成にどのように貢献したかを簡潔に述べましょう。最後に、今後の展望や目標を述べるとガクチカを適切に締めくくることができます。
例文②ゼミ
私が学生時代に力を入れて取り組んだことは、経済学のゼミに積極的に参加し、研究活動に没頭したことです。私が経済学のゼミに参加した理由は、将来のキャリアに関連する専門知識を習得するためでした。経済学は、社会やビジネスの仕組みを理解するための基盤であり、私はその分野に興味を持っていました。ディスカッションや研究発表への積極的な参加を通じて、経済理論やデータ分析手法を習得しました。また、チームでの共同研究を通じて、チームワークやコミュニケーションスキルも向上しました。入社後も培ったチームワークやコミュニケーションスキルを活用し、チームの効率的な運営やプロジェクトの推進に貢献したいと考えています。さらに、経済学の専門知識や研究経験を活かし、市場動向の分析や競合調査にも貢献し、貴社の更なる成長や競争力強化に寄与したいと考えています。(400字以内)
ここでは、ゼミでの活動をテーマにしたガクチカの例文を挙げています。サークル活動と同じでゼミの活動は、様々なジャンルがあるため簡単にどのような活動に参加していたのかを言及すると良いでしょう。締め方としては、ゼミで学んだことを今後のキャリアにどのように活かしていきたいのかを述べます。自分の目標や志向に沿って、ゼミで得た知識やスキルをどのように活用していきたいのかを示しましょう。
例文③アルバイト
私が学生時代に力を入れて取り組んだことは、カフェでのアルバイト経験です。私は大学時代、地元のカフェでバリスタとして働いていました。カフェでの仕事は忙しくて大変な時もありましたが、そのなかで様々な経験を積むことができました。例えば、コーヒーの淹れ方やメニューの知識を身につけるだけでなく、接客やコミュニケーションスキルも向上しました。お客様との円滑なコミュニケーションを通じて、サービス業における顧客満足度の重要性を学びました。最も重要なことは、責任感や時間管理の重要性を学んだことです。アルバイトと学業の両立は容易ではありませんでしたが、しっかりと仕事をこなすことで、自己管理能力を向上させることができました。私は、このような経験を通じて培ったスキルと価値観を活かし、貴社の更なる成長や顧客満足度の向上に貢献していきたいと考えています。(400字以内)
ここでは、アルバイト経験をテーマにしたガクチカの例文を挙げています。サークル活動やゼミだけでなく、アルバイト経験もガクチカのテーマとして選択する方が多いです。全体の締め方としては、アルバイト経験で得た成果や学びをまとめ、将来のキャリアや人生にどのように活かしていきたいのかを述べます。志望企業や業界の特徴や事業内容などに合わせて、ガクチカの内容を考えるとより高い評価が得られます。
例文④趣味
私が学生時代に力を入れて取り組んだことは、趣味であるバンド活動です。しかし、バンド活動ではメンバーとの意見の相違やスケジュール調整など、チーム内でのコミュニケーションの調整が難しい時がありました。また、個々の技術や表現力の向上には時間と努力が必要でした。これらの課題を解決するために、私は定期的なミーティングの開催を呼びかけ、メンバー間の意見のすり合わせやスケジュール調整を図りました。また、個々の技術向上のために、楽器の練習や音楽レッスンを継続的に行い、メンバーとコミュニケーションを取りながら成長し続けることに注力しました。私は、このような経験を通じて、耐久力や集中力といったスキルを身につけることができました。入社後も、継続的な努力と集中力を持って、あらゆるプロジェクトにおける作業に最後まで貢献し続けることを心がけたいと考えています。(400字以内)
ここでは、趣味をテーマにしたガクチカの例文を挙げています。趣味もガクチカのテーマとして選択することができます。具体的にどのような趣味に取り組んでいたのかを簡潔に述べることで、読み手がイメージしやすくなります。締め方としては、趣味を通して得た経験や成果を振り返り、それが自己成長にどのように貢献したのかをまとめます。楽しかったことだけでなく、趣味で経験した困難や課題についても言及することで、大変だったことやそれに向けてどう努力したのか伝えることができます。
例文⑤留学
私は大学時代に海外留学プロジェクトに参加し、異文化の中で学び、成長する機会を得ました。私が留学プロジェクトに参加した理由は、社会人になるまでに海外経験を積み、世界で活躍できる人材になることを目標にしていたからです。留学中は、言葉の壁や文化の違いに直面しました。私は、まず言語の壁を乗り越えるために、現地の言語学校での授業や言語交換プログラムに積極的に参加しました。また、文化の違いに対する理解を深めるために、地元の祭りや伝統行事に参加し、日常生活における習慣を学びました。これらの取り組みにより、徐々に言語の理解と表現力が高まり、たくさんの友人ができました。このような経験を通じて、柔軟性や忍耐力が身につき、自信の向上に繋がりました。それらは、私の将来のキャリアにも活かされ、国際的な視野や対人スキルを活かした貢献をすることができると考えています。(400字以内)
ここでは、留学をテーマにしたガクチカの例文を挙げています。大学時代に留学を経験した方も多いでしょう。なぜ留学プロジェクトに参加しようと思ったのか、どのような困難や課題が合ったのか、それに対してどう努力をしたのかを述べます。そうすることで、留学に対する思いやどのぐらい大変な経験をしたのかが伝わりやすくなります。締め方としては、留学経験で得た学びやスキルを、将来どのように活かしていきたいのかを述べます。自己目標や将来のキャリア、社会への貢献を示しましょう。
ガクチカの締め方で意識するポイント
エピソードと締めの内容に一貫性を持たせる
ガクチカを作成する際は、エピソードと締めの内容に一貫性を持たせることを意識しましょう。エピソードで述べた経験や成長を締めの内容に結びつけることで、読み手により深い印象を与えることができます。
例えば、エピソードでリーダーシップ能力の向上について述べた場合、締めの部分ではそのリーダーシップ能力が志望企業や職種で、どのように活かせるのかを具体的に示します。このように、エピソードと締めの内容が一貫していることで、企業に自分の成長や経験の意義をより明確にアピールすることができます。
熱意や意欲を強調する
ガクチカの締めの部分では、自分の熱意や意欲を強調することが大切です。志望企業や職種に対する自分の熱意を明確に示すことで、志望度や強い意志を伝えることができます。
また、将来のキャリア目標に対する意欲を具体的に示し、そのためにどのような努力をし続けるのかという意志を示すことも重要です。締めの部分で熱意や意欲を強調することで、信念や情熱が伝わり、好印象を与えることができます。
再現性のある学びやビジョンを伝える
ガクチカの締め方としては、学びや入社後の活かし方を伝えますが、再現性があるということが大事なポイントです。再現性とは、同じ条件や状況下において何度でも同様の結果を生じることができる性質を指します。
社会人になると、信頼性や品質を保ち、効果的に組織を運営するためなどあらゆる理由で、再現性が求められます。再現性のある学びやビジョンを伝えることは、自分の経験や学びが信頼性があり、将来においても有益であるということを示すことに繋がります。
ポジティブな言葉で締めくくる
ガクチカの締めくくりの部分では、ポジティブな言葉を用いて結論を述べるようにしましょう。自分の学びや経験を振り返りながら、将来への希望や自信を示すことで、読み手に印象を残します。
課題や困難に直面した経験でも、そこから得た学びや成長をポジティブな視点でアピールしましょう。また、志望企業や職種への熱意や貢献意欲を表現し、明るい未来への展望を示します。
ポジティブな言葉で締めくくることで、企業に自身のポジティブなエネルギーや自信を伝えることができます。
締め方を意識して魅力的なガクチカを作成しよう
高い評価を受ける、魅力的なガクチカを作成するためには適切な締め方が重要です。全体の主要なポイントをまとめ、今後の目標や計画などを述べることで、印象に残るガクチカが作成できます。
経験から得た学びや入社後にどう活かすのか、貢献していきたいと考えているのかを意識して締めくくることで、志望企業に対して自分の意思や志望度といった気持ちが伝わりやすくなります。ガクチカの締め方が分からないという方は、今回の内容を参考にしてガクチカを作成してみてください。