エントリーシート(以下、ES)に記載する志望動機は、企業により指定される文字数が異なります。意外と厄介なのが、「200字以内」「200字程度」などと短く指定された場合です。指定文字数に収まらず、四苦八苦する人も少なくないでしょう。

文字数が少ないからといって、志望動機に書くべき内容は変わりません。志望理由を整理し、熱意が伝わるよう記述しなければなりません。

この記事では、志望動機を短く記述する方法を具体的に説明します。内容の絞り方や、表現の工夫を理解できるでしょう。業界別の例文も多数記載していますので、参考にしてください。

文章を端的に書くスキルは、ESの他項目でも活かせます。就活を円滑に進められるよう、しっかりと力をつけましょう。

志望動機を「200字以内」「200字程度」と指定された場合の文字数は?

同じような指定に見えても、「200字以内」と「200字程度」では、許容される文字数が異なります。

「200字以内」の指定では、文字数オーバーは厳禁です。指定範囲に収める手間を惜しむと、「ルールを守れない人」と思われかねません。企業によっては読んでもらえない可能性もあります。

逆に文字数が少なすぎるのも不適切です。一般的には指定の8割以上が好ましいとされますが、200字の場合は9割(180字)を目指しましょう。短い文章でも、可能な限り内容を濃くするためです。

「200字程度」と指定された場合は、オーバーしても問題ありません。ただし、長すぎるのは不適切です。超過可能な量は1割程度(20字)と考えてください。180字〜220字の間に収まるよう、工夫して記載しましょう。

<文字数目安>

指定200字以内200字程度
許容文字数180字〜200字180字〜220字

短いほど書きづらい!志望動機の作成で陥る困難

入れたい情報がありすぎて長くなってしまう

志望動機は「しっかり想いを伝えよう」「もっと分かりやすく」と思うほど、文章が長くなります。あれもこれも詰め込みたくなるからです。

200字を指定された場合、詳しい説明は不可能です。書くべき内容を整理し、「志望理由」「入社への意志」を端的に伝えられるよう留意しなければなりません。

足りない部分はESの他の項目で補えます。志望動機に何もかもを詰め込む必要はありません。厳選し絞り込むイメージを持ちましょう。

箇条書きを使うとわかりづらくなってしまう

文章を短くするため、箇条書きを活用する人もいるかもしれません。要素をつなぎ合わせ、一つの文章に仕上げる方法です。この書き方は、2つの理由からおすすめしません。

1つは、想定以上に短くなりがちなことです。多くの場合、箇条書きに書くのは結論や主張です。説明が含まれないため、200字を満たすのは困難でしょう。要素を増やそうとすると、結論を羅列した状態になります。何が言いたいのか、主題を掴みづらいのです。

2つめは、論理的な文章にならないという問題もあります。通常、志望動機を書くときは構成を考えて書き始めます。箇条書きは思いついたまま挙げるため、構成が整いません。流れが悪く、ちぐはぐな印象を持たれがちです。

200字で志望動機を仕上げる書き方のコツ

200字の記述で大切なのは、あらかじめ内容を厳選することと、文章を短くするための表現の工夫です。
内容の厳選では、「これだけは絶対に伝えたい」ポイントを絞り込みます。「仕事で成し遂げたい夢」と「夢を持つきっかけ」は、長くなりがちです。冗長にならないよう留意して記述します。

また、文章を短くする上で特に意識したいのが「接続詞」「冗長表現」です。これらは無意識に使うことが多く、注意深く添削しないと気づけません。留意すれば文字数を減らせるだけでなく、読みやすい文章に仕上げられます。

仕事で成し遂げたい夢は一つに絞り短く書く

仕事で成し遂げたい夢は一つに絞り込み、できる限り短くまとめます。複数思い浮かんでも、書くのは一つだけです。

絞り込みを行うのは、主張を強くするためです。主張が複数あると、一つひとつが弱まります。最も大きな想いを熱く語った方が、採用担当者に伝わりやすいでしょう。

夢を選びきれないときには、企業の方向性から考えます。事業内容や将来の事業計画から、実現の可能性が高い夢を選びましょう。企業の方向性に沿う形となり、好印象を与えられます。

記述する際には、説明を加えすぎないよう注意します。説明的になると、200字の枠に収まりません。結論部分だけを伝えるイメージを持つとうまくいくでしょう。

夢を持つきっかけは省略、または端的に

200字の場合、夢を持つきっかけは省略しても構いません。どうしても必要な場合は、端的な記述を心がけます。

志望理由に必要なのは、「当該企業を選んだ理由」です。きっかけ部分を書く場合は、最低限に止めます。具体的には「当該企業を選んだ理由」につなげるだけで構いません。

たとえば、化学の知識を活かし化学メーカーを受験する場合、「大学で専攻する〇〇の知見を活用したい」と書けば十分です。「〇〇の知見」企業の業務内容、特に得意分野につながるなら、当該企業を選ぶ十分な志望理由になります。

説得力を持たせようと、化学に興味を持った出来事や、細かな研究内容を書くと、すぐに200字を超えてしまうので注意が必要です。

文章は「である調」で書く

基本的に志望動機を書く際はどちらかに統一されていれば、「です・ます調」・「である調」どちらでも書いても問題ありません。しかし、短い文章で志望動機を書かなければならない時は「です・ます調」ではなく、「である調」で書くことをおすすめします。

「です・ます調」で書くことで、丁寧な印象を与えたいと感じる人もいるかもしれませんが、200字という短い文章で書かなければならない時は「である調」で書くことで、余計な文字数を減らすことができます。また、「である調」は断定的な表現であるため、力強く、説得力のある文章となるでしょう。

志望動機を書く上で最も大切なのは自分をアピールすることです。200文字など字数制限がある中で志望動機を書く必要がある場合は、「です・ます調」ではなく、「である調」で書くことで内容を充実させられるようにしましょう。

結論は簡潔に述べる

志望動機など文章を書く場合に限らず、面接の場も含めて、就活では簡潔に結論を述べることが大切です。結論を簡潔に述べた上で具体的な理由付けをします。

文字数に制限がある場合、内容を充実させるためにも結論は簡潔に書くことがベストです。

結論から書くことで、読み手も何を言いたいのか一発で理解することができます。そのため、相手にとっても読みやすい文章となるでしょう。

特に、人事の人は1日に何人ものESや志望動機を読むことになります。履歴書を書く場合は結論を簡潔に伝えることで、何を伝えたいのかが明確になるように心がけましょう。

なくても良い接続詞の消去

接続詞は論理的な文章に必須と思われがちです。しかし、省いても不自然でないことも多々あります。私達は話の流れから論理展開を理解できるからです。

次の文章をご覧ください。

<接続詞がある例文>

山沿いの道に大きな木が一本倒れていた。しかし倒木は乗り越えられる高さだった。だから私達はそのまま進んだ。

 

<接続詞を省いた例文>

山沿いの道に大きな木が一本倒れていた。倒木は乗り越えられる高さだった。私達はそのまま進んだ。

接続詞を削除しても意味が通じます。話が時系列で流れており、接続詞に頼らなくても論理展開を理解できるからです。

助詞を使うことで、接続詞を省けるケースもあります。「また(接続詞)」が代表例です。「も(助詞)」の使用により削除できます。

<「また」を使った例文>

彼は人への気配りを欠かさない。また、常に控えめの姿勢を心がけている。

 

<助詞「も」を活用した例文>

彼は人への気配りを欠かさない。常に控えめの姿勢も心がけている。

接続詞で省ける文章量は微々たるものかもしれません。しかし1文字でも減らしたい場面では、効果を発揮します。

よくある冗長表現への注意

不要な言い回しで文章が読みにくくなる「冗長表現」も避けましょう。よくある冗長表現は以下のとおりです。

  • 〜に行くことができる。 →「〜に行ける。」
  • まず最初に〜 →「まず、〜(最初に〜)」
  • 今後も〜をしていきます。 →今後も〜をします。
  • 〜は明日までが期限です。 →「〜の期限は明日です。」

文章制作では、無意識に冗長表現が混ざりがちです。意識的に見直すことで、回りくどい表現がなくなり、文章量を減らせます。

長文を削っていく方法がおすすめ

おすすめしたいのは長文を削る方法です。構成を決めたら、字数を決めずに書き上げます。でき上がった文章を見直し接続詞や冗長表現を削除すると良いでしょう。

特に文章を書き慣れていない人は、最初から細かな部分に意識を向けてもうまくいきません。時間をかけるより、書くことを優先してください。添削を繰り返すうち、自分の癖が分かり、不要な接続詞や冗長表現を減らせるでしょう。

長文を削る方法は、内容を絞り込めないときにも有効です。執筆中は「今書いている部分」に集中するため、全体像を把握しづらい状態です。書き上げた後なら、全体像を見渡せます。不要な部分を冷静に判断できるのです。

志望動機で企業が確認するポイント

  • 仕事への熱意
  • 入社後のビジョン
  • 人物像
  • 社風との適合

企業が志望動機で確認するポイントは、上記のとおりです。

字数が短くても、ポイントが変わるわけではありません。詳しい説明ができないからこそ、企業が求めるものを理解し、内容を厳選する必要があります。

仕事への熱意が感じられるか

志望動機で一番に伝えるべきものは、仕事への熱意です。「この会社で仕事がしたい」という熱い想いを示します。

あなたに求められるのは、成し遂げたい夢をしっかりと持ち、夢の実現のために受験企業を選ぶ姿勢です。「他の会社でも良いのでは?」と思われると、気持ちが強い人に内定を奪われるでしょう。

200字の枠では、説明を尽くすことはできません。端的に書くには、自己分析で成し遂げたい夢を明確にします。同時に企業分析を念入りに行い、企業の強みとあなたの夢が、重なる部分を見つけ出しましょう。

あらかじめ強く主張する内容を明確にしておけば、短くまとめられます。

入社後の明確な目標があるか

志望動機の結びには、入社後の明確な目標を示します。企業が欲するのは、「何がしたいか」「どうなりたいか」がはっきりしている人です。目標があれば、入社後の行動に迷いが生まれません。仕事の成果が期待できるのです。

短く書くために、受験企業の業務内容を詳しく調べておきましょう。どのようなキャリアプランを積めるか明確にし、その中で夢を実現するビジョンを構築します。具体的な行動目標を定め、1〜2文でまとめると良いでしょう。

企業が求める人物像に適合するか

企業が求める人物像に適合するかも見られます。もっとも、これは志望動機だけで判断するわけではありません。ガクチカや長所短所、資格など、ES全体を通しての判断です。

志望動機で見られるのは、あなたが目指す方向性と、企業の事業計画に乖離がないかです。どんなに熱意があっても、企業が欲する人材とかけ離れていれば内定はもらえません。例えば動画広告を強みに事業を推進する広告代理店を受験するのに、紙媒体の夢を熱く語っても門前払いを食らうでしょう。

事業内容との乖離は、企業研究を行うことで防げます。あらかじめ受験企業の事業計画を、細部まで理解しておきましょう。

社風にあわせ仕事を進められるか

あなたの人柄が社風に合うかも判断されます。ガクチカや趣味、長所短所など、ES全体に判断材料があるうちの一要素と考えてください。

志望動機では、大まかな「人となり」を見られます。200字の文章でも、夢へ向かう姿勢や仕事の誠実さ、真面目さなどは伝わります。詳細を他の項目(ガクチカや趣味など)で確認し、「この人なら協調して仕事を進められる」と判断されれば、内定の確率がグッと上がるでしょう。

企業にとって、社風への適合は重要な要素です。不適合は離職を引き起こす原因になります。社員の早期離職を防ぐためにも、企業はあらゆる項目で適合を確認します。200字の志望動機も、判断材料の一つになると認識しましょう。

志望動機を端的に伝えるために準備すること

業界研究・企業研究で記載するポイントを絞る

志望動機を作成するには、業界研究はもちろん、受験企業を詳しく研究する必要があります。必要なポイントを的確に押さえることで、文章を短くまとめられるようになります。

業界研究からは、現状と将来像を判断します。「業界全体が現状抱える課題を、各企業がどのように解決しようとしているか」「将来はどのように事業展開するか」を知ることで、必要な人物像を見出だせるはずです。

例えばWeb制作では、WordpressなどCMSの進化により、プロとアマの垣根がなくなりつつあります。今後は、デザイン力やより高度なプログラミングで差別化を図らなければ、生き残れないでしょう。実情を知れば、「デザインへの自信と向上心」「Webプログラミングへの幅広い知識」を持ち、変化に対応できる人材が求められると判断できます。

企業研究からは、「受験企業が力を入れていること」「将来の事業計画」を読み取ります。業界研究の結果をもとに、受験企業の具体的な動きを探求すると良いでしょう。さらに、社風も研究します。スキルでニーズを満たしても、社風に合わなければ内定に至りません。

業界研究、企業研究で得られた情報をもとに、受験企業が挙げる事業計画に沿うように「仕事で成し遂げたいこと」を絞り込みます。また受験企業の優位性から「志望理由」を導き出し、ビジョンを達成する場に最適なことを示しましょう。

自己分析で強い想いを明確に打ち出す

自己分析も大切です。「本当にやりたいこと」を明確にしない限りは、入社後の具体的な行動を示せないからです。短くとも強い想いを打ち出すには、自分を深く理解する必要があります。

自己分析で重要なのは、具体化行動の策定です。漠然とした夢を具体的なビジョンに変え、実現に向けた行動を策定します。

例えば「子どもと関わる仕事がしたい」という夢なら、掘り下げて「児童指導員として障がいを持つ子どもの世話を行い、療育計画の策定にも携われるようになりたい」と具体的なビジョンに変化させます。児童発達支援管理責任者へのキャリアパスがある会社で、さまざまな個性を持つ子どもと向き合うのが、具体的な行動になるでしょう。

行動が策定できたら、入社後の強い意志を書き出しましょう。会社の中で頑張ること、目指すものが明確なため、迷いなく書けるはずです。

志望動機が200字におさまるおすすめの構成

<200字で伝える!おすすめの構成>

①仕事で成し遂げたいことを提示する

②志望理由(当該企業を選んだ理由)を明記

③入社後の意志の表明

200字の場合、長い文章量を前提にした論理構成はできません。よく言われるPREP法(結論→理由→例示→結論)で構成すると、文章量がオーバーする可能性があります。具体的なエピソード(例示部分)は無理に入れず、ビジョンや意志を優先しましょう。

①仕事で成し遂げたいこと(ビジョン)を明確に提示する

まずは仕事で成し遂げたいことを明確にします。自己分析で定めたビジョンを端的に書きましょう。具体的なほど評価は高くなるものの、説明を加えすぎると200字の枠に収まりません。できるだけ一文でまとめます。企業の目指す方向性と合致したビジョンなら、長い説明は不要です。

掲げるビジョンが当該企業で実現できることも、必ず確認してください。目標を実現できなければ、受ける意味はありません。見当外れのビジョンを打ち出すことは、企業に対して失礼にあたります。

②業界研究・企業研究をもとに志望理由を明記

①の実現に、当該企業が最適であることを示します。業界研究と企業研究の結果をもとに、内容を絞り込みましょう。

200字の指定では、事細かな説明はできません。きっかけ部分は省略するか最低限に抑え、「当該企業を選んだ理由」を中心に構成しましょう。

「業界を選んだ理由」はたいていの場合不要です。「当該企業を選んだ理由」で自然と説明できます。

記述のポイントは2つあります。一つは業界の将来像をしっかりと理解することです。業界が進む道の中で、あなたの描くビジョンを実現できることを確認します。

もう一つは当該企業の持つ優位性が、ビジョンの達成を後押しすることです。「この企業だからこそ、夢を実現できる」ことをはっきり示すことで、会社で働く強い意志につながります。

③会社の一員として活躍する強い意志を示す

最後に入社への強い意志を示しましょう。会社に入りどう行動するか、具体的に記述します。ここで書くのは、当該企業で実現可能なことに限られます。現在の事業内容や、今後の事業計画に掲げられている内容をよく確認しましょう。可能ならば、従事する業務内容まで詳しく説明すると良いでしょう。やりたいことが明確な人ほど、企業は受け入れやすいからです。

記述内容が①のビジョンに対応していることも、念のため確認してください。内容が異なると首尾一貫しません。論理が破綻しているように思われる恐れがあります。

【業界別】200文字以内で書く志望動機の例文

食品業界

例文

できるだけ添加物を使わない、子ども向けの即席麺を開発するために貴社を志望しました。添加物の少ない即席麺は、子ども向けにはまだ開発されていません。不要な食品添加物を使わず、有機原料を積極的に取り入れている貴社なら、夢を実現できると考えました。入社後は味を落とさずに食品添加物を減らすノウハウを、徹底的に学びます。子ども向け商品に技術を応用できるよう、たくさんの企画を出したいです。

「添加物を使わない、子ども向け即席麺の開発」という具体的な目標から始まり、夢の実現に当該企業が最適であることを示します。入社後に力を入れたい内容も明確で、意志をはっきり示せた好例です。

接続詞冗長表現もうまく省かれています。論の構成がしっかりしているため、接続詞に頼らなくても文章が自然とつながります。

卸売業界(商社)

例文

日本が誇る伝統食品を世界中に広め、日本の食文化を活性化させたいと考え、貴社を志望しました。日本各地には素晴らしい伝統食が根付いているものの、十分に伝わっていません。貴社は価値ある食文化の発掘から手がけ、世界中に広めた実績があります。貴社でなら、地方の知られざる食文化を紹介し、魅力を伝えられると考えました。入社した暁には、知られざる食文化の発掘を行い、文化的価値を世界中に訴求したいです。

食品を専門に扱う商社の例文です。商社の志望動機と言うと、「世界の発展に寄与したい」「経済を活性化させたい」など、掴みどころのないものも少なくありません。この文章は「伝統食を世界中に広めるために、知られざる食文化を発掘したい」とまとめており、やりたいことが明確です。現実をしっかりと見据え、目標を持ち受験したことが窺えます。

文字数の削減で着目したいのは、「日本各地には素晴らしい食文化があるが、十分に伝わっていない」根拠を説明していない点です。他の会社を受ける場合には、記述が必要になるでしょう。今回は「価値ある食文化を世界中に広めている」会社が相手のため、相手方企業も同じ想いを持っています。志願者と企業が認識を共有できる場合、細かな説明は不要です。空いた文字数を他の記述に回しましょう。

メーカー業界

例文

高度な自動運転を実現する農業用トラクターをつくるため、貴社を志望しました。私は農家で育ち、農業の人手不足を深刻に捉えています。AIの専門家として、自動運転の開発で力になりたいと考えました。貴社の自動操舵システムは、農家から高い評価を得ています。農家に寄り添う姿勢と卓越した技術を持つ貴社で、夢を叶えたいです。入社後は、AIを農機に活かす方法をしっかりと学び、トラクターの開発に全力を尽くします。

農業機器メーカーの例文です。メーカーの志望動機は、ものづくりへの情熱をしっかりと示すことが大切です。この文章のように、やりたいことが明確だと好印象を与えられます。

今回はあえて「私は農家で育ち〜」の一文を挿入しました。ものづくりへの情熱を伝える上で、きっかけ部分が大きな役割を果たすからです。

強い想いを伝えるために必要ならば、説明的な記述も入れなければなりません。その代わり、他の部分で文字数を削減します。接続詞と冗長表現を中心に、省ける部分がないか目を光らせましょう。

公務員

例文

〇〇市が誇る歴史遺産を多くの人々に伝えるため、博物館での学芸員職を希望します。市には多くの歴史遺産があるにも関わらず、商業的な魅力ばかりが着目されます。地元の歴史を研究する人間として、多くの人に歴史の魅力を訴求する必要性を感じます。特に博物館の展示物は素晴らしく、アピール次第で観光の目玉にできます。学芸員になれたら、歴史を楽しく伝える企画展やスクール、発行物などさまざまな提案をしていきたいです。

公務員の志望動機には、当該企業を選ぶ理由は不要です。その代わり、希望職種を選ぶ理由を端的に説明しなければなりません。

その際、「地元のために働きたい」という具体性のない目標に終始しないよう注意しましょう。「なぜ地元のために働くのか」「公務員として具体的に何をしたいのか」を示さなければ、説得力のある志望動機とは言えません。

この文章では、歴史を学び専門分野を持ったことが功を奏しています。「歴史の魅力を訴求する必要性」を実感し、「学芸員として歴史をアピールする」目標を立てました。挑戦したい業務内容を明確に示すことで、強い志望動機に仕上げられています。

教育業界(教員)

例文

不登校や発達障がいの子ども達の夢を支援するため、貴校を志望しました。私は高校で不登校を経験し、目標を持ち行動することの大切さ、大変さを理解しています。貴校はオンライン指導や個性に準拠したカリキュラムなど、通常の高校にはないプログラムで子ども達を支援しています。個性に寄り添い指導するなら、最適な環境だと考えました。教師になれたら、一人ひとりが自分の夢を見つけ努力できるよう、生徒に寄り添いたいです。

教職を目指す人は、教員免許を取得した時点で教育にかける情熱は共通します。具体的にどのような教育を行いたいか、どれだけ明確に打ち出せるかが勝負になるでしょう。

この文章では、フリースクールを志望する理由を強めるため、「私は高校で不登校を経験し〜」の一文を入れています。この文があることで、目標に説得力が生まれました。

短い枠ながら、真面目で真摯な人柄が垣間見え、高く評価できます。

広告業界

例文

人の心に残る紙媒体の広告をつくるために貴社を志望しました。Webへ発信媒体が移っていく中で、貴社は紙媒体を大切にしています。特に地元の魅力を表現する広告は素晴らしく、〇〇花火大会のポスターは、今も私の心に残り続けています。貴社の一員として広告をつくりたいという気持ちを、強く持つようになりました。入社後はお客様の要望を制作物に落とし込む方法をしっかりと学び、人の心に残る表現を追求していきます。

業界全体がWeb広告へ力を入れている潮流を理解した上で、当該企業にしかない魅力を的確に捉えています。特に制作物への憧れの表現は、当該企業を選ぶ理由を明確にします。熱意を伝えやすくなるでしょう。

クリエイティブ系の職種の場合、自分の表現を追求するニュアンスにならないよう、注意が必要です。広告の制作は、あくまでも顧客の要望に合わせて行われます。作り手の独創ではありません。ニュアンスのずれがないか確認しましょう。

金融業界(地銀や信用金庫)

例文

教育ローンを広め、近隣の子ども達が不自由なく進学できる環境をつくりたいと考え、貴行を志望しました。〇〇町は都市部から遠く、大学への進学には下宿が必須です。経済的な理由で進学を断念する子どもが多いことから、教育ローンを提案したいと思うようになりました。貴行はローン商品が豊富です。最適な教育ローンを多くの人へ届けられると考えます。金融商品の仲介業務に携わり、〇〇町の教育環境を改善していきたいです。

地銀や信用金庫も、「地元のために働きたい」という漠然とした志望動機になりがちです。具体的に何をしたいかはっきりさせる必要があります。企業研究を綿密に行い、アプローチするポイントを見定めましょう。銀行や信用金庫ごとに、「融資が強い」「ローン商品が豊富」などの特色があるはずです。

この文章では、教育ローンに焦点を当てています。「地元の教育環境を整えたい」というテーマを掲げることで、教育ローンを広める目標へつなげやすくなりました。目の付け所が良く、実現に向けた具体的な仕事ぶりが予測できます。企業も雇いやすいでしょう。

IT業界

例文

WordPressの独自テーマを開発し、多くのお客様へ提案したいと考え貴社を志望しました。ノーコードでのサイト制作が可能になったことで、今後はテーマ作成の需要が増えると予測します。貴社は古くから独自テーマを多数発表しており、開発に力を入れています。CMSの変化に対応しながら、技術者として力を伸ばせると考えました。入社後はニーズを正確に把握し、それに応じた力をつけ、信頼される技術者になりたいです。

IT業界でも「企業のDX化を推進したい」「ITで社会貢献をしたい」など、内容が不明瞭になりがちです。具体的に何をどうしたいか、一歩踏み込んだ記述を心がけましょう。

ここでは「Wordpressのテーマ作成」という狭い範囲に目標を定めています。業界研究から今後の流れを予測し、当該企業の強みを見つけ出した結果です。企業の方向性とやりたいことが一致しているため、迷いなく記述できます。入社後の意欲も明確に示せており、高評価を得られるでしょう。

目的を絞り込む際には、入社後の企業方針に注意してください。会社によっては、新人にさまざまな職種を体験させ、仕事の全体像を把握させることがあります。そういった会社では、「まずは仕事の全体像をしっかり把握することに努めます」などの記述を挟みましょう。他の分野も習得する意志を示すことで、希望することしかやらない人材だと誤解される恐れがなくなります。

200字でも想いが明瞭に伝わる志望動機で内定を勝ち取ろう!

200字で志望動機を書くのは大変です。企業研究自己分析を念入りに行わないと、要点を絞りきれません。その代わり、200字でまとめられたときには、就活に有利な力が身につきます。

身につく能力の筆頭は、ESの記述力です。企業研究や自己分析を熱心に行ったことで、どの項目も格段に書きやすくなるでしょう。企業のニーズと自分のアピールポイントが端的に分かり、迷いがなくなります。

面接の対応力もアップします。面接官から聞かれたことに対し、端的に答えられるようになるのです。要点を絞り込む練習により、解答するポイントも絞れるようになります。受け答えが円滑に進み、確かな手応えを感じられるでしょう。

200字にまとめる努力を続ければ、就活を有利に進められます。想いが明瞭に伝わる文章を目指し、納得いくまで文章を書き直してください。地道な作業に思えても、内定への近道になります。

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