粘り強さとは、コツコツと物事に取り組めることを指します。そのため、ビジネスにおいてはとても重要な要素であり、企業にとっても必要な能力であると考えられます。
しかし、粘り強さのアピール方法を間違えてしまうと、企業にとってプラスではなくマイナスな要素に捉えられてしまうことも。
粘り強さをアピールするには、エピソードが非常に重要です。諦めずに向き合ったことを書くだけではなく、その結果どうなったのか、結果が伴っているものを選びアピールする必要があります。
ポイントを押さえ、企業の目を引く素敵な自己PRの作成を目指しましょう。
目次
粘り強さは自己PRに繋がる?
粘り強さは自己PRとして効果的です。社会人になると、様々な仕事を日々継続して行っていくことになります。失敗しても粘り強く続けられる根気や継続力は、必要な力です。
しかし、内容によっては「しつこい」「我が強い」などと捉えられてしまう可能性もあります。そのため、粘り強さをアピールしたい時はエピソードの内容や書き方には十分注意が必要です。また、他の学生と差別化を図るためにも言い方を変えたり、具体性のあるエピソードにするなどの工夫は必須です。
粘り強さをアピールしたい時は、本記事を参考に、書き方のポイントや注意点を押さえた上で記述しましょう。そうすれば、あなたの良さとして粘り強さが効果的に伝わるはずです。
自己PR で粘り強さをアピールできる職種
事務職
事務職はどのような業界や企業にも存在する職種であり、誰にでもできる仕事と思われがちです。しかし、事務職は限られた時間の中で、正確にミスなく業務を遂行しなければならないため、真面目で粘り強さを持っている人でなければなりません。
また、事務職と一口に言っても経理や人事、営業サポートや貿易事務まで様々な種類があり、どの業務においても重要な役割を担っています。そのため、真面目に粘り強く仕事に取り組む姿勢は、事務職にとって大切な要素であり、アピールポイントとして伝えることができます。
営業職
営業職は企業の顔として、様々な客先に営業を行います。また社内で起きた問題や、客先からの問い合わせなどにスピーディーかつ期日までにしっかりと対応することが求められます。
営業においては実績を残すことも大切です。実績を残すために「粘り強さ」は必要不可欠です。営業において一度のみのアタックだけでは、なかなか上手くいかないことがほとんどなので、諦めずに何度も粘り強くアタックする行動力が非常に大切です。粘り強く物事に取り組む姿勢は、営業職にとって重要な要素と言えるでしょう。
開発職
開発職とは、世に発信する新たな製品を作成したり、新しい技術を開発したりする職種です。企画部や販売部などといった他部署や現場担当者の声を直接を直接聞いたりと、社内外の人とのコミュニケーションも必要とされます。そのため、企業の縁の下の力持ちといった存在と言ってもいいでしょう。
新しいサービス・物などを開発する開発職は、何度失敗したとしてもめげずに挑戦する力が必要です。開発職にとって、粘り強さがあることで、仕事に取り組む姿勢をアピールすることができるでしょう。
開発職での粘り強さを伝える場合は、何度も壁にぶつかったことやそれらにどう立ち向かったのかを乗り越え方などについても言及できるとより良いアピールに繋がります。
自己PRで粘り強さをアピールする時のポイント
具体的なエピソードを書く
粘り強さが培われたエピソードを書くときは具体性を重視するようにしましょう。例えば、卒業研究で対象者にインタビューした内容を伝える場合、経験したことをつらつらとするのではなく、どのような行動をしたのか、どのように感じていたのかなど、行ったことの背景を具体的に書きましょう。
さらに、粘り強さがもたらした成果・結果を具体的な数値やエピソードも交えて記載することで読み手が想像しやすくなります。あなたが感じたことでなく、目に見えた結果・成果をまとめることがポイントです。
別の言葉に言い換えてみる
「粘り強さ」は同じような意味を持つ別の言葉に言い換えることができます。
粘り強さといっても、エピソードによっては、別の言葉に言い換えた方が魅力的に伝わる場合もあります。あなたが企業に伝えたいことに合った言葉を使用するようにしましょう。
粘り強さは以下のように言い換えることができます。
- 我慢強い
- 集中力がある
- 自身を信じて行動できる
- 物事にコツコツと取り組む
- 失敗にめげることがない
- 精神的に強い
- 周囲を巻き込むことができる
- 忍耐強い
- 辛抱強い
- 根気強い
- 諦めずに頑張ることができる
- 継続的に物事に取り組む
- しぶとい
どのように仕事に活かすかに繋げる
自身の粘り強さを入社した後でどのように発揮していくか、またどのように仕事に活かすのかを伝えます。そうすることで、読み手はあなたを採用するメリットを考えることができるでしょう。
採用する側が、あなたのことを採用したいと思えるような文章を心掛けることが大切です。他の就活生と差をつけるためにも、しっかりと企業研究を行った上で採用者の視点に立った文章になるように意識しましょう。
【経験別】自己PRで粘り強さをアピールする例文
アルバイト
私の強みは「粘り強さ」です。カフェでのアルバイトをしていた際、人手不足により業務負荷が高くなってしまった時期がありました。仲間からも負担が大きいため辞めたいと言う声が聞かれ、このままでは営業自体が難しくなってしまうことを危惧しました。
そこで私は作業の効率化とスタッフのサポートを考え、行動を起こしました。まずは作業内容を洗い出し、持ち場ごとのマニュアルを作成。スタッフ同士の連携を深めるために共有の場を設け、互いにサポートできる体制を約半年かけて整えました。作業内容を見える化したことで、自分の業務以外のフォローもできるようになり、スタッフのスキルも向上。辞めるスタッフも減り、人手不足を補えるようになりました。
粘り強く物事に取り組むことは、成功に向かう道での不可欠な要素であることを学びました。企業のプロジェクトにおいても、逆境に打ち勝つために粘り強さを活かし、最後までやり遂げたいと考えています。(400字以内)
アルバイトにおいて、粘り強さを発揮する前後の状況を具体的に記載することで、相手に状況をわかりやすく伝えることができるでしょう。また「粘り強さ」を今後具体的にどのように活かしていくのかを記載しているため、読みやすい流れになっています。
経緯・経験の説明が少し長くなってしまっているため、説明は簡潔に経験から学んだことを具体的に記載できるとより良い文章になるでしょう。
学業
私の強みは粘り強く努力できることです。私は大学3年次までにTOEICで800点を取るという高い目標を掲げました。1日1時間毎日勉強を続けたにも関わらず、TOEICを初めて受験したときは490点しか取れませんでした。そこで勉強時間を1日2時間に増やし、週に一度は英語カフェに通い、話すことにも注力しました。しかし、2回目でも630点しか取れなかったため、勉強方法を見直し、模試を繰り返し解くことを徹底したり、英語で日記を付けるなど、改善を繰り返し行いながら目標達成に向けて努力を続けました。
結果、4回目のTOEICで目標である800点を達成することができました。この経験から、目標達成のためにはアプローチ方法を見直しながら、努力し続けることの大切さを学びました。この粘り強さを活かし、未知の分野にも果敢に挑戦していきたいと考えています。(400字以内)
粘り強さをアピールするために、何度もアプローチしたことがわかりやすく書かれています。ただ粘り強く勉強をしたのではなく、やり方をその都度変えることで、冷静に結果を分析しながら目標に向かっていることがわかります。
社会人において、計画→実行→結果→改善(PDCAサイクル)を行えることは重要なポイントです。計画し、行動した結果に対して、どのような課題や改善点があったのかを見つけ出し、またそこから新たに計画し実行していくという、この繰り返しが仕事においての評価に繋がります。
最後の粘り強さを仕事にどう活かしていくのかを、もう少し具体的に企業で行っていきたいことと絡められるとより良い自己PRになるでしょう。
部活
私は負けず嫌いが故、粘り強く努力することができます。私は大学時代バレーボールチームに所属していたのですが、初めての試合で敗北した悔しさから翌年の大会で優勝することを目標に掲げました。
そこでチームメンバーで戦術を練り直し、練習方法を改善。切磋琢磨するため、学年関係なくレギュラー選抜のテストを設け、シーズンごとに成果を出さなければならない環境を作りました。私は部活動がない日も個人練習を続け、努力した時間だけは誰にも負けないよう体づくりから徹底して行いました。結果、レギュラーメンバーから一度も外れることなく、一年後の大会においても優勝することができました。
この粘り強さは、組織に貢献し、協力して困難な課題に挑むための価値ある資産であると考えています。この粘り強さを活かし、貴社でもチームと共に成長し、成功への道を切り開きたいです。(400字以内)
部活のどういった経験が自身の粘り強さを高めたのかについて記載があるため、どんなことがモチベーションに繋がるのか、人柄が想像しやすい内容になっています。試合に負けた悔しさから、1年後の優勝に向けて、粘り強く努力を続けたことがわかります。
また「粘り強さ」とは何なのかという仕事を踏まえた自分なりの考えが入っているのもポイントです。経験からどう考えたのか、成長が見える例文になっています。より熱意が伝わるようにアピールするには、希望する職種に絡めた回答を加えることで、分かりやすい文章になるでしょう。
研究
私は大学で生物学を専攻しました。卒業研究では野生種についてにフォーカスしましたが、初めてのテーマゆえに情報不足や実践的な困難に直面しました。特に、データの収集が難航し、当初の計画よりも遅れが生じました。
データ不足を克服するために、地道に現地に足を運び調査を実施し、専門家や地元の人々とコミュニケーションを深め、協力を仰ぎました。その結果、独自のデータセットを構築し、先行研究では得られなかった新たな知見を得ることに成功しました。また研究の内容について、先生方からもお褒めの言葉を頂くことができました。
この経験から、新しいことを始める際には地道な努力が必要なこと、それを繰り返すことで結果に繋がることを痛感しました。粘り強く研究に向き合った姿勢は、貴社での挑戦にも生かせると考えています。困難が生じた際には、柔軟性をもって新たなアプローチを見つけ、協力体制を築くことで問題に立ち向かい、先の見えない状況でも、結果を求め続ける姿勢で、課題のクリアに貢献していきます。(450字以内)
研究で得た粘り強さをどのように自身の中で解釈しているのかを具体的に記載することができていて、わかりやすい仕上がりになっています。研究内容や結果に具体的な数値を用いて書くことができれば、より伝わる文章になるでしょう。
またこの内容では、研究内容が伝わりにくいかもしれません。研究内容を伝えるときは、誰が読んでもわかるよう、簡潔にわかりやすく伝えることを意識しましょう。
自己PRで粘り強さをアピールする時の注意点
粘り強さの自己PRは職種によっては評価されない場合もある
職種によっては粘り強さがアピールポイントとはならない場合があります。例えば、総合商社やコンサルティングなど、粘り強さよりも効率の良さを求められるような職種の場合です。
しかし、そのような職種では絶対に粘り強さを自己PRにしてはいけないというわけではありません。その場合は、効率性や傾聴力など他の強みもアピールすることを意識しましょう。
業界や職種、企業によって求める人材は様々です。そのため、自己PRを書く前に業界研究や企業研究を徹底的に行うことをおすすめします。
継続するだけでは粘り強さに繋がらない
粘り強さをアピールする時にありがちなのは、継続したことをエピソードとして書くことです。単に、何かを続けたということは粘り強さには繋がりません。
目標を立て、その間の課題や問題などに対してどのように向き合い、努力したかが重要です。そのため、継続する中での、目標や課題、成果などを具体的に示すことを心がけましょう。
粘り強さは短所にもなり得るので要注意
粘り強さをアピールすると、同時に「しつこい」「自我が強い」など、マイナスポイントと捉えられてしまう場合もあります。自己PRとするエピソードを選ぶ時には十分に注意しましょう。
また、粘り強さをアピールしたい時は、同時に協調性などもアピールできるような要素を盛り込むことが大切です。記事の前半で紹介したように、言い方を変えてみるのも効果的です。
粘り強さを活かした自己PRを作成しよう!
自己PRにおいて「粘り強さ」は、就活生にとってアピールしやすいポイントであるといえます。
そのため、あなたが粘り強さを発揮したエピソードに合わせて言葉を言い換えたり、今後の仕事にどのように活かしていきたいかを具体的に伝えたりすることで、他の就活生との差別化を図ることができます。
また粘り強さは、就活生にとってアピールしやすいポイントである反面、相手側にネガティブに捉えられてしまうこともあります。そのため、粘り強さをネガティブに捉えられた場合は、どういったことがあるかを推測し、その部分に対する対策・アプローチ方法を考えることも大切です。
エントリーシートにおける自己PRは、具体的に述べることが大切です。相手に伝わる構成を意識して、あなたの強みである「粘り強さ」を最大限にアピールできるようESを作成していきましょう。