現代社会で企業が求める人材に不可欠な「主体性」。自ら考え、判断し、責任を持って行動する「主体性」は、どんな企業においても必要なスキルであるため、あらゆる業界・職種において重要視されるポイントの一つです。
主体性を示した経験やエピソードを上手く伝えることで、理想の企業からの内定獲得につながると言えるでしょう。
この記事では、主体性をテーマに自己PRを構築する際の要点をわかりやすく解説しています。
目次
主体性とは?
仕事における主体性は、個々の従業員が積極的かつ自発的に仕事に取り組み、自らの考えやアイディアを発揮し、責任を持って業務に取り組む姿勢を指します。主体性を持つ従業員は、単なる指示待ちではなく、主体的に問題解決や業務改善に取り組めるため、組織にとって重要な要素となります。
主体性と類似する概念に自主性がありますが、この2つの違いは、行動の意思決定を自分で決めるのか、自分以外も含まれるかという点です。
自主性は主に仕事の自己管理に焦点を当て、個人が自分の仕事を遂行する柔軟性と自由度を推し測る概念である一方で、主体性は積極的かつ自発的な行動に焦点を当て、個人が自分の仕事や組織に対して前向きに影響を与える姿勢を推し測る概念であるともいえるでしょう。
自己PRを考える際には、主体性と自主性の概念の違いを理解した上で区別し、主体性をアピールできるようにしましょう。
企業が求める主体性とは?
企業が就活生に主体性を求めるのは、単なる仕事の遂行以上に、主体的な行動が組織全体にプラスの影響を与えることを期待しているからです。
例えば、問題解決能力における主体性は、自ら問題を発見し、分析し、解決策を提案する能力に加え、他者の指示を待つのではなく、自分で主導して課題に立ち向かうことが重要なのです。
そのうえ昨今では、問題を発見し、革新的なアイディアや改善に向けた提案を行い、組織を新しい方向に導ける人材の価値が高まっています。時代の潮流から、今求められている人材像やスキルを考えながら、何をアピールすべきかに落とし込むことが重要です。
「主体性」をテーマに自己PRを作成する時のポイント
- 入社後にどう活かすのかを伝える
- 自主性を主体性に言い換える
- 主体性を具体化する
入社後にどう活かすのかを伝える
入社後にどのように自分の持っている「主体性」を活かすのかを明確にすることが重要です。
自己PRを考える前に、企業研究やOB訪問などで応募企業・業界の知識を深めましょう。そのうえで、企業に求められている主体性に見合う自己PRを作成することが魅力的な自己PRにつながります。
入社後の自分をイメージできない場合は、企業について知る時間を確保できていないか、そもそも企業への志望度が低いことが考えられます。自分と向き合いながら自己PRを作成しましょう。
自主性を主体性に言い換える
前述した自主性と主体性を混同していると、何を伝えたいのか分からない一貫性に欠ける自己PRとなってしまいます。主体性の訴求につながるエピソードを取り入れ、ブラッシュアップすることが大切です。
自主性のある人は、概ね主体性も発揮できるため、一度考えた自己PRのテーマを見直してみて、主体性に近づける訴求に修正しつつ、魅力的な自己PRに仕上げましょう。また、第三者から添削も客観的に評価してもらえるため、おすすめです。
主体性を具体化する
主体性は抽象的な概念のため、自己PR作成においては具体化する必要があります。自らがどのような状況で主体的に行動したかを具体的な例を挙げることが重要です。
例えば、プロジェクトでのリーダーシップ経験、自主的に提案したアイディア、困難な課題に主体的に取り組んだ事例などが挙げられます。
また、エピソードを通じて、自分にとっての主体性は何なのかを明示することで、自己PRの独自性が高まり、企業にとって印象に残りやすいでしょう。
「主体性」をテーマにした自己PR例文
サークル活動
大学時代、テニスサークルの一員として活動する中で主体性を養うことができました。4年時にはサークルの幹部となり、自分が発案し、イベントを企画・運営し、主体的に周囲を巻き込みながらサークル全体の活性化に努めました。例えば、新入生歓迎イベントでは、自発的にプログラムを考案し、メンバーと協力して実施したことにより、新入生の参加率が向上し、サークル内のコミュニケーションが深まったと感じています。
また、大会の際にはチームメンバーの個々の強み・弱みを見極め、試合に勝つための戦略を立案し、メンバー間の士気を高める工夫をしました。このような主体的なアプローチが、サークル全体の協力と競技力の向上につながりました。私はサークルで培った主体性を、貴社における業務に活かし、新しいプロジェクトに臆することなく主体的に業務を推進させ、チームの一員として成果を上げていきたいと考えます。(400字以内)
テニスサークルでの活動をテーマに、主体的に取り組んだエピソードを2つ取り上げ、簡潔に述べられています。どちらのエピソードも周囲に協力を仰ぎ、主体的にサークル活動を展開させているのが分かる内容となっています。
エピソードを複数紹介する場合でも、結論部分で一貫性のある主体性を明示すると、自己PR全体にまとまりがでるため、企業に伝わりやすくなるでしょう。
例文ではもう少し、主体性を発揮する以前の課題や問題について触れられていると、客観性の生まれる内容にブラッシュアップできます。
部活動
私は大学で4年間、陸上部の主務として活動し、主体性を持って活動したことで部の全国優勝に貢献できました。主務として積極的にリーダーシップを発揮しました。例えば、競技会の運営計画の策定や競技会当日の運営において、選手を第一に考えた部の運営に努めました。具体的には、競技会の補助員の役割分担や体制を明文化することで、各部員の役割を過不足なく配分し、スムーズな運営を導く役割を全うしました。
結果的に、競技の遅延やトラブルなく、競技会を運営することにつながったと考えています。また、コミュニケーションを重視し、選手やコーチとの円滑な連携を図るために、競技会や選手のコンディションに関する情報の共有を図るべく、チャットツールの導入を提案し、定着させることで、チームの一体感を高めました。
この経験を通じて、常に組織やチームを良い方向へ導くことの重要性を理解し、自分から積極的に行動することの重要性を学びました。貴社での業務においても、主体的に課題に取り組み、チームを先導できるよう、精進してまいります。(450字以内)
サークルと比べると規模感が大きく、目標やゴールが定まった組織の中で活動してきたということは、自己PRのエピソードとしても武器になるでしょう。
また、大学の部活動の主務というポジションは、就活の自己PRで使用されやすいトピックのため、例文のように具体性を担保しつつ、結論に説得力を持たせることがポイントです。
アルバイト
私は飲食店のアルバイト経験を通じて、業務が忙しい時期でも柔軟かつ効率よく業務に取り組むうえで、主体的な姿勢を培いました。アルバイト先では、混雑時におけるスタッフの不足や急な割引キャンペーン開催にもかかわらず、私は自発的に追加の業務を引き受け、スムーズな店舗運営をサポートしました。
さらに、料理の陳列に関する改善提案や顧客対応の改善点の指摘など、積極的に店舗運営を良い方向へ導くアクションを起こし、その実行にも取り組みました。例えば、陳列の変更により商品の売れ行きが向上し、スタッフも以前より前向きに働く人が増えるなどの効果がありました。このような経験を通じて、問題解決への意欲と柔軟性を身につけ、主体的に業務に取り組むことの重要性を理解しました。
貴社では、このような主体性を生かし、新しいアイディアや効率向上の提案を行い、チーム全体の成果に貢献していきたいと考えます。(400字以内)
飲食店のアルバイトをテーマに、主体性を上手く訴求できている自己PRです。アルバイト先の課題や問題点に触れ、どのようなアプローチを試みたのかが理解しやすい点や、一連のエピソードを通じて、自分にとっての主体性を定義付けている点がポイントです。
主体性を深掘りしつつ、社会人としてどう活躍するのかを端的に述べることが、応募企業に評価される自己PRを考えるカギとなります。
研究
私は、主体性を持ち、考えたことはすぐに行動に移す実行力があります。研究論文の執筆にあたり、学会での入賞を目標に研究に取り組んできました。理系学部であったため、実験を行う必要性のある研究を成功させるために、教授とのコミュニケーションを取りながら、研究テーマの選定から研究成果を出すに至るまでに、意見交換を積極的に図りました。
また、仮説の沿った結果が伴わなかった際には、柔軟に研究プロトコルの変更を加え、再度被験者を集め、実験に取り組むことで軌道修正を図りました。結果的には、学会で入賞でき、目標を叶えられました。
この経験を貴社にご縁があった際には、逆境や苦難な状況にある中でも、スピーディーに行動に移す主体性を自分の信念として、業務を遂行していきたいと考えます。(350文字以内)
考えたことを行動に移す実行力を「主体性」と定義し、言い換えている自己PRとなっています。自分で目標を設定したうえで、周囲を巻き込みながら目標達成に向けて工夫を凝らす姿勢が表れています。
また、計画した通りに物事が進まない状況下でも、持ち前の主体性で乗り越えていくこともアピールできており、自己PRに独自性が生まれています。
主体性は成果を出してこそ、周囲に評価されるため、成果ありきのエピソードを持っている人は自己PRに活用することをおすすめします。
インターンシップ
私は、インターンシップ経験を通じて、新たな視点で課題に取り組み、主体的に行動する姿勢を身につけました。マーケティング業務を経験した際、リードの獲得数およびナーチャリングに課題を抱えていたため、改めて市場調査や競合分析を徹底しチーム全体に新しい提案を行いました。
自ら企画・提案したセミナーイベントが採用された際には、リーダーポジションを担い、参加者数を増やすべく計画的なマーケティング活動の実施や当日の参加者に対して、積極的に新規顧客の開拓や既存顧客との関係構築に取り組みました。
結果的に、セミナーイベント実施後にリード数が前年比150%、成約数も年間目標を達成でき、自らの考えを発信し、周囲を巻き込みながら業務を推進する主体性を学ぶことにつながりました。
これらの経験から、主体性がビジネスの成功において不可欠であることを痛感しています。貴社の営業チームでのインターンシップを通じて、主体的に業務に取り組み、将来は新規事業の立ち上げにも挑戦していきたいと考えています。(500字以内)
インターンシップでの経験をテーマに課題に対して、どのように取り組んだかが具体的に記載されている自己PRとなっています。
インターンシップの経験を自己PRに取り入れる際は、経験業務と応募する企業の業界・業種がマッチングしていることがポイントです。即戦力を求める企業にとっては、重宝されるでしょう。
自己PRで気をつけたいのは、具体性を担保することです。例文では、マーケティング業務を取り上げていますが、数値を用い、目標に対し定量評価をしている点も採用担当者が重視しているポイントとなります。
主体性をテーマに自己PRを作成する際の注意点
主体性をテーマに自己PRを作成する際は、協調性に欠けた内容になっていないかに注意が必要です。特にチームで仕事を進める要素の大きい職種の場合は、周囲の協力や理解を得たり、メンバーを巻き込んだエピソードに落とし込めるとより良いでしょう。
また、主体性は他スキルと関連しているため、主体性を発揮したうえでどのようなことが得意なのか、できることなのか、ハードスキルも含めて企業に伝えることで魅力的な自己PRになります。
自己PRで何を伝えたいのか優先順位を決めて構成を考えることで、スムーズに書き進めることができるでしょう。
現代に求められる主体性を企業に伝えよう!
主体性は他のトピックと比べると抽象的である一方、求められる主体性や具体性を意識することで、自分の武器としてアピールすることができます。
企業も主体性のある人材を求めているため、自己分析や他己分析を踏まえ、自分にとっての主体性を深く掘り下げ、採用担当者に刺さる自己PRを作成していきましょう。