就職活動において自己PR、ガクチカと並んで企業から質問されるのが志望動機です。「どうして弊社を選んだのか」という質問とそれに対する回答は、最早鉄板とも言える採用現場でのやり取りでしょう。
やはり企業としても、数多く存在する企業の中から自社を選んだ理由を知りたいと思っています。また、他の2つの質問とは違い、志望動機は今後働いていく上でのモチベーションにもつながるため、質問の中で特に重視している企業も少なくありません。
しかし、企業の希望とは裏腹に「志望動機が思い浮かばない」と困っている就活生が多いことも事実です。また、しっかりした志望動機に見えても、そもそも「なぜ選んだのか」「どうして応募しようと思ったのか」など、突き詰めて考えていくと、実際は穴だらけということも珍しくありません。
この記事では、志望動機が思い浮かばずに悩んでいる就活生に向けて、志望動機の見つけ方や、その後の志望動機の書き方について解説していきます。
目次
志望動機が「ない」就活生は意外と多い
例えば、幼少の時分から入社したい企業が決まっていて、それに向かって人生設計を組み立ててきたというような志の高い学生は確かに存在します。しかし、そのような人は極少数でレアケースな存在です。
現代は就活サイトを活用した就活がスタンダードです。就活サイトでは大半の学生が、「何となく」興味を持った企業にエントリーし、「とりあえず」説明会に参加するという状況から始まります。このような「何となく」や「とりあえず」の状態では、志望動機が「見つからない」「思い浮かばない」のは当然です。
就活サイトでは、今まで接点のなかった企業とも簡単に接点を持つことができます。しかし、最初は相手のことを何も知らない状態です。興味や関心がなければ志望動機は書けません。事実、就職ジャーナルのアンケート結果では6割の就活生が「志望動機が書けなかった」と回答しています。
しかし、いつまでも「ない」状態では選考が先に進みません。その状態から企業に興味を持ったきっかけを言語化すると同時に、自己分析や企業研究を進め「志望動機」を作っていきましょう。
参考:「志望動機が書けない」で困った就活生は半数以上!|就職ジャーナル
企業が志望動機を求める理由とは
会社と志望者の相性を確認するため
企業が人の集まりである以上、どうしても企業と労働者には「相性」というものが存在します。相性のよい企業であれば長く働き続けてくれるかもしれませんが、相性の悪い企業であれば、転職や退職につながってしまいます。
企業としては一人の人に長く働き続けてもらうことを希望しています。それは新入社員も同じです。折角、長い時間をかけて採用活動をしたのに、早期退職となってしまっては企業としても大きな負担となります。
企業は、志望動機から就活生の働き方の方針や自社への興味関心を読み取ろうとしています。当然ですが、方針が合致していて、興味関心があれば企業としても長く勤めてくれるという期待が持てるでしょう。このような相性の良い就活生を探すために志望動機を企業は質問しています。
学生の志望度を測るため
志望動機を書くためには、企業のことを知らなければなりません。どのような仕事内容なのか、どのような商品を販売しているのか、取引企業はどこがあるのかなど、企業が発表していることだけでも分かることは多種多様です。
志望動機の源泉は、企業に対する興味関心にあります。企業としても「何となく」選んだ就活生よりも、強い興味を持っている就活生の方が「採用しよう」という気分になるのは当然です。
志望度とは「どれだけ自分たちのことを知ろうとしてくれているのか」という企業からの期待と同義です。「知ろうとする気持ち」は、そのまま志望動機につながります。志望動機を書く前には、その企業だからこそできることを必ず調べてみましょう。
入社後の活躍を想像するため
人事の仕事は人を採用して終わりではありません。その人が適切に能力を発揮できる場所に配置する、引き出してくれる仲間を用意するなど、マネジメントも人事担当の重要な仕事です。
それは新卒の就活生に対しても同様です。企業は志望動機の内容から「その人が何をしたいのか」を読み取ろうとしています。そして、企業としてその「したいこと」が実現できる場所が提供できるかを常に考えています。
志望動機には臆することなく自分がその企業でしたいことを記載しましょう。そうすることで企業も入社後の姿が想像しやすくなります。更に「何を」「誰と」というところまで具体的に記載できると、さらに入社後の姿が企業にもクリアに見えてきます。
企業が志望動機を評価しているポイント
自分の考えを適切に表現できるか
昨今、ネットを開けば志望動機の例文がいくつも存在します。その中には確実に企業の求めるポイントを突いた名文と評価すべき志望動機が存在することも事実です。しかし、それはあくまでも「書いた人」が思っていることだということを忘れてはなりません。
働く業界も企業も私たちは自由に選べます。そして、その無数にある業界や企業の中から「自分が選んだ」理由が必ず存在するはずです。企業も、自社を選んでくれた理由については是非とも知りたいと思っています。
志望動機が素晴らしい理由である必要は全くありません。志望動機は自分の思っていることを素直に伝える場所です。自分らしさがストレートに伝わる志望動機の方が企業も評価してくれるでしょう。
面白い話ができるか
ここでいう「面白い」話とは「相手が興味を持てる」話です。志望動機は企業に対する興味関心が源泉になるため、しばしば他の就活生と内容が似通ってきます。そうなると、評価する側としては目新しさを感じられず興味も持てません。
逆に言えば、その中で目新しい志望動機が書くことができる就活生は、企業も興味を持ってくれます。例えば、自分だけが知っている商品をきっかけにしてみる、自分の経験と結び付けてみるなど、目新しさを出す方法はいくつも考えられます。
他にも、文章力に自信があるならば、志望動機の書き方のセオリーを崩してみるのも良いでしょう。ただし、文章構成の変更は文章の説得力や論理性を犠牲にする可能性もあるため注意が必要です。
どの程度業界や企業を調べているか
志望動機は、業界や企業への理解を示すものでもあります。採用活動で企業が最も避けたいのは、内定後や入社後に採用辞退や早期離職をされることです。そのため、選考段階で就活生の思い描いている企業像を確認し、ミスマッチを防止できれば企業も採用を円滑に進められます。
このミスマッチを防ぐためには、就活生側にも「業界や企業を調べて、正しく理解する」ことが求められます。調べた上で悩むようであれば、その業界を志望しないという選択肢も視野に入るでしょう。
また、同じ業界でも企業が変われば、企業の風土や教育体制など様々な要素が異なります。その中には「その企業だけ」でしか行われていないことも存在します。本当に「その企業は自分のイメージと一致しているのか」を説明会や企業見学などを通じて確かめていきましょう。
話は論理的か
例えば、金融業界を志望しているのにもかかわらず「人助けがしたい」というような志望動機を書いても、ほとんどの企業は評価しません。抽象的であるだけでなく、業界と志望理由の関連性が薄いためです。
話を論理的にするためには、志望動機に対する適切な「理由」が必要です。先の例ならば同じ「人助け」であっても、「地域経済に貢献したい」や「金融を通じて人の暮らしを豊かにしたい」など、その業界や企業ならではの理由にしましょう。
また、より論理的な志望動機にするならば、冒頭で「理由」の数を伝えることもポイントです。それだけでも読み手や聞き手が内容を整理でき、より話が相手に伝わりやすくなります。
話の内容に説得力はあるか
志望動機は「とにかく入りたい」という熱意を伝えれば良いわけではありません。動機に対する理由をつけ、企業側に納得してもらえるように話を進めていかなければ、自身の意欲は伝わりません。
説得力のある志望動機にするためには、結論から書き始めることが効果的です。相手に対して自分が何を伝えたいのか最初に明示することで、相手も話を整理しながら読み進めていくことができます。
他にも、文章の構成や文の順番、言葉選び次第で志望動機の説得力を強めることは可能です。話の内容は勿論ですが、何よりも「相手が読んで理解できる文章」であることは、志望動機を書く上で最も気をつけなければならないポイントです。
- 志望動機は結論から書き始める
- 客観的に伝わる理由を用意する
- 伝わりにくい専門用語や、難しい言葉は避ける
- 理由は段階を踏んで、「AだからB」「BだからC」と順番に進めていく
志望動機が思いつかない理由とは
そもそもその企業の中身に興味がない
昨今は就活サイトを使えば、いくつもの企業へ手軽にエントリーできます。しかし、そのような状態の企業の志望動機を考えても、企業のことを何も知らないため志望動機は思い浮かびません。
志望動機を考えるためには、まずは「どのような企業なのか」を知るところから始めましょう。その中で「面白そう」「楽しそう」というポジティブな気持ちが湧き上がってきたときに改めて志望動機を考えてみましょう。
給与や福利厚生などの面だけで評価している
昨今、働き方改革やワークライフバランスの重視など、働き方そのものが変わっています。その中で給与の高さや年間休日などの話も企業選びのポイントになっているということ自体は、社会的には評価されるべきことでしょう。
しかし、これらを理由にしてしまうと、「給与が高いならどこでも良いのか」「仕事の内容は気にしないのか」という印象を与えてしまいます。これでは企業としても、「自社である必要がない」として志望動機を評価できません。
志望動機は、その企業に対する興味です。給与や福利厚生も重要な要素ですが、それだけを見ていると志望動機は生まれません。もっと取り扱っている商品や働いている人に目を向けてみましょう。
自分のやりたいことが定まっていない
同じ企業でも、営業がしたい人と商品開発がしたい人では志望動機は大きく異なります。企業に興味があっても、その企業の中で「したいこと」が思い浮かばない、もしくは明確に決まっていない場合も志望動機は思い浮かびません。
就活生の視点から考えた志望動機とは、自身の仕事に対する価値観でもあります。仕事への価値観とは、簡単に言えば仕事に対して何を望むかです。お金を求める人、やりがいを求める人、ワークライフバランスの充実を求める人など、仕事に対する思いは人それぞれです。
自分が仕事の中で最も大切にしたい物は何か、それを実現するために最適な企業とは、というような視点で志望動機を考え始めるのもよいでしょう。そうすると、自分の「したいこと」と企業で「できること」が自然とつながります。
その会社である理由が曖昧になっている
志望動機が思いつかない理由の4つ目は、その企業を選ぶ明確な理由がないことです。特に、業種で選んでいる人や特定の企業への憧れが強い人は「何故その企業に入りたいのか」という具体的な理由が伴わず、志望動機が思い浮かびません。
企業のネームバリューや業務に対する憧れなど表面的な理由では、入社にかける熱意は伝わりません。企業に入社することでやりたいことや成し遂げたいこと、その他、自分がどのように成長していきたいかなど、その企業だからこその理由が志望動機には求められます。
憧れは志望動機のきっかけにはなりますが、志望動機そのものにはなりえません。企業研究を進める中で、その企業が他とどのような点で異なるのかについて目を向けてみると、自然とその企業である理由も見えてくるでしょう。
自分の考えを整理できていない
業界研究を十分に行い、企業研究や自己分析を終えてもなお、志望動機が書けないという人は、自分の考えが整理できていない可能性があります。志望動機は単に書いて終わりではなく、企業に「入社してほしい」と思ってもらわなければなりません。思いつくまま書くと説得力のない文章になってしまい、熱意が伝わりません。
思い浮かんだ志望動機は、一度紙に書き出すか、他人に話すなどして整理しましょう。そうすることで、志望動機とその理由に対するつながりも明確になり、スムーズに書くことができるようになります。キャリアセンターやOB訪問などを有効に活用しましょう。
また、考えを言語化して吐き出すことは客観的な評価を受けることでもあります。自分では完全だと思っていても、まだ話の展開が強引であったり、根拠が薄弱であったりする可能性は大いにあります。そのような穴を見つけるためにも、一度自分の考えを整理する時間を設けましょう。
志望動機が思いつかないときの対処法
興味のない企業はそもそも応募しない
企業を選んでいると、どうしても「興味が持てない」という企業は少なからず出てきます。業務内容が面白そうではない、社風が自分に合っていないなど、人と企業の相性とも言うべき問題です。
そのような企業の志望動機を考えても、結局は取ってつけたようなありきたりの内容で終わってしまいます。志望動機は、言い換えれば「企業に対する興味関心」です。興味が持てない企業には見切りをつけ、次の「興味を持った」企業の志望動機を考える方が有意義です。
特に、これまで全く接点のなかった企業に対しては、興味を持てないことも多いでしょう。企業研究をしてもなお、興味が持てない企業とは「今回は縁がなかった」と割り切って、次へ進みましょう。
企業研究を徹底して特徴を把握する
志望動機は、その企業1社に対するものでなければ熱意が伝わりません。同じ業界のどの企業でも汎用できるような志望動機は、企業から「自社である必要性がない」と判断されてしまいます。その1社である理由を明確にするためにも、企業研究は欠かせません。
ポイントは、同業他社と比較することです。同じ業界であっても、企業ごとに力を入れているものは全く異なります。他社と比較すると、別の企業では自分の志望動機が叶わない可能性に気が付くこともあります。それを繰り返すことで「その企業ではないといけない理由」も見えてくるようになるでしょう。
最終的に、「同業他社と比べると、貴社は〇〇です。だから〇〇ができる貴社を志望しました」という流れで志望動機が書けるようになれば、企業研究は十分です。自分だけが見出した理由があれば、企業も高く評価してくれるはずです。
「SWOT」分析で自分のやりたいことを見つける
S:Strength(自分の強みや経験)
W:Weakness(短所や嫌いなこと)
O:Opportunity(志望企業で活かせること)
T:Threat(志望企業と合っていないと思えること)
自分のやりたいことが見つからず、志望動機が思い浮かばないという人は一度企業を見ることを止めて、自分自身を見つめなおしましょう。自分自身の経験や強みといった「自分のできること」と、夢や希望といった「自分のしたいこと」を明確にすると、志望すべき業界や企業もクリアになります。
このような場合は、SWOT分析を活用してみるとよいでしょう。本来は、企業が自社の内部環境と外部環境を、強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)として洗い出し、企業や事業の現状を把握するためのフレームワークであり、就活生にも応用の効く考え方です。
本来、就活においては強みを活かすことが最善ではありますが、強みがあっても志望先で活かせないようでは実力を発揮できないでしょう。企業に入って実現できることも、やりたいことを見つけるためには重要なポイントです。
就活の軸を考え直す
就活の軸とは、就活を行ううえで譲れない、自分なりの基準です。例えば商社やIT業界など業界や企業の内情を基準にする人もいれば、「人と接する仕事がしたい」と業務内容で選ぶ人もいるでしょう。勿論、「給与が良い」といったやや俗な理由もあります。軸となる部分は様々ですが、その軸は志望動機にもつながってきます。
志望動機が思い浮かばないのは、その軸が曖昧になっている可能性があります。現代の就活はインターネットの利用が主流であるため、多くの企業を知ることができます。多くの企業を知っていくと、何もかもが魅力的に見えてしまうこともあるでしょう。しかし初心を忘れてしまっては理想的な志望動機は書けません。
自分の就活における軸を明確にするためには、自問自答するのも効果的です。特に、「なぜ」という理由と「どうやって」という方法、そして、「何を」という仕事の対象は、納得がいくまで考えてみましょう。
他人に相談する
志望動機に悩むようであれば、自分の今の考えや状況などを他人に話すことで解決を図ることも考えられます。他人から客観的な意見を受けることで、新しい発見や別の表現、自分だけでは分からなかった志望動機の穴も見えてくるはずです。
相談する相手は友人や家族でも構いませんが、最も効果的なのは大学のキャリアセンターの職員や就活エージェントなどのプロの意見です。他にも、OB・OG訪問や企業見学のときに実際に働く方から経験談を聞いて参考にするのも1つの方法です。
重要なことは、志望動機は「他人から読まれて評価される」ものであるということです。他人の目線が入ることで、一層、志望動機にも磨きがかかることでしょう。
志望動機を書くときのポイント
結論から書き始める
志望動機における最も重要なポイントは書き出しです。書き出しは採用担当者を最初に惹きつける部分であり、ここで「続きを読みたい」と惹きつけることができなければ、全体を読まれなかったり、読んだとしても流し読みされてしまいます。
書き出しで引き付けるためには、企業が最も知りたいこと、つまり「なぜ自社を志望するのか」という結論の部分から始めます。結論から最初に伝えることで、相手に伝わりやすく、分かりやすい志望動機になります。
このような結論から伝える方法をPREP法と呼びます。「Point(結論)」「Reason(理由)」「Example(実例・具体例)」「Point(結論)」の頭文字をとったものであり、主張を伝えやすくするコミュニケーションの手法として、ビジネスでは幅広く使われています。
Point(結論)
Reason(理由)
Example(実例・具体例)
Point(結論)
具体的なきっかけや理由を伝える
結論の次には理由を続けます。この理由が具体的になるほど、その会社でなければならない理由が伝わりやすくなります。まずは業界に興味を抱いた小さなきっかけから始め、業界や企業を絞り込んでいった理由へ繋ぐ、というような流れ話を展開すると論理的で説得力のある文章になります。
また、志望理由を書く時には競合他社の調査も行い、会社ごとの違いを見つけておきましょう。例えば、「金融業界だから」というだけでは、なぜその企業を選んだのかが分かりません。間違いなく企業からは「〇〇社も金融業界ですが、なぜ弊社なのですか?」などと深掘りされてしまうでしょう。
同じ企業にエントリーする就活生は大勢います。ありきたりな内容やどの企業でも通じる理由では企業の目に留まりません。自分にしかない理由を探し出して、採用担当者の印象に残る志望動機にしましょう。
企業でどのように活躍したいかで締める
志望動機の最後は、自分の強みや経験を活かして、会社に対してどのように貢献できるかを伝えます。どれだけ立派な理由であっても、最終的な判断材料は「入社後に活躍できそうか」「企業と相性は良いか」の2つです。その点において、入社後の活躍する姿を話すことは重要と言えるでしょう。
例えば、「英語を活かして、海外展開を推進している貴社を志望します」という志望理由は、確かに英語は海外展開の手助けになるでしょう。しかし、英語という個人の能力と海外展開という企業の方針は別物です。企業の側に立てば、個人の能力よりも事業方針に賛同してくれる人を選びます。その意味では「相性」が良いとは言えません。
同様に、「強みであるコミュニケーション能力を活かして、事務として活躍します」のように伝えると、自分の強みが志望職種や業界に直接的な関連が見つけられません。結局、企業側も採用するメリットが感じられず、志望動機としては印象の薄いものになってしまいます。
評価される志望動機には、自分を採用する場合のメリットが必ず記載されています。企業の方針や考え、そして、事業に対して自分の強みがどのように役立つのかを考えて志望動機は締めくくりましょう。
志望動機が思い浮かばない場合の参考に!業界別の例文集
①商社
私が貴社を志望する理由は、グローバルに活躍できる環境があるからです。
私は大学時代に経験した留学や海外インターンシップを通して、異文化理解や国際的なビジネスの流れを学び、日本と世界を繋ぐ架け橋になりたいという思いが強くなりました。
貴社は総合商社として幅広い事業展開を持ち、高い技術力とともに新しいことに挑戦し続ける姿勢に非常に魅力を感じています。特に、貴社が掲げる「お客様のニーズに応える」という目標に深く共感しており、貴社での仕事を通じてその実現に貢献したいと強く思っています。さらに、留学や海外インターンシップで培った挑戦心やチャレンジ精神は、グローバルなビジネス環境で十分に発揮できると確信しています。
貴社へ入社した際には、お客様の課題解決に積極的に取り組み、さらなる発展に貢献できるよう全力を尽くしたいと考えています。(400字以内)
この志望動機は非常に具体的で、企業に対する熱意がしっかりと伝わってきます。留学や海外インターンシップの経験を通じて培ったスキルや意欲を強調し、グローバルな環境で活躍したいという明確なビジョンが示されています。
商社は企業によって扱う商材や事業規模なども異なるため、「なぜその企業を志望しているのか」が明確に伝わるよう、志望企業の研究が重要となります。具体的にどのような部分に共感しているのかを伝えることで、熱意や意欲がアピールできるでしょう。
②IT業界
私が貴社を志望する理由は、「教育×テクノロジー」という革新的なアプローチで業界をリードしている点に強く魅了されたからです。
教育の多様化が進む現代において、貴社の提供するeラーニングプラットフォームが、学校や企業、家庭における学びの新しいスタイルを実現するための重要な役割を果たしていると感じています。
私自身、大学では情報工学を専攻し、卒業研究ではオンライン学習システムの開発に取り組みました。この経験から、「一人ひとりに最適な教育の提供」という貴社のビジョンに共感し、その実現に貢献したいと考えるようになりました。
技術的なスキルはもちろん、教育に対する情熱と理解を活かして、貴社チームの一員として成長し、価値あるサービスを提供できるよう尽力します。(350字以内)
この志望動機は、非常に説得力のある志望動機に仕上がっています。
まず、志望理由が明確であり、具体的にどのような部分に共感しているかが伝わります。冒頭部分に、なぜ貴社を志望するのかを明確に伝えることで、読み手側の興味を引く文章となります。さらに企業が取り組んでいるサービスや事業について触れることで、企業のことを理解できていることがアピールできます。また、貢献意欲を含めることで、ポジティブな印象も与えられます。
IT業界は、幅広い業種があるため、志望する業種に合わせた内容を意識しましょう。
③食品業界
私が貴社を志望した理由は、地元の銘菓として親しまれている貴社の製品を生産ラインから関わり、支えたいと強く思ったからです。
私は、地元の銘菓が地元の文化や風土を象徴する大切な存在であり、それを残していくべきだと考えています。
大学時代、食品科学を専攻し、特に地域特産品の開発とその品質管理について学んできました。さらに、卒業研究では、地元食材を使った新商品の開発プロジェクトに参加し、商品の企画からマーケティングまで経験しました。この経験を活かし、貴社の製品開発や品質管理に貢献したいと考えています。
私は、食品を通じて消費者に喜びを届けることは、大きなやりがいを感じるとともに、自分自身の成長にも繋がると確信しています。貴社の一員として、地元を代表する商品を創り出し、多くの人々に喜びと満足を提供することに全力を尽くします。(400字以内)
具体的で説得力のある志望動機が書かれています。地元の文化や風土を大切にする姿勢が伝わり、企業の製品を支えたいという強い意欲が感じられます。
また、大学での具体的な経験が挙げられており、実務に役立つスキルを持っていることがアピールされています。食品業界の場合は、食への関心の強さをアピールし、関心を持ったきっかけや理由を述べるとより印象に残る志望動機となります。さらに、なぜその業種や企業を志望するのかを伝えることで、他の就活生と差別化が図れます。
④小売業界
私が貴社を志望する理由は、ファッションを通じて人々の生活を豊かにし、ブランドの魅力を最大限に引き出すことに強い関心があるからです。
大学時代にはファッションビジネスとマーケティングを専攻し、アパレル業界でのインターンシップを通じて実践的な経験を積みました。特に、販売促進やイベント企画に携わり、ブランドと消費者の橋渡しの重要性を実感しました。
貴社は独自のブランドイメージを確立し、多くのファッション愛好家から支持を得ている企業です。私は特に、貴社が重視する「顧客第一主義」や「持続可能なファッション」という理念に共感し、その一員としてブランドの成長を支えたいと考えています。
入社後は、これまで学んだ知識やインターンシップで培った経験を活かし、ブランドのプロモーション活動や顧客対応において積極的に貢献したいと考えています。(400字以内)
企業を志望する理由が明確で具体的に記されています。特に、個人的な動機や具体的な経験はオリジナリティのある内容となり、他の就活生と差別化が図れます。また、企業理解や貢献意欲を示すことで、数ある企業の中でも、なぜその企業を志望しているのかが明確に伝わります。
全体を通して、企業に対してポジティブな姿勢を示すことができ、読み手に対して良い印象を与える文章になっています。小売業界も幅広い業界であるため、自分が目指す企業に焦点を当てて内容を考えることが重要です。
⑤不動産業界
私が貴社を志望する理由は、お客様の人生に寄り添い、笑顔で幸せな時間を提供できると信じているからです。
大学時代に部活で部長を務め、チームワークの大切さや積極的なコミュニケーションの重要性を学びました。
この経験から、人々と共に課題解決を行う不動産業界の営業職に魅力を感じました。中でも貴社を志望する理由は、お客様との信頼関係構築力や提案力が高いと感じたからです。
貴社の顧客志向の姿勢や丁寧なサービスに共感し、お客様に真に価値ある提案を行いたいと考えています。入社後は、学生時代に培ったコミュニケーション能力やリーダーシップを活かし、お客様との信頼を築きながら、幸せな暮らしの実現に貢献していきたいと思っています。(350字以内)
全体として、具体的な経験や志向性を示し、企業に対する理解と意欲がしっかりと表現されています。不動産業界の場合は、業界や業種を選んだ理由、活かせるスキルや経験、やる気をアピールすることがポイントとなります。
注意点としては、待遇面を理由にしないことと学びの姿勢をアピールしないということです。「学びたい」「スキルを身に付けたい」を強調すると、スキルを身に付けたら辞めてしまうのではと思われてしまいます。そのため、貢献意欲をアピールすることが大切です。
志望動機を書くときに注意したいこと
他の企業でもいい理由は書かない
例えば、「人助けがしたい」「社会貢献がしたい」というような志望理由を挙げる就活生は少なくありません。確かに立派な志ですが、企業は「別に自社でなくてもよい」と判断します。どの業界・企業でも通用する理由は志望動機になり得ないことに注意しましょう。
また、同様に「パイロットになりたい」「運転士になりたい」というような憧れだけを前面に押し出した動機も、企業からすると評価が低くなります。業種や職種への憧れは、志望動機につながりますが、それだけでは「その企業」に対する熱意は伝わりません。
就活生の中には、その1社に対する熱意を記載できていない人がいます。数ある業界・数ある企業の中から、そのたった1つの企業を選んだ理由が必ず存在するはずです。その企業独自の強みや特徴などを捉えて志望動機を仕上げましょう。
コピペした例文は使わない
昨今、インターネット上には志望動機の例文がいくつも掲載されています。書き方の参考にはなりますが、そのまま使うことは厳禁です。自分自身の経験に基づかない志望動機では、運良く入社できたとしてもいずれ現実と想像のギャップから退職につながるだけです。
また、自分で考えていない志望動機は、間違いなく採用担当には見破られます。志望動機は面接でも尋ねられる質問です。志望動機に書いた経験を更に深掘りされることも珍しくないでしょう。結局、自分の経験ではないので、適切な回答になりえません。
志望動機が尋ねられるのはESだけではありません。選考が進むごとに、より深さが求められます。あくまでもネット上の志望動機は参考程度に留め、必ず自分の考えや経験をもとに考えましょう。自分らしさがある志望動機の方が企業も評価してくれます。
その企業の商品の感想だけで終わらせない
その企業が販売している商品やサービスは、企業に対する興味関心としては十分な材料です。事実、「貴社の販売している〇〇に興味があって」という志望動機を書く就活生は数多く存在します。その中には無事に内定を勝ち取っている人も少なくありません。
しかし、商品やサービスは企業を知るためのきっかけでしかありません。そこから先の、その商品を多くの人に知ってもらう広報や営業をしたいのか、改善するための開発をしたいのか、といった「入社後にしたいこと」がないようでは志望動機としては不完全です。
これは仕事内容についても同様です。仕事内容が素晴らしいと称賛することが志望動機ではありません。その仕事の「何」に対して素晴らしいと感じて、実際に自分が「どうしたいのか」を考えましょう。
給与や福利厚生を理由にしない
給与の高さや福利厚生などの待遇の良さを志望動機に挙げることはやめておきましょう。単純に仕事に対する意欲や企業に対する興味関心がないと思われてしまい、非常に印象が悪くなってしまいます。
勿論、働く上で報酬は大事です。企業選びの基準に給与や福利厚生に関することを含めることも何一つ間違っていません。しかし、待遇面を押し出した志望動機は、その1社を選ぶ理由としては不適切です。意欲を疑われかねないだけでなく、「より待遇のよい企業が現れたときに転職するのでは」と企業に思わせてしまいます。
その企業の待遇にどれほどの魅力を感じていても、ESや面接など選考時に言及することは避けたほうが無難でしょう。それよりも事業内容や企業理念、社風など、その企業だからこその魅力を回答の軸にしましょう。
志望動機は「ない」からがスタート
昨今の就活は就活サイトの活用がスタンダードです。そこでは今まで知らなかった企業と自分の接点が生まれますが、最初は全く知らない相手です。興味や関心がないのは自然なことでしょう。そのような状態では志望動機は生まれません。
志望動機をつくるためには、そこから相手の企業のことを深く知っていくことが重要です。事業内容や企業理念、社風や社員構成などホームページを見るだけでも、幾つかは知ることができます。もっと深く知りたいならば、インターンの活用も良いでしょう。
そうして、相手を知る中で自己分析も進めていきましょう。自分の働く目的を明確にした上で、やりたいことやできること、企業で実現したいことを考えて、志望動機を練り上げていきましょう。