学生が実際に会社の業務を体験することができるインターンシップは年々増加しており、中には本選考で優遇が受けられるものや、本選考の一部としてインターンの成果次第で内定が得られる内定直結型と呼ばれるものも存在しています。

このことから、就活生の間でインターンを希望する人も多く、選考の段階で高度なESを書くことが求められます。志望する業界・企業の内定を勝ち取るため、インターンに懸ける熱意を志望動機として書き上げましょう。

インターンとは

インターンとはインターンシップの略であり、企業が実施する就活生向けの就業体験のことです。企業体験の形式はいくつか存在しますが、経済産業省、文部科学省、そして、厚生労働省の三省会議の定義では、就職後を想定して1週間程度から半年以上の業務を体験するものとされています。

元々は、バブル崩壊後の就職氷河期のなかで、学生と企業を早期に結び付けたい政府や経団連の後押しのもとで始まりました。

インターンに参加して実際の仕事を体験することは、自分のキャリアを考える機会になるでしょう。また、会社説明会やOB・OG訪問よりも、自分自身で現場の空気を感じることができるため、企業ごとの雰囲気の違いが実感できます。

学生の企業体験は、以下のような4つのタイプに分類されています。このうち、「汎用的能力・専門活用型インターンシップ」と「高度専門型インターンシップ」が一般的にインターンと呼ばれるものです。正しく理解しておきましょう。

類型規定の期間就業体験
オープンカンパニー半日なし
キャリア教育学生に配慮すれば自由任意
汎用的能力・専門活用型インターンシップ汎用的能力型は5日以上専門活用型は2週間以上必ず実施
高度専門型インターンシップ2022年現在調整中必ず実施

参考:三省会議の定義|経済産業省

企業がインターンシップを行う理由

優秀な人材の早期発見・早期接触

企業がインターンを行う最も大きな理由は、人材確保です。昨今、どの業界でも人手不足は深刻な問題となっており、どの企業も優秀な人材の確保に必死です。

ただ同時に、学生の本分は勉強です。就職活動が学業の負担とならないように、企業の採用活動に関するスケジュールは年々短期化しています。早い企業であれば、既に夏前には募集を締めきっているということも珍しくありません。

しかし、その短い期間で人材を確保することは困難です。そこで企業は優秀な人材をいち早く見つけるためインターンを実施しています。

インターンは基本的に大学3年生を対象に行われるため、企業は将来の従業員候補となる優秀な学生たちと早期に接点を持つことができます。また、定期的に会社のイベントなどに参加してもらうことで、接点を持ち続けることができれば、自然と採用にもつなげやすくなるメリットがあります。

採用後のミスマッチの防止

インターンの実施は、企業と学生との間のミスマッチを減らすことにもつながります。企業にとって、新卒採用は想像以上に人手や予算が必要な業務です。そうして採用した社員が早々に退職してしまうことは、企業としても避けたい事態です。特に昨今は第二次新卒や、転職市場も活発なため、社員も転職という選択肢を選びやすくなっています。

そのような状況の中、1人の社員に長く働いてもらうことは、企業にとっては重要な課題です。しかし、どうしても企業の社風に合わず、早々に転職してしまうケースも増えています。そこで、早期にインターンシップを実施し、学生に社風を知ってもらうことで、採用後のミスマッチを予防することができます。

採用活動を通したPR活動の実施

インターンの実施は、企業のPR活動に使用することができます。どんな大学のどんな学生がインターンに参加したのかを外に公表することで、次年度以降の参加者も期待できるでしょう。特に、OB・OG訪問同様に、特定の大学と強いつながりを持つことができれば、安定して応募人数を見込むことができます。

また、早期のインターンシップの実施は、採用活動の短縮につながります。経団連は就職活動の長期化による学業への影響を危惧しており、基本的に短期での決着を企業に要請しています。そのような背景もあり、学生の就職活動の負担軽減は、それ自体が企業の社会貢献をアピールできる材料です。

就活生がインターンシップに参加するメリット

企業側のインターンへの熱意に呼応するように、就活生もインターンシップに積極的に参加しています。マイナビの調査では、2025年卒の就活生の約9割が参加していることが明らかになっています。

また、ひとりの就活生がインターンに参加する企業数も、平均で6社と年々増え続けています。昨今の大学生が、自分のキャリアに対していかに真剣に考えているかが伝わる数字です。それだけ、インターンへの参加は就活生にとってメリットのあるものといえるでしょう。

 インターンシップへの参加は内定獲得の確率を高める

選考を想定してインターンに参加することを考える学生は多いのではないでしょうか。事実、HR総研の調査では、35%の学生が「選考を有利に進めるため」にインターンに参加していると回答しています。

インターンシップは企業が行う採用活動のなかでも、最も早い時期に行われる活動です。学生の側からも、企業に早期に接触することで、自分のアピールを何度も繰り返し行うことができます

また、インターンシップの経験を、実際の選考のなかで活かすことも考えられます。企業に対する強い志望度をアピールできるだけではなく、就業後もスムーズに業務に入ることができるでしょう。特に、2025年度の就活からは採用に直結するインターンが正式に解禁されることになります。そのため、今後は採用を念頭に置いて、インターンに参加する学生は増えるのではないでしょうか。

ただし、政府や経団連は「インターンに参加できなかった、もしくは、しなかった」ことで採用を不利にしないように各企業に要請しています。基本的に、インターンと採用は切り離して考えるべきものであり、このことは経団連が公表している採用に関する倫理憲章のなかでも明記されています。インターンへの参加が採用の必須条件であると誤解しないようにしましょう

参考:

インターンシップを活用した就職・採用活動日程ルールの見直しについて|内閣府

インターンシップを始めとする学生のキャリア形成支援に係る 取組の推進に当たっての基本的考え方|厚生労働省

採用選考に関する企業の倫理憲章の理解を深めるための参考資料|日本経団連

【入門】インターンって何?意味や参加時期、申し込み方法など解 説! | ココシロインターン

現在の自分の実力を知ることで、自己分析に活かす

就活生がインターンを受けることは、今後の自己分析のきっかけになるでしょう。インターンの内容は、どんな企業にも共通する基礎的な内容を体験するものから、より高度で専門的な内容を体験するものまで様々です。後者は、教育学部の教育実習や医学部における研修医などをイメージすると分かりやすいのではないでしょうか。

知識としては学んでいても、実際の現場で役立てられるとは限りません。その意味でもインターンシップは、現在の自分の能力が、どれだけ希望する業界で通用するのかを試す機会であるともいえます。業界に対して十分な力量があるもの、逆に不足しているものが明確になれば、今後の学びにも活かすことができるでしょう。

志望業界をより深く理解して志望度を高める

インターンに参加すると、就活生はより志望する業界や企業のことを理解することができます。インターンの本旨は長期間の職業体験です。実際の業務に関する理解を深めるだけではなく、普通の会社員と変わらない生活を送ることで、一日のスケジュールや休日のパターンなど、働き始めなければ分からないことも見えるようになります

また、会社の社風や先輩従業員の雰囲気を知ることで、企業理解の向上につなげることが期待できます。これらの要素は言語化できない部分も多く、実際に社員と話す機会でもないと、なかなか理解することができません。実際に肌で感じる機会を得ることができれば、入社後に「想像と違う」というようなミスマッチを防止することができるでしょう。

企業がインターンシップの志望動機で見ているポイント

参加の意思があるか

まず、何をおいても企業は、就活生のインターンへの参加の意思を見ています。インターンは本選考に比べると参加のハードルが低く、容易に辞退することも可能です。

そのなかで、「とりあえず申し込みだけしておこう」と考える学生を参加させることはできません。企業のリソースには限界があるため、あまりに大勢のインターンシップを開催すると、企業の業務自体が滞る可能性があります。また、インターンシップは職業訓練です。内容によっては、危険な場面に遭遇することもあるでしょう。それだけのリスクを負ってでも、企業がインターンに参加してほしいと思える就活生であることが重要であり、参加意思の高さを確認しています。

明確な目的があるか

企業は将来的な採用を見越してインターンを開催しています。そのため、何を目的にインターンに参加するのかについて、明確な回答が必要です。

インターンに参加する目的は、「勉強したいから」「成長したいから」といった抽象的な理由でも問題ありませんが、具体的に中身と目的のある志望動機の方が、企業にとっても魅力的な人材として映ることは間違いありません。

企業のインターンシップに参加することで「何を得たいのか」、もしくは「何をしたいのか」を伝えることが重要です。「将来的な業務内容を早期に体験したい」「志望する企業の内情を知りたい」という勉強重視でも、他には「自分を売り込みたい」「選考を有利に進めたい」などの選考を想定したものでも、何でも構いません。応募の段階からインターンへの目的意識を作っておきましょう。

参加目的とプログラム内容がマッチしているか

インターンの内容は様々であり、同じ企業であっても開催時期によっては、より高度で専門的な業務を体験する場合もあります。開催されるインターンの内容と就活生の目的が合致しているかを企業は確認しています。

例えば、プログラムの内容が汎用的な、つまり、どの企業であっても一般的に行うような業務内容を体験するものなのに、そこへ「専門的で高度な業務を体験したいから」という目的では、明らかに目的と内容が合致していません。これでは「主旨を理解していない」と判断されてしまい、選考を突破することは難しいでしょう。

また、就活生の考え方が、企業の理念や働き方とマッチしているかどうかも重要なポイントです。「社会貢献がしたい」「将来、独立する上のキャリアの一環」などの就活生が働く上で求めていることを、自分たちは提供できる企業なのか、それも見極めているポイントのひとつです。

インターンシップの志望動機を書くための事前準備

まずは自己分析から始める

インターンの志望動機を書く前には、本選考と同じように、自己分析を行うことが極めて重要です。自分の強みとなる部分、逆に弱みとなる部分は何かを理解することで、インターンに参加したときの働き方や目的意識も明確になるでしょう。企業はインターンに参加する目的を、非常に重く見ています。自己分析が行えているのであれば、「とりあえず開催しているから」という安直な理由での参加はなくなるでしょう。

また、自分の興味関心の方向性や、自分の技能や能力を把握することは、自分の適職診断にも効果的です。就活生にとって、インターンは将来のキャリア形成における重要なステップです。自分がどのような職種や業界に興味があるのか、自分の能力がどの職種や業界に適しているのかを探る機会になります。自分が本当に興味や情熱を持っている分野で働くことができれば、働く意欲やモチベーションも高まるはずです。

業界・企業研究を必ず実施する

インターンシップは、将来的なキャリアを見越したものです。そのため、漠然とした企業・業界イメージで応募することは避けましょう。必ず業界研究や企業研究を行い、自分なりにでも、参加理由の根拠を用意しましょう。その企業は同業他社と比べて、どのような点が異なるのかなど、企業や業界に対する理解が深まれば、明確にその業界、その企業でなければならない理由が見つかります。

また、事前に企業研究を行うことで、実際にインターンに参加した後とのギャップに気が付くこともできます。想定よりもギャップが大きい場合は、進路を見直すきっかけになるかもしれません。インターンの開催期間は短いものならば、一週間程度であるため、長期の休みを活用すれば、複数社のインターンに参加もできます。別企業のインターンに参加できれば、本選考で書くべき志望動機の差別化要素も見えてくるのではないでしょうか。

目的や課題を明確化する

これまでの自己分析と企業研究をもとに、インターンで学びたいことを明確にしましょう。インターンシップは、学校を離れた学びの場です。その企業の何を知りたいのか、また、これから社会に出ていく上で何を身に付けたいのかなど、インターンに参加することで学びたい内容が明確になると、参加したときの気持ちも変わってきます。ただ、インターンシップは一週間ほどの業務経験です。いくつも目的があると達成が難しくなるので、これぞという中核になるものに絞りましょう

また、既にインターンに参加経験がある場合は、それまで参加したインターンの振り返りを行いましょう。インターン終了時には、研修先の企業からフィードバックが行われることが一般的です。そのフィードバックとインターン前に建てた目的や課題を照らし合わせ、何が達成できていないのかを明らかにします。こうすることで、次のインターンへの目的がより適切なものになります。

インターンシップ用の志望動機の書き方

インターンシップへの参加にあたって求められる志望動機の文字数は、およそ200字から400字程度となります。その少ない文字数の間に、自分が参加する目的や熱意を伝えなければなりません。自分が伝えたい事が企業に伝わるようにするためにも、志望動機は単純明快さを意識しましょう。

冒頭に結論として志望理由を書く

書き出しは結論となるインターンシップに参加したい理由を書きましょう。当然、企業はインターンシップに対して、参加への意欲の強い人や参加する目的が明確な人に参加してほしいと考えています。文章の冒頭に参加の理由を書くことで、企業側に熱意が伝わる志望動機が作成できます。あまり長すぎず、30〜50字程度の短い文章にまとめることがポイントです。

参加理由の主軸としては、「業種や企業を知りたい」という興味関心や、「スキルアップ・キャリアアップ」など数多くの理由が考えられます。このときに、その企業が開催しているインターンシップだから「こそ」の参加理由を考えましょう。ありきたりな理由では、企業側に「このインターンである必要性がない」、もっと言えば「自社である必要性がない」と受け取られてしまいます。

参加理由の根拠を具体的に書く

参加理由を書いたら、その根拠となる部分を具体的に記載していきます。自己分析や企業・業界研究で考えた自分の長所や短所などのエピソードを下敷きにすると、インターンシップに参加する理由にも説得力が増します。また、業界や企業への関心を示すことも、知識や技術を学ぼうとする意欲のアピールにつながり、こちらも効果的です。

勿論、場合によっては、まったく志望と関係のない企業のインターンに参加することもあるでしょう。ただ、インターンシップは選考ではないため、その参加理由が企業への志望動機である必要は全くありません。単純に「インターンへの参加」そのものが目的であることも十分な参加理由です。この場合、企業や業界よりもインターンシップそのものの魅力や、それに対する関心を書くと、このインターンシップだから「こそ」の根拠になります。

インターンシップにおける目標で締める

最後は、インターンシップに参加する目的です。例えば、「自分は〇〇を体験したい」というようにインターンのプログラムで具体的に取り組みたいことや、「〇〇を経験して今後は△△を成し遂げたい」など、参加後に実現したいことなどを明確にすると、企業から「インターンの内容を正しく理解している」と、インターンの内容とも合致するため企業に好印象を与えられます。

ただ、ここで書くことは、インターン先の企業が取り組む可能性があることに留めておきましょう。インターンと関係のないことまで書くと、逆に「企業の事業内容を理解していない」「企業・業界研究が浅い」と思われてしまい、マイナスイメージになってしまう可能性もあります。

インターンシップ選考を突破する志望動機の例文

インターンの内容を目的にした志望動機

例文

私は、将来システムエンジニアを目指しています。今回の貴社のインターンシップに参加し、ITの開発に関するノウハウを学びたいと考えています。

貴社は様々なアプリを開発されていますが、中でも貴社が設計から開発までを一貫して行ったEラーニングのシステムである〇〇は私も使用しています。大学の講義やアルバイト先の研修でも接する機会があり、利便性を感じています。

今回は、未経験からエンジニアとしての経験を積むことができることに興味を持ち志望しました。私はエンジニアとしての実績やキャリアはなく、システムに関する知識が浅薄です。貴社のインターンに参加し、自分に足りていない知識や技術などを身に付け、向上させたいと考えています。分からないところは積極的に質問し、自分を高めていきます。

実際の開発の手順を理解し、これから先、自分がシステムエンジニアとして活躍する未来の一歩にしたいと思い、今回のインターンを志望しました。(400字以内)

この志望動機では、開催されるインターンの内容について言及しています。インターンの本旨は職業体験であり、その体験を通じて何を学習したいのかが、志望動機を書く大きなポイントです。そのなかで、純粋に「インターンの内容に興味がある」ことは、企業としても「企業研究を行っている」「目的が明確である」と判断でき、好印象でしょう。

また、自分自身が実際にエンジニアを目指していることから、参加の動機と目的、そして、内容が一致していることもポイントです。目標が明確になるほど、企業が提供する業務内容も、それに即したものになります。

自分のキャリア実現を目的にした志望動機

例文

私は地元企業をサポートし続けている貴行のインターンシップに参加し、地元の〇〇市のまちづくりに取り組みたいという将来的な目標実現に活かしたいと考えています。

貴行は、地元企業を応援する取り組みを積極的に行っており、その取り組みが何度も表彰されている実績があります。

特に、今回の貴行のインターンでは、実際に法人営業の場にも同行できることに魅力を感じました。同行させて頂き、地元企業に対して地方銀行は何をしているのか。どのように銀行と企業がつながっているのかなどを、実際に体験し深く理解したいです。今回のインターンを通じて、地方企業とのつながりについてを学び、私の目標であるまちづくりに活かしたいと考えています。

インターン中は積極的に質問をし、地域社会での銀行の役割を学ぶだけではなく、自分が理想とするまちづくりとは何か、具体的にどうしていくべきなのかまで答えが出せるよう理解を深めていきます。(400字以内)

インターンは入社の動機ではありませんが、やはり「なぜ自社に興味を持ったのか」という点は、企業が最も気にするところです。この志望動機であれば「最終目標はまちづくりであり、そのために地元銀行に就職を目指す」という明確な軸があり、それが、今回のインターンに対する「まちづくりに関わる銀行」を知りたいという動機につながっています。

また、実際の内容にも言及することは、インターンへの積極性を示すことにもつながります。インターンに参加できたとしても、結局、社員の真似事をしただけで終わってしまっては、参加する意味がありません。自分の行動軸を示すことで、企業側も「何をしてもらうか」を考えやすくなります。

インターンは業界のことを深く知ることのできる、絶好の機会です。特に、実際に働いている人に求められる能力などは、確かめてみないと分からないことも数多くあります。だからこそ「分からないこと」は「知りたいこと」と考えてみましょう。その「分からない」を知りたいから、インターンに参加すると考えれば、目的も定まりやすくなります。

志望業界・企業との相性の確認を目的にする志望動機

例文

私は、今回のインターンシップで将来自分が不動産業界、特にディベロッパーとして働くときのイメージをより具体的にしたいと考えています。実際に業界で働く方々と一緒に働くことで業界の実態や仕事のやりがいを学びたいと思い、応募しました。

私は都市開発を通じて、人々の生活を豊かにするという目標があります。そこで業界のなかでも、都市開発専門のディベロッパーとして高い評価を受けている貴社に魅力を感じます。日本各地で宅地開発だけではなく、駅前の再開発に携わった実績のある貴社であれば、住民や利用者の要望や意見を反映させたまちづくりへの取り組みを知れるのではないかと考えています。

また、私は貴社の掲げる「人を、想う力」という方針に感銘を受けました。是非、貴社のインターンシップに参加して、貴社のまちづくりを体感するとともに、課題や目標を明確にし、より具体性をもったキャリアビジョンを描きたいと考えています。(400字以内)

企業と就活生のミスマッチを避けるためにも、相性確認を目的にすることはインターンの主旨に合致しています。業務内容が就活生の求めることであっても、実際の職場の雰囲気が就活生の求めているものとは限りません。特に、第一志望である企業は、今後のインターンや選考でも参加することが考えられます。インターンを活用して、企業と自分の相性が事前に分かれば、そこからの軌道修正も容易です。

また、実際に会社の中に入ることで、外からは見えない部分も見えるようになります。例えば通勤時間が長すぎると、それだけで体力を使ってしまいます。また、オフィスの状況なども、実際に働き始めると意外に気になるポイントです。騒音や日当たり、昼食を取る場所など、こういったものも中に入るからこそ分かることです。

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スキルを身に付けることを目的にした志望動機

例文

貴社のインターンシップを通じて、貴社が実践している広告の生み出し方を体験したいと考え志望しました。私は将来コピーライターとして広告業界への就職を希望しており、そのためのスキルを学ぶ一環として参加を決意しました。

私は受験の時に、通っていた塾のコピー広告に励まされた経験から、目にした人の心を動かすキャッチコピーの強さに惹かれました。そして、写真や音楽など様々な表現方法がある中で、純粋に言葉だけで人を惹きつけるコピーライターに興味を持つようになりました。

今回のインターンシップで業界の仕事を知ることで理解を深め、就職活動に役立てたいと考えています。また、貴社のインターンシップは、実際の現場を想定して実施されます。その場で、自分の現状を把握し、将来コピーライターとして広告業界に携わるためのノウハウや知識を吸収し、自分のものとして将来の目標に活かしていきたいです。(400字以内)

インターンの志望動機は、言い切ることがポイントです。自分の考えていることなので、「~だと思います」「~だろう」というような曖昧な文末にすると、「自分に自信がない」と企業に評価されてしまいます。言い切るだけでも自信のある文章になるため、文末には注意しましょう

この志望動機では、インターンを通じてスキルを身に付けることを目的にしています。大学での研究と企業の業務内容は必ずしもイコールではないため、全く知らない業界に飛び込むのであればインターンは有効な手段です。単なる憧れを自分の現実にするために、何をするのか、そして、何をしたいのかという目的を明確にすることが大切です。

インターンシップの志望動機を差別化するポイント

その企業「だからこそ」の理由を考える

本選考でも同じですが、インターンを開催する企業が知りたいことは、「なぜ数ある企業から自社を選んで応募したのか」ということです。極端な例を挙げれば、「お金に関わる仕事がしたい」という理由で銀行のインターンを希望しても、参加は難しいでしょう。単純に「お金に関わる仕事」は、銀行だけではないからです。保険会社や証券会社などお金に関わる業界は幅広く存在します。加えて言えば、他業界の経理部でも「お金に関わる仕事」です。

あまりにも漠然とした目的や理由では、企業側も「自社である必要性がない」と考えます。もっと深く踏み込んで、その会社でしか出来ないこと、例えば独自の技術がある、限定された地域にしか存在しない、など企業独自の長所、もしくは、そのインターンだからこそ経験できることなどインターン独自の魅力を挙げてみましょう。他に替えの利かないことを理由にすると、企業側も納得できる志望動機になるでしょう。

自分なりのエピソードを述べる

インターンに参加する動機は入社の意思とは異なるため、どうしても本選考の志望動機に比べると、弱いものになることは避けられません。また、書くことができる文字数も少ないため、あまり多くの内容を盛り込むことができず、定型的な文章になりがちです。

だからこそ、自分自身の背景を際立たせると、それだけで魅力的な志望動機になります。インターンに参加する目的は同じでも、そのきっかけになったことは1人ずつ異なるはずです。何故、参加しようと思ったのか、参加することで何を得たいのかなど、自己分析の結果と合わせて考え、自分らしい志望動機をつくりましょう。

また、行われるインターンの「何」に、「どのような」魅力を感じたのか、ということも差別化する重要なポイントです。インターンへの参加が自分にとって、どう利点となるのかを考えてみると書きやすいかもしれません。

インターンシップの志望動機を書くときの注意点

インターンは本選考とは無関係

採用に直結するインターンの開催が正式に許可されたことで、企業の採用活動におけるインターンの重要性は、より高まることが予測されます。もちろん、インターンに参加することで、就活生も早期に内定を獲得できる可能性があるため、採用を意識して参加することは、何も間違ったことではありません。

しかし、学生側のメリットである早期内定などは、あくまでもインターンの参加後に得られる副次的な効果です。先の採用に直結するインターンも、参加者に正規ルートとは別の参加者限定の選考が行われるようになる、というものに過ぎません。

そのため、あまりにも志望動機に「選考」や「内定」を意識した内容を書くと、「インターンの主旨を理解していない」と判断されてしまいます。インターンは「教育」であり「採用活動」ではありません。その主旨を履き違えては、インターンに参加はできないでしょう。あくまでもインターンの志望動機で尋ねられているものは、「インターンに参加する動機」であることを忘れてはいけません。

誤字脱字や言葉の誤用はないか

インターンの志望動機は、本選考と同じように参加の選考が行われます。そのため、志望動機に誤字脱字や言葉の誤用があると、一気に心証が悪くなります。確かに、インターンに参加を表明するということは、志望度が高いことと同義です。そんな学生を企業としても積極的に採用したくなるのは、自然なことでしょう。

しかし、基本的な日本語の文章が書けないとなると話は別です。メールやチャットツールなど何を使うにせよ、仕事の基本はコミュニケーションです。誤字脱字の多い志望動機は、それだけで「コミュニケーションができない」と判断されてしまいます。また、それらに気が付かない「注意力のなさ」が露呈してしまいます。書き上げた志望動機は、必ず一度見直して、不自然な文章になっていないか確認しましょう。

特に、敬語は要注意です。志望動機には、企業を指す「貴社」「御社」など就活を始めて、ようやく知る敬語も数多く用いられます。本当に、その使い方であっているのか、自信がないときはキャリアセンターなどに添削を依頼しましょう

その他、業界用語も注意すべきポイントです。どの業界にも、その業界でしか使わない用語というものが存在します。業界用語の誤用は、業界研究の甘さを露呈します。間違える方が企業の心証を悪くするため、意味が分からない言葉は、潔く使わない選択をしましょう。

本選考の志望動機は別に考える

インターンに参加することで、企業に名前や顔を覚えてもらうことができれば、今後の選考も有利に進むことでしょう。ただ、インターンと選考は無関係に行われているため、再度本選考で志望動機が求められることも考えられます。再度求められた志望動機は、インターンの志望動機とは別のものにしましょう。そもそも、インターンと本選考では、企業の目的が全く異なります。

そのため、あまりにもインターンの参加理由で、企業や業界への情熱あふれる志望動機を書くと今度は本選考の志望動機に書く内容がなくなってしまいます。インターンの参加理由は、インターンの内容に着目する、今後の就職活動でどう活かすか、など、インターン「そのもの」に的を絞ったものにするのがおすすめです。

目的を明確にして有意義なインターンシップにしよう

今後、採用活動におけるインターンシップは、ますます重要なものになるでしょう。学年を問わずに参加できるインターンも多いため、早い段階から興味のある企業を詳しく知ることも可能です。ただ、それだけ参加者の間口が広まれば、選考も厳しくなります。「弊社のインターンにぜひ参加してほしい」と言われるほどの魅力的な志望動機を書き上げましょう。

インターンへの参加は強制ではありません。そんな中、自らイベントに参加するからには、是非とも有意義なものにしてください。志望動機でも問われる参加の理由、そして、実現したい目標などを明確にしておけば、インターンを通して新しい発見も見つかるでしょう。また、キャリアや適性を見直して自分自身の成長を促すことにもつながります。

今、インターンシップ自体が大きな変革期を迎えています。自分がインターンシップに参加する意味を今一度考えて、意味のあるインターンにしましょう。

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