「ガクチカ」こと、学生時代に力を入れたことは、就活では必ずといっていいほど尋ねられる項目です。ガクチカによって学んだことを適切に述べることで、自分の魅力をアピールできます。

企業がガクチカで知りたいこと、求める人物像を十分に把握し、文章に盛り込むことが大切です。他の志望者と差別化するために、自分らしさを発揮したエピソードを具体的に述べることも必要です。

本記事では、ガクチカの例文とともに、ガクチカの作り方、企業がガクチカで知りたいこと、押さえるべきポイントを解説します。

「ガクチカ」とは

「ガクチカ」とは、「学生時代に力を入れたこと」を指します。ガクチカはエントリーシートや面接で必ずといっていいほど尋ねられる定番の質問です。

後述するように、企業はガクチカで志望者の能力価値観課題に取り組む姿勢を知りたいと考えています。企業の質問の意図を汲み取ってガクチカを作成することが大切です。

ガクチカのテーマは、サークル活動、留学、アルバイトなど、なんでも構いません。自分の魅力を十分に発揮できたエピソードを述べましょう。

ガクチカと自己PRの違い

学生時代に力を入れたことを、ガクチカだけでなく自己PRでも述べなければならないケースが多くあります。ガクチカと自己PRの違いがわからず困っている人も多いでしょう。

ガクチカと自己PRの違いに明確な定義はありませんが、企業はガクチカで志望者の能力、価値観、課題に取り組む姿勢を知ろうとします。一方で、自己PRでは志望者が積極的にアピールしたい長所強みを知りたいと考えています。

ガクチカと自己PRをどちらも述べなければならないときは、エピソードが重複しないように気を付けてください。また、可能な限り異なるアピールポイントを盛り込みましょう。

企業がガクチカで知りたいこと

志望者の能力やスキル

企業はガクチカで、志望者の能力スキルを知りたいと考えています。ただし、ガクチカで問われる能力やスキルでは、経験によって得られた「学び」が重要視されます。

周囲の仲間と課題に取り組んだことで協調性を学んだエピソードがあれば、チームワークを重んじる企業に高く評価されるでしょう。スケジュールを適切に管理して目標を達成した経験で計画性を学んだのであれば、プロジェクト管理能力をアピールできます。

自分自身がこれまでどんな経験をして、どんな学びを得たのか洗い出してみましょう。

課題に取り組む姿勢

自ら進んで課題に着手したエピソードであれば、自発性積極性をアピールできます。周囲の人を巻き込んで課題に取り組んだエピソードであれば、コミュニケーション能力リーダーシップ協調性などを魅力的に伝えられるでしょう。

実際に働き始めると、日々多くの課題に取り組まなければなりません。問題の解決策に正解があるとは限りません。課題を与えられるだけでなく、自ら発見する力も求められます。

課題に取り組む姿勢を十分にアピールすれば、あなたが企業で実際に働く姿を採用担当者にイメージしてもらえるでしょう。

志望者の考えや価値観

志望者が力を入れたことから、志望者の考え価値観が読み取れます。

いくら優秀な志望者がいても、その志望者を企業が採用するとは限りません。優秀な人材が不採用となる理由のひとつが、志望者と企業の価値観のミスマッチです。ミスマッチがあると入社後すぐに辞めてしまうリスクが高いため、担当者はミスマッチの人材の採用を見送ろうとするでしょう。

企業の公式サイト、募集要項、会社説明会などで企業の価値観を確認し、自分の価値観と照らし合わせて応募することが大切です。

学んだことを伝えるガクチカの構成

  1. 取り組んだことの概要
  2. 目標や問題
  3. 目標達成や問題解決のために実施したこと
  4. 実施した結果
  5. 学んだこと
  6. 学んだことの企業での活かし方

①取り組んだことの概要

冒頭で取り組んだことの概要を簡潔に述べます。結論を最初に述べることで、話の道筋が明確になり、聞き手が話に集中しやすくなります。上司への報告、顧客との商談、企画のプレゼンテーションなどで実際に多く使われる手法です。

後述するように、どんなテーマを選べばいいか迷っている人は、自己分析をしてガクチカを洗い出してください。優れた成果を残した経験がなくとも構いません。自分らしさを発揮したエピソードを見つけましょう。

②目標や問題

ガクチカでは、目標や問題を明確に述べることが重要です。

目標や問題が不明瞭だと、あなたが取り組んだことや、取り組みの動機が採用担当者に十分に伝わりません。可能な限り具体的に、設定した目標や解決したい問題を説明しましょう。

ビジネスシーンでは、目標や問題が人から与えられるとは限りません。自分で目標を設定したり、何が問題なのか見つけたりすることが求められます。実際に働き始めると、目標や問題を説明する機会は多くあるので、今のうちに慣れておきましょう。

③目標達成や問題解決のために実施したこと

目標達成や問題解決のために何を実施したのかを述べます。

斬新なアイデアを実現した場合は、柔軟な発想力をアピールできるでしょう。一方で、一見地味な取り組みであった場合でも、コツコツと誠実に取り組む姿勢をアピールできます。自分の個性が如実に現れるので、十分に説明しましょう。

また、同じエピソードでも着眼点や伝え方によってアピールポイントが変えられます。応募先が求める人物像に合わせて、アピールポイントを使い分けてください。

④実施した結果

実施した結果を簡潔に述べます。

ガクチカでは、実施した結果自体はあまり重視されません。どのような想いや考えで物事に取り組んだのか、取り組んだ結果どのようなことを学んだのかが大切です。

望んでいた成果が得られなかったエピソードでも問題ありません。失敗した経験から何を学んだのかを述べましょう。前向きに努力する姿勢をアピールできます。

一方で、素晴らしい成果が得られた場合、ガクチカが自慢話にならないよう気を付けましょう。

⑤学んだこと

物事に取り組んだ結果、どんなことを学んだのかを述べます。

前述したように、単純なテストの点数や取得した資格ではなく、経験で得られた学びを述べてください。チームワークの重要性やコミュニケーションの大切さなどを学んだこととしてアピールしましょう。

学んだことも着眼点によって見せ方を変えられます。例えば、周囲と協力して期限内に目標を達成したエピソードであれば、チームワークの重要性やプロジェクト管理の必要性などを学んだこととしてアピールできます。企業が求める人物像に合わせて変えることが大切です。

⑥学んだことの企業での活かし方

学んだことを応募先の企業でどのように活かすのかを述べます。

経験で得た学びの活かし方を述べることで、実際に働く姿を採用担当者にイメージしてもらえるでしょう。入社後の活躍を期待してもらえるように、十分にアピールすることが大切です。

前述した項目と同様に、企業が求める人物像に合わせてアピールします。企業ごとに求めている人材は異なります。応募先の公式サイトや募集要項を見て、求める人物像を十分に把握しましょう。

ガクチカで学んだことの例

チームワーク

ガクチカで学んだことの例のひとつに、チームワークが挙げられます。サークル活動やアルバイトなどで周囲の人を巻き込んで課題に取り組んだエピソードがあれば、チームワークをアピールできます。

実際の業務では、自分ひとりで取り組める仕事はほとんどないでしょう。大きな目標を達成するためには、多かれ少なかれ誰かと協力しながら業務を進めなければなりません。

チームワークの大切さを学んだ経験がないか考えてみましょう。

コミュニケーション

コミュニケーション能力は、ガクチカでアピールするテーマの定番です。

企業で求められるコミュニケーション能力は、ただ友達を作ったり会話を盛り上げたりすることではありません。相手の意見を十分に傾聴して理解する力論理的に考えて相手を説得する力などがコミュニケーション能力として求められます。

コミュニケーション能力をガクチカでアピールしようと考える志望者は多くいます。他の志望者と差別化するために、自分が経験した具体的なエピソードを述べることが大切です。

問題解決

学生時代に問題を解決に導いた経験があれば、エピソードとして用いることをおすすめします。

周囲を巻き込んで問題を解決したエピソードであれば、前述したチームワークやコミュニケーションなどをアピールできます。問題の要因を分析して原因を突き詰めたエピソードであれば、自発性や論理的思考などを問題解決力として伝えることも可能です。

ただ問題解決をした結果を述べるだけではなりません。問題解決に至るまでに、どのように考えたのか、どのような姿勢で行動したのかを述べることが大切です。

自己管理

自己管理を徹底して目標を達成した経験があれば、ガクチカに利用できます。

働き方改革により、長時間働くことよりも、限られた時間で効率的に成果を出すことが求められます。また、テレワークが普及した現在、プライベート空間で仕事に取り組むためには、集中力やモチベーションを維持する力が必要不可欠です。

モチベーションを維持して毎日決まった時間に勉強した経験や、飽きないよう工夫しながら効率的に課題に取り組んだ経験などがあれば、自己管理能力をアピールしましょう。

プロジェクト管理

プロジェクト管理を実施して課題に取り組んだ経験も、ガクチカでアピールできます。

大規模なプロジェクトほど、スケジュール管理やタスク管理が重要です。プロジェクト管理を怠ると、ごく一部の仕事の遅れが原因でプロジェクト全体が遅れ、顧客の信頼を失うかもしれません。

スケジュール調整をして締め切りまでに課題に取り組んだエピソードがあれば、プロジェクト管理能力をアピールできます。ひとりひとりの課題を明確にして目標を達成した経験があれば、プロジェクト管理の重要性を学んだエピソードとして利用できます。

チャレンジ精神

困難な目標に挑戦した経験があれば、チャレンジ精神をアピールできます。

目まぐるしく変化するビジネスシーンでは、新たな分野に果敢にチャレンジする姿勢が大切です。新しいことでなくとも、苦手な分野を克服しようとする姿勢は高く評価されます。チャレンジを繰り返すことは自分自身の成長につながります。

新しいことや苦手なことに挑戦したことでチャレンジ精神の大切さを学んだ経験があれば、チャレンジ精神をテーマとしたガクチカの文章を作ってみましょう。

学んだことをアピールするガクチカの例文

アルバイトで学んだこと

例文

私は学生時代に飲食店でのアルバイトに力を入れました。

アルバイトで働き始めた当初は、マニュアルがなく、誰もが仕事を見て覚えなければなりませんでした。仕事を覚えられずすぐに辞めてしまう人も多かったため、私はマニュアルの作成を社員に提案しました。

日頃から忙しい社員の方々は難色を示しましたが、のちのち教育が楽になることを粘り強く伝え、マニュアルを作成していただくことを了承してもらいました。私の意見も取り入れていただきながら完成したマニュアルによって、アルバイトで働く人が多く定着するようになりました。

この経験から、課題を解決するために積極的に提案することの大切さを学びました。貴社でもお客様に喜んでもらえるような提案を心掛けて働きます。(350字以内)

アルバイト中に問題点を見つけ、積極的な提案によって解決したエピソードをもとにした例文です。提案力以外に、周囲に積極的に働きかけるコミュニケーション能力や交渉力も魅力的に伝わります。

営業職や企画職といった文系総合職だけでなく、開発職や研究職といった理系総合職でも提案力は重要です。どんな企業や職種でも好印象に映るでしょう。

例文のように、学んだことを企業でどう活かすのかを必ず述べてください。実際に働く姿を採用担当者にアピールできます。

部活動で学んだこと

例文

私が大学で最も力を注いだことはテニス部の活動です。テニス部の活動でコミュニケーションの大切さを学びました。

私が入部した当初は、先輩は先輩同士、後輩は後輩同士というように学年ごとに集まることが多くありました。練習に支障はありませんでしたが、部全体が成長することは難しいと感じました。

そこで私は、先輩と後輩が集まって練習する時間を設けることを提案しました。さらに学年を超えて積極的に話しかけるよう心掛けたことで、部内の交流が盛んになり、互いにアドバイスし合うことが増えました。

目標の全日本大学対抗テニス王座決定試合出場は達成できませんでしたが、部全体の成長を実感しています。

テニス部で学んだコミュニケーションの大切さを活かし、お客様に満足してもらえるような営業活動をしたいと思います。(350字以内)

テニス部の活動をする中で、何を感じたのか、何に取り組んだのか、何を学んだのかがわかりやすく述べられています。周囲を巻き込んで部全体のコミュニケーションを活性化したことが十分アピールされています。

「目標の全日本大学対抗テニス王座決定試合出場は達成できませんでした」とあるように、誇らしい成果を残せなかったとしても構いません。自分らしさを十分に発揮したエピソードを述べることが大切です。

大学で学んだこと

例文

私は学生時代、中国語の勉強に最も注力しました。地元に中国人の友人がいることから中国語に興味を持ちました。中国語について調べた際に、将来中国語を話す人が世界で最も多くなるかもしれないと知り、本格的に学び始めました。

学び始めた当初は、馴染みのないイントネーションに苦労し、大学の授業についていくだけで精一杯でした。

そこで私は、1日2時間の中国語の勉強をしながら、中国人留学生に交渉してレッスンをしてもらうようにしました。勉強を続けた結果、中国語検定2級を取得できました。

私はこの経験から、継続することの重要性を学びました。今後も常に学び続けるよう心掛け、グローバル展開する貴社で活躍したいと考えています。(300字以内)

大学で中国語の勉強に継続的に取り組んだことが魅力的に伝わる例文です。部活動やアルバイトなどの経験がなくても、大学生の本来の目的である学業に懸命に取り組んだ経験があれば、ガクチカでアピールしましょう。

中国語は中国以外にシンガポールとマレーシアでも使われます。英語圏以外の国に拠点を持つ企業も多いので、中国語を習得している人は重宝されます。中国人留学生と積極的にコミュニケーションをとったことも高く評価されるでしょう。

ガクチカを作成する際に押さえるべきポイント

自己分析をしてガクチカを洗い出す

ガクチカが思いつかず悩んでいる人には特に、自己分析をしてガクチカを洗い出すことをおすすめします。

社会のモラルに反することや採用担当者が不快に感じるようなことでなければ、ガクチカのテーマはなんでも構いません。周囲に誇れるような成果が得られなかったとしても問題ありません。

懸命に取り組んで望む成果を得られた経験、試行錯誤したが成果を得られなかった経験、何気なく実施した経験などをすべて洗い出して、アピールできそうなエピソードを見つけましょう。

エピソードを具体的に述べる

他の応募者と差別化したガクチカを作成するためには、エピソードを具体的に述べることが重要です。具体的なエピソードを述べることで、自分らしさをアピールできます。

話をあまりにも誇張したり、嘘の成果を述べたりする必要はありません。誇張や嘘が多いと、深掘りされたときに回答できない恐れがあります。

後述するように、自分がどう考えたのか、学んだことを企業でどう活かすかを具体的に述べることが大切です。派手でなくても、自分らしさを発揮したエピソードを述べましょう。

自分がどう考えたのかを述べる

ガクチカを作成する際には、自分が考えたことを必ず盛り込みましょう。自分がどう考えて物事に取り組んだのか、取り組んだ結果どんなことを学んだのかを述べることが大切です。

実際に働き始めると、行動する前の計画や考えを聞かれる場面が多くあります。行き当たりばったりの行動をすると、たとえ優れた成果が得られても、業務の取り組み方の評価が下がるかもしれません。

ガクチカのテーマを決めたら、自分が何を考えていたのか思い出して整理しましょう。

学んだことを企業でどう活かすかを述べる

あなたが働く姿を採用担当者にイメージしてもらうために、ガクチカで学んだことを企業でどう活かすかを述べてください。

学んだことを企業でどう活かすかを、後述するように、企業が求める人物像に合わせることが大切です。会社にぴったりの人材だとみなされて、評価が上がるでしょう。

学生時代に望み通りの成果を得られなくても、学んだことは貴重な財産です。チームワークの大切さ、コミュニケーションの重要性、身に付けたプロジェクト管理能力などを、企業で活かす方法を述べましょう。

企業が求める人物像に合わせる

ガクチカで述べる内容を、企業が求める人物像に合わせることも重要です。

例えば、営業職に応募するのであれば、傾聴する力や周囲を説得する力などが求められます。

常識にとらわれない柔軟さや臨機応変さを求める企業もある一方で、ルールを守ってコツコツと取り組む姿勢を求める企業もあります。

企業の公式サイト、募集要項、会社説明会などで、志望先が求める人物像を十分に把握してください。企業が求める人物像に合わせてアピールポイントの伝え方を変えながらガクチカを作成しましょう。

専門用語を多用しない

ガクチカで学んだことを書く際は、専門用語の使用に注意しましょう。ゼミや勉強など、自分が専門的に学んだことに関して専門用語を含めて書いてしまうと、相手に内容が伝わりにくくなってしまいます。

また、知らない単語がたくさん含まれていることで読みにくく、ストレスになってしまう可能性もあります。自分が学んだことと志望する企業の関連があり、専門が似ている場合は多少含んでも問題ない場合もありますが、基本的には専門用語の記載は控えるようにしましょう。

ガクチカで学んだことをアピールしよう

ガクチカでは企業が求める人物像に合わせて、自分らしさを発揮したエピソードを述べることが大切です。自分が何を考えて行動したのか、何を学んだのか、学んだことを企業でどう活かすのかを具体的に述べましょう。

ガクチカのテーマ選びに困ったときは、自己分析をして自分の経験を洗い出してください。

ぜひ本記事を参考にして魅力的なガクチカを作成していきましょう。

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