「学生時代に力を入れたことは?」就活の場で必ず聞かれるこの質問に、アルバイト経験と答えていいか悩んでいませんか?アルバイトのガクチカではESや面接を突破できないと言われることもあり、不安になっている人も多いのではないでしょうか。
結論を述べると、ガクチカでアルバイト経験を伝えることは「だめ」ではありません。しかし、ポイントを押さえ効果的に伝えなければ魅力が伝わりにくいので注意が必要です。
本記事では、アルバイトをテーマとすることが問題ない理由や上手くアピールする方法について解説します。
目次
ガクチカでアルバイト経験は「だめ」ではない!
ガクチカでアルバイト経験を伝えることをマイナスに捉える必要はありません。反対に、学生にとってアルバイトは自己成長や学びの場であるため、就活の場において十分なアピール材料となります。
実際に働いてみて、仕事に対する姿勢や責任感など学生生活だけでは得られなかった発見や学びがたくさんあったのではないでしょうか。学業やサークル活動などとは違ったアピールポイントが多く、他の就活生との差別化するチャンスでもあります。
アルバイト経験で得た学びやスキルなどを上手くアピールして、採用担当者の目を惹く内容に仕上げていきましょう。
ガクチカでアルバイト経験を伝えるメリット
学業以外に熱心に取り組んだこととして個性を表現できる
アルバイト経験はガクチカの題材として弱いと思うかもしれませんが、決してそうではありません。むしろ企業にアピールしやすいテーマです。
そもそも、ガクチカとは学生時代に力を入れたことの略で、就活生の個性をアピールできる項目です。学生として学業に力を入れることは当たり前とみられてしまうため、学業以外の行動をアピールすることで、他の就活生との差別化を図ることができます。
アルバイト経験がある学生は多いですが、職種や業務、達成した目標などが異なります。つまり、アルバイト経験は学業以外に熱心に取り組んだこととして、個性をアピールできる題材だといえるでしょう。
入社後の仕事に対する姿勢をイメージしやすい
企業側はガクチカを通して、学生の人間性や価値観を知り、入社後のミスマッチを防ぎたいと考えています。アルバイトは、実際に仕事をする場であるため、仕事に対する考え方や姿勢がアピールしやすいテーマです。企業が求める人材であるかどうかを採用前に確認することができます。そのため、ガクチカでアルバイト経験を伝えることは決してだめではなく、むしろ評価されやすい題材でしょう。
アルバイトのガクチカ「だめ」なパターン5選
①仕事内容を説明しているだけのガクチカ
アルバイト経験を題材にする場合、ただ仕事内容を説明しているだけの内容はガクチカとして評価されません。企業側は、そのアルバイトがどのような仕事であるのかを知りたいわけではないからです。
特に、ESでは文字数が制限されていることもあり、仕事の説明だけで終わらないように注意しなければなりません。アルバイト経験を通じて得た経験や学んだことが伝わる内容にまとめることが大事です。上手くアピールできるように、構成や書き方のコツをしっかり抑えておきましょう。
②業務として当たり前のことを伝える
アルバイトの業務として、当たり前のことを伝える内容もガクチカとしては相応しくありません。例えば、「挨拶を元気よくしていた」「お客様を丁寧に接客した」というような行動が挙げられます。これから一緒に働く人材として評価をするには、弱いエピソードです。
また、「努力をした」「頑張った」というような曖昧な表現もエピソードが伝わりにくくなるため、避けた方が良いでしょう。ただし、決して大きな成果がなければならないというわけではありません。通常業務ではなく、プラスαの行動によって得られた成果や経験、学びはなかったか思い出してみましょう。
③成果を誇張しすぎている
アルバイト経験の中で得た成果を誇張している、あるいは嘘を記載している場合ももちろん「だめ」なガクチカです。面接官は数多くの就活生を見てきたプロです。誇張した内容や嘘があればすぐに見抜かれてしまうでしょう。
また、ESの内容を面接で質問された時に正確に答えられないということになります。内容が正確でないことがバレてしまうと、信頼を失うことになり、採用への道は閉ざされてしまいます。アルバイト経験の中で達成した成果は正しい内容を伝えるようにしましょう。
④世間的にマイナスイメージのあるアルバイト
世間的にマイナスイメージを持たれやすいアルバイトはガクチカに書かない方が良いでしょう。例えば、ホストクラブやキャバクラというような水商売、商品の転売などが挙げられます。
このようなアルバイトは、就活の場ではポジティブな印象を与えにくく、むしろ企業側に不安や懸念を与える可能性が高いです。たとえ、成果を挙げたり工夫したエピソードがあったとしても、採用担当者には評価されにくいです。
ガクチカとしてアルバイト経験を選ぶ場合は、応募する企業に適した職種や業界での経験を伝えることが重要です。
⑤短期間で退職したアルバイト
ガクチカとしてアピールするのであれば、短期間で退職したアルバイトは避けた方が良いです。数週間、数か月で辞めてしまったアルバイトあるいは単発のアルバイトでは、ガクチカとしての深みが出にくいです。
就活の面接では、ESで記載している内容を深掘りされることが多いため、短期間のアルバイトでは十分な回答がしにくいでしょう。特別なエピソードがない限りは、できるだけ長期間続けてきたアルバイトを題材にすることをおすすめします。
ガクチカでアルバイト経験を上手く伝えるポイント
成果に対するプロセスを伝える
ガクチカでアルバイト経験を上手く伝えるためには、成果に対するプロセスを重視した内容にしましょう。力を入れて取り組んだことをアピールする項目であるため、達成した成果を伝えたいと思う方が多いでしょう。
しかし、企業がガクチカにおいて最も重視していることは、成果そのものではなく達成までに至る過程です。アルバイト経験に関する内容にする際は、成果を得るまでにどのような努力をしたのかが伝わる書き方を意識しましょう。
成果や実績は数字に示す
アルバイト経験で達成した成果や実績を伝える場合は、数字にして伝えると面接官により凄さをアピールできます。例えば、「売上を上げた」よりも「売上が〇%上がった」としたほうが、「アルバイト先で評価された」よりも「〇〇賞で一位を受賞した」というように数字が明確にあるほうが内容が伝わりやすいです。
志望企業の担当者が、あなたが経験したアルバイトに関して詳しいとは限りません。どれだけ努力したのかがアピールできるため、数値を活用してエピソードに説得力を持たせましょう。
アルバイト経験で学んだこと・成長したことを伝える
アルバイト経験で学んだことや成長したことは、自分の人柄や人間性を伝えやすい内容になります。企業はガクチカを通して、学生の人間性が自社とマッチするのかを判断しています。
同じ職種でアルバイト経験がある場合も、人それぞれ体験した内容は違います。体験した内容が違えば、そこから得たものは違うものです。
また、アルバイト経験がある学生が多いなかで、ありきたりな内容にならないようにすることがポイントです。自分が得た学びや成長をエピソードとして伝えることで、オリジナル性の高いガクチカが作成できます。
志望企業での活かし方を伝える
ガクチカでは、志望先での活躍を期待してもらえるかがポイントです。ただ単にエピソードを長く説明する内容では評価されません。
ガクチカで得た学びや成長を活かして、入社後も同じように力を発揮できるのかどうかを判断されています。採用したメリットを感じてもらえることが重要です。
例えば、「今後のキャリアにおいては、〇〇に貢献していきたいと考えています」「貴社の業務でも、〇〇を提供していきたいと考えています」というようにポジティブな内容で締めると高評価を得られやすいです。
「だめ」なガクチカを脱却!アルバイト経験をアピールする構成・書き方
- 学生時代に力を入れたこと(アルバイト経験について)
- アルバイトを始めたきっかけ
- アルバイトを通じて何を学ぼうとしたのか(目標)
- 目標を達成するために起こした行動
- 達成した成果・目標
- 成果から学んだこと・今後どのように活かしていくのか
ガクチカの書き始めは、学生時代に力を入れていたこと、どのようなアルバイト経験があるのかについて記載します。例えば、「私が学生時代に力を入れたこととして、カフェでのアルバイト経験があります」と冒頭で述べることで、読み手側が理解しやすくなります。
その次に、アルバイトを始めたきっかけと最初に抱いた目標を説明します。特に、大きなきっかけや目標がなかったという場合は、勤務中に指摘されたことや発見した問題点を挙げても良いでしょう。改善することを目標と定めて行動したエピソードもガクチカとして評価されやすいです。
そして最後は、アルバイト経験を通して学んだことや入社後にどう活かしていくのか、貢献できるポイントをアピールします。成果をアピールするのではなく、そこに至る過程や得た学びがしっかり伝わるように意識しましょう。
アルバイト経験を伝えるガクチカ例文3選
①飲食店のキッチン
私が学生時代に力を入れたことは、オープニングから携わっていた飲食店でのキッチン業務です。オープン当初、マニュアルが徹底されておらず、料理の提供時間が大幅に伸びてしまうことが多発していました。なぜ作業が効率化されないのか観察していたところ、作業場所や移動経路、食器や器具の配置に問題があることを発見しました。そこで私は、オーダーから調理、料理提供、食器を下げるまでの工程をリストアップし、調理器具や食器の配置場所の提案をしました。これにより、キッチンとホールスタッフそれぞれの作業や移動効率が改善され、料理の提供時間を10分程度短縮することができました。この経験から、課題や問題を発見し、改善するためのアイデアを提案する力が身についたと感じます。貴社の業務においても、課題に対して効果的な解決策を見出す努力をし続けていきたいと考えています。(400字以内)
飲食店でのキッチン業務のアルバイト経験をテーマとしたガクチカです。業務中に発見した課題や問題点に対し、自分が起こした行動とその経験から成長したことを説明しています。
マニュアルが徹底されていない苦労は、オープニングスタッフならではの体験です。改善のために起こした行動はガクチカとしてアピールできる内容になります。
志望先の業種がアルバイト先と違う場合でも、十分に活かせるエピソードです。先述したように、仕事内容の説明で終わらないよう注意しましょう。
②コンビニ
私が学生時代に力を入れていたことは、バイトリーダーとして勤務していたコンビニでのアルバイト経験です。私が所属していた店舗では、早期退職者が多くスタッフの入れ替わりが早いという問題が生じていました。そこで私は、新人スタッフの教育体制やコミュニケーションの見直しを行いました。具体的には、マニュアルの可視化や業務チェックリストの導入、コミュニケーションの徹底を呼びかけました。その結果、新人教育だけでなく自己流になりがちであった業務の見直しや改善にも効果が発揮されました。また、スタッフ間のコミュニケーションが円滑になり、1年以上継続して勤務するスタッフが増えました。この経験から、リーダーとして仕事の効率化を図り、チームのモチベーションを維持する大変さと達成感を得ることができました。今後の仕事においても、チームの一員として協力し、円滑な運営に貢献していきたいと考えています。(400字以内)
コンビニでのアルバイト経験をテーマとしたガクチカです。コンビニに限らず、バイトリーダーを任されていたことがある方もいることでしょう。
リーダーシップ能力は、多くの職場や組織で重視されるスキルです。エピソードを添えて伝えることで、自身の価値を高めることができます。
コンビニのアルバイト経験は、業務の幅が広いだけに他にもたくさんのスキルを向上できるはずです。自分が成長できたことは何か、振り返ってみましょう。
③スーパー
私が学生時代に力を入れていたことは、スーパーでのアルバイト経験です。なかでも、レジ打ちの業務改善に取り組みました。私が所属していた店舗では、お客様が多い時間帯にレジ周りが非常に混雑することが課題となっていました。そこで私は、お客様の待ち時間を短縮すべく、レジ前に誘導のステッカーやビニールテープを貼ることを提案しました。このような策を講じた結果、お客様の並ぶ位置がわかりやすく案内できるようになりました。また、お買い物途中のお客様への影響も改善され、店内の混雑が緩和されました。この経験から、お客様に対する配慮やサービス向上の提供を第一に考え行動する大切さを学びました。入社後は、顧客の声に真摯に向き合い、心地よいサービスを提供していくことを心がけたいと考えています。(350字以内)
スーパーでのアルバイト経験をテーマとしたガクチカです。この例文では、お客様サービス向上のために実施した行動に関するエピソードを挙げています。お客様を第一に考えて行動できる人材は、様々な職種・業界の採用担当者から高い評価を受けるでしょう。
特に、サービス業や営業職、マーケティング職などに効果が期待できます。ガクチカの内容を考える際は、志望企業の社風や事業内容に合わせることも大事なポイントです。企業研究を徹底することで企業について正しく理解できます。
ガクチカの構成・書き方次第でアルバイト経験を強みにできる!
ガクチカでアルバイト経験をテーマとすることは、「だめ」というわけではなく、構成や書き方が重要です。仕事をしたことがあるという証ですので、むしろ就活の場では強みにできます。志望企業の事業内容などに合わせたアルバイト経験だとなお評価が高くなりやすいです。
ただし、仕事内容を説明しているだけであったり、業務や社会人として当たり前の行動はせっかくのアルバイト経験がアピールになりません。誠実な内容を記載し、入社後の活躍を期待してもらえるようなガクチカを作成しましょう。