自己PRを作成するとき、ゼミの経験を取り上げてもいいのか悩んでいる就活生も多いのではないでしょうか?

ゼミでの経験は学びも多く、自己PRでアピールするには良い題材です。しかし、一方で多くの就活生が同じような経験をしているため、ポイントを押さえてインパクトのある文章に仕上げる必要があります。

本記事では、自己PRでゼミを取り上げる際のポイントや注意点、各テーマごとの例文を紹介します。

自己PRにゼミを取り上げるのはあり?

結論から言うと、自己PRでゼミに関することをアピールしても問題ありません。なぜならゼミでの活動は、就職後も求められる経験やスキルが含まれているからです。

例えば、ゼミ生と協力して目標を達成したり、課題解決のために試行錯誤したりなどの経験が挙げられます。また、ゼミへの配属から結果を成し遂げるまでのストーリーを追えるため、説得力がある自己PRを作成しやすいメリットがあります。

企業側が求めている情報を網羅しやすいため、ゼミでの経験を自己PRのテーマに設定するのは有効だといえるでしょう。

企業が自己PRを求める理由とは?

強みを把握したい

企業は自己PRを通じて、志望者の強みを把握したいと考えています。なぜなら、事業の成長に必要な強みを持つ人材を採用したいからです。

例えば、チーム単位での業務遂行に尽力している会社なら、協調性やリーダーシップ、コミュニケーション能力に長けた人材を求めるでしょう。

また企業側は、採用に時間や費用を割いて行うため、慎重に吟味したいと考えています。長期的に活躍してくれる人材かを判断するためにも、自己PRは重要な判断材料になっているのです。

人柄や価値観を知りたい

企業は志望者の強みに加えて、人柄や価値観も知りたいと考えています。会社を形成する雰囲気や働きやすさは、社員の人柄や価値観で成り立っているからです。

そして志望者の人柄や価値観は、自己PR内のエピソードから判断されます。特にゼミをテーマにしているなら、ゼミを選んだ動機や活動内容から、自社で活躍してくれる人材かを汲み取るでしょう。

したがって企業は、志望者の人柄や価値観を知るために、自己PRの提出を求めるのです。

自社とマッチするか知りたい

企業は自己PRを通じて、志望者の強みと自社がマッチするかを判断します。入社後に相違が生じた場合、会社の雰囲気を壊したり、業務が円滑に進まなかったりするからです。

また悪影響が生じるのは、企業に限らず、志望者本人にも考えられるでしょう。最悪の場合、早期退職や転職せざるを得ない状況に陥る可能性もあります。

お互いが納得いく形で業務を遂行するためにも、自己PRの提出が求められることを押さえておきましょう。

自己PRにゼミ経験を書くポイント

自己分析を念入りにする

自己PRを作成する際は、自己分析を入念に行いましょう。自身の性格や価値観、強みを理解し、自己PRの方向性や内容が決めやすくします。

特におすすめなのは、ゼミでのエピソードから棚卸しすることです。強みから決定した場合、適切なエピソードを取捨選択する手間が生じます。

しかし、エピソードを先んじて考えることで、自身の強みを裏付ける根拠が明確になります。努力した過程や、強みを発揮した経験などを振り返りましょう。

エピソードで差別化を狙う

ゼミに関する自己PRは、エピソードで印象づけるように意識して作成することが大切です。なぜなら、他の志望者とテーマが重複する可能性が高いからです。

抽象的なエピソードは、読み手に「その他の志望者」として認識され、自己PRが埋れてしまいます。ありきたりな印象になるケースも考えられ、採用担当者の印象に残りづらくなってしまうのです。

インパクトを与えるためにも、ゼミに関する自己PRは、エピソードや伝え方などを工夫しましょう。

ゼミに関する自己PRの書き方4ステップ

効果的な自己PRの書き方

①強みを端的に言い切る

②ゼミに入った動機・活動内容を提示する

③ゼミの経験・結果を深掘りする

④どのように貢献するかを述べる

①強みを端的に言い切る

まずは冒頭で、自身の強みを端的に言い切りましょう。結論を先んじて提示することで、読み手が自己PRのテーマが把握しやすくなります。

仮に、冒頭からゼミでの経験や結果を説明し始めた場合、読み手に「何について説明したいんだろう」と疑問が生じてしまいます。

先延ばしにされた印象を受けてしまうため、自己PRの冒頭には「結論」つまり「自身の強み」を記載するのが良いでしょう。

②ゼミに入った動機・活動内容を提示する

自身の強みを根拠づけるために、結論の後には、ゼミに入った動機や活動内容を記載しましょう。

なお動機や活動内容を記載する時のポイントは、簡潔にまとめることです。ゼミの活動内容や魅力を深掘りした場合、自身の強みが伝わりにくくなってしまいます。

採用担当者が知りたいのは、志望者の人柄や価値観であるため、ゼミの概要は深掘りしすぎないことが大切です。ゼミの概要や活動内容は、1〜2文ほどを目安に記載すると良いでしょう。

③ゼミの経験・結果を深掘りする

ゼミに入った動機や活動内容の後には、ゼミでの経験や結果を記載しましょう。抽象的なエピソードは、読み手に理解しにくい印象を与えてしまうため注意が必要です。

動機や活動内容を詳しく提示することで、自身の強みに説得力を持たせられます。「この背景が今の強みに繋がっているのか」と、読み手の理解度を高め、記憶に残りやすくなるのです。

ゼミに関する自己PRを作成する際は、具体的な経験や結果を提示して、強みに結びつける構成にしましょう。

④どのように貢献するかを述べる

自己PRの最後には、ゼミでの経験や強みをどのように活かすかを明記しましょう。なぜなら、仕事への活かし方を記載することで、読み手に入社後のイメージを伝えられるからです。

また、将来のビジョンを明記することで、採用担当者は「この人なら、自社が目指す将来を実現できそうだ」と感じやすくなります。自身の強みに説得力を持たせる効果もあるため、概念的な展開にならないように注意して、仕事への活かし方で文章を締めくくりましょう。

自己PRを作成する際の注意点2つ

専門用語を使わない

自己PRは、専門用語を用いた文章を盛り込みすぎないよう注意してください。専門用語は限られたコミュニティでしか通じない言葉であるため、ゼミの活動やテーマに精通していない採用担当者は、理解しにくいと感じてしまいます。

なお専門用語は、自身がゼミで学んできた内容について知識がない人でも理解しやすいよう、噛み砕いて記載する必要があります。言い換えの表現が思いつかない場合は、専門用語の補足を追記して、読み手に優しい文章へ近づけましょう。

肩書きをアピールし過ぎない

自己PRを作成する際は、肩書きを羅列した文章が続かないように注意しましょう。企業側は、志望者の人柄や価値観がマッチしているかを知りたいからです。

「大学時代に◯◯や◯◯、◯◯の資格を取得しました」と明記した場合、採用担当者は「資格を持っているから、何なんだろう」と感じるでしょう。最悪の場合「自慢したいだけの人」や「自己中心的な人」と認識されてしまいます。

自己PRに肩書きを記載する際は「実勢を踏まえて、どのように貢献できるか」までを明記して、説得力を持たせましょう。

ゼミに関する自己PRの例文

協調性

例文

私の強みは「協調性」であり、ゼミ活動の討論を円滑に進めるために発揮しました。
ゼミでは「小学生教育のデジタル化」について研究し、ゼミ生4人で討論を行う機会がありました。「完全にデジタル化するべき」「今後も教師と対面で授業をするべき」と意見が割れ、両者の意見を肯定するのではなく、全うから否定し合う討論が続きました。
しかし私は「両者にメリットとデメリットがある」と考えたため、まずは意見の棚卸しをするように提案しました。また意見を掛け合わせたり、補足したりとお互いの理解を深める流れで討論が展開されるようにも努めました。
結果、ゼミ生全員が納得する結論を導くことに成功し、プレゼン発表会ではA判定をいただくことができました。入社後も、社員1人ひとりが納得のいく提案を通して貢献していきたいと考えています。(350字以内)

上記の例文では、協調性として円滑に人間関係が築けることをアピールしています。「ゼミ活動をスムーズに進めるために何をしたのか」や「どのような役割を担ったのか」が具体的に明記されています。

また、討論の内容や当時の心情が「」で強調されているのもポイントです。「入社後どのように貢献できるか」も提示されているため、企業側が志望者と働く未来像が想像しやすい構成になっています。

行動力

例文

私の強みは「行動力」です。大学時代は生物学科に所属していましたが、ゼミ活動を数理学科で実施しています。2年次に履修した数学の講義で、生物を数学の観点から分析することに興味を持ち、深く知りたいと思ったからです。
私は数理学科と生物学科の教授にコンタクトを取り、単位変換やゼミ配属への希望を申請しました。当初は、生物学と異なる分野であったため、知識を研究に落とし込むことに苦戦しました。そこで講義外でもゼミの教授に質問をしたり、数学科の友人にアドバイスを求めたりしました。また、通学前にも勉強時間を設け、研究に向けて尽力しました。
結果、プレゼン発表会で優勝することができ、前例のない課題にも恐れず行動する大切さを学びました。入社後は、貴社の方針である「海外進出」のために貢献していきたいと考えています。(350字以内)

上記の例文は「行動力を発揮したことで、前例のない事例を実現した」というテーマで展開されています。

別分野の知識を落とし込む過程が具体的に記載されているため、より理解しやすい内容だといえるでしょう。採用担当者にも「この人となら目標を達成できそう」と感じさせやすい文章構成になっています。

なお、自己PRの文字数に余裕があるなら、研究テーマを併せて深掘りして差別化を狙うのもおすすめです。

継続力

例文

私の強みは粘り強く継続する力です。行動経済学に関する研究に取り組む過程で、強みを発揮しました。
日本の研究や論文を通して分析を進めていく中で、根拠を提示するのに限界があることが課題でした。海外の文献も探索しましたが、サイトによって解釈が異なるため、検索意図がまとめきれず、悩む日々が続いていました。
教授から研究テーマを変更する助言ももらっていましたが、ゼミ内でも未開拓のテーマだったため、諦めたくありませんでした。
そこで私は、中学時代お世話になった英語教室の講師を通じて、海外教授とコンタクトをとり、詳しい話を聞くことに成功しました。結果、教授から高い評価をもらい、目標達成に向けて努力する大切さを学びました。
入社後も強みを活かして、試行錯誤を繰り返しながら、粘り強く業務に取り組んでいきたいです。(350字以内)

上記の例文では、独自性のあるエピソードを交えて、根気強く研究に打ち込んだ過程がアピールされています。「諦めたくない」という当時の心情も明記されているため、説得力が増しているのもポイントです。

継続力をアピールする際の注意点は「継続した」という事実のみを提示しないようにすることです。読み手に「行為そのものに意味があったのだろうか」と疑問を持たれてしまうため「継続したからこそ結果を得られた」とアピールできるように構成してみましょう。

気配り

例文

私の強みは、気配りを通して雰囲気づくりに徹せられることです。ゼミでの映像制作を通して発揮しました。ゼミ生の中で5人ずつチームを組んで30分の作品を制作し、模擬コンテストを行いました。
当初は消極的なグループの雰囲気から、映像の方向性が決まらず、なかなか撮影に移れない日々が続いていました。そこで私は、メンバー1人ひとりと綿密なコミュニケーションを取り、メンバー同士が意見を出しやすい雰囲気づくりに努めました。
また指示通りに動くだけではなく「他にも効果的な撮影方法はないか」と、メンバーに声をかけ、積極的な意見交換に取り組みました。
結果、メンバー全員が主体的になれるチームを形成でき、模擬コンテストでは優秀賞をいただきました。入社後も強みを活かして、プロジェクト成功に向けたチーム形成に貢献していきたいです。(400字以内)

上記の例文では活動内容に加えて、メンバーの中心になり気配りを発揮したことにも触れています。実際に声をかけたセリフも明記され、読み手が感情移入しやすくなっているのもポイントです。

さらに「5人」「30分」と、数字が盛り込まれているため、具体的かつ印象的に内容が伝わる工夫がされています。読み手の信頼を得るためにも、効果的な自己PRに仕上がっているといえるでしょう。

自己PRが思いつかない時の対処法

万が一、自己PRが思いつかない場合は、同じゼミの学生と作成すると良いでしょう。あるいはゼミの教授に直接相談するのも1つの手段です。第三者からの視点やアドバイスをもらえるため、自身では気づかなかった強みやエピソードを知れるからです。

また情報交換を交えるため、頭の中を整理しながら効率よく作成できるメリットもあります。

しかし、ゼミ生と共に自己PRを作成する際は、文章表現や内容が重複する可能性があります。オリジナリティに欠ける自己PRにならないよう注意して取り組みましょう。

自己PRでゼミを取り上げて内定を狙おう!

自己PRでゼミ活動を取り上げる際は、アピールするテーマや、入社後のビジョンに結びつけて展開する必要があります。

また、経験を深く掘り下げたり、数字やセリフを明記したりして、独自性のある自己PRに近づけましょう。ただし、専門用語の多用や肩書きの羅列は控えることが大切です。

本記事で紹介したポイントや例文を参考にして、まずは自己分析を入念に行い、ゼミについて自己PRを作成してみましょう。

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