「気配り」は他者と関わりを持って仕事をする社会人には重要なスキルであり、多くの企業に重宝される強みです。しかし、単に「私の強みは気配りです」と述べても、あなたの良さは伝わりにくいでしょう。

そのため、自己PRで効果的にアピールするためには、「周囲をよく見て行動できる」など、得意な気配りの仕方について一歩深掘りしたものを強みとし、アピールすることが大切です。

本記事では、自己PRで気配りができるという強みを魅力的に伝える方法を解説しています。リーダー、アルバイトなどのアピールにおすすめな経験別の例文も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

企業に求められる「気配り」とは?

「気配り」ができる人は、他者を思いやり、状況を見て何をしたら相手のためになるかを判断し、行動できるという特徴を持っています。

仕事では、他者との関わりや協力が欠かせないため、気配りはより良い人間関係の構築円滑な業務の進行に繋がります。

職種に限らず、企業に良い効果をもたらす強みであるため、気配り上手な人材は多くの企業で歓迎されるでしょう。

しかし、自己PRで単に「気配りができる」と述べるだけでは、具体性に欠けており、魅力的に受け取ってもらえません。

「周囲の様子によく目を配って行動できる」というように、どのような気配りが上手なのかを説明し、採用担当者に仕事で気配りをする姿をしっかりとイメージしてもらうことが大切です。

気配りができる人の特徴

周囲の様子をよく見ている

周囲をよく観察し、相手が求めるものを感じ取って、それを満たすために行動できる人は気配り上手と言えるでしょう。

企業での仕事は自分一人だけで完結できるものではありません。必ずどこかで他者との関わり合いが必要になってきます。

周囲をよく見て、それを行動に活かせるということは、他者と協調・協力しながら、スムーズに仕事を進めていくために非常に役立つ特徴です。

他者が気持ち良く働ける手助けをするということは、働きやすい環境作りにも繋がります。

そのため、幅広い職種で重宝されるでしょう。

自分で考えて自分から行動を起こせる

周囲の様子をよく観察して行動できるということは、自分から仕事や成すべきことを見つけて行動できるということにも繋がります。

指示を待つだけでなく、周囲のために何かできることはないかを考え、主体的に行動を起こせる人材は魅力的に映るでしょう。

気配り上手なことは、強みとしては一見控え目な印象を抱いてしまいがちですが、アピールの仕方によっては、このように仕事に積極的な印象も与えられるでしょう。

他者と謙虚な姿勢で接することができる

謙虚な人は、周囲の人々の気持ちを思いやり、大切にすることができます。

すなわち、相手の立場に立って物事を考えることができる人であるということです。

「自分の言動により、相手がどのような感情になるか」を考えて行動できるため、他者とのより良いコミュニケーション人間関係の構築に秀でた人材であると言えます。

仕事仲間や顧客とのコミュニケーションの多い職種では特に歓迎される特徴でしょう。

気配りができることをアピールできる構成

気配りを魅力的にアピールできる自己PRの構成

①【結論】 「気配りができること」が強みである

②【エピソード】 強みを発揮した具体的な経験

③【入社後の展望】 強みをどのように活かすか

強みは「気配りができること」だと伝える結論

自己PRにおいて、「気配りができる」ことをアピールする際は、まず結論から伝えましょう。

ここでの結論とは、「私の強みは気配りができることです」などのようにアピールで一番重要なポイントである「何が強みか」を簡潔に述べるものです。

最初に述べた結論は、「これから気配りに関する話を展開します」と読み手に伝える役割を果たしてくれます。

話の軸が「気配り」であることがはっきりと伝わるため、その後に続く話をスムーズに理解してもらいやすくなります。

気配りを活かした経験に関するエピソード

結論として、「気配りできること」が強みであると明示したなら、次はそれが事実であることを伝えるために、読み手に証明しなければいけません。

実際に強みを発揮したエピソードを具体的に伝えることで、強みを持っていることの根拠を示しましょう。

このとき、発揮した過程を段階分けして伝えることをおすすめします。

例えば、いつどんな「課題」に遭遇したか、課題解決のためにどのような「目標」を掲げ、どのように強みを発揮することで「対処」したのかというような構成です。

エピソードを段階分けして構成することで、段階ごとに話の短いまとまりが生まれ、内容を整理しながら読み進めていきやすくなります。

また強みを発揮した過程が具体的に分かるため、自分の強みがどのように活かせるものなのかをアピールすることができます。

エピソードを締める際には、強みを発揮したことでどのような「結果・成果」が得られたのかについて触れましょう。

あなたの気配りが実際に物事に良い効果をもたらしたことを伝え、強みとして十分に機能するものであることを証明することで、より効果的なアピールとなるためです。

入社後に気配りをどのように活かすか

エピソードを伝えられたら、自己PRの締めに入ります。

ここまでで裏付けてきた強みを入社後にどのように活かすかを述べて、入社への意気込みを伝えましょう。

企業が自己PRを聞きたがるのは、応募者が仕事に活きる強みを持っているのかを知りたいからです。

つまり、より良いアピールを実現するためには、強みを持っていることに納得してもらうだけでは不十分です。

気配りができるという強みが仕事でも確かに活きるものであるということも採用担当者に納得してもらう必要があります。

実際に強みを活かして働く姿をイメージしてもらい、業務に貢献してくれそうだと採用担当者に印象付けましょう。

気配りを魅力的にアピールするポイント

気配りを別の言葉で言い換えて他者と差別化する

最初に結論として強みを伝える際、単純に「私の強みは気配りができることです」と述べるだけでは、強みとして気配りを挙げている他の応募者との差別化がなされません。

差別化ができないということは、あなたならではの魅力が伝えられず、他の多数の参加者に埋もれてしまうことに繋がります。

「気配りができる」と一言でいっても、その言葉からイメージできる気配りの仕方や特徴は様々です。

そのため、自分がどのような気配りが上手なのかを深掘りし、この強みを自分ならではの表現で言い換えて差別化することをおすすめします。

例えば、「周りの人々のことをよく考えて行動できる」「相手の立場に立って物事を考えられる」というようなものです。

自分ならではの特徴を的確に表せる表現を用いることで、採用担当者に自分の魅力や個性を読み取ってもらえるようになるでしょう。

より応募職種に活きる種類の気配りをアピールする

先述の通り、「気配りができる」といっても、人によって得意な気配りの特徴や仕方は様々です。

そして、どのような種類の気配りを特に重宝するのかは、その企業の仕事内容や社風などによって異なるでしょう。

例えば、「相手の立場に立って物事を考えられる」ことは、顧客のニーズを把握し、それに則した対応ができる能力に繋がります。

そのため、接客業では特に重宝されることでしょう。

このように、より効果的なアピールをしたい場合には、応募先の求める人物像を把握し、それとマッチ度の高い強みを伝えることをおすすめします。

【経験別】気配りの自己PR例文

リーダー経験

例文

吹奏楽部のトランペットパートリーダーとしての経験から、他者への思いやりを持って行動する力を養いました。

学年や楽器経験が異なるメンバーが集まっていたため、演奏練習においては、個々の能力に目を配り、各々が効率的にスキルを磨いていける練習メニューを考案しました。

また、それぞれの不安点や質問を聞いて、アドバイスし合う機会を定期的に設けることで、メンバー間の信頼関係を強化し、団結力が生まれるように取り組みました。

その結果、パート全体のモチベーションやスキルが向上し、県大会では一体感のある演奏を披露して、金賞を獲得することができました。

この経験から、仲間やチームを想って行動し、協力し合うことで、チームの力を引き出すことの重要性を理解しました。貴社においても、仲間を大切にし、切磋琢磨することで共に成長していきたいと思っています。(400字以内)

リーダーは他のメンバーに目を配り、指示を出して統率したり、サポートしたりする立場であるため、気配りをアピールするエピソードの題材としておすすめな経験の一つです。

例文では、気配りに関する能力の中でも「他者への思いやりを持って行動する力」に焦点を当てています。

これを強みとした場合、具体的にはどう行動したか、行動がもたらした良い結果についても触れましょう。

気配りができることが、しっかりと強みとして活かせるものであることを印象付けることができます。

また他者と力を合わせ、一つの目標に向かって努力する部活動経験もアピールに適しています。

他者と協調し、信頼関係を築くことが重要なものであり、気配りが活きるシチュエーションとしても分かりやすいためです。

部活のマネージャー経験

例文

私は、学生時代に野球部のマネージャー経験をきっかけに、周囲の様子をよく観察し、気を配ることを大切にしています。

野球部においては、選手たちが日々の練習を円滑に行えるように、常に適切なサポートを心掛けていました。例えば、試合前には選手たちの用意が整っているかを確認し、必要な道具や飲み物を手配しました。

また、練習中には怪我や疲れが見られる選手には積極的に声をかけました。無理をして症状が悪化してしまえば、その後の活動に響くため、選手をよく観察し、手当てやテーピングなどのサポートを怠らないように注意を払っていました。

その結果、選手たちとの強い信頼関係が結ばれ、多くの選手から安心して練習や試合に臨むことができると評価してもらえました。

この経験を活かして、貴社でも常に周囲の様子を気に掛けて行動することで、人々が安心して自分の業務に取り組める環境を作り、仕事の成功に繋げていきたいと考えています。(400字以内)

マネージャーは他のメンバーをサポートすることが仕事の本分であるため、この経験があれば、気配り上手であることをアピールしやすいでしょう。

このとき、どんなことを心掛け、どのように行動したかを具体的に述べられると良いでしょう。

また自己PRのエピソードでは、強みを活かした行動により、どのような結果を得られたかを説明するのがセオリーです。

しかし、部活動においては、大会などで明瞭な結果を直接生み出すのはマネージャーではなく、選手であるため、少し書きにくいということもあるでしょう。

その場合、日々の活動で自分の行動により改善された点や他者に褒められたことが無いか探してみましょう。

接客業のアルバイト

例文

私の強みは臨機応変に適切な行動を取れるということです。

カフェでのアルバイト経験から、より良いサービスを提供するためには、常に周りの状況に合わせて対応することが必要だと実感しました。

例えば子供連れのお客様には子供用椅子が使える席の利用を提案したり、足腰の悪いお客様は出入り口から近い席に案内したりと、それぞれのお客様にとって適切な対応を取ることを心掛けました。

また、忙しいキッチンでの仕事では、他のスタッフとの円滑な連携が求められます。私はスタッフ全体の様子を把握し、自分の仕事の合間を見て手助けをすることで、効率的な業務遂行に尽力しました。

結果として、スタッフもお客様も居心地良く過ごせる環境作りに貢献できたと思います。

私は貴社でも同様に、周囲への気配りを忘れず、仲間と良好な関係を築くことで、団結して目標達成を果たしたいです。(400字以内)

アルバイトの中でも、接客業の経験は気配り上手であることのアピールにおすすめです。

接客業は顧客を相手取って業務をこなすものであり、気配りが仕事の一環になっているというイメージが強く、例として非常に分かりやすいからです。

顧客や仕事仲間のためにどのような気配りを見せたかを述べ、働く姿を具体的にイメージしてもらえるようにしましょう。

また応募職種が接客業の場合は、応募先の仕事に直接通ずるようなエピソードを書けると、より効果的なアピールとなるでしょう。

ボランティア活動

例文

私の強みは、相手の立場に立って物事を考えられることです。

学生時代、私は地域の高齢者福祉施設でのボランティア活動に参加し、高齢者の方々との交流会を企画しました。

しかし、参加者の中には身体的な制約やコミュニケーションの不安を抱えている方もいました。その状況を考慮し、簡単なゲームやアクティビティを通じて無理なく参加できるように工夫しました。その結果、多くの参加者と楽しい時間を過ごすことができました。

この経験を通じて、私は相手の状況や感情に共感し、それを考慮した上で最適な解決策を見つける力を磨きました。

貴社においても、チーム全体の調和や効果的なコミュニケーションを促進し、良好な人間関係を築くためにこの強みを活かしていきたいと考えています。(350字以内)

ボランティア活動は基本的には自主的に参加し、善意を持って行うものです。

そのため、自己PRにおいて、周囲への気配りをしたエピソードの題材に適しています。

エピソードを書く際には、自分でどのようなことを考えて行動したのかというような自主性がしっかりと分かるようにすることをおすすめします。

また例文では、「相手の立場に立って物事を考えられる」ということを強みとしています。

この場合、どのように相手のことを想い、どのような行動に移したかを具体的に記述しましょう。

気配りのエピソードが見つからないときの対処法

知人に気配りを発揮したエピソードについて尋ねる

気配りができるという強みを発揮したエピソードを自分一人では見つけられない場合には、まずは他者自分が強みを発揮した例が無いかを聞いてみることをおすすめします。

このとき、友人や家族、教授、アルバイト先の同僚など、多様な属性の知人たちに聞いて回ると良いでしょう。

あなたとの関わり方が異なる人々は、それぞれ別の視点からあなたを捉えているはずであるため、多様な意見を得られやすいでしょう。

他者が書いた自己PRを参考にする

エピソードが見つからない場合には、他者が書いた気配りをアピールしている自己PRを参考にしてみるのも良いでしょう。

他者のエピソードを参考にして自己を振り返ることで、アピールに有用なエピソードが新たに見つけられるかもしれません。

リクルートが運営する大手求人サイト「リクナビ」の関連サービスである「OpenES」では、他者の書いた自己PRを閲覧することが可能です。

業種や学科系統ごとに絞り込みを行って閲覧することもできるため、同業他社に向けた自己PRも簡単に見つけることができます。

中には、気配りやそれに通ずる強みをアピールしている自己PRもあるでしょう。

他者が実際に応募先向けに書いた自己PRや例文が見られるサイトは他にも存在します。

就職活動者に向けた便利なサービスは様々あるため、自分に合ったものを見つけ、活用することをおすすめします。

自己PRに気配りを書くときの注意点

アピールする特徴は一つに絞る

先述の通り、「気配りができる」と一言で言っても、応募者によって得意な気配りの仕方や特徴は様々でしょう。

自己PRにおいては、その特徴に注目してアピールすることで、強みをより分かりやすく、具体的に表すことができます。

このとき、より多くの特徴をアピールすることが、より高く評価されるとは限りません。

寧ろ多くの特徴を扱うほどに、自己PRを適切な文字数に収めるために、一つ一つの特徴の根拠付けが弱くなり、アピールとしての効果が薄れてしまいます。

また話が散らかりやすく、要点がわかりにくい文章になってしまうでしょう。

そのため、アピールする特徴は一つに絞り、それに対してしっかりと深掘りや根拠付けをすることで、文章の説得力を高めていきましょう。

自己PRの文章でも気配りを見せる

「気配りができる」という強みは、自己PRなどのエントリーシート(ES)で書く文章にも関わってきます。

採用担当者にとって理解しやすい内容になっているかというように、読み手のことをしっかりと考えて執筆できると、気配りができるということの説得力が高まります。

反対に、「私は気配りができる人です」とアピールしているのに、読みにくい文章を書いてしまうと、強みに対して懐疑的に見られてしまうリスクがあります。

他者に読んでもらい、アドバイスを貰うなどして推敲を重ね、読みやすい文章に仕上げていきましょう。

どのような気配りが得意なのかを具体的にアピールしよう!

気配りは、他者と関わり合いを持って仕事をしていくうえで、非常に重要なものです。

仲間や顧客との信頼関係の構築は、多くの企業・職種で欠かせないものであるため、気配りができるという強みは歓迎されやすいものでしょう。

しかし、単に「気配りができる」と言うだけでは、あなたがどのように気を配れるのかは分かりません。

そのため、「相手の立場に立って物事を考えられる」というように、どのような気配りが得意なのか、採用担当者にはっきりと分かるように伝えましょう。

それが他者との差別化にも繋がり、あなた個人の魅力や個性がより伝わりやすくなるでしょう。

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