ドラッグストアの業務は多岐に渡ります。企業によっても大きく特徴が異なるため、業界分析と併せて、企業分析を丁寧に行い、理解を深めておきましょう。
ドラッグストアの志望動機を作成するには、キャリアビジョンと自身の強みを結びつけて展開するのがポイントです。
本記事では、ドラッグストア業界の概要と志望動機の書き方を解説しています。例文も参考に魅力的な志望動機を作成していきましょう。
目次
ドラッグストアの業務内容
ドラッグストアの志望動機を作成するためには、業務内容を理解しておくことが重要です。ドラッグストアでは、主に「接客・販売」「品出し・整理」「在庫管理・発注」の業務を担います。
店舗の従業員なら、総合的に業務を担当する可能性があるため、1つひとつ丁寧に行うことが大切です。また志望する企業によって、業務の進行方法や扱う機器が異なることも押さえておきましょう。
接客・販売
ドラッグストアでは、お客様対応や商品の販売が欠かせません。スーパーや百貨店と同じく、卸売業や小売業に該当するからです。
お客様に商品の特徴を分かりやすく伝え、販売を促進する業務を担います。医薬品に限らず、日用品やペット用品などを取り扱うため、商品に関する情報を網羅しておく必要があるでしょう。
また店舗によっては、レジ業務を担当するケースも考えられます。ドラッグストアでは、幅広い業務に携わるということを理解しておきましょう。
品出し・整理
ドラッグストアでは、入荷した商品を並べたり、配置を見直したりする業務もあります。店内環境の見直しは、商品の劣化や廃棄を防ぐ重要な要素です。
なお品出しや整理の方法は「賞味期限の近い商品は前面に配置する」「月に◯回、配置を入れ替える」など、店舗によってルールが定められているケースがあります。売り上げの向上のために、それぞれの店舗が工夫し取り組みを行っていることが多いので、順応して対応していくことが求められます。
在庫管理・発注
ドラッグストアの業務には、商品の発注や在庫の管理なども行います。商品の供給と消費のバランスを保つ重要な要素です。
発注では適切な量や種類の商品を仕入れ、品切れを防ぎつつ在庫を抱えすぎないことがポイントです。また店舗の販売動向や季節、定期的なイベントに合わせて、商品の仕入れ状況を調整します。
一方、在庫の管理は、商品がどのくらい残っているかや、期限が近い商品の有無などを特定する業務です。販売戦略の調整や提案の情報として利用するため、重要な業務の1つといえます。
ドラッグストアで求められるスキル3つ
コミュニケーション能力
ドラッグストアでは、お客様の気持ちに寄り添いながら接客するスキルが求められます。
来店するお客様は、何か悩みを抱え、解決するために訪れる人がほとんどだからです。「お客様が何に悩んでいて、どんな商品を求めているか」を丁寧に汲み取る意識で接客に努めましょう。
またコミュニケーション能力は、同じ社員との情報共有や、チームワークの向上にも必要とされます。店舗を円滑に運営するためにも、欠かせないスキルといえるでしょう。
慎重さ
ドラッグストアでは、慎重に業務を進めるスキルも求められます。お客様によっては、プライベートな内容を含む接客が必要だからです。
例えば身体の不調や症状、病気に関する相談が挙げられます。気軽に相談しにくかったり、正確な情報を求められたりするため、丁寧に対応しましょう。
また慎重さは、業務のミスを防ぎ、正確に進めていくためにも求められます。ドラッグストアでは、1つひとつの業務を着実に遂行できる人材が求められているのです。
主体性
ドラッグストアでは、常に学び続ける姿勢が求められます。医療品に限らず、日用品や食品、ペット用品など幅広い商品を扱うため、新しい商品について主体的に学んでいく必要があります。
主体性が欠けていた場合は、お客様に最適な商品を提案できず、満足度やリピート率の低下などに影響してしまいます。また、スキルアップのためにも欠かせない要素であるため、学び続ける姿勢を意識して、日々の業務に取り組みましょう。
ドラッグストアへの入社に有効な資格
ビューティケアアドバイザー
ビューティーケアアドバイザーとは、美容に関する知識や技量があると証明する資格です。「より美しくなりたい」と考えているお客様に対して、化粧品や美容器具に関する情報や使い方をアドバイスします。
またビューティーケアアドバイザーの資格の有無は、他店舗との差別化ができ、資格所有者を求めて来店するお客様の獲得にも繋がります。幅広い美容用品に詳しい人材として、店舗の運営に欠かせない人材として貢献できるのです。
ヘルスケアアドバイザー
ヘルスケアアドバイザーとは、健康に関する総合的なアドバイスができることを証明する資格です。食事や運動、生活習慣を中心に、身体を健康に保つための知識を習得します。
特にドラッグストアでは、医薬品やサプリメント、健康食品などを取り扱うため「的確なアドバイスができる人材」として重宝されるでしょう。健康に関心があるお客様なら「資格を保有しているスタッフに相談にしたい」と、定期的に店舗に訪れる可能性も高まります。
ヘルスケアアドバイザーの資格を取得すれば、健康面に精通した人材として貢献できるようになるのです。
ベビーケアアドバイザー
ベビーケアアドバイザーとは、育児や子育て、ベビーケア商品に関する知識やスキルを証明する資格です。子育てを控えるお客様の相談に乗ったり、商品などの提案をします。
またベビーケアアドバイザーには、育児に対して不安や悩みを抱えている方からニーズを聞き出し、的確にアドバイスをするスキルが求められています。業務を遂行するうえでは、コミュニケーション能力やカウンセリング能力も必要になるといえるでしょう。
ベビーケアアドバイザーの資格を取得することで、お客様の育児や子育てを間接的にサポートできる人材として貢献できます。
漢方アドバイザー
漢方アドバイザーとは、漢方薬について知見があることを証明する資格です。医療用や一般用を問わず知識を習得できます。
主な業務内容は、漢方の効果や服用するタイミング、飲み合わせなどをお客様に提案することです。漢方薬局に限らず、調剤薬局やドラッグストアでも重宝されるため、幅広い場面で貢献できるようになります。
漢方は、健康やダイエットを目的として購入するお客様もいるため、漢方アドバイザーの所有者は貴重な人材として重宝されるでしょう。
ドラッグストアの志望動機の書き方
結論から伝える
志望動機では、最初に「入社したい」という意思を簡潔かつ明確に伝えましょう。回りくどい言い方や、説明から始めるような書き出しでは、採用担当者に志望動機の全容が伝わりにくくなります。
この時、なぜその店舗を選んだのかが伝わる志望理由を伝えられるとより良い印象を与えられます。「ドラッグストアならどこでもいいのでは」と思われないよう、その店舗独自の要素などを挙げると良いでしょう。
理由や具体的なエピソード
結論の後は、その志望動機に至った理由やエピソードを述べます。なるべく具体的な内容を書いた方が伝わりやすくなりますが、長すぎても主旨がわかりにくくなってしまうため、全体の文字数とのバランスを意識することが重要です。
また、内容と志望職種に関連性があるとさらに印象的な志望動機に仕上がるでしょう。エピソードの中で、ドラッグストアで役立つスキルなどをさりげなくアピールすることが効果的です。
どう貢献できるかで締める
志望動機の最後は、入社後の心意気や具体的な活躍といった、貢献したいことで締めるのが良いでしょう。
さらに、今後のキャリアについて触れていると、向上心や意欲のアピールにも繋がります。「頑張ります」といった漠然とした目標よりも、「スキルを身に着けたい」といった具体性のある意気込みで締めることで好印象を狙えます。
ドラッグストアの志望動機を書く時のポイント
志望理由を明確にする
ドラッグストアの志望動機は、 志望理由を明確にして作成しましょう。根拠のある志望動機に繋がり、他の志望者に埋もれることを防げます。
例えば「貢献したい」や「興味関心がある」などの抽象的な志望動機は、他の志望者と被ってしまう傾向にあります。汎用性が高い表現でもあるため、最悪の場合、ありきたりな印象を与えてしまうでしょう。
「貢献したい」なら「お客様の生活に欠かせない商品を的確に提供して貢献したい」のように、具体的に深掘りするのがポイントです。志望動機を明確にして、説得力を持たせましょう。
企業研究を入念に行う
ドラッグストアの志望動機を作成する際は、 企業研究を入念に行いましょう。企業の取り組みや価値観を理解することで、採用担当者の目に留まりやすくなります。
例えば、企業の方針や経営理念、キャリアビジョンを把握することで、入社への熱意をアピールできます。また、企業に関するニュースや、インタビュー記事を参考にするのも有効です。
「自社に興味関心がある人材だ」と、採用担当者に好印象を与えられるため、企業研究に力を入れるように意識しましょう。
活かせるスキルを把握する
ドラッグストアの志望動機は、 仕事で活かせるスキルを把握したうえで作成する必要があります。棚卸ししたスキルが業務内容とマッチしているなら、即戦力になるアピールにも繋がるでしょう。
なおスキルのアピール方法は、所有資格の提示に限らず、学歴や経験などから探し出すのも1つの手段です。
ドラッグストアなら、薬学系や医学系、生物系を専攻していた経験を活かせるでしょう。実際にドラッグストアでアルバイトをした経験を取り上げるのも有効です。接客を担う業界であるため「コミュニケーションスキル」をアピールするのも良いでしょう。
志望動機を作成する際は「ドラッグストアでは、どのような人材が求められるのか」を把握し、マッチするスキルを盛り込むことが大切です。
将来のキャリアビジョンを伝える
ドラッグストアの志望動機は、 将来のキャリアビジョンを盛り込んで作成しましょう。なぜなら、企業側が入社後のイメージをしやすくなるからです。
キャリアビジョンが曖昧な志望者に対しては、企業側も「貢献する気があるのか?」「早期退職をしてしまわないか?」と不安になってしまいます。ドラッグストアの場合は、売り上げの減少にも繋がるため、選考を通過しにくくなるでしょう。
しかし、入社後に実現したい目標や未来像を提示することで、説得力のある文章構成に仕上がります。「安心して業務を任せられる人材だ」と感じてもらえるように、志望動機を作り込みましょう。
ドラッグストアの志望動機例文
商品を軸にした場合
私が貴社を志望した理由は、オリジナルスキンケア製品の知名度を上げ、お客様の肌トラブル改善に貢献したいからです。
敏感肌に悩む人にとって、肌質にマッチするスキンケアを探すのは困難であり、季節の変化や外的刺激に合わせてスキンケア製品を買い換える傾向があります。しかし「低刺激」「天然由来成分100%」の製品は相場が高く、継続して使用するのが負担になりやすいのが課題です。
しかし貴社の製品は、自然由来の成分を使用し、低価格で購入できる手軽さから、敏感肌に悩むお客様に薦めたいと考えています。実際に、私自身も大学時代に1年間継続して使用し、肌トラブルの改善を実感できました。
以上の経験を通して、入社後は「ビューティーケアアドバイザー」の取得に努め、最前線で活躍できる人材として売上に貢献したく、入社を志望いたします。(400字以内)
上記の例文は、企業が独自に制作した製品に触れ、志望する企業のみに焦点を当てて構成されています。「商品を実際に使った」という自身の経験を盛り込んでいるのもポイントです。
また入社後のビジョンとして「資格取得」を提示しています。企業側から「スキルアップを怠らない、向上心がある人」と認識してもらいやすくなり、長期的に貢献する姿勢をアピールするのに有効です。
ゼミ活動の学びを活用する場合
私の志望理由は、貴社の提供する「オンライン服薬指導」の活性化に貢献したいからです。自宅にいても不自由なく生活できる環境作りをしたいと考えています。
近年では、医療費の増大による「セルフメディケーション」が注目され、一般用医薬品を通して、病気の予防や管理を行う考えが浸透してきています。そして、オンライン服薬指導を一般化することで、自宅療養の質を向上できると考えます。
大学時代に所属したゼミでは「健康に関する消費者の認識」について研究しました。調査の結果、ドラッグストアから健康に関する情報を得ていることがわかり、ドラッグストアの重要性について実感しました。
以上の経験から、貴社の取り組みに共感し、各店舗の利用者の増加に貢献したいと考えています。お客様の症状に最適な商品を提案し、的確なアドバイスができるスタッフとして活躍する所存です。(400字以内)
上記の例文は、企業独自のサービスに惹かれたことを説明するかたちで構成されています。ゼミでの研究テーマを結びつけているため「企業にマッチする人材である」と、認識してもらいやすくなるでしょう。
また、現代社会の背景を取り上げることで「企業の取り組みに将来性がある」と、述べているのもポイントです。広い視野で企業研究をしているアピールになり、入社する意欲が伝わります。
文字数に余裕がある場合は「入社後にどうなっていたいか」を深掘りできると、より説得力が増すでしょう。
アルバイト経験をアピールする場合
私が貴社を志望する理由は、アルバイトの経験を活かして、子育て世帯に向けた商品の売上促進に貢献したいからです。
大学時代に◯◯市のドラッグストアでアルバイトを経験し、お客様とのコミュニケーションに尽力してきました。地域の特色から、子育て世帯の方からの質問に対応する機会が多く、お子様や幼児向けの商品提供を経験しています。
共働き世帯が増加している現代において、お子様の不調について的確なアドバイスがもらえるドラッグストアの存在は、需要があると考えました。貴社では、お子様が服用できる商品を豊富に取り扱い、子育て世帯に向けた情報発信に取り組んでいる背景から、即戦力になると考えています。
以上の経験から、コミュニケーションスキルを活かし、商品提供の質の向上に貢献したく、入社を志望いたします。3年後には「ベビーケアアドバイザー」を取得し、よりお客様に寄り添った接客を実現できるよう努めてまいります。(400字以内)
上記の例文は、過去の経験を交えながら志望動機を展開しています。「◯◯市」「お子様や幼児向け」と、エピソードに具体性があり、読み手が情景を想像しやすくなっています。
また、アルバイトの経験と企業の特徴を結びつけているのもポイントです。「いかに企業にとって有用な人材なのか」を間接的にアピールできています。「3年後」と、長期的なキャリアビジョンを提示しているのも、好印象に繋がるでしょう。
ドラッグストアの志望動機に関する注意点
福利厚生をテーマにしない
ドラッグストアの志望動機では、福利厚生をテーマに設定することを避けましょう。
福利厚生をテーマにした場合、志望者に関する情報が薄れるため、自身のスキルや能力、価値観が伝わりにくくなってしまいます。また「好条件の企業に転職しそうだ」「仕事そのものに興味がない人材だ」と判断され、選考を通過できなくなるでしょう。
企業が志望動機を求める理由には「志望者の人物像を知る」という意図があります。自身の人物像やスキルがわかる内容を主軸にしつつ、福利厚生に触れる展開を心がけましょう。
抽象的な表現を使わない
ドラッグストアの志望動機を作成する際は、抽象的な表現を避けることも大切です。
企業の特徴に触れていない表現は、やる気や熱意が伝わりにくくなってしまいます。「自社への志望度が低い」と捉えられてしまう可能性もあるため注意しましょう。
例えば「業務にやりがいを感じた」と伝える場合なら「何の業務に対して、どのようにやりがいを感じたのか」と、具体的な要素を盛り込みましょう。なお、企業独自の取り組みに触れることで、より説得力を上げられます。
志望動機は、第三者が見ても分かりやすく、具体的な文章構成を意識して作成しましょう。
ドラッグストアの志望動機はポイントを押さえて作成しよう
ドラッグストアの志望動機は、下記4つのポイントを押さえて作成することが大切です。
- 志望理由を明確にする
- 企業研究を入念に行う
- 活かせるスキルを把握する
- 将来のキャリアビジョンを伝える
特に、重視するのが「企業研究」であり、店舗の特徴や取り扱う商品などを把握することで、志望する企業への興味関心を伝えやすくなります。
さらに企業研究の結果には、自身の経験やスキルを結びつけるのもポイントです。「即戦力になれる」「長期的に貢献できる」というアピールになり、志望動機に説得力が増します。
本記事で紹介したポイントや注意点、例文を押さえて、まずは志望する企業の特徴を知ることから取り組んでみましょう。