「志望動機に福利厚生を書いても良いのか」悩んでいませんか?基本的には志望動機に福利厚生を書くのは好ましくないと言われています。企業によっては、マイナスな評価を得る可能性もあるので注意が必要です。
しかし、福利厚生が充実していることに魅力を感じて志望企業を決めたという就活生も多いのではないでしょうか。そこで、今回は、福利厚生を志望動機に上手に反映させるポイントや書き方、注意点を解説します。
福利厚生を含めた志望動機の例文も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
志望動機で福利厚生を伝えるのは問題ない?
結論から言うと、志望動機で福利厚生を伝えるのは、あまりおすすめしません。
なぜなら、「福利厚生が充実しているため、貴社に志望しました」のような志望動機は、採用担当者に 「仕事への熱意がない」 「就活生の良い部分が分からない」とマイナスな評価をされてしまう可能性があるからです。
可能であれば、業務内容や企業理念などの別の志望理由を書くことをおすすめします。
しかし、福利厚生を活かして何かに挑戦したいなど、福利厚生が志望動機のきっかけになったという人もいるでしょう。その場合は、書き方に注意が必要です。この記事では、福利厚生を志望動機で伝えるときの注意点を解説していきます。
福利厚生を含んだ志望動機を書く時のリスク
前述のように、福利厚生を主な志望動機とするのは様々なリスクがあります。仕事への意欲が低いと思われる内容は書かずに、福利厚生がどのように仕事への意欲を高めるのかをアピールしましょう。
➀能力を伝えることができない
志望動機では、その会社に入りたい理由とともに、自分の経験や能力をアピールすることもできます。そのため、志望動機として福利厚生をメインに書いてしまうと、能力をアピールする機会を減らしてしまうことになるのです。
また、採用担当者は志望動機を通して応募者の人柄も判断しようとしています。福利厚生では人柄が明確にならず、スキルや経験を十分に活かすことができません。
➁転職しそうだと思われる
福利厚生は会社を選ぶ際の条件のひとつであり、福利厚生を主な志望動機と書くと、「条件のみを見て応募してきた」と思われるかもしれません。この場合、「仕事内容に対しての熱意がない」という印象を与えてしまいます。仕事に対しての熱意がない人は転職しやすく、企業にとって求める人材ではなくなってしまいます。
また、福利厚生の条件は変わる可能性が十分にあるため、自社よりも条件の良い会社にすぐに転職すると思われることも考えられます。
➂自己中な印象を与える
採用を通して、仕事にモチベーションを持って長く働いてくれる人を企業側は探しています。それを読み取るための志望動機に福利厚生を書いてしまうと、非常に自己中心的な印象を与えます。
福利厚生は、仕事に集中できる環境づくりや従業員の満足度向上を目的として設けられていますが、自分の利益を優先しているような表現は書いてはいけません。業務の効率を上げるための福利厚生であることを心に留めましょう。
福利厚生を志望動機に書く時のポイント
自分のキャリアプランと関連付ける
福利厚生の制度をどのように活用をして、将来的にどのようなキャリアを築きたいかを明確にしましょう。
下記の例文を参考にして、志望動機を考えてみましょう。
【NG例】
将来はMBA留学制度を使用して勉強したいです。
【OK例】
将来的にはMBA留学制度を利用し経営を学んだのちに、会社の経営戦略に携わりたいです。
※MBA留学制度:MBA(経営学修士)の学位を目指すために、アメリカやイギリスなどの海外の大学院で学ぶ場合に必要な渡航費や学費などの費用を会社が出す制度
単純に「勉強したい」ではなく「勉強したことをどのようにキャリアに活かしたいのか」を書くことが大切です。
自分のキャリアプランと関連付けることで、福利厚生を活かしてキャリアアップしたいことを採用担当者に伝えられます。
自己分析と結びつける
自己分析を行い、自分の強みや価値観を理解してから志望動機を作成しましょう。
今回は大学時代の経験と福利厚生を結びつけた内容を紹介します。ぜひ、下記の例文を参考にしてみてください。
【NG例】
貴社のドリンクバー制度を利用して、飲み物代を浮かせたいからです。
【OK例】
大学時代は学校祭の実行委員として、主に芸能人を呼ぶ企画を担当してきました。特に企画が思い浮かばない状態で悩んだ際に、先輩と何気ない会話で良い企画が浮かんで実行させた経験があります。その経験から普段の会話で良いアイディアが浮かぶこともあることを知りました。入社後は、お菓子の企画職として、消費者が喜ぶ商品を作りたいです。ドリンクバー制度を利用し、同僚や上司とフラットにコミュニケーションを取りながら、商品開発のアイディアを考えていきたいです。
※ドリンクバー制度:社内にドリンクバーを設置して、社員同士で気軽にコミュニケーションが取りやすい制度
大学時代に何気ない会話で良いアイディアを思い浮かんだ経験とドリンクバー制度を上手く掛け合わせています。自分の利益を優先しているような表現を書いていない点が良いです。
自己分析を元に、福利厚生を含めた志望動機と書くことで、採用担当者を説得できるでしょう。
重視する理由を含める
「○○の制度に魅力を感じた」だけではなく、「仕事とプライベートの区別を付けることができる」など、その制度を重視する理由を明確にしましょう。採用担当者の自己中心的な印象を減らすことができるでしょう。
下記の内容を参考にしてみてください。
【NG】早く帰りたいのでノー残業デーがある貴社を志望いたします。理由はプライベートを充実させて楽しい人生を送りたいからです。
【OK】自己研鑽する時間を確保したいため、ノー残業デーを導入している貴社を志望いたします。学生時代の授業でWEBデザインを学んだ際に、スキルを上げるには授業の他に自分でも勉強する必要性を感じました。そのため、定時後には自宅でWEBデザインの勉強をして、さらに貴社で貢献したいです。
※ノー残業デー:残業しない日にちや曜日を企業が指定する取り組み
残業無しで早く帰宅できることで、スキルアップのための時間が生まれ、さらにそのスキルを会社への貢献として活用する流れで書かれています。
このように、福利厚生を重視する理由を明確にするだけでなく、福利厚生を利用して会社にさらに貢献したいとアピールすると、さらに好印象を与えられるでしょう。
企業の理念や環境をメインに書く
多くの企業では、企業が大事にしている企業理念に則って福利厚生を充実させています。
そのため、福利厚生を直接的な志望動機とするのではなく、企業理念を主な志望動機で書いたうえで具体例として福利厚生を出す、または福利厚生が行き届いている環境そのものを志望動機にするのが好ましいでしょう。
福利厚生を含めた志望動機の書き方
AI業界×リモートワーク制度
貴社で日本の福祉領域での課題である「介護士不足」や「体の負担」などをAI活用で解決したいと考え、志望いたしました。
私は大学院で人工知能を研究し、移動や排泄の支援ができる介護ロボットを開発した経験があるため、貴社で最新のIoTを活用した介護ロボットを研究・開発したいです。
チームでのコミュニケーションを大切にしながら、より介護士が使いやすい介護ロボットを制作していきたいと考えています。一人で任された工程に関しては、週2回のリモートワーク制度を活用し業務を効率よく進めたいです。
将来的には最新技術を後輩に教える「技術リーダー」として活躍したいと考えています。入社後は技術者として成長し続けられるよう努めます。(350字以内)
リモートワーク制度を活用してAI業界に勤務したい就活生の志望動機です。
志望動機の内容のメインは「より介護士が使いやすい介護ロボットを開発したい」と仕事への意欲が高い就活生であることが伝わります。リモートワークは補足で書いているのが良い点です。
どうしても福利厚生について記載したい場合は、メインではなく補足的な要素で書くことが大切です。
志望動機を書いた後は独りよがりの文章ではないかを確認してから提出しましょう。
ホテル業界×研修制度
私はお客様に感動を与えるおもてなしをしたいと考え、貴社を志望いたします。
大学4年間、地元のテーマパークでアルバイトをした経験があり、外国のお客様に道案内をした際に「ありがとう」と感謝されてやりがいを感じた経験があります。
貴社に入社後、ホテルのフロント部門に配属し、お客様一人ひとりに寄り添ったサービスを提供したいと考えております。また、貴社の充実した研修制度を活用し、ホテルの知識やスキルを磨き、将来的にはマネジメント職として、多くの社員が最高のおもてなしができる人材を育てたいです。
お客様に心から喜んでいただけるよう、日々努力を重ねて貢献していきたいと考えております。(300字以内)
上記の志望動機は、充実した研修制度を活用し、ホテルで勤務する上での知識やスキルを向上させ、会社に貢献したいことがわかる志望動機です。
志望動機に研修制度を記載したい場合は「研修を通して学びたい」と単に書くのではなく、「研修を通して、コンサルティングにおける知識やスキルを磨いて、クライアントの課題を解決できる人材になりたい」など、研修制度を活用した後にどんな人材になりたいかを書きましょう。
福利厚生を志望動機に書く時は採用担当者を説得できる内容にしよう!
基本的には志望動機に福利厚生を書くのは好ましくありません。どうしても福利厚生を記載したい場合は、仕事への意欲と熱意を絡めた志望動機を書きましょう。
福利厚生を含んでいる志望動機を書いた後は、必ず採用担当者を説得できる内容かを確認することが大切です。
志望動機の内容に自信がない場合は、大学のキャリアカウンセラーや就活の経験がある先輩に確認してもらうのも一つの手段です。
今回紹介した記事を参考にして、志望している会社の書類選考に通過できるよう、しっかりと対策しましょう。