【例文あり】志望動機で「貢献したい」を伝える書き方|効果的な言い換え表現

「貢献」という言葉を志望動機に使うと、仕事への熱意や自信を伝えやすいイメージがあります。文章の締めくくりに用いる人も多いのではないでしょうか。

しかし、安易に「貴社に貢献したい」と書くのは危険です。使い方によっては具体性を欠いたり、話が大きすぎたりと、狙いどおりに意志を伝えられない恐れがあります。使い方を正しく理解した上で、想いを的確に表現できる場合にのみ使用するべきです。

ここでは「貢献」を志望動機に用いるメリットや、使用を避けるべき場面を分かりやすく説明します。言い換え表現も紹介しますので、的確な表現を探してみましょう。

効果的な構成の作り方や職種別の例文を参考に、自分の想いに当てはまる表現を用いて、採用担当者の心を動かせる志望動機を作成しましょう。

社会人に必要な2つの貢献

社会人に必要な貢献には、「社会貢献」「会社への貢献」の2つがあります。

このうち、新入社員には「会社への貢献」が求められます。会社員にとっての社会貢献は、会社に貢献することで実現するからです。両者の関係性をしっかりと理解しましょう。

どのような仕事にも必須の「社会貢献」

社会貢献はどのような仕事にも必須です。従業員一人ひとりが直接行うわけではなく、会社全体で取り組みます。

「社会貢献」という言葉からは、環境への配慮や災害時の物資・技術の提供、地域ボランティアへの参加などを想像するかもしれません。しかしより大きな視点に立てば、日々の企業活動こそが立派な社会貢献だと言えるでしょう。

会社が提供する商品やサービス、技術が社会で役立つからこそ、企業活動を継続できます。活動が途絶えれば、営利を追求できません。社会貢献は企業が生き残る大前提です。

したがって、社会貢献を行う主体は会社(法人)です。そして、会社の運営を支えるのは一人ひとりの従業員です。あなたが頑張ることで、会社は社会での役割を全うできます。環境への取り組みや公共福祉といった大きな目標を掲げなくても、仕事で日々努力することが社会貢献につながります。

給与所得者が心得ておきたい「会社への貢献」

従業員には、会社に貢献する姿勢も求められます。これは会社と従業員の関係を考えれば分かりやすいでしょう。

従業員は会社の目的達成のために、必要な力を提供します。会社はその対価として給与を払い、日々の生活を保証する義務を負います。両者は互いの需要を満たす平等な関係です。従業員が会社に貢献するのは、平等性を保つための責務です。

「貢献」という言葉には、へりくだった印象があります。しかし会社員にとっての貢献には、「会社に求められる力を提供する」以上の意味はありません。給与所得者の基本的姿勢だと認識しましょう。

新入社員に求められるのは「会社への貢献」

新入社員に求められるのは、会社への貢献です。一人ひとりが自分の役割を自覚し、必要な仕事を全うすることで、会社は社会に貢献できます。会社への貢献が、社会貢献につながるのです。

職種によっては、仕事と社会貢献を結びつけて考えづらいかもしれません。例えば事務や人事は、直接顧客のために働く職種ではありません。しかし企業活動の継続には不可欠です。事業を継続できなければ、会社は社会的役割を全うできません。

どのような職種でも社会に貢献できることを自覚し、仕事に邁進する意識が大切です。

志望動機に「貢献したい」と書いても良い?

書いて良いのは会社への貢献のみ

志望動機に書けるのは「会社への貢献」のみです。「社会への貢献」は、会社が事業の目的に据える内容です。

例えば、福祉事業に従事する場合、「障がいを持つ人が安心して暮らせる世界を実現できるよう、社会貢献したい」と書くと、志望動機としては不適切です。「障がい者が安心して暮らせる世界の実現」は、企業や業界全体のテーマだからです。

新入社員に問われるのは、「会社が掲げる目標の実現に、どのように貢献するか」です。「障がい者の身体の動きをサポートする専門家として貴社に貢献したい」「緩和ケアで貴社の事業に貢献したい」など、具体的な貢献内容を書かなければなりません。

志望動機の最後の締めにふさわしい

「貴社に貢献したい」という表現は、志望動機の最後に使うと良いでしょう。「貢献したい」と書くからには、力を発揮する具体的な内容や、成し遂げたい仕事が明確でなければなりません。書くべき内容を整理する必要があるため、論理的な構成を意識しやすくなります。

段階を踏んで論理的に記述することで、強みや熱意が伝わりやすくなります。うまく「貢献」につなげられれば、採用担当者を納得させられる文章になるでしょう。

「貢献いたします」など丁寧すぎる必要はない

「貴社に貢献したい」と書くときには、過剰に丁寧にならないよう、注意が必要です。「貢献させていただきたい」「貢献いたします」などの表記はかえって不適切です。

「貢献」には、へりくだったイメージがあります。必要以上に丁寧に書くと、打算的な印象を持たれる恐れがあります。「アピールできる強みがないから堂々とできないのでは?」と邪推されるのです。

「貢献」を用いるときは「文体は丁寧なほど良い」という考えを改めなければなりません。打算的に受け取られないか、書いた文章を確認する癖をつけましょう。

志望動機で「貴社に貢献したい」と表現するメリット

強みや自信を示しやすい

「貴社に貢献したい」と堂々と書けば、強み自信を示すことにつながります。「貢献できる根拠がある」と読み取れるからです。スキルや経験、保有する資格などへの自信を強化できるでしょう。

逆を言えば、何の強みもなく「貢献」を持ち出すべきではありません。仕事を教えてもらう立場で「会社に貢献したい」と書いても、「いったい何で貢献するつもりだろう」と疑問を持たれます。

「貢献」は、強みや自信を裏付ける語として認識しましょう。自己アピールできる内容が多い人ほど、有効に使えます。

仕事への熱意を伝えられる

仕事への熱意を伝える役割も果たします。「貴社に貢献したい」という表現からは、求められる仕事に全力を尽くす熱意が感じられます。会社で頑張る姿勢をストレートに表現できるでしょう。

志望動機の最後には、就職後の抱負決意を書くのが一般的です。しかし書き方に気をつけなければ、「うちの会社を踏み台にしてキャリアップを図るつもりでは?」「他社でも実現できる内容では?」と曲解される恐れがあります。

「貴社に貢献したい」と表せば、当該企業で頑張る以外の解釈はできません。志願者が使いやすい表現なのです。

協調性を持ち働く姿勢を示せる

「貢献したい」と伝えることで、協調性を持ち働く姿勢も示すことができます。協調性がない人は社風に馴染めず、すぐに離職する恐れがあります。協調性は企業にとって大切な要素です。

「貴社に貢献したい」という表現からは、会社の一員になる強い意志が読み取れます。協調性を持ち、会社と同じ方向を向いて頑張れると期待されるでしょう。安易に離職しにくく、内定も出しやすいのです。

社風への適合を判断される以上、記述前には企業研究が必須です。自分に合う会社だと明確に判断できれば、「貢献したい」は大きなメリットがある表現だと言えます。

「貴社に貢献したい」と志望動機に書くために準備すること

<事前準備>

①企業研究で求められる人物像を理解する

②自己分析で仕事に活かせる強みを知る

③企業のニーズと自分の強みを照らし合わせる

志望動機に「貴社に貢献したい」と書くには、貢献できる根拠がなければなりません。十分な根拠をつくるには、順を追って強調するポイントを見定める必要があります。

①②はどちらを先に行っても構いません。大切なのは③の照合です。企業が求める人物像と適合する強みを見つけなければなりません。事業推進を後押しでき、はじめて「貢献できる」と断言できます。

①企業研究で求められる人物像を理解する

「貴社に貢献したい」と書くならば、十分な企業研究を行いましょう。求められる人物像をはっきりさせるためです。

企業研究で軸に据えるのは「会社の現状」「事業計画」「社風」の3つです。

会社の現状から必須の力を理解する

まずは会社の現状を把握します。主軸の事業だけでなく、現在行っている全ての事業を確認しましょう。会社パンフレットやホームページが情報源として期待できます。

可能であれば、業績も調べると良いでしょう。ホームページ上で決算書類を閲覧できる場合があります。損益計算書を見れば、前年度の収益や利益が読み取れます。同じ規模の競合他社と比較するのも良い方法です。

事業の遂行に必要な力が、新入社員に求められる能力です。特に業績が芳しくない場合、改善に向けた高い能力を要求されるでしょう。

企業の展望から今後の事業計画を知る

今後の事業計画も大切です。これから注力する事業に適した人材を育てようと考える会社も多いからです。将来活躍できる可能性が重要視されます。

事業計画は、ホームページや業界誌のインタビュー記事などで把握できます。特に業界誌では、執行部の展望を読めるかもしれません。

情報が一切得られない場合は、業界全体の流れを把握しましょう。明確な方向性があるなら、当該企業も多かれ少なかれ影響を受けるはずです。

社風を把握する

社風も確認しましょう。仕事に適応できても、会社の雰囲気に馴染めなければ勤務を継続できません。同じ事業を手がけていても、会社によって社風は異なります。

情報源は主にホームページです。特に代表者の言葉は雰囲気を掴みやすいでしょう。会社全体で思想を共有し、それが社風を形成するケースが多いからです。

就職情報サイトや求人サイトの口コミも強力な情報源です。社員や離職者からの生の声が聞けるかもしれません。

②自己分析で志望する会社に貢献できる強みを知る

自己分析も慎重に行いましょう。自身の強みを知らなければ、会社に貢献する未来像を描けません。

仕事に直接つながる研究内容や資格があれば、それが企業にアピールできる強みです。特筆すべきことがない場合は、これまでの人生を振り返ってください。主体的に人生を歩み始めた中学生頃から現在までを顧みて、印象的だった出来事を列挙します。簡単な自分史をつくるイメージです。

どんな物事に感銘を受けたか、どのように向き合ってきたかが認識できるでしょう。特に困難への向き合い方には、価値観性格が強く現れます。自分を正確に捉えやすくなるでしょう。

人生を振り返ることで、自分の性格や得意分野、長所を見出だせます。仕事に必要なのは、スキルや資格だけではありません。「論理的な思考力」や「課題解決能力」「協調性」なども必須です。発見した固有の能力こそ、あなたが誇るべき強みです。

③企業のニーズと自身の強みを照らし合わせる

企業研究自己分析ができたら、企業のニーズとあなたの強みを照らし合わせましょう。ぴったり重なる部分があれば、当該企業の大きな戦力になれます。会社に貢献できることを堂々と伝えましょう。

完全に適合できなくても、歩み寄る努力が可能なら強みに据えて問題ありません。就職を見据え、スキル習得や資格取得、価値観の構築を行えば良いのです。日々努力を重ねていれば、必ず会社に貢献できる人材になれます。努力を積む経験は、就職後の業務でも活きるでしょう。

志望動機で「貢献」という言葉を使わない方が良い場合

具体性を欠いた内容や、目標が大きすぎる場合は、「貢献したい」と伝えることで、逆にマイナスな印象を与えてしまうかもしれません。

「貢献したい」という言い回しが適切かどうか、判断していきましょう。

内容に具体性がない

ありがちなのが、貢献する内容が具体化されないケースです。「貢献」は便利な言葉です。「貴社に貢献したい」と書けば、あらゆる内容が想定できます。

業務の即戦力になるのも、新たなアイデアで事業を立ち上げるのも全て貢献と言えます。だからこそ、捉えどころのない内容になりかねません。

企業が求めるのは具体性です。どのような力を持ち、会社のために何ができるかを明確にしなければ、内定はもらえないでしょう。曖昧な志望動機では、採用のメリットを見出だせないのです。

内容を具体化できない場合は、「貴社に貢献したい」と使わず、適切な締めを模索しましょう。

仕事で実現できる枠を超えて大げさになる

「貢献」という言葉を大げさに捉え、社会貢献まで含めた目標を掲げる人もいます。立派な志望動機に見えても、大きすぎる目標は不適切です。

大きな目標は、個人では成し遂げられません。一人ひとりの頑張りをもとに、会社全体で達成することです。新入社員に求められるのは、「会社で何ができるか」です。会社で頑張る内容を具体化できない限り、志望動機として評価されません。

目標を見直すには、掲げた大きな夢を最終目標に据えるとよいでしょう。そのためにどうキャリアを積むか考えます。キャリアパスをもとに会社で頑張る内容を考えれば、具体的な行動が明確になるでしょう。

意外と多い!志望動機で使える「貢献したい」の言い換え表現

「貴社に貢献したい」を言い換える例

  • 貴社の力になりたい
  • 貴社業務に尽力したい
  • 貴社の利益に寄与したい
  • 貴社のお役に立ちたい
  • 貴社の戦力になりたい
  • 貴社のご期待に沿いたい など

内容が具体的でも「貢献」がしっくりこない場合もあります。「貢献」のへりくだったイメージが、文脈にそぐわない場合などです。他の表現に置き換えることで、納得のいく文章を書けるでしょう。

上記のような表現を使うと、「貢献」を置き換えて同じ内容を表現できます。ただし、「お役に立ちたい」「ご期待に沿いたい」は、へりくだったイメージに変わりありません。根本的に表現を変えた方が良い場合もあります。

「貴社で頑張ります」を言い換える例

  • 〜を通して結果を残したい
  • 〜で成功を収めたい
  • 貴社の業績を上げる一助になりたい
  • 〜で功績を挙げたい
  • 〜に邁進したい
  • 〜に真摯に取り組みたい など

上記のように意欲を伝える場合は、「頑張ります」という言葉を使わず、具体的にやりたいことを結びつけて締めるのが相応しいです。

「貢献」の持つイメージを避けつつ、会社で頑張る意欲を端的に伝えることができます。「貢献」を持ち出すよりも自然な文章をつくれるので、おすすめです。あなたの気持ちをストレートに伝えられる、最適な表現を探してみましょう。

志望動機で貢献する内容を分かりやすく伝える構成

「貢献する意欲」を伝える構成
  1. 仕事での明確なビジョンを示す
  2. 夢を持つきっかけやエピソードを挙げる
  3. 当該企業に的を絞った理由を説明する
  4. 会社に貢献する意志を伝える

「貴社に貢献したい」とまとめる場合、会社に貢献できることを明確に示さなければなりません。

上記の流れを意識することで、説得力のある文章を組み立てられます。

①仕事での明確なビジョンを示す

まずは仕事での明確なビジョンを示します。あなたが成し遂げたいこと、辿り着きたい夢を端的に書きましょう。

可能であれば、企業が主たる事業に掲げる内容、今後大きく事業展開する内容を選ぶと良いでしょう。企業と同じ方向を向いていれば、「貢献」につなげやすくなります。

注意したいのは、当該企業で実現可能な内容を書くことです。競合他社で実現できても、当該企業が事業化しているとは限りません。企業研究を念入りに行いましょう。

②夢を持つきっかけやエピソードを挙げる

夢を持つきっかけエピソードを挙げます。ここで説得力のある内容を書ければ、仕事にかける熱意や、まっすぐな気持ちが伝わりやすくなります。

学問や研究、アルバイト、ボランティア活動など、内容は問いません。経験をもとに構成できれば、強い想いを示しやすいでしょう。

ただし嘘や捏造はご法度です。ESは面接にも使われることを前提に、何を聞かれても答えられるよう留意しましょう。

③当該企業に的を絞った理由を説明する

①で掲げたビジョンを達成するために、当該企業が最適であることを示します。優位性を強調すると書きやすいでしょう。そのためには事前の企業研究が必須です。

企業研究で優位性を把握しづらい場合、社風企業風土に焦点を当てましょう。ホームページで公開しているブログ記事や、X(Twitter)の呟きは、雰囲気や思想が現れやすく、社風の把握に最適です。SNSを通じてブランディングしているケースもあります。優位性を探すヒントが得られるでしょう。

④最後の締めで「貴社に貢献したい」意志を伝える

就職後の業務遂行への意志決意を具体的に示します。その際「貴社に貢献したい」と表現すると、熱意が伝わりやすくなります。

大切なのは、具体的な業務内容に言及することです。「〇〇部(部署や課)に所属し、〜の仕事に取り組みたい」「〜の業務で成功を収め、プロジェクトを成功させたい」など、会社で達成したい目標を詳細に表明してください。具体的であればあるほど、企業からの評価は高くなります。

ここでも企業研究が必須です。会社の中身を隅々まで知らなければ、具体的な目標を掲げられません。具体性のない志望動機にならないよう、注意してください。

志望動機で貢献したい気持ちを強く示した例文7選

営業職

例文

〇〇産椎茸の魅力を広めたいと思い、貴社営業部を志望しました。〇〇市で育った私にとって、椎茸は肉厚でジューシーなものが普通でした。しかし東京に出て安価で売られる椎茸を食べ、認識を改めました。椎茸は〇〇市が世界に誇る逸品です。

現在、〇〇産椎茸は首都圏でほとんど知られていません。貴社は〇〇産椎茸の生産業者でありながら、流通網を拡充する努力を続けています。日本各地での販売に向け、展示会や商談会に出席されていることを知り、私も一員になりたいと強く思うようになりました。

貴社に入社できたら、首都圏での販路開拓に努めたいです。安価な椎茸にはない魅力を訴求できるよう、先輩方から営業手法を貪欲に学びます。サークルの代表を務めた経験により、人との関係構築には自信があります。新規お取引先と良好な関係をつくり上げ、販路開拓で貴社に貢献したいです。(400字以内)

「貴社に貢献」を締めの言葉として使った例文です。貢献する内容が具体的で、やりたいことを明確に示しています。

主張の根拠に「人間関係構築への自信」を挙げており、「貢献」を持ち出しても不自然さがありません。何より、地元産椎茸への愛着が文章全体から滲み出て、就職への並々ならぬ想いを感じさせます。採用担当者も心を動かされるでしょう。

事務職(法務事務)

例文

大学で学んだ法律の知識を活かし、法務事務に携わりたいと考え貴社を志望しました。私は課外活動でNPO法人に参加し、立ち上げを補助しました。苦労したのが定款の作成です。

企業活動に対応するには広範な知識が必要だと実感しました。一方で法律の知識を実務に活かす魅力を知り、法務事務に携わりたいと思うようになりました。

不動産業界は法律に関連した書類を作る機会が多く、身につけた知識を実務で活かしやすい環境です。特に貴社は法務のスペシャリストが多数在籍し、書類作成や登記の情報をブログで分かりやすく公開しています。社員のキャリアパス形成にも力を入れており、貴社でなら法務事務で大成できると考えました。

入社後は不動産業界の商慣習を全力で学びます。その上で法務の経験を広げていきたいです。先日宅建を取得し、就職準備を着々と進めています。知識を実用的な力に変え、貴社に貢献できるよう努めます。(400字以内)

「貢献できるよう努める」という表現を使った例文です。新卒では、知識を仕事で活用する自信を持てない人も多いでしょう。「貴社に貢献する」と言い切らず、努力する姿勢を前面に出すのは賢い書き方です。

努力することを強調する場合も、目標を明確にする必要があります。「努力します」という表現も、あらゆる物事に適応できます。努力する内容がはっきりと伝わらなければ、評価に結びつかないため注意が必要です。

販売職

例文

シニアのお客様に似合う服を提案するショップ販売員になりたいと考え、貴社を志望しました。年老いた母と服を買いに行くと、服選びの難しさを実感します。身体は老いても心は若く、しっくりくる服が少ないからです。困ったときに適切なアドバイスを得られる店の必要性を強く感じ、私自身が店員になり、喜んで欲しいと考えるようになりました。

貴社はシニアブランドの老舗で、50代から80代まで幅広い年齢層をターゲットにしています。色合いが明るく、シニア服のイメージを覆したのも魅力です。貴社でならシニアのお客様に本当に似合う服を提案しやすいと考えました。

入社後は服についての知識を広く身につけ、〇〇のブランドで活躍したいです。長年のアルバイトで、接客技術には自信があります。お客様にとって気軽に話せる販売員になり、売上とブランドイメージの向上に貢献したいです。(400字以内)

この文章の強さはきっかけ部分です。実体験から業界の課題を見つけ出し、自ら解決に向け歩み出す決意をしています。課題解決には幅広い年齢層に対応する当該企業が最適で、選択に迷いがありません。迷いのないまっすぐな気持ちは、採用担当者にもはっきり伝わるでしょう。強い意志を持ち仕事にあたると予測でき、会社も安心して迎えられます。

この志望動機であれば、「貢献したい」という表現に違和感はありません。顧客のために一生懸命になり、会社で活躍する未来を想像できます。「会社に貢献するに違いない」と思わせる、強い志望動機です。

技術職

例文

学校や保育施設で使う顔認証技術の開発に携わるため、貴社を志望しました。顔認証システムは多くの企業で導入され始めたものの、教育現場では十分な活用が進んでいません。安全性の観点から、教育現場でこそ導入が必須だと考えます。導入には膨大な個人情報の管理システムも同時に構築し、誰もが安心して利用できる工夫が必要です。貴社は児童の登下校見守りサービスや、塾での入退室管理システムなど、先進的な技術を多数開発しています。学校での導入に向け技術開発を続けていることを知り、私もプロジェクトに参加したいと考えました。

私は大学で顔をデジタル化する人工知能技術を研究してきました。入社が叶った暁には、貴社開発部門に所属し、研究成果を実際の技術に反映させたいです。全国の学校に貴社の技術を導入できるよう、プロジェクトの一員として貢献します。(400字以内)

技術職を目指す人が「貴社に貢献したい」と書く場合、それ相応のスキルを持っていなければ説得力がありません。スキルは経験によって培われるため、新卒では限界があります。

この文章のように大学で該当分野の研究をした人や、独自に技術を積み重ねた人なら、不自然さはありません。一直線に夢を目指す強い志が伝わるでしょう。

スキルが足りない場合は、「邁進したい」「真摯に取り組みたい」など、他の表現を選んだ方が自然に仕上がります。状況を見極め、適切な表現を心がけましょう。

介護職

例文

高齢者の介護に携わり、在宅介護の負担を少しでも減らしたいと思い貴社を志望しました。私は幼い頃から母が祖母の介護をする様子を見てきました。祖母は認知症で、体力的にも精神的にもつらい介護だったと思います。正社員で働き続けるのは難しく、アルバイトをしながら自力介護を続けていました。私も介護の資格を取得し、少しでも力になりたいと思うようになりました。

貴社は〇〇町で唯一、認知症向けのデイサービスを実施しています。認知症介護は大変だからこそ、意義のある仕事になると考えます。

介護職を目指すようになってから、認知症介護士と認知症ライフパートナー2級の資格を取得しました。入社後は学んだ知識を現場で活かせるよう、先輩方を見習い、いち早く活躍できる人材を目指します。認知症介護のエキスパートを目標に据え、貴社に貢献したいです。(400字以内)

介護は体力的にも精神的にも大変な仕事です。就職後すぐの離職を防ぐためにも、どれだけ使命感を持ち志望しているかが問われます。

この文章では、身内の介護を間近で見たことが使命感につながりました。大変な認知症介護に敢えて取り組む理由が明白で、熱意を持ち志望していると分かります。在学中から資格取得の努力を続けていることも、高評価のポイントです。

介護は「社会貢献」につなげやすい分野です。最後のまとめに持ってくるのは、あくまでも会社への貢献です。社会貢献を軸に考えないよう、注意してください。

企画開発職

例文

季節に応じた男性向けスキンケア商品を企画するため、貴社を志望しました。男性向け商品は、「しっとり」「さっぱり」など大まかな区分で市販されていることがほとんどです。肌のコンディションは気温や湿度で変化します。現在の区分だけでは適切な商品を選べません。季節ごとに細分化した商品を提案することで、ニーズを喚起できると考えます。

貴社は年齢別の男性用化粧品を市販した実績があります。特にシニア向け商品は画期的で、私の祖父も愛用しています。貴社の企画力は卓越しており、私も貴社で夢を叶えたいと思うようになりました。

私はこれまでさまざまな化粧品を試した、いわゆる「美容男子」です。日々化粧品を使う中で、さまざまなアイデアが生まれます。入社後はマーケティング技術を身につけた上で、柔軟な企画を出していきたいです。季節に応じたスキンケア商品を筆頭に、革新的な商品で貴社の躍進に貢献します。(400字以内)

やりたいことを明確に示した例文です。男性向けスキンケア商品に焦点を当てた上で、「季節ごとに細分化した商品をつくりたい」と目標を具体化しています。

業界全体の課題を見つけ出し、解決に必要な商品を提案する姿勢は、まさに企画開発職を目指す人ならではです。

ただし、この志望動機を好意的に受け取るかどうかは、企業の姿勢次第です。将来の事業計画と、志願者の夢がぴったり一致することは現実的ではありません。

「男性向けスキンケア商品の裾野を広げたい」「男性向け化粧品の拡充のために、さまざまなアイデアを募りたい」など、現状を打破する気持ちが強ければ、志願者の発想も好意的に受け取られるでしょう。そうでない場合、「見当外れの夢を語っている」と思われかねません。企業研究をしっかりと行い、事業計画や社風、企業風土を確認しましょう。

掲げた目標が受け入れられるなら、「貴社の躍進に貢献します」とまとめるのは良い判断です。事業に邁進する覚悟を感じてもらえるでしょう。

クリエイティブ職

例文

心に残るコピーで、商品の魅力が強く伝わる広告を制作するために貴社を志望しました。近年は紙媒体だけでなく、動画広告でも興味を惹くコピーライティングが求められます。そのせいか、一瞬で視聴者に訴求するキャッチーなコピーが多いように感じられます。私は商品とじっくり向き合い、長く心に残るコピーを制作したいです。

貴社が手がけた広告は、商品特性を的確に表しており、コピーが心に残り続けます。特に「各駅停車の旅」のポスターは、美しい写真と詩情豊かなコピーで大好きな作品です。貴社でなら、私の目指す作品を制作できると考えました。

大学では広告研究会に属し、さまざまな広告を研究しています。広告の多様性は理解しているつもりです。入社後は取材のノウハウをしっかりと学びながら、どんな商品でも的確に魅力を表現できるよう努力します。心に残る作品を生み出すコピーライターとして、貴社に貢献したいです。(400字以内)

クリエイターが注意したいのは、企業の方向性とのズレです。広告代理店は営利企業です。作品制作を極める姿勢で就職すると失敗します。企業の方向性を正しく見定めなければなりません。

それには当該企業の制作物を見るのが一番です。この文章のように、制作物に憧れて就職するのなら、企業とのズレは生まれないでしょう。

この文章では、企業と同じ方向を向き制作を行う姿勢を明確に示しています。広告研究会で鍛えた目が自信の根拠となり、「貢献」を持ち出す不自然さがありません。取材のノウハウを学ぶ姿勢も、高評価のポイントになるでしょう。

就活を通し「貢献」の意味を深く考えよう

「貢献」は奥深い言葉です。安易に使用すると、主張が具体化されなかったり、目標が大げさすぎたりと、かえって悪い印象を与える恐れがあります。へりくだったイメージもあり、使い方次第で卑屈に感じられることもあるでしょう。

構成をよく考え、適切に使わなければなりません。うまく使いこなせない場合は、代わりの言葉を用いた方が良い文章になるかもしれません。

今後、面接でも「貢献」を持ち出す場面があるでしょう。就職後も頻繁に使われるかもしれません。しかし言葉の深さを考えると、安易な使用はおすすめできません。

社会人の発言には責任が伴います。「貢献できる明確な根拠」を持たずに発言すると、責任を取りきれなくなります。

志望動機の作成を機に、「貢献」という言葉を一度深く考えてみましょう。あなたの就職活動、そして来るべき社会人生活の糧になるはずです。

【例文9選】自己PRで「協調性」をアピールする方法|言い換えで差別化しよう!

ESの自己PRで「協調性」を強みとしてアピールする就活生にとって、「上手くアピールできるエピソードが思いつかない」「そもそも協調性はアピールできるスキルなのだろうか」などの悩みは付き物です。

「協調性」は多くの企業が重視するスキルであるため、就職活動において非常に有効な強みです。しかし、上手くアピールするためには、企業が求める特性を理解することがポイントとなります。

本記事では、協調性をより効果的にアピールするためのポイントやコツを解説します。さらに、大学での経験別や希望職種に応じた例文も合わせて紹介しますので、参考にしてみてください。

就活の自己PRで協調性をアピールしても良い?

結論から述べると、就活の自己PRで協調性があることをアピールすることは問題ありません。社会では、これまでの学生生活よりもさらに価値観が異なる人々と出会う機会があります。

どのような業界においても、自己中心的に物事を進めていては仕事を効率的に進めることは難しいです。そのため、アピールすることでチームに貢献できる人材だと高く評価されます。

業務を円滑に進められると評価される

協調性を持つ人材は、職場でスムーズな業務遂行が期待される存在です。周囲のメンバーと良好な関係を保つことができ、意見の衝突を回避しながら必要な場面ではサポート役になれる人材であり、全体の生産性を高められると評価されます。

特に、プロジェクトが複数部門にまたがる場合や、協力して成果を出すことが求められる現場で重視されます。万が一、意見の対立が生じても柔軟に対応できるため、結果として安定したパフォーマンスを発揮できる人材だと期待されるでしょう。

コミュニケーション能力が高いと期待される

自己PRの強みとすることで、状況に応じて柔軟にコミュニケーションが取れる人と捉えてもらいやすいです。実際、協調性とは相手の状況や意図を冷静に汲み取り、臨機応変に対話できる人のことを指します。

そのため、あなたの強みが伝わることで、採用担当者に「対話力があり、柔軟に対応できる人」といった印象を与えられるでしょう。

大きな成果をもたらす人材だと思われる

協調性があることをアピールすることで、企業から「大きな成果を生み出す人材」としての期待が寄せられます。協調性がある人は、周囲の人と話し合いながらチーム全体の力を引き出し、結果的に大きな成果へと導くことができるためです。

たとえ困難なプロジェクトであったとしても、他のメンバーと密に連携し、効率的なサポートを行うことで、目標達成に向けた実行力を発揮できます。このように、組織全体の成果にできる人材は、企業から「チームにとって欠かせない存在」として大きな評価を得られます。

企業が求める「協調性がある人」とは

企業は、チームの成果を最大化するために積極的に取り組み、周囲の意見を尊重しつつ柔軟に行動できる人を求めています。企業がどのような「協調性」を求めているのかを理解することで、自己PRをどのように書くべきかが見えてきます。

周囲の意見を聞きながら力を発揮できる人

企業は周囲の意見をよく聞きながら、自分の力を発揮できる人材を求めています。多くの職場では、チーム単位で仕事を進めることが多いですが、ときには意見が合わないという事態も起こります。

そこにしっかりと周りの意見を聞く人がいれば、さまざまな考えやアイデアを融合でき、結果として、より優れた成果をもたらすことができます。自分だけでなく、全体を見渡しながら貢献できる人は、チームメンバーとして重要な存在だと評価されるでしょう。

異なる意見も取り入れて解決策を提示できる人

一般社会では、メンバーの意見がバラバラなときでも柔軟に対応し、それぞれの意見を協議して解決策を考えられる人を高く評価します。つまり、多くの企業は、ただ意見を受け入れるだけでなく、チームの意見をまとめ、全員が納得のいく方法を見つけられる人を求めているのです。

これまでの学生生活で、メンバー同士の意見がぶつかる場面で、冷静に話をまとめてトラブルを乗り越えたというような経験があれば、十分に企業が求める協調性の条件を満たしていると言えます。

チーム内での役割を把握して行動できる人

企業が評価する協調性がある人とは、自分の役割をきちんと把握したうえで行動に移せるです。例えば、状況に応じてリーダー役になったり、サポート役に回ったりできる柔軟性のある人は、企業にとって有益な存在です。

リーダーとしての強みや、サポート役としての重要性をしっかり考えつつ、チーム全体のために自主的に行動を起こせる人は、現場で大きな信頼を獲得できます。

協調性をアピールする自己PR文のポイント

キャッチコピーをつけてインパクトを与える

最初にインパクトのあるキャッチコピーをつけることで、採用担当者の印象に残りやすくなります。例えば、「仲間を繋ぐパイプ」や「成果を生む架け橋」といった具体的なキャッチコピーから書き始めましょう。

キャッチコピーをつけることで、強みがどのような場面で発揮されるものなのか、より効果的に伝わります。最初の文で印象を強めることが、選考を勝ち進めるためのポイントです。

協調性を発揮した具体的なエピソードを交える

協調性があることをアピールするためには、実際にそのスキルが発揮されたエピソードを盛り込むことが大切です。例えば、サークルやゼミといった大学の中だけでなく、アルバイト先などで周囲と協力して困難を乗り越えた経験、成果を挙げた経験なども自己PRとして有効です。

エピソードがあることで、自己PR文としてより説得力が増します。自己PR文を作成する前に、これまで協調性を発揮できたエピソードをいくつか思い出してみましょう。

企業が求める「協調性」をアピールする

「協調性がある」ということは、自己PRとして有効なスキルではありますが、企業によって求めている「協調性」の特徴が異なる場合があります。

例えば、IT企業では、プロジェクトの進行が早く、フレキシブルな対応が求められます。一方、サービス業では、顧客との接点が多いため、スタッフ間で支え合うことが大切です。

それぞれの業界で求められる協調性の特徴は、業務の内容や性質、求められる成果などに応じて異なります。自身の強みをより効果的に伝えるために、業界や企業研究が必須です。あなたの強みがその企業で活かせるものであることを、強くアピールしましょう。

「協調性」を別の言葉に言い換える

「協調性」という言葉をそのまま使うのではなく、「チームワーク力」「柔軟性」「素直」など、連想できる他の言葉に変換すると、自己PR文がより印象的になります。

また、「他者の意見を尊重しながら目標達成に貢献できる力」や「異なる考えをまとめて実行に移す力」など、具体的な行動や成果を表す言葉を使うのも効果的です。このように、言葉を工夫することで、あなたの強みがよりリアルに伝わりやすくなるでしょう。

自己PRの「協調性」を言い換えて差別化しよう!

「協調性があります」という自己PR文は、他の就活生と被ってしまう可能性があります。そのため、「協調性」を別の言葉に言い換えてアピールすることが大事なポイントです。

協調性の表現パターンを理解しておくことで、あなたの人間性や個性がよりダイレクトに伝わります。自分の経験を振り返ってみて、下記のスキルを発揮したエピソードを盛り込んでみましょう。

チームワーク力

メンバーが共通の目標に向かって進むために必要不可欠なスキルです。企業によっては、社内だけでなく外部の人たちと連携しながら、業務を進めていく場合もあります。そのため、チームワーク力が高い人材を求める企業は多いです。

大学生活の中でも、部活やサークル活動などチームワーク力が求められる場面は多々あります。チームワーク力がある人材がいると、各メンバーが自分の強みを活かせる環境が整います。

ただし、協調性があることをチームワーク力が高いと言い換えることは、よくあるパターンでもあります。そのため、具体的なエピソードを交え、オリジナリティを意識した自己PR文を作成しましょう。

ヒアリング力

意見やアイデアを効果的に交換し、相手の考えを理解するための重要なスキルです。特に、「相手が今、何を求めているのか」ということを考える力が必要な営業職やコンサルティング職などは、非常に重視されるでしょう。

また、ヒアリング力が高い人材がいると、チーム内のコミュニケーションが円滑に進みます。職場の仲間たちが積極的に意見を交わしやすくなり、よりクリエイティブな解決策を見出すことができます。

柔軟性

あらゆる変化に対応し、異なる意見や状況を受け入れられるスキルです。自身の意見やルールに固執しすぎず、その場の状況に応じて適切に判断し、行動できるスキルであるため協調性があると捉えられるでしょう。

このスキルを持つ人材を採用することで、チームは新たな挑戦や予期せぬ問題に対しても冷静に対処できます。そのため、柔軟性がある人は、新しい状況や変化に迅速に対応できると期待され、企業にとって魅力的に映ります。

場をまとめる力

職場内での議論や意見交換をスムーズに進めるために必要とされるスキルです。就職すると、会議やディスカッションに参加する場面は多くあります。

そういった場面に、場をまとめることが上手な人がいると、チームは必要なタイミングで適切な対応ができ、無駄な対立を避けられます。場の雰囲気やメンバーの状態・状況を読むことが得意な人は、場をまとめる力を積極的にアピールしていきましょう。

人間関係構築力

人間関係構築力は、信頼関係を築くための基盤となります。このスキルがあることで、メンバー同士の絆が深まり、協力しやすい環境を作ることができます。

強固な人間関係は、チームのモチベーションを高め、より良い成果を生み出す原動力となります。また、人間関係を築くことが得意ということは、入社してすぐに場に馴染むことができるでしょう。

洞察力・観察力

周囲の状況や人々の気持ちを敏感に感じ取る能力です。洞察力や観察力が高い人は、メンバーの潜在的なニーズや課題を早期に発見し、適切なサポートができます。

また、広い視点から新たな発想を生み出したり、変化に対応することも可能です。人間関係においては、本質的な意図に気づくことができるため、良好な関係を築いていけます。

これらは、ビジネスシーンにおいて重要なスキルとなるため、日頃から「周りをよく見ているね」「気が効くね」と言われる人は、洞察力や観察力の高さをアピールしていきましょう。

素直

素直さは、他者の意見やフィードバックを受け入れる姿勢を指します。新入社員として働き始めると、学生の頃とは勝手が違う場面も多く、わからないことがたくさん出てきます。そこで素直に、「ここがわからないので、教えてください」と質問できることは、非常に大切です。

素直に学ぶ姿勢は、他者からのサポートを得やすく、協力的な環境を生み出すことに繋がります。協調性をどのように言い換えればいいのかわからないという場合は、自分の素直さを見つめ直してみましょう。

協調性を効果的にアピールする自己PR文の基本構成

協調性をアピールする自己PRの構成
  1. 冒頭で「強み」を端的に伝える

  2. 強みの根拠となるエピソードを加える

  3. そこから得た成果や学びを書く

  4. 入社後にどのように強みを活かすのを伝える

強みを端的に伝える

まず、あなたの強みである「協調性」をシンプルかつ端的に伝えましょう。自己PRを作成する際は、冒頭に強みを書くことがポイントです。

そうすることで、あなたがどのようなスキルや特性を持っているのかを明確にアピールできます。文章の途中に一番伝えたいことが入っていると、読みづらい内容になってしまうため、文章の流れを意識して作成しましょう。

根拠となるエピソードを加える

次に、協調性を発揮した具体的なエピソードを書きましょう。例えば、ゼミの活動で意見が対立した際に、仲介役となり、全員の意見を尊重して解決策に導いた経験などがあれば、その流れをよく説明すると良いです。

具体的なエピソードがあることで、協調性があるということが、単なる自己評価でないことを証明できます。

成果や学んだことを伝える

エピソードに続いて、その経験から得られた成果や学びを伝えます。チーム全体で目標を達成したり、プロジェクトがスムーズに進んだりした結果を挙げると効果的です。

協調性を発揮した結果、自分がどのように成長できたのかを含めて説明することで、より魅力的な自己PR文になります。

入社後に強みをどう活かすのかを伝える

最後に、入社後に協調性をどのように活かしていくのかをアピールしていきましょう。コツとしては、企業側に採用するメリットを強く感じさせることが大切です。

企業は、「この人はどのような活躍ができるだろうか」と考えています。企業に入ってからの協調性の活かし方を書き出してみましょう。

【経験別】協調性をアピールする自己PR例文

①アルバイト

例文

私の強みは、みんなの力を集めて目標達成に導く、チームワーク力の高さです。私は大学時代に飲食店でアルバイトをしていました。しかし、働き始めた頃は、忙しい時間帯にスタッフが少なく、業務が滞りがちでした。
その際、私は積極的に周囲に声をかけ、効率的に業務を分担することを提案しました。具体的には、厨房とホールの連携を強化するために、注文の流れを整理し、スタッフ間での情報共有を徹底しました。
その結果、業務がスムーズに進み、顧客満足度向上も達成できました。この経験から、仲間と協力し合うことの大切さを学びました。私はこのように、チームワーク力を活かしてどのような環境でも円滑なコミュニケーションを図り、成果を上げる自信があります。貴社でも、チームの一員として励み、さらなる成果達成へと貢献していきたいと考えています。

大学時代にアルバイトをしていた人も多いでしょう。アルバイトでは協調性を発揮できる場面が多々あります。

そのため、「チームワーク力の高さ」というように、別の言い方に変えることで差別化ができます。具体的にスキルを発揮した場面を簡潔に伝え、独自性のある自己PR文にすることがポイントです。

②部活

例文

私は、他者を説得して連携を図る力を持っています。大学時代、サッカー部に所属し、チームの一員として多様なメンバーと共に目標を追い求めました。特に、全国大会を目指す際、練習時間が限られている中で、メンバー間の役割分担を明確にすることが重要でした。
そこで私は、各自の得意なポジションやプレースタイルを把握し、個々の強みを活かした練習メニューを提案しました。この取り組みにより、メンバーのモチベーションが向上し、チーム全体のパフォーマンスも飛躍的に向上しました。実際、私たちは大会で好成績を収め、チームの結束力が一層強まりました。
この経験を通じて、他者とのコミュニケーションを大切にし、意見を尊重し合うことで、より良い結果を生み出せることを実感しました。貴社においても、連携力を活かしてどのような環境でも、目標達成に向けて尽力していきます。

この例文では、協調性を連携力と言い換えて伝えています。部活動のチームで効果的に協力して物事を進めていった経験は、社会に出たときにも役立ちます。経験を通じて何を学んだのか、今後の活かし方とあわせてしっかりと述べることが大切です。

③ゼミ

例文

私の強みは、柔軟性があることです。大学のゼミでの研究プロジェクトを通じて、このスキルを発揮しました。私たちのゼミは、さまざまな専門分野の学生が集まっており、各自の意見やアプローチが異なるため、時には意見が対立することもありました。
その際、私は柔軟に対応することを心掛けました。具体的には、メンバーの意見を尊重しながら、問題解決のために新しい視点を提案し、他のメンバーと協力してアイデアを融合させました。また、研究の進行中に新しい情報やデータが入った場合にも、計画を見直し、即座に対応することで、最良の結果を追求しました。
このように、柔軟な思考を持つことで、私たちは最終的に質の高い発表を行うことができ、ゼミ内で高い評価を得ました。この経験を通じて、変化に適応しながらも前向きに取り組む姿勢の重要性を学びました。貴社でも、柔軟性を活かして変化に対応し、チームに欠かせないメンバーになりたいと考えています。

固定概念にとらわれず、適切に判断できるスキルであるため、柔軟性があることも協調性があるという特性に繋がります。

ゼミでは様々な人が集まるため、柔軟な対応を求められることもあります。小さなエピソードでもいいので、柔軟性を発揮して結果を出せた出来事を書き出してみましょう。

④ボランティア

例文

私は、物事の状況や変化を敏感に感じ取ることが得意です。大学時代、地域の清掃活動や福祉施設でのボランティアに参加する中で、この力を発揮しました。特に、清掃活動では多様な年齢層のボランティアが集まり、それぞれの意見やニーズが異なるため、スムーズに進行しない場面が多々ありました。
そこで私は、まず参加者の意見や感情を敏感に察知することに努めました。具体的には、作業を始める前にメンバーと話し合い、各自の得意な作業や希望を聞くことで、皆が快適に参加できる環境を整えました。このアプローチにより、メンバー同士のコミュニケーションが活発になり、協力して作業を進めることができました。
この経験を通じて、周囲の状況やメンバーの気持ちを理解し、適切に対応することの重要性を学びました。貴社でも、この洞察力を活かして顧客のニーズに正確に応えていきたいと考えています。

ボランティア活動は、あらゆる人と関わりながら、普段とは違った経験ができます。協調性がないと経験できない活動の一つであるため、エピソードとして書きやすいことも特徴です。

他の就活生とできるだけ差をつけるために、その経験を活かして入社後にどのように貢献したいのかを具体的に表現しましょう。

⑤サークル

例文

私の強みは、場をまとめる力があることです。大学のサークル活動では、イベント企画を担当し、メンバーとの連携を深めることで成功に導きました。特に、昨年の文化祭では地域企業とのコラボレーションを初めて実現しました。
このプロジェクトを進めるにあたって、メンバー全員の意見を尊重するために、定期的にミーティングを開催しました。役割分担を明確にし、お互いの得意分野を活かすことでスムーズな進行が可能になりました。意見が対立した際には、冷静に話し合いの場を設け、全員が納得できる解決策を見つけることに注力しました。その結果、文化祭は大成功を収め、多くの来場者に楽しんでもらえました。この経験を通じて、周囲の意見を尊重しながら組織を束ねていく難しさと重要性を学びました。今後もこの力を活かし、新しい環境でも円滑なコミュニケーションを心掛け、チームの目標達成に貢献していきたいと考えています。

協調性があるという強みは、場をまとめることが得意と言い換えることも可能です。サークル活動で何か企画をしたことがある、リーダー的な役回りを担当したことがあるという経験は、自己PRとして書きやすいエピソードです。

読み手がイメージしやすいように、どのようにメンバーをまとめて、成果を出せたのかを簡潔に記載しましょう。

【職種別】協調性をアピールする自己PR例文

①営業

例文

さまざまな意見や価値観を受け入れ、チームの和を保つことが私の強みです。私は学生時代野球部のキャプテンをしており、部活内の問題解決に尽力しました。メンバー同士が対立した際は、お互いの意見を取り入れるために、1対1で話す機会を設けて本音を聞き出しました。話を聞くとお互いが誤解している点があったので、真実を伝える役割を担い関係修復に努めました。
メンバー内の関係が良好になると、試合でも声かけを積極的にするようになり部員同士の意図をすり合わせることができました。その結果、試合に勝つことが増え、県大会への出場を果たしました。この経験から、チームの和をよくすることで、成果にもつながることを学びました。貴社の営業でもお客様の意見を積極的に取り入れ、取引先と良好な関係を保てる社員を目指したいです。

営業職はお客様の意見を聞き取り、ベストな提案をしていくスキルが求められます。そのため、さまざまな意見や価値観を受け入れて、良好な関係性を築いていける人材は非常に魅力的です。入社後にどのような社員になりたいか、目標やビジョンを伝えることでより好印象な内容になります。

②事務

例文

私の強みは相手に気遣いができ、思いやりのある対応ができるところです。大学時代に同じ講義を取っている友人が右手にけがをしており、ノートを取ることが難しい時期がありました。そこで私は、自分のノートをコピーしたり、移動の際に荷物を積極的に持ってあげたりなど思いやりのある行動を心がけました。
私が手伝うことで、他の友人も手伝ってくれるようになり、けがをした友人は問題なく大学生活を送れました。友人にはとても感謝され、私自身も気持ちの良い経験をしました。営業事務は営業担当の方のサポートが主な仕事なので、私の気遣いや思いやりを持った行動が活かせると考えています。強みを活かし、コミュニケーションを積極的に取り、成果につながる仕事をしていきます。

事務職では、他の人のサポートをすることが求められます。そのため、相手を気遣い、思いやりのある対応ができる点は、強力なアピールポイントとなるでしょう。

また、思いやりのある人は、集団行動にも適しており、入社後も周囲と調和しながら働いていけると期待されます。あなたの優しさが伝わるようなエピソードを盛り込みましょう。

③販売・サービス

例文

私の強みはチームワークを高めるために行動できることです。私は学園祭の運営委員長を務めていました。運営委員にはたくさんのメンバーが集まったため、異なる意見が多く出て、話が進まないことがありました。
全員で同じ方向を向くにはコミュニケーションを取ることが重要だと考え、意見交換ができる時間を設けたり、1人ひとりにヒアリングを行いました。その結果、メンバー同士の意思疎通がスムーズになり、全員が納得できる形で学園祭の運営を進めることができました。
販売職でも、スタッフ同士のチームワークが重要だと考えています。貴社に採用された際は、同じ店舗のスタッフはもちろん、売り場の違うスタッフとも積極的にコミュニケーションを取り、情報を共有・交換して仕事で成果を出したいです。

販売職やサービス業では、スタッフ間のチームワークが重要です。積極的にコミュニケーションを取る場面が多い職種だからこそ、協調性の高さが活かせます。学生生活でチームワークの重要性を意識した出来事を交えながら、どのように貢献していきたいかを明確にアピールしましょう。

④エンジニア

例文

私は、問題解決に向けて、他者と深く関わりながら協力的に行動することが得意です。大学時代に参加したプログラミングコンテストでは、チームでの開発が求められました。メンバーそれぞれの得意分野を活かし、役割分担を行うことで、限られた時間内に高品質なプログラムを完成させることができました。この経験を通じて、チーム内での意見交換の重要性を実感しました。
エンジニアリングの現場では、さまざまなバックグラウンドを持つ人々と連携することが不可欠です。私は、他のメンバーの意見をしっかりと受け止め、柔軟に対応することで、より良い成果を生み出すことができると考えています。技術的なスキルはもちろん重要ですが、チームワークを大切にしながらプロジェクトを成功に導く姿勢を大切にし、社会に貢献していきたいと考えています。

エンジニアは、技術的なスキルも求められますが、協調性も重要視される職種です。新卒者がエンジニアを目指す場合は、モチベーションの高さや人間性をアピールすることが効果的になります。チームのことを考えながら行動できる人は、企業にとっても魅力的な人材ですので、協調性の高さをしっかりアピールしましょう。

⑤公務員

例文

私の強みは、柔軟なコミュニケーション能力です。大学時代に参加した地域ボランティア活動では、多様なバックグラウンドを持つ人々と共に目標を達成することの大切さを学びました。特に、地域のイベントを企画した際には、メンバーの意見を尊重し、役割分担を明確にすることで、円滑な進行を実現しました。この経験を通じて、チームとしての一体感を高めることができました。
公務員の仕事は、地域住民と密接に関わるため、他者との協力が不可欠です。私は、相手の意見に耳を傾け、共通の目標に向かって柔軟に対応する姿勢を大切にしています。市民の信頼を得るためには、柔軟なコミュニケーション能力をもって業務に取り組むことが重要です。私は、この能力を活かしながら、地域の課題に真摯に向き合い、より良い社会の実現に貢献していきたいと考えています。

公務員は柔軟性やコミュニケーション能力を求められる場面が多くあります。地域住民に寄り添う存在であることを理解していること、どのようなスキルが求められているかを把握することでより効果的な自己PRが作成できます。

協調性をアピールする自己PR文の注意点

「消極的な人」と捉えられるエピソードを選ばない

協調性があるという強みを伝える際に、「相手の意見をよく聞く」「周りに合わせる」と表現すると、「消極的な人なのだろうか」と思われる場合があります。自主的に動けないと捉えられると、就活においてはマイナスな評価になってしまいます。

もちろん組織で働く以上、協調性は大事なスキルの一つです。上手く強みを伝えるためには、エピソード選びがカギとなります。協調性があり、自主的にもしっかり動けるという部分を強調し、自分の強みをより効果的に伝えましょう。

「誰とでも仲良くできる」ことが協調性ではない

協調性は、誰とでも仲良くできるという単純な人当たりの良さを言い表すスキルではありません。ビジネスシーンにおいては、業務上の目標を達成するために、適切なコミュニケーションを取り、成果を生み出すための協調性が求められます。

よって、「私の強みは誰とでも仲良くできることです」という内容は、協調性の高さをアピールすることには繋がらないため、伝え方を工夫するようにしましょう。

エピソードは1つに絞る

自己PR文に書くエピソードは、1つに絞りましょう。協調性をアピールするために多くのエピソードを詰め込むと、自己PRの内容がぼやけてしまう恐れがあります。

また、企業によっては自己PR文に文字数を指定する場合もあるため、エピソードが複数あると文字数がオーバーしてしまいます。文字数を守っていない書類を提出した場合、ルールを守れていないという評価を受けてしまうため、しっかりと強みが伝わるようなエピソードを選定しましょう。

「協調性」の伝え方でより魅力的な自己PRになる

自己PRで協調性をアピールする就活生は多いため、より自分の強みが伝わるような言葉に変換することが大切です。また、説得力を高めるために、オリジナリティのあるエピソードを盛り込むようにしましょう。

伝え方次第で、よくある協調性をアピールする自己PR文から、他の就活生とは違うアプローチが可能となります。自分の経験や目指す職種に応じて、求められている協調性の高さを上手くアピールしていきましょう。

【例文あり】800字の志望動機の書き方とは?コツや注意点を徹底解説!

800字の志望動機を作成できず困っている人も多いでしょう。800字の志望動機を作成するには多大な労力がかかります。途中であきらめてしまう人もいるかもしれません。

しかし手間がかかる分だけ、自分の想いや魅力を企業にアピールできます。志望度の高さを企業に伝えるために、自己分析業界・企業研究を十分に実施することが大切です。

本記事では、例文とともに、企業が800字の志望動機で知りたいこと、800字の志望動機の構成、作成するコツや注意点を解説します。

企業が800字の志望動機で知りたいこととは?

その企業への志望度

企業は800字の志望動機を志望者に課すことで、志望度の高さを知りたいと考えています。

800字の志望動機を作成することには多大な労力がかかります。志望度が低い人は、800字の志望動機を課されただけであきらめてしまうでしょう。反対にいえば、800字の志望動機を作成するだけで、志望度の高さをアピールできます。

800字の志望動機を課しているにもかかわらず応募者が多い企業は、特に人気が高いといえるでしょう。応募する際は、志望度の高いライバルが多いことを念頭に置いて、丁寧に志望動機を作成しましょう。

応募者の強みや弱み

応募者の強み弱みといった特徴も、800字の志望動機で企業が確認したいことです。

800字の志望動機を作成する志望者だけでなく、志望動機を読む採用担当者にも多大な労力がかかります。800字の志望動機を課す企業は、手間をかけてでも志望者の強み・弱み、スキル、経験、価値観などを詳しく知りたいと考えています。

薄い内容を引き延ばすのではなく、自分のアピールポイントを多く盛り込んで、企業に自分の魅力を知ってもらいましょう。

800字の志望動機の構成

結論をはじめに述べる

志望動機に限らず、ESを作成する際には、結論をはじめに述べましょう。結論をはじめに述べることで、どのような話が続くのかが読み手に伝わりやすくなります。800字もの文字数がある場合、冒頭に要旨がないと冗長に感じられるでしょう。

特にビジネスシーンでは、結論をはじめに述べることが好まれます。入社後にも結論をはじめに述べるよう注意されるかもしれません。今のうちに意識しておきましょう。

自分がなぜその業界や会社を選んだのか、どのようなことを達成したいのかを簡潔に述べることが大切です。

その業界、企業、職種を選んだ理由をそれぞれ説明する

自分がなぜその業界、企業、職種を選んだのか説明しましょう。詳細に説明することで、志望度の高さをアピールできます。

十分に業界・企業研究をしたうえで、業界、企業、職種を選んだ理由を説明することが大切です。業界・企業研究が不十分だと、採用担当者に熱意が伝わりません。志望度が低いのではないかと採用担当者に疑われるでしょう。

業界誌、企業の公式Webサイト、募集要項、採用説明会などで情報を収集し、整理して志望動機に盛り込みましょう。

志望動機の基となるエピソードを述べる

その業界、企業、職種を選んだ理由に説得力を持たせるために、志望動機の基となるエピソードを述べることが大切です。具体的なエピソードを述べることで、志望動機の信憑性が高まります。

自分が経験したこと感じたことを可能な限り具体的に述べましょう。珍しい経験があれば周囲と差別化できますが、独自の経験でなくとも構いません。ありがちな経験でも、自分がどう感じたのか、何を学んだのかを述べることで、自分の特徴を伝えられます。

十分に自己分析をして、エピソードを洗い出してみましょう。

自分の強みをアピールする

400字では難しいかもしれませんが、800字もの多くの文字数があれば、自分の強みをアピールできます。

大学で学んだスキルや取得した資格があれば述べましょう。応募先の企業に適したスキルや資格をアピールすることが重要です。優秀な人材でも、応募先が求める人物像と合っていないと、自社には合わないと採用担当者にみなされる恐れがあります。

やはり十分に業界・企業研究をして、応募先の企業が求める人物像を把握しましょう。

入社後に成し遂げたいことを述べる

最後に、入社後に成し遂げたいことを述べます。入社後に自分がどのように活躍するのか、どのように社会に貢献するのかを述べることで、志望度の高さをアピールできます。具体的にキャリアプランを述べることで、熱心に業界・企業研究をしたことも伝わるでしょう。

可能であれば、志望する業界や企業で実際に働く人の話を聞くことをおすすめします。実際に働く人の想いや考えを知ることで、自分が実際に働く姿を想像できるかもしれません。

800字の志望動機例文

例文

私は、スマートシティの実現によって人々の暮らしを快適にしたいと考え、貴社を志望しました。

私の祖父母が住む地域では、高齢化と過疎化が進んでおり、不便な暮らしを強いられている人が多くいます。路線バスが運行している時間や停まる駅が限られており、スーパーや病院に行くのも一苦労だと聞いています。

しかし近年、祖父母が住む地域で、貴社のAI技術により自動で最適な経路を判断してくれるスマートタクシーのサービスが始まりました。効率の良い乗合いを実現したため、通常のタクシーよりもお手頃な価格で利用できます。格段に外出が楽になったと祖父母が喜んでいました。

また、専用車両が家まで来てくれて、オンラインで診療してくれるモバイルクリニック事業もあり、病院に行かずとも医療を十分に受けられます。自宅のテレビリモコンを操作して商品を注文すると、当日中にドローンで配達してくれるサービスもあります。日頃の買い物も困難な高齢者にとって、非常に便利なサービスです。

この経験から、人々の暮らしを情報通信技術で快適にする仕事に就きたいと思いました。私は、各地域が抱える課題に適したスマートシティ案を積極的に提案している貴社に魅力を感じています。

私は大学で、自動車の自動運転技術の研究をしています。自車がどこを走っているかを正確に把握することは、安全な自動運転の実現のために不可欠です。しかし、ビルの谷間やトンネル内などではGPSの電波を受信できないことがあります。したがって、GPSのみに頼らず、高い精度で位置情報検知をしなければなりません。そこで私は、レーザー光を用いた「LiDAR(光による検知と測距)」技術による高精度な位置情報検知に取り組んでいます。

大学で学んだ情報通信技術の知識を活かし、エンジニアとしてスマートシティの実現に向けて精一杯取り組みます。

(763文字)

スマートシティ事業に取り組んでいるIT企業への800字の志望動機です。地元の人々が情報通信技術の恩恵を受けているエピソードを、IT業界への志望動機につなげています。志望動機の基となるエピソードが具体的に述べられているため、信憑性があります。

情報通信技術を大学で学んでいることも、応募先に適したアピールポイントです。自動車業界はもちろん、通信業界や電子機器業界でも強みとしてアピールできるでしょう。800字あれば、自分が取り組んでいることの詳細な内容を十分に説明できます。

800字の志望動機を作成するコツ

十分に自己分析をする

800字の志望動機を作成する前に、十分に自己分析しましょう。800字もの多くの文字数がある場合、自分が経験したことや感じたことを詳しく述べる必要があります。自己分析が不十分だと、内容が濃い800字の志望動機を作成することは難しいでしょう。

自分の強み・弱み、スキル、経験、感じたことなどを少しでも多く書き出し、それぞれの内容を深掘りしましょう。大変な作業ですが、十分に自己分析をすることで就活の方針が定まります。

志望動機を箇条書きで洗い出す

志望動機を箇条書きで洗い出すことも、800字の志望動機を作成する前に実施しましょう。

1つの志望動機では、800字もの文字数を埋められないかもしれません。複数の視点での志望動機があれば、無理なく800字の志望動機を作成できるでしょう。

また、志望動機を箇条書きで洗い出しておけば、どの志望動機が最も魅力的か客観的に判断できます。わかりやすく一覧にしておけば、周囲に相談しやすいでしょう。

800字の志望動機にふさわしいかどうかは考えずに、思いつく限り志望動機を箇条書きで羅列してみましょう。

応募先の情報を整理する

800字の志望動機を書き始める前に、応募先の情報を整理することも大切です。応募先企業のどこに魅力を感じたのかを詳細に述べることで、志望する想いの強さをアピールできます。800字あれば、詳しく説明する余裕は十分にあるでしょう。

業界誌、企業の公式Webサイト、募集要項、採用説明会などで応募先の情報を十分に収集しましょう。可能であれば、志望業界・企業で実際に働く人の生の声を聞くことをおすすめします。

文字数を気にせず書き始める

自己分析や応募先の情報収集が十分にできたら、志望動機を作成し始めます。前述した構成に沿って、まずは文字数を気にせずに書き始めましょう。

800字の文字数を超えてしまった場合は、冗長な表現を少しずつ削除することで、容易に志望動機を完成させられます。文字数が800字より少なかった場合は、箇条書きで洗い出した志望動機や、整理した応募先の情報を追加しましょう。

後から追加、削除、段落変更などの編集をしやすいように、手書きではなくスマホのメモやパソコンのワープロソフトで作成することをおすすめします。

800字の志望動機を作成する際の注意点

1文を長くしすぎない

800字の志望動機を作成する際には、1文を長くしすぎないよう注意しましょう。800字もの多くの文字数があると、少しでも多くの情報を詰め込もうとして、1文が長くなりがちです。1文が長いと、採用担当者が読みにくさを感じるでしょう。志望動機の内容を十分に理解してもらわないと、あなたの魅力が採用担当者に伝わりません。

目安として、1文の長さが80字以上になることは可能な限り避けましょう。

一方で、1文を短くして「それ」や「これ」といった代名詞を多く使うと、代名詞が指す内容を読み手が誤解する恐れがあります。代名詞の指す内容がわかりにくいと感じたら、代名詞の使用を避け、名詞をそのまま書きましょう。

志望動機を書き終えたら、周囲の人に読んでもらい、読みにくさを感じないか確認してもらいましょう。

指定文字数の9割以上を埋める

志望動機を作成する際には、指定文字数の9割以上を埋めることをおすすめします。800字の場合は、720文字が9割です。9割以下だと文字数が少なく、志望度が低いのではないかと疑われるかもしれません。

800字の志望動機を作成することには労力がかかります。一方で、志望動機を800字近く述べることで、自分の志望度の高さを伝えられます。

自分の魅力をアピールできる絶好のチャンスなので、少しでも多くの内容を盛り込みましょう。

800字に足りないときの対策

その企業の特徴を具体的に述べる

志望動機が800字に足りないときは、応募先の企業の特徴を具体的に述べることをおすすめします。企業の特徴を詳しく述べることで、その業界や企業を志望する強い想いが伝わるでしょう。その企業にとっては当たり前の特徴でも、魅力を感じたという想いを伝えることが大切です。

十分に業界・企業研究をしていれば、企業の特徴を100〜200文字程度追加することは難しくありません。企業の特徴を述べることが難しい場合は、改めて業界・企業研究をしましょう。

自分の強みや想いを詳しく説明する

自分の強みや想いを詳しく説明することも、志望動機が800字に足りないときに検討しましょう。企業は800字の志望動機で応募者の人柄特徴を詳しく知りたいと考えています。自分の強みや想いの説明が不足していると、志望度が低いと思われるでしょう。

前述したように、十分に自己分析することが大切です。自分のスキルや経験、感じたことを自己分析で多く書き出しておけば、簡単に文字数を増やせるでしょう。書くことが見つからない場合は、改めて自己分析をしましょう。

自己分析と業界・企業研究をして800字の志望動機を作成しよう

例文とともに、企業が800字の志望動機で知りたいこと、800字の志望動機の構成、作成するコツや注意点を解説してきました。

800字の志望動機を課す企業は、応募者の人柄特徴を十分に知りたいと考えています。応募者にとっても、志望度の高さや自分の強みをアピールするチャンスです。

志望動機を書き始める前に、自己分析業界・企業研究を十分に実施しましょう。志望動機を少しでも多く書き出しておくことも大切です。十分に準備すれば、800字の志望動機を完成させられるでしょう。

ぜひ本記事を参考に、800字の志望動機を作成してみましょう。

志望動機を200字以内で書くコツは?業界別の例文8選も紹介

エントリーシート(以下、ES)に記載する志望動機は、企業により指定される文字数が異なります。意外と厄介なのが、「200字以内」「200字程度」などと短く指定された場合です。指定文字数に収まらず、四苦八苦する人も少なくないでしょう。

文字数が少ないからといって、志望動機に書くべき内容は変わりません。志望理由を整理し、熱意が伝わるよう記述しなければなりません。

この記事では、志望動機を短く記述する方法を具体的に説明します。内容の絞り方や、表現の工夫を理解できるでしょう。業界別の例文も多数記載していますので、参考にしてください。

文章を端的に書くスキルは、ESの他項目でも活かせます。就活を円滑に進められるよう、しっかりと力をつけましょう。

志望動機を「200字以内」「200字程度」と指定された場合の文字数は?

同じような指定に見えても、「200字以内」と「200字程度」では、許容される文字数が異なります。

「200字以内」の指定では、文字数オーバーは厳禁です。指定範囲に収める手間を惜しむと、「ルールを守れない人」と思われかねません。企業によっては読んでもらえない可能性もあります。

逆に文字数が少なすぎるのも不適切です。一般的には指定の8割以上が好ましいとされますが、200字の場合は9割(180字)を目指しましょう。短い文章でも、可能な限り内容を濃くするためです。

「200字程度」と指定された場合は、オーバーしても問題ありません。ただし、長すぎるのは不適切です。超過可能な量は1割程度(20字)と考えてください。180字〜220字の間に収まるよう、工夫して記載しましょう。

<文字数目安>

指定200字以内200字程度
許容文字数180字〜200字180字〜220字

短いほど書きづらい!志望動機の作成で陥る困難

入れたい情報がありすぎて長くなってしまう

志望動機は「しっかり想いを伝えよう」「もっと分かりやすく」と思うほど、文章が長くなります。あれもこれも詰め込みたくなるからです。

200字を指定された場合、詳しい説明は不可能です。書くべき内容を整理し、「志望理由」「入社への意志」を端的に伝えられるよう留意しなければなりません。

足りない部分はESの他の項目で補えます。志望動機に何もかもを詰め込む必要はありません。厳選し絞り込むイメージを持ちましょう。

箇条書きを使うとわかりづらくなってしまう

文章を短くするため、箇条書きを活用する人もいるかもしれません。要素をつなぎ合わせ、一つの文章に仕上げる方法です。この書き方は、2つの理由からおすすめしません。

1つは、想定以上に短くなりがちなことです。多くの場合、箇条書きに書くのは結論や主張です。説明が含まれないため、200字を満たすのは困難でしょう。要素を増やそうとすると、結論を羅列した状態になります。何が言いたいのか、主題を掴みづらいのです。

2つめは、論理的な文章にならないという問題もあります。通常、志望動機を書くときは構成を考えて書き始めます。箇条書きは思いついたまま挙げるため、構成が整いません。流れが悪く、ちぐはぐな印象を持たれがちです。

200字で志望動機を仕上げる書き方のコツ

200字の記述で大切なのは、あらかじめ内容を厳選することと、文章を短くするための表現の工夫です。
内容の厳選では、「これだけは絶対に伝えたい」ポイントを絞り込みます。「仕事で成し遂げたい夢」と「夢を持つきっかけ」は、長くなりがちです。冗長にならないよう留意して記述します。

また、文章を短くする上で特に意識したいのが「接続詞」「冗長表現」です。これらは無意識に使うことが多く、注意深く添削しないと気づけません。留意すれば文字数を減らせるだけでなく、読みやすい文章に仕上げられます。

仕事で成し遂げたい夢は一つに絞り短く書く

仕事で成し遂げたい夢は一つに絞り込み、できる限り短くまとめます。複数思い浮かんでも、書くのは一つだけです。

絞り込みを行うのは、主張を強くするためです。主張が複数あると、一つひとつが弱まります。最も大きな想いを熱く語った方が、採用担当者に伝わりやすいでしょう。

夢を選びきれないときには、企業の方向性から考えます。事業内容や将来の事業計画から、実現の可能性が高い夢を選びましょう。企業の方向性に沿う形となり、好印象を与えられます。

記述する際には、説明を加えすぎないよう注意します。説明的になると、200字の枠に収まりません。結論部分だけを伝えるイメージを持つとうまくいくでしょう。

夢を持つきっかけは省略、または端的に

200字の場合、夢を持つきっかけは省略しても構いません。どうしても必要な場合は、端的な記述を心がけます。

志望理由に必要なのは、「当該企業を選んだ理由」です。きっかけ部分を書く場合は、最低限に止めます。具体的には「当該企業を選んだ理由」につなげるだけで構いません。

たとえば、化学の知識を活かし化学メーカーを受験する場合、「大学で専攻する〇〇の知見を活用したい」と書けば十分です。「〇〇の知見」企業の業務内容、特に得意分野につながるなら、当該企業を選ぶ十分な志望理由になります。

説得力を持たせようと、化学に興味を持った出来事や、細かな研究内容を書くと、すぐに200字を超えてしまうので注意が必要です。

文章は「である調」で書く

基本的に志望動機を書く際はどちらかに統一されていれば、「です・ます調」・「である調」どちらでも書いても問題ありません。しかし、短い文章で志望動機を書かなければならない時は「です・ます調」ではなく、「である調」で書くことをおすすめします。

「です・ます調」で書くことで、丁寧な印象を与えたいと感じる人もいるかもしれませんが、200字という短い文章で書かなければならない時は「である調」で書くことで、余計な文字数を減らすことができます。また、「である調」は断定的な表現であるため、力強く、説得力のある文章となるでしょう。

志望動機を書く上で最も大切なのは自分をアピールすることです。200文字など字数制限がある中で志望動機を書く必要がある場合は、「です・ます調」ではなく、「である調」で書くことで内容を充実させられるようにしましょう。

結論は簡潔に述べる

志望動機など文章を書く場合に限らず、面接の場も含めて、就活では簡潔に結論を述べることが大切です。結論を簡潔に述べた上で具体的な理由付けをします。

文字数に制限がある場合、内容を充実させるためにも結論は簡潔に書くことがベストです。

結論から書くことで、読み手も何を言いたいのか一発で理解することができます。そのため、相手にとっても読みやすい文章となるでしょう。

特に、人事の人は1日に何人ものESや志望動機を読むことになります。履歴書を書く場合は結論を簡潔に伝えることで、何を伝えたいのかが明確になるように心がけましょう。

なくても良い接続詞の消去

接続詞は論理的な文章に必須と思われがちです。しかし、省いても不自然でないことも多々あります。私達は話の流れから論理展開を理解できるからです。

次の文章をご覧ください。

<接続詞がある例文>

山沿いの道に大きな木が一本倒れていた。しかし倒木は乗り越えられる高さだった。だから私達はそのまま進んだ。

 

<接続詞を省いた例文>

山沿いの道に大きな木が一本倒れていた。倒木は乗り越えられる高さだった。私達はそのまま進んだ。

接続詞を削除しても意味が通じます。話が時系列で流れており、接続詞に頼らなくても論理展開を理解できるからです。

助詞を使うことで、接続詞を省けるケースもあります。「また(接続詞)」が代表例です。「も(助詞)」の使用により削除できます。

<「また」を使った例文>

彼は人への気配りを欠かさない。また、常に控えめの姿勢を心がけている。

 

<助詞「も」を活用した例文>

彼は人への気配りを欠かさない。常に控えめの姿勢も心がけている。

接続詞で省ける文章量は微々たるものかもしれません。しかし1文字でも減らしたい場面では、効果を発揮します。

よくある冗長表現への注意

不要な言い回しで文章が読みにくくなる「冗長表現」も避けましょう。よくある冗長表現は以下のとおりです。

  • 〜に行くことができる。 →「〜に行ける。」
  • まず最初に〜 →「まず、〜(最初に〜)」
  • 今後も〜をしていきます。 →今後も〜をします。
  • 〜は明日までが期限です。 →「〜の期限は明日です。」

文章制作では、無意識に冗長表現が混ざりがちです。意識的に見直すことで、回りくどい表現がなくなり、文章量を減らせます。

長文を削っていく方法がおすすめ

おすすめしたいのは長文を削る方法です。構成を決めたら、字数を決めずに書き上げます。でき上がった文章を見直し接続詞や冗長表現を削除すると良いでしょう。

特に文章を書き慣れていない人は、最初から細かな部分に意識を向けてもうまくいきません。時間をかけるより、書くことを優先してください。添削を繰り返すうち、自分の癖が分かり、不要な接続詞や冗長表現を減らせるでしょう。

長文を削る方法は、内容を絞り込めないときにも有効です。執筆中は「今書いている部分」に集中するため、全体像を把握しづらい状態です。書き上げた後なら、全体像を見渡せます。不要な部分を冷静に判断できるのです。

志望動機で企業が確認するポイント

  • 仕事への熱意
  • 入社後のビジョン
  • 人物像
  • 社風との適合

企業が志望動機で確認するポイントは、上記のとおりです。

字数が短くても、ポイントが変わるわけではありません。詳しい説明ができないからこそ、企業が求めるものを理解し、内容を厳選する必要があります。

仕事への熱意が感じられるか

志望動機で一番に伝えるべきものは、仕事への熱意です。「この会社で仕事がしたい」という熱い想いを示します。

あなたに求められるのは、成し遂げたい夢をしっかりと持ち、夢の実現のために受験企業を選ぶ姿勢です。「他の会社でも良いのでは?」と思われると、気持ちが強い人に内定を奪われるでしょう。

200字の枠では、説明を尽くすことはできません。端的に書くには、自己分析で成し遂げたい夢を明確にします。同時に企業分析を念入りに行い、企業の強みとあなたの夢が、重なる部分を見つけ出しましょう。

あらかじめ強く主張する内容を明確にしておけば、短くまとめられます。

入社後の明確な目標があるか

志望動機の結びには、入社後の明確な目標を示します。企業が欲するのは、「何がしたいか」「どうなりたいか」がはっきりしている人です。目標があれば、入社後の行動に迷いが生まれません。仕事の成果が期待できるのです。

短く書くために、受験企業の業務内容を詳しく調べておきましょう。どのようなキャリアプランを積めるか明確にし、その中で夢を実現するビジョンを構築します。具体的な行動目標を定め、1〜2文でまとめると良いでしょう。

企業が求める人物像に適合するか

企業が求める人物像に適合するかも見られます。もっとも、これは志望動機だけで判断するわけではありません。ガクチカや長所短所、資格など、ES全体を通しての判断です。

志望動機で見られるのは、あなたが目指す方向性と、企業の事業計画に乖離がないかです。どんなに熱意があっても、企業が欲する人材とかけ離れていれば内定はもらえません。例えば動画広告を強みに事業を推進する広告代理店を受験するのに、紙媒体の夢を熱く語っても門前払いを食らうでしょう。

事業内容との乖離は、企業研究を行うことで防げます。あらかじめ受験企業の事業計画を、細部まで理解しておきましょう。

社風にあわせ仕事を進められるか

あなたの人柄が社風に合うかも判断されます。ガクチカや趣味、長所短所など、ES全体に判断材料があるうちの一要素と考えてください。

志望動機では、大まかな「人となり」を見られます。200字の文章でも、夢へ向かう姿勢や仕事の誠実さ、真面目さなどは伝わります。詳細を他の項目(ガクチカや趣味など)で確認し、「この人なら協調して仕事を進められる」と判断されれば、内定の確率がグッと上がるでしょう。

企業にとって、社風への適合は重要な要素です。不適合は離職を引き起こす原因になります。社員の早期離職を防ぐためにも、企業はあらゆる項目で適合を確認します。200字の志望動機も、判断材料の一つになると認識しましょう。

志望動機を端的に伝えるために準備すること

業界研究・企業研究で記載するポイントを絞る

志望動機を作成するには、業界研究はもちろん、受験企業を詳しく研究する必要があります。必要なポイントを的確に押さえることで、文章を短くまとめられるようになります。

業界研究からは、現状と将来像を判断します。「業界全体が現状抱える課題を、各企業がどのように解決しようとしているか」「将来はどのように事業展開するか」を知ることで、必要な人物像を見出だせるはずです。

例えばWeb制作では、WordpressなどCMSの進化により、プロとアマの垣根がなくなりつつあります。今後は、デザイン力やより高度なプログラミングで差別化を図らなければ、生き残れないでしょう。実情を知れば、「デザインへの自信と向上心」「Webプログラミングへの幅広い知識」を持ち、変化に対応できる人材が求められると判断できます。

企業研究からは、「受験企業が力を入れていること」「将来の事業計画」を読み取ります。業界研究の結果をもとに、受験企業の具体的な動きを探求すると良いでしょう。さらに、社風も研究します。スキルでニーズを満たしても、社風に合わなければ内定に至りません。

業界研究、企業研究で得られた情報をもとに、受験企業が挙げる事業計画に沿うように「仕事で成し遂げたいこと」を絞り込みます。また受験企業の優位性から「志望理由」を導き出し、ビジョンを達成する場に最適なことを示しましょう。

自己分析で強い想いを明確に打ち出す

自己分析も大切です。「本当にやりたいこと」を明確にしない限りは、入社後の具体的な行動を示せないからです。短くとも強い想いを打ち出すには、自分を深く理解する必要があります。

自己分析で重要なのは、具体化行動の策定です。漠然とした夢を具体的なビジョンに変え、実現に向けた行動を策定します。

例えば「子どもと関わる仕事がしたい」という夢なら、掘り下げて「児童指導員として障がいを持つ子どもの世話を行い、療育計画の策定にも携われるようになりたい」と具体的なビジョンに変化させます。児童発達支援管理責任者へのキャリアパスがある会社で、さまざまな個性を持つ子どもと向き合うのが、具体的な行動になるでしょう。

行動が策定できたら、入社後の強い意志を書き出しましょう。会社の中で頑張ること、目指すものが明確なため、迷いなく書けるはずです。

志望動機が200字におさまるおすすめの構成

<200字で伝える!おすすめの構成>

①仕事で成し遂げたいことを提示する

②志望理由(当該企業を選んだ理由)を明記

③入社後の意志の表明

200字の場合、長い文章量を前提にした論理構成はできません。よく言われるPREP法(結論→理由→例示→結論)で構成すると、文章量がオーバーする可能性があります。具体的なエピソード(例示部分)は無理に入れず、ビジョンや意志を優先しましょう。

①仕事で成し遂げたいこと(ビジョン)を明確に提示する

まずは仕事で成し遂げたいことを明確にします。自己分析で定めたビジョンを端的に書きましょう。具体的なほど評価は高くなるものの、説明を加えすぎると200字の枠に収まりません。できるだけ一文でまとめます。企業の目指す方向性と合致したビジョンなら、長い説明は不要です。

掲げるビジョンが当該企業で実現できることも、必ず確認してください。目標を実現できなければ、受ける意味はありません。見当外れのビジョンを打ち出すことは、企業に対して失礼にあたります。

②業界研究・企業研究をもとに志望理由を明記

①の実現に、当該企業が最適であることを示します。業界研究と企業研究の結果をもとに、内容を絞り込みましょう。

200字の指定では、事細かな説明はできません。きっかけ部分は省略するか最低限に抑え、「当該企業を選んだ理由」を中心に構成しましょう。

「業界を選んだ理由」はたいていの場合不要です。「当該企業を選んだ理由」で自然と説明できます。

記述のポイントは2つあります。一つは業界の将来像をしっかりと理解することです。業界が進む道の中で、あなたの描くビジョンを実現できることを確認します。

もう一つは当該企業の持つ優位性が、ビジョンの達成を後押しすることです。「この企業だからこそ、夢を実現できる」ことをはっきり示すことで、会社で働く強い意志につながります。

③会社の一員として活躍する強い意志を示す

最後に入社への強い意志を示しましょう。会社に入りどう行動するか、具体的に記述します。ここで書くのは、当該企業で実現可能なことに限られます。現在の事業内容や、今後の事業計画に掲げられている内容をよく確認しましょう。可能ならば、従事する業務内容まで詳しく説明すると良いでしょう。やりたいことが明確な人ほど、企業は受け入れやすいからです。

記述内容が①のビジョンに対応していることも、念のため確認してください。内容が異なると首尾一貫しません。論理が破綻しているように思われる恐れがあります。

【業界別】200文字以内で書く志望動機の例文

食品業界

例文

できるだけ添加物を使わない、子ども向けの即席麺を開発するために貴社を志望しました。添加物の少ない即席麺は、子ども向けにはまだ開発されていません。不要な食品添加物を使わず、有機原料を積極的に取り入れている貴社なら、夢を実現できると考えました。入社後は味を落とさずに食品添加物を減らすノウハウを、徹底的に学びます。子ども向け商品に技術を応用できるよう、たくさんの企画を出したいです。

「添加物を使わない、子ども向け即席麺の開発」という具体的な目標から始まり、夢の実現に当該企業が最適であることを示します。入社後に力を入れたい内容も明確で、意志をはっきり示せた好例です。

接続詞冗長表現もうまく省かれています。論の構成がしっかりしているため、接続詞に頼らなくても文章が自然とつながります。

卸売業界(商社)

例文

日本が誇る伝統食品を世界中に広め、日本の食文化を活性化させたいと考え、貴社を志望しました。日本各地には素晴らしい伝統食が根付いているものの、十分に伝わっていません。貴社は価値ある食文化の発掘から手がけ、世界中に広めた実績があります。貴社でなら、地方の知られざる食文化を紹介し、魅力を伝えられると考えました。入社した暁には、知られざる食文化の発掘を行い、文化的価値を世界中に訴求したいです。

食品を専門に扱う商社の例文です。商社の志望動機と言うと、「世界の発展に寄与したい」「経済を活性化させたい」など、掴みどころのないものも少なくありません。この文章は「伝統食を世界中に広めるために、知られざる食文化を発掘したい」とまとめており、やりたいことが明確です。現実をしっかりと見据え、目標を持ち受験したことが窺えます。

文字数の削減で着目したいのは、「日本各地には素晴らしい食文化があるが、十分に伝わっていない」根拠を説明していない点です。他の会社を受ける場合には、記述が必要になるでしょう。今回は「価値ある食文化を世界中に広めている」会社が相手のため、相手方企業も同じ想いを持っています。志願者と企業が認識を共有できる場合、細かな説明は不要です。空いた文字数を他の記述に回しましょう。

メーカー業界

例文

高度な自動運転を実現する農業用トラクターをつくるため、貴社を志望しました。私は農家で育ち、農業の人手不足を深刻に捉えています。AIの専門家として、自動運転の開発で力になりたいと考えました。貴社の自動操舵システムは、農家から高い評価を得ています。農家に寄り添う姿勢と卓越した技術を持つ貴社で、夢を叶えたいです。入社後は、AIを農機に活かす方法をしっかりと学び、トラクターの開発に全力を尽くします。

農業機器メーカーの例文です。メーカーの志望動機は、ものづくりへの情熱をしっかりと示すことが大切です。この文章のように、やりたいことが明確だと好印象を与えられます。

今回はあえて「私は農家で育ち〜」の一文を挿入しました。ものづくりへの情熱を伝える上で、きっかけ部分が大きな役割を果たすからです。

強い想いを伝えるために必要ならば、説明的な記述も入れなければなりません。その代わり、他の部分で文字数を削減します。接続詞と冗長表現を中心に、省ける部分がないか目を光らせましょう。

公務員

例文

〇〇市が誇る歴史遺産を多くの人々に伝えるため、博物館での学芸員職を希望します。市には多くの歴史遺産があるにも関わらず、商業的な魅力ばかりが着目されます。地元の歴史を研究する人間として、多くの人に歴史の魅力を訴求する必要性を感じます。特に博物館の展示物は素晴らしく、アピール次第で観光の目玉にできます。学芸員になれたら、歴史を楽しく伝える企画展やスクール、発行物などさまざまな提案をしていきたいです。

公務員の志望動機には、当該企業を選ぶ理由は不要です。その代わり、希望職種を選ぶ理由を端的に説明しなければなりません。

その際、「地元のために働きたい」という具体性のない目標に終始しないよう注意しましょう。「なぜ地元のために働くのか」「公務員として具体的に何をしたいのか」を示さなければ、説得力のある志望動機とは言えません。

この文章では、歴史を学び専門分野を持ったことが功を奏しています。「歴史の魅力を訴求する必要性」を実感し、「学芸員として歴史をアピールする」目標を立てました。挑戦したい業務内容を明確に示すことで、強い志望動機に仕上げられています。

教育業界(教員)

例文

不登校や発達障がいの子ども達の夢を支援するため、貴校を志望しました。私は高校で不登校を経験し、目標を持ち行動することの大切さ、大変さを理解しています。貴校はオンライン指導や個性に準拠したカリキュラムなど、通常の高校にはないプログラムで子ども達を支援しています。個性に寄り添い指導するなら、最適な環境だと考えました。教師になれたら、一人ひとりが自分の夢を見つけ努力できるよう、生徒に寄り添いたいです。

教職を目指す人は、教員免許を取得した時点で教育にかける情熱は共通します。具体的にどのような教育を行いたいか、どれだけ明確に打ち出せるかが勝負になるでしょう。

この文章では、フリースクールを志望する理由を強めるため、「私は高校で不登校を経験し〜」の一文を入れています。この文があることで、目標に説得力が生まれました。

短い枠ながら、真面目で真摯な人柄が垣間見え、高く評価できます。

広告業界

例文

人の心に残る紙媒体の広告をつくるために貴社を志望しました。Webへ発信媒体が移っていく中で、貴社は紙媒体を大切にしています。特に地元の魅力を表現する広告は素晴らしく、〇〇花火大会のポスターは、今も私の心に残り続けています。貴社の一員として広告をつくりたいという気持ちを、強く持つようになりました。入社後はお客様の要望を制作物に落とし込む方法をしっかりと学び、人の心に残る表現を追求していきます。

業界全体がWeb広告へ力を入れている潮流を理解した上で、当該企業にしかない魅力を的確に捉えています。特に制作物への憧れの表現は、当該企業を選ぶ理由を明確にします。熱意を伝えやすくなるでしょう。

クリエイティブ系の職種の場合、自分の表現を追求するニュアンスにならないよう、注意が必要です。広告の制作は、あくまでも顧客の要望に合わせて行われます。作り手の独創ではありません。ニュアンスのずれがないか確認しましょう。

金融業界(地銀や信用金庫)

例文

教育ローンを広め、近隣の子ども達が不自由なく進学できる環境をつくりたいと考え、貴行を志望しました。〇〇町は都市部から遠く、大学への進学には下宿が必須です。経済的な理由で進学を断念する子どもが多いことから、教育ローンを提案したいと思うようになりました。貴行はローン商品が豊富です。最適な教育ローンを多くの人へ届けられると考えます。金融商品の仲介業務に携わり、〇〇町の教育環境を改善していきたいです。

地銀や信用金庫も、「地元のために働きたい」という漠然とした志望動機になりがちです。具体的に何をしたいかはっきりさせる必要があります。企業研究を綿密に行い、アプローチするポイントを見定めましょう。銀行や信用金庫ごとに、「融資が強い」「ローン商品が豊富」などの特色があるはずです。

この文章では、教育ローンに焦点を当てています。「地元の教育環境を整えたい」というテーマを掲げることで、教育ローンを広める目標へつなげやすくなりました。目の付け所が良く、実現に向けた具体的な仕事ぶりが予測できます。企業も雇いやすいでしょう。

IT業界

例文

WordPressの独自テーマを開発し、多くのお客様へ提案したいと考え貴社を志望しました。ノーコードでのサイト制作が可能になったことで、今後はテーマ作成の需要が増えると予測します。貴社は古くから独自テーマを多数発表しており、開発に力を入れています。CMSの変化に対応しながら、技術者として力を伸ばせると考えました。入社後はニーズを正確に把握し、それに応じた力をつけ、信頼される技術者になりたいです。

IT業界でも「企業のDX化を推進したい」「ITで社会貢献をしたい」など、内容が不明瞭になりがちです。具体的に何をどうしたいか、一歩踏み込んだ記述を心がけましょう。

ここでは「Wordpressのテーマ作成」という狭い範囲に目標を定めています。業界研究から今後の流れを予測し、当該企業の強みを見つけ出した結果です。企業の方向性とやりたいことが一致しているため、迷いなく記述できます。入社後の意欲も明確に示せており、高評価を得られるでしょう。

目的を絞り込む際には、入社後の企業方針に注意してください。会社によっては、新人にさまざまな職種を体験させ、仕事の全体像を把握させることがあります。そういった会社では、「まずは仕事の全体像をしっかり把握することに努めます」などの記述を挟みましょう。他の分野も習得する意志を示すことで、希望することしかやらない人材だと誤解される恐れがなくなります。

200字でも想いが明瞭に伝わる志望動機で内定を勝ち取ろう!

200字で志望動機を書くのは大変です。企業研究自己分析を念入りに行わないと、要点を絞りきれません。その代わり、200字でまとめられたときには、就活に有利な力が身につきます。

身につく能力の筆頭は、ESの記述力です。企業研究や自己分析を熱心に行ったことで、どの項目も格段に書きやすくなるでしょう。企業のニーズと自分のアピールポイントが端的に分かり、迷いがなくなります。

面接の対応力もアップします。面接官から聞かれたことに対し、端的に答えられるようになるのです。要点を絞り込む練習により、解答するポイントも絞れるようになります。受け答えが円滑に進み、確かな手応えを感じられるでしょう。

200字にまとめる努力を続ければ、就活を有利に進められます。想いが明瞭に伝わる文章を目指し、納得いくまで文章を書き直してください。地道な作業に思えても、内定への近道になります。

ホテル業界の志望動機の書き方|業界の基礎と評価されるコツ【例文あり】

ホテル業界へ就職したいけど、「どんな風に志望動機を書けばよいかわからない」「人事担当はどんなポイントを重視するか知りたい」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

ホテル業界の志望動機を書く上でポイントとなるのは、「自分だけ」具体的なエピソードを絡めた志望動機を書くことです。

本記事では、ホテル業界の志望動機を書く際のポイントや周囲と差別化するためのポイント、注意点などについて解説しています。

ホテル業界とは

ホテル業界とは、利用者へ宿泊用の客室を提供する業界の総称です。ホテル業界におけるサービスは、宿泊施設やレストラン、ホテル内のレジャー施設、結婚式場など、様々なものが挙げられます。

ホテル業界の主な収益源は、客室販売です。客室販売の方法は、自社のウェブサイトや電話予約などを通じて、顧客に直接客室を販売する「直接販売」と、旅行会社や旅行代理店、旅行予約サイトなどに客室販売を委託する「委託販売」という2種類が存在します。

その他、レストランやバーなどの飲食施設や結婚式場や宴会場、スパやフィットネスなどの施設利用もホテル業界の重要な収入源です。コロナ禍では宿泊事業が大きな打撃を受けたことを機に、様々な収益源を確保し、経営リスクを減らしたホテルが一気に増えました。

ホテル業界は、収益源の多様化新サービスの開発などが、さらに強まっていく意向です。

ホテル業界の職種

フロント

ホテルの玄関口であるフロントは、お客様との最初の接点であり、ホテルのイメージを左右する重要な役割を担っています。

フロントの主な業務内容は、予約受付、チェックイン・アウト、各種案内、会計など、多岐にわたります。お客様から忘れ物や落とし物などの問い合わせがあった際の対応などもフロントが行います。

フロントの仕事において求められるスキルは、明るく丁寧な対応ができること、迅速かつ正確な業務処理能力、臨機応変な対応力や語学力などが挙げられます。

フロントは、お客様とのファーストコンタクトに携わる仕事であるため、求められるスキルは多岐に渡りますが、もっとも重要なことは「お客様目線に立った気持ちのよい接客ができること」です。

ベルパーソン

ホテルに到着したお客様を笑顔で迎え、荷物を預かり、客室まで案内するのがベルパーソンの仕事です。

ベルパーソンの主な業務内容は、チェックイン手続き後のスムーズなご案内や、ホテル設備の説明や館内案内など、お客様の快適な滞在をサポートする重要な役割を担っています。お客様から問い合わせを受けた場合は、丁寧かつ迅速に対応するのもベルパーソンの重要な仕事です。

ベルパーソンは、ホテルの第一印象を左右する存在として、明るく親しみやすい笑顔を心がけることや、丁寧な言葉遣い、気品のある振る舞いなどが求められます。

ベルパーソンは、お客様に心温まるおもてなしを提供し、ホテル全体の印象を大きく左右する重要な役割を担っています。

ドアパーソン

ドアパーソンは、ホテルの正面玄関に立ち、出入りするお客様を管理する職種です。

ドアパーソンの主な業務内容は、車両の誘導や荷物の一時預かり、タクシーの手配、安全確認など、ホテルを代表してお客様の荷物や車の手配を進めるなど、責任の大きい仕事です。

ドアパーソンに求められるスキルは、落ち着いた立ち振る舞いや迅速かつ的確な判断力、外国人観光客にも対応できる語学力などが挙げられます。また、ホテル周辺の施設などについてお客様から相談を受けた場合、迅速に回答できる土地勘なども必要とされるでしょう。

ドアパーソンは、ホテルで利用客を最初に出迎える役割を担うため、ホテル全体のイメージに関わる重要なポジションといえます。

コンシェルジュ

コンシェルジュは、お客様のあらゆる要望に応えるホテルの案内人です。

コンシェルジュの主な業務内容は、レストランの予約や観光案内、チケットの手配など、幅広い知識と経験を活かして、お客様に満足してもらえるようなサービスの提供が求められる仕事です。

コンシェルジュに求められるスキルは、豊富な知識と情報収集能力、臨機応変な対応力、問題解決能力、語学力などと多岐にわたります。

近年のホテルは、海外からの利用客も多いため、日本の風習や言語への対処や体調の急変、ビジネス文書の作成、結婚記念日の演出など、コンシェルジュに届く相談内容は多岐にわたります。

ハウスキーピング

ホテル滞在において、清潔で快適な客室は欠かせません。その快適空間を作り上げるのが、ハウスキーピングと呼ばれる清掃スタッフです。

ハウスキーピングの仕事は、単に掃除をするだけではありません。客室の清掃、備品のチェック、品質管理に加え、お客様の要望に応じたアメニティの提供など、多岐にわたります。さらに、電球交換や水漏れ対応など、トラブル対応の窓口となることもあります。

ホテルの顔とも言える客室を美しく保ち、お客様に快適な空間を提供することは、ハウスキーピングの重要な役割です。丁寧な清掃はもちろん、お客様目線での心配りが求められます。

ホテル業界の市場状況

人手不足の顕著さ

近年、ホテル業界で深刻化しているのが「人手不足」です。もともとサービス業全体で人材不足が叫ばれていましたが、コロナ禍の影響を機として、その問題はさらに深刻化しています。

多くのホテルは、コロナ禍で需要の減少に対応するために、人件費削減の一環としてスタッフを削減しました。しかし、その後観光業が徐々に回復して宿泊者数が増加しても、対応できるスタッフが不足しているという状況に陥っているホテルが少なくありません。

それらの課題を解決すべく、ホテル業界で求められている取り組みが「DXの推進」です。DXとは、データやAIやIoTなどの最新のデジタル技術を活用し、新しいビジネスモデルを生み出す取り組みです。DX化を進めれば、人手不足や、スタッフの労働環境の改善などの様々な課題解決が可能といわれています。

DX化が急速に進んでいる

前述したように、ホテル業界ではDX化が急速に進んでいます。DX化は、人手不足問題以外にも、業務効率化従業員の負担軽減なども可能であるため、デジタルツールの導入を積極的に取り組んでいるホテルが増加しています。

下記は、ホテル業界におけるDX化の一例になります。

ツール目的
予約・ホテル管理システム予約受付、客室管理、顧客情報の管理の効率化
観光案内 AIチャットボット観光案内の自動化および多言語対応の観光案内
自動応答チャットボット問い合わせ対応の業務効率化、従業員の負担軽減

上記以外にも、清掃ロボットや人感センサー、在庫管理システムなどの業務効率化につなげるためのDX化も進んでいます。

このように、DX化は、ホテル業界の進化を加速させ、新たなビジネスモデルを生み出すきっかけとなる取り組みです。

国のプロモーションが加速化

新型コロナウイルス流行の影響で大きな打撃を受けたホテル業界は、国や各自治体によるプロモーション施策によって回復傾向にあります。

国のプロモーション施策の代表的な例として、以下のものが挙げられます。

  • 県民割:県内旅行の割引
  • 全国旅行支援:全国旅行の割引
  • GoToトラベル:旅行代金の割引と地域共通クーポン付与

これらの施策は、宿泊費の割引や旅行代金の補助を通じて、多くの方々が安く宿泊施設を利用できるようになり、結果として旅行・宿泊への需要を高めることに成功しました。

そして、緊急事態宣言や外出自粛の解除、旅行・宿泊需要の回復により、業界は徐々に活気を取り戻しています。

旅行・宿泊需要は、観光客の増加だけでなく、テレワーク普及によるビジネス客の需要アップも後押しをしています。今後も需要回復の流れは続くと予想され、ホテル業界のさらなる成長が期待されています。

ホテル業界が求める人物像

観察力がある人

ホテル業界では、お客様が浮かべた表情や小さな様子に目を向け、「目の前にいるお客様はどんなサービスを求めているのか?」を見落とさず、スピーディに対応することが求められます。そのため、周囲をよく見渡せる観察力がある方は、ホテル業界で活躍できるでしょう。

なお、お客様へ目を向けるだけではなく、客室やロビーなどの各施設のチェックも怠ってはなりません。清掃状況のチェックや、設備に問題が生じていないかを把握することも重要な仕事です。

観察力があれば、お客様が抱える要望・ニーズを取りこぼすことなくキャッチアップできますし、お客様が満足できるようなサービスを提供できます。目の前にいるお客様に興味の目を向け、行動に移せる方は観察力がある人といえるでしょう。

語学力がある人

近年、グローバル化が進むホテル業界では、海外からの観光客やビジネスマンの宿泊がますます増加しています。そのため、語学力がある人材は、ホテル経営を支える重要な存在として強く求められています。

世界共通語である英語はもちろん、中国語や韓国語などの語学力を兼ね備えている人材が必要とされています。「英語は話せる」という人材は一定数いますが、複数言語に精通した人材は絶対数が少ないため、高い語学力をもっていれば、ホテル業界への就職において非常に有利といえます。

今後のホテル業界は、海外からの観光客をターゲットとしたサービスを強化する動きが加速すると言われています。そのため、語学力がある方は、ホテル業界においてなくてはならない存在として重宝されるでしょう。

チームワークが得意な人

お客様へ円滑にサービスを提供する上で、チームワークを重視して働く姿勢が求められます。ホテルの仕事は、フロントやコンシェルジュ、ハウスキーピングを始めとした複数の仕事が連携し合って回されます。自分が担当する仕事の役割を正しく理解し、責任感を持って業務に取り組むことが大切です。

自分の仕事にのみ取り組むのではなく、他部署にも目を向けて、業務が滞りなく進行しているかを気遣う姿勢も求められます。たとえば、あなたがハウスキーピングの仕事に就いており、「部屋の鍵をなくした」という相談をお客様から受けた場合、速やかにフロントへ共有しなければなりません。

他部署と円滑なリレーションを取れる方は、チームワークを意識して働ける人材として重宝されるでしょう。

ホスピタリティがある人

お客様に最高のサービスを提供するためには、ホスピタリティ精神が欠かせません。多くのお客様は、宿泊施設や食事、ホテル周辺のレジャー施設を堪能するために、ホテルへ宿泊します。お客様がよりよいひと時を過ごせるか否かは、お客様へサービスを直接提供する、ホテルスタッフのホスピタリティによって決まります。

お客様へホスピタリティを示す上で、お客様に対して常に笑顔で接し、親切丁寧に対応することは当たり前の行動です。そこにプラスして、お客様の要望や気持ちを正しく汲み取り、期待を超えるようなサービスを提供することが求められます。

お客様一人ひとりに寄り添い、心を込めたおもてなしを提供できる方は、ホスピタリティがある人材として重宝されるでしょう。

コミュニケーション能力が高い人

お客様や同僚と円滑なコミュニケーションを取る能力は、ホテル業界で働く上で必須事項です。

宿泊施設へ足を運んでくれるお客様の年齢や性別、性格や住んでいる場所などは、一人ひとり異なります。お客様ごとに相手に合わせた話し方や言葉遣いを意識しなければ、円滑なコミュニケーションを図ることはできません。

また、先輩上司、同僚や部下との関わり合いにおいても、コミュニケーション能力が必要です。前述した通り、ホテルの仕事は周りと連携し合って進めるチームワーク業ですので、職場の仲間とも意思疎通を図りながら、業務を進めていかなければなりません。

お客様や職場の仲間の話にしっかり耳を傾け、自分の考えや意見を分かりやすく伝えられる方は、コミュニケーション能力が高い人材として重宝されるでしょう。

ホテル業界の志望動機を書く4ステップ

志望動機の結論を書く

志望動機の冒頭で、「なぜホテル業界を志望するのか」という結論を簡潔に書きましょう。

例:「私がホテル業界を志望する理由は、お客様に心からのおもてなしを提供し、特別な時間を過ごせる空間づくりに貢献したいと考えたためです。」

簡潔ではありますが、まずは冒頭で「なぜホテル業界を志望するのか」という要点を伝えておくことが重要です。先に結論を伝えれば、その後に続く文章をスムーズに書けるようになるためです。

志望動機は、最初から終わりまで全て一文となって完成されるものですので、冒頭で述べた志望動機の結論とその後の文章に矛盾がないように、しっかりとした筋道を立てて書くようにしましょう。

ホテル業界を志望する理由を書く

次に、なぜホテル業界なのかを具体的なエピソードを交えて説明します。

例:「幼い頃から旅行が好きで、様々なホテルに宿泊した経験があります。そこで出会った温かいおもてなしに感銘を受け、私もお客様に感動を与えられるような仕事に就きたいと考えるようになりました。」

このように、ホテル業界を志望する理由を肉づけする際は、具体的なエピソードを取り入れることが重要です。取り入れやすいエピソード例は、旅行好き・語学力を磨いている・そのホテルでの宿泊経験などが挙げられます。

重要なのは、「あなただけのエピソードを具体的にアピールすること」ですので、先入観にとらわれず、自身の言葉でホテル業界を志望する理由を書き上げましょう。

そのホテル・職種を選んだ理由を書く

続いて、「なぜそのホテル・職種を選んだのか」を具体的に掘り下げていきましょう。

例:「貴社は、伝統と革新を融合させたホスピタリティで世界中から愛されています。特に、客室乗務員の細やかな心配りには定評があり、私も貴社でホスピタリティあふれる最高のおもてなしを学び、お客様に最高の思い出を提供したいと考えています。」

このように、そのホテルや職種を選んだ理由を具体的に書くためには、ホテルや職種についてしっかりと研究を重ねておく必要があります。企業ホームページや採用ホームページ、ホテル業界に関する情報サイトなどを通じて、ホテルや職種に対する理解を深めておくことが大切です。

入社後どのように貢献したいのかを書く

最後に、入社後にどのように貢献したいかをアピールしましょう。

例:「私は語学力に自信があり、海外からの旅行客も安心してホテルを利用できるよう、多言語でのコミュニケーションに積極的に取り組んでいきます。また、常に新しい知識を学び、お客様一人ひとりに寄り添ったサービスを提供できるよう努力いたします。」

志望動機の終わりでは、入社後に描く理想の働き方について書き上げましょう。最後に、志望動機全体を見通して、「記載内容に矛盾や飛躍している部分はないか」「ひとつの文章として読みやすい構成になっているか」を確認しましょう。これらのステップを参考に、自身の経験や想いを盛り込んだ、説得力のある志望動機を作成してください。

ホテル業界における志望動機の例文5選

人の笑顔を直接見れる仕事が好きだから

例文

私がホテル業界を志望する理由は、人の笑顔を直接見れる仕事に就きたいからです。
私は、人と接することが好きであり、人の笑顔を見ることにで喜びを感じます。ホテル業界は、お客様一人ひとりに寄り添い、最高のサービスを提供することで、笑顔を生み出せる仕事です。特に、フロント業務は、お客様の要望に耳を傾け、臨機応変に対応することで、感謝の言葉をいただけるお仕事だと考えています。
私は、自分の行動が誰かの役に立っていることを実感できた時に大きなやりがいを感じます。貴社は、お客様とのコミュニケーションを大切にする企業文化を掲げており、私の目標に合致すると考えています。
入社後は、お客様一人ひとりへのホスピタリティを忘れず、お客様一人ひとりに寄り添ったサービスを提供することで、笑顔あふれるホテルづくりに貢献したいです。(400字以内)

この志望動機のポイントは、「人の笑顔を見れる仕事に就きたい」という意向がフロント業務とマッチしている点です。

プラスすべき内容を言うのであれば、自分の行動が誰かの役に立っていることを実感できたエピソードを簡潔に伝えることです。

文字数の制限上、全て書くことは難しいかもしれませんが、「アルバイトを通じて誰かの役に立つことが喜びであると学びました」などのように要点だけ記載すれば、具体的なエピソードを自己PRでアピールしやすくなるでしょう。

ホテルへの宿泊時に素敵な対応をされたから

例文

私がホテル業界を志望する理由は、ホテルへの宿泊時に素敵な対応をされたからです。
私は大学1年生の頃、旅行中に貴社の青山リゾートホテルを利用したことがあります。その際、スタッフの方々による丁寧な対応と温かいおもてなしに感動しました。
フットマッサージャーや女性用のアメニティの準備を始めとした数々の心配りに、旅の疲れも忘れ、心からリラックスすることができました。この経験を通して、私も青山リゾートホテルのいちスタッフとして、お客様に最高の思い出を提供したいと考えるようになりました。
貴社は、「お客様第一主義」を掲げ、常に質の高いサービスを提供しています。そのような企業理念に共感し、私も一員として貢献したいと考えています。入社後は、常にお客様目線に立ち、細部まで気を配ったサービスを提供することで、青山リゾートホテルのさらなる発展に貢献したいです。(400字以内)

この志望動機のポイントは、ホテルを利用した中で感動したおもてなしについて、わかりやすく具体的に記載されていることです。

志望動機でホテルの利用経験をアピールする就活生は決して少なくありませんが、内容が抽象的すぎる場合、「この子は本当にホテルを利用したのか」という疑問を人事担当が浮かべる恐れがあります。

この例文のようにわかりやすくアピールされていると、志望動機の説得力が増すでしょう。

快適に過ごせるホテルづくりに貢献したいから

例文

私がホテル業界を志望する理由は、快適に過ごせるホテルづくりに貢献したいからです。
私は旅行が大好きで、様々なホテルに宿泊する経験を重ねてきました。その中で、快適な空間と行き届いたサービスは、旅の満足度を大きく左右すると感じました。私はこれまでの経験を活かし、快適に過ごせるホテルづくりに貢献したいと考えております。
貴社が運営する各リゾートホテルは、「おもてなしの心」を大切にし、お客様にとって非常に心地よい空間を提供しています。そのような企業理念に強く共感し、私も一員として貢献したいと考えております。
入社後は、お客様目線に立ったよりよいサービス提供を徹底し、お客様が快適に過ごせる空間づくりに貢献したいです。(350字以内)

この志望動機のポイントは、旅行が大好きであり、それらの経験を活かしたいというプロセスがアピールされている点です。

様々なホテルの宿泊経験を通じて、ホスピタリティあふれるホテルで働きたいという想いが生まれ、その中でこの企業への就職を決意したというバックボーンが見えるような志望動機です。

豊富な旅行経験は、ホテル業界で働くうえでも大いに役立つものですので、志望動機でも十分にアピールすることをおすすめします。

語学力を活かしたサービスマンになりたいから

例文

私がホテル業界を志望する理由は、語学力を活かしたサービスマンになりたいからです。
私は、大学で英語を専攻しており、海外旅行に行くことが趣味です。大学での勉強と海外旅行で培った語学力を活かして、外国人のお客様に質の高いサービスを提供したいと考えております。
長野トラストホテルは、国際的なホテルチェーンであり、多くの外国人のお客様が利用しています。「グローバルホテル Award 2023」では、第1位にランクインした実績も拝見しました。そのような環境で、自分の語学力を活かして、お客様と円滑なコミュニケーションを図ることで、より満足度の高いサービスを提供したいと考えています。
入社後も積極的に語学力を磨き、様々な国籍のお客様に対応できるように努力していきます。(350字以内)

この志望動機のポイントは、「語学力」というホテル業界において求められる強力な武器をアピールできている点です。

海外旅行以外にも、大学では英語を専攻している点から、語学力のレベルは確かなものであるという印象を与えられる志望動機です。

語学力の高さをアピールする際は、志望動機以外の経験・資格にて、TOEICの点数などの目に見える数値で説得性を強調することをおすすめします。

ホテルを発展させて観光業を盛り上げたいから

例文

私がホテル業界を志望する理由は、ホテルを発展させて観光業を盛り上げたいからです。
私は、生まれ故郷である気仙沼が大好きで、観光業の発展に貢献したいと考えております。ホテルは、観光客にとって大切な滞在場所であり、かつ地域の魅力を発信する役割も担っています。気仙沼グランドホテルは、地域に根差したホテルとして、観光客に愛されています。私も気仙沼へ旅行に行った際は、必ず気仙沼グランドホテルを利用しているので、サービスの良さは実感しています。
私が大好きなホテルで働くことで、地域の魅力を発信し、観光業の発展に貢献したいです。入社後は、地域の歴史や文化を学び、お客様に魅力を伝えられるよう、知識を深めていきます。(350字以内)

この志望動機のポイントは、自身が宿泊客である点をダイレクトにアピールしている点です。

また、生まれ故郷である点もアピールできているため、入社後は土地柄に詳しい知識豊かなサービスマンとしての活躍を期待できるような志望動機です。

ホテルの利用経験がアピールされた志望動機は、人事担当目線で見ても魅力的に映る内容ですので、他の就活生と差別化を図ることができる理想的な志望動機です。

ホテル業界の志望動機は他の就活生との差別化を図ろう!

本記事では、ホテル業界の概要や志望動機の書き方、例文・ポイントなどについて解説しました。

ホテル業界は、人々の旅を支える重要な役割を担っています。お客様から「ありがとう」の言葉をもらえるような、ホスピタリティあふれる魅力的なホテルで働きたいという夢を持つ就活生も多いでしょう。

しかし、内定を獲得するためには、熱意や意欲を伝えるだけではアピールとして弱いとみなされます。なぜなら、人気ホテルであればあるほど、応募倍率が上がって他の就活生との競争が激化しますし、具体的なエピソードを交えた志望動機をもった就活生のほうが人事担当の目には魅力的に映るためです。

採用担当者に「なぜホテル業界なのか」「なぜそのホテルなのか」を明確に伝えた上で、入社後にどのように貢献できるのかをアピールしましょう。

志望動機に「社風」はあり?書く際のポイントや注意点を解説【例文付き】

志望動機として「社風」を挙げるのは珍しいことではありません。社風が合わなければ働き始めてから負担になることもあり、そのような事態は企業としても望んではいません。そのため、事前に企業研究をして社風を理解し、その上で社風を理由としているのであれば、良い印象を与える材料にもなるでしょう。

この記事では、志望動機で社風を盛り込む際のポイントや注意点を解説します。記事の後半では、実際に社風を志望動機にした例文を紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

社風を志望動機に挙げてもいいのか

企業が持つ独自の文化や風土、価値観といった要素を総称して「社風」と呼びます。従業員の行動様式や意思決定の基準、コミュニケーションの方法といった社内のあり方が反映されることで、企業ごとに違った独自の社風が形成されます。

こういった社風を志望動機として挙げるのに問題はありません。企業を選ぶ際、製品やサービスの魅力はもちろん、社風は非常に重要な要素であると言えます。応募者にとって、自分が働く環境が自己の価値観キャリアプランに合致しているかどうかは、長期的に仕事で成果を上げ続けるための鍵となります。

経営理念や社員の働き方、チームワークの様子など、自分が重視する社風のポイントを志望動機に盛り込むことは、積極的な姿勢をアピールする上で有効でしょう。社風を盛り込むことは人事担当者に対し、入社後にその企業の一員として貢献したいという真摯な気持ちを伝える絶好の機会でもあります。

ただし、社風に惹かれた点だけをアピールするのは逆効果です。それ以外にも企業独自の事柄などを挙げ、多面的な志望動機にするようにしましょう。

志望動機に社風を盛り込むメリット・デメリット

メリット

他社との最別化がしやすい

志望動機に社風を取り入れることで、他社との差別化を図れます。同じ事業をしている企業でも社風は違ってきます。社風を取り入れることによって、他社と違った内容の志望動機を作成できるでしょう。

例えば「業界内でも〇〇があるところに魅力を感じている」など、多くの企業がある中でどうしてこの企業を選んだのか、といった内容をアピールすると他社と差別化を図れます。社風を挙げることで、志望度の高さをアピールできるでしょう。

企業をしっかりと理解している

志望動機に企業の社風を盛り込むことで、企業をしっかりと理解しているといった印象を残すことができます。企業の社風を分かっているということは、その企業のビジョンや価値観に共感していることを意味します。

企業を理解することで、志望動機を具体的に述べることができるでしょう。また、企業の社風に合った働き方や人間関係を求めることができるため、自分にとって理想的な環境を見つけることができます。ほかにも企業をしっかりと理解することで、自身の熱意や関心を示すことができます。

入社した後のミスマッチを防げる

入社前に企業の文化価値観を理解し、それに合致する志望動機を示すことで、自身がその企業で働くことに適性や意欲を持っていることをアピールできます。社風と自己イメージが合わない場合は、入社後のモチベーション低下やストレスの原因になる可能性があります。

ほかにも、もし入社してすぐに退職となっては、企業にとっても採用した意味がなくデメリットでしかありません。

社風を分かっていると、人事担当者は適切な人材を採用することができ、入社後のミスマッチを減らせます。

デメリット

ビジョンが不明確

企業側は学生の働くビジョンを確認したい場合が多いです。社風を志望動機に盛り込むと、そういった学生のビジョンを把握しにくいでしょう。例えば「チームワークの良さが魅力的だと思い貴社を選んだ」だと、内容が抽象的過ぎてビジョンが分かりません。

どのような環境で働きたいのか、どのような価値を提供したいのかを明確にすることで、志望先企業との相性将来の可能性を見極めることができます。社風を取り入れる場合、具体的なビジョンを絡めながら書くと好印象のアピールに繋がるでしょう。

ほかの学生と差別化を図るのは難易度が高い

志望動機に社風を取り入れるデメリットとして、多くの学生が同じような志望動機を持っているため、ほかの学生と差別化するのが難しい場合が多いです。志望動機に社風を盛り込むなら、ほかの学生が思いつかないようなことを書くのが重要です。

例えば、企業説明会での感想や社風についての感想を取り入れるのが効果的でしょう。ほかの学生と差別化を図るためにも、まずは企業説明会などに参加して話を聞いてみるのをおすすめします。

社風を志望動機に盛り込む際のポイント

社風に対する具体的な内容を盛り込む

社風を志望動機に盛り込む場合は、具体的な内容を記載することが重要です。単純に「貴社の社風に共感した」のみでは、抽象的すぎて分かりにくいでしょう。社風をどのように分析して解釈し共感したのか、具体的に記載するのが大切です。

例えば「この会社のビジョンである世界をより良い場所にするという目標に大きく共感しました」などのように具体的に記載すると、人事担当者に分かりやすく最後まで目を通してもらいやすくなります。

社風に対しての自分の考え方を盛り込む

志望動機を書く際、社風に対しての自分の考え方を盛り込むのも大切です。社風を交えつつ自分が入社したらどのように活躍できるかを記載するといいでしょう。具体的には「コミュニケーションを大切にし、チームワークを重視する風土は私の価値観と合致しており、積極性を発揮できる」といった内容をアピールするようにしましょう。

また、自身の考え方や価値観についての自己分析をしっかり行うことが重要です。自分がどんな風に働きたいのか、どのような環境で成長したいのかを明確にしておくと、より志望動機を具体的に記述することができます。

社風によってどのように活躍できるかを記載する

活躍できる社風を見つけるには、自分とマッチした社風の理解と見極めが重要です。まずは、どのような社風が自分にとって合っているのかを明確にする必要があります。これには、自己分析が役立ちます。自分の強みや価値観を把握し、それに合う企業の社風を見つけることが重要です。

具体的には「社員を思いやる環境の中で、自分のコミュニケーション能力を発揮し、良い雰囲気作りができるよう取り組んでいきたい」といった書き方にすることで、人事担当者に伝わりやすくなるでしょう。

社風と事業内容の関連性を図る

「この会社だと自分のしたいことができる」このようにアピールするには、社風と事業内容の関連性を図ることが重要です。社風は企業のミッションやビジョン、従業員の考え方や行動指針に大きな影響を与えます。

具体的には、社風が顧客に対する姿勢や品質意識に関わり、事業内容の品質サービス水準に反映されることがあります。例えば「従業員が協力し合い、チームワークを重視する社風」を持つ企業は、製品の開発やサービスの提供においても、効率的で高品質な成果を生み出すことができるでしょう。また社風は企業のブランドイメージとも関係し、顧客の信頼にも影響を与えます。

社風は、企業の目指す方向性や事業内容から作られている場合が多いです。それらの社風は、必ず事業内容と何かしら関係があります。そうした関連性に目を向けることで、充実してより密度のある志望動機が出来上がるでしょう。

企業を研究した結果を取り入れる

社風を志望動機に盛り込む場合、自分が企業について研究した結果を取り入れることも大切です。社風は設立当初から精神や理念、これまでの成果や実績と結びついていることが多いです。なぜ今の社風になったのか、自分なりに研究してアピールすることで、企業への興味の度合いが人事担当者に伝わるでしょう。

具体的には「御社は創業以来顧客を大切にする、といったことを掲げておりその結果、現在では全国に〇〇店舗までお店が増えたように思う」などと記載すると分かりやすいです。

社風を志望動機に盛り込む際の構成の作り方

  1. 一番最初に結論を伝える
  2. 結論を裏付ける理由を伝える
  3. 具体性のあるエピソードを伝える
  4. エピソードの中にある問題点を伝える
  5. 問題を解決するためにとった行動を伝える
  6. 行動した結果どうなったかを伝える
  7. 最後は経験を通してどう活躍できるのかを伝える

社風を志望動機に盛り込む場合は、結論から書いていきましょう。結論から書くことで、倫理的な思考ができる人といったイメージを持ってもらいやすいです。次に結論を裏付ける理由を書くことによって、読み手の興味を惹きつけたり、結論の説得力を高められます。

また自分の過去の経験など、具体性のあるエピソードを盛り込みましょう。ここでの注意点として、話は脱線することなく根拠に基づくことを書くのが大切です。関連したエピソードでなければ、相手の興味が薄れ、評価につながらないので注意が必要です。

エピソードの中には、経験してきた中での課題点やぶつかった壁もあるでしょう。そのような状況を改善した結果を取り入れることで、人事担当者に良い印象を与えることができます。具体的な課題点を記載し、問題解決のために自分がどのような行動をとったかを伝えましょう。具体的なプロセスを記載することで、自分自身の人柄を知ってもらえるきっかけになります。行動した結果に具体的な数字を入れて記載すれば、よりイメージしやすくなります。

そして例文の最後には、その経験をどのように活かしたいか必ず書きます。経験からの学びを社風に絡めることによって、人事担当者に入社したい意欲が伝わるので、軸を押さえ簡潔にまとめていきましょう。

志望動機に社風を盛り込んだ例文

例文1:挑戦できる環境

例文

私は貴社の「挑戦できる社風」に惹かれ、志望いたしました。学生時代、私は県が主催する「地域活性のための学生アンバサダー」に挑戦した経験があります。これは地元の農産物の魅力を全国に広めるため、学生が主体となってイベントやラジオ・テレビへの出演といったPR活動を行うものです。当時は人前に出る経験が少なく不安もありましたが、大好きな地元の役に立ちたいとの思いから思い切って応募しました。地域の方々の協力を得ながら様々なアイデアを形にしていく過程で、大きな達成感を得ることができ、挑戦することの大切さを学びました。

貴社はAIを活用した農業支援サービスという先進的な事業にいち早く挑戦しているベンチャー企業です。そのような環境で学生時代に培った挑戦力と企画力を活かし、貴社の成長と社会に貢献したいと考えております。(400字以内)

「挑戦できる社風」に惹かれたという具体的な理由を最初に説明することで話の趣旨が明確になっています。

学生時代の「地域活性のための学生アンバサダー」の経験が事業と関連している点や、アンバサダー経験を通じた自分の変化や成長にも触れられている点も評価ポイントです。

企業の成長と社会に貢献したいという意欲をアピールする文章で締められており、企業に採用してみたいと思わせる説得力が感じられる内容になっています。

例文2:風通しが良い

例文

私は貴社の社員間や上下間のコミュニケーションが活発な風通しのよさに魅力を感じ、志望いたしました。大学時代にイベントサークルに所属していた際、企画段階で意見が衝突し、プロジェクトが停滞してしまった経験があります。その際には先輩が積極的にメンバーと意見交換の場を設け、互いの意見を尊重しながら解決策を導き出してくれました。その経験から、コミュニケーションの重要性と、上下に関係なく誰もが積極的に意見を提案できる環境の大切さを学びました。

貴社は全社員参加型会議や1on1ミーティング、シャッフルランチなど、様々なコミュニケーション活性化の取り組みを実施していると伺っております。そのような環境で、大学で培った企画力を活かして自分のアイデアを積極的に提案し、チームの一員として貢献したいと考えております。(350字以内)

「風通しが良い」という表現は抽象的な印象になりがちです。しかし、この例文では「上下間のコミュニケーションが活発」と具体的に述べ、企業が実施している取り組みについても説明されているため、学生がきちんと企業研究をしていることがわかります。

また、ただ上下関係が良好というだけでなく、大学時代の自分の経験と結びつけていることで、コミュニケーションの重要性を説得力を持って伝えられているところも評価できます。

例文3:実力主義

例文

貴社の評価制度が明確で実力を重視する社風に魅力を感じて志望いたしました。貴社のインターンに参加した際、2学年しか離れていない社員の方がプロジェクトの中心メンバーとして活躍している姿を見て強い憧れを抱きました。

私は大学のサークルやゼミでもリーダーを務めた経験があり、チームの課題解決に自信があります。この経験から、社会人になっても自ら率先して動き、チームの目標達成に貢献したいと考えています。貴社には努力次第で性別や年齢に関係なく管理職に挑戦するチャンスがあり、能力のある社員はより難易度の高い仕事に挑戦できる環境があると伺いました。

貴社に入社できた際には営業職として個人の業績目標を達成することはもちろん、入社3年以内に若手リーダーを目指し、チームのマネジメントや後輩の育成にも携わっていきたいです。(350字以内)

実力主義の社風に共感する姿勢からは仕事に対する意欲の強さが感じられ、インターンに参加していることから志望度の高さも読み取れます。入社後の目標ややりたいことが明確なので、企業としても「将来活躍してくれそうだ」というイメージを描くことができそうです。

ただし、若手リーダーやマネジメントを目指すのであれば企業にリーダーとしての素質をアピールすることも必要です。リーダーを務めた事実だけでなく実績も説明できるとより説得力が増し、魅力的な志望動機となるでしょう。

例文4:顧客を優先して考える

例文

私は、貴社の「とことん顧客の悩みに寄り添う」という顧客最優先の経営理念に共感し、志望いたしました。私は大学時代、化粧品原料の研究に取り組んでいました。多くの文献を読み、様々な実験を繰り返す中で、敏感肌の方の肌悩みの深さを実感しました。そして、人々の肌の悩みに寄り添い、化粧品を通して肌質が変わる喜びを届けたいという思いを抱くようになりました。

貴社は、長年にわたる研究開発によって敏感肌の方でも安心して使える化粧品を数多く生み出してきました。この実績は、まさに「とことん顧客の悩みに寄り添う」という経営理念を体現していると感じます。

私も貴社の一員として自分の知識と経験を活かし、お客様の肌悩みに真摯に向き合い、一人ひとりに最適な化粧品を提供することで、美しさを引き出すお手伝いをしたいと考えております。(350字以内)

大学での研究内容と応募職種に関連性があり、志望動機が非常に明確です。化粧品に関する専門知識があるだけでなく、研究を通して顧客ニーズを理解しているのは他の学生と差別化を図る上で強力なアピールポイントになります。

企業の強みを具体的に挙げ、自分の知識と経験をどう活かせるかを説明できている点も好評価です。敏感肌の人の悩みの深さを実感した出来事をもう少し詳細に描写するとリアリティが増し、より説得力のある志望動機になるでしょう。

志望動機に社風を挙げる際の注意点

具体的なエピソードを書く

志望動機を作るには過去の実体験など、具体的なエピソードを盛り込むことが重要です。例えば、大学生時代に行ったアルバイトでの成功体験や、困難な場面を乗り越えた経験などが挙げられます。これにより、自分の能力や経験を証明することができ、企業に対して自信を持ってアピールできます。

また、入社後に実現したいキャリアプランを具体的に盛り込むことも大切です。具体的な目標や成長を描くことで、将来への意欲をアピールすることができます。

ネガティブな内容は避ける

人間関係のようなネガティブな内容を書いてしまうと、人事担当者に「もし入社しても、人間関係のストレスに耐えられないかもしれない」といった印象を与えてしまいます。そういったエピソードを記載してしまうと不採用となる可能性も高くなるでしょう。

人事担当者からは、良好な人間関係の構築能力や円滑なコミュニケーション能力が求められますので、ネガティブな印象を与えることは避けるべきです。

社風のみのアピールは避ける

社風のみをアピールするのは避けてください。理由として、意欲に欠けているイメージを持たれる可能性があります。理想的なのは、社風と社風以外の志望動機を盛り込むようにしましょう。

具体的には「自身の価値観や人格と企業の文化がマッチしていることが強調できる」「私自身がこの企業の社風に共感し、積極的に働きたいという意欲を持っている」といったことを記載するといいでしょう。

志望動機に社風を盛り込む場合は自分の言葉で書くのが大切!

志望動機に社風を盛り込むのは問題ありません。しかし社風のみを盛り込むのではなく、社風と社風以外の志望動機を結びつけて書くことが重要でしょう。またテンプレートのような例文ではなく、社風に対して感じたことなどを自分の言葉で記載するのが大切です。

またエピソードを記載する場合は、具体的に書くようにしましょう。そのほうが、人事担当者の興味を惹くことができます。志望動機に社風を盛り込むためには、具体的なエピソードや今後の目標などと絡め、企業が印象に残るエントリーシートにしていきましょう。

【例文あり】志望動機に「企業理念」を挙げる書き方と注意点を解説

企業理念を盛り込んだ志望動機を書く際に、「どんなポイントを押さえて書けばいいかわからない」「実際の例文がないとどうしてもイメージしにくい」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

企業理念を盛り込んだ志望動機を書く上でポイントになるのは、「あなたの具体的なエピソードを絡めて、他の就活生と被らないようにすること」です。

本記事では、企業理念を盛り込んだ志望動機を書く際のポイント周囲と差別化するためのポイント注意点などについて解説しています。

他の就活生との差別化を意識して志望動機を書こう

志望動機を作成する際は、多くの就活生が企業理念への共感をアピールします。多くの方にとって取り入れやすいアピール方法であるため、自分自身を他の就活生としっかりと差別化しなければ、あなたの印象を残すことができません。

一般的に、企業理念は明確な表現ではなく、抽象的に表現されている場合が多い傾向です。抽象的な企業理念に対して、「共感しています」とアピールするだけでは説得力が弱いため、具体的な内容でアピールする必要があります。

一方、「企業理念」とは就活を始めるまで触れる機会が少ない要素であるのも事実です。「そもそも企業理念は聞きなじみがないから、どんなものなのかイメージできない」という方もいるでしょう。

次項目では、企業理念の基本概要について解説していきます。企業理念について初めて調べる方も既に理解を深めている方も、まずは目を通してみてください。

企業理念の基本概要

企業理念とは

企業理念とは、企業が大切にする価値観や考え方をあらわすものです。

下記では、企業理念を主に構成する4つの要素をそれぞれまとめました。

  • 存在意義:企業がなぜ存在するのか
  • ミッション:企業がどのような事業をおこなうのか
  • ビジョン:企業がどのような未来を目指しているのか
  • バリュー: 企業が大切にしている価値観

このように、企業理念は企業の存在理由や会社経営の目的、どんな社会貢献を目指すのかをわかりやすく示し、社内外に伝える重要な役割を担っています。

経営理念との違い

経営理念は企業理念と混同されやすいですが、概念はそれぞれ異なります。

経営理念とは、経営者としての考え方や価値観を表したものであり、主に経営層が会社を経営していく際の判断基準として用いる指針です。一方、企業理念とは社長・経営層、そして従業員を含めた組織全体で共有する価値観や考え方を表したものです。

いわば、経営理念は一般社員が触れることのない、社長・経営層のみが携わる経営判断の指針であるといえます。基本的には、志望動機を書く際に触れるのは経営理念ではなく、企業理念の方であると頭に入れておきましょう。

社是や社訓との違い

社是や社訓も、企業の理念を表す言葉ではありますが、以下のような違いがあります。

  • 社是:企業の基本的な方針や信条をあらわしたもの
  • 社訓:従業員が守るべき心得や規範をあらわしたもの

一般的に、企業理念は抽象的なかたちで表現されることが多い傾向にあります。企業理念をよりわかりやすく具体的に表現するために、社是や社訓が別途設けられます。ほとんどの場合、志望動機を書くにあたって、社是や社訓を参考にすることはないため、企業理念への共感に留めることが多い傾向です。

いわば、社是や社訓は入社した後に意識することが求められる要素であるといえます。

志望動機に企業理念を加えるメリット

価値観への共感をアピールできる

企業理念は、その企業が大切にしている価値観ビジョンを示すものです。志望動機に企業理念を盛り込めば、その企業の理念に共感し、共に歩んでいきたいという強い意志を伝えられます。

面接官は、入社後のミスマッチを防ぐために、あなたの価値観や人柄が企業理念とマッチしているかどうかを重視します。志望動機に企業理念への共感を加えれば、あなたが企業とカルチャーマッチしていることをアピールできます。

企業理念への共感は誰にでもできる

企業理念は、企業のコーポレートサイトや採用ホームページ、採用動画などで公開されているので、企業理念を知り、共感することは決して難しくありません。あなたがエントリーする企業の理念をしっかりと理解し、自分自身の価値観と照らし合わせて共感できる部分を見つければよいのです。

企業理念への共感は、必ずしも特別な経験やスキルが必要ではありません。あなたが少しでも共感できるポイントを積極的に見つけることが重要です。

他企業の志望動機に応用できる場合がある

多くの場合、企業理念には多くの企業にも共通するようなキーワードが含まれています。

たとえば、「顧客第一主義」「社会貢献の追求」などのキーワードが挙げられます。これらのキーワードは、特定の企業のみではなく、複数社の志望動機に共通して使用できる場合があります。

しかし、単にまったく同じキーワードを羅列するのみでは、テンプレートのような内容になってしまうため、人事担当にとって魅力的な志望動機ではありません。だからこそ、企業が掲げる理念をしっかりと理解し、どんな部分に共感しているのかを具体的に説明することが重要です。

企業理念を志望動機に取り入れる際の鉄則

自己分析をする

企業理念を志望動機に取り入れるにあたって、まずは自分自身の価値観や強みをしっかりと理解する必要があります。なぜなら、自己分析を通じて自分を知らなければ、あなたが「なぜその企業を志望するのか」という筋道を書けないからです。

自己分析においては、あなたが仕事において大切にしたいことや理想の働き方、どんな社会貢献をしたいのかなど、仕事におけるあなたの価値観を明らかにしましょう。

自己分析をおこなう際は、自分自身に自問自答しながら進めていくのが鉄板ですが、誰かに相談しながら進めたい場合は、大学の就活課キャリアカウンセラーの力を借りるのもひとつの手です。

徹底的に企業研究をおこなう

企業理念は、企業の根底にある思想や行動指針を表しています。企業のホームページに目を通せば、企業理念の概要はある程度理解できますが、そこに至った社長・経営層の考えや価値観などを具体的に知ることはできません。

企業理念を十分に理解するためには、企業のホームページ採用動画インタビュー記事などのあらゆる情報に目を通すことが大切です。また、近年ではSNSを運用する企業も多く存在し、経営層や人事担当が企業理念について発信しているケースもあります。

さまざまな方向から企業理念への理解を深めれば、志望動機を書く際の材料を得られるでしょう。

インターン・OB訪問・説明会に参加する

実際に企業へ足を運べば、企業の雰囲気やカルチャー、どんな従業員が働いているのかを実感できます。企業を直接見ることで、企業への理解がより深まり、最終的には入社後のミスマッチを防ぐことにもつながります。

企業が実施するインターンOB訪問説明会などに参加して、どのようなかたちで企業理念が従業員の行動に落とし込まれているのかを体感しましょう。より企業への理解を深めるのであれば、従業員に対して「どのようなシーンで企業理念を意識しているのか」を質問してみるのもひとつの手です。

志望動機に企業理念を加える際のポイント5選

差別化を図る

企業理念への共感は、多くの就活生が取り入れるアピール方法であるため、人事担当へ強い印象を与えることは難しい傾向です。そのような前提の下、具体的なエピソードや独自の視点をエッセンスとして加え、志望動機の差別化を図るための工夫が重要です。

下記では、他の就活生と被りにくいオリジナリティのある志望動機の一例を紹介します。

貴社が掲げる『顧客第一主義』という理念へ深く共感しました。大学時代には、アルバイトで接客業を経験し、お客様一人ひとりに寄り添ったサービスを提供することの重要性を学びました。

貴社では、お客様一人ひとりに対するサービス向上のために、顧客満足度を可視化できる独自のクラウドサービスを取り入れていることを知りました。入社後は、この経験を活かして、お客様が喜んでくださるサービスを追求し、常に相手にとって最高のサービスを提供したいと考えております。

このように、企業理念へ共感した理由と、どのように貢献できるのかを明確に説明すれば、説得力のある志望動機に仕上げることができます。

ファン目線に立たない

企業理念への共感をアピールする際は、ファン目線に立ってはいけません。なぜなら、企業理念への共感を伝える目的は、ファンアピールではなく、「あなたを採用したい」と企業に思ってもらうことであるためです。

たとえば、「貴社の製品・サービスが大好きで、いつも愛用しています。」というような内容では、入社後に貢献できることを示していないため、評価されにくい可能性があります。人事担当へ刺さる志望動機を書き上げるためには、企業理念への共感が、どのようなかたちで入社後の貢献へつながるのかをあなた自身の言葉でアピールする必要があります。

企業理念への共感を志望動機へ盛り込む際は、あくまでも「企業理念に共感し、どのように貢献できるか」という点にフォーカスを当てましょう。

具体的なエピソードを含める

企業理念への共感を表現するためには、具体的なエピソードを含めることが重要です。なぜなら、具体的なエピソードがなければ、企業理念に共感した道筋がハッキリせず、「なぜ企業理念へ共感したのか」という裏付けを用意できないためです。

例として、「〇〇という企業理念に共感しました」と書くよりも、「大学時代に〇〇という経験を通して、〇〇という企業理念の大切さを学びました」と書いた方が、企業理念へ共感した理由がわかりやすいため、人事担当へ印象を残せます。

企業理念への共感をアピールする志望動機を書く際は、あなたが経験した具体的なエピソードを交えれば、より説得力のある志望動機に仕上がるでしょう。

仕事への意欲もアピールする

志望動機を書く際は、企業理念への共感だけではなく、仕事への意欲もアピールしましょう。なぜなら、企業が新入社員へ主に求めることは、「入社後にどのような貢献をしてくれるのか」という将来への期待であるためです。

具体的には、「貴社の〇〇という事業に携わりたいと考えております」というように、具体的な事業名職種を挙げれば、仕事に対する熱意を明確に伝えられます。事業名や職種に触れれば、「会社のことをよく調べているな」という好印象を残せるというメリットもあります。

志望動機を書く際は、企業理念への共感と仕事への意欲をセットでまとめることを意識しましょう。

価値観に対する共感を強調する

企業理念とは、企業の価値観を具体的に表現するものです。下記のような志望動機を書けば、あなたの価値観が企業理念と合致している点をアピールできます。

貴社の『挑戦を恐れない』という理念に共感しました。私も大学時代には、〇〇ということに挑戦し、失敗を乗り越えながら成長してきました。入社後も、このチャレンジ精神を活かして、貢献したいと考えております。

このように、ただ漠然と「共感しました」と書くのではなく、具体的なエピソードを交えながら、価値観に対する共感をアピールしましょう。

志望動機に企業理念を加える際の5ステップ

企業理念に共感している結論

最初に、あなたが企業理念へ共感していることを明確に伝える必要があります。なぜなら、志望動機の冒頭は人事担当が最初に目にする部分であり、もっとも印象に残る要素であるためです。最初に一番伝えたい結論を述べた方が、文章構成を意識している点もアピールできます。

たとえば、「貴社の『〇〇』という企業理念に深く共感し、志望いたしました。」のように、簡潔かつ力強く表現する方法がおすすめです。

この書き方を取り入れる際は、企業理念の概要をそのまま記すため、書き間違いがないように気を付けましょう。

共感に至った経験やエピソードを具体的に書く

企業理念への共感に至った具体的な経験やエピソードを盛り込みましょう。企業理念への共感を伝えるのみでは、「どんな道のりを歩んだ結果、企業理念へ共感したのか」というプロセスがわからず、志望動機全体に説得性を持たせられないためです。

たとえば、学生時代に力を入れた活動やアルバイトでの経験などと企業理念を結びつければ、企業理念への共感を具体的にアピールできます。志望動機に取り入れる経験やエピソードは、できるだけ企業理念への共感に関連しやすいものを取り入れましょう。

これまでの経験から得た自身の価値観を書く

続いて、これまでの人生で培ってきたあなたの考えや価値観を書きましょう。あなたの考え価値観を明確にアピールすれば、あなたがどのような人柄なのかを人事担当へアピールできます。

具体的には、学生時代に頑張ったエピソードやアルバイトでの経験を通して学んだことなどエピソードを交えながら、自身の価値観を書くのがおすすめです。エピソードを絡めずに考えや価値観のみ書いてしまうと、説得性のない内容になってしまうので気を付けましょう。

自身の価値観と企業理念の共通ポイントを書く

続いて、あなたの価値観と企業理念における共通点を明確に示しましょう。企業理念をただ羅列するのではなく、共感したポイントを具体的に説明し、自身の価値観とどのようにマッチしているのかをアピールすることが大事です。

あなたの価値観とマッチしているところをアピールすれば、人事担当へよい印象を残せるはずです。企業は人と同様に、自分と同じ考えを持つ相手へ歩み寄ろうとしてくれます。企業はお互いのミスマッチがないように、書類選考や面接試験などを経て、学生の考えや価値観を慎重に見極めます。価値観が合うことをアピールできれば、「長く一緒に働ける仲間になってくれそう」と企業から思ってもらえるでしょう。

今後どのように貢献していきたいかで締める

最後に、入社後はどのように企業へ貢献していきたいのかを明確に書きましょう。あなたの強み経験を活かして、どのように貢献できるのかを具体的に示せば、仕事への熱意や意欲をアピールできるはずです。

志望動機の締め部分は、文章全体を締めくくる重要な箇所であり、冒頭の文章と同じくらい印象に残る要素です。前向きな文章で締めくくれば、人事担当へプラスの印象を持ってもらえる可能性が高まります。「会社へどのように貢献したいのか」という意欲をしっかりと表現できれば、仕事への熱意をアピールできるでしょう。

企業理念を用いた志望動機の例文5選

①「顧客満足度を追求する」サービス企業のケース

例文

私は、貴社の「顧客満足度を追求する」という企業理念に深く共感し、志望いたしました。
大学時代には、アルバイトで接客業をしており、お客様に喜んでいただけるサービスを提供することにやりがいを感じていました。この経験を通じて、私はお客様に喜んでいただき、笑顔になってもらえるようなサービスを追求できる仕事に就きたいと考えました。
貴社が実施されている「お客様サンクス制度」では、接客力の高さをお客様目線で評価していることを知り、ぜひ私もそのような環境で接客力を磨きたいと思いました。入社後は、これまで培ってきた接客経験を活かし、お客様一人ひとりに寄り添ったサービスを提供することで、顧客満足度向上に貢献したいと考えております。(350字以内)

この志望動機のポイントは、アルバイト経験を通じて得た価値観と企業理念が非常にマッチしている点です。

「顧客満足度を追求する」という企業理念は抽象的であるため、顧客満足度を高めるために何らかの経験を積んでいなければ、成果を残すことは難しいでしょう。そのため、接客業という顧客とのコミュニケーションを主におこなう仕事を経験したエピソードは、企業理念を体現してくれる学生として期待してもらえるでしょう。

②「採用のミスマッチをなくす」人材企業のケース

例文

私は、貴社が掲げる「採用のミスマッチをなくす」という企業理念に共感し、志望いたしました。
大学生活では、キャリアコンサルタントの資格取得を目指し、インターンシップに参加しました。そこで、多くの方々が希望と異なる職種に就職した結果、入社後のミスマッチを感じ、転職せざるを得ないという現状を知りました。
貴社の人材紹介事業では、入社後のミスマッチを防ぐことを目的とした独自のマッチングイベントを開催していることを知り、感銘いたしました。入社後は、これまで培ってきたキャリアコンサルティングの知識と経験を活かし、一人ひとりの適性やキャリア目標に合った企業を紹介して、採用のミスマッチをなくし、社会貢献していきたいです。(350字以内)

この志望動機のポイントは、企業理念への共感に加えて、キャリアコンサルタントを目指す意欲が伝わる点です。

「採用のミスマッチをなくす」という企業理念は、何らかのかたちで人材採用・育成などに携わった経験がなければイメージしづらい傾向です。この例文では、キャリアコンサルタントになるための勉強やインターシップへの参加を通じて、「採用のミスマッチ」という課題を見つけたことが筋道立ててまとめられています。

キャリアコンサルティングに関する知識も兼ね備えていることから、仕事に対して高いモチベーションを持っていることが伝わる内容です。

③「デジタル化で生活を豊かにする」IT企業のケース

例文

私は、貴社の「デジタル化で生活を豊かにする」という企業理念に共感し、志望いたしました。
大学時代には、情報工学を専攻し、プログラミングのスキルを磨きました。その中で、IT領域は人々の生活をより豊かにする力があり、今後もますます拡大し続ける分野であるという確かな確信を得ました。
私は、貴社が手がける独自のクラウドサービスを世の中に広め、多くの方々が便利で効率的な生活を送れる未来を実現したいです。入社後は、これまで培ってきたプログラミングスキルを活かし、人々の生活を便利で豊かにするような革新的なサービス開発に貢献したいと考えております。(300字以内)

この志望動機のポイントは、「デジタル化で生活を豊かにする」という企業理念への共感だけでなく、既にIT領域を勉強しているため、即戦力としての活躍を期待できる部分です。

近年、IT領域は私たちの生活に深く浸透しているため、IT領域が今後さらに発展していくことは誰もが知っていることです。しかし、大学での専攻を通じてIT分野を深く勉強している場合、実体験をふまえてIT領域の発展性を理解しているといえます。

この例文は、入社後もIT領域において即戦力となれる将来像をアピールできるといえます。

④「成果を重視する」コンサルティング企業のケース

例文

私は、貴社の「成果を重視する」という企業理念に共感し、志望いたしました。
大学時代には、テニス部に所属し、副キャプテンを務めました。チーム目標達成のために、自ら積極的に練習に取り組むとともに、メンバーの士気を高めることに努めました。その結果、チームで掲げていた全国大会優勝という目標を達成できました。
貴社では、個人の成果をフラットに評価する独自の評価制度を新たに取り入れていることを知り、成果にコミットしたコンサルティングを体現したいと思っています。入社後は、これまでの経験を活かし、目標達成に向けて全力で努力し、成果を出すことで貢献したいと考えております。(300字以内)

この志望動機は、コンサル会社がもっとも大事にする「成果を重視する」という仕事のスタイルを、部活動の経験を通じて体現している部分が良い点です。

「成果を重視する」という企業理念を掲げている企業の多くは、プロセスよりも結果を重視している傾向です。達成した結果が大きいものであるほど、目標達成への意識を持っているとみなされるでしょう。

その視点でいうと、全国大会優勝という結果を残したエピソードは非常に魅力的であり、入社後の活躍も期待できるような例文です。

⑤「顧客のベストパートナーとなる」保険会社のケース

例文

私は、貴社の「顧客のベストパートナーとなる」という企業理念に共感し、志望いたしました。
大学時代には、ボランティア活動に参加し、地域の高齢者の方々と交流しました。その中で、多くの方が将来への不安を抱えていることを知り、自分も誰かの支えになりたいと思うようになりました。
そのような中で、貴社では子どもからお年寄りの方まで、幅広いお客様が安心した生活を送れる独自のライフサポートの提供に力を入れていることを知りました。入社後は、お客様一人ひとりのニーズに丁寧に寄り添い、最適な保険商品を提案することで、顧客のベストパートナーとして貢献したいと考えております。(300字以内)

この志望動機のポイントは、「将来の不安を抱えている人の支えになりたい」という価値観が企業理念、事業軸とともにマッチしている点です。

企業理念への共感に至るまでのエピソードにおいても、ボランティア活動という社会貢献度の高い取り組みをおこなっていた点も好印象です。

ボランティア活動を通じて、人が抱える将来への不安を解消するために、「保険」が有効な手段であると捉えた学生自身の考えも読み取れるような志望動機です。

オリジナリティあふれる志望動機で志望動機への共感をアピールしよう

本記事では、志望動機に企業理念を絡める際のポイントや注意点を詳しく解説しました。

エントリーシートの提出において、志望動機はほとんどの企業から問われる質問のひとつです。人事担当は膨大な数のエントリーシートをチェックするため、書類選考を通過するには、人事担当の目に留まるような印象的な志望動機を書くことが重要です。

企業理念は企業の根幹そのものであるため、企業理念をしっかりと理解していることをアピールすれば、「この子はうちの会社を知ってくれている」というプラスの印象を持ってもらえます。そのためには、人事担当が「必ず見る」であろう志望動機を有効活用しない手はありません。

あなただけの言葉で、企業理念への共感に至ったエピソードを企業へアピールしましょう。

【例文10選】広告業界の志望動機の書き方|選考を突破するコツ

広告業界は就活生から絶大な人気を誇ります。志望者が多く、難易度が高い会社も少なくありません。

内定を得るには、しっかりと自分の強みをアピールする必要があります。特に志望動機は差別化が必須です。

記述のポイントは、綿密に業界研究企業研究を行うことです。広告業界は学生の憧れを集めやすい反面、ビジネスモデルはあまり知られていません。業界研究で詳細を知り、「具体的にどのような仕事がしたいか」を明確にしましょう。

さらに企業研究で、あなたのビジョンに最適な会社を見つけ出します。ビジョンが適合する会社なら、熱意が伝わりやすく、内定を得やすくなります。

この記事では効果的な志望動機を作成するために、広告業界を深堀りします。広告業界の概要から志望動機の書き方、コツ、職種別の例文まで、徹底して解説しています。ぜひ参考にしてみてください。

高倍率で厳しい?広告業界の実態

高年収の企業が多く華やかなイメージがある

広告業界は華やかで、年収も高いイメージがあります。しかしすべての会社がイメージどおりに運営されているわけではありません。就活に臨む場合、業界研究・企業研究で実態を見極める必要があります。

広告代理店は、緻密なマーケティングにより、時代を先取りした独創的な広告をつくり出します。「新たな流行を仕掛ける」と考えれば、時代をリードする仕事です。外部から見れば華やかに映るかもしれません。

しかし実際の職場環境は社風次第だと言えます。全ての会社が華やかな雰囲気で仕事をしているわけではないのです。

年収も同様で、イメージの域を脱しません。国税庁の「民間給与実態統計調査(令和4年分)」(※参照1)によると、広告業界が属する「学術研究,専門技術サービス業」の平均給与額は564万円です。全職種平均の465万円よりは高いものの、突き抜けた額を期待できるわけではありません。実際に「金融・保険業」や「情報通信業」など、より高い平均額を示す業種もあります。

高年収のイメージは、電通や博報堂など巨大企業のイメージが強いためです。両社の平均年収は1,000万円を超えると言われ、入社すれば高年収を期待できるでしょう。

広告業界は大手企業ばかりではありません。業界全体を単一のイメージで見ず、自分が広告業界の中でもどんな分野で活躍したいのか、企業の特徴や強みをしっかり調べましょう。

実態は意外と知られておらず業界研究が必須

広告業界はイメージが先行する反面、実際の業務内容は意外と知られていません。企業を相手にするビジネスモデルのため、学生には縁遠い世界だからです。明確な目標を立てるためには、業界研究が必須です。

業界研究では、ビジネスモデルの把握から始めます。事業の全体像を掴むことで、各職種の役割も理解できるでしょう。

研究を重ねるうちに、徐々に夢を具体化できます。「CMの企画を出すプランナー」「キャッチコピーをつくるコピーライター」など、特定の職種を目標に据えられるようになるでしょう。

高倍率のため企業研究・自己分析で差別化を

広告業界は高倍率のため、志望動機の差別化が必須です。志願者に埋もれる志望動機では、企業は歯牙にも掛けません。

マイナビが2024年卒の大学生向けに実施した「業界イメージ調査」(※参照2)によると、「広告・芸能業界」は「就職先として検討したことのある業界」の第5位(全40業界中)に選ばれています。文系の女子学生に絞れば「官公庁・公社」を凌ぐ第1位で、30%以上が検討対象に挙げる人気ぶりです。実績があり業績も好調な会社は、相当な志願倍率が予想されます。

差別化を図るには、志望動機に具体性を持たせ、説得力のある内容にしなければなりません。ポイントは企業研究と自己分析です。

企業研究では、当該企業を選ぶ強い理由を示します。具体的であるほど熱意が伝わり、採用担当者の心を動かせるでしょう。

自己分析では、キャリアパスをつくることと、強みを見つけ出すことに集中しましょう。企業での目標を明確に掲げ、あなたの強みを押し出せば、志望動機は自ずと説得力のあるものになります。

取引先との関係で理解する広告業界のビジネスモデル

広告代理店と取引先との関係性

広告業界には、制作から掲載までの一連の流れを請け負う「広告代理店」と、制作のみを請け負う「広告制作会社」があります。後者は経験とスキルを問われることが多く、新卒採用を積極的に行いません。新卒では一般的に広告代理店に就職します。

広告代理店のビジネスモデルは、取引先との関係性で捉えると分かりやすいでしょう。

メディア企業とは、広告を掲載する新聞やテレビ、ラジオ、雑誌、Webサイトなどの広告枠を持つ企業を指します。自社が取り扱う広告枠を広告代理店や企業に販売し利益を得ています。

広告代理店は広告主の多様なニーズに応えるため、さまざまなメディア企業とつながりを持ち、広告枠を用意します。

同時に広告主となる顧客の話に耳を傾け、最適な出稿媒体・広告枠を提案します。媒体に応じたPRができるよう、慎重なマーケティングも欠かせません。マーケティングに基づき立案し、顧客の合意を得て広告や販促物、イベントで使用するものなどを制作します。制作は自社のクリエイターが引き受けるだけでなく、下請けの制作会社やに依頼する場合もあります。

広告代理店の収益は、顧客から支払われる発注費用です。発注費用全体からメディア企業に支払う広告費や制作会社への手数料などを差し引いたものが利益となります。

安定した利益を得るには、顧客の満足度が重要です。クリエイターの能力はもちろん、優れたマーケティング技術や、正確なヒアリングなど、社員一人ひとりの力が問われます。

志望先の絞り込み必須!広告業界の種類

会社選びの前提として理解したいのが、広告業界の種類です。広告業界は「総合広告代理店」「専門広告代理店」「ハウスエージェンシー」に大別されます。あなたのビジョンの達成に、どの形態が適切かを見極めましょう。

さまざまな媒体を手がける「総合広告代理店」

総合広告代理店は、広告枠を仕入れるメディアを限定せず、あらゆる広告を請け負う企業です。幅広い制作物をつくれる企業力が必要で、大手が多い傾向にあります。

広告を出稿する顧客にとっては、一度に複数の媒体を利用できるメリットがあります。消費者の目に留まりやすく、高い効果が期待できるでしょう。

さまざまな媒体の広告に携わりたい人や、規模の大きな仕事を経験したい人、大企業との取り引きを学びたい人に向いています。

一方で、特定の職種にこだわる場合は注意が必要です。大手総合広告代理店では「総合職」で採用されることが多く、就職後に配属先が決定されます。必ずしも希望が通るわけではありません。

子会社や関連会社を複数有し、制作を任せているケースもあります。クリエイター志望の場合、出向を命じられる可能性があることも肝に銘じておきましょう。

<代表的な企業>

電通

博報堂/博報堂DYメディアパートナーズ

ADKホールディングス

特定媒体・分野が得意な「専門広告代理店」

専門広告代理店は、特定の媒体に特化した企業です。得意分野を活かし、専門性の高い広告を制作します。ローカルメディアへの出稿に専門的に対応する企業など、特定地域で活躍する事例も多く見られます。出稿媒体が限定される分、メディア企業と良好な関係を築きやすいのが特徴です。

顧客目線で見れば、安価で専門性の高い広告を依頼できるメリットがあります。「高齢者向けにテレビ広告だけ流したい」「YouTube向けの動画広告をつくりたい」など範囲を限定する場合に便利です。

特定の媒体での専門性を高めたい人や、職種を限定して頑張りたい人、地域に根ざした事業に従事したい人におすすめです。

<代表的な企業>

サイバーエージェント(Web)

ジェイアンドユー(紙媒体)

ライドアウト(雑誌)

親会社の仕事を請け負う「ハウスエージェンシー」

ハウスエージェンシーは大手企業が設けた広告専門の子会社です。大手メーカー、新聞社、鉄道会社、通販会社などが設立した事例が多く見られます。

一般的には親会社からの依頼を専属で引き受け、「広告・宣伝部門」のような役割を果たします。経営は安定する傾向が強いものの、親会社の業績に引きずられるのが難点です。

親会社が広告枠を持つ場合、メディア企業から仕入れる必要がありません。たとえば鉄道会社のハウスエージェンシーは、駅の看板広告や電車の車内広告を自由に使えます。利益を上げやすいビジネスモデルだと言えるでしょう。

大企業の関連会社で働きたい人や、親会社のファン(〇〇電鉄が好き、〇〇自動車の広告をつくりたい等)、特定業界に特化したクリエイターを目指したい人におすすめです。親会社の広告なら媒体を問わず請け負うため、幅広いスキルを身に着けるにも良いでしょう。

<代表的な企業>

ジェイアール東日本企画(親会社:鉄道)

トヨタ・コニック・プロ(親会社:自動車メーカー)

インターワールド(親会社:テレビ通販)

広告業界の代表的職種と具体的な業務内容

広告業界の代表的な職種
  • 営業
  • マーケティング
  • クリエイティブ
  • 事務

ニーズを聞き出し広告の提案を行う「営業職」 

顧客に広告の提案を行うのが営業の仕事です。制作を受注するだけでなく、顧客の要望を細かく聞き取り、適切な提案をします。営業が正しくヒアリングしない限り、マーケティングが進まず効果的な広告案を出せません。広告制作は、営業から始まると言っても過言ではないのです。

営業の仕事は、受注して終わりではありません。顧客と広告の効果を共有し、制作陣にフィードバックします。広告業界は結果が全てのシビアな世界です。だからこそ、結果を冷静に分析し、より良い広告をつくる姿勢が大切です。顧客に継続的に寄り添うことは、長期的な取引関係の構築にもつながります。

さらに広告業界ならではの特徴と言えるのが、コンペの対応です。広告案を比較検討し、最良の会社に制作を依頼するため、広告主が開催することがあります。受注を目指す場合、他社に勝てる広告案を提示しなければなりません。高度なプレゼン能力と、自社の魅力を分かりやすく伝える資料作りが求められます。

市場調査をもとに広告を立案する「マーケティング職」

営業がヒアリングした内容を受け止め、市場調査を行うのがマーケティング職です。効果的な広告をつくるには、市場のニーズを正確に把握しなければなりません。市場調査に基づき、ターゲットに確実に届く広告案を立案します。

マーケティングの結果は広告の方向性を左右します。デザインやキャッチコピーも、マーケティングの決定に柔軟に対応しなければなりません。マーケッターは、広告制作の舵取り役でもあるのです。

広告を熟知し、分析結果から「良い広告案」を導き出せる経験豊かな人材がふさわしいでしょう。新卒の場合、先輩社員からノウハウをきっちり学ぶ必要があります。

人を惹き付ける広告をつくる「クリエイティブ職」

マーケティングの結果をもとに、実際に制作にあたるのがクリエイティブ職です。役割を分担しながら制作を進めます。いずれの職種もスキルと経験を問われるため、新卒で活躍するのは難しいかもしれません。少しずつ経験を積み、一人前のクリエイターを目指します。

主な職種は次のとおりです。

クリエイティブディレクター

全体の進行を統括する役職です。具体的な制作案を決定し、職員の配置から進行管理、制作中の顧客とのやりとり、納品までを責任を持って行います。制作現場の総監督のような仕事です。十分な制作経験を持つ人が適任です。

アートディレクター、映像ディレクター

制作する広告の種類により、配置されるディレクターは異なります。アートディレクターは、紙媒体やWeb広告の画像など、グラフィックに関わる全般を指揮する役割を担います。映像ディレクターは、動画広告における映像全般の指揮が仕事です。

両者とも決定した制作方針とズレがないか監督しながら、クリエイターに指示を出します。さまざまな作品をつくり上げた経験はもちろん、制作全体を俯瞰できる能力が必要です。

デザイナー

デザイン業務の担当者です。アートディレクターの指示に従い腕を振るいます。独創性があれば良いわけではなく、「いかにターゲットに訴求するか」「商品の魅力を伝えるか」が大切です。指示を的確に形にする力が求められます。

コピーライター

広告のコピーをつくる役職です。顧客の要望を最大限に汲み取り、商品の魅力を端的に言い表す短文を考案します。記憶に残る名文も、一目で惹き付けるキャッチーなワードも、コピーライターの腕にかかっています。

大切なのは顧客のニーズと広告の方向性を的確に捉えることです。豊かな発想力と、卓越した言語感覚も求められます。

CMプランナー

テレビコマーシャルの企画・演出の担当者です。顧客の要望やマーケティングの結果に基づき、どのようなCMが効果的か判断し、提案します。ストーリーをつくるのも、起用するタレントを挙げるのもCMプランナーの役割です。

アイデアを形にする発想力と、顧客への高いプレゼンテーション能力が求められます。

事業の進行を支える「事務職」

広告業界にも事務職が存在します。経理、総務、人事など他業界と役割は変わりません。ただし会社によっては制作物のチェックやスケジュール管理、企画書づくりなどに関わることもあります。

気をつけたいのはスケジュール管理です。広告には納期があります。納期を守らないと、会社の信用に影響します。クリエイティブディレクターと進捗を共有しながら、管理を慎重に行わなければなりません。

また案件によっては、経理処理に最大限気を配る必要があるでしょう。イベントのプロモーション全般を手がけるような場合には、億単位のお金が動くことも珍しくありません。他業界以上に厳格さが求められます。

広告業界に向いている人は?求められる人物像

話を聞き出す能力に長けている人(営業職)

営業職に求められるのが、話を聞き出す能力です。聞き役として、相手の要望を正確に捉えられる人が向いています。

広告の制作は、顧客のニーズを正確に見極めることからスタートします。ニーズに基づき市場分析を行い、市場分析の結果に基づき制作を行います。営業のヒアリングがなければ何も始まりません。

普段から相手の話に耳を傾け、言いたいことをまとめる能力を培っておくと良いでしょう。とりとめのない話をまとめるには、頭の中で筋道を立てなければなりません。論理的に物事を捉える習慣もつけておきましょう。

鋭い分析力を持ち論理的に考えられる人(マーケティング職)

マーケティング職に求められるのは、鋭い分析力論理的に物事を考える力です。分析だけでなく、広告効果を最大限に高める筋道を立て、顧客とクリエイターに提示します。「何をどうするか」を分かりやすく示すことで、説得力のある広告案を作成できます。

マーケティング職を目指す人は、日頃から分析に慣れておくと良いでしょう。自分でできる練習方法としては、Googleのサーチコンソールアナリティクスが便利です。簡単なホームページを作成し、サービスに申し込めば、誰でも無料で利用できます。分析結果をもとに、どうすればアクセスが伸びるかを考え、改善策を実行しましょう。マーケティング職に求められる仕事の流れを大まかに体感できます。

昨今はWebが中心の専門広告代理店が増えています。Webの解析経験は、業務に直接的なメリットをもたらす強みになります。

柔軟な発想力で物事を捉えられる人(クリエイティブ職)

クリエイティブ職に求められるのは、柔軟な発想力です。広告の良し悪しは、最終的にはクリエイターの制作手腕にかかっています。視聴者をあっと驚かせるCMや、一瞬で目を引くキャッチコピー、記憶に残り続ける演出など、良い広告には柔軟な発想力がつきものです。一を聞いて十の案を出せる人が歓迎されます。

柔軟な発想力を培うには、普段からさまざまな世界に触れる癖をつけると良いでしょう。一つの視座に凝り固まると、柔軟な発想は生まれません。さまざまな観点から制作にあたれるよう、興味の幅を広げましょう。

専門的なIT技術に長けた人(クリエイティブ職)

Web広告が増えている現状を鑑みると、クリエイティブ職にはIT技術に長けた人が求められるでしょう。

昨今は、ユーザーの動きに反応して動くバナーや、アニメーションを使用した広告など、Webの特性を利用した「リッチメディア広告」が増えています。Web広告の進化は日進月歩で、今後もより複雑な技術が取り入れられるかもしれません。

どの広告代理店も、変化に対応できる専門的な技術に長けた人材を欲しがるでしょう。IT業界と同等の専門性を求められるかもしれません。

情報収集が得意で世の中の動きに敏感な人(全職種)

広告業界では、職種を問わず情報収集が得意で、世の中の動きに敏感な人が求められます。大衆に広く訴求する広告をつくるには、世の中の動きを無視できません。社会の変動を見越して、一歩先を見据える姿勢が大切です。

クリエイティブ職はもちろん、広告を提案する営業職や、広告効果を測定するマーケティング職にも、時代の流れを読み取る力が等しく求められます。

時流に敏感になるには、社会を俯瞰する癖をつけると良いでしょう。過去から現在に至る社会情勢、政治、世相などの流れを観察します。原因になる出来事があり、後に結果がもたらされていることが分かります。

世の中の流れは原因と結果の連続です。現状をつぶさに観察すれば、未来の社会を変えるトリガーが見つかるかもしれません。

広告業界への就職に有利な資格やスキル

マーケティング職はWebの認定資格にチャレンジ

マーケティング職を志望する人は、Webマーケティングに役立つ資格を取得すると良いでしょう。Webアナリスト検定や、GoogleAnalytics個人認定資格、Google広告認定資格などがあります。

Webアナリスト検定は、日本Web協会が主催するGoogleアナリティクスの資格試験です。5時間程のオンライン講座を受け、アナリティクスの使い方をきっちり身につけた上で受験します。知識に自信がある人は、検定試験だけを受けることも可能です。

Google社が直々に行っている認定資格もあります。GoogleAnalytics個人認定資格(GAIQ)です。初級者向け・上級者向けの準備講座を受講した後、Googleアカウントをスキルショップに登録すれば試験を受けられます。講座、試験共に無料です。

同社はGoogle広告認定資格も実施しています。こちらは広告に関する専門知識を問う試験です。検索広告、ディスプレイ広告、動画広告などジャンルが細分化され、得意分野の試験が受けられます。アナリティクス同様、スキルショップに登録すれば受験できます。

これらの資格を取得しておけば、専門性をアピールする大きな武器になるでしょう。

クリエイティブ職はAdobeのソフトに慣れておこう

クリエイティブ職にはスキルが問われます。独学で少しでも身に付ければ、大きなアピールになります。

グラフィックデザインを手がけるには、Adobeのillustratorphotoshopが必須です。月額3,000円(/1本)前後で使用できます。プロ仕様のソフトではあるものの、操作は直感的で難しくありません。良い参考書も多数出版されています。本を片手に、チラシやパンフレットなどを制作してみましょう。

動画では、同社のPremier ProAfter Effectsをおすすめします。手持ちの機材で動画を撮影し、Premier Proで簡単な編集をしてみましょう。慣れてきたら、After Effectsで高度なエフェクトにも挑戦します。でき上がった動画に自信があれば、動画共有サイトで公開するのも、スキルアップに役立つかもしれません。

プロのクリエイターから見ると、素人の独学は未熟に映ります。しかし制作の下地づくりは良いアピールになることも事実です。伸びしろを感じやすく、クリエイターとしての心構えもでき上がります。自分が真につくりたいものを見極めるきっかけにもなるでしょう。

志望先を考える前に知りたい広告業界の展望

Web広告は加速を続ける

現在広告の中心になっているのはインターネット上のWeb広告です。電通が公開する「日本の広告費2023」(※参照3)を参照すると、「インターネット広告費」は広告費全体の45.5%を占めています。「地上波テレビ」は22.0%、テレビとラジオ、雑誌、新聞を合わせた「マスコミ四媒体広告費」が31.7%であることを鑑みると、いかにWeb広告の需要が高いか理解できるでしょう。

この傾向は年々高まっており、調査結果が示されている2010年以降、Web広告は毎年堅調な伸び率を示しています。2021年はコロナ禍で自宅で過ごす人が増えたこともあり、前年比121.4%の圧倒的な伸び率となりました。

これまでの堅調な推移を見ると、簡単にマイナスに転じるとは考えづらく、今後も加速を続けると予想されます。今以上に多くの広告代理店が、Webに事業の軸を移すようになるでしょう。

参照:日本の広告費2023|電通

Web広告の中でも動画を使用した広告が全盛

Web広告には、検索結果に連動して表示される広告や、バナータイプの広告などさまざまな種類があります。現在最も高い伸び率を示しているのが、ビデオ(動画)広告です。

電通による「2023年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」(※参照4)によると、2023年には前年比115.9%の伸び率で、Web広告全体の25.5%を占めています。同社はインターネットに接続したテレビが普及したことにより、テレビメディア関連の動画広告が増えたこと、Webサイト上の静止画バナー広告が動画形式にシフトしていることの2点を要因に挙げています。

動画制作能力に長けたクリエイターのニーズが増えることが予測されます。

参照:「2023年インターネット広告媒体費」解説|電通報

広告のパーソナライズがビジネスモデルを変える可能性も

Web広告の大きな特色として、広告のパーソナライズ(パーソナライズド広告)が挙げられます。これは個人の検索履歴や訪問サイト、居住地域、性別や年齢などに応じて最適な広告を表示させるシステムです。

必要な人に必要な情報が直に届くため、広告主にとっては画期的だと言えます。広告効果が大きいことから、今後利用が拡大していくでしょう。

パーソナライズド広告は、以下のプラットフォームで利用できます。

  • Google
  • Yahoo!
  • Amazon
  • X(旧Twitter)
  • LINE
  • TikTok
  • Facebook
  • Instagram など

多くの人が日常的に利用するサイトが多く、認知が拡大するほどに利用者も増えることが予想されます。文字ベースであれば個人運用も可能で、広告代理店を通さない利用も増えるでしょう。

広告代理店は、コンバージョンにつなげる技術的支援を強化するなど、ビジネスモデルの変革を迫られるかもしれません。求められるスキルの変化に、社員も対応する必要があります。

海外市場で新たなビジネスモデルが拡大する

大手総合広告代理店は、日本国内にとどまらず、海外展開も活発です。電通はM&Aを基盤に海外進出を続けており、今や売上構成の6割が海外です。アメリカやヨーロッパ、アジア太平洋地域にネットワークを広げ、「世界の広告会社」(※参照5)として活躍しています。

背景にあるのはデジタル分野の拡大です。海外のWebメディアやデータマーケティング会社を買収することで、国や地域に適したWeb広告を展開しやすくなります。また同社が掲げる「カスタマートランスフォーメーション&テクノロジー」(※参照6)を強力に推進できます。

これは企業が顧客・潜在顧客のパーソナリティに寄り添った事業を展開できるよう、事業基盤を提供するビジネスモデルです。顧客データの維持管理、ユーザーに最適なサービスを提供する仕組みづくり、そのためのプラットフォーム構築などが含まれます。

海外を視野に世界的な広告展開を考えたとき、電通のように現地法人を買収する動きが活発になるかもしれません。

参照:電通グループ統合レポート 2022|電通グループ

About us|電通

紙媒体広告ならではの長所を活かす

Web媒体が活発になる一方、苦戦を強いられているのが紙媒体です。「日本の広告費2023」(※参照3)によると、広告費全体に占める新聞の割合は4.8%、雑誌は1.6%です。新聞は前年比-5.0%で規模が縮小しています。雑誌は2.0%の増加が見られるものの、紙の出版物販売金額が前年比94.0%と減少しています。広告効果は高くないでしょう。

出版社はデジタル事業やコンテンツ事業に軸足を移しており、広告主からすると出稿のメリットを見出しにくいのが現状です。

しかし少ないながらも需要があるのは事実です。特に雑誌は該当ジャンルのコアなファンに訴求しやすい長所があります。広告代理店には、ファン心理に訴えかける広告の作成や、インターネットやSNSと連動した広告展開など、誌面広告の価値を高めていく努力が求められます。

志望動機を作る前に必ず行う3つのこと

広告業界を選ぶ理由を明確にする

効果的な志望動機をつくるために最初に行うのが業界研究です。広告業界の現状と展望を知り、「現在の課題を解決するために何が必要か」「展望の実現にどのような働きを求められるか」を考察します。求められる人物像が理解できるでしょう。

業界全体の方向性が分かったら、あなた自身の夢と照らし合わせて考えます。思い描く夢を、広告業界で実現できるか冷静に判断しましょう。華やかな仕事で憧れを持ちやすい業界だけに、想像と現実が乖離している可能性があります。

求められる人物像に近づく努力ができるかも、自身の適性や性格から判断しましょう。努力ができるなら、就職までにスキルや能力を可能な限り高めると良いでしょう。

業界研究に役立つのは、業界誌や大手企業が発行する業界レポートです。業界全体を俯瞰する内容の記事を見つけ、研究を進めてください。

広告業界の中で当該企業でしか実現できないことを知る

業界研究の次に企業研究を行います。業界全体を一つのイメージで捉えるのは危険です。企業ごとに異なる特色があります。社会で活躍する企業は、「自社でしか実現できない特色」を持ち、それを強みに据えています。志望する企業の強みと、あなたの夢を照らし合わせて考えましょう。

最も自然なのは、志望する企業の強みとやりたいことが適合する状態です。あなたにとって、当該企業はオンリーワンの存在と言えます。志望動機に悩むことはないでしょう。

完全に一致しなくても、やりたいことにプラスになる場合や、新たな気づきを得られる場合は、選考を受ける理由を比較的簡単につくれます。

問題は、やりたいことが当該企業の強みとかけ離れているケースです。企業に歩み寄ったところで、志望動機に弱さが露呈します。倍率が高い業界だからこそ、自分のビジョンに適合する企業を慎重に選ぶべきでしょう。

企業研究には、会社ホームページやパンフレット、業界誌の企業インタビューが参考になります。ブログやSNSで発信している情報をチェックするのも良いでしょう。

大切なのは、ネームバリューやブランドイメージにとらわれず、冷静に企業を分析することです。憧れる会社がある場合も、「ファンの贔屓目」を捨て、評論家になったつもりで分析してください。

自己分析で差別化できる強みを見つけ出す

あなた自身が明確なビジョンを持ち就職活動に臨まない限り、企業選びはできません。志願倍率が高い広告業界では、明確なビジョンは最低条件です。ライバルに差をつけるには、他者にはない強みを持ち、それを軸に据えることが大切です。

強みを見つけるには、自己分析を繰り返します。専門的なスキルや資格だけが強みではありません。これまでの経験から得た学びが、あなたの人格を形成する精神的な強みになります。

「課題解決能力がある」「論理的な思考力に優れる」など、学びを書き出しましょう。学びを得たストーリーに説得力があれば、軸に据えられます。アルバイトや部活動・サークル活動、旅行などどんな経験でも構いません。

何も思い浮かばない人は、これまでの人生を振り返り、印象に残ったこと、学びがあったことを挙げてください。そのときの心の動きや解決法には、あなたの「人となり」が現れるはずです。自分の良い部分、悪い部分があぶり出され、強みを見つけやすくなるでしょう。

広告業界の志望動機におすすめの構成

<志望動機の4ステップ>

①広告業界で成し遂げたいビジョンを端的に書く

②広告業界に興味を持ち、この業界を選んだ理由を説明する

③受験する企業を選んだ理由を明確にする

④自分の強みに触れながら、入社後の意志や抱負を示す

志望動機を書くときには、上記の流れを意識すると良いでしょう。②③で選考を受ける企業を強く志望していることに説得力を持たせ、④で強い意志を示します。論理的な流れで採用担当者を納得させる志望動機がつくれます。

①広告業界で成し遂げたいビジョン

まずは広告業界で成し遂げたいビジョンを明確に示しましょう。具体的に何をやりたいか、何を目指すかをはっきり記述します。企業研究の成果を踏まえ、当該企業で達成できる目標を書いてください。

総合職で採用される場合も、具体的な記述を心がけます。広告業界の中で明確にやりたいことがなければ、志望する意志が感じられません。採用後に配属が決定されるとしても、具体的なビジョンは全員に求められます。

②広告業界に興味を持った理由

広告業界に興味を持ち、ビジョンを掲げるに至った理由を具体的に記述します。単なる憧れではないことを証明しなければなりません。採用担当者が納得できるストーリーを書きましょう。

大学での研究内容や従事してきた活動が、広告業界の仕事と直結する場合は記述がしやすいでしょう。そうでない場合は、業界が抱える課題の解決やビジョンの達成に、あなたが貢献できることを考えてください。広告業界の課題を発見し、それを解決するために就職するストーリーがつくれます。業界のニーズを理解し就職を希望するのなら、仕事への強い意気込みを感じられるでしょう。

③競合の中から当該企業を選んだ根拠

あなたのビジョンを実現するために、当該企業が最適であることを示します。企業研究をしっかりと行い、当該企業ならではの特色を見つけ出しましょう。その特色があなたの夢を後押しすることを証明すれば、当該企業を選ぶ大きな理由になります。

企業研究が不十分だと、競合他社との差別ポイントを明確にできません。入社への意志を強く示しても白々しく感じられます。明確な理由がある人に、内定を取られてしまうでしょう。

どの企業も「自社を選ぶ明確な理由」を求めます。「他の会社でも良い」と思われないよう、注意を払い記述しましょう。

④自己の強みと入社後の意志や抱負

最後は入社後の意志や抱負で締めくくります。企業研究をもとに、具体的な業務内容に言及しましょう。内容が具体的であればあるほど、評価が高くなります。社内での目標が明確な人は、強い意志を持って仕事にあたると予想できるからです。企業も安心して採用できます。

意志や抱負を伝える際には、自己の強みにも触れると良いでしょう。たとえば「困難を乗り越え仕事に邁進する」意志を示すとき、「バイトリーダーで、店のさまざまな問題解決にあたった経験があるため、課題解決能力に自信がある」とアピールすれば、説得力が増します。根拠を持ち意志や抱負を述べていると伝わるでしょう。

広告業界の職種別志望動機の例文10選

総合広告代理店の営業職

例文

私はスポーツイベントの認知を高めることで地域に貢献したいと思い、貴社を志望しました。

私は学生サッカーのファンです。しかし、箱根駅伝や甲子園のように一般的には浸透していません。学生らしい溌剌とした動きは、プロに引けを取らない面白さで、プロモーション次第で大衆に支持される存在になると思っています。

このようにまだまだ世に知られていないスポーツを盛り上げることで、学生団体や地域の活性化ができると考えています。

貴社は多くのスポーツに関するプロモーションを手がけており、〇〇大会などの運営にも携わっていることから、貴社でなら自身の目標を達成できると考えました。

私は学生委員会に所属しており、課題を発見し提言する経験を積んできました。入社後はクライアントの課題や要望を叶えられるように尽力するとともに、スポーツプロモーションに関われるよう積極的にイベント運営や企画を提案したいと考えています。(400字以内)

大手総合広告代理店向けの例文です。

総合広告代理店の場合、「規模の大きな仕事がしたい」「世界を股にかけたい」など、抽象的な記述をしがちです。この例文のようにやりたいことを明確にし、しっかりと志望理由を説明できれば、評価は高くなるでしょう。構成も論理的で、最後の決意表明が強く感じられます。

一点注意したいのは、掲げる目標と事業内容とのずれです。この場合、スポーツプロモーションが当該企業でできることを確認しましょう。企業ごとに得意分野は異なるため、企業の特色をしっかり把握した上で作成することが大切です。

総合広告代理店のマーケティング職

例文

地域特性を分析することで、世界中の人に届く広告作成に携わりたいと思い貴社を志望しました。

私は学生時代に世界中を旅しました。価値観や生活様式の多様性に触れることで、自己の世界が広がる喜びを感じられました。

マーケティング職は地域特性を深く分析し、購買行動へつなげる職業です。強く興味を惹かれ、広告業界を志すようになりました。

貴社は海外に多くの拠点を持ち、世界中の広告を手がけています。貴社でさまざまな地域を分析し、地域に即した広告案を提案したいです。

これまでの経験で英語とドイツ語には自信があります。入社したら、マーケティングのノウハウをしっかりと学びます。その上で、地域特性を活かした分析業務を行いたいです。(350字以内)

マーケティングは、具体的な業務内容が想像しにくい職種です。だからこそ、業界研究に基づき、取り組みたい仕事を明確に示すことが重要です。ここでは「さまざまな地域の特性を分析し、購買行動につなげる(広告手法につなげる)」ことを目標に掲げています。具体化の良い例だと言えそうです。

この例文でも、当該企業で目標を完遂できることを確認しなければなりません。海外展開をしていても、現地に子会社を作り、人員も現地で雇っている可能性があります。日本にいながら世界中のマーケティングを手がけられるのか、あるいは出向する形なら就業可能なのか、あらかじめ確認しておきましょう。

総合広告代理店のクリエイティブ職

例文

紙媒体のデザインをベースに、さまざまなメディアに対応する広告を作成するために貴社を志望しました。

現在多くの企業が広告でクロスメディア戦略をとっています。メディアごとに訴求ポイントが異なることに魅力を感じ、デザインの差別化を意識するようになりました。

貴社はメディアごとに手法を分けた広告展開を行っています。ハイボールの魅力を若い世代に伝えた広告展開は見事でした。私も貴社でグラフィックデザインの幅を広げたいです。

学生時代にフリーペーパーのデザインを経験し、紙媒体のデザインは得意です。入社後はWebの特性や訴求ポイントをしっかりと学び、消費者の心に響く広告を作成していきたいです。(300字以内)

総合広告代理店の良さは、多彩な広告手法を学べることです。さまざまなメディアに対応できるデザイナーを目指す姿勢は、総合広告代理店ならではと言えます。当該企業の成功事例を挙げることで、目的とするデザイン像も明確に感じられます。

注意したいのは、クリエイターとしての姿勢がぶれないようにすることです。あくまでもグラフィックデザイナーの範囲内で、できることを広げる意志を示します。「動画も手がけたい」「Webサイトも学びたい」と書いてしまうと、何のプロを目指しているのか分かりません。強い意志が伝わらなくなるので注意しましょう。

専門広告代理店の営業職

例文

Web広告を通して地元企業の魅力を世界中に発信したいと考え、貴社を志望しました。

〇〇市は伝統工芸の焼き物を始め、古くからの産業が息付く地域です。多くの企業が紙媒体を宣伝に利用しているものの、Web広告の認知が進まないのが現状です。

貴社は地元密着を掲げ、〇〇市で広告のデジタル化に取り組んでいます。貴社の姿勢に賛同し、私も営業に参加したいと強く思うようになりました。

私は生まれも育ちも〇〇市です。特に焼き物店に詳しく、顧客の開拓には自信があります。入社後は、対外的なアピールが弱い企業を中心に、効果的なWeb広告をつくれるよう提案したいです。Web広告の効果を広めることで、〇〇市の産業を発展させられればと思います。(350字以内)

専門広告代理店は事業範囲が狭まるため、目標も掲げやすくなります。反面、周りの志願者も似た目標を掲げるため、差別化を図るのは難しいかもしれません。

「地元企業の魅力を発信したい」という目標も、悪く言えば「ありがち」です。だからこそ、明確な根拠が必要です。ここでは市の事業者が直面する課題を発見し、その解決にWeb広告が最適だと説明します。仕事の目的が明確で、当該企業を目指す根拠が十分に伝わります。営業社員として働く姿が想像できるため、採用担当者に良い印象を与えることができるでしょう。

専門広告代理店のマーケティング職

例文

広告代理店ならではの質の高いパーソナライズド広告を提案するため、貴社マーケティング職を志望しました。

パーソナライズド広告は個人で挑戦できるため、広告代理店の介入が弱く感じられます。プロの制作集団だからこそ、分析結果を活かしたより良い提案ができると考えます。

貴社はパーソナライズド広告に関する情報をブログで広く発信しており、分析の活かし方を熟知しています。貴社ならば質の高い広告を提供できると考えました。

現在GoogleAnalytics個人認定資格を取得し、マーケティング職として円滑に就業できるよう努力しています。入社後は分析結果を広告に落とし込む手法を学び、お客様に有効なアドバイスをしていきたいです。(350字以内)

業界の課題を見つけ、自分なりのアプローチを考えていることが窺えます。解決に向けた熱い意志は、マーケッターとしての適性とやる気を感じさせ、良い評価を得られるでしょう。

就職に向けた準備として、資格取得に励む姿勢も高評価です。業務に向けた強い意志を証明する材料になります。

一点注意したいのは、業界の課題を提言するときに上から目線にならないことです。プロ集団であれば、生じる課題に気づかないことはありません。何らかの手を打っていると考えられます。気づいていないことを前提に論を進めないようにしてください。

専門広告代理店のクリエイティブ職

例文

商品の魅力を引き出すデザインを探求し、雑誌向けのファッション広告をつくりたいと思い貴社を志望しました。

良いファッション広告はコンテンツと見紛うくらい、商品の魅力を強く伝えます。さまざまな広告を見ているうち、私も制作者になりたいと思うようになりました。

貴社は鮮烈なコピーで購買意欲を高める広告を多数制作しています。特に〇〇の広告には強く惹かれました。貴社でデザインに携わりたいとの気持ちが、日に日に高まっています。

私はこれまで学祭のポスターや掲示物のデザインを手がけてきました。入社後は、スキルを商用で通用するレベルへ高めたいです。しっかりと技術を身につけた上で、さまざまなブランドのファッション広告を制作したいです。(350字以内)

ファッション関連の広告デザイナーを目指す熱い意志が感じられる例文です。当該企業の広告に強い憧れを持っており、企業を絞り込む必然性も伝わります。一人のファンとして制作物を熟知しているため、入社後も同じ方向を向き仕事ができると期待できます。会社も雇いやすいでしょう。

ただし特徴ある有名企業であれば、ライバルが多いことも認識しなければなりません。差別化を図るには、「当該企業の広告の何が良いのか」「自分だけの強みは何か」を明確に示す必要があります。特に自己の強みは、選考の大きなポイントです。この文章のように短くても構いません。アピールを忘れないようにしましょう。

ハウスエージェンシーの営業職

例文

スーパー〇〇の商品をより多くの人に知ってもらうために、販促物を提案したいと思い、貴社を志望しました。

〇〇は地産地消を目指し、地元産の野菜を大々的に並べるなど仕入れにこだわっています。しかし消費者は安さばかりに着目することが多く、特色が伝わっていないと感じます。魅力を伝える店内POPやパンフレット、フリーペーパーなどが必要です。販促物を提案する営業社員になり、〇〇を盛り上げたいと考えるようになりました。

私はアルバイトで書店の運営に携わり、販促物の大切さを身にしみて実感しています。POPの作成を行ったこともあります。この経験を活かし、貴社に入社できた際には営業社員として、本社に販促企画をどんどん提案したいです。(350字以内)

ハウスエージェンシーは取引先が決まっているため、いかに効果的な提案を行い、グループ全体の売上を上げるかがテーマです。この例文のように、親会社をアピールするために何を提案したいか、どのような効果を期待できるかに焦点を当てると良い志望動機が仕上がります。

ハウスエージェンシーは親会社の規模が大きく、ネームバリューに惹かれる人も少なくありません。そのような中で、親会社のファンになり、経営上の課題を自分なりに発見する姿勢は高く評価されるでしょう。会社を盛り上げるために働く姿が想像できるからです。「ぜひ面接で話してみたい」と思わせる力があります。

ハウスエージェンシーのマーケティング職

例文

〇〇電鉄の広告効果を検証し、△△鉄道に勝てる広告を立案するため貴社を志望しました。

〇〇電鉄はダイヤ改正で空港アクセスが格段に改善されました。△△鉄道よりも短時間で辿り着けることを知らせるポスターは、インパクトがある会心作だったと思います。しかし利用者が思うようにシフトせず、不思議に感じました。私自身が原因を分析し、広告をより効果的にする手法を探りたいと考えました。

私はホームページでWeb解析を行っており、Googleアナリティクスを普段から使用しています。原因分析と改善案の提示には自信があります。貴社入社後は、紙媒体の分析手法を全力で学びます。そして今以上に効果的な広告を提案し、認知度向上に努めたいです。(350字以内)

親会社への熱い想いから会社が抱える課題を見つけ、解決に尽力する意志を示しています。会社が直面する課題を新入社員も共有できるなら、同じ方向を向き仕事ができます。協調性を持ち働ける人材だとみなされるでしょう。

身につけたスキルを提示し、現在できること、入社後に努力することを端的に記述しているのも評価ポイントです。紙媒体の効果を解析するには、企業が保有するノウハウに頼るしかありません。勤務経験のない新卒だからこそ、強い学びの意志を示すことが大切です。

ハウスエージェンシーのクリエイティブ職

例文

〇〇自動車の魅力を伝える映像制作にクリエイターとして参加したく、貴社を志望しました。

貴社の映像広告は車の魅力が十二分に伝わるだけでなく、車への愛情や深いこだわりが感じられます。特に車の誕生ストーリーを追うシリーズ物は、強く記憶に残っています。私も車の魅力をとことん追求し、貴社のように深く表現できるクリエイターになりたいと思い、入社を夢見るようになりました。

私はこれまでYouTube向けの動画を制作してきました。映像制作の基礎は独学で学び、オンライン講座などを活用し、より知識を深めてきました。貴社に入社したら、制作の腕を上げ、ストーリー物の広告など長編にも挑戦したいと思います。同時に車の魅力を深く探求することで、広告の表現を深めていきたいです。(350字以内)

ハウスエージェンシーのクリエイターは、一つの会社に特化できる分、深い表現を追求できます。「より良い物」「より効果的な作品」をつくれる環境にあります。商品の魅力をとことん追求できる点を志望理由に挙げるのは、クリエイターにとって順当です。良い志望動機ではあるものの、多くの志願者が似た内容を書くことも想定しなければなりません。

差別化のポイントは、つくりたいもの、成し遂げたい目標をいかに明確にできるかです。ここでは「長編のストーリー物に挑戦したい」と目標を掲げています。業務で実際に達成し得る内容を挙げると、高評価を得やすいでしょう。

事務職(広告業界全体に適応)

例文

経理の知識を活かし、事務職として広告制作を支えたいと思い貴社を志望しました。

貴社の広告と出会ったのは、愛読している『〇〇』の誌面です。イラストレーターの優れた絵と、詩情豊かなキャッチコピーが、毎回心に残りました。制作しているのが貴社だと分かり、憧れを持つようになりました。私にできることで貴社の運営を支え、素晴らしい広告を作り続けてほしいと考え、事務職での入社を希望するようになりました。

私は大学で経営学を学んでいます。日商簿記2級も取得し、就職準備を進めているところです。貴社に入社できたら、経理を中心に業務にあたりたいです。また広告のスケジュール管理や校正にも携われるようであれば、進んで仕事を覚えます。(350字以内)

事務職はどの業界にも存在します。そのため、「広告業界でなければならない理由」「当該企業を選ぶ理由」が勝負の分かれ道です。いかに説得力のある内容を書けるかが問われます。この例文のように、制作物のファンであることを示すのは、最も効果的な方法だと言えるでしょう。

企業によっては事務職がスケジュール管理や校正などを担うこともあります。「経理しかやらない」「人事しかやらない」と狭めるよりは、求められる仕事に応じる姿勢を示した方が、良い評価を得られます。

未経験だからこそ注意!広告業界の志望動機での留意点

曖昧な夢を語らずやりたいことを具体化する

広告業界の志望動機で特に注意したいのが、ビジョンの具体化です。曖昧な夢を書くと、「かっこいい」「面白そう」といったイメージだけで受験していると思われます。業界研究すらできていない人だと認識されるでしょう。

ありがちなのが、「人の役に立つ広告を作りたい」「広告でWebの世界を変えたい」など、理想を掲げることです。企業のホームページでは、しばしばこのような記述が見受けられます。企業は事業を通して社会を変革する立場です。事業を遂行することで人の役に立つのも、Webの世界を変えるのも、おかしくはありません。

理想を掲げるのは、あくまでも会社です。社員に求められるのは、その理想の実現に何をするかです。具体的な目標を立て、ビジョンを掲げるべきです。

当該企業でしか実現できない強みを明確に

志望先を当該企業に絞った理由を、具体的に説明しているかも確認しましょう。書き上がった志望動機を見直し、「本当に当該企業でなければできないことか」を自問します。他社に流用できそうな志望動機だと感じたら、もう一度検討し直しましょう。

ポイントは、当該企業の強みを明確に掴むことです。企業研究の結果を踏まえ、差別ポイントを書き出しておくと良いでしょう。ホームページやパンフレットで明確に打ち出している特色はもちろん、社風も大きな要素です。社風が自分にぴったりなら、当該企業を選ぶ明確な理由になります。

広告業界を深く知り高倍率に負けない志望動機を作ろう!

人気の広告業界で内定を勝ち取るには、業界研究・企業研究が必須です。曖昧な夢を抱いている人は、広告業界のビジネスモデルや展望を知り、具体的な目標を持つことから始めましょう。目標を持てれば、その実現に適した会社を選べるようになります。ネームバリューではなく、あなたの目的に適った会社を選ぶことが大切です。

目標と会社の強みが一致することで、強い志望動機が仕上がります。高倍率でも恐れることはありません。

人気がある業界だからこそ、しっかりと自分の軸を持つことが大切です。自分を見つめ、強い意志で就活を勝ち抜きましょう。

ガクチカの締め方は2パターン!効果的な書き方と例文を解説

就活のESや面接で必ず問われる「ガクチカ」。テーマやエピソードは決まったものの、最後をどう締めくくるべきか迷っている方は多いのではないでしょうか。ガクチカは締め方によって、企業への印象を大きく左右します。

本記事では、ガクチカの締め方のパターンや意識するポイントに焦点を当て、自信を持って企業にアピールできるガクチカを作成するためのヒントを詳しく解説します。さらに、記事後半では例文も紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

ガクチカの締め方は2つのパターンがある

ガクチカの締め方①その経験から得た学びを書く

ガクチカの締め方の1つ目のパターンは、文章の終わりで、その経験から得た学びや成長を強調するという書き方です。例えば、「私はこの経験から、◯◯ということを学びました」というような書き方で締めくくります。

その経験がどのように自分自身を変え、成長させたのかを明確に示すことで、ガクチカの内容がより効果的に演出できます。ただ経験したことを伝えるのではなく、そこから何を学んだのかを伝えることを意識して作成しましょう。

ガクチカの締め方②入社後にその経験をどう活かすのかを書く

2つ目のパターンは、入社後、学生時代に力を入れていた経験をどのように活かすのかについて具体的に書きます。例えば、「この経験を活かし、貴社でも◯◯の業務で貢献したいと考えています。」というような書き方で締めくくります。

自身の経験がどのような点で会社に貢献できるのかを示しましょう。そうすることで、仕事に対して意欲的であることや企業への志望度をアピールすることができます。

企業がガクチカで見ているポイント

論理的な思考ができるか

課題に対してどのような取り組みをどのような理由で行ったのかという点からは、論理的な思考力や分析力を読み取ることができます。これらは社会人として必須の能力であるため、多くの企業はそれがどの程度備わった人材かを知りたいと考えています。

そのため、曖昧であったり、根拠に乏しい理由が書かれていると、それだけで能力不足であると判断されかねません。

経験から学びを得ているか

ガクチカを経て学んだことは、必ずしも企業の業務と一致するわけではありません。しかし、企業が知りたいのは「どんな知識や能力を身に着けたか」ではなく、「どんな姿勢で物事に取り組む人か」という点です。

ガクチカの内容が事業と関係なくとも、取り組みやその結果に対する姿勢は、入社後の仕事に対する姿勢に通じるものがあります。企業はそこから就活生がどのように働いてくれる人材かを判断しています。

コミュニケーション能力があるか

ガクチカのほとんどは、複数の人間との関わりが必要となるテーマです。課題解決のための取り組みに他の人との協力や協調がみられない就活生は、「独善的」「協調性がない」と判断される可能性があります。

仕事の場では、個人の能力だけでなく他者と適切なコミュニケーションが取れるかどうかが重要です。取り組みの内容が素晴らしく、能力の高さがうかがえるものだとしても、コミュニケーション能力に欠けている人材は敬遠される傾向にあります。

そのため、取り組み自体は成功を収めていなかったとしても、その過程で話し合いや意見の出し合いなどを十分にしたことが伝われば、高い評価を得ることができるでしょう。

自社に合った人柄か

人柄や考え方に良し悪しはありませんが、社風によっては人柄がその企業に合わない場合もあります。ガクチカの書き方によって印象を多少変えることもできますが、基本的にはありのままの人柄をアピールすることが重要です。

性格の合わない人と働くことは、職場にいる人にとっても、新しく入社する人にとっても負担となります。選考の場だけ取り繕ってその後に無理をするよりも、自分には合わなかったのだと気持ちを切り替えて、次の企業に挑戦することをおすすめします。

評価されるガクチカの書き方と締め方

①学生時代に力を入れたこと

ガクチカの冒頭は、学生時代に力を入れて取り組んだことを明確に記載します。「私が学生時代に力を入れていたことは、◯◯です。」「私は、◯◯の活動に力を入れて取り組みました。」という文章で書き始めます。

ここは、ガクチカのテーマとなる部分です。例えば、サークル活動やゼミ、アルバイト活動などが挙げられます。最初に何を取り組んだのか結論を伝えることで、読み手が文章の方向性を理解しやすくなります。

②その活動に興味を持った理由や背景

取り組んだことを伝えた後は、その活動になぜ興味を持ったのか、理由や行動に移すに至った背景について説明します。例えば、サークル活動やゼミをテーマとするのであれば入ったきっかけを伝え、趣味をテーマとするのであれば、その趣味をなぜ始めたのかを伝えます。

興味を持ったきっかけを伝えることで、人間性価値観などをアピールすることができます。また、努力をし続けられた理由を記載するのも良いです。頑張って取り組めたことを伝えることで、どのようなことをモチベーションにするのかを理解してもらえます。

③その活動における目標や課題

力を入れて取り組んだ活動において設定した具体的な目標や、達成するために直面した課題について述べます。例えば、期限や技術的な困難、チーム内の意見の不一致などが挙げられます。

読み手が同じような経験をしたことがない場合でも、具体的な目標や課題を伝えることで、当時の状況をイメージしやすくなります。また、読み手に対してどのように粘り強く取り組んできたのか、努力の過程を理解してもらうことができるでしょう。

④目標達成や課題解決のために起こした行動

目標や課題に対する戦略やアプローチ、具体的な行動、実行したタスクやプロジェクトについて述べます。例えば、目標達成のために設定したタイムラインやスケジュール、役割分担の方法、必要な資源の確保などの戦略などを明確に示します。

また、困難に直面した際の対処法や柔軟な判断、他者との協力やコミュニケーションについて触れるのも良いです。起こした行動を説明することで、主体性課題解決能力チームワークスキルなどをアピールすることができます。

⑤起こした行動によって得られた成果

実際の行動によってどのような成果をもたらしたのかを具体的に述べます。例えば、プロジェクトの成功や目標の達成、課題の解決、チームメンバーとの協力関係の構築など、様々な面での成果を挙げましょう。

ガクチカは、あくまでもどのようなことに対して力を入れて取り組んでいたのかをアピールする項目です。そのため、成果の大小が問われているわけではありません。努力の過程がしっかり伝われば、企業から高い評価が得られます。

⑥取り組みを通して成長できたこと

ここからは、ガクチカの「締め」の部分に入っていきます。この部分では、どのような点で自分が成長できたのかを具体的に述べます。

例えば、新たなスキルや知識の獲得、問題解決能力やリーダーシップの向上、困難に対する柔軟な対応力やチームワークスキルの向上などが挙げられます。さらに、取り組んだ活動を通じて築いたコミュニケーションスキルや対人関係の構築なども挙げることができます。

学生時代に力を入れて取り組んだことで、何を学びどのような部分が成長できたのかを洗い出してみましょう。

⑦志望企業や職種での活かし方

経験から得た学びや成長できたことと、志望企業や職種での活かし方を結びつけることで、より好印象を与えることができます。例えば、リーダーシップ能力が向上したのであれば、志望企業でチームを率いてプロジェクトを成功に導くことができると述べることができます。

また、コミュニケーションスキルが向上した場合は、その企業やクライアントとの関係構築に貢献できると説明します。志望企業や職種に応じて、自身の成長と貢献を具体的に説明することが大切です。これにより、自分の経験が企業のニーズとマッチし、価値ある貢献が期待できることが伝わります。

ガクチカの締め方の参考に!テーマ別の例文5選

例文①サークル活動

例文

私は学生時代、「自然愛好家」のサークルに所属し、積極的に自然保護活動に参加しました。定期的な清掃や植林活動に加え、地元の小学校やコミュニティセンターと協力して自然環境に関する啓発イベントを企画しました。しかし、時にはメンバー間での意見の対立や意思統一の困難がありました。そこで私は、サークル内でリーダーシップを発揮し、活動の計画や運営に積極的に関わり、メンバーのモチベーションを高めるためのミーディングやワークショップを開催しました。これらの経験を通じて、リーダーシップやチームワーク、計画力を身につけるとともに、地域社会への貢献や持続可能な未来への取り組みの重要性を理解しました。貴社の業務においても、身につけたリーダーシップやチームワークのスキルを活かし、プロジェクトの推進やチームの効率的な運営に貢献していきたいと考えています。(400字以内)

ここでは、サークル活動をテーマにしたガクチカの例文を挙げています。サークル活動に注力していたという方は多いでしょう。最後の締めの文は、志望企業での業務でどのような貢献をしていきたいのかについて言及しています。サークル活動で得た経験や学びをまとめ、それが自己成長やキャリア形成にどのように貢献したかを簡潔に述べましょう。最後に、今後の展望や目標を述べるとガクチカを適切に締めくくることができます。

例文②ゼミ

例文

私が学生時代に力を入れて取り組んだことは、経済学のゼミに積極的に参加し、研究活動に没頭したことです。私が経済学のゼミに参加した理由は、将来のキャリアに関連する専門知識を習得するためでした。経済学は、社会やビジネスの仕組みを理解するための基盤であり、私はその分野に興味を持っていました。ディスカッションや研究発表への積極的な参加を通じて、経済理論やデータ分析手法を習得しました。また、チームでの共同研究を通じて、チームワークやコミュニケーションスキルも向上しました。入社後も培ったチームワークやコミュニケーションスキルを活用し、チームの効率的な運営やプロジェクトの推進に貢献したいと考えています。さらに、経済学の専門知識や研究経験を活かし、市場動向の分析や競合調査にも貢献し、貴社の更なる成長や競争力強化に寄与したいと考えています。(400字以内)

ここでは、ゼミでの活動をテーマにしたガクチカの例文を挙げています。サークル活動と同じでゼミの活動は、様々なジャンルがあるため簡単にどのような活動に参加していたのかを言及すると良いでしょう。締め方としては、ゼミで学んだことを今後のキャリアにどのように活かしていきたいのかを述べます。自分の目標や志向に沿って、ゼミで得た知識やスキルをどのように活用していきたいのかを示しましょう。

例文③アルバイト

例文

私が学生時代に力を入れて取り組んだことは、カフェでのアルバイト経験です。私は大学時代、地元のカフェでバリスタとして働いていました。カフェでの仕事は忙しくて大変な時もありましたが、そのなかで様々な経験を積むことができました。例えば、コーヒーの淹れ方やメニューの知識を身につけるだけでなく、接客やコミュニケーションスキルも向上しました。お客様との円滑なコミュニケーションを通じて、サービス業における顧客満足度の重要性を学びました。最も重要なことは、責任感や時間管理の重要性を学んだことです。アルバイトと学業の両立は容易ではありませんでしたが、しっかりと仕事をこなすことで、自己管理能力を向上させることができました。私は、このような経験を通じて培ったスキルと価値観を活かし、貴社の更なる成長や顧客満足度の向上に貢献していきたいと考えています。(400字以内)

ここでは、アルバイト経験をテーマにしたガクチカの例文を挙げています。サークル活動やゼミだけでなく、アルバイト経験もガクチカのテーマとして選択する方が多いです。全体の締め方としては、アルバイト経験で得た成果や学びをまとめ、将来のキャリアや人生にどのように活かしていきたいのかを述べます。志望企業や業界の特徴や事業内容などに合わせて、ガクチカの内容を考えるとより高い評価が得られます。

例文④趣味

例文

私が学生時代に力を入れて取り組んだことは、趣味であるバンド活動です。しかし、バンド活動ではメンバーとの意見の相違やスケジュール調整など、チーム内でのコミュニケーションの調整が難しい時がありました。また、個々の技術や表現力の向上には時間と努力が必要でした。これらの課題を解決するために、私は定期的なミーティングの開催を呼びかけ、メンバー間の意見のすり合わせやスケジュール調整を図りました。また、個々の技術向上のために、楽器の練習や音楽レッスンを継続的に行い、メンバーとコミュニケーションを取りながら成長し続けることに注力しました。私は、このような経験を通じて、耐久力や集中力といったスキルを身につけることができました。入社後も、継続的な努力と集中力を持って、あらゆるプロジェクトにおける作業に最後まで貢献し続けることを心がけたいと考えています。(400字以内)

ここでは、趣味をテーマにしたガクチカの例文を挙げています。趣味もガクチカのテーマとして選択することができます。具体的にどのような趣味に取り組んでいたのかを簡潔に述べることで、読み手がイメージしやすくなります。締め方としては、趣味を通して得た経験や成果を振り返り、それが自己成長にどのように貢献したのかをまとめます。楽しかったことだけでなく、趣味で経験した困難や課題についても言及することで、大変だったことやそれに向けてどう努力したのか伝えることができます。

例文⑤留学

例文

私は大学時代に海外留学プロジェクトに参加し、異文化の中で学び、成長する機会を得ました。私が留学プロジェクトに参加した理由は、社会人になるまでに海外経験を積み、世界で活躍できる人材になることを目標にしていたからです。留学中は、言葉の壁や文化の違いに直面しました。私は、まず言語の壁を乗り越えるために、現地の言語学校での授業や言語交換プログラムに積極的に参加しました。また、文化の違いに対する理解を深めるために、地元の祭りや伝統行事に参加し、日常生活における習慣を学びました。これらの取り組みにより、徐々に言語の理解と表現力が高まり、たくさんの友人ができました。このような経験を通じて、柔軟性や忍耐力が身につき、自信の向上に繋がりました。それらは、私の将来のキャリアにも活かされ、国際的な視野や対人スキルを活かした貢献をすることができると考えています。(400字以内)

ここでは、留学をテーマにしたガクチカの例文を挙げています。大学時代に留学を経験した方も多いでしょう。なぜ留学プロジェクトに参加しようと思ったのか、どのような困難や課題が合ったのか、それに対してどう努力をしたのかを述べます。そうすることで、留学に対する思いやどのぐらい大変な経験をしたのかが伝わりやすくなります。締め方としては、留学経験で得た学びやスキルを、将来どのように活かしていきたいのかを述べます。自己目標や将来のキャリア、社会への貢献を示しましょう。

ガクチカの締め方で意識するポイント

エピソードと締めの内容に一貫性を持たせる

ガクチカを作成する際は、エピソードと締めの内容に一貫性を持たせることを意識しましょう。エピソードで述べた経験や成長を締めの内容に結びつけることで、読み手により深い印象を与えることができます。

例えば、エピソードでリーダーシップ能力の向上について述べた場合、締めの部分ではそのリーダーシップ能力が志望企業や職種で、どのように活かせるのかを具体的に示します。このように、エピソードと締めの内容が一貫していることで、企業に自分の成長や経験の意義をより明確にアピールすることができます。

熱意や意欲を強調する

ガクチカの締めの部分では、自分の熱意や意欲を強調することが大切です。志望企業や職種に対する自分の熱意を明確に示すことで、志望度や強い意志を伝えることができます。

また、将来のキャリア目標に対する意欲を具体的に示し、そのためにどのような努力をし続けるのかという意志を示すことも重要です。締めの部分で熱意や意欲を強調することで、信念や情熱が伝わり、好印象を与えることができます。

再現性のある学びやビジョンを伝える

ガクチカの締め方としては、学びや入社後の活かし方を伝えますが、再現性があるということが大事なポイントです。再現性とは、同じ条件や状況下において何度でも同様の結果を生じることができる性質を指します。

社会人になると、信頼性や品質を保ち、効果的に組織を運営するためなどあらゆる理由で、再現性が求められます。再現性のある学びやビジョンを伝えることは、自分の経験や学びが信頼性があり、将来においても有益であるということを示すことに繋がります。

ポジティブな言葉で締めくくる

ガクチカの締めくくりの部分では、ポジティブな言葉を用いて結論を述べるようにしましょう。自分の学びや経験を振り返りながら、将来への希望や自信を示すことで、読み手に印象を残します。

課題や困難に直面した経験でも、そこから得た学びや成長をポジティブな視点でアピールしましょう。また、志望企業や職種への熱意や貢献意欲を表現し、明るい未来への展望を示します。

ポジティブな言葉で締めくくることで、企業に自身のポジティブなエネルギーや自信を伝えることができます。

締め方を意識して魅力的なガクチカを作成しよう

高い評価を受ける、魅力的なガクチカを作成するためには適切な締め方が重要です。全体の主要なポイントをまとめ、今後の目標や計画などを述べることで、印象に残るガクチカが作成できます。

経験から得た学びや入社後にどう活かすのか貢献していきたいと考えているのかを意識して締めくくることで、志望企業に対して自分の意思や志望度といった気持ちが伝わりやすくなります。ガクチカの締め方が分からないという方は、今回の内容を参考にしてガクチカを作成してみてください。

ESで強みをアピールする書き方を解説!ジャンル別の例文付き

ESでよく聞かれる「強み(長所)」と「自己PR」の違いとは

ESでよく聞かれる「自己PR」「あなたの強み(長所)は何ですか?」という質問には明確な違いはありません。どちらも企業に向けて、仕事に活かせる自身の強みをアピールする文章です。そのため、両者はほとんど同じものと考えても、特に問題はありません。

しかし、ESでどちらの質問も聞かれるという場合もあるでしょう。そのような場合には、それぞれで異なる強みをアピールできると良いでしょう。このとき、「コミュニケーション能力の高さ」と「協調性があること」などのように、重なる部分がある強みを書くことは避けた方が好ましいです。

明確に異なる強みを述べることで、あなたが多様な能力を身に付けていることをアピールできるでしょう。

ESの強みから企業が見ているポイント

仕事で活かせるスキルを持っているか

応募者の強みについて聞いているということは、もちろん仕事に活かせるスキルを有しているかということを第一に確認していることでしょう。専門的なスキルが必要な職種の場合、企業はまず仕事に活かせる専門的なスキルを持っているかということを知りたがります。

仕事に活かせる専門的なスキルを有している場合には、そちらを優先してアピールすることをおすすめします。例えば、プログラマー職に応募する場合には、高度なプログラミングスキルを積極的にアピールするというようなことです。

専門的なスキルを持っていないという場合でも、アピールする強みは仕事で活かせるものにしましょう。例えば、チームで取り組む仕事であれば、人付き合いが重要となります。

そのため、専門的なスキルではないコミュニケーション能力も大いに歓迎されることでしょう。

応募者の人柄と社風のマッチ度

強みをアピールする際、それが活かされた具体的なエピソードや入社後の活かし方を語ることがセオリーとなっています。

そこからは応募者の人柄物事に取り組む姿勢を汲み取ることができます。企業にはそれぞれ社風があり、人柄と社風のマッチ度が高ければ、先輩社員とも上手に付き合っていけるでしょう。

反対に、マッチ度が低ければ、会社に上手く馴染めず、先輩社員も応募者も気持ちよく働けなくなってしまいます。このことは、折角時間とコストを掛けて採用した社員が早期に辞職してしまうことにも繋がります。

そのため、企業にとって応募者の人柄が自社のカラーに合っているかを確かめることは非常に重要なことであり、強みも大事な判断材料となるでしょう。

自己理解ができているかどうか

自分の強みについて詳細に語るためには、自己分析・理解が欠かせません。しっかりと自己理解ができている応募者のアピール文は、より正確で信頼に値する情報であると言えるでしょう。正確である程に、その情報は適性の判断にもより有効であるということになります。

先述の通り、企業は社風と応募者の人柄の適性を重要視します。そのため、企業は強みを聞く際に、応募者がしっかりと自己理解をできているかということにも着目しているでしょう。

ESで強みを伝えるときの構成

結論

ESで強みを伝える際、まずは「私の強みは○○です」という結論から文章を始めましょう。これは「これから○○についての話を展開します」という宣言の代わりとなります。

最初に話の軸が分かることで、読み進めていく際にもどこに着目すべきかが分かりやすく、内容をすんなりと理解しやすくなります。

強みに限らず、ESで読み手に分かりやすい文章を書きたいという場合には、結論から始めるようにすることをおすすめします。

強みを発揮したエピソード

持っている強みが何かを伝えられたら、次はその根拠を述べましょう。なぜなら、本当にその強みを持っているということに読み手に納得してもらわなければいけないためです。

実際に強みを発揮したエピソードを具体的に伝えて、強みの裏付けをしましょう。この際、強みを活かした過程を段階を踏んだ構成で伝えることをおすすめします。

いつどんな「課題」に遭遇したか、それに強みをもってどう「対処」し、どのような「結果」となったのかというようなものです。内容が整理されて理解しやすくなり、また話の具体性も高めやすくなるでしょう。

入社後に強みをどのように活かすか

最後に、持っている強みを入社後にどのように活かすかを述べて、文章を締めましょう。意気込みを述べて入社意欲を示すだけでなく、強みが仕事で確かに活かせるものであるということのアピールを行うことができます。

また仕事への強みの活かし方が分かることで、企業側は応募者が実際に働くイメージを抱きやすくなります。自社に貢献してくれそうだと思える人材は、高く評価してもらえるでしょう。

おすすめの強み一覧

  • 協調性
  • 計画性
  • 思いやり
  • 気配り
  • コミュニケーション能力
  • 課題解決力
  • 行動力
  • 継続力
  • 忍耐力
  • 観察力
  • 傾聴力
  • 臨機応変な対応力
  • 向上心
  • 好奇心
  • チャレンジ精神
  • 責任感
  • 真面目さ
  • リーダーシップ

上記は、ESに書く上でおすすめの強みの一覧です。いずれも幅広い職種で活かしやすいものであるため、多くの企業で有効なアピールとして用いることができるでしょう。

ただし、これらのような汎用性の高い強みをアピールする場合でも、必ず応募先に歓迎される強みであるかということの確認を怠らないようにしましょう。

より良いアピールのためには、企業が特に求める人物像がどのようなものかを理解し、それに合わせたアピールをすることが重要です。

ESで「強み」を伝える例文

行動力

例文

大学時代は持ち前の行動力を活かして途上国の教育支援活動に取り組みました。きっかけはボランティア団体主催の講演会で途上国の教育問題を知ったことです。そこで、自分たちにできることを模索し、仲間と協力して現地の子供たちに学習教材を届けるプロジェクトを立ち上げました。
新品の教材を用意する資金的な余裕がなかったため、古本屋を回ったり、企業や団体に寄付を依頼したりして必要な教材を集め、仲間と分担して現地の学校に届けました。現地滞在中は子供たちと一緒に勉強したり、遊んだりしました。言葉は通じなくても笑顔で接することで心を通わせることができ、活動を通して教育が子供たちの未来を大きく左右することを実感しました。
貴社に入社後はこの行動力を活かし、積極的に新しいことに挑戦し、社会に貢献したいと考えております。(350字以内)

自分達でゼロからプロジェクトを立ち上げ、資金が限られる中で知恵を絞り、教材を確保して海外の学校まで届けるというエピソードからは相当な行動力が伝わります。

困難に直面した時、それを乗り越える方法を自ら考えて実行する力は社会に出てからも役立つ能力です。プロジェクトを通して教育の重要性を実感した、という具体的な気付きに触れている点も評価できます。

ただし応募職種とプロジェクトとの関連性がわかりません。プロジェクトでの学びや経験をどう仕事で活かすのかも説明しましょう。

協調性(コミュニケーション能力)

例文

私の強みは協調性です。大学の国際交流サークルのイベントで伝統的な料理をテーマにしたブースを設けることになった際、文化や価値観が異なるメンバーが集まっていたため、どの国の料理を取り上げるべきかで意見が対立しました。

私は妥協点を探るため、まずは各国の食文化をそれぞれが紹介し合うことを提案しました。どの国の料理も「家庭料理」という共通点があることがわかり、最終的に各国の家庭料理を紹介するブースにするという全員が納得できる内容にまとめることができました。この経験から、異なる意見を尊重し、積極的にコミュニケーションを取ることで、より良い結果を生み出すことができることを学びました。
貴社に入社後は、この経験を活かし、多様な価値観を持つ人々と協力しながらチーム全体の目標達成に貢献したいと考えております。(350字以内)

立場や価値観の異なる人同士が集まって働いている会社の中では、意見が衝突してまとまらないことは少なくありません。そのような場面ではそれぞれの意見を尊重し、落とし所を探る必要が出てきます。

学生時代に多国籍のメンバーが集まるサークルで協調性や調整力を磨いた経験は、社会に出てからも役に立つはずです。具体的にどのような業務で協調性が活かせるかもアピールできるとよいでしょう。

計画性

例文

私の強みは計画性です。大学時代にアルバイトをしていたカフェは人手不足で、週末は特に混雑していました。そこでスムーズな商品提供を目標にオペレーション改善に取り組みました。

過去の売上データとスタッフのシフト状況を分析し、人員配置の最適化を店長に提案。混雑する時間帯は経験豊富なスタッフを配置し、新人はベテランとペアを組めるようにしてもらいました。また、前日のうちに仕込みの8割を終わらせるようにし、テイクアウト用のメニューを増やすなど臨機応変な対応も行いました。その結果、提供時間が短縮され、顧客満足度も向上して売上も前年比10%増加しました。

この経験から、目標達成には計画性が不可欠であることを学びました。貴社に入社後はこの経験を活かして業務オペレーションの改善に取り組み、業務の効率化に貢献したいと考えています。(400字以内)

計画性という強みがしっかりとアルバイトでの経験を通して裏付けられています。人手不足による混雑という課題に対し、人員配置の最適化と仕込みの充実によって提供時間の短縮や顧客満足度・売上の向上という具体的な成果を出すことができており、計画性だけでなく問題発見能力や課題解決能力の高さも伝わってきます。

入社意欲を伝えるために、この会社を選んだ理由をもう少し詳しく説明するとよいでしょう。

粘り強さ(継続力)

例文

私の強みは粘り強さです。大学時代は英語力を向上させるため、毎日2時間以上の英語学習を継続しました。単語帳や参考書を使った学習だけでなく、映画や音楽、ニュースなど、様々な英語コンテンツに触れるようにしました。また、週に2回、大学の英会話カフェに参加し、ネイティブスピーカーと会話練習を行いました。

最初は思うように話せず何度も挫折しそうになりました。しかし、諦めずに努力を続け、徐々に英語力が向上していくことを実感しました。留学経験はありませんが、継続的な努力によって、TOEICスコアを600点から900点台まで上げることができました。

この経験から、目標達成には継続が必要であることを学びました。
貴社に入社後は、この強みを活かして、困難な課題にも粘り強く取り組み、目標達成に貢献したいと考えております。(350字以内)

挫折しそうになりながらも諦めずに毎日努力を続け、TOEICのスコアを600点から900点台まで向上させたという具体的な成果を示すことで粘り強さを証明しているエピソードです。

日常的な学習方法が例を挙げて説明されており、英語力向上という目標達成のために必要なアクションを逆算して実行できている点から、計画性も読み取ることができます。

英語学習に力を入れた背景や、入社後に実現したいことにも触れて、自信の強みと関連性を持たせられるとよりよいアピールになります。

好奇心

例文

私の強みは物事の本質や仕組みを知りたいという好奇心の強さです。子供の頃から植物に興味があり、大学では植物学を専攻し、研究室に所属して植物の光合成メカニズムを研究しました。自宅でも様々な種類の植物を育てる過程で、光合成の仕組みをより深く理解することができ、研究に役立てることができました。

さらに学んだ知識を多くの人に伝えたいという思いから「園芸学部生が教える植物栽培の豆知識」というInstagramアカウントを開設しました。日々の研究で得た自分なりの発見を分かりやすいイラストや写真を使って発信したところ、多くの人の共感を呼び、フォロワー数は1万人を超えました。

貴社に入社後はこの好奇心と向上心を活かして新しいことを常に学び続けながら、花や野菜の品種改良に貢献していきたいと考えております。(350字以内)

好奇心は仕事に活かすのが少々難しい強みではありますが、この例文では子供の頃からの植物への興味が大学での専攻、そして応募職種にまでつながっており、一貫性があります。プライベートでも植物の栽培に勤しみ、研究に役立てているところから勉強熱心な姿勢も読み取れます。

自分の知識を外部に発信して1万人ものフォロワーを獲得していることからは研究一筋ではなく、さまざまな能力を備えていることが伺え、入社後も幅広い分野で活躍してくれることが期待できる例文といえるでしょう。

チャレンジ精神

例文

私の強みは、困難なことでも諦めずに挑戦し続けるチャレンジ精神です。学生時代は人前で話すことが苦手でした。しかし、将来は商品企画の仕事に就きたく、業務の一環でプレゼンテーションの機会も多いことから人前で話すことへの苦手意識を克服する必要がありました。

そこで、プレゼンの多い授業やゼミ、学外のスピーチコンテストなどに積極的に挑戦しました。最初は緊張で声が震え、うまく話せませんでした。しかし、何度も練習を重ね、話の構成や発声方法を工夫しました。徐々に人前で話すことに慣れ、自信もつけることができました。これらの経験を通して、どんな苦手なことでも、努力すれば克服できることを学びました。

貴社に入社できた際には、このチャレンジ精神とプレゼン能力を活かして、商品開発に貢献していきたいと考えております。(350字以内)

単にチャレンジ精神があると主張するだけでは説得力に欠けます。具体的なエピソードを用いてどんな困難に直面し、それをどう乗り越えたのかを説明することがポイントです。

この例文では人前に立つことへの苦手意識を克服するためにチャレンジしたことが複数例示されています。結果として人前でも自信を持って話せるようになるという目標を達成できており、将来の夢を実現させるために今の自分に欠けているものを分析する能力計画性も読み取れるところが評価点です。

問題解決能力

例文

大学では陸上部のキャプテンとして問題解決能力を磨きました。私が所属していた長距離部門は、選手の記録の伸び悩みという課題を抱えていました。

私はキャプテンに就任した当初、練習メニューを見直し、個々の選手に合わせた指導を行うことにしました。大学のトレーニング施設にある測定機器を活用し、選手のフォームや体力を詳細に分析しました。分析結果に基づき、個々の課題克服のためのトレーニングメニューを作成し、指導を行いました。また、外部コーチを招いて講習会を開催するなど、選手強化に力を入れました。

その結果、昨年はインカレ出場者がゼロだったところ、その年は5名がインカレに出場し、2名が入賞を果たすことができました。

貴社に入社後は、この問題解決能力を活かして、事業部の売上アップに貢献していきたいと考えております。(350字以内)

問題を解決するためには、現状分析、原因の特定、解決策の立案、実行といったプロセスが必要です。

この例文では練習メニューの見直しから測定機器を利用した分析、分析結果に基づいたトレーニングメニューの作成と、きちんとそれら一連のプロセスが踏まれていることがわかります。外部コーチを招いた講習会を開催するなど、リーダーシップもアピールできています。

事業内容と自身の能力をどのように結びつけるか、入社後どのように貢献したいかも明確に示されている理想的な自己PRといえるでしょう。

ESで強みを書くときのポイント

一文は短くわかりやすく伝える

文章を構成する一文一文は、可能な限り短くしましょう。一つ一つの文が冗長だと、要点を掴むことに時間が掛かり、読みにくく、理解しにくい文章になってしまいます。

一文を短くする方法は大きく分けて2つあります。

1つは無駄を省き、簡潔な表現でまとめるという方法です。必要性の高い情報だけで文を形作ることで、内容をすんなりと理解しやすくなります。もう1つは、意味が通じる範囲で長い文章を区切るというものです。

以下は長い一文を二つに分割した例です。

学生時代には野球部に所属していましたが、大会では一度も勝てたことが無く、その状況を打破するために、練習メニューの見直しを行いました。

学生時代には野球部に所属していましたが、大会で一度も勝てたことがありませんでした。

そこで、この状況を打破するために、練習メニューの見直しを行いました。

短い区切りごとに文章の内容を整理しながら読むことができるようになるため、要点を把握しやすくなります。

ESの文章を書く際には、一文を短くするということを意識することをおすすめします。

強みとエピソードが一致しているか確認する

先述の通り、強みをアピールする際には、その根拠となるエピソードを伝えることがセオリーとなっています。この際、エピソードが本当に強みと関連しているかということをしっかりと確認しましょう。

強みとエピソードがずれているエピソードの例は以下の通りです。

例文

私の強みは高いコミュニケーション能力を持っていることです。この強みは学生時代の飲食店でのアルバイトで磨きました。

ホールスタッフとして働いていたのですが、新商品が発売された際にはお客様に「今月のおすすめの〇〇はいかがですか?」と積極的に声掛けを行いました。

この結果、新商品の売り上げは好調で、店長にも「〇〇さんの声掛けのおかげで助かっている」と嬉しい声をいただくことができました。

貴社に入社後もこの強みを活かして、業務に貢献していきます。

上記の例文では、「コミュニケーション能力」をアピールするはずが、自ら声掛けをしているだけでお客様とコミュニケーションをとっている様子が伝わりません。

またこの文章から「コミュニケーション能力」が強みであることが伝わらず、何を伝えたいのかわからない文章になってしまっています。

このように伝えたい強みとエピソードにズレが生じていると、強みの裏付けが出来ず、説得力の無い文章になってしまいます。文章を書き終えたときには、強みとエピソードの内容が一致しているかをしっかりと確認しましょう。

仕事で活かせるものを選ぶ

いかに優れた強みであっても、仕事との関連性が低ければ、企業には歓迎されないでしょう。そのため、強みをアピールする際には、応募先での仕事で活かせるものを選ぶ必要があります。

アピールに適切な強みを選ぶためには、企業研究をして応募先への理解を深めることが不可欠です。企業の公式サイトや就活情報サイトから、求める人物像や社風を知り、企業に魅力的に思ってもらえる強みを見つけましょう。

採用担当者の目を惹く強みの書き方

修飾語を用いて強みを印象付ける

ESで強みを伝えるとき、「私の強みは○○です」と結論から始めることが一般的とされています。

このとき、「私の強みは粘り強さです」というように、単純な表現を用いると、個性が無く、採用担当者の印象に残りにくいでしょう。「私の強みは困難にぶつかっても諦めない粘り強さです」というように強みを修飾する表現を加えることで、他者との差別化がなされ、より印象的に伝えることができます。

また強みの具体性が高まり、どのように活かせるかをイメージしてもらいやすくなるでしょう。ただし、修飾語があまり冗長にならないように、注意する必要があります。サッと読んだだけで、すぐに理解できる表現を用いることを心掛けましょう。

エピソードに第三者の評価や数字を添える

強みの裏付けとして、それが活かされたエピソードを語る際、可能であれば、第三者からの評価や数字を混ぜてみましょう。

強みに対する客観的な評価が加わることで、話の信憑性が高まり、その強みが第三者から見ても確かなものであることをアピールできます。

第三者からの評価や数字を添えた例は以下の通りです。

第三者からの評価を添えた例
  • 店長から「○○さんがお客様に明るく接してくれるから、店内の雰囲気も明るくなっている」と言われました
  • サッカー部の後輩から「○○さんの丁寧な指導のお陰で、シュートの成功率が上がった」と言われました
数字を添えた例
  • テニス部の都大会で3位を獲得しました
  • TOEICテストの点数が200点上昇しました

ESと履歴書の両方で「強み」を求められたときはどうする?

ESと履歴書の両方で強みについてのアピール文を求められたとき、取るべき方法は大きく分けて2つあります。

1つ目は、多くの文字数を書ける方の書類に、より詳細な文章を書くという方法です。つまり、両方で同じ内容について書きつつ、上限となる文字数の違いによって、深掘りの具合に差を付けるというものです。

2つ目は、それぞれの書類で全く異なる内容を書くという方法です。余裕がある場合には、こちらの方法を取ることをおすすめします。

アピールできる内容が増えるだけでなく、採用担当者には多彩な能力を身に付けていることを印象付けられるでしょう。

自分の強みや長所が見つからないときの対処法

自己分析ツールを使う

強みが見つけられない場合には、自己分析ツールを使用することをおすすめします。自己分析ツールは大手の就活情報サイトなど、複数のサービスで提供されています。サービスへの会員登録が必要な場合があるものの、基本的にはWeb上で無料で利用することが可能です。

形式としては、回答者自身に関する短い質問に「当てはまる」から「当てはまらない」までの複数の段階が用意された選択肢を選んで答えていくものが多いです。質問数が多い場合が基本ですが、簡単に答えられる質問で構成されているため、数分で回答し終えられるものが多いでしょう。

回答結果を基に回答者の分析がなされ、導き出された性格強み・弱みなどがフィードバックされます。ただし、分析ツールは回答者の詳細なデータを基に分析を行うものではありません。

また回答は回答者の主観的な評価により行われます。そのため、結果は真に受け過ぎず、あくまで参考にする程度に留めておきましょう。

しかし、簡単に短時間で自己分析を行えるため、強みを探したいときには、まず利用してみると良いでしょう。

家族や友人に自分の強みを聞く

強みが見つからない場合には、家族や友人など、あなたをよく知る人物に自身の強みが何かを聞いてみると良いでしょう。あなたが気付いていない強みを見つけられるかもしれません。

またそのときに、それが強みだと考えた根拠を聞くことで、あなたの強みが表れたエピソードも一緒に見つけられるでしょう。見つけられた強みは、客観的に評価されているものであるため、確かな強みと言えるでしょう。

異なる視点からの評価を得やすいため、家族、友人、学校の先生、アルバイト先の先輩など、様々な立場の人に強みを聞いてみることをおすすめします。

弱みを強みに言い換える

自分が弱みだと思っていたものが、ある場面では強みとして発揮できるものだった、ということもあるかもしれません。そのため、強みが見つからない場合には、弱みを強みに言い換えることができないか試してみましょう。

言い換えで強みを見つけられたら、それが本当に自身の持つ強みなのか、具体的なエピソードを伴って説明できるかを必ず検証しましょう。

弱みを強みに置き換えた例は、以下の通りです。

弱み強み
頑固芯が強い、他者に流されない
暗い穏やか、落ち着きがある
心配性慎重
神経質几帳面、丁寧
お節介世話焼き、思いやりがある

このように弱みから考えると、短所・長所の両方を見つけることができます。また長所・短所に一貫性を持たせることができるので、弱みをあらゆる角度から見直してみるのもおすすめです。

自分の強みを理解してESを効果的に仕上げよう

強みとしてアピールできる能力は数多くありますが、その中から志望企業に合ったものを選び、内容を考える必要があります。特に、仕事で活かせる強みは積極的にアピールしましょう。

また、強みを説明する上では具体的なエピソードが欠かせません。これまでの経験を振り返り、説得力の高いエピソードを深掘りすることで、より良いESに仕上がります。

こちらの記事で紹介したポイントや例文を参考に、選考を有利に進められるESを作成しましょう。