物流業界の志望動機の書き方|効果的に伝えるコツと注意点【例文あり】

物流業界は、日本の経済を影で支える重要な業界です。例えば、私たちの日々の買い物も物流業界がなければ、店頭に品物が並ぶことはないでしょう。また電気やガスなどのライフラインも同様です。エネルギー資源を海外からの輸入に頼る日本では、海上輸送がなければ日常生活もままなりません。

そんな私たちの生活に密接にかかわる物流業界を志望する人も多いのではないでしょうか。しかし、物流業界は他の業界とは異なり、志望動機の書き方に注意すべきポイントが数多く存在します。ポイントを押さえた志望動機を作成して、内定に近づきましょう。

物流業界の実態

物流業界の主な業務は、荷物を運ぶことです。製造された商品などを輸送して、報酬を得るのが基本のビジネスモデルです。しかし、単に運ぶだけでは業界として成り立ちません。効率の良いルートで大量輸送ができれば、コスト削減につながります。

また、商品の梱包方法では、衝撃に弱い精密機器を運ぶことも可能です。運ぶことに安さや速さ、安全性などの付加価値を付けられるからこそ、物流は企業として成立しています。

物流業界の業種

物流業界の業種は、陸上輸送海上輸送、そして、航空輸送の3つの業種によって成り立っています。勿論、総合的に請け負っている企業も存在しますが、基本的には3つのうちの1つに軸足を置いた経営をしています。

物流業界を志望するならば、それぞれの業種ごとの特徴を掴みましょう。

陸運

代表的な企業
  • JRグループ
  • 日本通運
  • ヤマト運輸

1つ目は陸運です。トラックや鉄道などを利用した陸上交通における輸送を担います。小型でもトラックがあれば仕事になるため、大手以外にも地元に根差した中小企業が多い業種です。非常に身近な存在であり、多くの人が利用していることでしょう。物流業界の中でも、陸運は目的地に最終的に荷物を届ける上で欠かせない存在です。

ただ、参入企業が多いため価格競争が厳しいことが実情です。盛んな価格競争は、その分給与に影響します。値下げやサービスの質を上げなければ利用者が減るため、労働時間に対して平均給与が低いことは否めません。また、拘束時間も長く全体的にブラックな体質であることには注意しておきましょう。

海運

代表的な企業
  • 日本郵船
  • 商船三井
  • 川崎汽船   

2つ目は海運です。島国である日本は古来より海上交通が活発でした。そのため、現在でも実に海外貿易の99%が船による輸送です。大型のタンカーやコンテナ船による輸送は、大量の荷物を一度に運べるため、コスト面に優れているという特徴があります。また、日本の海運業者は歴史の長い企業ばかりです。歴史が長いということは、それだけ安定した経営を続けている証拠といえるでしょう。

海運は日本と海外の経済に左右されやすい業種でもあります。海運は利益の多くを海外貿易に依存しています。単純に貿易量が減少すれば、それだけ運ぶ機会も減り業績が下がります。海運の今後を考えるときは、日本経済だけではなく海外情勢にも目を向けましょう。

空運

代表的な企業
  • 日本航空
  • 全日空
  • 日本空輸   

3つ目は航空機を利用した空運です。空運は素早い輸送ができるという特徴があり、野菜や生花などの鮮度が要求される商品の輸送に利用されます。また、輸送費が高額であるため、IT製品などの小型で高価な商品も取り扱っています。

貨物だけを専門に取り扱う企業のほか、日本航空や全日空のようにグループ傘下に貨物輸送を担う会社を持つ企業もあります。昨今は、格安航空会社が貨物輸送事業へ相次いで参入しており、ますます業界として活発になることが予想されます。

反面、企業の絶対数が少ないため、どの業種も倍率は非常に高くなっています。特に、昨今の感染症の影響は大きく、大幅に募集枠を減らした企業も珍しくありません。内定を得るためには、徹底的な業界研究が求められる分野です。

物流業界の職種

物流業界の職種は、主に「荷物を運ぶ人」「荷物を管理する人」「運ぶ人を応援する人」の3つに分かれます。

運転士・ドライバー

物流における花形ともいえる「荷物を運ぶ人」です。物流業界の職種として、最もイメージしやすい仕事でしょう。ただ単に荷物を運ぶのではなく、安全に、かつ大切に運ばなくてはなりません。また、荷物だけではなく旅客を運ぶこともあるため、運転には慎重さが求められます。

これらの職種には、特定の免許が必要となります。入社後に取得することになるため、内定を獲得したら早めに勉強を始めるようにしておきましょう。視力や聴力など身体的な要件を求められることもあるため、健康にも注意が必要です。

倉庫管理・情報管理

物流業界は、運ぶ人だけではなく「荷物を管理する人」も重要です。港や空港など物流には、荷物が集まる拠点が存在します。集荷された荷物は拠点で各方面に振り分けられ、それから再び目的地へと運ばれていきます。適切に振り分けるためには、荷物を集める倉庫管理や届け先などの情報管理が必要です。

これらの業務は管理・保管だけではなく、その周辺業務も数多く行います。たとえば、荷物の梱包作業や積み下ろし作業など、物流業界を円滑に動かすための立役者といえるでしょう。

物流コンサルタント

「運ぶ人を応援する人」の1つが、物流コンサルタントです。物流業界は荷物を運ぶ仕事がメインですが、荷物を管理・保管する過程も存在します。この管理も含めた商品が作られて販売されるまでの一連の流れを「ロジスティクス」といいます。物流コンサルタントは、このロジスティクスを考え、最適化された物流をつくる仕事です。

物流が最適化されれば、それだけ時間や輸送費の削減につながります。輸送コストが削減できれば、その分だけ顧客も利用しやすくなるでしょう。また、物流業界共通の問題として、環境問題も無視できません。効率的な輸送は、環境への負荷を軽減するためにも重要です。物流コンサルタントは、物流業界の抱える問題を解決する役割を担っています。

物流業界の現在と将来性

感染症の影響で募集人数は大幅に変化

物流業界は、感染症の影響を最も強く受けた業界といえます。モノへの需要が高まった結果、通販を利用する人が増えました。その結果として、物流業界の売上は稀に見る成長率を記録しました。

特に海運の川崎汽船の2020年度の最終利益は、実に前年の20倍以上となっています。しかし、盛況になった分、人手不足は深刻な問題です。各従業員への負担が大きいため、解消に向けた取り組みを各社模索しています。

一方で、空運は募集人数を大幅に縮小しています。たとえば、全日空は21年度はグループ全体で約3200人を募集していました。しかし、22年度はグループ全体で700人と5分の1まで削減しています。ただ、この大幅な削減の主な原因は、旅行需要の減少による客室乗務員とグラウンドスタッフの募集停止であることには注意が必要です。

このように、同じ物流業界であっても、輸送方法によって大幅な差が存在しています。物流業界は生活に密接にかかわる業界であるため、社会情勢の変化が直接影響します。募集前には、日本だけではなく世界規模でどのようなことが起きたか確認しておきましょう。

エネルギー問題をどう捉えるか

物流業界はエネルギー問題とも関わり合いが深い業界です。たとえば燃料価格が上がれば、それは輸送コストの増加につながります。運賃を値上げしなければ経営が成り立ちませんが、利用者が減ることは避けられないでしょう。

また、環境への影響も無視できません。燃料を消費する以上、どうしても二酸化炭素などの温室効果ガスを排出します。昨今は環境問題への取り組みも、企業として注目されるポイントです。そのため各社ともに、環境への影響の少ない新型の開発をメーカーと共同して進めています。

今後も形を変えて続く業界の1つ

物流業界は、通販との関わり合いが強い業界です。昨今は店頭での販売よりも、ネット通販を利用する人も多く、物流への需要はますます高まっています。購入や決済はデータでもできますが、品物はそうはいきません。人間が物質的なものを必要とする以上、モノを目的地まで運ぶ仕事は必要とされます。物流業界は、間違いなく今後とも存在し続ける業界の1つでしょう。

しかし、それは業界全体の話であり、それぞれの職種が今度も存在するかは分かりません。たとえば、トラックドライバー。昨今は自動運転技術が盛んに開発されています。また、ドローンなどの小型空輸に関しても、多くの企業が開発を続けています。もしかすると、近い将来「荷物を運ぶ人」というのは存在しなくなるかもしれません。

物流業界が求める人物像

物流業界の職種は多岐にわたるため、それぞれの職種で活かせる能力は異なります。しかし、他人の財産や命を扱う物流業界には、共通して求められる人物像が存在します。他の業界にはない特性を反映しているため、その能力が物流業界のなかで活躍できるかまで考えてみましょう。

何をおいても体力は欠かせない

物流業界を志望する上で、最も重要な素養は体力と言えるでしょう。物流業界は、勤務が不規則であり、深夜まで仕事をすることも珍しくありません。そのため深夜労働や連続した長時間労働に耐えられるだけの体力は、何をおいても求められます。また、心の健康も重要なポイントです。どれだけ体力があっても、心が健康ではない人間に命や財産を預けたいと思う人はいません。

他にも、視力や聴力などの肉体的な健康も求められる業界です。特にパイロットや運転士は、視力に関する非常に厳しい任用条件が設けられています。この条件を満たさないと、採用されても働くことができません。体力づくりだけではなく、常日頃から自分の健康に注意しておきましょう。

預かるものは命と財産であることへの慎重さと正確さ

JR西日本のトップページには、2005年4月におきた福知山線列車事故に関する戒めが今も掲載されています。物流業界は車や船舶、航空機を利用した仕事です。そのため、事故のリスクは常に付きまといます。一度事故が起きれば、一瞬で何百人もの人間が犠牲になることも考えられます。また、命が助かっても財産を失うこともあるでしょう。

物流業界は重大な事故があるたびに、見直しが行われてきた業界です。先の福知山線事故だけではなく、数多くの航空機・船舶事故を教訓として、どの業界も安全確保に取り組んでいます。しかし、これはあくまで制度やシステムにすぎません。結局、最後には社員一人ひとりの安全に関する意識が何よりも大切です。

コミュニケーション能力はどんな業界よりも重要

物流業界は荷物を運ぶ仕事です。その荷物には特定の送り先があり、それを間違えることはできません。相手の話を聞いて正しく理解するコミュニケーション能力は、働く上で重要となります。

配送のミスは会社への不信感につながるでしょう。加えて、過去、言い間違いや聞き間違いで重大な事故になったケースも数多く存在します。相手の言いたいことを正しく理解することが、これほど重要な業界もないでしょう。

また、空運や海運であれば、英語や中国語など日本語以外の言語で話すことも少なくありません。世界を舞台に活躍するのであれば、日本語以外の言語でも十分なコミュニケーションができるように努めましょう。

もしものときの対応力と柔軟性

物流業界は、事故と切り離すことができません。勿論、どの企業も常に安全管理に気を配っていますが、何らかのトラブルは日常茶飯事です。トラブルが発生したときに適切な対処ができる対応力と柔軟性が物流業界には求められます。

特に、運転士やパイロットには欠かせない能力です。常に変化し続ける状況を観察し、それに対応することは、思っている以上に困難です。そこに荷物や命を預かる緊張感も加われば、正常な判断はできません。荷物を運ぶ人も、それを支える人も突発的なトラブルへの対応力は必要でしょう。

物流業界の志望動機を書くときのポイント

物流業界を志望した理由から始める

まずは、数ある業界のなかから物流業界を選んだ理由を考えましょう。自分の就職先として選ぶ以上、何かしらの理由があるはずです。志望動機の強さは就職後の意識の高さにつながるため、企業としても真っ先に知りたい内容です。

物流業界は業種や職種によって内容は異なりますが、全て荷物に関係します。荷物を運ぶことで社会にどのように貢献するのか、物流・運送と絡めて志望動機をアピールしていくことが大切です。

書き始めとなるきっかけは、どんなささいなことでも構いません。たとえば「通販を利用することが多いから」や「港町に住んでいたから」など、日常のことでもきっかけとして十分です。物流業界は生活に密接している分、志望するきっかけになったことも考えやすいと思います。他の就活生と差別化を意識した理由を考えましょう。

「その企業」である明確な理由を用意する

物流業界の中でも海運と空運は、そもそもの企業数自体が少ない業種です。そのため、企業は「なぜ弊社なのか」という当然の疑問を持っています。この疑問に対して、たとえば空運なら「JALではなくANAを選んだ」明確な回答を用意しましょう。どちらでも通用するような理由では、採用されません。企業理念や経営方針など競合他社との違いを明確にすると、自分が選んだ理由も分かりやすくなります。

明確な理由が必要なのは陸運も同様です。確かに海や空に比べれば陸運の企業は数多く存在します。しかし、数が多い分、それだけサービス競争価格競争は熾烈なものになります。企業が行っていることは、志望する企業を決定するきっかけの1つです。その企業「ならでは」の志望動機を作るためにも、サービスや経営方針などは詳しく確認しておきましょう。

業種と職種に応じた強みをアピールする

アピールポイントは、その業種・職種に応じたものにしましょう。たとえば、トラックドライバーを志望していて、「英語を話せます」とアピールしたとき採用担当はどのような反応をするでしょうか。おそらくですが何事もなかったかのように、次の質問へ移ると思います。確かに、英語を話せることは大きなアピールポイントです。しかし、この強みは志望する仕事で必ずしも求められるとは言えません。

物流業界は業種も職種も多様です。そのため「どのような仕事をしたいのか」が明確でないと、的外れなアピールになってしまいます。必ず自分が志望する職種の仕事内容を確認し、その仕事をする上で活かすことのできる強みを見つけましょう。

トレンドを取り入れるとより効果的

物流業界は、最近の政治や経済など国内外の影響を強く受ける業界です。昨今の米中の貿易摩擦の問題を筆頭に、感染症や環境問題など対応が求められる問題は数多く存在します。

特に、陸運は「2024年問題」と言われるトラックドライバーの労働環境の改善課題を既に突きつけられています。どの企業も課題に対して、迅速に何らかの手を打っています。物流業界の志望動機を書くときは、社会を反映した企業の動向に注意しましょう。

物流業界は大手企業が多いため、プレスリリースや業界報も活発に発行されています。ESを出してから面接までの間に動きがあることも多いため、情報は常に確認が必要です。業界の抱える課題を踏まえると、より志望動機に具体性が増します。

物流業界の志望動機の例文

志望動機を書くときは、最初に結論から書き始め、その後は順番にその企業を志望した理由、入社後の取り組みにつなげるのが一般的です。

志望動機は自分の熱意を伝えるためにも重要な項目です。深い自己分析業界研究・企業研究の上で書きましょう。

陸運の志望動機の例文

例文

私は就職活動にあたり、社会を支える仕事がしたいと考えました。そう考えたとき、「物を誰かに届ける」ことで日本を陰で支える物流業界に興味を持ちました。

物流は社会が発展するためになくてはならない存在ですが、ドライバー不足など多くの問題があります。貴社はそれらの課題に早くから取り組まれ、鉄道輸送や拠点の移設、システムの変更など顧客にとって最適な輸送プランの構築に取り組まれています。

貴社に入社後は物流コンサルタントとして、顧客に早く確実に、そして、ドライバーが安全に運べる物流をつくることが私の目標です。リーディングカンパニーとして成長してきた貴社ならば、私の目標が実現できると思い志望いたしました。(300字以内)

物流業界は業種や職種によって仕事内容が異なるため、それぞれに合わせた志望動機を考えましょう。この志望動機は、陸運のなかでも物流コンサルタントを想定した志望動機です。

各職種の業務内容を自分の目標に絡めて書けると、入社の前後のギャップが少ないため、企業としても安心して採用できます。

また、就職活動にあたり最初に考えた「支える仕事」というのが、最後まで一貫しています。業界として他業界を支える物流業界、職種もドライバーを支える物流コンサルトと細かいところまで自分の目標が反映されています。このような志望動機が書けると、企業も好印象でしょう。

海運の志望動機の例文

例文

私は、貿易の活性化に貢献したいと思い、海運のリーディングカンパニーとして存在感を誇る貴社を志望しました。

私は〇〇市の生まれであり、幼いころから貿易船を間近で見ていました。石油や天然ガスなどが貿易船で日本に輸入され、反対に自動車や工業機械などが世界へ輸出される、日本と世界のつながりが印象に残っています。

海外の品物も簡単に手に入るようになり、多くの商品を安く運べる海運の需要は、さらに高まると思います。貴社の発展は、より多くの人の生活を豊かにすることに直結すると考えています。

貴社の一員として、人々の生活に必要不可欠なものを運び、貴社の発展、そして日本の貿易の発展に貢献できるよう努力します。(300字以内)

この志望動機のポイントは、物流のなかで海運が担当している部分を挙げていることです。海運は時間が必要ですが、その分大量の荷物を安価に運べます。それぞれの輸送方法の特徴を踏まえることで、その業種でなければならない理由になります。加えて、今後の海運に予想される変化を盛り込むことで、深い業界研究であるアピールが可能です。

海運は大手企業がシェアを独占している業界です。そのこともあり、差別化を意識して、企業ごとに打ち出している方針がそれぞれ異なります。どの企業のどの点が自分にとって魅力に感じたのか、それを言葉にできるようにしておきましょう。

空運の志望動機の例文

例文

私は、今後の物流の発展には世界とのつながりが重要になると考えています。そのため、

世界中にネットワークを持ち、空輸で多くの人の生活を支えている貴社に魅力を感じ志望しました。

数ある物流業界のなかでも、貴社は国内では数少ない航空輸送に特化したビジネスを展開しています。また、昨今の感染症の厳しい状況を成長のチャンスと捉え、新しい航路の開拓などに取り組む姿勢に感銘を受けました。

私はヨーロッパのECサイトを定期的に利用しています。今後、空運が発展すれば、今まで以上に国内外の人々に迅速にモノを届けることができると考えています。

貴社に入社後は得意な英語を活かし、日本の空輸を担う一員として成長していきます。(300字以内)

業界に興味を持つきっかけは何でも構いません。通販を利用する人であれば、日頃から物流の存在を身近に感じていることでしょう。突飛な理由よりも日常で目にしやすいきっかけの方が共感も得やすくなります。ただ、その分他の人と重複しやすいため、そこから先は企業研究で差を付けましょう。

また、大手や格安航空会社は、旅客輸送がメインの業務です。単に「貴社の〇〇に共感して」などの理由だけでは、物流業界を志望する理由として浅く感じられます。もう少し深く掘り下げて、入社後に物流にどう貢献したいのかまで考えてみましょう。

物流業界の志望動機を書くときの注意点

物流業界への志望動機は、業界の華やかさ以外にも目を向けましょう。物流業界は、日頃から利用する人も多いため、その業界の存在や仕事をしている人を、よく見かけます。そのため、業界を「何となく」で理解している人も多いのではないでしょうか。このまま志望しても、いずれ本来の業界とのギャップで苦しむことになります。

確かに憧れや夢は、志望する理由になります。しかし、あくまでも業界を目指すきっかけであり、それだけを目標にすることはできません。実際に働き始めた後のことをイメージしつつ、業界研究は続けていきましょう。

海外だけに目を向け過ぎない

物流業界、特に海運と空運の2分野は、海外との接点が多い分野です。そのため、海外を意識した志望動機や、外国語ができることをアピールするのは重要なことでしょう。ただ、物流業界は海外だけを相手にしている訳ではありません。国内にも利用する顧客や企業は大勢います。また、国際便の取扱がない企業も少なからず存在します。

海外のみを意識した志望動機では、「業務を正しく理解していない」と判断されます。また、就職後に「希望する配属でなければやめてしまうのでは」と企業側に思われてしまうかもしれません。

ポイントは「海外は目指す方向性の1つにしておく」ことです。就職後は多くの選択肢が考えられますが、「特に海外で働きたい」としておく程度にとどめておきましょう。

時間に関する意識を厳しく持つ

最適化された物流では、「適切な量を適切な場所へ適切なタイミングで」運ぶことが重要とされています。一分一秒の「ズレ」が後々に致命的なトラブルにつながるため、物流業界はどの企業も時間管理を徹底しています。遅れることは論外ですが、早すぎるというのも物流業界ではタブーです。

必要とされるタイミングに対して、募集の段階から適切な回答ができるようにしておきましょう。締め切りを守ることは当たり前ですが、必要以上に早く出しすぎないことも重要です。書類選考を通過したら、面接が待っています。こちらも時間を厳守することを忘れないようにしましょう。

実際の業務を正しく理解しておく

自分が目指している企業や職種の業務は、正しく理解しておかなければなりません。たとえば、パイロットや電車の運転士など、多くの子どもが憧れを抱く職業なのは間違いありません。そのため志望動機に幼いころの憧れを挙げる人も少なくないでしょう。

ただ、私たちが見ている姿は、一般人が見られる部分だけです。実際には、運転する以外にも多くの業務を抱えています。

実態を知らないまま、仕事を始めてしまうと現実と理想のギャップに苦しみます。このギャップが大きすぎると、最悪の場合は退職につながります。仕事は綺麗なものばかりではありません。

特に、物流業界はどんな職種であっても体力が要求されるブラックな面も目立つ業界です。業界研究を行うなかで、実際の業務を正しく把握していきましょう。職種のよい面だけではなく、悪い面にも目を向けることが大切です。

物流業界は業種・職種に合わせた志望動機で内定を勝ち取ろう

物流業界には多くの職種が存在し、それぞれに求められる能力が異なります。そのため、募集の段階から、職種ごとに人数を決めて募集しています。なかには特殊な資格や条件が課されることも珍しくありません。物流業界という業界全体の大枠で捉えてしまうと、職種の実態が掴めないため、志望動機が作りにくくなってしまうでしょう。

物流業界の志望動機は、業界を大枠で捉えた後は、企業ごとの研究と職種ごとの研究を同時並行で行いましょう。普段目にする仕事の裏側にまで目を向け、実際の業務がどのようなものなのか理解すると志望動機も作りやすくなるでしょう。

<参考サイト>

【例文あり】自己PRで集中力を効果的にアピールする方法や注意点を解説

自己PRで集中力をアピールするための伝え方や具体的な書き方に悩んでいる方も多いのではないでしょうか。集中力の高さを強調するために重要なのは、独自性の高いエピソードを通して明確にアピールすることです。

本記事では、自己PRで集中力をアピールするときの方法や周囲と差別化するためのポイント、注意点について解説しています。

そもそも集中力とは?

集中力とは「特定の物事に対して、意識を一点集中させて取り組める力」です。

人は集中力が切れている状態では、その物事に無関係なことにも意識が向いてしまい、結果的に物事の進行度・クオリティが低下します。一方、意識が一点集中していれば、周りの環境・状況に左右されることなく対象の物事に取り組むことができるため、ハイクオリティな結果へとつながります。

集中力は少なからず誰もが持ち合わせていますが、この能力はセルフコントロールが上手い人ほど、発揮する条件やタイミングを調整しやすい傾向にあります。

社会人は、与えられている仕事のプロである姿勢が求められます。そのため、仕事の精度を高められる能力の一つである集中力は、自己PRの場でも大きな強みとなります。

集中力を強みとしている人は、積極的に自己PRでアピールしていきましょう。

集中力を強みとする人が自己PRでアピールできること

マルチタスクが得意

複数の物事を同時並行で進めるためには、非常に高い集中力が必要です。

マルチタスクをこなすためには、各タスクの進め方・進捗・課題の有無を視点を上手く切り替えながら把握する必要があるためです。

一方、集中力がない状態では意識が分散してしまい、確認・対応漏れなどのミスが生じてしまう恐れがあります。また、本来よりも十分に能力を発揮できず、タスクのクオリティも低下しやすい傾向があります。

複数のタスクを掛け持つ業務は、責任のある重要な役割であることが多いです。そのため、マルチタスクをこなせるスキルは、将来的なキャリア形成においてもプラスに働くアピールポイントです。

仕事のクオリティが高い

集中力が高い状態で物事に打ち込める人は、仕事の精度が高い印象を与えます。なぜなら、意識を分散させずに一つの物事へ向き合っている状態では、ミスや問題が起こる可能性が限りなく低いためです。

集中力が低い状態で完成させた仕事は、何らかのミスや問題が隠れている可能性が潜んでいます。その仕事を提出された上司の心には、「また間違いがある…確認くらいちゃんとしてよ」という気持ちが浮かぶでしょう。

完成度の高い仕事ができる人は企業から信頼されやすく、重要な仕事を任せてもらえるチャンスが増えます。人事担当としても、そのようなスキルを兼ね備えている学生さんを採用したいと思うのが自然といえます。

粘り強く物事に打ち込める

集中力が高い人は、忍耐強く物事に取り組めるという印象を人事担当へ与えることができます。

一般的に、大人が一つの物事へ集中できる時間は50分という説があります。しかし、50分間の中でも同じ度合いで集中しているわけではなく、15分間の中で波があると言われています。

集中力がある人は、「物事をやり遂げる」という目的意識が強いため、この波に呑まれにくい傾向があります。仕事を途中で放り出したり中途半端な部分で終わらせないので、仕事が仕上がるスピードや精度が高いといえます。

そのような人はビジネスの場でも信用されやすいため、物事へ粘り強く取り組める姿勢は、大きなアピールポイントへつながります。

他の学生と差がつく!自己PRで集中力をアピールするポイント

実体験のエピソードを通して伝える

自己PRで集中力を伝える時は、あなたの実体験を交えてアピールすることが非常に重要です。

実体験の説明がないまま「集中力があります!」という主張を行った場合、「どのようなプロセス・いきさつがあって集中力を得られたのか?活用できたのか?」というストーリーが全く分かりません。

人事担当は大勢の就活生から自己アピールを受ける身なので、「集中力がある」という主張だけでは心を動かされません。あなたオリジナルのエピソードを聞いて初めて、「この子は集中力がある子なんだな」と知ることができます。

実体験は、アルバイト・インターンシップ・勉強・留学など、何でも構いません。大事なことは、「あなたが自信と実体験をもって自己PRできるか?」です。自分の強みが発揮できたエピソードを選ぶようにしましょう。

数値などを交えて具体的に表現する

自己PRに説得性を持たせるために重要なのが、「数字による裏付けされた表現」です。

たとえば「テストの成績が大きくアップした」と伝えるよりも、「テストの成績が学年100位→10位にアップした」と伝えた方が説得力の強さは段違いといえます。

また、集中力の強さを伝える上で「時間を数字で伝える方法」もおすすめです。「3ヶ月間集中して勉強した結果、テストの成績が学年100位→10位にアップした」などのように時間と結果の両方を数値化させて伝えれば、より裏付けされた自己PRが可能となります。

仕事でどのように活かせるのかを伝える

自己PRで集中力をアピールする際は、その強みを「仕事でどのように活かせるのか」を述べることが重要です。

人事担当は、あなたが集中力の高さを培った経緯・エピソードについて詳しく知りたいのは事実です。しかし、集中力を仕事へ活かすイメージが明確でなければ、自己PRとしては「弱い」と判断されてしまいます。

もちろん、どのような仕事においても実際に経験しなければ内情までは分かりません。まずは現段階での仮説でも良いので、「集中力の高さをどうやって活かせるのか?」を、あなたの志望職種に当てはめて考えてみましょう。

言い換え表現を用いる

あなたを含む多くの就活生が、企業の選考を通過するために自身のアピールポイントを熟考します。その中でも、「集中力」は就活生、企業の双方から多くの人気を集めるアピールポイントです。

そのため、他の就活生と差をつけるためには、あえて「集中力」を別のワードに言い換える必要があります。たとえば、「一つの物事に打ち込める力」「細部に渡って配慮できる」「一度決めたら最後までやり遂げる忍耐力」など、頭を柔らかくすれば様々な言葉へ変換することが可能です。

また、「集中力」という言葉を細かくかみ砕いて伝えることで、「抽象的な言葉で完結させず、自分の言葉に言い換えてアピールできる子だな」というプラスの印象を人事担当へ与えることができます。

自分の人柄を交えてアピールする

自己PRの目的は、言葉の通り「自己アピールによってあなたの印象を強める」ことです。それと同時に、あなたの魅力を人事担当へふんだんに伝えるチャンスでもあります。

集中力はスキルの高さを明確にアピールできる要素ですが、あなたのパーソナリティを知る上では少々、情報不足感が否めません。

「なぜ集中力を発揮できたのか」「集中力を高められたきっかけは何か」など、自分自身の考え・価値観を交えて伝えると良いでしょう。

自己PRを通して「あなた」という人間を知ってもらえれば、「あなたと一緒に働いてみたい」と人事担当に思ってもらえる可能性が高まります。

短所のカバー方法も一緒に述べる

自己PRにおいて、集中力は間違いなく大きなアピールポイントです。

しかし、どのような物事もプラス面・マイナス面が存在するように、集中力の高さは見方を変えればマイナス要素として捉えることもできます。

たとえば、「集中力がある」=「一つの物事に取り組める力」としてかみ砕いた場合、マイナス面として「視野が狭くなりやすい」という解釈ができます。

面接では、人事担当がマイナス要素をカバーするための方法について、あえて就活生へ質問を投げかける場合もあります。そのようなシチュエーションになっても慌ててしまわぬよう、短所のカバー方法を一緒に伝えると良いでしょう。

前述したパターンでいうと、「物事に一度集中すると周りが見えなくなりやすいので、1時間に1回は手を止めて、進捗確認するように心がけています」などといった伝え方が正解パターンの一つです。

集中力の自己PRが刺さりやすい職種

事務職

一般的な事務職とは、様々なデータ・情報の取りまとめ資料作成が主な業務です。

事務職は確認・対応漏れなどの業務ミスの少なさを第一に求められるため、一つの物事へ取り組める集中力の高さが求められます。さらに複数の案件・業務を同時並行で進める場合も少なくないため、マルチタスクが得意な人も事務職に向いています。

また、経理などの事務職は、会社の売上管理に携わります。一つのミスが大きな損失につながってしまう恐れもあるため、原則としてミスが許されない仕事です。そのため、集中力があることは仕事のミスが少ない人材とみなされ、事務職への適性が高いと判断されるでしょう。

エンジニア職

この仕事は、システム管理やサーバ保守、管理などの情報管理・ソフトウェア設計に携わります。

実際の業務は地道で緻密なことがほとんどのため、作業が長時間におよぶことも少なくありません。長時間に渡ってプログラミングを書き続ける場合もあるため、エンジニア職=自分との闘いといっても過言ではありません。そのため、地道な作業にも気を抜かずに取り組める集中力の高さが求められる職種です。

また、一つの小さな不具合がネットワーク故障、サーバーエラーなどの致命的なトラブルにつながるケースもあります。小さなミスも見落とさないような高い注意力を持つ方は、多くの現場で重宝されます。

クリエイティブ職

この仕事は、プロデューサーやディレクターなどの企画・管理系から、デザイナーや編集、ライターなどの制作系まで幅広い職種が挙げられます。

「クリエイティブ」という言葉の通り、0から1を生み出す仕事のため、集中力がない状況では良いアイディアを生み出せません。集中力がないまま無理やり業務を進めたとしても、成果物のクオリティが低かったり、何らかミスが隠れている可能性も高い傾向です。

クリエイティブ職は、「いいものを創造する」という意識をいかに研ぎ澄ませるかが、業務の精度を左右します。このことから、クリエイティブ職には物事へ真摯に取り組める集中力の高さが求められると言えます。

集中力をアピールできる自己PRの例文5選

ゼミ活動

例文

私が集中力を培うことができた経験は、ゼミでのイベント企画・運営です。
私は地域イベントを実施するゼミのリーダーに選任されました。イベントの準備期間は3ヶ月間と短いものでしたが、「どうしたら地域の方々に喜んでもらえるか」を常に考え、皆様に喜んでいただけるアイディアを数多く出し、ゼミメンバーを牽引しました。
さらにメンバー全員で広報活動を積極的に行った結果、イベントには想定の2倍以上の方々にお越しいただき、「素敵な機会をありがとう」というお声も多くいただきました。
このような結果を実現できたのは、短い期間でもミッションを全うするために目の前のことに意識を一点集中できたおかげです。
入社後も集中力の高さを活かして、短期間でも成果を出せるよう効率的に業務に取り組んでいきます。(350字以内)

この自己PRのポイントは、集中力を培ったプロセスと結果が数字を用いて表現されている点です。

リーダーを務めた経験がある点も、責任感をもって物事に取り組める人物像がイメージしやすい傾向です。

さらにイベント企画の経験がある点も「アイディア出しが得意」という印象を与えられるため、様々なポテンシャルを秘めている点をアピールできる自己PRといえます。

部活動

例文

私は大学時代、演劇部に所属しており部長を務めました。
大学3年生の春に都内30校が集う演劇会への参加を控えていた際、直前に主演メンバーがケガをしてしまい、舞台に立つことができなくなってしまいました。
その際、私は部長としての責務を果たすべく、そのメンバーに代わって役を引き受け、開催3日前から全てのセリフと動きを覚え、舞台に立つことができました。私の演技を見たお客様からは、「直前で仕上げたとは思えないほど素晴らしかった」というお声をいただきました。
このようなことができたのは、舞台を必ず成功させたいという決意と強い集中力の賜物だと考えています。部活動で発揮した私の集中力を活かして、ハイクオリティな仕事の結果を出したいと思います。(350字以内)

集中力を発揮できたプロセスが判りやすくまとめられている点がポイントです。

また、部長を勤めていたことや、主演に代わって役を引き受けたという責任感の強さもアピールできている点も高評価につながりやすい要素です。

集中力以外にも強調したい部分がある際は、エピソードに織り交ぜながら伝えることで「この子はデキるな」と人事担当に思ってもらえる可能性が高まります。

アルバイト

例文

複数のタスクをバランスよく進めることができる点が私の強みです。
私はアウトバウンド系のコールセンターにて、50名のメンバー管理・マネージメントを行うリーダーを務めました。同時に個人としての架電対応も課されたのですが、個人の成績もクリアし、さらにチーム達成率150%という結果を残すことができました。
これらを達成できたのは、各タスク別の目標を適切に設定し、達成にむけて着実に進捗を進める行動を行えたからです。非常に高い集中力が必要とされましたが、目標達成を見据えて一つひとつこなしていきました。
この経験から、マルチタスクをスムーズに進めるスキルが備わったと思います。入社後も広い視野を持って業務を遂行し、貴社に貢献したいです。(350字以内)

マルチタスクが得意という点を端的に述べている点がポイントです。

また、メンバー管理の人数やチーム達成率の%を数字で表現している点も裏付けされた自己PRとしてプラスの印象を受けます。

この自己PRはマルチタスクの高さが伝わるので、特に刺さりやすい職種は事務職などが挙げられます。

複数のタスクを同時並行できた成功談が実際の業務へ活かせるイメージを立てやすいです。

ボランティア活動

例文

私の長所は、一つの物事に対して真摯に取り組める集中力です。
大学1年生から所属しているボランティア団体で、私は絵画プロジェクトのリーダーを務めました。その絵画は、約300名のイベント参加者の手形をひとつに集めて完成させるものでした。
私自身このような取り組みは初めてでしたが、プロジェクトを成功させるために様々な美術館へ足を運んでアートを学び、美術の先生に段取りや制作ポイントを教えてもらうなど、様々な取り組みを行いました。結果として絵画プロジェクトは大好評で終わり、市のコンクールで金賞を受賞しました。
私の誰にも負けない強みは、一つの物事に没頭できる高い集中力です。貴社に入社した暁には、持ち前の集中力を活かして、クオリティの高い結果を出し続けたいと思います。(350字以内)

この自己PRのポイントは、物事へひたむきに取り組めるパーソナリティが伝わる点です。

本文にある初の取り組みであった中で情報収集を重ねたエピソードから、真面目で真摯な姿勢を持つ人物像が想像できます。また、イベント参加人数がボランティア活動の規模感を自然に表現しています。

クオリティの高い成果を残した経験を入社後も活かしたいという主張も、一貫性のある自己PRであるという印象を与えます。

長期インターンシップ

例文

私の強みは、限られた時間内でも成果を出せる集中力の高さです。
私は不動産会社のインターンシップにて、営業活動に取り組んだ経験があります。
インターンシップから内定へつなげるためには、お客様のニーズを汲み取り適切なアドバイスを行う提案力が必要だと考えました。そこで、ヒアリング練習と提案ロープレに集中して打ち込んだ結果、入社後1ヶ月でインターンシップの中でトップの業績を上げることができました。
このように、短期間でも集中して成果を発揮できることが私の強みです。これらの経験を活かして、貴社に入社できた暁にはデータを適切に分析し、課題解決に導きたいと思います。(300字以内)

このPRのポイントは、成果を出した期限に焦点を当てて集中力の高さをアピールしている点です。

あえてプラスすべき要素を言うのであれば、インターンシップ参加人数を追記することです。この自己PRだと、何人中何人の割合で営業TOPとなったのか?が分からないため、成果の凄みが少々イメージしにくいといえます。

そこだけ肉付けできれば、十分説得性のある自己PRであると言えるでしょう。

自己PRで集中力をアピールする時の注意点

エピソードとして適切かどうか

自己PRで集中力をアピールする場合はエピソードの内容が適切であるかの見極めが必要です。集中力のエピソードは、内容によっては誰にでも当てはまるようなことと思われてしまう場合もあります。

例えば、「テスト期間中に集中して勉強に取り組んだ」「何事にも高い集中力で取り組むことができる」など、抽象的な言葉で表現してしまうと、誰にでもできる当たり前のことだという印象を与えてしまいます。そのため、エピソードに独自性や具体性を持たせるようにしましょう。

短所にもなり得る

集中力のアピールは、捉え方によっては短所にもなり得ます。エピソードに偏りがあると、「融通が効かない」「周りが見えなくなる」などと捉えられてしまう可能性があります。

そのため、集中力をアピールする際には、「周囲への気遣い」「自分の興味のないことにも集中できる」など他のアピールポイントと、それに基づくエピソードを複数用意しておくことがおすすめです。

集中力が評価されない職もある

集中力は仕事をする上で必要なスキルですが、必ずしも全ての職場で評価されるとは限りません。そのため、業界分析や企業研究をしっかりと行った上で、集中力が効果的なアピールとなるかどうか判断しましょう。

特に、人とコミュニケーションを取りながら進めていく仕事では集中力よりも、柔軟性や臨機応変さなどが求められます。そのため、自分の志望する業界や職種に合わせ、「何事にも真摯に取り組むことができる」「色々なことを同時進行することができる」など表現や視点を変えてみると良いかもしれません。

集中力をアピールして好印象を企業へ与えよう!

自己PRにおいて、集中力の高さは大きなアピールポイントとなります。

しかし、「集中力」という言葉がやや抽象的だからこそ、あなた自身の実体験・エピソードをふまえて、あなたの言葉としてかみ砕いて伝えることが重要です。数字を用いて具体的に伝えられれば、より説得性のある魅力あふれる自己PRが可能となります。

本記事の冒頭でも触れたように、集中力の高さは社会人となった後も仕事のクオリティを左右する非常に重要な要素です。そのようなスキルを既に得ていることを上手く人事担当へアピールできれば、あなたを「デキる就活生」として見てもらえる可能性がグッと上がるでしょう。

あなた自身のラブコールが企業へ上手く届いた暁には、「内定」という結果が見えてきます。満足のいくかたちで就活を終えるためにも、本記事の内容を活かしてもらえたら嬉しいです。

通信業界の志望動機の書き方|業界分析と構成の立て方を解説【例文あり】

通信業界は「放送業界」「インターネット・電話業界」の2つから成り立っています。中でも近年大きく伸びているのが、「インターネット・電話業界」です。

今や生活に欠かせない通信業界を志望している就活生は非常に多いです。自分が経験したことや感じたことを具体的に述べることで、他の志望者との差別化を意識しましょう。

スマートフォンが10年程度で急激に普及したように、通信業界は技術の進歩が速いため、常に情報を収集する姿勢が大切です。

本記事では、3つの志望動機の例文とともに、通信業界の業種や職種、通信業界で求められるスキル、志望動機の書き方について解説します。

通信業界とは

通信業界には、大きく分けると「放送業界」「インターネット・電話通信業界」の2つがあります。さらに放送業界には主にテレビラジオ、インターネット・電話通信業界には主に固定通信移動体通信ISPがあります。

放送業界とインターネット・電話通信業界では求められるスキルが異なり、志望動機の書き方も異なるため注意しましょう。

本記事では、通信業界の中でも「インターネット・電話通信業界」への志望動機の書き方や例文を解説します。

放送業界

テレビ

テレビ業界は、放送業界の中で最も人気がある業界です。テレビ業界の企業は、テレビ放送局テレビ番組制作会社に大別できます。

放送局には、「テレビ朝日」や「TBSテレビ」といった全国放送キー局だけでなく、地方の系列放送局もあります。

テレビで放送されている番組の多くを作っているのは、放送局ではなく制作会社です。テレビ番組の制作に携わりたい人は、放送局だけでなく制作会社も視野に入れて就職活動を進めましょう。

ラジオ

ラジオ業界も放送業界のひとつです。テレビ業界と同様に、ラジオ業界の主な企業はラジオ放送局ラジオ番組制作会社の2つです。ラジオ放送局には全国ネット局地方系列局があります。

ラジオ放送は、AMラジオとFMラジオに大別されます。AMラジオ放送設備の老朽化に伴い、多くのAMラジオ放送局が2028年までにFMラジオへ転換する予定です。

近年は、インターネットやスマートフォンアプリでラジオ番組を放送している企業もあります。

インターネット・電話通信業界

固定通信

固定通信業は、家庭やオフィスにケーブルを敷設して、電話やインターネットの情報通信サービスを提供する業種です。新規契約の窓口、通信機器の設置、アフターフォローなど、固定回線に関わる業務を一貫して実施します。

都市部だけでなく地方への光ファイバー回線の普及が、固定通信業界の課題です。

また、スマートフォンの普及により固定通信の利用者は減りつつあります。少子高齢化による人口減少も相まって市場は縮小傾向にありますが、固定通信は高速かつ大容量の通信が可能であるため一定の需要があります。

移動体通信

スマートフォンのようなモバイル端末に向けて通信サービスを提供しているのが移動体通信業です。

自社で通信インフラを所有・整備している「au」、「ソフトバンク」、「ドコモ」のような大手通信キャリアが、主な移動体通信事業者です。

また、大手キャリア以外に、MVNO(Mobile Virtual Network Operator:仮想移動体通信事業者)が増えています。MVNOは、自社の通信インフラを持たず、大手通信キャリアの回線を間借りして通信サービスを提供している事業者です。利用料金が大手キャリアより大幅に安価であることから、人気が高まっています。

ISP

ISP(Internet Service Provider)は、顧客がインターネット通信を利用するためのサービスを提供する事業者です。特に「プロバイダー」と呼ばれます。

回線を物理的に整備する回線事業者と、インターネット通信接続を実現するプロバイダーの両者が揃ってはじめて、顧客はインターネットを利用できます。

インターネットセキュリティ性の向上が主な課題です。どれだけ魅力的なサービスを提供していても、一度でもセキュリティ問題が発生すると顧客が離れてしまう可能性があります。

通信業界の現状

5Gの普及

近年、5Gが新しい通信規格として普及し始め、より高速で使いやすい通信環境の整備が必要とされています。

5Gには様々なメリットがありますが、その分、雨の影響で遠方まで届きにくいなどのデメリットも存在します。これらのデメリットを解消するために、より多くの基地局を設置しなければならず、それには時間やコストがかかります。

今後も安定した電波を日本全国に送るために各社は5G回線を普及させていくでしょう。

IoTへの対応

IoTとは、「Internet Of Things」の略であり、家電や住宅設備などにインターネットをつなげる取り組みのことです。例えば、外出先からスイッチを操作できるエアコンや、カメラで食材の減り具合を確認することのできる冷蔵庫などがIoTの一種です。手軽に使えるものが多いことから、人気の商品になっています。

また、既存システムの無駄を省いたり、サービスの質や速度を担保しやすくなるという点で、通信業界全体も活性化すると考えられます。

モバイル事業の価格競争

近年、格安SIMを利用する人が多くなっています。他国と比べても高価である日本の通信量を是正するために政府から出された通達がきっかけとなり、大手キャリアの子会社が次々と新しい料金プランを打ち出しました。

楽天モバイル、ahamo、LINEMOなど、格安SIMの料金は年々低価格化しており、生活に欠かせないスマホの通信料金をいかに低価におさえることができるかが焦点になるでしょう。

地域格差の解消

先端技術を取り入れることも大切ですが、既存のシステムを全国に普及させる活動も求められます。例えば、5Gは主要都市では使用可能ですが、地方では圏外になってしまうことも多く、地域格差が大きいと言われています。

こうした格差は災害時に混乱を生むだけでなく、経済的・教育的格差にもつながると指摘されています。

そのため、通信業界全体で意識的に改善し、地方にも安定的に電波が届く環境を整備することが通信業界の課題の一つです。

セキュリティの強化

前述のように、IoTなどが広まることでインターネットにつながっている機器の数が増え、情報漏洩などのリスクも同時に高まりました。サイバー攻撃などのリスクや、テレワークの普及によるセキュリティ範囲の広がりなども相まって、さらにセキュリティを強化することが求められています。

インターネットが集めている個人情報などのセキュリティを確保することが通信業界各社の急務となります。

通信業界の主な業務

営業

通信業界における営業職は、主に法人向け(to B)一般消費者向け(to C)に大別されます。

法人向け営業の仕事は、自社が関わる通信サービスを提案し、企業の成長をサポートすることです。

一般消費者向け営業職は、携帯ショップや家電量販店などの販売代理店で、窓口業務店舗の営業施策の立案や問題解決などを担当します。

顧客に信頼してもらい、本当のニーズを引き出すために、誠実にコミュニケーションをとることが求められます。

エンジニア

通信業界のエンジニアは、主にネットワークエンジニアとシステムエンジニアの2種類です。

通信ネットワークの構築、保守、管理などを担当する技術者がネットワークエンジニアです。システムエンジニアは、通信ネットワークに関わるコンピューターソフトやアプリの設計開発保守運用などを担当します。

常に安定したネットワーク接続を実現することが求められるため、トラブルが発生した際には速やかに対応しなければなりません。

カスタマーサービス

カスタマーサービスは、顧客からの製品やサービスに関する問い合わせに、電話やメールで対応する仕事です。

顧客にとっては、その企業の「顔」となる職種です。企業のイメージを損なわないように、誠実な対応をすることが求められます。

製品の使い方や不良品の交換、サービスに対する意見・要望など、問い合わせ内容は多岐に渡ります。顧客に満足してもらえるよう、製品やサービスに関する様々な知識を身に付けなければなりません。

マーケティング

自社の製品やサービスそのものの企画や、それらを魅力的に宣伝する広告の企画などがマーケティング職の主な仕事です。

様々な手法を用いて顧客のニーズを調査・分析して製品や広告の企画に活用します。調査・分析手法を学んだり、世の中の最新トレンドを常にチェックしたりする姿勢が大切です。特にIT業界は目まぐるしく技術が進歩するので、継続的に情報収集しなければなりません。

また、マーケティング職は社内外の多くの人と関わるため、高いコミュニケーション能力が求められます。

通信業界の志望動機の構成

➀通信業界を志望する理由

通信業界を志望する理由を必ず述べましょう。「通信業界でなければ自分のやりたいことが実現できない」という強い想いを伝えることが大切です。そのために、通信業界でしかできない仕事を軸として志望動機を書くのがポイントです。

業界・企業分析を欠かさず、できるだけ簡潔でありながら印象深く伝えるために1文でまとめることを心がけます。

➁根拠となるエピソード

次に、可能な限り具体的なエピソードを用いて志望理由を説明することが重要です。具体的なエピソードを述べることで、志望理由の信憑性が高まります。

このエピソードは、入社後にも役立つスキルが関わっているとさらに好印象です。携帯会社でインターンをしていた、専攻と業務内容が近い、などのエピソードがあれば積極的に盛り込みましょう。

また、業界・企業研究が不十分だと、通信業界に入りたいという熱意が採用担当者に伝わりません。業界誌、合同会社説明会などで業界の情報を収集しましょう。

➂応募企業の志望理由

通信業界を志望する理由を述べたら、数ある通信業界の中でなぜその企業に応募したのかを述べます。応募先のどんな特徴に魅力を感じたのか具体的に述べましょう。

応募先が求める人物像に合わせて志望理由を述べることが大切です。企業ごとに社風が異なるため、求められる人物像も異なります。

どれだけ優秀な人材でも、社風に合わないとみなされると、不採用になるかもしれません。

無理をして求められる人物像に合わせる必要はありませんが、自分の強みと応募先が求める人物像の共通点を探すことが大切です。会社説明会や募集要項などで応募先が求める人物像を確認しましょう。

➃入社後の目標

企業や職種を志望する理由だけでなく、通信業界で成し遂げたいことも述べます。応募先企業に入社して何を実現したいのか、どのように会社に貢献するのかを具体的に述べることが大切です。成し遂げたいことを具体的に述べることで熱意が伝わります。

入社前から入社後の目標を考えることは難しいかもしれません。可能であれば、通信業界で働く先輩の話を聞いてみることをおすすめします。実際に働いている人の話を聞くことで、自分が働く姿を具体的に想像できるでしょう。

【職種別】通信業界への志望動機の例文

営業職

例文

私は、都市部だけでなく地方の通信サービスの普及にも注力している貴社に魅力を感じ、志望しました。

新型コロナウイルスが流行した際に、通信技術により人との関わりを維持できたことで、私は通信業界に興味を持ちました。通信業界について詳しく調べていく中で、通信品質に地域格差があることを知りました。私の地元には、コロナ禍でもテレワークができず、感染の不安を抱えながら仕事をしていた人が多くいました。この実情を知ったことがきっかけで、地方にも通信ネットワークを十分に普及させたいと思いました。

私は大学で経済学を専攻しており、地域ごとの経済政策について学んでいます。貴社で営業職に就き、大学で学んだことを活かしながら、魅力的な通信サービスを地方にも提案したいと考えています。(350字以内)

新型コロナが流行したときに知ったこと、感じたことをもとにした志望動機例文です。自分が感じたことを具体的に述べているため、地方に通信ネットワークを普及させたいという想いが伝わります。

地域の経済政策を学んでいるという自分の強みもアピールしています。営業職で求められるコミュニケーション能力や新しいことに興味・関心を持ち続ける姿勢をアピールできれば、さらに自分の魅力をアピールできるでしょう。

システムエンジニア

例文

私はあらゆる場所で安定してつながるネットワークを実現したく、通信業界を志望しています。

私は趣味でキャンプを頻繁にしています。以前友人と山へキャンプへ出かけた際に、自動車が突然故障し、動かなくなってしまいました。私のスマートフォンでは電波がつながりませんでしたが、友人のスマートフォンでは通信ができ、無事に助けを呼べました。この経験により、日常生活では当たり前のように利用している通信サービスの重要性を実感しました。

人々の生活を支えるために通信エリアを拡大しつつ、既存通信設備の改善にも注力している貴社に魅力を感じ応募しました。大学で学んでいる情報工学の知識を活かしシステムエンジニアとして、どんな場所でもつながるネットワークの実現に貢献したいと考えています。(350字以内)

電波がつながりにくい場所で通信技術の大切さを実感したエピソードをもとにした志望動機例文です。アウトドアアクティビティをする人であれば一度は経験するようなエピソードかもしれません。しかし、具体的に自分が体験したこと、感じたことが述べられているので、説得力があります。

情報工学には、数値計算モデル、暗号化技術、コンピュータ制御など様々な分野があります。自分が取り組んでいる研究が通信技術に直接関係がなくとも、通信業界に活用する方法があるか考えてみましょう。

セキュリティエンジニア

例文

私は、通信ネットワークを安心して利用できる社会づくりに貢献したいと考えています。

私が高校生の頃、利用していたECサイトで個人情報が流出したことで、情報セキュリティに興味を持ち始めました。大学では情報工学を専攻し、暗号化技術について学んでいます。特に、暗号技術の安全性を定量的に評価する方法について研究しています。

テレワークやクラウドサービスなどの便利な通信サービスを提供しながら、通信セキュリティ性の向上にも力を入れている貴社で、セキュリティエンジニアとして活躍したいと考えています。大学で学んだことを活かし、日々セキュリティ性の向上に取り組み、人々が安心してネットワークを利用できる社会を実現したいです。(350字以内)

大学で情報工学を学んでいることだけでなく、情報工学を選んだ理由も具体的に述べられているため、他の志望者と差別化できるでしょう。

ただ大学で学んだことを活かしたいというだけでなく、「通信ネットワークを安心して利用できる社会づくりに貢献したい」という想いも述べられています。例文のように、スキルをアピールするだけでなく、入社後に何を成し遂げたいかを述べることが大切です。

通信業界に直結する研究でなくとも、学んだことを活かせる可能性は十分にあります。企業が求める人物像に適したアピールポイントがないか探しましょう。

通信業界に求められるスキル

コミュニケーション能力

通信業界では、どのような企業や職種でもコミュニケーション能力が求められます。

営業職やカスタマーサービス職のように顧客と直接的な関わりを持つ仕事では、信頼してもらうために誠実なコミュニケーションが求められます。営業職の中でも法人向け営業職では、顧客が抱える本当の課題を引き出す傾聴力や、実際に製品やサービスを顧客に採用してもらうための提案力なども必要です。

顧客との接点が少ないエンジニア職やマーケティング職でも、社内外の多くの人とやり取りして業務を進めなければなりません。

コミュニケーション能力をアピールできるエピソードを少なくとも一つは思い浮かべておきましょう。

責任感の強さ

責任感の強さも通信業界では重要視されます。

現代において通信サービスは、人々の生活から切っても切り離せません。通信トラブルがあると、被害規模によっては大々的に報道されます。トラブルを事前に防いだり、トラブルが発生しても速やかに復旧したりすることが必要です。

常に安定した通信サービスを提供するために、責任感の強い人材を探している企業が通信業界には多くあります。

責任感の強さを発揮したエピソードがあれば志望動機で述べましょう。

新しいことに興味・関心を持ち続ける姿勢

通信業界では、新しいことに興味・関心を持ち続ける姿勢も大切です。

通信に関わらずIT業界は特に、技術の進歩や普及のスピードが速い傾向にあります。スマートフォンの所有率は、2010年頃は数%でしたが、2020年には90%近くにまで激増しました。予想できないような革新的な通信サービスが10年後には誕生しているかもしれません。

通信・IT技術に関する情報収集を継続することが求められます。継続して物事に取り組んだエピソードがあれば述べることをおすすめします。

きめ細やかさ

通信業界は規模が大きく、インフラとして私たちの生活に欠かせないものになっています。そのため、少しのミスが多くの人に影響を与える可能性があり、細部まで確認を怠らないきめ細やかさが求められます。

それだけでなく、他社や自社の既存サービスを分析することで、サービスを改善させていくことができます。他の人が気づかないことに気づくことのできる力が役に立つでしょう。

通信業界への志望動機を書く際の注意点

志望動機を応募先ごとに分けて作成する

通信業界内の企業だからといって使いまわすのではなく、応募先ごとに分けて志望動機を作成しましょう。

前述したように、同じ通信業界でも、企業や職種によって求められる経験やスキルが異なります。求められる人物像に合わせて志望動機を述べることが大切です。

同じエピソードでも切り口を変えれば、アピールポイントを変えられます。例えば、チームで長い時間をかけて問題解決に取り組んだ経験があれば、チームワークだけでなく継続して物事に取り組む姿勢もアピールできます。

専門用語は多用しない

通信業界に対する熱意を伝えるために専門用語を多用するのは逆効果です。特にESや一次面接は専門性が薄い部署の社員が担当することも多く、せっかく志望動機を書いても伝わらない可能性があります。

また、インターンや大学での勉強を説明するために使う専門用語は問題ありませんが、ESを書くためにインターネットで調べた知識で使うのは避けましょう。深く調べていたとしても、学生の知識は社員の知識に劣ります。

安定性を志望理由にしない

通信業界はインフラの一種として将来性があり、仕事がなくなることはないと言ってよいでしょう。そのため業界として安定性があり、ホワイトな働き方ができることでも知られています。

安定性を求めて通信業界を志望するのは自由ですが、それを志望動機に書くのは避けた方が良いです。企業が新卒採用をする目的は、新しい価値観を持ち、入社後に成長してくれる学生を探すことです。

通信業界の業務に対する熱意を志望動機に含めましょう。

入社後にどのように貢献するかを述べる

企業や職種を志望する理由だけでなく、入社後にどのように貢献するかを述べることも重要です。

入社後のキャリアプランを述べることで、あなたが働く姿を採用担当者がイメージしやすくなります。十分に業界・企業研究をしたうえで詳細にキャリアプランを述べることで、志望する強い想いを伝えられます。

業界誌、応募先のWebサイト、募集要項、会社説明会などで情報を集め、入社後にどのように活躍するのかを想像しましょう。可能であれば、実際に通信業界で働く先輩社員の話を聞きましょう。

自分が経験したこと・感じたことを述べる

自分が経験したことや感じたことを志望動機で述べましょう。

独自の経験や考えを述べることで、他の志望者と差別化できます。具体的なエピソードを述べることで志望理由の信憑性も高まります。

可能であれば、前述した通信業界に求められるスキルを、自分が経験したことや感じたことに盛り込みましょう。志望する理由だけでなく自分の強みもアピールできます。

十分に自己分析をして、自分らしさを発揮したエピソードを探しましょう。

通信業界への志望動機は具体的なエピソードで差別化しよう!

3つの志望動機の例文とともに、通信業界の業種や職種、通信業界で求められるスキル、志望動機を書く際の注意点を解説しました。

通信業界では、顧客に信頼してもらうための誠実なコミュニケーションや、今や人々の生活に欠かせない通信インフラを安定して提供する責任感などが求められます。通信業界は目まぐるしく技術が進歩するので、常に勉強する姿勢も大切です。

企業に求められる人物像を把握したうえで、自分の強みとともに志望理由を述べましょう。

ぜひ本記事を参考に、通信業界への志望動機を作成してみましょう。

金融業界の志望動機を魅力的に伝える書き方とコツ【例文あり】

金融業界には、銀行や証券会社、保険会社など多くの業種が含まれています。まずは正しく金融業界を理解し、自分が金融業界の中でもどの業種を目指すのか、どのように貢献していきたいのかを考えましょう。

必ず企業ごとに適した志望動機を考えることが大切です。また、具体的なエピソードを盛り込むことで信憑性が高まり、他の志望者と差別化することができます。十分に業界研究・企業研究を行い、自分ならではの志望動機を作っていきましょう。

本記事では、例文とともに金融業界の役割、主な業種・職種、志望動機を書くときのコツを解説します。

金融業界の役割

資金を必要としている人に資金を融通することが金融業界の主な役割です。金融サービスの提供によって、起業の支援や事業の拡大などに貢献しています。

お金の貸付以外に、株式や債券といった金融商品の販売保険の提供なども金融業界の事業に該当します。クレジットカード会社資産運用会社も金融業界に属する業種です。

お金は人々の豊かで安心な暮らしに欠かせません。金融業界は人々の生活に密接に関わる業界だといえるでしょう。

金融業界の事業

銀行

金融業界の代表的な事業に銀行が挙げられます。個人や企業から集めた預金を、他の個人や企業に貸し付けることが主な仕事です。個人の資産維持・運用や住宅ローンの相談を受けて金融商品を提供するリテール業務も銀行業務のひとつです。

貸付の金利以外に、債権株式の取引でも利益を生み出します。生み出した利益の一部を投資家や預金者に利息として還元します。

銀行の種類は主に、メガバンク地方銀行信用金庫信託銀行ネット銀行の5つです。

証券会社

顧客が株式や債券を売買する際に窓口となるのが証券会社です。

株式や債券の売買注文を証券取引所に伝えて成立させるブローカー業務、証券会社自身が株式や債券の売買をして利益を得るディーラー業務が証券会社の主な業務です。

顧客の企業が発行した株式を買い取って投資家に販売するアンダーライティング業務、株式を一時的に預かって投資家に販売するセリング業務もあります。

近年、証券会社の多くはオンライン取引のサービス向上に注力しています。

保険会社

保険会社の主な業務は、加入者から保険料を集め、病気や怪我、損害で困っている加入者に保険金を支払うことです。保険会社は、多くの人からお金を集めて、困っている人にお金を融通することから、金融業界に該当します。

集めた保険料で株式や債券の取引をすることも保険会社の業務のひとつです。株式や債券の取引で得た利益の一部は、配当として保険加入者に還元されます。

保険会社を大別すると、医療保険や入院保険といった生命保険会社、自動車保険や海外旅行保険といった損害保険会社の2種類です。

クレジットカード会社

クレジットカード会社は、顧客の飲食代やショッピング費用といった取引の金額を一時的に支払うことで手数料を得ます。

クレジットカード会社は、大きく分けると、国際ブランドクレジットカード発行会社加盟店管理会社の3種類です。

国際ブランドは、世界的に利用できる決済サービスを提供する会社です。VISAMastercardなどが該当します。

入会手続きや審査などの会員管理を実施し、カードを実際に発行する会社がクレジットカード会社です。加盟店管理会社は、クレジットカード加盟店の新規開拓・管理を担う会社です。

資産運用会社

資産運用会社(アセットマネジメント会社)の仕事は、顧客から預かった資産を用いて株式や債券の取引をし、資産を増やす投資信託業務です。投資家に対してアドバイスをする投資顧問業務もあります。プロの投資家といえるでしょう。

証券会社が株式や債券を「売る」ために様々な調査・分析をするのに対し、資産運用会社は「買う」ために調査・分析をすることが一般的です。

企業によって目指す取引がローリスク・ローリターンなのかハイリスク・ハイリターンなのかが異なり、社風も異なります。

政府系金融機関

政府系金融機関は、経済発展や国民生活の安定といった政策を実現するために、特殊法人として設立された金融機関です。出資金の多くまたは全額を政府が出資しています。

民間の金融機関が貸付を避ける傾向にある、教育ローン地方創生などへの融資をしています。

2024年2月現在、日本にある政府系金融機関は以下の5つです。

  • 株式会社日本政策金融公庫
  • 株式会社国際協力銀行
  • 沖縄振興開発金融公庫
  • 株式会社日本政策投資銀行
  • 株式会社商工組合中央金庫

金融業界の職種

営業金融商品を顧客に提案する職種
ファイナンシャルプランナー個人の生命保険や住宅ローンなどの資産運用にアドバイスをする職種
ファンドマネージャー​​投資信託運用の指揮をする専門家
証券アナリスト金融に関わる情報を収集し分析する職種
アクチュアリー保険料率や支払保険額を算定する職種
保険外交員保険契約の勧誘、代理、サポートをする職種
プライベートバンカー主に企業の経営者に、事業や資産の継承に関わる金融サービスを提案する職種
トレーダー顧客の指示で証券の売買取引をする職種
ディーラー金融機関が集めた資金を用いて自己判断で証券の売買取引をする職種
クオンツ数理技術で金融商品の価値を分析する職種

営業は主に、個人向けと法人向けに分けられます。個人向け営業では人の人生に、法人向け営業では企業の経営に深く関わります。

日商簿記2級を取得していれば、金融業界のあらゆる職種で有利に働くでしょう。ファイナンシャルプランナーを目指している人には、2級FP(ファイナンシャル・プランニング)技能士の取得をおすすめします。また、正式なアクチュアリーにみなされるためには、公益社団法人アクチュアリー会の資格試験に合格し正会員になることが必要です。

上記の表以外にも、総務労務人事といったバックオフィスと呼ばれる職種もあります。

金融業界の志望動機で書くべき内容

なぜ金融業界を志望するのか

金融業界を志望する理由を十分に述べます。金融業界で活躍したい、人々の暮らしに欠かせない金融業界に貢献したいといった強い想いをアピールすることが大切です。

できる限り具体的なエピソードを志望動機に盛り込みましょう。具体性に欠けると、金融業界で働きたいという想いが採用担当者に十分に伝わりません。自分の体験や感じたことをもとにして述べることで、金融業界を志望する理由の説得力が増します。独自のエピソードを述べることで他の志望者との差別化も図ることができるので、自分ならではの理由を考えましょう。

なぜ応募先を志望するのか

金融業界の中でも、なぜ応募先を志望するのかを説明します。

応募先が求める人物像に合わせて志望理由を述べましょう。前述したように、金融業界には様々な業種があります。同じ業種でも、企業によって社風が大きく異なるため、求める人物像も異なります。

求める人物像に合わせて志望理由を述べないと、あなたが優秀で魅力的な人物であると評価されても、自社には合わないだろうとみなされ、不採用になるかもしれません。

応募先の公式サイト、募集要項、企業説明会などで、応募先が求める人物像を十分に把握することが大切です。

就きたい職種は何か

志望先で就きたい職種を述べましょう。前述したように、金融業界には多くの職種があります。業種だけでなく職種によっても求められる能力や経験が異なります。

やはり志望先の公式サイト、募集要項、企業説明会などで調べ、志望先が求める人物像を十分に把握したうえで自分のアピールポイントを述べることが大切です。

例えば、営業職や保険外交員を志望する場合は、コミュニケーション能力提案力をアピールしましょう。ファイナンシャルプランナーやファンドマネージャーを志望する場合は、コミュニケーション能力や提案力に加えて情報収集力勉強を継続する姿勢を伝えることをおすすめします。

達成したい目標は何か

金融業界で達成したい目標を述べることも大切です。ただ金融業界で働きたい、活躍したいとだけ伝えても、達成したい目標を述べないと信憑性に欠け、熱意が伝わりません。金融業界で達成したい目標を具体的に述べましょう。

入社前から目標を定めることは難しいと感じている人は、可能であれば金融業界の先輩社員から話を伺ってみましょう。実際に働く人の想いや悩みを聞くことで、自分が金融業界で働く姿が想像できるでしょう。

金融業界の志望動機の例文

例文①

例文

私は、資産運用サービスの提供によってひとりでも多くの人々の生活を支えたいと思い金融業界を志望しています。

私は現在、高齢者支援のボランティア活動に関わっています。高齢者の中には、資産に余裕がなく望む医療や介護を受けられない人もいれば、コツコツと積み立てた資産によって十分な医療や介護を受けられる人もいます。若い頃には保険の重要性を知らず、後悔している人も多くいました。この経験から、資産運用の大切さを実感しました。

日本を代表する銀行としてグローバル展開にも注力し、多くの人々の生活を支える役割を果たしている貴行に魅力を感じて志望しました。ファイナンシャルプランナーとして一人ひとりに適した資産運用サービスを提案し続けたいと考えています。(350字以内)

高齢者支援のボランティア活動での体験をもとにした、メガバンクへの志望動機例文です。独自のエピソードが述べられているため、他の志望者と差別化できます。

少子高齢化により、高齢者に金融サービスを提供する機会も増えるでしょう。ボランティアに取り組んでいるときに高齢者と適切なコミュニケーションをとった経験があれば伝えましょう。ファイナンシャルプランナーは、顧客と信頼関係を築き上げるために高いコミュニケーション能力が求められます。

例文②

例文

私は、海外旅行保険の提供によって困っている人を助けたいという想いで貴社を志望しました。

私は、ひとりで海外旅行をした際に荷物の盗難に遭い、周囲に頼れる人がおらず途方に暮れていました。現地の人と可能な限りコミュニケーションをとりましたが、対処方法はわかりませんでした。

そこで、念のために加入していた海外旅行保険の会社に連絡したところ、対処方法を教えてもらえ、無事に帰国できました。帰国後も、盗難品の補償を十分に受け取れました。この経験から、いざというときに頼れる保険の大切さを学びました。

特に海外旅行保険サービスに注力している貴社で、損害サポートに従事し、困っている人をひとりでも多く助けたいと思っています。(350字以内)

自分が海外旅行で苦労した経験をもとにした、保険会社への志望動機例文です。他の志望者と被りにくい貴重なエピソードが具体的に述べられています。

海外旅行保険サービスに関わる仕事に就くのであれば、語学力異文化理解が必要です。世界情勢の知識や情報を常に収集し続ける姿勢も求められます。アピールできる語学スキルや、文化や習慣の違う海外の人々とのコミュニケーション経験があれば伝えましょう。

例文③

例文

私は、金融業界で多くの人の不安を解消したいと考えています。

周囲の友人と話していた際に、将来について漠然とした不安を抱えているという話になりました。老後の生活はどうなるのか、働いているときに病気になったらどうなるのかといった不安要素が多くありました。多くの人が同様の不安を感じていると思います。

これらの不安要素について調べるうちに、人々の不安を軽減する資産運用サービスを多く提供している貴社を知りました。

私は大学で流体力学のシミュレーションに取り組んでいます。身に付けたプログラミング知識やシミュレーション手法を活かし、貴社で投資戦略の分析に従事したいと考えています。

精度の高い分析手法を確立し、多くの人が抱える将来の不安を解消していきたいです。(350字以内)

自分が感じたこと・考えたことをもとにした志望動機例文です。将来の漠然とした不安は誰もが感じることであり、誰でも同じ内容を書けるかもしれません。しかし、独自の体験として述べることで志望する想いの説得力が増します。

近年、金融業界はIT化に注力しています。分析ツールの発展オンライン取引をしたい顧客の増加、暗号資産の普及などが理由です。理系の学部に所属している人でも十分に活躍の機会があります。

例文④

例文

私は、地元の産業を助けたいという想いで貴行を志望しました。

新型コロナウイルスの影響により、業績不振に陥った飲食店が私の地元に多くありました。多くの飲食店が困っている中で、地元を支える貴行が、融資や事業計画の相談によって地元の飲食店をサポートしていたことを知りました。貴行の尽力によって閉店を免れた飲食店も多くあると伺いました。地元は現在、新型コロナウイルス流行前の活気を取り戻しつつあります。

私は大学で経済学を専攻しており、日本全体の財政と地方財政の関連性について学んでいます。大学で学んだことを活かし、私の地元を支える代表的な銀行である貴行で営業職として活躍し、地元の産業に貢献し続けます。(300字以内)

地元の飲食店をサポートしている地方銀行への志望動機例文です。金融業界で地元に貢献したいという想いが具体的なエピソードによって述べられています。

応募先の魅力を述べるとともに、大学で経済学を学んでいるという自分の強みもアピールしています。入社したいという想いだけでなく、自分がどのようなスキルを持っているのかどのように活躍するのかを伝えることが大切です。大学で学んだことでなくとも、コミュニケーション能力や継続する姿勢などの強みがあればアピールしましょう。

金融業界の志望動機を書くときのコツ

企業が求める人物像を把握する

企業が求める人物像を十分に把握した上で金融業界の志望動機を書くことが大切です。

前述したように、金融業界の業種や職種は多岐に渡ります。業種ごと、職種ごとだけでなく企業ごとにも求められるスキルや経験は異なります。

企業が求める人物像に合わせて自分の魅力をアピールしないと、優秀な人材だと評価されても採用につながらないかもしれません。

志望先の公式サイト、募集要項、企業説明会などで志望先が求める人物像を調べましょう。求める人物像に合わせて、志望先ごとに志望動機を一つひとつ作成することで、志望先に真剣さが伝わります。

ただし、企業が求める人物像に無理やり合わせる必要はありません。自分の体験や感じたことの中から、企業が求める人物像に合ったエピソードを選んで述べましょう。

入社後の目標やキャリアプランを述べる

金融業界で働きたい理由だけでなく入社後の目標やキャリアプランも述べましょう。目標やキャリアプランを述べることで、金融業界への想いの強さをアピールできます。目標やキャリアプランが具体的であれば、熱意とともに情報収集力も伝えられます。

前述したように、可能であれば金融業界で働く先輩社員の話を直接聞きましょう。目標やキャリアプランを具体的に考えられるようになります。他の志望者との差別化にもつながるでしょう。

根拠のある具体的なエピソードを盛り込む

金融業界の志望動機に根拠のある具体的なエピソードを盛り込むことも重要です。具体的なエピソードを述べることで、志望理由の信憑性が高まったり他の志望者と差別化することができます。十分に自己分析をして、金融業界を志望するに至った経験を洗い出しましょう。

さらに、後述する金融業界で求められるスキルを具体的に盛り込むと、自分をより魅力的にアピールできるでしょう。特にコミュニケーション能力はどんな業種・職種でも求められるので、エピソードをひとつは思い浮かべておくことをおすすめします。

金融業界に求められるスキル

コミュニケーション能力

コミュニケーション能力は、金融業界のあらゆる業種・職種で求められるスキルです。

顧客と円滑なコミュニケーションを図らないと、顧客に大切な資産を預けてもらえないでしょう。誠実にコミュニケーションをとって信頼関係を築き上げることが重要です。

顧客と直接関わらない職種でも、自分一人で成し遂げられる仕事はほとんどありません。大金を扱う以上、多くの人と協力して仕事を進める必要があります。

志望動機に盛り込まなくても、面接で問われた際に回答できるように、コミュニケーション能力を発揮したエピソードを少なくともひとつは準備しましょう。

継続する姿勢

金融業界では、金融に関する知識や情報を収集し続ける姿勢が求められます。

世界情勢によって日本の経済状況は大きく変化します。株式や債券、通貨の価値が急騰することもあれば暴落することもあるでしょう。金融業界の業績は経済状況に大きく左右されます。

各業界・企業の経営状況から世界各国の政策や気候まで、幅広く最新の知識や情報を身に付けなければなりません。

継続する姿勢をアピールできるエピソードがあれば、志望動機に盛り込みましょう。

柔軟性

初めての問題に直面しても慌てず適切に対応する柔軟性も、金融業界で働くうえで重要です。

前述したように、株式や債券、通貨の価値は、社会情勢によって大きく変わります。問題が起きたときに適切に速やかな対応をしないと、大きな損失が発生するかもしれません。どんな変化に直面しても、柔軟性を持って対応することが求められます。

問題が起きたときに柔軟な対応をして解決した経験があれば、志望動機に盛り込むことをおすすめします。

金融業界の魅力的な志望動機を作成しよう!

金融業界の役割、主な業種・職種、志望動機を書くときのコツを解説しました。

金融業界には多くの業種・職種があり、それぞれ求められるスキルや経験が異なります。業界研究・企業研究を十分にして、応募先ごとに適した志望動機を考えることが大切です。

具体的なエピソードを述べることで他の志望者と差別化できます。自己分析をして応募先への志望動機にふさわしいエピソードを見つけましょう。

ぜひ本記事を参考に、金融業界への志望動機を作成してみてください。

地方銀行の志望動機の書き方|差別化するコツとは?【例文あり】

同じ金融業界の中でも「銀行(メガバンク)」と「地方銀行」には大きな違いがあります。

地方銀行を志望する場合は、この違いを明確にして、「地方銀行ならでは」の志望動機が求められます。他の銀行にも当てはまる志望理由を伝えてしまうと、マイナスな印象を与えてしまう恐れがあるため、注意が必要です。

まずは金融業界銀行業界メガバンクとの違いなどを正しく理解し、地方銀行の特徴をふまえた志望動機を作成していきましょう。

地方銀行の役割を理解しよう

地域密着型のサービスを提供している地方銀行は、銀行業務以外にも地域のためにさまざまな事業を展開しています。銀行業界の応募者には、地方銀行だけでなくメガバンクを視野に入れる学生が少なくありません。そのため、地方銀行に応募する際は、採用担当者が納得できる志望動機の作成が必要です。

採用担当者の興味を惹くためには、地方銀行とメガバンクの違いを明確にした志望動機の作成が重要になります。地方銀行・メガバンクのどちらにも当てはまる内容では、応募の熱意や意欲が感じられません。

メガバンクとの違いを明確にするために、地方銀行の役割を理解することから始めましょう。特徴業務内容動向など、地方銀行についての理解を深めることでメガバンクとの違いがはっきりとします。

「地方銀行に行きたい」という意欲が伝わる志望動機を作成することで、採用通過率が上がるはずです。そのために、地方銀行ならではのポイントを頭に入れていきましょう。

地方銀行とは?

地方銀行は「第一地方銀行」「第二地方銀行」に分類されます。第一地方銀行とは全国地方銀行協会に加盟する地方銀行です。一方、第二地方銀行は1989年以降に旧相互銀行から普通銀行に転換した銀行であり、第二地方銀行協会に加盟しています。

ともに普通銀行で業務内容に違いはありませんが、加盟団体が異なり、共同事業や協力体制に違いがあります。また、第一地方銀行よりも第二地方銀行は経営規模が小さいことが特徴です。

地方銀行の特徴として、特定の地域と強い結びつきがあり、地域経済に大きな影響力を持っていることが挙げられます。将来性のある地域企業に融資を行い、金融面から支える仕事をしています。

地域に暮らす人々には、住宅ローン教育ローンなどのサービスを提供し、地域経済の活性化に一役買っています。近年では銀行業務以外にも、地域経済活性化のために、地方創生活動をする地方銀行も目立ちます。

地域密着という強みは、他の金融機関にはない魅力といえます。地方銀行はメガバンクに比べると地味な印象がありますが、地方でのネームバリューは大きく、多数支店があるため地元民であれば知らない人はいないほどです。地方によってはメガバンクの支店がないこともあります。

地方銀行とメガバンクの違い

地方銀行メガバンク
本店各都道府県の主要都市東京・大阪などの大都市
支店地元エリア中心国内全域および海外
営業エリア本店がある都道府県内および近隣都道府県全国および世界各地
特徴地元の大手や中小企業を中心に取引大手上場企業を中心に取引

上記のとおり、地方銀行とメガバンクでは対応しているエリアや、取引相手の特徴が異なります。

地方銀行は各都道府県に本店があり、特定の地域で営業する銀行です。地方銀行はメガバンクに比べると営業範囲は狭くなりますが、その分ひとつひとつにおける対応がきめ細やかになる傾向があります。

一方、メガバンクは全国・海外まで営業範囲が及びます。そのため、スケールの大きな業務に携わりたいなら、メガバンクが向いている可能性があります。

地方銀行にはメガバンクと異なる大きな特徴が3つあるので、チェックしていきましょう。

地域密着型

地域に密着しているといった点では、メガバンクよりも地方銀行が優れています。地元の企業や学校などにおいては、メガバンクよりも地方銀行をメインバンクにしていることが珍しくありません。

地域密着型だからこそ、利用者と行員が顔馴染みになりやすく、アットホームな雰囲気で働けるメリットがあります。特定のエリアに根付いていることで、地域への理解度が高く、地域に特化した金融サービスを提供しています。

全国転勤が少ない

メガバンクの行員は全国規模の転勤があり、海外支店に転勤になることも珍しくありません。基本的には、支店長で2年、営業で3~5年の頻度で転勤になることが多いです。

一方、地方銀行でも転勤はありますが、営業エリアが限られているため、転勤になっても近隣の県です。とはいえ、都道府県内の転勤になることも多く、引っ越しを伴わないケースが少なくありません。

そのため、土地に根ざした働き方が実現できるのは、地方銀行で働く魅力のひとつです。プライベートの面でも、マイホーム購入などがスムーズになり、家族に負担をかけないメリットがあります。

年齢問わず幅広い業務に携われる

地方銀行の場合、若い世代でも幅広い業務に携われる特徴があります。幅広い業務内容についてはメガバンクでも同様ですが、規模が大きいと働く人数の数も多くなります。地方銀行はメガバンクほど行員の数が多くないため、さまざまな業務に携わるチャンスが多く巡ってくるのです。

また、地方銀行は中小企業がおもな取引相手ということもあり、メガバンクで働くよりも経営者と直接話す機会が増えていきます。さまざまな経営者と会話することで、経験から学べることが多く、仕事や人生に良い影響をもたらすでしょう。

地方銀行の業務内容

銀行の3大業務

①預金業務

②貸付業務

③為替業務

地方銀行の業務内容は「銀行の3大業務」と呼ばれている、上記の業務が中心になります。これはメガバンクも同様の業務になります。

預金業務

預金業務は、お金を預かり口座を管理する業務です。地方銀行では個人・法人の顧客からお金を預かり、口座を管理しています。顧客が預金するには窓口やATMを利用するため、銀行の窓口で働いている行員がおもに携わる業務です。

地方銀行の預金業務は企業や地域住民の暮らしを支えており、地域需要が多いといった特徴があります。支店やATMの数が地方の至るところにあるのは、需要が高い証拠といえるでしょう。

貸付業務

貸付業務は、企業や個人にお金を貸付する業務を指します。企業や個人に融資すると、貸出金利が発生します。その利息分が地方銀行の利益となります。

融資をする企業を調査したり、営業したりすることが、おもな業務内容です。原資は顧客から預かったお金のため、融資した資金を回収するためにも、審査部門で慎重な審査が必要となります。

為替業務

為替業務は、現金ではなく口座間の資金移動によって行う業務です。公共料金の自動振り込みは為替業務のひとつであり、現金のやり取りをしないことが為替業務の特徴になります。ほかにも、年金株主配当金の受け取りなども該当します。

為替業務も窓口やATMを利用する顧客が多いため、窓口にいる行員がおもに対応をします。

地方銀行の動向

志望動機を書く上で動向を知ることは非常に重要です。動向をふまえた内容を志望動機に書くことで、業界で働く意欲をアピールすることができます。また、面接対策としても役に立ちます。

地方銀行は金融業界に属しているので、金融業界全体の動向もチェックするのがおすすめです。動向を調べるには、インターネット情報の他に、業界の専門誌や新聞、金融庁が公開する資料など、さまざまな手段があります。中でも地方銀行の動向を3つ紹介します。

業界再編

地方銀行では業界再編が進められています。人口減少や景気悪化などの影響で地域経済が悪化すると、地方銀行の貸出業務が減少し、利益を生み出せない状況になります。この状況を打開するために、政府と日銀支援のもと、地方銀行再編が加速しています。

地方銀行は合併や統合を進めることで、顧客や資金増大を目指しています。また、業務提携により新しい価値観が取り入れられ、新規サービスの幅を広げられるメリットがあります。

しかし、異なる地域の地方銀行同士が合併する場合、地元の銀行として親しまれている銀行名やブランド名を変更することで、営業面においてデメリットが生じることがあります。

新事業の取り組み

再編以外の打開策として、地方銀行は地域経済を活性化させるために新事業の取り組みを行っています。例えば、以下の地方創生活動が新事業の取り組みに該当します。

【観光支援】

  • コロナ禍で業績が悪化した飲食業や観光業の応援
  • 築150年の古民家を活用したゲストハウスの事業化支援

【農業活性化】

  • 地域ブランド農産物の開発
  • 新しい農業ビジネスモデルの構築

他にも、人材事業移住者支援を行う地方銀行が少なくありません。こうした新事業の取り組みは、これからさらに求められていくでしょう。

DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用して生活や暮らしをよりよいものに変えていくことを指します。

経済産業省による2018年の調査では、金融機関のレガシーシステム利用率は100%という結果でした。本来、レガシーシステムは部分的に活用されるものです。銀行業界はDX化が遅れていると言われていることから、地方銀行でも積極的にDX化を進めています。

電話やメールの問い合わせによる顧客対応には、AI技術を取り入れ自動化することで、行員の負担を減らしコストカットを行っています。また、キャッシュレス決済の導入もDX化に該当する取り組みです。

DX化に関心がある学生は、志望動機でアピールするとポテンシャルを期待される可能性があります。

地方銀行が求める人物像

責任感がある

銀行は顧客の大切なお金や情報を取り扱っています。小さなミスでもトラブルになり得るため、責任感を持って業務に取り組むことのできる人物が求められます。

基本的に受け身で言われたことしかこなさない人物だと、責任感に欠けるため業務を任せることができません。

また、地方銀行を利用してもらうには、顧客との信頼関係が必要不可欠です。顧客に与える印象が大切なので、コミュニケーションのなかで真面目さや几帳面さが伝わる人物である点も重要です。

主体性がある

地方銀行では厳しい経営環境や資金運用難など、折り合いのつかない課題が少なくありません。多くの問題を抱えているため、問題解決に積極的に取り組める人物が求められています。そのためには、地域発展のために自ら打開策を模索し、周囲と協力して解決を目指せる主体性が重要です。

目標達成や課題解決に喜びを見出せる人なら、地方銀行で活躍できる可能性が大いにあります。反対に、指示されたことだけをしたい人や、同じ業務を繰り返したい人には不向きといえるでしょう。

真面目である

さまざまな知識を必要とする地方銀行員は、仕事や勉強に一生懸命励む真面目さも求められる条件のひとつです。行員は専門性の高い業務を遂行するために、知識やスキルが必要です。配属された部署によって必要な知識は異なり、取り扱う金融商品や法令についても理解が求められます。

商品や法令が新しくなれば、その都度勉強をして身につけなければいけません。経済動向にも意識を向ける必要があり、常に勉強を続けられる姿勢が重要だと考えられています。

難しい仕事に直面しても投げ出すことはなく、確固とした意志で目的のために業務を遂行できる真面目な力がある人物が、地方銀行では求められています。

信頼関係を築くことができる

地方銀行では、顧客と深い信頼関係を築ける人物が求められます。責任感や真面目さがあっても、問題が起こったときに人に責任を押し付けたり、人任せにしたりする人材は信頼を得られません。起こった問題に責任を持ち、解決できる方法を考え、行動に移す主体性のある人物こそ信頼するに値します。

信頼されるためには、顧客との会話の中で顧客のニーズを汲み取り、求める解決策を提案できるような信頼性の備わっている行動が必要です。顧客のために考えて行動できる行員であれば、安心して相談してもらえるようになります。

地方銀行の志望動機を書くときの3つのポイント

なぜ地方銀行を志望したのかを明確にする

なぜメガバンクではなく地方銀行を選んだのかについては、採用担当者が注目するポイントです。メガバンク以外にも、証券会社や保険会社など、他にも進む道はあったはずです。

応募した地方銀行ではなくても当てはまる志望動機の場合、業界研究不足とみなされ、応募意欲がないと判断される可能性があります。

そのため、地方銀行を選んだ理由は、ESの志望動機で明確に記載するようにしましょう。応募する地方銀行を目指すきっかけとなったエピソードがあれば、志望動機に説得力が増します。

応募する地方への思いをプラスする

地方銀行は地域に根付いた働き方をしているので、応募する地方への思いをアピールすることでポジティブな印象を与えられます。

地方の思いを考えたとき「地元が好きだから」といった理由は、ありきたりな表現になるので他の応募者と差別化ができません。

県外出身者が応募する場合は、なおさら採用担当者に地方を選んだ理由を納得させる必要があるでしょう。幼い頃の思い出などがない場合は、その地域特有の祭りイベントに目を向けるのもアピール方法のひとつです。

入社後の意気込みを伝える

志望動機は、入社後に活躍できる人材なのかを見極めるための重要な判断材料です。採用担当者は応募者が銀行にどのような働きで貢献してくれるのかを知りたいと考えています。

そのため、これまでの経験から学んだことを、実際の業務でどのように活かしていくかを伝えましょう。スキルや資格などの強みがあるなら、積極的にアピールすると採用通過が有利になる可能性があります。

地方銀行を目指している理由を今一度考え、入社後に成し遂げたい目標を考えてアピールしてみましょう。

魅力的に伝える地方銀行の志望動機の書き方 

志望動機の書き方

①志望した理由

②根拠となる具体的なエピソード

③入行後のビジョン

志望動機を作成するときは、まず始めに地方銀行を志望した理由を伝えます。なぜ地方銀行を志望したのか、魅力を感じているのかを簡潔にまとめることで、採用担当者の興味を引くことができます。

続いて、志望するきっかけとなったエピソードを具体的に説明します。応募する地方銀行の地域にまつわるエピソードは、印象アップにつながるので思い出してみましょう。地域に関わった経験があると、地域に貢献したい熱意に説得力が増します。

自分の強みをからめて志望する場合、数字を強みにするのは避けましょう。なぜなら、地方銀行で仕事をする以上、数字が強いのは当たり前と判断されるからです。他の応募者と差別化するには、簿記1級や珠算で段を保有しているなどのスキルが必要です。

最後に、入行後のビジョンを伝えます。これまでの経験や自分の強みを銀行でどのように活かせるのかを書き、積極的に貢献していく姿勢をアピールしましょう。

地方銀行の志望動機例文

地元の地方銀行を志望する例文

例文

貴行を志望したのは、ふるさとである〇〇の経済発展に貢献したいからです。

大学卒業まで〇〇で育った私は、小さい頃によく商店街を訪れていました。夏は夜店、秋はお祭りなど、参加している人の活気ある姿を見て元気をもらっていました。近頃は商店街に活気がなくなっているため、以前のように活気あふれる商店街になるための手助けを行いたいと考えています。

貴行では、起業家を支援する活動が多いと認識しております。特に、新しく事業を始める方を対象にした情報提供や商品開発などのサポートに大変魅力を感じ、地域を支える姿勢に強く感銘を受けました。

私は学生の頃にボランティア活動をしており、幅広い年代の人たちと交流する機会が多くありました。そこで培ったコミュニケーションスキルを活かし、お客様に信頼される行員を目指したいです。(350字以内)

初めに結論として志望動機を記入することで、採用担当者が内容を理解しやすい構成になっています。

続いて、具体的な根拠の説明ができているため、志望動機に説得力があります。その後、応募した地方銀行の魅力を伝えていることで、メガバンクとの差別化や、応募した地方銀行でなければならない理由がわかりやすく説明されています。

最後は自分の経験から得た強みを、入行後にどのように活かせるのかをうまくまとめられている例文です。

地元以外の地方銀行を志望する例文

例文

私は、貴行の地域を思う心と熱い気持ちを持ち合わせている点に感銘を受け、志望いたしました。

私の地元は〇〇ではありませんが、〇〇大学に通っていたため、4年間この土地で過ごしていました。そこで、温かく親切な方が多い〇〇に恩返しをしたい、生活の支えになりたいと考えるようになりました。

貴行の「お客様や地域のために」という想いが強い社風や、人事の方や行員の方の温かい人柄に大変魅力を感じております。また、行員の方々が生き生きとされて働いているのを見て、私も貴行の一員になって働きたいと思うようになりました。

また、貴行は外報活動を通じて安心・安全な街を目指すなどの地域社会への取り組みを行っており、〇〇に貢献するための、さまざまな仕事ができると考えました。入行後は、〇〇の方のように親切心を持ち、地元の方に寄り添ったサービスを提供したいです。(400字以内)

応募する地方銀行が地元ではない場合は、地元の地方銀行の志望理由よりも、なぜ選んだのかを採用担当者に伝える必要があります。

例文では、地域の人や貴行で働く人々の温かさに魅力を感じています。地域特有の魅力が伝われば、採用担当者に納得してもらいやすい志望動機になるでしょう。

最後は応募した地方銀行の特徴をからめることで、他の地方銀行では得られない強みが伝わる文になっています。もう少し自分のアピールポイントを伝えることで、採用担当者に採用するメリットを感じてもらえるかもしれません。

地方銀行の志望動機に関するよくある質問

地方銀行は地元の人が有利に採用される?

地方銀行は地域密着型なこともあり、地元の人が有利に採用されるといったイメージがあるものです。実際そのようなことはなく、県外出身者でも多くの人が地方銀行で活躍しています。

地方銀行が求めているのは地元出身者ではなく優秀な人材なので、優秀なら県外出身者でも関係なく積極的に採用します。

しかし、実際地方銀行には地元出身者が多いのも事実です。地元の地方銀行に応募する学生が圧倒的に多いため、結果的に地元出身者が多くなっていることが理由なので、決して地元が有利ということではありません。

県外出身者でも地方銀行に採用される可能性は十分にあるため、地元じゃないからと諦めずに積極的にアピールしていきましょう。

地方銀行の情報の集め方は?

地方銀行の志望動機を作成するには、応募する地方銀行を調査して企業理解を深めることがポイントです。地方銀行の情報は、公式ホームページや各種ニュース、インタビュー記事から収集できます。

また地方銀行だけでなく、地方についての情報も調べることで熱意のアピールに役立ちます。地域経済誌や新聞の地方欄などをチェックすると、その地域の旬の情報を知ることができます。抱えている問題や課題も見えてくるので、自分なりに解決法を考えてアピールすると良いでしょう。

地方銀行ならではの魅力を志望動機でアピールしよう!

地方銀行の志望動機を作成するときは、どの銀行にでも当てはまる理由ではなく、地方銀行ならではの魅力を伝えることがポイントです。

どのような内容を記入すればいいか悩んでいる人は、まず念入りに企業研究を行いましょう。地方銀行の魅力が伝わる志望動機なら、応募意欲が伝わりやすく採用に近づける可能性があります。

他の応募者と差別化するためには、具体的なエピソードを盛り込み、オリジナリティを出すことが大切です。自分の強みを入行後にどのように活かせるのか、しっかりとアピールしていきましょう。

【例文あり】自己PRでコミュニケーション能力を効果的に伝えるコツは?

「コミュニケーション能力」は幅広い領域を指しているため、曖昧な言葉であると言えます。そのため、自己PRで具体的にアピールするためには、「伝える力」「聞く力」など、そこに含まれる要素を抽出して強みとすることがおすすめです。

本記事では、各要素に注目し、コミュニケーション能力を具体的かつ個性的な内容で自己PRに落とし込むための方法を解説しています。部活、アルバイトなどの経験別の例文も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

コミュニケーション能力とは?

コミュニケーション能力とは、他者との協調や意思疎通に必要な能力のことです。仕事においては、社内・社外の人間と信頼関係を結び、円滑に業務を進めるために欠かせません。

多くの企業や幅広い職種で重宝されるため、就職活動において、優れたコミュニケーション能力を持っているということは汎用性の高いアピールポイントであると言えます。

しかし、それと同時に自己PRのアピールポイントとしては定番中の定番であるため、他者と差別化できなければ、採用選考では埋もれてしまいやすいでしょう。

コミュニケーション能力を効果的にアピールするためには、重要なポイントがいくつも存在します。それらを押さえ、採用担当者にとって魅力的に映る自己PRを作り上げましょう。

コミュニケーション能力が企業に評価される理由

良好な対人関係の形成に役立つ

企業に所属する場合、仕事は自分一人だけで完結するものではありません。どこかで必ず社内外の他者との協力が必要になるため、他者と良好な関係を築くことは欠かせません。

信頼関係を築くことができれば、意見交換や相談をしやすくなるなど、お互いに働きやすくなります。また社外の人間と良い関係を構築できた場合には、新たな仕事が生まれることにも繋がります。

そのため、対人関係に重要な高いコミュニケーション能力は企業に評価されやすい傾向にあります。

仕事を円滑に進められるようになる

仕事を円滑に進めるためには、先述の仕事仲間との良好な関係の構築だけでなく、情報共有をしっかりと行えるということも重要です。よく「報告」「連絡」「相談」をまとめて「報連相(ほうれんそう)」と言いますが、これは社会人には欠かせないスキルであるとされています。

ミスやトラブルの発生を迅速に報告する、必要事項を性格に連絡する、疑問点や懸念点を相談するなど、「報連相」をしっかりと行うことがスムーズな仕事の進行に繋がります。

この「報連相」に関わるスキルもコミュニケーション能力に含まれるため、多くの企業に重宝されます。

コミュニケーション能力は言い換えてアピールする!

ただコミュニケーション能力が高いとアピールするだけでは、何が優れているのかが相手にいまいち伝わりにくいでしょう。これはコミュニケーション能力が様々な要素を含んだ抽象的な言葉であるためです。

そのため、「相手の話をよく聞いて理解する力」「物事を分かりやすく伝える能力」など、アピールしたい要素を抽出した、より具体的な言葉に置き換えることがおすすめです。そうすることで、アピールポイントをよりはっきりと分かりやすく伝えることができます。

以下に、コミュニケーション能力に含まれるアピールにおすすめな要素をピックアップしてご紹介します。

協調性

協調性とは、立場や考え方の異なる他者と同じ目標の達成に向けて協力できる力のことです。つまり、様々な属性の人と良い関係を構築・維持しながら、共に仕事を進められる能力であると言い換えられます。

これは、仲間内で良い空気感を作り、互いにストレス無く、円滑に業務をこなすためには欠かせないものです。仲間と対話したり、協力して進めたりする機会は多く存在するため、幅広い企業で重宝されます。

伝える力

社会人にとって、相手に分かりやすく、正確に物事を伝える能力は非常に重要です。情報伝達の際に誤解やミスが生じたことが、業務に支障を与えたり、信頼関係を損なうことに繋がってしまうためです。

社内外の仕事仲間と情報共有や対話をする機会は日常的に発生するため、この能力も多くの企業で求められています。

また営業やプレゼンテーションなどにおいて、物事を魅力的に伝える際にも役立つため、そのような機会が多い職種では、より歓迎されるでしょう。

聞く力

聞く力とは、相手の話によく耳を傾け、その内容や意図を正しく理解する能力のことです。聞く力においては、相手の話をしっかりと最後まで聞いたうえで、自分の意見や疑問点を伝えるという真摯に話を聞く姿勢が重要です。

相手の話を途中で遮って否定意見を押し付けるというようなことは好ましくありません。相手が自分の意見を伝えづらい空気感を作ってしまい、建設的な対話が不可能となってしまうリスクがあるためです。

聞く力は、相手自身や相手の意見を思いやり気遣う力に通じていると言えます。他者との会話や意見交換の機会が多い仕事では、特に喜ばれるコミュニケーションスキルでしょう。

質問する力

分からないことを誰かに質問できる力は、社会人にとって非常に大切なものです。仕事において、分からないことを分からないまま放置しておくことは、その後のミスの発生などに繋がってしまうからです。

例えば、他者から依頼された仕事を疑問点を抱いたまま進めてしまえば、依頼者のニーズに応えられないリスクが大きくなってしまいます。疑問点をしっかりと解消することは、仕事に関わる物事への理解を深め、円滑に業務を進めることに活きていきます。

これは幅広い仕事に当てはまるため、適切にアピールできれば、採用担当者に魅力的なアピールポイントだと感じてもらいやすいでしょう。

コミュニケーション能力の高さを効果的に伝える構成

効果的にアピールできる自己PRの構成

①【結論】コミュニケーション能力が強みである

②【エピソード】強みを発揮した経験

③【入社後について】強みをどのように活かすか

コミュニケーション能力が強みだと伝える結論

自己PRでコミュニケーション能力をアピールする際は、「私の強みはコミュニケーション能力の高さです」というような結論から文章を始めましょう。

これは「これからコミュニケーション能力に関する話を展開していきます」と読み手に明示することに繋がります。

コミュニケーション能力が話の軸であるということが明らかにされることで、その後に展開される話を理解してもらいやすくなります。

コミュニケーション能力を発揮したエピソード

前述の結論だけでは、強みを持っていることの証明にはなりません。結論を伝えられたら、実際にコミュニケーション能力を発揮したエピソードを具体的に伝えて、強みを持っていることの裏付けをしましょう。

この際、どのように発揮したかという過程を段階を踏んだ構成で伝えられると良いでしょう。いつどんな「課題」に遭遇したか、その解決のためにどのような「目標」を掲げ、どのように強みを発揮して「対処」したのかというようなものです。

エピソードを段階分けすることで、内容が整理され、読み手に理解されやすくなります。また具体的な過程が分かることで、そのコミュニケーション能力の活かし方を示すことができます。

エピソードの締めには、どのような「結果・成果」が得られたのかということも伝えましょう。コミュニケーション能力が実際にプラスの効果をもたらした、すなわち強みとして機能したことを印象付ける必要があるためです。

入社後にコミュニケーション能力をどのように活かすか

エピソードを伝えられたら、コミュニケーション能力を入社後にどのように活かすかを述べて、文章を締めましょう。

強みは仕事で活きるからこそ、採用担当者に価値を見出してもらえるものです。そのため、コミュニケーション能力という強みがしっかりと仕事でも活かせるものであると示す必要があります。

仕事への活かし方を伝えることは、採用担当者に実際に働くイメージを想像してもらうことにも繋がります。自社の風土や求める人物像に合致し、業務に貢献してくれそうだと思ってもらえた場合には、高く評価されることでしょう。

コミュニケーション能力を魅力的に伝えるコツ

自分ならではの表現で結論を伝える

最初に「私の強みは〇〇です」と結論を述べる際、コミュニケーション能力を自分ならではの表現で表すことをおすすめします。

例えば、「相手の伝えたいことを適切に捉える傾聴力」「相手に合わせて物事を分かりやすい表現で伝える力」というようなものです。

先述の通り、コミュニケーション能力は自己PRのアピールポイントとしては定番であるため、他者と差別化することが重要です。

自分の強みを的確に表す表現を用いることで、読み手に自分ならではの魅力を感じ取ってもらいやすくなるでしょう。

裏付けエピソードの結果を数字を示す

コミュニケーション能力を裏付けるエピソードの結果を述べる際、数字で表せる成果がある場合には、是非とも数字を用いて示してみましょう。例えば、コミュニケーション能力を活かして「ビブリオバトルで良い成績を収めました」と述べても、曖昧でその成果の凄さが伝わりにくいでしょう。

一方、「40人が参加したビブリオバトルで2位に入賞しました」というように数字を用いた場合には、具体性が上がり、より凄い成果を残したということを印象付けられるでしょう。

簡潔な情報のみで非常に高い説得力を生み出すことができるため、取り組みの結果を示す際には積極的に数字を用いることをおすすめします。

より仕事に活きる要素をアピールする

仕事は他者と協力して行うことが多いため、コミュニケーション能力は多くの企業で重宝される強みであると言えます。

しかし、コミュニケーション能力には「伝える力」「聞く力」などのように複数の要素が存在します。そのため仕事によっては、その中でも特に歓迎されやすい要素があることでしょう。

例えば、営業職では、営業先に自社製品などをより魅力的にアピールし、契約成立に繋げる必要があるため、特に「伝える力」が重宝されることでしょう。

このように、可能であれば応募先の仕事内容に合わせて、よりアピールに効果的な要素を選んで自己PRを作成できると良いでしょう。

【経験別】コミュニケーション能力の自己PR例文

部活

例文

私の強みは、情報を正確かつ分かりやすく伝達する力です。これは学生時代に野球部で主将を務めた経験を通じて培われました。

野球部の運営においては、その日の練習メニューなど日々の活動に関する情報や指示を分かりやすく伝え、部員全員に正しく把握してもらう必要がありました。最初はSNSを用いた単純なメッセージの送信で試みましたが、それでは上手く伝わらず、活動がスムーズに進められないこともありました。

この経験から、最初に要点を述べること、箇条書きで簡潔な情報を羅列することなど、整然として分かりやすい情報の書き方を学び、実践に活かしました。結果として、部員との連携が強化され、練習を円滑に進められるようになりました。

貴社においても、情報共有に気を遣い、仲間との連携を高めることでスムーズな業務進行に貢献したいと考えています。 (400字以内)

例文では、コミュニケーション能力の中でも「伝える力」に焦点を絞って話を展開しています。コミュニケーション能力という広い領域ではなく、伝える力というより具体的な強みを題材とすることで、話の軸がより明確になっています。

伝える力をエピソードで裏付けする際には、何をどのように伝えていたかについてしっかりと触れることを意識しましょう。

読み手に伝える力の具体的な詳細が分かるため、その強みを有していることに関して納得してもらいやすくなります。

ゼミ

例文

私の強みは、大学の○○ゼミで磨いた、他者の話をよく聞き、理解する傾聴力です。

ゼミ活動では、異なる意見や背景を持つメンバーと協力して目標を達成することが求められました。私は一人ひとりの発言に真剣に耳を傾け、彼らの考えに対して理解を深めることに注力しました。

とある会議で、メンバーから私の意見に対して異議を唱えられたことがありました。私は即座に反論せず、冷静に彼の意見の意図を理解しようとしました。その結果、チーム全体で建設的な議論を重ねる空気感を作り出すことができ、より良いアイデアをまとめることができました。この経験から、傾聴力がコミュニケーションを円滑にし、チームの協力を促進することを学びました。

貴社においても、異なる視点を尊重して、仲間との円滑なコミュニケーションに努めていきたいと考えています。(400字以内)

例文では、「傾聴力」を強みとしています。このとき、ただ傾聴力と述べるのではなく、他の言葉を添えて修飾し、自分ならではの表現で表すことで、より具体的かつ他者と差別化された強みに演出することができます。

傾聴力などの「聞く力」を強みとする場合、相手の発言をただ真剣に聞いていたと述べるだけでは不十分です。しっかりと発言を聞き、内容を理解した結果、どのような言動に繋がったのかというように、「聞く」という行為がその後に活かされたことを明確に伝えましょう。

アルバイト

例文

私の強みは他者と円滑に連携し合う協調性です。飲食店でのアルバイト経験が、この強みを一層磨く機会となりました。

ある日、ランチタイムの混雑した状況で急な人手不足が発生しました。しかし、私は冷静さを保ち、仲間たちと連携を図りながら、スムーズなサービス提供の実現に努めました。

具体的には、こまめに他のスタッフとコミュニケーションを取ることで、自分のタスクだけでなく、他のスタッフの進捗状況も把握しました。そして、役割分担して協力体制を築くことで、オーダーの受け渡しや料理の調理進行を円滑化し、効率的かつ高い質を維持したサービスを提供し続けることができました。

この経験を通じて、協調性がチームの一員としての力強さを生み出すことを痛感しました。貴社においても、協調性を活かし、仲間との連携強化を図って組織全体の成功に貢献したいと考えています。(400字以内)

先述の通り、協調性とは、他者と良い関係を築きながら、同じ目標の達成に向けて協力し合うために必要なコミュニケーションスキルのことです。

協調性をアピールする場合、他者と連携して物事を成し遂げたエピソードで強みを裏付けすることができれば、説得力の高いアピールに繋げられるでしょう。

このとき、他者とどのように連携したか、自分がどのような役割で貢献したかを具体的に述べることで、協調性を活かしたあなたの働き方をイメージしてもらいやすいでしょう。

自己PRにおいては、採用担当者に入社後に強みを活かして働く姿を想像してもらうことが重要です。

イメージされる人物像と企業との相性が良ければ、高く評価してもらえる可能性が高くなるためです。

自己PRのエピソードが見つからないときの対処法

他者にコミュニケーション能力を発揮した例を聞く

自分でコミュニケーション能力を発揮したエピソードを見つけられない場合には、他者に自分が能力を発揮した例が無いかを聞いてみると良いでしょう。

このとき、家族や同級生、教授、アルバイト先の同僚など、異なる属性を持った複数の知人に話を聞くことをおすすめします。

この場合、それぞれの知人が異なる場面や立場であなたとの関わりを持っており、別の視点からあなたを捉えています。そのため、より多様な意見を得られる可能性が高いでしょう。

他者の自己PRを参考にする

エピソードが見つからない場合には、他者が同じ企業や同業他社に向けて書いた自己PRを参考にしてみるのも良いでしょう。

こんなエピソードもアピールして良いのか、こんなアピール方法もあるのかというような気付きを得られるかもしれません。

リクルートが運営する求人サイト「リクナビ」の関連サービスである「OpenES」では、先輩の書いた自己PRを閲覧することが可能です。

業種や学科系統ごとに絞り込みを行って閲覧することもできるため、同業他社に向けた自己PRを簡単に見つけることができます。

便利なサービスを活用して、より良いエピソードを見つけましょう。

自己PRにコミュニケーション能力を書くときの注意点

アピールする要素は一つに絞る

先述の通り、コミュニケーション能力には様々な要素があり、その要素に焦点を当てることで、強みをより具体的に表現することができます。

自己PRでコミュニケーション能力を扱う際、アピールする要素は一つに絞ることをおすすめします。

例えば、「伝える力」と「聞く力」の2つをアピールしたい場合、それぞれに対してエピソードで裏付けを行う必要が出てきます。

この場合、話が冗長になり、散らかってしまいやすいです。

読み手にとっては読みにくく、要点を捉えにくい文章となってしまうため、効果的なアピールができなくなってしまいます。

そのため、アピールするのは一つの要素に留め、分かりやすく効果的な自己PRを作成しましょう。

文章の分かりやすさに気を付ける

コミュニケーション能力をアピールポイントとした場合、その分だけ採用活動においてコミュニケーションに関して厳しくチェックされるリスクが増える可能性があります。

その中でも「伝える力」をアピールした場合には、自己PRの文章が非常に分かりやすいものでなければ、アピールに説得力が生まれません。

読みやすさ、内容の分かりやすさについて、他者にチェックしてもらうなどして、可能な限り文章を推敲し、良いものに仕上げることをおすすめします。

面接で高度なコミュニケーションを求められるリスクを把握する

書類選考を通過した場合には、面接に臨むことになります。

エントリーシート(ES)の自己PRでコミュニケーション能力をアピールした場合は、面接においても高い水準のコミュニケーションを求められる可能性が高まります。

採用担当者の期待に応えなければ、ESの内容が嘘や誇張したものなのではないかと不信感を抱かれてしまうリスクがあります。

コミュニケーション能力をアピールポイントとする際には、そのリスクをしっかりと把握しておきましょう。

そして、面接本番でコミュニケーション能力が強みであることに説得力を出せるようにするために、より入念に練習を重ねることをおすすめします。

分かりやすい話の展開の進め方や話し方、声のトーン、表情など、言語から非言語能力に至るまで、コミュニケーションに関する様々なことに神経を巡らせましょう。

自分一人だけでなく、他者にチェックしてもらいながら練習することで、至らない点をより正確に把握できるでしょう。

コミュニケーション能力を自分ならではの表現でアピールしよう!

コミュニケーション能力は他者と協力して仕事を遂行する社会人にとっては、欠かせないスキルです。

多くの企業で歓迎されるスキルであるために、定番のアピールポイントとなっており、多くの人が強みとして挙げることでしょう。

そのため、「物事を分かりやすく伝える力」など自分の強みがより具体的に表れるように言い換えることが重要です。

他者と差別化し、自分ならではの魅力が伝わるように工夫することで、採用担当者の印象に残る効果的な自己PRを作り上げましょう。

自己PRで部活動をアピールする書き方を解説!【例文あり】

大学時代の部活動の経験を自己PRに書こうと考える就活生は多いのではないでしょうか。確かに「部活動をしている学生は就職で有利」という言葉を耳にします。

その言葉の通り、普段の学生生活とは異なる部活動での経験は、社会に出てからも役立つ能力を培うまたとない機会です。それをピールできれば、内定も近づくに違いありません。

しかし、自己PRに単純に部活の経験を書くだけでは、企業の目に留まりません。この記事では、自己PRで部活の経験を魅力的に書き、企業への効果的なアピールにするためのポイントを例文とともに紹介していきます。

部活動のエピソードは自己PRに効果的?

多くの企業では、採用時に就活生の傾聴力規律性を重視しています。これらの力は、活躍するビジネスパーソンが共通して持つ能力です。

しかし、社会人として役立つ能力の多くは、ただ大学生活を送っていただけでは、なかなか身に付きません。やはりこれらの能力を身に付けるためには、他人との関わりが不可欠です。

部活の経験があることは、他人との濃密な関係があることを企業に示すことにつながります。つまり、間接的にチームのなかで磨かれる規律性や傾聴力が、自分に身についていることを企業にアピールできます。

企業が部活をしている人材を高く評価する理由は、ここにあります。すでに働く上で必要となる力を身に付けている人材を見逃す企業は、そうそういません。

よって、部活での経験を自己PRでアピールするのは効果的であると言えるでしょう。部活動経験で得た強みを考え、企業に積極的にアピールしてきましょう。

部活経験が企業にとって魅力的な理由

部活の経験は入社後にも必要になる

多くの企業は、チームで行動できる人間を求めています。個人でできる仕事量には限界があり、全ての仕事を1人では完遂できません。他部署との交渉や調整、相手との打ち合わせや上司への報告など、業務には必ず自分以外の「誰か」が存在します。

そのため円滑な関係を築くことができない人材は、どれだけ能力が高くても採用されません。部活の経験がある就活生なら、企業もある程度は団体行動ができることを推察できます。

しかし、企業が就活生に求めているのは、チームワークだけではありません。自分から考えて動く主体性や、物事を考える力なども評価の対象としています。

そして、これらの力の多くは、部活を通じて得られる力です。自分の強みをアピールする題材として、部活の経験はうってつけと言えるでしょう。

1)主体的に物事を考える能力と積極性

企業が就活生に求める能力の最筆頭が、主体性です。また、それに付随する課題発見力など自分から行動できる人材を企業は求めています。学生時代とは異なり、社会人になれば自分から行動することが重要です。社会人としての基本とも言える能力ですが、身に付いている学生は多くありません。

大学生の部活は所属する人間の自治によって成り立っています。つまり、どんなことをするかは自分たちで自由に決められます。そこで、部の問題を発見し改善するための行動ができていたならば、主体性が身についていると言えるでしょう。例えば、「練習の参加率が悪い」という課題があるならば、この課題に対して自分が行ったことをアピールしてみましょう。

2)相手とのコミュニケーション能力と協調性

規律性傾聴力と並んで、チームで行動するときは相手とのコミュニケーション能力が重要です。

ここで言うコミュニケーション能力とは、相手の話を聞くことも勿論ですが、自分の意見やアイディアを相手に対して伝える発信力を指します。仕事においては、プレゼンテーションなど人前で話す機会が多分にあります。発信力が高い就活生は、人前に出ても物怖じすることなく、相手に意見を言えるので、企業は営業部隊として期待が高まります。

また、相手と意見をすり合わせることも、仕事では重要です。仕事をしていれば意見が合わないことは一度や二度では足りません。自分のことばかり押し通しては相手にされず、相手の言うことを丸飲みしていては、会社の利益になりません。相手と自分が納得できる落としどころを探すというのも、働く上で求められるスキルです。

3)目標達成に向けた行動力と計画性

多くの部活は、何かしらの目標があって活動していることでしょう。大会での優勝や研究会における成果発表などは、その目標の最たる例です。

しかし、これらで評価されるためには、事前に計画を作り、実行していく中で都度改善しなければなりません。実際の仕事においても、この計画から改善までの一連の流れ、いわゆるPDCAサイクルは非常に重要です。

企業は部活で身に付けた計画性マネジメント能力として高く評価してくれます。特に、管理職を目指すならば、単に「仕事ができる」だけでは能力不足です。名前の通り、管理職の仕事は、大勢の部下のマネジメントです。部活のなかで計画を立てたり、部員のマネジメントをしたことがある人も多いのではないでしょうか。それは企業から高く評価されるかけがえのない能力になります。

受験者の人柄を知ることができる

企業が新入社員を選ぶポイントの1つに、「既存社員との相性」があります。言ってしまえば「一緒に働きたいかどうか」ということです。どれほど名門大学であっても、この条件をクリアしなければ入社はできません。しかし、企業の雰囲気や経営方針が本当に新入社員にマッチするかの判断は、ベテランの面接官でも困難でしょう。

そのなかで、部活の経験は、企業にとって受験者の人となりを知る一助になります。取り組み方1つとっても、企業に与える印象は大きく異なります。

例えば、勝利に向けて真剣に努力したならば、粘り強さ継続性に関する印象を強く相手に与えることができるでしょう。自分の部活での行動は、企業にとって受験生の内面を深く知る重要な情報であることを忘れてはいけません。

優秀な成績があれば広告塔になれる

社会人になってからも、部活でしているスポーツを続けたい人は一定数いるはずです。なかには実業団への所属を検討している人もいるのではないでしょうか。

確かに長引く不況の影響もあり、多くの企業が実業団を廃部としました。しかし、現在でも陸上や卓球などの個人種目を中心に、自社にスポーツ選手が所属している企業は少なくありません。

所属する選手が大会で活躍すれば、それだけ自社のことを広く知ってもらえます。しかし、広告塔としての役割を企業が求めている以上、大会で活躍できるだけの相応の実力が必要です。大会での成績があるなら、それをアピールしましょう。それだけでも実業団に入れる可能性が高まります。

また、昨今は実業団という規模でなくても、スポーツや文化活動する社員を応援する企業が増えています。企業が求めるのは、広告塔としての役割だけではありません。社員の健康管理地域貢献の観点から見ても、優秀な実績のある就活生を獲得することは、それだけ企業にとって大きなプラスと言えます。

自己PRで部活の経験を書くときのポイント

チームワークを筆頭に、主体性柔軟性などの能力を企業は高く評価しています。このことからも分かる通り、部活で得られる能力の多くは、企業が欲している能力です。また、部活の経験は多くの就活生が持っているため、非常にアピールにつなげやすいポイントです。ポイントを抑えて、評価につながる自己PRを作成しましょう。

面接官が知りたいのは、部活を通じて得た「能力」

企業が部活をしている人材を評価する理由は、「働く上で必要になる力が部活で得られる」という点にあります。つまり「部活をしていた」こと自体は、全く評価していないことに注意しましょう。

そのため、単純に「〇〇部に所属して、大会で優秀な成績を修めました」という自己PRでは、企業に対しては何のアピールにもなりません。面接官が知りたいのは、部活を通じて「どんな能力を得たか」です。大会成績や部活動の思い出を知りたいわけではありません。

実際に書くときは、部活でどんな活動をしたか、その結果どんな力が身に付いたのかを考えましょう。自分の強みの裏付けとして、部活での活動をアピールするような流れにすると、全体としてまとまりある文章になります。また、実績をアピールする場合も、自分の強みを発揮できた結果として実績を書くと、自然にアピールできます。

また、部活を通じて得られる能力は、部活によって大きく異なります。例えば、個人競技ならば忍耐力継続力、チームスポーツならば協調性など重点を置くべきポイントも変化します。勿論、共通したアピールポイントもありますが、その部活「ならでは」の能力に焦点を当てると、ほかの就活生との差別化が容易です。

部活で得られた「能力」の活かし方を考える

自分が部活を通じて得られた力を自己PRすることを決めたならば、次はその能力を働くときにどのように活かすかを考えましょう。確かに、部活で得られる能力は、企業も欲しています。

しかし、企業によって重視する能力が異なることを忘れてはいけません。例えば、「柔軟性」をアピールしても、規定に沿うことを求める企業は評価しないでしょう。自己PRでアピールする能力は、企業が求めるものでなければなりません。

また、強みを自己PRにするときは、自分の能力が働くときにどのように役に立つのかを考えましょう。単に「能力が身についている」アピールでは、結局「部活をしていた」アピールと変わりません。どのような業務で発揮できるのかまで自己PRに書くことで、企業としても働き始めてからのイメージがしやすくなります。

書き始めは自分の強みとなる「能力」から

自己PRで部活の経験を書くと、どうしても部活の経験や成績を書き連ねることになってしまいがちです。しかし、それらのアピールを企業は求めていません。企業が知りたいことは、部活にどのように取り組んだのか、そしてどのようなことを学んだのか、という過程です。成績のアピールに終始しても、企業には「優秀な成績がある」ことしか伝わりません。

過程を重視した内容にするためには、書き始めに自分の強みとなる力から書き始めるとよいでしょう。その能力の裏付けになるように、部活動での取り組みや成績を書くようにすると、能力があることの説得力が増します。また、このときに具体的な期間人数などの数字を出すと、より企業に魅力的に映ります。

根拠となる具体例は1つにしぼる

自己PRは結論となる自分の能力から書き始め、その次に根拠となるエピソードを話すと、分かりやすい文章になります。ただ、4年間も部活を続ければ、強みが発揮された機会は1度や2度ではないでしょう。多くの事を書きたい気持ちは分かりますが、全て自己PRに盛り込むと、非常に長い文章になってしまいます。

あくまでも自己PRを読むのは企業の採用担当です。どれだけ熱のこもった自己PRをしても、長すぎる文章は結論まで読まれない可能性が高くなります。根拠となるエピソードは1つに限定するとよいでしょう。自分の強みが最も色濃く発揮できた1つにすることで、文章を程よい分量に整えることができます。

自己PRで部活動をアピールするときの例文

自己PRで部活動のことを書くときは、「自身の強みの裏付けや根拠として部活をアピールする」意識で書きましょう。実際に自分の経験に基づくため、強みの裏付けとして、非常にリアリティ溢れる文章になります。

部活の経験から行動力をアピールする

例文

私の長所は物事を主体的に考え、行動できることです。私は大学時代にフットサルのサークルに所属しており、部長を務めていました。しかし、私の大学はサッカー部が強豪であり、フットサルには人が集まらず、私が3年生のときには試合ができる最低限の人数しかいませんでした。

そこで私は自分が中心となり、今年度の新入生勧誘のための計画を作り、部員全員で実行しました。手あたり次第な勧誘を辞め、サッカー部との違いを明確にし「サッカーに興味があるけれども」という新入生にターゲットを絞りました。その結果、今年度は30人を入部まで運ぶことができました。

貴社に入社後は、この課題の解決に向けて部活で培った行動力を活かし、お客様の抱える課題に対して素早く行動できる営業マンとして活躍したいと考えております。(350字以内)

この自己PRでは、最初に自分の強みから始め、次に強みの裏付けとなる部活でのエピソード、最後に入社後の活躍で締めています。

部活のエピソードをアピールする上で、アピールできるものは、何も練習の過程だけではありません。部長や副部長などの役職にあれば、運営に関する課題に向き合うことも必要でしょう。

また、具体的な人数を文中に入れることで、どれだけの成果が現れたのかが相手に分かりやすくなります。ほかにも、解決のための施策を部員全員で共有したことからリーダシップのアピール、対象の決まった勧誘方針の決定から計画性のアピールにもつながっています。

部活の経験から忍耐力をアピールする

例文

私の長所は、一度決めたことを最後までやり抜く粘り強さです。私は大学時代に陸上部に所属しており、長距離選手として活動していました。大学に入ってから長距離に転向したため、当初は成果が出ず悩むことも度々ありました。また、心身の限界を感じる場面も多く、何度も辞めようと考えることもありました。

しかし、自分を信じてくれる仲間のためにも、大会での入賞を目指して毎日の練習を欠かさず続けました。そして、毎日の練習の成果が出たのか、徐々にタイムを縮めることができました。最終的には、昨年の大会では6位入賞、今年は準優勝と確かな成績を残すことができました。

貴社に入社後は、持ち前の粘り強さを発揮して、どんなに困難な業務でも投げ出さずに最後までやりきります。(350字以内)

部活動の経験は忍耐力継続力の証明として最適な題材と言えるでしょう。厳しい練習を続けるには、何があってもやり抜く覚悟が必要です。4年間耐え続けた経験は、社会に出ても役立ちます。

時として、やりたくない仕事に向き合わなければならない場面は確実に存在します。そのときに耐えられる忍耐力やストレスコントロールの能力も、社会人にとっては重要な能力です。

企業が就活生にどのような能力を求めているかは、入社案内や経営方針を確認すると推察できます。企業が求める人材に合わせ、アピールする長所は変えていきましょう。

また、それに併せて部活動の経験も変更が必要です。自分の強みが最大限発揮できた経験を見つけるためにも、自分での振り返りだけではなく、先輩や後輩、同級生からの客観的な意見を求めましょう。

部活の経験から観察力をアピールする

例文

私の長所は、素早く状況を把握できる状況観察力です。私は大学時代に吹奏楽部に所属しており、トランペットを担当していました。トランペットは花形のポジションであり、それだけに担当は練習が求められます。特にパート長が熱意のある人で、熱が入り過ぎた練習の後は体調を崩す部員もいました。

そのときは、私が調整役として練習のバランスを取りました。熱が入り過ぎたときは冷静に抑え、反対に集中できていないときは部員の背中を押すようにして、常に視野を広く持って冷静に周囲を見て、対処していました。その甲斐もあり、誰一人欠けることなく最後の大会で入賞することができました。

私は貴社に入社後は、この状況観察力と冷静な判断力を活かして、チームのマネージャーとして活躍したいと考えています。(350字以内)

チームで活動するときに、全員が同じ方向を向いていると思わぬ失敗をする可能性があります。そのときに、冷静に物事を反対から見る人がいると、チームは安定します。周囲の意見に流されない冷静さもチームワークには重要な要素と言えるでしょう。

加えて、冷静に判断を下すためには、周囲を色眼鏡なく見られる観察力が欠かせません。この自己PRは、それらを明確にアピールできています。

また、最後にマネージャーとしての活躍を挙げた点も、企業からは好意的に見られます。自分の培った力の適切な活かし所を分かっており、過大評価も過小評価もしていません。自分の能力を過大に見積もると謙虚さが、過小に見積もると自信が足りないように企業に判断されます。最後の企業での強みの活かし方まで一貫している文章です。

自己PRで部活の経験を書くときの注意点

部活の経験は個人の思い入れが強く表れるため、自己PRにする上で書きやすい題材と言えます。自分の強みを発揮できた経験や、苦難を乗り越えたことで得られた能力は、採用担当としても後の面接で深堀りしたい内容です。

ただ、アピールするべきポイントは、あくまでも「部活で得られた能力」であることを忘れてはいけません。自己PRで部活の経験を書くときには、次のようなことに注意しましょう。

役職をアピールしても効果は薄い

主将やキャプテンなどの「役職の経験」を前面に押し出すと、確かに企業の印象には残りやすいでしょう。しかし、単に「役職に就いていた」ことをアピールしても、企業には響きません。例えば、部長ならばリーダーシップ、会計ならお金に対する責任感など、その役職で自分自身に身に付いた能力を話しましょう。

ただ「部長だからリーダーシップが身に付いた」という安直な結論は避けた方が賢明です。同じ部長であっても、100人規模の大所帯の部長と少人数の部長では、得られる能力も異なるはずです。実際に「部長として〇〇をした」経験があってこそ、役職のアピールは意味を持ちます。自己PRに記載するときは、部長としての行動と部内への影響、結果得られた力を1つのつながりで書くようにしましょう。

また、役職がないことは決して不利な要素にはなりません。確かに「立場が人をつくる」という言葉の通り、何かの役職につくことは大きな経験です。しかし、役職にない人にも部のなかでは何か役割があるはずです。例えば、飲み会のセッティング担当。これも見方を変えれば、お店との交渉役や部員間の調整役という重要な役割です。部のなかで自分がどんな役割を果たし、どんな影響を部に与えたのか、自己PRを書く前に自分の活動を振り返りましょう。

成績がなくても不利にはならない

実業団への所属を目指すならば、ある程度の実績は必要です。しかし、単純に自分の強みを伝える題材として部活を挙げるだけならば、企業はそこまで成績を重視しません。自分がどんな行動を起こして、結果的に自分や周囲がどのように変わったのか、また、その変化が起きるまでの過程を話せば、大会成績に代わる十分なアピール材料になります。

例えば、「レギュラーにはなれなかったが部活を続けた」なら継続力のアピールにつながるでしょう。成績がなくても部活でのアクションは、自分を売り込むための大きな武器です。就活は「大会成績の優秀さ」では決まりません。自分の成長の糧として、部活がどのような存在だったのかに焦点を当てて、自己PRの文章を考えましょう。

専門用語の使用は避ける

スポーツも芸事も、それをしている人にしか分からない用語が存在します。自己PRでは、これらの専門用語の使用は可能な限り避けましょう。専門用語を多用した文章は、企業側に「読みにくい」「理解できない」と思われます。

また、本筋とは関係のない説明が増えてしまい、話したいことの主旨がぼやけます。可能な限り専門用語は、分かりやすくなじみの深い言葉に変更しましょう。

この変更は、どんなスポーツでも同様です。野球やサッカーなどメジャーなスポーツでも、伝える相手がルールを知っているとは限りません。相手に理解されない自己PRは単なる独りよがりです。読むのは自分の事を何も知らない相手であることを忘れないようにしましょう。

メジャーな部活が有利とは限らない

メジャーな部活は競技人口も多く、大会も活発に開催されています。当然、そこで成果を出すためには一定の練習が求められるでしょう。その分、努力や忍耐力などがアピールしやすい点は、自己PRを作る上でメジャーな部活が有利です。また、読む相手も何をしているのかが単語1つで理解できるため、無用な説明をせず本旨に注力できます。

しかし、競技人口が多いということは、それだけアピールする就活生も多いということです。結果として、細部まで同じような自己PRになりやすい点には留意しましょう。このままでは、ほかの就活生との差別化につながりません。実績や練習・大会中の行動を振り返り、「自分だからこそ」の部活の経験を前面に押し出すようにしましょう。

結局、メジャー競技もマイナー競技も、どちらも部活です。企業が聞きたいのは、楽しくも厳しい練習に励んだ部活の思い出ではありません。部活を通じて得た能力を、今後自分は仕事に対してどう活かしていくか、この一点に尽きます。部活動を自己PRに書くときは、このことを忘れないようにしましょう。

部活で得た経験をアピールしよう!

部活で得られる経験は、実際に働くときにも重要になる経験です。特に、チームワーク行動力、相手とのコミュニケーション能力は、社会で活躍するビジネスパーソンが共通して持つ力です。そのため、部活をしている人材を企業は高く評価しています。

ただ、あくまでも採用担当が知りたいことは、部活動を通じて得た自分自身の成長や能力であることを忘れてはいけません。自分が部活をするなかで、実際にどのように成長していったのか、その過程を自己PRとして書いていきましょう。

部活動の中で得た強みは数多くあるはずです。自分らしさが発揮できたエピソードで自分の強みを企業にアピールしていきましょう。

ガクチカで高校時代の経験はあり?書き方と注意点を徹底解説!【例文あり】

「学生時代に力を入れたこと」、いわゆるガクチカは、ESや面接で聞かれる頻出質問のひとつです。ここ数年、大学の授業がリモートに切り替わったり、部活動やサークル活動が制限されていた時期があったりと、大学時代のエピソードがなかなか思いつかない人もいるかもしれません。

そのため、学生時代のエピソードが「中学校・高校時代のエピソードでも良いのか?」と悩んでいる人もいるのではないでしょうか。この記事では、その疑問を解消するとともに、実際にガクチカを書くときのポイントについて解説しています。

「ガクチカ」に高校時代のことを書いても問題ない?

「ガクチカ」で高校時代のことを書くのは避けるべき

結論から言えば、「ガクチカ」で高校時代のことを書くべきではありません。多くの企業はガクチカによって、就活生の内面を探っています。

企業としては1人の人材に長く働いてもらいたいと考えているため、社風や価値観などが合うかをESから判断しなければなりません。

企業が採用を決めるポイントは、「一緒に働きたいか」どうかです。特に、新卒採用はその傾向が一層強く現れます。社風や企業方針に合致している人は、長く勤める傾向にあるため、採用担当はそのような人を求めています。

ガクチカには、その人の本質が現れます。何を大切にして、何を考えているのか、それは人生観とも言えるものです。企業はガクチカを通じて、就活生がどのような人物なのかを深く知ろうとしています。

高校時代のことを書くと、企業に対して自分の本質を伝えることができません。そのため、ガクチカで高校時代のことを書くことは、避けた方が賢明でしょう。

企業が知りたいのは就活生の「今」の状況

採用担当が知りたいのは、目の前にいる就活生の「今」の価値観が、自社と合致しているかです。高校時代と大学時代では、考え方や学びも異なっていることが考えられます。そのため、過去の話をされても判断が難しく、企業としては採用の可否を決定できません。

新卒採用においては、「今」が重要です。高校を卒業してから、就活を始めるまでの間の4年もの間に、どんな経験をして、どんな学びを得たのか、今の就活生が何を考えているのかを、企業は探っています。

高校生と大学生では価値観が違う

高校生と大学生では価値観も大きく異なります。成年することで、社会参加の義務も生まれ、「できること」の範囲が拡大します。新しい世界に触れることで、考え方や価値観が変わることも珍しくありません。

高校卒業から4年間も経っていれば、そのような価値観を変えるタイミングは数多く現れます。そうなると、企業から「本当に今もその価値観なのか」と疑問に思われます。企業の持つ価値観と合うか判断できないのであれば、採用をためらうのも自然です。企業が知りたいのは、今の就活生の考え方であるということを忘れてはいけません。

高校時代のことを「ガクチカ」に書くデメリット

そもそも企業の求める回答になっていない

ESや面接に限らず、質問に対しては相手が求めている回答をしなければなりません。ガクチカの本質は「就活生の今の価値観を知る」ことにあります。その点を考えると、やはり企業は「学生時代」を「大学生時代のこと」として想定しているはずです。

企業によっては、誤解をさせないように「学生」と言わず「大学生」と限定することも珍しくありません。この想定に対して、高校時代のことを書くのは答えとしては不適切でしょう。

仕事は常に誰かとの報告・連絡・相談で成り立っています。多くの就活生が勘違いしていますが、仕事におけるコミュニケーション能力は、相手の話を正確に理解すること、そして、適切な回答をすることです。

不適切な回答は、企業には「相手の話を聞かない」という印象を持たれてしまいます。相手の話を聞かないということは、コミュニケーションできないと判断されてしまい、圧倒的に不利です。

大学での成長が感じられない

高校生と大学生では、価値観に大きな違いがあります。その価値観の変化は、個人の行動や考え方にも現れます。学問への理解だけではありません。

例えば、選挙権を得たことによる政治参加への意識や、アルバイトによる経済観念などは、その最たるものでしょう。他にも、1人暮らしを始めたことで、家事に対する意識も変わったのではないでしょうか。傍から見れば小さくとも、本人にとっては考えを変えるには十分な経験です。

しかし、高校時代のことをガクチカに書くと、これらの変化が企業側に全く伝わりません。

新卒採用は、新入社員が今後成長してくれることを期待した採用です。4年間の成長が感じられないのであれば、今後も成長が見込めないとなり、採用につながりません。場合によっては、「大学では何もしていない」という悪い印象だけを残すことになります。そうなると他の自己PRや志望動機の内容も、企業に疑問を持たれることになってしまいます。

 再現性に疑問を持たれる

ガクチカに現れる就活生の本質は、今後にも関連してきます。企業は今後の仕事において、その本質を発揮してくれることを期待して採用を決定しています。大学時代のガクチカであれば、今の本質であるため企業としても高い再現性を期待できます。

しかし、高校時代の本質では、現在変化している可能性が十分に考えられます。そうなると仕事で発揮できるか疑問に思われるのも無理もありません。

本質や自己PRにおける強みは、仕事のなかで発揮されてこその能力です。過去に発揮できても、それを実務のなかで発揮できなければ、企業も採用に結びつきません。

面接で結局大学時代のことを尋ねられる

選考が進み面接になった場合、ESと同じように「ガクチカ」を問われることがあります。その際、企業が回答を限定できるよう大学時代のことを尋ねても不思議ではありません。そうなると、ESに書くガクチカと面接用のガクチカの最低でも2つを用意することになり、単純に準備することが増えてしまいます。

多くの経験があれば、高校と大学で複数のガクチカを用意することは可能でしょう。ただ、用意するガクチカが増えるほど、お互いの整合性を取ることが難しくなります。単純な題材の内容や、具体的な規模を示す数値など、僅かな違いも許されません。

また「たった数年で変わる程度の弱い価値観である」と判断されてしまうと、忍耐力や集中力に疑問を持たれることになってしまうので、注意が必要です。

ガクチカに高校時代のことを書くときのポイント

企業が質問する意図やデメリットを考えると、やはりガクチカには大学時代のことを書くべきです。

学生時代に力を入れたことは、決して留学やインターン活動のような特別な経験だけではありません。勉強やサークル活動の他にも、家事のような日常の経験も1つの話の種になります。

ただ、高校時代に今後の自分の一生を決定づけるような経験があった場合、「高校時代のことを書きたい」と強く思う人もいるのではないでしょうか。

ガクチカは自分の本質が現れるエピソードを伝える場です。高校時代のエピソードを書いてはいけないというルールがあるわけではないので、自分の価値観などがしっかりと伝えられるのであれば、ポイントを押さえながら効果的に伝えるのが良いでしょう。

ここでは、ガクチカに高校時代のことを書くときのポイントを解説します。

必ず「今」につながる内容にする

先述の通り、企業がガクチカを尋ねる背景には「就活生の今の内面」を知ることにあります。高校時代のことをガクチカに書くならば、その価値観を現在も持っていることを示すようにしましょう。そのためには、高校時代やそれ以前から始めたことが、現在でも続いていることを伝えます。

高校時代のことだけをESに書くと、大学4年間での成長や学びが感じられないものになります。しかし、高校で始めたことを大学でも継続している場合は、高校時代のこともふまえることで、大学での成長をアピールできるガクチカになります。また、継続性忍耐力のアピールにもつなげられるでしょう。

再現性のあるエピソードにする

ガクチカを尋ねることで、企業はその経験から得た学びや強みを知ろうとしています。そして、その経験を「今後の業務で発揮するだろう」と判断した就活生を採用します。そのため、エピソードには将来的にも再現できる強みが表れなければなりません。数年経っているエピソードである以上、現在の自分との関わりは重要なポイントです。

例えば、「高校時代に委員長を務めた経験があるから、大学でリーダーシップを発揮できた」という流れで構成することで、高校時代の経験を大学でも活かすことができていることが伝わります。また、今後の業務でも活かしてくれることを、企業も期待できます。

他の項目には大学時代のことを記載する

ガクチカに高校時代の内容を書くなら、他の自己PRや志望動機に関するエピソードは、大学時代のエピソードを用意しましょう。

ガクチカで大学時代のことを付け加えて書くこともできますが、ガクチカは字数制限がやや厳しい項目です。企業によっては100字程度ということもあります。あまり多く書けないなら、コアになる高校時代のことだけを書いて、それ以外の項目で大学時代のエピソードを書き、4年間での成長をアピールしましょう。

また、このとき自己PRや志望動機を、ガクチカに関連させると文章が全体に引き締まります。ESを時系列で考えると、ガクチカで過去の経験、自己PRで現在の成長、志望動機で将来像をそれぞれアピールすることになります。一本につなげることで、ガクチカでの経験が活きてきます。

ガクチカに高校時代のことを書いた例文

ガクチカには、「活動の概要」「その活動における課題」「具体的な行動」「その活動を通じて得た学びや結果」の4つの要素が必要です。

上記のポイントを踏まえ、高校時代のことをガクチカに書くならば、「概要」に高校時代の経験を、「結果」に現在の状況を加えておきましょう。

また、文字数を削る場合は「課題」と「行動」の分量を減らし、「概要」と「結果」を中心に組み立てましょう。

 逆に、足りない場合は、「行動」の内容を深堀りすることで、自分のガクチカに、より厚みを持たせることができます。

学習をテーマにしたガクチカの例文

例文

私は高校時代の留学を通じて、「相手の背景を知る大切さ」に気が付きました。海外で働きたいと考えていた私は、自分の言葉で相手とコミュニケーションすることを目標に、入学当初から英語学習に打ち込み、2年生のときに留学に参加しました。

実際にコミュニケーションを取ると、言葉よりも日本との文化の違いから生まれる価値観の違いに気が付きました。特に社会や政治に関する考え方は全く別物です。そのことから相手のことを正しく理解し、自分の事を知ってもらうためには背景にあるものをお互いに知らなければならないと思いました。

現在は外国語学部に通い、留学生との国際交流を続けています。コミュニケーションを取るための語学は勿論ですが、背景にある宗教や環境などを理解する勉強も欠かさずに行っています。

これは日本人同士でも同様だと考えています。相手のことを知り、お互いに協力し合える関係性を多くの人と築いていきたいです。(400字以内)

ガクチカでは、どんな学びや気付きを得たのかがポイントになります。企業が知りたいのは思い出話ではないので、頑張ったことだけを書いても評価はされません。

この文章では、高校時代の経験が大学時代にステップアップしています。そのため高校時代の気付きが、後の志望大学や学部に影響を与えたことは容易に察せられます。確かに「今」につながる文章と言えるでしょう。

また、内容自体にも企業が活躍を期待できる要素が詰まっています。日英以外の言語も話せるマルチリンガルとしての技術、コミュニケーション能力などの実務面は勿論のこと、自分を高めようとする成長への貪欲さや、協働性など働くときに企業が必要とする能力を多分にアピールできています。

ガクチカはこのような自分の能力をアピールする場でもあるので、存分に活用しましょう。

自分の生活をテーマにしたガクチカの例文

例文

私は高校時代に始めた料理を通じて、強くコストを意識するようになりました。私の両親は私が高校に入った前後から仕事が忙しくなり、私が自分と弟と妹の3人分の食事を作ることになりました。

最初は取り合えず作った程度でしたが、弟妹のために美味しく、栄養のある料理を考えるようになりました。ただ、私にも勉強や部活があり、料理だけに時間を使うことはできません。また、予算にも限りがあります。そこで同じ献立でも、安価で短時間で完成できるよう工夫を考えるようになりました。

この料理における時間や経費への強い意識があったからこそ、大学では所属サークルの会計係として、経費の削減や会費の適切な運用ができたと感じています。また適切な管理のために、経理や経営に関することも勉強するようになりました。

入社後の業務も、時間やお金への強いコスト意識を持ち、限られた中で最大限の結果が出せるように取り組んでいきたいです。(400字以内)

ガクチカと聞くと、どうしても部活や勉強のことをイメージしてしまいます。勿論、それは正しいのですが、それだけがガクチカではありません。学校から切り離された部分での活動も立派なガクチカです。

特に意識しやすいのは、日常生活での出来事でしょう。情景が分かりやすい題材は、採用担当もイメージしやすく、共感を得やすいテーマです。

業務は費用対効果も考えるべき重要な要素です。仕事が完成しても、時間やお金がかかり過ぎるようでは利益が生まれません。その意味で高いコスト意識があることは、経理を務めるためにも重要な素養といえるでしょう。

部活動をテーマにしたガクチカの例文

例文

私は高校時代のサッカー部での敗戦を通じて、「最後まで諦めないこと」の大切さを学びました。私の所属していたサッカー部では、高校2年生のとき、初めて県大会決勝まで勝ち進みました。しかし、相手は全国大会出場の常連であり、優勝経験もある強豪校でした。

圧倒的に格上の相手に対して、私たちは遅くまで練習を続け、毎日練習終わりにチーム全体で改善点を洗い出し、翌日の練習に反映することを繰り返し行い、全員で乗り越えるために努力しました。

試合当日、相手に圧倒されながらも、最後まで勝つために全員で戦いました。

結果は敗戦でしたが、高い壁にぶつかったときに、チーム一丸となって諦めずに考え続けたことは、これからの人生においても重要だと考えます。

今後、仕事をする上でも困難を解決するために考え続けることは、絶対にやめません。チームで最後まで諦めなかったこの経験を、今後の仕事でも役立てていきます。(400字以内)

このガクチカは、大学時代のことが一切ありません。高校時代のことに集中したことで、力を入れたことが際立ち、それだけ得た学びの強さや本人にとっての重要性が直接伝わります。

高校時代の経験で今の価値観が完成されているなら、大学時代のことを書く必要はないでしょう。むしろ、書くことによって字数制限を超えたり、本旨が伝わりにくくなる可能性が考えられます。

また、勝利した経験だけが糧ではありません。特に部活動ならば、負けたことで学ぶこともあるでしょう。大切なことは、「経験からどのような学びを得たか」にあります。入賞した、受賞しただけが経験ではありません。是非、自分が一番熱中した物事をガクチカに書いてみましょう。

ガクチカに高校時代のことを書くときの注意点

ガクチカに高校時代のことを書くときは、現在の自分の下地になっていることを意識しましょう。このことを忘れて単純に高校時代の思い出話に終始すると、企業の求めている回答になりません。

あくまでも企業はガクチカから、就活生の本質を探ろうとしています。この質問に対して、適切な回答を心掛けましょう。

面接時に深堀りされることは前提

多くの就活生が大学時代のことをガクチカに書くなかで、1人だけ高校時代のことを書けば、やはり目立つことは避けられません。企業としても「何故、高校のことを書いたのか」という単純な興味や疑問を持つでしょう。この疑問や興味に対しての回答は、重要なポイントです。当たり前ですが「大学時代のことは書くことがない」では、企業の印象は最悪なものになるでしょう。

わざわざ高校時代のことを持ち出す以上、それには相応の理由が必要です。例えば「自分の人生観を一変させる体験だった」ことや、「自分のモチベーションの源泉になる」など、採用担当が聞いて「なるほど」と理解できる理由を用意しておきましょう。ここで、明確な理由を話すことができれば、他の就活生を大きくリードできます。

ある程度のインパクトは必要

あえて高校時代のことを持ち出す以上、理由だけではなく内容にも相応のものが求められます。当人にとっては重要なことであっても、客観的に見れば「その程度なのか」と思われる内容では、スルーされても仕方がありません。受賞歴や大会への出場経験など、採用担当者の目に留まるエピソードを盛り込んでおくことが重要です。

ただ、ガクチカでアピールするべきは「力を入れたこと」であり、華々しい経歴ではありません。最も自分を変えた1つのエピソードに限定し、どのような学びを自分が得たのかを書くようにしましょう。また、「その程度」と思われるような内容でも書き方次第です。その経験の前後における自分の変化が、劇的であるほど相手に強い印象を残すことができます。高校時代の経験と現在が、どうつながるのかを意識した文章にしましょう。

過去の内容ほど、明確な再現性が求められる

過去の内容ほど、客観的に見たときに再現性が弱くなることは避けられません。高校生と大学生の間には、明確な経験の差があります。そして、この経験の差は物事に対する印象の差へとつながります。同じ物事を見聞きしても、高校生のときは単純に考えていても、大学生では背景や多面的な考え方に変わることは珍しくありません。

つまり、単純に大学生は「高校生と同じ考え方ができない」ということになります。そのため、高校のことをガクチカに書くならば、一度、大学時代のことを挿むなど、今でも同じ考え方をしていることを示さなければなりません。しかし、単純に大学時代のことを挿むだけでは、企業には「成長がない」「精神性が高校生のまま」であると判断されてしまいます。大学でどのようなことを上乗せできたのか、という点を必ず付け加えましょう。

現在までの一貫性が重要になる

高校時代のことをガクチカに書くならば、一貫した自分の本質を正確に掴みましょう。考え方は行動にも現れます。例えば、「高校時代は野球部でキャプテンだった。そして、大学ではサッカー部でリーダーシップを発揮した」と書いても、それほど問題ありません。

企業が知りたいのは思い出話ではなく、その人の本質です。途中で競技を変えても文章からは、就活生が大切にしているものが「リーダーシップ」であることが伝わります。本質が現れる場所や形が変わるだけで、内容は一貫しています。

しかし、「高校時代は野球部でキャプテンだった。だから、大学で野球部で練習だけしていた」と書くとどうでしょうか。前半で書いた「キャプテン」から推察できる要素が、後半には全くありません。採用担当も頭の上に疑問符を浮かべていることでしょう。このような一貫性がない文章では、企業は本質を探ることができません。もし、本質が変化しているなら、その変化となるエピソードを追加しましょう。

高校時代のことがあるから、今の自分がいるエピソードに

ガクチカには、その人の本質が現れます。ただ、その考え方や信念は、決して大学時代の4年間だけで培われたものではないはずです。高校時代のことをガクチカに書くなら、必ず今の自分へとつながる内容にしましょう。

高校から大学へのステップアップは地続きです。決して、一足飛びに成長することはありません。今の自分に高校時代の経験が、どのように活かされているのか、高校時代のことをガクチカに書くときは、この意識を常に持ちましょう。

保険業界の志望動機はどう書く?例文やポイントを徹底解説【例文あり】

保険には「生命保険」や「損害保険」をはじめ、「災害保険」「自動車保険」「医療保険」などの種類があります。こうした保険を扱う保険業界は、大きく分けて「生命保険」「損害保険」「その他(保険代理店など)」の3つです。

一概に保険業界といっても、取り扱う商品や特徴が異なるため、保険業界を志望する際にはまず基本的な業界の知識が必要になります。

本記事では、保険業界の志望動機を作成する上で知っておきたいポイントや注意点、例文を紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

保険業界の基礎知識

生命保険と損害保険の違い

保険の代表例として、「生命保険」「損害保険」があります。

生命保険はヒトに対する保険で、ケガや病気、死亡時に保険金が支払われるものです。生命保険では「定額給付」という形態がとられており、保険で取り決められている損害を被った際に、決められた額の保険金を受け取ることになります。

一方で損害保険はモノに対する保険です。自動車や家などの大切な資産が損害を被った際に保険金を受け取ることができます。損害保険は「実損填補」という形式で、定額ではなく被った損失に相当する額を受け取ることができます。

業務内容の種類

保険業界の業務は、営業「保険金支払い」の2種類に大別できます。

営業では保険の種類によって企業や個人に保険を説明・紹介し、契約を取り付けるのが主な業務内容になっています。

一方の「保険金支払い」とは、保険の対象が実際に損害を被った際、その状況や補償範囲を調査し、適切な額の保険金を支払う部門です。お金に関わる慎重な決定だけでなく、時には交渉力も求められる業務となっています。

保険業界で求められる人材とは

前述した通り、保険業界は主に「生命保険会社」「損害保険会社」「保険代理店」と大きく3つに分類されます。

保険業界の仕事内容には、営業や企画、アフターフォローなど、多岐にわたる要素が含まれており、それぞれの会社によって、取り扱う商品や特徴が異なります。

保険業界で求められている人物像を把握し、志望動機に活かしていきましょう。

責任感が強い

保険商品は、生活に関わるトラブルに備えるものであるため、責任を持って対応しなければなりません。

また、保険商品は一般的に安価ではなく、投資として利用するケースがほとんどです。つまり保険の加入や商品選びは、顧客1人ひとりの人生を左右する要素といえます。

顧客の人生に大きく関わるので、顧客に寄り添って商品を提供する責任感が求められます。

問題解決能力がある

保険業界で働くうえで問題解決力は非常に重要視されます。顧客の現状に対して「課題は何か」や「何を求めているか」を分析するからです。

顧客の現状にマッチした保険商品を提供するためにも、常に顧客の課題や問題にアンテナを張り、解決するための方法や施策を考える必要があります。また、今後想定されるリスクに対して、適切なアドバイスを提供する能力も求められるでしょう。

保険業界に求められる人材は、顧客の課題を解決するための方法や施策を考え、行動できる人だといえます。

保険商品に関心がある

そもそも保険商品に関心がある人でなければ、保険業界で働くことは難しいでしょう。保険業界で働くためには、保険そのものについて知ろうとする向上心主体性が重要です。

保険商品に関心がない場合、顧客1人ひとりに最適な提案をできません。また複雑な内容の保険商品を取り扱う可能性もあるため、常にインプットし続ける姿勢が求められるのです。

保険業界では、自社の保険商品に関心がある人材を求められていることを押さえておきましょう。

コミュニケーション力がある

保険業界では「顧客が何に不安を感じ、何を求めているか」に沿って商品を提案するため、顧客の考えを汲み取り、信頼関係を築くスキルが求められます。

コンサルティングの要素も含んでいるため、顧客とのコミュニケーションが欠かせません。

高価な商品を取り扱う保険業界では、「顧客のパートナーとして、人生に関わりたい」「顧客を幸せにしたい」と考えられる人材が求められているのです。

保険業界の志望動機を書く前の3つの準備

希望する保険業界の情報を集める

まずは、希望する保険業界に関する情報収集から始めましょう。志望動機を作成する際は「何に魅力を感じたのか」「何の商品に関わりたいと感じたのか」を明確にすることが大切です。

特に保険業界は、生命保険会社損害保険会社保険代理店などに分けられ、業務内容や取り扱う商品が異なります。漠然とした内容の志望動機を提出すると、本当に自社に関心があるのか、疑いを持たれてしまいます。

最悪の場合、「採用をもらえるなら、どの企業でも良いと考えている」とマイナスな判断をされてしまうため、希望する保険業界の情報を入念に集めましょう。

自身の強み・スキルを把握する

保険業界の志望動機を作成する際は、事前に自身の強みやスキルを把握しておきましょう。志望動機は、自身の強みやスキルを交えて構成することで、説得力を持たせられます。

なお、自身の強みやスキルを把握する際は「仕事で活かせるかどうか」を基準に棚卸ししましょう。なぜなら企業側は、志望動機を通して「志望者は自社で活躍できる人材なのか」を見極めるからです。

保険業界への入社を実現するためにも、自身の強みスキルを把握しておく必要があるといえます。

志望動機の構成を考える

保険業界に関する志望動機は、文章構成を考えてから作成に移りましょう。記載する内容を考えながら作成した場合、文章の全体像が見えないため、修正する手間が生じやすくなります。

事前に文章の流れやバランスを決めておくことで、文章の軸が通り、ブレが生じずらくなります。また内容がよりわかりやすく、読み手の興味を引くことを意識して作成しやすいので、文章構成を事前に考えておくのが良いでしょう。

保険業界の志望動機に盛り込む3つの要素

保険業界を選んだ理由

保険業界に向けて志望動機を作成する際は「保険業界に入社したいと思ったきっかけや理由」を盛り込みましょう。

ポイントは「保険業界だからこそ入社を志望している」とアピールすることです。業界の特徴に触れながらアピールしてみましょう。

例えば「保険商品を通して安心安全な生活を提供したい」「豊かな生活を実現するサポートをしたい」などが挙げられます。採用担当者の印象に残る志望動機にするためにも「なぜ保険業界を選んだのか」を棚卸ししてみましょう。

志望する企業を選んだ理由

保険業界の志望動機には「なぜ他の企業ではなく、該当企業を志望するのか」を盛り込んで作成しましょう。保険業界を志望するアピールのみでは、企業側に「他の企業でも良いのではないか」と感じられてしまいます。

ポイントは、志望する保険会社の強み商品の特徴や、キャリアビジョンに触れることです。企業ごとに異なる要素であるため、志望動機全体に説得力を持たせられます。

志望動機を作成する際は、志望する企業にしかない特徴を把握したうえで、志望理由に絡めながら構成してみましょう。

入社後の目標・貢献度

保険業界の志望動機には「入社した後の目標」「どのように貢献するか」を盛り込みましょう。なぜなら企業側は「自社で活躍し、成長する人材」を求めているからです。

ポイントは、仕事での再現性をアピールすることです。「自身が持っているスキルや能力を、仕事でどのように活かせるか」を具体的に伝えましょう。

仕事へのやる気や意欲のみを提示した志望動機は、企業側に「仕事で活躍する人材」と認識してもらいにくくなります。理想の将来像自身の強みを併せてアピールすることを意識しましょう。

保険業界の志望動機の例文

自身の強みを軸にした場合

例文

私は、貴社が提供する「サイバーセキュリティ保険」を世に広め、安心してインターネットと共存できる社会作りに貢献していきたいです。

ネット社会において、サイバー攻撃による被害は年々増加しています。

しかし、サイバー攻撃による損害額は具体的にイメージしづらく、保険の重要性を理解していない人が大半です。
スマホやパソコンは今や生活の一部となり、クレジットカードの情報から口座に関する情報、株など証券に関わるものまで、多くの情報が端末に含まれています。私たちが安心してネット社会で生きていくためには、欠かせない保険であると考えます。
私は大学時代、情報セキュリティ分野を専攻し、ITパスポートの資格を取得しました。入社後は、それらの知識を活かし、金融業界を中心にサイバーセキュリティ保険の加入率を伸ばし、日本の加入率30%以上を目標に取り組んでいきたいです。(350字以内)

上記の例文は、企業の特定の商品・サービスに惹かれたことを中心に展開しています。しっかりと資格取得まで結びついた内容になっているので、意欲が高いことがアピールできています。

ただし、サイバーセキュリティ保険は複数の企業で取り扱いがあるため、「なぜその会社なのか」ということをもう少し具体的に説明した方がより説得力を出せるでしょう。

また、なぜサイバーセキュリティ保険に興味を持ったのか、背景や今後の課題や目標、具体的に自分がどうなりたいのかなど、自分の考えを入れられるとより良いです。

エピソード部分を端的にまとめつつ、入社後に活躍する姿を具体的に伝えるように意識しましょう。

企業の特徴を軸にした場合

例文

私が貴社を志望した理由は、日本の課題である「自然災害」に最適な貴社の商品を広め、安心して生活を送れる社会作りに貢献したいからです。

他社よりも保険料が安く、補償額が大きい貴社の商品を活かして、お客様が豊かな生活を作れるようサポートしたいと考えています。私の地元である◯◯市は、2年前の地震によって津波や土砂崩れなどの被害を受けました。幸い、貴社の保険に加入していたこともあり、金銭面の不安を抱えることなく自宅の復旧に専念できました。

以上の経験から保険業界に興味を持ち、自然災害保険を提供している貴社の魅力をお客様に伝えたいと考えています。
お客様のニーズに合った商品を提案し、自然災害保険を提供する営業職として貢献したいと思い、志望いたします。(350字以内)

上記の例文では、損害保険に興味を持った背景として自然災害の経験に触れています。また営業職を志望することで、具体的かつ説得力のある志望動機に仕上がってます。

志望動機では、自身の経験やエピソードを盛り込んで、他の志望者と差別化することが大切です。また自身の経験に加えて、スキルについても触れられると、採用担当者が「自社での即戦力になるだろう」と想像しやすい文章構成に近づきます。

保険業界を軸にした場合

例文

私の志望理由は、保険業界の中でも手厚いサポート体制を整えている貴社で相手に寄り添ったサポートを行いたいからです。
貴社では、1世帯につき1人のアドバイザーが担当する制度を導入し、相談回数や期間に制限がありません。そのため、お客様の人生に寄り添い、ライフスタイルやライフステージの変化に合わせた提案を行える点に魅力を感じました。また在学中は、大学生協で共済を紹介するアルバイトに努め、保険業界への理解を深めました。
以上の経験から、お客様が安心して生活できる社会を実現するために、貴社を志望いたします。
入社後は、ゼミ長を務めた経験で培った責任感を活かし「お客様の人生の一端を担うパートナー」として、最適なプランを提案し続けたいと考えています。(350字以内)

上記の例文は「なぜ保険業界を志望するのか」を明確にし、具体的なエピソードを踏まえて展開しています。

また、企業の特徴位置付けへの関心や理解をアピールし「なぜ自分が企業にマッチしているか」を述べているのもポイントです。

特に保険代理店は、保険商品の販売や契約などを委託される企業です。お客様と企業の仲介的な役割を担うため、保険会社との違いを理解しておくのも重要といえます。

保険業界の志望動機を書くときの注意点

文章の軸がブレていないか

保険業界の志望動機を書く際は、文章の軸がブレていないか確認しましょう。話題が左右した志望動機は、全体的にまとまりがなくなり、読み手が違和感を覚えてしまうからです。

「この志望者は何を伝えたいんだろう」と、考えさせる手間も生じてしまいます。最悪の場合「自社への貢献度が低い」と判断されてしまう可能性もあります。

志望動機が一貫して軸の通った内容になっているかを確認しながら、作成を進めましょう。

大げさな表現を使っていないか

保険業界に関する志望動機では、大げさな表現を使わないように注意しましょう。なぜなら企業側に「自己主張が強く、協調性がない」と、マイナスな印象を与えてしまうからです。誇張した表現を記載し「事実と異なる内容だ」と判断された場合は、採用取り消しの可能性もあるでしょう。

志望動機では、志望者が「なぜ自社に入社したいのか」が重視されています。「採用担当者を圧巻させよう」とはせず、偽りのない表現や言葉を記載しましょう。志望動機に記載する文章では、大げさな表現を使わないことが大切です。

スキル・実績をアピールし過ぎていないか

保険業界に関する志望動機を作成する際は、スキル・実績をアピールし過ぎていないか確認しましょう。志望動機はあくまで「なぜその企業を志望しているのか」を述べる場です。スキルや実績をアピールする「自己PR」とは意図が異なるので、内容が混在しないように注意しましょう。

志望動機では、抽象的な表現を避け、端的に的確に思いを伝えます。具体性のない内容は、「手を抜いている」「第一志望ではないのだろう」と採用担当者にマイナスな印象を与えてしまいます。

自己PRに似た内容にならないよう注意しながら、具体性のある志望動機を意識して作成していきましょう。

保険業界の志望動機は事前準備が重要

保険業界の志望動機は、順序立てて簡潔にまとめることに限らず、企業研究自己分析などの事前準備が大切です。

特に、企業が取り扱う保険商品を深く掘り下げることで「自社への志望度が高い人材だ」と、感じてもらいやすくなります。ただし、大げさな言い回しや、軸が定まっていない文章構成には注意が必要です。マイナスなイメージに繋がってしまうため、1つひとつの文章を具体的かつ丁寧に作成しましょう。

本記事で紹介したポイントや例文を参考にして、まずは志望する企業の方針や、商品の特徴を明確にすることから始めてみましょう。

ドラッグストアの志望動機の書き方は?基礎知識から例文まで紹介

ドラッグストアの業務は多岐に渡ります。企業によっても大きく特徴が異なるため業界分析と併せて、企業分析を丁寧に行い、理解を深めておきましょう。

ドラッグストアの志望動機を作成するには、キャリアビジョン自身の強み結びつけて展開するのがポイントです。

本記事では、ドラッグストア業界の概要と志望動機の書き方を解説しています。例文も参考に魅力的な志望動機を作成していきましょう。

ドラッグストアの業務内容

ドラッグストアの志望動機を作成するためには、業務内容を理解しておくことが重要です。ドラッグストアでは、主に「接客・販売」「品出し・整理」「在庫管理・発注」の業務を担います。

店舗の従業員なら、総合的に業務を担当する可能性があるため、1つひとつ丁寧に行うことが大切です。また志望する企業によって、業務の進行方法や扱う機器が異なることも押さえておきましょう。

接客・販売

ドラッグストアでは、お客様対応商品の販売が欠かせません。スーパーや百貨店と同じく、卸売業や小売業に該当するからです。

お客様に商品の特徴を分かりやすく伝え、販売を促進する業務を担います。医薬品に限らず、日用品やペット用品などを取り扱うため、商品に関する情報を網羅しておく必要があるでしょう。

また店舗によっては、レジ業務を担当するケースも考えられます。ドラッグストアでは、幅広い業務に携わるということを理解しておきましょう。

品出し・整理

ドラッグストアでは、入荷した商品を並べたり、配置を見直したりする業務もあります。店内環境の見直しは、商品の劣化や廃棄を防ぐ重要な要素です。

なお品出しや整理の方法は「賞味期限の近い商品は前面に配置する」「月に◯回、配置を入れ替える」など、店舗によってルールが定められているケースがあります。売り上げの向上のために、それぞれの店舗が工夫し取り組みを行っていることが多いので、順応して対応していくことが求められます。

在庫管理・発注

ドラッグストアの業務には、商品の発注や在庫の管理なども行います。商品の供給と消費のバランスを保つ重要な要素です。

発注では適切な量や種類の商品を仕入れ、品切れを防ぎつつ在庫を抱えすぎないことがポイントです。また店舗の販売動向や季節、定期的なイベントに合わせて、商品の仕入れ状況を調整します。

一方、在庫の管理は、商品がどのくらい残っているかや、期限が近い商品の有無などを特定する業務です。販売戦略の調整や提案の情報として利用するため、重要な業務の1つといえます。

ドラッグストアで求められるスキル3つ

コミュニケーション能力

ドラッグストアでは、お客様の気持ちに寄り添いながら接客するスキルが求められます。

来店するお客様は、何か悩みを抱え、解決するために訪れる人がほとんどだからです。「お客様が何に悩んでいて、どんな商品を求めているか」を丁寧に汲み取る意識で接客に努めましょう。

またコミュニケーション能力は、同じ社員との情報共有や、チームワークの向上にも必要とされます。店舗を円滑に運営するためにも、欠かせないスキルといえるでしょう。

慎重さ

ドラッグストアでは、慎重に業務を進めるスキルも求められます。お客様によっては、プライベートな内容を含む接客が必要だからです。

例えば身体の不調や症状、病気に関する相談が挙げられます。気軽に相談しにくかったり、正確な情報を求められたりするため、丁寧に対応しましょう。

また慎重さは、業務のミスを防ぎ、正確に進めていくためにも求められます。ドラッグストアでは、1つひとつの業務を着実に遂行できる人材が求められているのです。

主体性

ドラッグストアでは、常に学び続ける姿勢が求められます。医療品に限らず、日用品や食品、ペット用品など幅広い商品を扱うため、新しい商品について主体的に学んでいく必要があります。

主体性が欠けていた場合は、お客様に最適な商品を提案できず、満足度やリピート率の低下などに影響してしまいます。また、スキルアップのためにも欠かせない要素であるため、学び続ける姿勢を意識して、日々の業務に取り組みましょう。

ドラッグストアへの入社に有効な資格

ビューティケアアドバイザー

ビューティーケアアドバイザーとは、美容に関する知識や技量があると証明する資格です。「より美しくなりたい」と考えているお客様に対して、化粧品や美容器具に関する情報や使い方をアドバイスします。

またビューティーケアアドバイザーの資格の有無は、他店舗との差別化ができ、資格所有者を求めて来店するお客様の獲得にも繋がります。幅広い美容用品に詳しい人材として、店舗の運営に欠かせない人材として貢献できるのです。

ヘルスケアアドバイザー

ヘルスケアアドバイザーとは、健康に関する総合的なアドバイスができることを証明する資格です。食事や運動、生活習慣を中心に、身体を健康に保つための知識を習得します。

特にドラッグストアでは、医薬品やサプリメント、健康食品などを取り扱うため「的確なアドバイスができる人材」として重宝されるでしょう。健康に関心があるお客様なら「資格を保有しているスタッフに相談にしたい」と、定期的に店舗に訪れる可能性も高まります。

ヘルスケアアドバイザーの資格を取得すれば、健康面に精通した人材として貢献できるようになるのです。

ベビーケアアドバイザー

ベビーケアアドバイザーとは、育児や子育て、ベビーケア商品に関する知識やスキルを証明する資格です。子育てを控えるお客様の相談に乗ったり、商品などの提案をします。

またベビーケアアドバイザーには、育児に対して不安や悩みを抱えている方からニーズを聞き出し、的確にアドバイスをするスキルが求められています。業務を遂行するうえでは、コミュニケーション能力カウンセリング能力も必要になるといえるでしょう。

ベビーケアアドバイザーの資格を取得することで、お客様の育児や子育てを間接的にサポートできる人材として貢献できます。

漢方アドバイザー

漢方アドバイザーとは、漢方薬について知見があることを証明する資格です。医療用や一般用を問わず知識を習得できます。

主な業務内容は、漢方の効果や服用するタイミング、飲み合わせなどをお客様に提案することです。漢方薬局に限らず、調剤薬局やドラッグストアでも重宝されるため、幅広い場面で貢献できるようになります。

漢方は、健康やダイエットを目的として購入するお客様もいるため、漢方アドバイザーの所有者は貴重な人材として重宝されるでしょう。

ドラッグストアの志望動機の書き方

結論から伝える

志望動機では、最初に「入社したい」という意思を簡潔かつ明確に伝えましょう。回りくどい言い方や、説明から始めるような書き出しでは、採用担当者に志望動機の全容が伝わりにくくなります。

この時、なぜその店舗を選んだのかが伝わる志望理由を伝えられるとより良い印象を与えられます。「ドラッグストアならどこでもいいのでは」と思われないよう、その店舗独自の要素などを挙げると良いでしょう。

理由や具体的なエピソード

結論の後は、その志望動機に至った理由やエピソードを述べます。なるべく具体的な内容を書いた方が伝わりやすくなりますが、長すぎても主旨がわかりにくくなってしまうため、全体の文字数とのバランスを意識することが重要です。

また、内容と志望職種に関連性があるとさらに印象的な志望動機に仕上がるでしょう。エピソードの中で、ドラッグストアで役立つスキルなどをさりげなくアピールすることが効果的です。

どう貢献できるかで締める

志望動機の最後は、入社後の心意気や具体的な活躍といった、貢献したいことで締めるのが良いでしょう。

さらに、今後のキャリアについて触れていると、向上心や意欲のアピールにも繋がります。「頑張ります」といった漠然とした目標よりも、「スキルを身に着けたい」といった具体性のある意気込みで締めることで好印象を狙えます。

ドラッグストアの志望動機を書く時のポイント

志望理由を明確にする

ドラッグストアの志望動機は、 志望理由を明確にして作成しましょう。根拠のある志望動機に繋がり、他の志望者に埋もれることを防げます。

例えば「貢献したい」や「興味関心がある」などの抽象的な志望動機は、他の志望者と被ってしまう傾向にあります。汎用性が高い表現でもあるため、最悪の場合、ありきたりな印象を与えてしまうでしょう。

「貢献したい」なら「お客様の生活に欠かせない商品を的確に提供して貢献したい」のように、具体的に深掘りするのがポイントです。志望動機を明確にして、説得力を持たせましょう。

企業研究を入念に行う

ドラッグストアの志望動機を作成する際は、 企業研究を入念に行いましょう。企業の取り組み価値観を理解することで、採用担当者の目に留まりやすくなります。

例えば、企業の方針や経営理念、キャリアビジョンを把握することで、入社への熱意をアピールできます。また、企業に関するニュースや、インタビュー記事を参考にするのも有効です。

「自社に興味関心がある人材だ」と、採用担当者に好印象を与えられるため、企業研究に力を入れるように意識しましょう。

活かせるスキルを把握する

ドラッグストアの志望動機は、 仕事で活かせるスキルを把握したうえで作成する必要があります。棚卸ししたスキルが業務内容とマッチしているなら、即戦力になるアピールにも繋がるでしょう。

なおスキルのアピール方法は、所有資格の提示に限らず、学歴や経験などから探し出すのも1つの手段です。

ドラッグストアなら、薬学系や医学系、生物系を専攻していた経験を活かせるでしょう。実際にドラッグストアでアルバイトをした経験を取り上げるのも有効です。接客を担う業界であるため「コミュニケーションスキル」をアピールするのも良いでしょう。

志望動機を作成する際は「ドラッグストアでは、どのような人材が求められるのか」を把握し、マッチするスキルを盛り込むことが大切です。

将来のキャリアビジョンを伝える

ドラッグストアの志望動機は、 将来のキャリアビジョンを盛り込んで作成しましょう。なぜなら、企業側が入社後のイメージをしやすくなるからです。

キャリアビジョンが曖昧な志望者に対しては、企業側も「貢献する気があるのか?」「早期退職をしてしまわないか?」と不安になってしまいます。ドラッグストアの場合は、売り上げの減少にも繋がるため、選考を通過しにくくなるでしょう。

しかし、入社後に実現したい目標や未来像を提示することで、説得力のある文章構成に仕上がります。「安心して業務を任せられる人材だ」と感じてもらえるように、志望動機を作り込みましょう。

ドラッグストアの志望動機例文

商品を軸にした場合

例文

私が貴社を志望した理由は、オリジナルスキンケア製品の知名度を上げ、お客様の肌トラブル改善に貢献したいからです。

 

敏感肌に悩む人にとって、肌質にマッチするスキンケアを探すのは困難であり、季節の変化や外的刺激に合わせてスキンケア製品を買い換える傾向があります。しかし「低刺激」「天然由来成分100%」の製品は相場が高く、継続して使用するのが負担になりやすいのが課題です。

 

しかし貴社の製品は、自然由来の成分を使用し、低価格で購入できる手軽さから、敏感肌に悩むお客様に薦めたいと考えています。実際に、私自身も大学時代に1年間継続して使用し、肌トラブルの改善を実感できました。

 

以上の経験を通して、入社後は「ビューティーケアアドバイザー」の取得に努め、最前線で活躍できる人材として売上に貢献したく、入社を志望いたします。(400字以内)

上記の例文は、企業が独自に制作した製品に触れ、志望する企業のみに焦点を当てて構成されています。「商品を実際に使った」という自身の経験を盛り込んでいるのもポイントです。

また入社後のビジョンとして「資格取得」を提示しています。企業側から「スキルアップを怠らない、向上心がある人」と認識してもらいやすくなり、長期的に貢献する姿勢をアピールするのに有効です。

ゼミ活動の学びを活用する場合

例文

私の志望理由は、貴社の提供する「オンライン服薬指導」の活性化に貢献したいからです。自宅にいても不自由なく生活できる環境作りをしたいと考えています。

 

近年では、医療費の増大による「セルフメディケーション」が注目され、一般用医薬品を通して、病気の予防や管理を行う考えが浸透してきています。そして、オンライン服薬指導を一般化することで、自宅療養の質を向上できると考えます。

 

大学時代に所属したゼミでは「健康に関する消費者の認識」について研究しました。調査の結果、ドラッグストアから健康に関する情報を得ていることがわかり、ドラッグストアの重要性について実感しました。

 

以上の経験から、貴社の取り組みに共感し、各店舗の利用者の増加に貢献したいと考えています。お客様の症状に最適な商品を提案し、的確なアドバイスができるスタッフとして活躍する所存です。(400字以内)

上記の例文は、企業独自のサービスに惹かれたことを説明するかたちで構成されています。ゼミでの研究テーマを結びつけているため「企業にマッチする人材である」と、認識してもらいやすくなるでしょう。

また、現代社会の背景を取り上げることで「企業の取り組みに将来性がある」と、述べているのもポイントです。広い視野で企業研究をしているアピールになり、入社する意欲が伝わります。

文字数に余裕がある場合は「入社後にどうなっていたいか」を深掘りできると、より説得力が増すでしょう。

アルバイト経験をアピールする場合

例文

私が貴社を志望する理由は、アルバイトの経験を活かして、子育て世帯に向けた商品の売上促進に貢献したいからです。

 

大学時代に◯◯市のドラッグストアでアルバイトを経験し、お客様とのコミュニケーションに尽力してきました。地域の特色から、子育て世帯の方からの質問に対応する機会が多く、お子様や幼児向けの商品提供を経験しています。

 

共働き世帯が増加している現代において、お子様の不調について的確なアドバイスがもらえるドラッグストアの存在は、需要があると考えました。貴社では、お子様が服用できる商品を豊富に取り扱い、子育て世帯に向けた情報発信に取り組んでいる背景から、即戦力になると考えています。

 

以上の経験から、コミュニケーションスキルを活かし、商品提供の質の向上に貢献したく、入社を志望いたします。3年後には「ベビーケアアドバイザー」を取得し、よりお客様に寄り添った接客を実現できるよう努めてまいります。(400字以内)

上記の例文は、過去の経験を交えながら志望動機を展開しています。「◯◯市」「お子様や幼児向け」と、エピソードに具体性があり、読み手が情景を想像しやすくなっています。

また、アルバイトの経験と企業の特徴を結びつけているのもポイントです。「いかに企業にとって有用な人材なのか」を間接的にアピールできています。「3年後」と、長期的なキャリアビジョンを提示しているのも、好印象に繋がるでしょう。

ドラッグストアの志望動機に関する注意点

福利厚生をテーマにしない

ドラッグストアの志望動機では、福利厚生をテーマに設定することを避けましょう。

福利厚生をテーマにした場合、志望者に関する情報が薄れるため、自身のスキルや能力、価値観が伝わりにくくなってしまいます。また「好条件の企業に転職しそうだ」「仕事そのものに興味がない人材だ」と判断され、選考を通過できなくなるでしょう。

企業が志望動機を求める理由には「志望者の人物像を知る」という意図があります。自身の人物像やスキルがわかる内容を主軸にしつつ、福利厚生に触れる展開を心がけましょう。

抽象的な表現を使わない

ドラッグストアの志望動機を作成する際は、抽象的な表現を避けることも大切です。

企業の特徴に触れていない表現は、やる気や熱意が伝わりにくくなってしまいます。「自社への志望度が低い」と捉えられてしまう可能性もあるため注意しましょう。

例えば「業務にやりがいを感じた」と伝える場合なら「何の業務に対して、どのようにやりがいを感じたのか」と、具体的な要素を盛り込みましょう。なお、企業独自の取り組みに触れることで、より説得力を上げられます。

志望動機は、第三者が見ても分かりやすく、具体的な文章構成を意識して作成しましょう。

ドラッグストアの志望動機はポイントを押さえて作成しよう

ドラッグストアの志望動機は、下記4つのポイントを押さえて作成することが大切です。

  • 志望理由を明確にする
  • 企業研究を入念に行う
  • 活かせるスキルを把握する
  • 将来のキャリアビジョンを伝える

特に、重視するのが「企業研究」であり、店舗の特徴や取り扱う商品などを把握することで、志望する企業への興味関心を伝えやすくなります。

さらに企業研究の結果には、自身の経験やスキルを結びつけるのもポイントです。「即戦力になれる」「長期的に貢献できる」というアピールになり、志望動機に説得力が増します。

本記事で紹介したポイントや注意点、例文を押さえて、まずは志望する企業の特徴を知ることから取り組んでみましょう。