物流業界は、日本の経済を影で支える重要な業界です。例えば、私たちの日々の買い物も物流業界がなければ、店頭に品物が並ぶことはないでしょう。また電気やガスなどのライフラインも同様です。エネルギー資源を海外からの輸入に頼る日本では、海上輸送がなければ日常生活もままなりません。
そんな私たちの生活に密接にかかわる物流業界を志望する人も多いのではないでしょうか。しかし、物流業界は他の業界とは異なり、志望動機の書き方に注意すべきポイントが数多く存在します。ポイントを押さえた志望動機を作成して、内定に近づきましょう。
物流業界の実態
物流業界の主な業務は、荷物を運ぶことです。製造された商品などを輸送して、報酬を得るのが基本のビジネスモデルです。しかし、単に運ぶだけでは業界として成り立ちません。効率の良いルートで大量輸送ができれば、コスト削減につながります。
また、商品の梱包方法では、衝撃に弱い精密機器を運ぶことも可能です。運ぶことに安さや速さ、安全性などの付加価値を付けられるからこそ、物流は企業として成立しています。
物流業界の業種
物流業界の業種は、陸上輸送と海上輸送、そして、航空輸送の3つの業種によって成り立っています。勿論、総合的に請け負っている企業も存在しますが、基本的には3つのうちの1つに軸足を置いた経営をしています。
物流業界を志望するならば、それぞれの業種ごとの特徴を掴みましょう。
陸運
- JRグループ
- 日本通運
- ヤマト運輸
1つ目は陸運です。トラックや鉄道などを利用した陸上交通における輸送を担います。小型でもトラックがあれば仕事になるため、大手以外にも地元に根差した中小企業が多い業種です。非常に身近な存在であり、多くの人が利用していることでしょう。物流業界の中でも、陸運は目的地に最終的に荷物を届ける上で欠かせない存在です。
ただ、参入企業が多いため価格競争が厳しいことが実情です。盛んな価格競争は、その分給与に影響します。値下げやサービスの質を上げなければ利用者が減るため、労働時間に対して平均給与が低いことは否めません。また、拘束時間も長く全体的にブラックな体質であることには注意しておきましょう。
海運
- 日本郵船
- 商船三井
- 川崎汽船
2つ目は海運です。島国である日本は古来より海上交通が活発でした。そのため、現在でも実に海外貿易の99%が船による輸送です。大型のタンカーやコンテナ船による輸送は、大量の荷物を一度に運べるため、コスト面に優れているという特徴があります。また、日本の海運業者は歴史の長い企業ばかりです。歴史が長いということは、それだけ安定した経営を続けている証拠といえるでしょう。
海運は日本と海外の経済に左右されやすい業種でもあります。海運は利益の多くを海外貿易に依存しています。単純に貿易量が減少すれば、それだけ運ぶ機会も減り業績が下がります。海運の今後を考えるときは、日本経済だけではなく海外情勢にも目を向けましょう。
空運
- 日本航空
- 全日空
- 日本空輸
3つ目は航空機を利用した空運です。空運は素早い輸送ができるという特徴があり、野菜や生花などの鮮度が要求される商品の輸送に利用されます。また、輸送費が高額であるため、IT製品などの小型で高価な商品も取り扱っています。
貨物だけを専門に取り扱う企業のほか、日本航空や全日空のようにグループ傘下に貨物輸送を担う会社を持つ企業もあります。昨今は、格安航空会社が貨物輸送事業へ相次いで参入しており、ますます業界として活発になることが予想されます。
反面、企業の絶対数が少ないため、どの業種も倍率は非常に高くなっています。特に、昨今の感染症の影響は大きく、大幅に募集枠を減らした企業も珍しくありません。内定を得るためには、徹底的な業界研究が求められる分野です。
物流業界の職種
物流業界の職種は、主に「荷物を運ぶ人」「荷物を管理する人」「運ぶ人を応援する人」の3つに分かれます。
運転士・ドライバー
物流における花形ともいえる「荷物を運ぶ人」です。物流業界の職種として、最もイメージしやすい仕事でしょう。ただ単に荷物を運ぶのではなく、安全に、かつ大切に運ばなくてはなりません。また、荷物だけではなく旅客を運ぶこともあるため、運転には慎重さが求められます。
これらの職種には、特定の免許が必要となります。入社後に取得することになるため、内定を獲得したら早めに勉強を始めるようにしておきましょう。視力や聴力など身体的な要件を求められることもあるため、健康にも注意が必要です。
倉庫管理・情報管理
物流業界は、運ぶ人だけではなく「荷物を管理する人」も重要です。港や空港など物流には、荷物が集まる拠点が存在します。集荷された荷物は拠点で各方面に振り分けられ、それから再び目的地へと運ばれていきます。適切に振り分けるためには、荷物を集める倉庫管理や届け先などの情報管理が必要です。
これらの業務は管理・保管だけではなく、その周辺業務も数多く行います。たとえば、荷物の梱包作業や積み下ろし作業など、物流業界を円滑に動かすための立役者といえるでしょう。
物流コンサルタント
「運ぶ人を応援する人」の1つが、物流コンサルタントです。物流業界は荷物を運ぶ仕事がメインですが、荷物を管理・保管する過程も存在します。この管理も含めた商品が作られて販売されるまでの一連の流れを「ロジスティクス」といいます。物流コンサルタントは、このロジスティクスを考え、最適化された物流をつくる仕事です。
物流が最適化されれば、それだけ時間や輸送費の削減につながります。輸送コストが削減できれば、その分だけ顧客も利用しやすくなるでしょう。また、物流業界共通の問題として、環境問題も無視できません。効率的な輸送は、環境への負荷を軽減するためにも重要です。物流コンサルタントは、物流業界の抱える問題を解決する役割を担っています。
物流業界の現在と将来性
感染症の影響で募集人数は大幅に変化
物流業界は、感染症の影響を最も強く受けた業界といえます。モノへの需要が高まった結果、通販を利用する人が増えました。その結果として、物流業界の売上は稀に見る成長率を記録しました。
特に海運の川崎汽船の2020年度の最終利益は、実に前年の20倍以上となっています。しかし、盛況になった分、人手不足は深刻な問題です。各従業員への負担が大きいため、解消に向けた取り組みを各社模索しています。
一方で、空運は募集人数を大幅に縮小しています。たとえば、全日空は21年度はグループ全体で約3200人を募集していました。しかし、22年度はグループ全体で700人と5分の1まで削減しています。ただ、この大幅な削減の主な原因は、旅行需要の減少による客室乗務員とグラウンドスタッフの募集停止であることには注意が必要です。
このように、同じ物流業界であっても、輸送方法によって大幅な差が存在しています。物流業界は生活に密接にかかわる業界であるため、社会情勢の変化が直接影響します。募集前には、日本だけではなく世界規模でどのようなことが起きたか確認しておきましょう。
エネルギー問題をどう捉えるか
物流業界はエネルギー問題とも関わり合いが深い業界です。たとえば燃料価格が上がれば、それは輸送コストの増加につながります。運賃を値上げしなければ経営が成り立ちませんが、利用者が減ることは避けられないでしょう。
また、環境への影響も無視できません。燃料を消費する以上、どうしても二酸化炭素などの温室効果ガスを排出します。昨今は環境問題への取り組みも、企業として注目されるポイントです。そのため各社ともに、環境への影響の少ない新型の開発をメーカーと共同して進めています。
今後も形を変えて続く業界の1つ
物流業界は、通販との関わり合いが強い業界です。昨今は店頭での販売よりも、ネット通販を利用する人も多く、物流への需要はますます高まっています。購入や決済はデータでもできますが、品物はそうはいきません。人間が物質的なものを必要とする以上、モノを目的地まで運ぶ仕事は必要とされます。物流業界は、間違いなく今後とも存在し続ける業界の1つでしょう。
しかし、それは業界全体の話であり、それぞれの職種が今度も存在するかは分かりません。たとえば、トラックドライバー。昨今は自動運転技術が盛んに開発されています。また、ドローンなどの小型空輸に関しても、多くの企業が開発を続けています。もしかすると、近い将来「荷物を運ぶ人」というのは存在しなくなるかもしれません。
物流業界が求める人物像
物流業界の職種は多岐にわたるため、それぞれの職種で活かせる能力は異なります。しかし、他人の財産や命を扱う物流業界には、共通して求められる人物像が存在します。他の業界にはない特性を反映しているため、その能力が物流業界のなかで活躍できるかまで考えてみましょう。
何をおいても体力は欠かせない
物流業界を志望する上で、最も重要な素養は体力と言えるでしょう。物流業界は、勤務が不規則であり、深夜まで仕事をすることも珍しくありません。そのため深夜労働や連続した長時間労働に耐えられるだけの体力は、何をおいても求められます。また、心の健康も重要なポイントです。どれだけ体力があっても、心が健康ではない人間に命や財産を預けたいと思う人はいません。
他にも、視力や聴力などの肉体的な健康も求められる業界です。特にパイロットや運転士は、視力に関する非常に厳しい任用条件が設けられています。この条件を満たさないと、採用されても働くことができません。体力づくりだけではなく、常日頃から自分の健康に注意しておきましょう。
預かるものは命と財産であることへの慎重さと正確さ
JR西日本のトップページには、2005年4月におきた福知山線列車事故に関する戒めが今も掲載されています。物流業界は車や船舶、航空機を利用した仕事です。そのため、事故のリスクは常に付きまといます。一度事故が起きれば、一瞬で何百人もの人間が犠牲になることも考えられます。また、命が助かっても財産を失うこともあるでしょう。
物流業界は重大な事故があるたびに、見直しが行われてきた業界です。先の福知山線事故だけではなく、数多くの航空機・船舶事故を教訓として、どの業界も安全確保に取り組んでいます。しかし、これはあくまで制度やシステムにすぎません。結局、最後には社員一人ひとりの安全に関する意識が何よりも大切です。
コミュニケーション能力はどんな業界よりも重要
物流業界は荷物を運ぶ仕事です。その荷物には特定の送り先があり、それを間違えることはできません。相手の話を聞いて正しく理解するコミュニケーション能力は、働く上で重要となります。
配送のミスは会社への不信感につながるでしょう。加えて、過去、言い間違いや聞き間違いで重大な事故になったケースも数多く存在します。相手の言いたいことを正しく理解することが、これほど重要な業界もないでしょう。
また、空運や海運であれば、英語や中国語など日本語以外の言語で話すことも少なくありません。世界を舞台に活躍するのであれば、日本語以外の言語でも十分なコミュニケーションができるように努めましょう。
もしものときの対応力と柔軟性
物流業界は、事故と切り離すことができません。勿論、どの企業も常に安全管理に気を配っていますが、何らかのトラブルは日常茶飯事です。トラブルが発生したときに適切な対処ができる対応力と柔軟性が物流業界には求められます。
特に、運転士やパイロットには欠かせない能力です。常に変化し続ける状況を観察し、それに対応することは、思っている以上に困難です。そこに荷物や命を預かる緊張感も加われば、正常な判断はできません。荷物を運ぶ人も、それを支える人も突発的なトラブルへの対応力は必要でしょう。
物流業界の志望動機を書くときのポイント
物流業界を志望した理由から始める
まずは、数ある業界のなかから物流業界を選んだ理由を考えましょう。自分の就職先として選ぶ以上、何かしらの理由があるはずです。志望動機の強さは就職後の意識の高さにつながるため、企業としても真っ先に知りたい内容です。
物流業界は業種や職種によって内容は異なりますが、全て荷物に関係します。荷物を運ぶことで社会にどのように貢献するのか、物流・運送と絡めて志望動機をアピールしていくことが大切です。
書き始めとなるきっかけは、どんなささいなことでも構いません。たとえば「通販を利用することが多いから」や「港町に住んでいたから」など、日常のことでもきっかけとして十分です。物流業界は生活に密接している分、志望するきっかけになったことも考えやすいと思います。他の就活生と差別化を意識した理由を考えましょう。
「その企業」である明確な理由を用意する
物流業界の中でも海運と空運は、そもそもの企業数自体が少ない業種です。そのため、企業は「なぜ弊社なのか」という当然の疑問を持っています。この疑問に対して、たとえば空運なら「JALではなくANAを選んだ」明確な回答を用意しましょう。どちらでも通用するような理由では、採用されません。企業理念や経営方針など競合他社との違いを明確にすると、自分が選んだ理由も分かりやすくなります。
明確な理由が必要なのは陸運も同様です。確かに海や空に比べれば陸運の企業は数多く存在します。しかし、数が多い分、それだけサービス競争や価格競争は熾烈なものになります。企業が行っていることは、志望する企業を決定するきっかけの1つです。その企業「ならでは」の志望動機を作るためにも、サービスや経営方針などは詳しく確認しておきましょう。
業種と職種に応じた強みをアピールする
アピールポイントは、その業種・職種に応じたものにしましょう。たとえば、トラックドライバーを志望していて、「英語を話せます」とアピールしたとき採用担当はどのような反応をするでしょうか。おそらくですが何事もなかったかのように、次の質問へ移ると思います。確かに、英語を話せることは大きなアピールポイントです。しかし、この強みは志望する仕事で必ずしも求められるとは言えません。
物流業界は業種も職種も多様です。そのため「どのような仕事をしたいのか」が明確でないと、的外れなアピールになってしまいます。必ず自分が志望する職種の仕事内容を確認し、その仕事をする上で活かすことのできる強みを見つけましょう。
トレンドを取り入れるとより効果的
物流業界は、最近の政治や経済など国内外の影響を強く受ける業界です。昨今の米中の貿易摩擦の問題を筆頭に、感染症や環境問題など対応が求められる問題は数多く存在します。
特に、陸運は「2024年問題」と言われるトラックドライバーの労働環境の改善課題を既に突きつけられています。どの企業も課題に対して、迅速に何らかの手を打っています。物流業界の志望動機を書くときは、社会を反映した企業の動向に注意しましょう。
物流業界は大手企業が多いため、プレスリリースや業界報も活発に発行されています。ESを出してから面接までの間に動きがあることも多いため、情報は常に確認が必要です。業界の抱える課題を踏まえると、より志望動機に具体性が増します。
物流業界の志望動機の例文
志望動機を書くときは、最初に結論から書き始め、その後は順番にその企業を志望した理由、入社後の取り組みにつなげるのが一般的です。
志望動機は自分の熱意を伝えるためにも重要な項目です。深い自己分析と業界研究・企業研究の上で書きましょう。
陸運の志望動機の例文
私は就職活動にあたり、社会を支える仕事がしたいと考えました。そう考えたとき、「物を誰かに届ける」ことで日本を陰で支える物流業界に興味を持ちました。
物流は社会が発展するためになくてはならない存在ですが、ドライバー不足など多くの問題があります。貴社はそれらの課題に早くから取り組まれ、鉄道輸送や拠点の移設、システムの変更など顧客にとって最適な輸送プランの構築に取り組まれています。
貴社に入社後は物流コンサルタントとして、顧客に早く確実に、そして、ドライバーが安全に運べる物流をつくることが私の目標です。リーディングカンパニーとして成長してきた貴社ならば、私の目標が実現できると思い志望いたしました。(300字以内)
物流業界は業種や職種によって仕事内容が異なるため、それぞれに合わせた志望動機を考えましょう。この志望動機は、陸運のなかでも物流コンサルタントを想定した志望動機です。
各職種の業務内容を自分の目標に絡めて書けると、入社の前後のギャップが少ないため、企業としても安心して採用できます。
また、就職活動にあたり最初に考えた「支える仕事」というのが、最後まで一貫しています。業界として他業界を支える物流業界、職種もドライバーを支える物流コンサルトと細かいところまで自分の目標が反映されています。このような志望動機が書けると、企業も好印象でしょう。
海運の志望動機の例文
私は、貿易の活性化に貢献したいと思い、海運のリーディングカンパニーとして存在感を誇る貴社を志望しました。
私は〇〇市の生まれであり、幼いころから貿易船を間近で見ていました。石油や天然ガスなどが貿易船で日本に輸入され、反対に自動車や工業機械などが世界へ輸出される、日本と世界のつながりが印象に残っています。
海外の品物も簡単に手に入るようになり、多くの商品を安く運べる海運の需要は、さらに高まると思います。貴社の発展は、より多くの人の生活を豊かにすることに直結すると考えています。
貴社の一員として、人々の生活に必要不可欠なものを運び、貴社の発展、そして日本の貿易の発展に貢献できるよう努力します。(300字以内)
この志望動機のポイントは、物流のなかで海運が担当している部分を挙げていることです。海運は時間が必要ですが、その分大量の荷物を安価に運べます。それぞれの輸送方法の特徴を踏まえることで、その業種でなければならない理由になります。加えて、今後の海運に予想される変化を盛り込むことで、深い業界研究であるアピールが可能です。
海運は大手企業がシェアを独占している業界です。そのこともあり、差別化を意識して、企業ごとに打ち出している方針がそれぞれ異なります。どの企業のどの点が自分にとって魅力に感じたのか、それを言葉にできるようにしておきましょう。
空運の志望動機の例文
私は、今後の物流の発展には世界とのつながりが重要になると考えています。そのため、
世界中にネットワークを持ち、空輸で多くの人の生活を支えている貴社に魅力を感じ志望しました。
数ある物流業界のなかでも、貴社は国内では数少ない航空輸送に特化したビジネスを展開しています。また、昨今の感染症の厳しい状況を成長のチャンスと捉え、新しい航路の開拓などに取り組む姿勢に感銘を受けました。
私はヨーロッパのECサイトを定期的に利用しています。今後、空運が発展すれば、今まで以上に国内外の人々に迅速にモノを届けることができると考えています。
貴社に入社後は得意な英語を活かし、日本の空輸を担う一員として成長していきます。(300字以内)
業界に興味を持つきっかけは何でも構いません。通販を利用する人であれば、日頃から物流の存在を身近に感じていることでしょう。突飛な理由よりも日常で目にしやすいきっかけの方が共感も得やすくなります。ただ、その分他の人と重複しやすいため、そこから先は企業研究で差を付けましょう。
また、大手や格安航空会社は、旅客輸送がメインの業務です。単に「貴社の〇〇に共感して」などの理由だけでは、物流業界を志望する理由として浅く感じられます。もう少し深く掘り下げて、入社後に物流にどう貢献したいのかまで考えてみましょう。
物流業界の志望動機を書くときの注意点
物流業界への志望動機は、業界の華やかさ以外にも目を向けましょう。物流業界は、日頃から利用する人も多いため、その業界の存在や仕事をしている人を、よく見かけます。そのため、業界を「何となく」で理解している人も多いのではないでしょうか。このまま志望しても、いずれ本来の業界とのギャップで苦しむことになります。
確かに憧れや夢は、志望する理由になります。しかし、あくまでも業界を目指すきっかけであり、それだけを目標にすることはできません。実際に働き始めた後のことをイメージしつつ、業界研究は続けていきましょう。
海外だけに目を向け過ぎない
物流業界、特に海運と空運の2分野は、海外との接点が多い分野です。そのため、海外を意識した志望動機や、外国語ができることをアピールするのは重要なことでしょう。ただ、物流業界は海外だけを相手にしている訳ではありません。国内にも利用する顧客や企業は大勢います。また、国際便の取扱がない企業も少なからず存在します。
海外のみを意識した志望動機では、「業務を正しく理解していない」と判断されます。また、就職後に「希望する配属でなければやめてしまうのでは」と企業側に思われてしまうかもしれません。
ポイントは「海外は目指す方向性の1つにしておく」ことです。就職後は多くの選択肢が考えられますが、「特に海外で働きたい」としておく程度にとどめておきましょう。
時間に関する意識を厳しく持つ
最適化された物流では、「適切な量を適切な場所へ適切なタイミングで」運ぶことが重要とされています。一分一秒の「ズレ」が後々に致命的なトラブルにつながるため、物流業界はどの企業も時間管理を徹底しています。遅れることは論外ですが、早すぎるというのも物流業界ではタブーです。
必要とされるタイミングに対して、募集の段階から適切な回答ができるようにしておきましょう。締め切りを守ることは当たり前ですが、必要以上に早く出しすぎないことも重要です。書類選考を通過したら、面接が待っています。こちらも時間を厳守することを忘れないようにしましょう。
実際の業務を正しく理解しておく
自分が目指している企業や職種の業務は、正しく理解しておかなければなりません。たとえば、パイロットや電車の運転士など、多くの子どもが憧れを抱く職業なのは間違いありません。そのため志望動機に幼いころの憧れを挙げる人も少なくないでしょう。
ただ、私たちが見ている姿は、一般人が見られる部分だけです。実際には、運転する以外にも多くの業務を抱えています。
実態を知らないまま、仕事を始めてしまうと現実と理想のギャップに苦しみます。このギャップが大きすぎると、最悪の場合は退職につながります。仕事は綺麗なものばかりではありません。
特に、物流業界はどんな職種であっても体力が要求されるブラックな面も目立つ業界です。業界研究を行うなかで、実際の業務を正しく把握していきましょう。職種のよい面だけではなく、悪い面にも目を向けることが大切です。
物流業界は業種・職種に合わせた志望動機で内定を勝ち取ろう
物流業界には多くの職種が存在し、それぞれに求められる能力が異なります。そのため、募集の段階から、職種ごとに人数を決めて募集しています。なかには特殊な資格や条件が課されることも珍しくありません。物流業界という業界全体の大枠で捉えてしまうと、職種の実態が掴めないため、志望動機が作りにくくなってしまうでしょう。
物流業界の志望動機は、業界を大枠で捉えた後は、企業ごとの研究と職種ごとの研究を同時並行で行いましょう。普段目にする仕事の裏側にまで目を向け、実際の業務がどのようなものなのか理解すると志望動機も作りやすくなるでしょう。
<参考サイト>