志望動機をまとめる際、どのような形式で書けば良いのかわからず悩んでいる人も多いのではないでしょうか。ネット上では「志望動機の箇条書きはNG」「ストーリー仕立てにした方が良い」という意見が多く見受けられますが、実は志望動機を箇条書きすることは、採用担当者の印象に残りやすく、他の就活生と差別化できるというメリットがあります。
しかし、箇条書きにするには要点を簡潔にまとめなければならないためコツを押さえ、魅力的な文章に仕上げなければなりません。
本記事では、志望動機を箇条書きにする上でのポイント、注意点・例文について解説しています。
志望動機は箇条書きにして問題ない
冒頭でお伝えした通り、企業から指定がない限り、ESの志望動機は箇条書きにしても問題ありません。
中には、「ストーリー仕立ての方が企業へ熱意が伝わるんじゃないの?」と考える方もいるかもしれません。たしかに読み応えはあるかもしれませんが、結局何が言いたいのかが分からない文章になってしまっては本末転倒です。
志望動機を長い文章でまとめるのが苦手な方、アピールポイントを絞りたい方、短い文章で説得力を強めたい方は、箇条書きでまとめることをおすすめします。要点が分かりやすいESは、人事担当に好印象を残せる可能性が高いです。
しかし、ただ闇雲に箇条書きにするのはかえってNGです。ポイントを押さえ、志望動機の箇条書きを上手く活用していきましょう。
志望動機を箇条書きにするメリット
要点を簡潔にまとめられる
箇条書きにすることで、志望動機のポイントを簡潔にまとめることができます。
人事担当は、あなたも含めてたくさんの就活生のESを目にします。そのため、志望動機に目をむけた際に「この志望動機は分かりやすい!」と思ってもらえるだけで、あなたのESは一気に好印象へ近づきます。
逆にいうと、文章だけ長すぎて何が言いたいのか分からないESはマイナス印象につながる可能性が高いです。
すぐに箇条書きにするのが難しいと感じる場合は、まずは長文でもよいので志望動機を書き起こしてみましょう。そのうえで、「私はどんな部分を特にアピールしたいのか?」と自問自答し、志望動機の要点をピックアップしてみましょう。
アピールポイントを明確に伝えられる
箇条書きを上手く活用すれば、志望動機を通して「何を一番アピールしたいのか」を明確にできます。
ここで、国語の授業を例に挙げて解説しましょう。国語の授業では、物語を通して「作者が何を伝えたいのか」を読解するテストがありますよね?みんなが同じ文章を読んでいるにもかかわらず、テストの回答は人によって大きく異なります。
これはESにも通ずることであり、書き手から要点の提示がない限り、「文章を通して何を伝えたいのか?」は読み手の解釈次第で大きく変わるのです。
せっかくあなた自身をアピールするなら、人事担当へあなたのアピールポイントを齟齬なく伝えたくありませんか?
そのような意味から、箇条書きは文章の要点を先出しで伝えることで、アピールポイントを明確かつ齟齬なく伝えられる方法といえます。
ストーリー立てて構成する工数がなくなる
あなたがその会社を志望する理由を箇条書きでまとめれば、志望動機を伝えるためにゼロからストーリーを組み立てる必要はありません。
ストーリー立てた志望動機は読み応えがありますが、書き上げる際にどうしても時間がかかってしまいます。もちろん、物語テイストにしたい方はそのかたちでも問題ありませんが、どうしても難しい方はストーリー立てという選択肢を無理に選ぶ必要はありません。
志望動機において、「何を伝えたいのか?」ここさえ明確であれば、箇条書きでまとめてOKです。また、伝えたいことが多すぎてまとめきれない方にもおすすめです。
志望動機を箇条書きにするデメリット
分量が全体的に少なくなる
志望動機を箇条書きにすると、どうしても全体のボリュームが少なくなってしまいがちです。
もちろん分量さえ多ければいいというわけではありませんが、志望動機はあなたの熱意を伝えるための重要な項目なので、記載欄そのものが大きめに作られていることが多いです。
そのため、分量が少なすぎると書いていない部分の余白が目立ってしまうことも少なくありません。あまりにもボリュームが少ないと、「志望動機が薄いな…」「もうちょっと頑張ってアピールしてほしいな…」という印象を人事担当に与えてしまう恐れがあります。
箇条書きを活用する場合は、志望動機全体のボリュームに気を付けましょう。
内容が薄いと使い回しに見られがち
あまりにも内容が薄いと、他企業の選考にも使い回しているテンプレの志望動機に捉えられる恐れがあります。
箇条書きにすれば要点を明確に伝えることができますが、企業の特色を全く押さえていない志望動機を提出した場合、「他企業でも良いのではないか?」と思われる恐れがあります。志望動機を箇条書きにする際は、その企業独自の強み、魅力に目を向けていることをアピールしましょう。
企業のオンリーワンな魅力を見つける際のポイントの一例は、企業理念、働く人、働き方、業界の立ち位置など様々挙げられます。志望動機を練る際は、企業のコーポレートサイトの他、採用ホームページやSNSなどの様々な媒体を通して企業研究を行うことをおすすめします。
内容が薄い=意欲が低いとみられる恐れがあり
内容が薄すぎると、意欲が低いと判断される可能性があります。
1つ目のデメリットでも触れましたが、志望動機はあなたの意欲、熱意を企業へストレートにアピールできる絶好のチャンスです。企業を口説き落とすために全力で内容を練り上げて初めて、あなたのラブコールが伝わるのです。
だからこそ、「なぜその会社を志望するのか?」という理由とそこに至ったプロセスに説得力を持たせなければいけません。その前提で初めて、箇条書きのメリットが働きます。
ES対策の本をそのまま流用した言葉を並べるのではなく、あなた自身の言葉でオリジナリティあふれる志望動機を練り挙げましょう。
志望動機を箇条書きにする際のポイント
あくまで「補助」として箇条書きにする
箇条書きは有効な方法ではありますが、志望動機全体をまるまる箇条書きで完結させることはNGです。なぜなら、その要点に至ったプロセス、理由の説明がなければあまりにも手抜き、説明不足と捉えられてしまうからです。
たとえば気になっている人を初めてデートにお誘いする時、「3月1日日曜日の13時にサンシャイン水族館で会おう」とだけ伝える人はいないはず。あなたの気持ちをアピールするための言葉を何かしら伝えますよね?
例えが極端かもしれませんが、考え方は全く同じです。志望動機を箇条書きで書く際は、あくまで箇条書きは要点を明確にするためのサブであり、メインは本文であると認識しておきましょう。
3つ以上の理由がある際に箇条書きにする
志望理由が3つ以上ある場合に、箇条書きを取り入れましょう。
理由が1つ、2つのみしかないのに無理やり箇条書きにしてしまうと、志望理由の少なさを逆アピールしてしまうことになります。
もちろん理由の数だけではなく中身も大切ではありますが、マイナス印象を与えてしまっては元も子もないので、理由が少ない場合は文章形式だけで志望動機を書きましょう。理由が3つ以上あり、本文が長文になりそうな方は箇条書きを活用することをおすすめします。
また、プレゼンの世界では「何かを相手に説得させる際は理由が3つ以上あると説得力が強まる」という考えがあります。理由が3つ以上あるのであれば、この心理傾向を使わない手はありません。
ぜひ、説得力のある自己開示ができることを企業へ思う存分アピールしましょう。
伝えきれない内容は箇条書きの後に補足する
全てをまとめきれない場合は、補足文を箇条書きの後に書きましょう。
箇条書きは、できれば一項目あたり15~20文字くらいで留めておくのが良いでしょう。その方がパッと見た時に分かりやすいからです。理由が長すぎて説明しきれない場合は、箇条書きの下に説明を補足しましょう。
補足文は、要点の足りないところを補う役割を果たしてくれるので、分量はそこまで気にしなくても大丈夫です。あなたが何を伝えたいのかを、不足点なくアピールできるでしょう。
志望動機を箇条書きにする際の注意点
無理に箇条書きを使わない
前述したように、箇条書きには様々なメリットが存在しますが、必ずしも活用しなければならない方法ではありません。
前の項目にて伝えた通り、3つ以上の志望理由がある場合のみ箇条書きでまとめましょう。また、企業によっては志望動機の文字数を指定している場合があります。その場合は、箇条書きは適切でない場合もあります。
たとえば、「150文字以内」という制限がある場合、箇条書きでまとめるとその後の本文が薄くなってしまう場合があります。そのため、文字数の指定が少なくとも300文字以上あり、理由が3つ以上ある場合に箇条書きを活用しましょう。
全て箇条書きにするのは避ける
繰り返しにはなりますが、全文を箇条書きにしてしまうのは絶対NGです。
それだけで、人事担当がもつあなたへの印象は大きくマイナスとなってしまいます。アピールしたいことがたくさんある方は、箇条書きだけでも結構な行数になるケースもあるかもしれませんが、箇条書きはあくまで「要点」なので、結局何を言いたいのかが分からず、内容も薄いものになってしまいがちです。
そんな残念なESになってしまわぬよう、箇条書きにはそこに至った理由、プロセスなどの補足をそっと添えましょう。もしくは、箇条書きを3行並べた最後にストーリーをまとめて書くのが良いでしょう。
分かりにくいポイントはマイナス要素
せっかく箇条書きでまとめても、結論として何が言いたいのかが分かりにくいのはマイナス点につながります。
一例として、企業理念に惹かれたことを箇条書きにする場合、「貴社の企業理念に強く惹かれたため」と「理念に対する共感性」だったら、どちらが分かりやすいでしょうか?
言いたいことは共通していても、どこか言葉足らずだったりワードチョイスが変に難しい場合、内容がイマイチ頭に入ってこない印象になりがちです。
難しい言葉を使ったり、変に短くし過ぎる必要はないので、「誰が見ても分かりやすい要点」ということを意識して箇条書きを活用しましょう。
箇条書きの例文5選
①食品業界(商品開発)
私が貴社を志望する理由は3つあります。
①企業理念に惹かれたため昨今の食産業は食品添加物の多さから、健康課題も増えているという課題を感じています。そのような中で、健康&美味しさの両方の実現を目指した無添加食品の製造を行う貴社の取り組みに惹かれました。
②貴社の商品開発に携わりたいため私はサッカーをしており、貴社の「濃厚たまごチキンサンド」を幼少期から食べていました。おかげで身体も大きくなり、スポーツでも活躍できました。そのような経緯から、誰かの人生を明るくする商品を作りたいという夢を持ちました。
③人を大切にする社風に魅力を感じたため私は人と話すことが大好きなので、プライベートの場でも会社の方々と交流を深めたいと考えています。皆様と信頼関係を構築できる働き方を体現していきます。(350字以内)
企業に惹かれた理由を、企業理念、商品、働く人という3つの視点から具体的にアピールしており、人事担当にとって企業愛を感じるような志望動機であることがポイントです。
また、幼少期から商品を食べていたという具体的なエピソードで印象づけると同時に、その結果として人生が良くなったこと、自分自身の夢につながったというプロセスが示されています。箇条書きに書ききれないエピソードがある場合は、このように補足文として肉付けして伝えると良いでしょう。
②IT業界(エンジニア)
私が貴社を志望した理由は3つあります。
①貴社の事業に惹かれたため②貴社の社風に魅力を感じたため③海外展開を目指す姿勢に惹かれたため
私は、インフルエンサー活動を支援する学生団体に所属しております。その中で、私は「リアフル」という新たなSNSアプリを開発し、1年半で5,000人超の新規ユーザーの獲得に成功しました。
貴社の「チャレンジャーを応援するプラットフォームづくり」に魅力を感じ、アプリ開発のエンジニアとして尽力したいと思い、志望しました。
定期的な勉強会やSNS運用等を始めとして、マーケティング領域へ高いアンテナを張っているので、自身も常に学ぶ姿勢で取り組みたいです。
また10年以内の海外進出というビジョンにも惹かれました。海外でも貴社の存在をアピールできる未来の実現に向けて尽力していきます。(350字以内)
冒頭から、3つの志望動機を結論として述べているため、要点がストレートにアピールできる構成です。①の例文が箇条書きの下に補足文を足したパターンである一方、このように冒頭で3つの要点を伝えた後にストーリーとして補足しても問題ありません。
アピールポイントであるアプリ開発の経験に加えて、「1年半で5,000人の新規ユーザー」という具体的な数字で示している点がポイントです。このように実体験を含めたアピールは、抽象的な表現は避けて数字でアピールすることで説得性がアップします。
③不動産業界(営業職)
私の就職活動の軸は、世の中を変える影響力と、どれだけ本気で世の中のことを考えているかの2つです。その上で貴社を志望する理由は3つあります。
①貴社が手掛けた建造物の影響力に惹かれたため私が初めて六本木を訪れた時、その存在感に強い衝撃を受け、日本に新たな都市を創造する規模の大きさに魅力を感じました。
②都市づくりに対する姿勢に惹かれたため六本木ヒルズの開発に至るまで、長年の歳月をかけて地権者の方々と話し合いを行ったエピソードから、真っすぐな思いで都市づくりへ向き合う姿勢に惹かれました。
③不動産領域を一括で対応できる体制に惹かれたため不動産領域をワンストップで行える体制が非常に魅力的です。開発~マネジメントを一括対応できる体制を整備し、都市のマネジメントを手掛けている企業努力に惹かれました。(350字以内)
志望動機を伝える前に、就職活動の軸を伝えることでその後に続く理由に至ったバックボーンが判りやすい点がポイントです。明確な就職活動の軸がある場合は、このように最初の段階で示すことで志望動機全体の密度が濃くなります。
また、六本木ヒルズの建造に至るまでの歳月、プロセスなどに触れることで、企業研究を十分に行っていることが人事担当へ伝わる内容となっています。①、②と比較して、この例文は自分の経験が活かせることをアピールする内容ではありませんが、企業のことをよく調べていることが窺える内容なので、企業への入社意欲をアピールできる点がポイントです。
④人材業界(キャリアアドバイザー)
私が貴社を志望する理由は3つあります。
①企業理念へ共感したため②事業内容へ興味を持ったたため③女性管理職のロールモデルがいるため
「誠実に、人と人との架け橋となる」という企業理念に強く惹かれ、貴社を志望しました。
私は、ボランティア団体にて50人以上のメンバーをまとめるリーダーを務めました。その際に心がけたことは、相手の話に耳を傾け、理解を示すスタンスです。この経験を通して傾聴力を磨くことができ、メンバーから相談を受けたり、頼れるリーダーという評価をもらえました。
このような中で、私には誰かの道標となる仕事に就きたいという気持ちが生まれました。「仕事」という人生の大半を占める選択に悩みを抱えている方を助けるキャリアアドバイザーの道を志すことを決意しました。求職者の方々に寄り添い、プロとして適切なアドバイスを行い、仕事に悩む方々を一人でも助けてまいります。(400字以内)
企業が人を大切にしている社風であることを念頭に入れ、カルチャーマッチの高さを実体験を織り交ぜながらアピールしている点がポイントです。
また、人にかかわる活動を行っていたことに加え、そこで得たスキルを具体的に記載することで、キャリアアドバイザーへの適性の高さも感じられる構成となっています。このように具体的な体験談がある場合は、箇条書きで結論付けた後に詳しいストーリーがわかる志望動機を記載すると良いでしょう。
⑤金融業界(コンサル)
私が貴社を志望した理由は3つあります。
①貴社の企業理念に惹かれ、貢献したいため②人材力の向上を目指す取り組みに惹かれたため③キャリアプランを見据えた人材育成を行っているため
貴社を志望する理由は、「日本全体のマネーライフを豊かにする」というビジョンの実現へ貢献したいからです。
私はアパレルのアルバイトにて、集客数を上げるためにSNSの運用を提案し、来店者数が2倍にUPしました。このような戦略の提案に興味を持ったことが、コンサル業界を志望するきっかけです。
また、人材力向上を通して顧客の利益アップに貢献している取り組みに惹かれました。様々なキャリアステップを見据えた資格取得制度も完備されているため、常に目標を持ち自分を高めることができる環境もことも魅力的です。
日本を牽引する企業の一員として、金融業界を豊かにするチャンスに携わりたく思います。(400字以内)
売上アップなどの実績を示せるのであれば、アルバイトの経験をアピールポイントにするのがおすすめです。お金などの数字に触れることが多い金融業界との相性が良い構成となっています。
また、この事例には当てはまりませんが、ファイナンシャルプランナーなどの資格を取得している方はアピールポイントにぜひ織り交ぜましょう。実務でどのように活かしていきたいのか、どんなキャリアプランを踏んでいきたいのかも明記すると尚GODDです。
箇条書きを活用してワンランク上のESを提出しよう!
志望動機は、あなたにとって自分の熱意を存分にアピールするチャンスであり、企業にとってはあなたを知るためのファーストインプレッションです。
ESにおいて一番といっても過言ではないほど、志望動機は力を入れるべき重要な項目です。そのうえで、箇条書きとはあなた自身をストレートにアピールできる方法の一つでといえます。
後悔のない就活を行うためにも、箇条書きを上手く取り入れ、他の就活生と差をつけたESを作り上げましょう。