志望動機の書き方|就活生必見!ES選考を突破するコツとは?【例文15選】

ESでの志望動機は、あなたの熱意や適性を伝える絶好のチャンスです。しかし、多くの学生が「どのように書けば良いのだろう」と悩んでいます。

志望動機は単に「興味がある」という内容だけではなく、なぜその企業で働きたいのか、どのように貢献できるのかを具体的に示す必要があります。また、企業の求める人物像に対して、自分の経験を結びつけるための言葉選びがカギとなります。
本記事では志望動機の書き方のポイントを、実際に使える例文とあわせて解説します。志望動機がしっかり伝われば、選考の突破率もグッとアップします。自分の思いが伝わる志望動機を作成しましょう。

ESで志望動機が重要な理由とは?

企業へ熱意を伝えられる

志望動機は、企業への熱意を直接的に伝える絶好の機会です。企業は、応募者が自社にどれだけ真剣に取り組む意欲を持っているのかを重要視しています。

自分の言葉で、なぜその企業を選んだのか、どのような思いを持っているのかを具体的に示すことで、熱意が伝わりやすくなります。例えば、企業の理念やビジョンに共感した理由や、特定のプロジェクトに魅力を感じたエピソードなどを盛り込むことで、あなたの真剣さがより強く伝わります。

自分の適性をアピールするためのチャンス

志望動機は、自分がその企業にどれだけマッチしているかをアピールする機会でもあります。過去の経験やスキルを具体的に示すことで、企業が求める人物像と自分自身を結びつけることができます。

例えば、自分が大学で学んできたことやインターンシップでの経験を元に、「このスキルを活かして、貴社のプロジェクトに貢献できる」といった具体的な例を挙げることで、説得力が増します。このように、自分の適性をしっかりアピールすることが、選考を有利に進めるカギとなります。

選考の次のステップのカギとなる

志望動機は選考の次のステップに繋がる重要な要素です。明確で具体的な志望動機があれば、面接官に良い印象を与え、次の選考へ進む可能性が高まります。逆に、志望動機が不明確であったり、企業への理解が浅いと、選考に不利になることがあります。

はっきりとした志望動機があれば、自分に自信を持って面接に臨むことができ、さらにその自信が面接官にも伝わります。志望動機があなたの就職活動の流れを左右することを意識して、しっかりと準備しましょう。

他の応募者との差別化を図るため

多くの応募者がいる中で、自分を目立たせるためには志望動機を他の人と差別化することが重要です。同じような経歴やスキルを持つ学生が多い中で、独自の経験や視点を表現することで、明確な差別化を図ることができます。

例えば、特定の経験がどのように自分の考え方に影響を与えたのかを具体的に語ることで、他の応募者とは一線を画すことができるでしょう。あなた自身をしっかりとアピールし、内定獲得に向けての強力な武器にしましょう。

志望動機を書く前に考えるべき3つのポイント

自己分析を徹底する

志望動機を書く際には、まず自分自身をよく理解することが重要です。自己分析を通じて、自分の強みや弱み、価値観や興味を明確にしましょう。

これまでのどのような経験が自分を成長させたのか、どのようなスキルを身に付けてきたのかを振り返ることで、自分が何を求めているのかが見えてきます。そして、具体的なエピソードや成功体験を思い出すことで、志望動機に具体性を持たせることができます。

自己分析を徹底することで、自分の言葉で伝えられる志望動機を作る基盤が整います。

企業研究をしっかり行う

志望動機を書くためには、志望する企業についてしっかりと研究することが不可欠です。企業の理念、ビジョン、事業内容、最近のニュースなどを把握し、どのような企業であるかを理解しましょう。

また、業界のトレンドや競合他社との違いを知ることも大切です。その企業が特に優れている点や独自の強みを把握することで、企業への関心をアピールできます。企業に対する理解が深まれば、面接でも自信を持って話すことができるでしょう。

自分と企業のマッチングポイントを明確にする

自己分析と企業研究を行った後は、自分と企業のマッチングポイントを明確にしましょう。自分の経験やスキルがどのように企業の求める人物像と合致するのかを照らし合わせ、その具体的なポイントを志望動機に組み込んでいきます。

例えば、企業の取り組みが自分の興味や経験にどのように結びついているのかを示すことで、企業側に「この人はうちにピッタリだ」と思わせることができます。マッチングポイントを明確にすることで、志望動機に一貫性が生まれ、より魅力的な内容になります。

志望動機の書き方の基本構成

①志望先の企業を選んだ理由

まず最初に、なぜその企業を選んだのかを明確に述べることが大切です。この部分では、企業の理念やビジョン、事業内容に対する共感や興味を具体的に示しましょう。

例えば、企業のプロジェクトやサービスが自分にどのように響いたか、自分の価値観や将来の目標とどう結びついているのかを語ると良いです。また、企業の成長性や業界での位置付けなど、自分がその企業に魅力を感じる理由を明確にすることで、企業への熱意が伝わります。

②志望理由を裏付ける具体的なエピソード

次に、志望理由を裏付けるための具体的なエピソードを紹介します。ここでのエピソードは、自分の経験やスキルを具体的に示すものであるべきです。オリジナル性を高める志望動機に仕上げるためには、このエピソードが重要です。

例えば、過去のアルバイトやインターンシップでの経験、自分が関わったプロジェクトの成果などを挙げて、その中で学んだことや成長した点を述べると良いでしょう。エピソードを通じて、あなたの人柄や価値観が伝わると同時に、企業が求める人物像とどのように合致しているかを示すことができます。

③入社後のビジョンや目標

最後に、入社後のビジョンや目標について触れます。自分がその企業でどのように成長したいのか、どのような貢献をしたいのかを具体的に述べることで、企業に対する真剣さや長期的な視点を示すことができます。

明確な目標を持っていることを伝えることで、企業側はあなたが将来の仲間としてどれほど価値をもたらしてくれるかをイメージしやすくなります。最後の一文によって、志望動機全体がより好印象を与える内容に仕上がります。

採用担当者に響く志望動機の書き方のコツ

冒頭で結論(志望理由)を示す

志望動機は最初に結論を述べることで、採用担当者に強い印象を与えることができます。例えば、「貴社の〇〇という理念に共感し、志望しました」といった具体的な言葉で始めると良いでしょう。

最初に自分の熱意や目的を明確にすることで、読み手の関心を惹きつけることができます。また、その後の内容も論理的な流れを作りやすくなります。結論を先に示すことで、読み手はあなたの意図を理解しやすく、興味を持って読み進めてくれるでしょう。

企業のどこに魅力を感じたのかを伝える

企業への志望動機を考える際、その企業にどのような魅力を感じたのかを具体的に伝えることが重要です。志望動機に何を書けば良いのかわからないと悩んでいる場合は、自分が思う志望企業の魅力を書き出してみましょう。

自分の思いを具体化し、感銘を受けた理由を述べることで、企業に対する理解と情熱をアピールできます。これにより、あなたが企業との相性をしっかり考えたうえで応募していることが伝わり、印象を強く残すことができるでしょう。

前向きな表現を心がける

志望動機を書くときは、前向きな表現を心がけましょう。ポジティブな言葉遣いは、あなたの情熱や意欲をアピールするのに役立ちます。「挑戦したい」「貢献したい」「成長したい」といった前向きなフレーズを使うことで、読み手に自分のやる気を伝えることができます。

謙虚な姿勢は大切ですが、自分を卑下する必要はありません。ネガティブな表現を避け、可能性や希望を強調し、あなたの自信を感じさせることが大事です。未来に向けた意気込みを示すことで、採用担当者に良い印象を残すことができます。

企業に貢献できることをアピールする

志望動機では、自分が企業にどのように貢献できるかを具体的に述べます。自分のスキルや経験を活かし、どのような形で企業に価値を提供できるかを考え、明確に表現しましょう。

例えば、「私の〇〇という経験を活かして、貴社の〇〇プロジェクトに貢献したいと考えています」というように、自分の強みを企業のニーズに結びつけてアピールすることが大切です。具体的に自分の役割をイメージさせることで、採用担当者に対して「この人は本当に役立ちそうだ」と思わせることができます。

志望動機を書くときの注意点

抽象的な表現を使わない

志望動機を書く際は、抽象的な表現は避けなければなりません。「頑張ります」「興味があります」といった一般的なフレーズではなく、具体的な経験や意図を示しましょう。

このような抽象的な表現は、なぜその企業でなければならないのかが不明確であり、内容が薄いと捉えられる恐れがあります。また、企業が求める基準に合致しているかどうかを明確に示すことができず、選考基準を満たさないと判断されてしまうかもしれません。

具体性を持たせることで、採用担当者に対してあなたの志望動機がより信頼性のあるものとして伝わります。成果やスキルなどを示す際には、数字を用いて説明するとより効果的です。

例文はそのままコピペしない

志望動機の書き方がわからないからといって、インターネット上にある例文をそのままコピペするのは絶対にNGです。例文はあくまで参考にするものであり、自分の言葉や経験を反映させることが大切です。

コピペしてしまうと、あなた自身の意図や思いが伝わらず、内容が一般的で薄っぺらい印象を与えてしまいます。また、コピペの内容では個性が消えてしまい、他の応募者と差別化することができません。

多くの応募者から選ばれるためには、独自性のある志望動機を書く必要があります。自分自身のストーリーを自分の言葉で語ることで、あなたの魅力を最大限に引き出すことができます。

指定文字数を守る

志望動機を書く際には、指定された文字数の制限を守ることも重要です。企業によっては文字数が決められている場合があります。そのため、企業の指示にしっかりと対応することが大切です。

指定された文字数を守れないことは、指示やルールに従う能力がないと捉えられてしまいます。また、今後の業務においても適応力やコミュニケーション能力がないのではないかというマイナスな印象を与えかねません。

制限文字数を守ることは、企業へのリスペクトを示すことでもあります。志望動機を書き始める前に字数を確認し、その範囲内でしっかりと要点を絞り、効果的に自分をアピールする文章を心がけましょう。

誤字・脱字に注意する

誤字や脱字には細心の注意を払って志望動機を書きましょう。志望動機はあなたの自己アピールの場であり、きちんとした文章であることが求められます。そのため、誤字脱字のある文章は、印象を大きく損ねる要因となります。

書き終えたら必ず見直しを行うようにし、可能なら他の人にチェックをしてもらうことも効果的です。仕事に対して真剣で丁寧な姿勢をアピールするためにも、ミスがないかしっかりと確認しましょう。

【業界別】ESの志望動機の例文

例文①IT

例文

私が貴社を志望する理由は、IT企業としてグローバル展開し、最先端技術と社会貢献を両立している点に魅力を感じたためです。特に、貴社の開発した途上国向けの教育支援アプリの開発に感銘を受けました。大学での国際開発研究と、学生時代のNPOでのIT教育ボランティア経験から、技術を通じた社会貢献に強い関心を持っています。入社後は、海外駐在の機会を通じて現地ニーズに即したITソリューション開発に携わり、プログラミングスキルと語学力を活かして貴社の国際プロジェクトに貢献したいと考えています。(250字以内)

この例文のように、企業の具体的なプロジェクトや特徴を挙げることで、企業に対する関心を示すことができます。また、自分の経験を明確に関連付け、「この経験を活かしたい」と具体的に述べることで説得力が増します。最後に、貢献意欲も伝えて、熱意を込めた志望動機を作成しましょう。

例文②食品

例文

貴社の健康食品開発と海外展開への注力に魅力を感じ、志望いたしました。大学で栄養学を専攻し、食の安全性と栄養価の重要性を学ぶ中で、貴社の「ナチュラルプラス」シリーズに注目しました。この製品群が体現する「自然の力を活かした健康づくり」という理念に深く共感しています。私は大学時代、食品メーカーでのインターンシップを通じて商品企画や市場調査のスキルを磨きました。この経験を活かし、「食で世界をつなぐ」というビジョンの下、貴社の営業部門で健康食品の価値を国内外に伝えたいと考えています。(250字以内)

この例文では、企業の特長と自分の専門性を効果的に結びつけています。最初に「健康食品開発と海外展開への注力」と具体例を挙げることで、企業のどの部分に魅力を感じているのかがはっきりと伝わります。

また、大学での専攻やインターンシップ経験を具体的に示すことで、自分のスキルをアピールできます。企業に通じる経験やスキルを盛り込むことで、より効果的な内容に仕上がります。

例文③商社

例文

貴社の高品質な化学製品と世界規模での事業展開に強く惹かれました。特に、環境配慮型製品の開発や持続可能な生産プロセスへの取り組みに共感しています。大学での有機合成実験を通じて品質管理の重要性を実感し、その経験が貴社の品質へのこだわりへの共感へと繋がりました。入社後は、居酒屋のアルバイトで培ったコミュニケーション力を活かし営業として顧客ニーズを的確に把握し、最適な製品提案を行うことで企業価値向上に貢献したいと考えています。将来的には海外駐在の機会を得て、グローバルな視点でビジネスを展開する力を養い、世界中の人々の暮らしを豊かにしていきたいです。(300字以内)

商社企業の場合は、多岐にわたる事業を展開しているため、企業の事業領域や商品に対する興味を踏まえ、どのような分野で貢献したいかを明確にすることが大切です。

また、国際的なビジネスが中心ですので、グローバルな視点を持つ意欲を強調し、企業にとっての長期的な価値を示すことも効果的です。

例文④銀行

例文

私が貴行を志望する理由は、地域に根差した金融機関としての役割にあります。大学で地域経済を学び、貴行のSDGs推進や地域創生への取り組みに深く共感しました。特に、フィンテックを活用した地元企業支援や、顧客との対面コミュニケーションを重視する営業スタイルは、私の「技術と人間性を融合させた金融サービスを提供したい」という思いと合致しています。入社後は法人渉外部門で、地元企業の経営課題解決に尽力したいと考えています。大学での地域経済分析の経験を活かし、企業の潜在的ニーズを掘り起こし、最適な金融ソリューションを提案することで、地域経済の活性化に貢献したいと考えています。(300字以内)

この例文では、地域に根差した銀行の役割への理解と共感を強調しています。特に、大学で学んだ地域経済と、銀行のSDGs推進や地元企業支援への取り組みを結びつけることで、具体的な関心が伝わります。また、個人的なビジョンを示し、自分の価値観が銀行の理念と一致していると印象付けることも効果的です。

例文⑤出版

例文

貴社のファッション誌の国際的な影響力とデジタル戦略に強く惹かれ、志望いたしました。大学でファッション文化を学び、雑誌編集のインターンを通じて、日本のファッションの独自性と世界発信の重要性を実感しました。特に貴社の海外向けSNS戦略に注目しており、語学力を活かして、日本のファッションを世界に伝える架け橋になりたいと考えています。デジタルとプリントの両メディアを駆使し、グローバルな視点を持つ編集者として、貴社の国際展開に貢献したいと考えています。(250字以内)

出版業界の志望動機を書く際には、業界への理解を示すことが重要です。具体的なトレンドや課題に触れ、自分が興味を持つジャンルや媒体を明確にすることで、関心をアピールできます。また、インターンシップやアルバイトなどの経験を挙げ、その実務能力がどのように役立つかを具体的に述べましょう。

例文⑥保険

例文

私が貴社を志望する最大の理由は、家族の病気を通じて保険の重要性を実感したことです。貴社の幅広い商品ラインナップと、特に医療保険における革新的な取り組みに強く惹かれました。他社にない充実したサポート体制も、私の志望を後押ししています。入社後は、自身の経験を活かし、お客様一人ひとりのニーズに合わせた最適な提案を心がけます。特に医療保険の重要性を伝え、お客様の安心な人生設計に貢献したいと考えています。将来的には、貴社で最も信頼されるRMとなり、保険を通じた社会貢献という理念の実現に全力を尽くしたいです。(250字以内)

最初の志望理由で自分の経験を伝えることで、読み手側の興味を一気に惹きつける書き出しになっています。お客様に寄り添う業界だからこそ、お客様目線での経験を持っていることは大きな強みとなるでしょう。入社後、具体的にどのような存在になりたいかを伝え、企業に対する熱意をアピールすることが大切です。

例文⑦コンサル

例文

貴社の幅広い業界に対応するワンストップソリューションに強く惹かれ、志望いたしました。大学でのプロジェクト研究を通じ、複雑な経営課題解決の面白さを実感し、コンサルティングの道を志しました。特に貴社のデジタル戦略支援の実績に感銘を受け、自身のITスキルを活かせると確信しています。「日本の産業競争力向上」という思いは貴社の理念と合致し、入社後は大型案件に携わり、主体的に考え抜く姿勢で自己成長と共に貢献したいと考えます。グローバルな視点と幅広い知識を獲得し、将来は日本を代表するコンサルタントを目指します。この志を胸に、貴社の一員として全力で邁進する所存です。(300字以内)

自分が思い描く将来と合致している部分や、企業に強く惹かれた部分を伝えることで、「この企業ではないといけない」という印象を強く残せます。コンサル業界は多様な企業があるため、「他の企業でも良いのでは」と思われるような志望動機を書かないように注意しましょう。

例文⑧証券

例文

貴社の国内外における強固な事業基盤と、フィンテックを活用した革新的な金融サービスに深く感銘を受け、志望しました。地元の金融セミナーで貴社社員の方から伺った実力主義の社風と地域貢献への熱意に強く共感しました。大学時代のボランティア活動を通じて地域活性化の重要性を実感しており、証券アナリスト資格の取得を目指す中で培った金融知識を活かし、地元経済の発展に貢献したいと考えています。入社後は、ESG投資の推進や海外展開に携わり、持続可能な社会の実現と地域経済のグローバル化に尽力します。貴社の先進的なDX戦略と私の熱意を融合させ、新たな金融サービスの創造に挑戦したいです。(300字以内)

企業が取り組んでいることやプロジェクトなどに触れることで、企業に対する理解力をアピールできます。また、企業や業界内で役立つ資格の保有を伝えることで、自分の専門性の高さをアピールすることにも繋がります。このように企業研究を徹底することで、より効果的で内容の濃い志望動機が作成できます。

例文⑨製薬

例文

私が御社を志望する理由は、国内外で高いシェアを誇る製薬企業としての実績と、革新的な研究開発力にあります。幼少期に重い病気を経験し、医薬品の力で回復できた経験から、病気で苦しむ人々を減らしたいという想いを持ち続けてきました。特に、御社の抗がん剤開発への取り組みに深く共感しています。入社後は、MRとして患者さんに寄り添い、適切な医薬品情報を提供したいと考えています。大学での生命科学の学びを活かし、誰にも負けない医薬品のスペシャリストとなることで、貴社の更なる発展と人々の健康に貢献していきたいです。(250字以内)

幼少期の自分の経験と、企業の取り組みを結びつけることでより強い印象を与える志望動機となります。そして最後に、これまでの経験や学びをどう活かしていくのかを具体的に伝えることで、採用担当者にあなたの入社後の活躍をイメージしてもらいやすくなるでしょう。

例文⑩不動産

例文

貴社の「顧客ニーズに応える街づくり」という理念に深く共感し、志望いたしました。地元の再開発事業で貴社の取り組みを知り、地域特性を活かしつつ住民ニーズに応える姿勢に感銘を受けました。私自身、大学でまちづくり学を専攻し、地域活性化プロジェクトに参加した経験があります。
入社後は、デベロッパーとして地域の方々と密接に関わり、彼らの声を丁寧に拾い上げながら、持続可能で魅力的な街づくりに貢献したいと考えています。貴社の先進的なスマートシティプロジェクトにも強く興味を持っており、テクノロジーを活用した未来志向の街づくりにも挑戦したいと考えています。将来的には、不動産のプロフェッショナルとして成長し、地域社会と企業をつなぐ架け橋となることを目指します。(350字以内)

不動産業界や企業に通ずる大学での専攻や、プロジェクトの経験がある場合は積極的に伝えましょう。専門性の高い経験や学びがあることは、不動産業界のような専門的な業界を志望するにあたって大きな強みです。

加えて、どのような業務やプロジェクトに対して興味を持っているのかを伝えることで、長期的な視点を持っているかをアピールできます。

例文⑪自動車

例文

貴社の革新的な技術開発と世界市場への挑戦姿勢に強く惹かれ、志望しました。大学での自動車工学の学びと、学生フォーミュラでのEVマシン開発経験を通じ、日本の技術力の高さを実感しました。この経験を通じ、日本の高度な技術力で世界に貢献したいという思いが強くなりました。貴社はその技術力でグローバル市場に挑戦し続けており、私も国際的視野を持つエンジニアとして貢献したいと考えています。入社後は、新興国市場開拓に携わり、環境に配慮したモビリティソリューションの普及に尽力したいと思います。また、自身のAI・IoT分野での知識を活かし、次世代モビリティ開発にも携わりたいです。グローバルな視点と専門性を磨き、日本のものづくりの未来を担う一員として成長していきます。(350字以内)

大学での経験と志望動機を結び付けることで、より説得力のある内容になります。国際化している自動車業界だからこそ、グローバルな視点を持つことは非常に大きなポイントとなります。入社後、どのような業務に携わりたいのかを伝えて、貢献意欲が高いことをアピールしましょう。

例文⑫広告

例文

私が貴社を志望する理由は、クリエイティビティとプロデュース力の卓越性にあります。大学のマーケティング講座で貴社の革新的な広告キャンペーン、特に最近のSDGs推進プロジェクトを学び、その創造性と社会貢献性に深く感銘を受けました。学生時代のインターンシップで得た経験を活かし、自身のアイデアで勝負できる貴社こそ、私の理想の舞台だと確信しています。
入社後は、急成長するデジタル広告領域で独創的な企画を提案し、データ分析力を駆使してクライアントの課題解決に貢献したいと考えています。将来的には、ナショナルクライアントを担当し、大規模プロジェクトで創造性を最大限に発揮したいです。貴社の先進性と私の創造力を武器に、ユーザーの記憶に残る広告を展開していきます。(350字以内)

大学時代の経験や学びに触れながら、志望企業が自分の理想的な職場であるということをアピールすることは非常に効果的です。企業研究を徹底的に行うことで、その企業が取り組んでいる具体的な業務内容を理解でき、志望動機に繋げることができます。

志望企業で取り組みたい業務やプロジェクトがある場合は、最後の部分に記載することでより印象強い内容になるでしょう。

例文⑬新聞

例文

貴社を志望する理由は、世界最大の発行部数を誇りながら公平中立な報道姿勢を貫く姿勢にあります。大学での新聞部活動を通じて、事実を正確に伝える重要性を学び、貴社の「事実を書いた上で読者に委ねる」方針に深く共感しました。特に、最近の社会問題に関する多角的な報道に感銘を受けています。
入社後は記者として、多様な分野での取材活動に携わり、私の語学力と異文化理解を活かしてグローバルな視点から信頼される記事を執筆したいと考えています。また、デジタル化が進む中で、若年層向けのデジタルコンテンツ開発にも貢献したいと思います。
貴社での経験を通じて、公正かつ深い洞察力を持つジャーナリストとして成長し、報道の力で社会に貢献することを目指します。(350字以内)

志望理由として、その企業がどのような特徴・方針を掲げているのかに触れることは非常に有効です。この場合は、世界最大の発行部数を誇る企業であることから、自分の語学力や異文化理解をアピールできています。志望企業が求める人物像に当てはめて志望動機を書くことを意識しましょう。

例文⑭人材

例文

私が貴社を志望する理由は、多様な労働雇用の課題に総合的に取り組む事業姿勢にあります。特に、AI技術を活用した革新的なマッチングシステムに強く惹かれました。就職活動を通じて人生の転機に直面し、その過程で貴社の存在を知り、人々のキャリア実現を支援する姿勢に共感しました。大学時代のインターンシップで培ったコミュニケーション能力を活かし、入社後はクライアントと求職者双方のニーズを的確に把握し、最適なマッチングを実現したいと考えています。また、データ分析スキルを磨き、AIシステムの改善にも貢献したいです。貴社で経験を積むことで、テクノロジーと人間力を併せ持つ人材のプロフェッショナルとして成長し、社会課題の解決に尽力します。(350字以内)

大学時代のインターンシップ経験から得たスキルと、入社後に実現したいことを結びつけて志望企業に対する熱意の高さをアピールしています。また、入社後も継続してスキルを磨いていきたいことを伝えることで、貢献意欲が高いことをアピールでき、非常に印象の良い志望動機となっています。

例文⑮通信

例文

国内随一の光通信基盤と固定ネットワークシェアNo.1の強みを活かし、自身の「技術で地域に貢献したい」という思いを実現したいと考え、貴社を志望しました。大学でITと社会課題の関連性を学び、特に災害時の情報システム構築に関する研究を行う中で、御社の幅広いソリューションが様々な問題解決に貢献していることに感銘を受けました。安心を支える通信インフラの重要性を強く認識し、この分野で貢献したいと考えています。入社後は、安定した通信環境の提供を通じて、災害時の情報伝達や5G・IoT技術を活用した遠隔医療など、人々の安全に直結するサービス開発に携わりたいです。貴社の先進技術と私の研究経験を活かし、社会に貢献できる人材へと成長していきます。(350字以内)

大学時代に学んできたことが志望企業に通ずる内容であればあるほど、選考時には有利となります。この企業に入るために努力してきたということが伝わる志望動機を作成することで、他の応募者との差別化を図ることができます。企業にとってメリットとなる自分の経験を振り返ってみましょう。

志望動機は自分の言葉で熱意を伝えることが大切!

志望動機は、あなたの熱意や個性を企業に伝える重要な部分です。他の候補者と差別化を図るためには、自分の言葉で表現することが不可欠です。具体的な経験やスキルを盛り込むことで、なぜその企業に魅力を感じ、どのように貢献できるかを明確に示すことができます。

抽象的な言葉や他者の言葉を使わず、自分自身の価値観や目標を反映させることで、採用担当者に真剣な思いが伝わります。企業への理解を深めながら、あなたの意欲を伝え、選考の成功に繋げましょう。

【例文あり】インターン用の志望動機の書き方|差別化のポイントも解説

学生が実際に会社の業務を体験することができるインターンシップは年々増加しており、中には本選考で優遇が受けられるものや、本選考の一部としてインターンの成果次第で内定が得られる内定直結型と呼ばれるものも存在しています。

このことから、就活生の間でインターンを希望する人も多く、選考の段階で高度なESを書くことが求められます。志望する業界・企業の内定を勝ち取るため、インターンに懸ける熱意を志望動機として書き上げましょう。

インターンとは

インターンとはインターンシップの略であり、企業が実施する就活生向けの就業体験のことです。企業体験の形式はいくつか存在しますが、経済産業省、文部科学省、そして、厚生労働省の三省会議の定義では、就職後を想定して1週間程度から半年以上の業務を体験するものとされています。

元々は、バブル崩壊後の就職氷河期のなかで、学生と企業を早期に結び付けたい政府や経団連の後押しのもとで始まりました。

インターンに参加して実際の仕事を体験することは、自分のキャリアを考える機会になるでしょう。また、会社説明会やOB・OG訪問よりも、自分自身で現場の空気を感じることができるため、企業ごとの雰囲気の違いが実感できます。

学生の企業体験は、以下のような4つのタイプに分類されています。このうち、「汎用的能力・専門活用型インターンシップ」と「高度専門型インターンシップ」が一般的にインターンと呼ばれるものです。正しく理解しておきましょう。

類型規定の期間就業体験
オープンカンパニー半日なし
キャリア教育学生に配慮すれば自由任意
汎用的能力・専門活用型インターンシップ汎用的能力型は5日以上専門活用型は2週間以上必ず実施
高度専門型インターンシップ2022年現在調整中必ず実施

参考:三省会議の定義|経済産業省

企業がインターンシップを行う理由

優秀な人材の早期発見・早期接触

企業がインターンを行う最も大きな理由は、人材確保です。昨今、どの業界でも人手不足は深刻な問題となっており、どの企業も優秀な人材の確保に必死です。

ただ同時に、学生の本分は勉強です。就職活動が学業の負担とならないように、企業の採用活動に関するスケジュールは年々短期化しています。早い企業であれば、既に夏前には募集を締めきっているということも珍しくありません。

しかし、その短い期間で人材を確保することは困難です。そこで企業は優秀な人材をいち早く見つけるためインターンを実施しています。

インターンは基本的に大学3年生を対象に行われるため、企業は将来の従業員候補となる優秀な学生たちと早期に接点を持つことができます。また、定期的に会社のイベントなどに参加してもらうことで、接点を持ち続けることができれば、自然と採用にもつなげやすくなるメリットがあります。

採用後のミスマッチの防止

インターンの実施は、企業と学生との間のミスマッチを減らすことにもつながります。企業にとって、新卒採用は想像以上に人手や予算が必要な業務です。そうして採用した社員が早々に退職してしまうことは、企業としても避けたい事態です。特に昨今は第二次新卒や、転職市場も活発なため、社員も転職という選択肢を選びやすくなっています。

そのような状況の中、1人の社員に長く働いてもらうことは、企業にとっては重要な課題です。しかし、どうしても企業の社風に合わず、早々に転職してしまうケースも増えています。そこで、早期にインターンシップを実施し、学生に社風を知ってもらうことで、採用後のミスマッチを予防することができます。

採用活動を通したPR活動の実施

インターンの実施は、企業のPR活動に使用することができます。どんな大学のどんな学生がインターンに参加したのかを外に公表することで、次年度以降の参加者も期待できるでしょう。特に、OB・OG訪問同様に、特定の大学と強いつながりを持つことができれば、安定して応募人数を見込むことができます。

また、早期のインターンシップの実施は、採用活動の短縮につながります。経団連は就職活動の長期化による学業への影響を危惧しており、基本的に短期での決着を企業に要請しています。そのような背景もあり、学生の就職活動の負担軽減は、それ自体が企業の社会貢献をアピールできる材料です。

就活生がインターンシップに参加するメリット

企業側のインターンへの熱意に呼応するように、就活生もインターンシップに積極的に参加しています。マイナビの調査では、2025年卒の就活生の約9割が参加していることが明らかになっています。

また、ひとりの就活生がインターンに参加する企業数も、平均で6社と年々増え続けています。昨今の大学生が、自分のキャリアに対していかに真剣に考えているかが伝わる数字です。それだけ、インターンへの参加は就活生にとってメリットのあるものといえるでしょう。

 インターンシップへの参加は内定獲得の確率を高める

選考を想定してインターンに参加することを考える学生は多いのではないでしょうか。事実、HR総研の調査では、35%の学生が「選考を有利に進めるため」にインターンに参加していると回答しています。

インターンシップは企業が行う採用活動のなかでも、最も早い時期に行われる活動です。学生の側からも、企業に早期に接触することで、自分のアピールを何度も繰り返し行うことができます

また、インターンシップの経験を、実際の選考のなかで活かすことも考えられます。企業に対する強い志望度をアピールできるだけではなく、就業後もスムーズに業務に入ることができるでしょう。特に、2025年度の就活からは採用に直結するインターンが正式に解禁されることになります。そのため、今後は採用を念頭に置いて、インターンに参加する学生は増えるのではないでしょうか。

ただし、政府や経団連は「インターンに参加できなかった、もしくは、しなかった」ことで採用を不利にしないように各企業に要請しています。基本的に、インターンと採用は切り離して考えるべきものであり、このことは経団連が公表している採用に関する倫理憲章のなかでも明記されています。インターンへの参加が採用の必須条件であると誤解しないようにしましょう

参考:

インターンシップを活用した就職・採用活動日程ルールの見直しについて|内閣府

インターンシップを始めとする学生のキャリア形成支援に係る 取組の推進に当たっての基本的考え方|厚生労働省

採用選考に関する企業の倫理憲章の理解を深めるための参考資料|日本経団連

【入門】インターンって何?意味や参加時期、申し込み方法など解 説! | ココシロインターン

現在の自分の実力を知ることで、自己分析に活かす

就活生がインターンを受けることは、今後の自己分析のきっかけになるでしょう。インターンの内容は、どんな企業にも共通する基礎的な内容を体験するものから、より高度で専門的な内容を体験するものまで様々です。後者は、教育学部の教育実習や医学部における研修医などをイメージすると分かりやすいのではないでしょうか。

知識としては学んでいても、実際の現場で役立てられるとは限りません。その意味でもインターンシップは、現在の自分の能力が、どれだけ希望する業界で通用するのかを試す機会であるともいえます。業界に対して十分な力量があるもの、逆に不足しているものが明確になれば、今後の学びにも活かすことができるでしょう。

志望業界をより深く理解して志望度を高める

インターンに参加すると、就活生はより志望する業界や企業のことを理解することができます。インターンの本旨は長期間の職業体験です。実際の業務に関する理解を深めるだけではなく、普通の会社員と変わらない生活を送ることで、一日のスケジュールや休日のパターンなど、働き始めなければ分からないことも見えるようになります

また、会社の社風や先輩従業員の雰囲気を知ることで、企業理解の向上につなげることが期待できます。これらの要素は言語化できない部分も多く、実際に社員と話す機会でもないと、なかなか理解することができません。実際に肌で感じる機会を得ることができれば、入社後に「想像と違う」というようなミスマッチを防止することができるでしょう。

企業がインターンシップの志望動機で見ているポイント

参加の意思があるか

まず、何をおいても企業は、就活生のインターンへの参加の意思を見ています。インターンは本選考に比べると参加のハードルが低く、容易に辞退することも可能です。

そのなかで、「とりあえず申し込みだけしておこう」と考える学生を参加させることはできません。企業のリソースには限界があるため、あまりに大勢のインターンシップを開催すると、企業の業務自体が滞る可能性があります。また、インターンシップは職業訓練です。内容によっては、危険な場面に遭遇することもあるでしょう。それだけのリスクを負ってでも、企業がインターンに参加してほしいと思える就活生であることが重要であり、参加意思の高さを確認しています。

明確な目的があるか

企業は将来的な採用を見越してインターンを開催しています。そのため、何を目的にインターンに参加するのかについて、明確な回答が必要です。

インターンに参加する目的は、「勉強したいから」「成長したいから」といった抽象的な理由でも問題ありませんが、具体的に中身と目的のある志望動機の方が、企業にとっても魅力的な人材として映ることは間違いありません。

企業のインターンシップに参加することで「何を得たいのか」、もしくは「何をしたいのか」を伝えることが重要です。「将来的な業務内容を早期に体験したい」「志望する企業の内情を知りたい」という勉強重視でも、他には「自分を売り込みたい」「選考を有利に進めたい」などの選考を想定したものでも、何でも構いません。応募の段階からインターンへの目的意識を作っておきましょう。

参加目的とプログラム内容がマッチしているか

インターンの内容は様々であり、同じ企業であっても開催時期によっては、より高度で専門的な業務を体験する場合もあります。開催されるインターンの内容と就活生の目的が合致しているかを企業は確認しています。

例えば、プログラムの内容が汎用的な、つまり、どの企業であっても一般的に行うような業務内容を体験するものなのに、そこへ「専門的で高度な業務を体験したいから」という目的では、明らかに目的と内容が合致していません。これでは「主旨を理解していない」と判断されてしまい、選考を突破することは難しいでしょう。

また、就活生の考え方が、企業の理念や働き方とマッチしているかどうかも重要なポイントです。「社会貢献がしたい」「将来、独立する上のキャリアの一環」などの就活生が働く上で求めていることを、自分たちは提供できる企業なのか、それも見極めているポイントのひとつです。

インターンシップの志望動機を書くための事前準備

まずは自己分析から始める

インターンの志望動機を書く前には、本選考と同じように、自己分析を行うことが極めて重要です。自分の強みとなる部分、逆に弱みとなる部分は何かを理解することで、インターンに参加したときの働き方や目的意識も明確になるでしょう。企業はインターンに参加する目的を、非常に重く見ています。自己分析が行えているのであれば、「とりあえず開催しているから」という安直な理由での参加はなくなるでしょう。

また、自分の興味関心の方向性や、自分の技能や能力を把握することは、自分の適職診断にも効果的です。就活生にとって、インターンは将来のキャリア形成における重要なステップです。自分がどのような職種や業界に興味があるのか、自分の能力がどの職種や業界に適しているのかを探る機会になります。自分が本当に興味や情熱を持っている分野で働くことができれば、働く意欲やモチベーションも高まるはずです。

業界・企業研究を必ず実施する

インターンシップは、将来的なキャリアを見越したものです。そのため、漠然とした企業・業界イメージで応募することは避けましょう。必ず業界研究や企業研究を行い、自分なりにでも、参加理由の根拠を用意しましょう。その企業は同業他社と比べて、どのような点が異なるのかなど、企業や業界に対する理解が深まれば、明確にその業界、その企業でなければならない理由が見つかります。

また、事前に企業研究を行うことで、実際にインターンに参加した後とのギャップに気が付くこともできます。想定よりもギャップが大きい場合は、進路を見直すきっかけになるかもしれません。インターンの開催期間は短いものならば、一週間程度であるため、長期の休みを活用すれば、複数社のインターンに参加もできます。別企業のインターンに参加できれば、本選考で書くべき志望動機の差別化要素も見えてくるのではないでしょうか。

目的や課題を明確化する

これまでの自己分析と企業研究をもとに、インターンで学びたいことを明確にしましょう。インターンシップは、学校を離れた学びの場です。その企業の何を知りたいのか、また、これから社会に出ていく上で何を身に付けたいのかなど、インターンに参加することで学びたい内容が明確になると、参加したときの気持ちも変わってきます。ただ、インターンシップは一週間ほどの業務経験です。いくつも目的があると達成が難しくなるので、これぞという中核になるものに絞りましょう

また、既にインターンに参加経験がある場合は、それまで参加したインターンの振り返りを行いましょう。インターン終了時には、研修先の企業からフィードバックが行われることが一般的です。そのフィードバックとインターン前に建てた目的や課題を照らし合わせ、何が達成できていないのかを明らかにします。こうすることで、次のインターンへの目的がより適切なものになります。

インターンシップ用の志望動機の書き方

インターンシップへの参加にあたって求められる志望動機の文字数は、およそ200字から400字程度となります。その少ない文字数の間に、自分が参加する目的や熱意を伝えなければなりません。自分が伝えたい事が企業に伝わるようにするためにも、志望動機は単純明快さを意識しましょう。

冒頭に結論として志望理由を書く

書き出しは結論となるインターンシップに参加したい理由を書きましょう。当然、企業はインターンシップに対して、参加への意欲の強い人や参加する目的が明確な人に参加してほしいと考えています。文章の冒頭に参加の理由を書くことで、企業側に熱意が伝わる志望動機が作成できます。あまり長すぎず、30〜50字程度の短い文章にまとめることがポイントです。

参加理由の主軸としては、「業種や企業を知りたい」という興味関心や、「スキルアップ・キャリアアップ」など数多くの理由が考えられます。このときに、その企業が開催しているインターンシップだから「こそ」の参加理由を考えましょう。ありきたりな理由では、企業側に「このインターンである必要性がない」、もっと言えば「自社である必要性がない」と受け取られてしまいます。

参加理由の根拠を具体的に書く

参加理由を書いたら、その根拠となる部分を具体的に記載していきます。自己分析や企業・業界研究で考えた自分の長所や短所などのエピソードを下敷きにすると、インターンシップに参加する理由にも説得力が増します。また、業界や企業への関心を示すことも、知識や技術を学ぼうとする意欲のアピールにつながり、こちらも効果的です。

勿論、場合によっては、まったく志望と関係のない企業のインターンに参加することもあるでしょう。ただ、インターンシップは選考ではないため、その参加理由が企業への志望動機である必要は全くありません。単純に「インターンへの参加」そのものが目的であることも十分な参加理由です。この場合、企業や業界よりもインターンシップそのものの魅力や、それに対する関心を書くと、このインターンシップだから「こそ」の根拠になります。

インターンシップにおける目標で締める

最後は、インターンシップに参加する目的です。例えば、「自分は〇〇を体験したい」というようにインターンのプログラムで具体的に取り組みたいことや、「〇〇を経験して今後は△△を成し遂げたい」など、参加後に実現したいことなどを明確にすると、企業から「インターンの内容を正しく理解している」と、インターンの内容とも合致するため企業に好印象を与えられます。

ただ、ここで書くことは、インターン先の企業が取り組む可能性があることに留めておきましょう。インターンと関係のないことまで書くと、逆に「企業の事業内容を理解していない」「企業・業界研究が浅い」と思われてしまい、マイナスイメージになってしまう可能性もあります。

インターンシップ選考を突破する志望動機の例文

インターンの内容を目的にした志望動機

例文

私は、将来システムエンジニアを目指しています。今回の貴社のインターンシップに参加し、ITの開発に関するノウハウを学びたいと考えています。

貴社は様々なアプリを開発されていますが、中でも貴社が設計から開発までを一貫して行ったEラーニングのシステムである〇〇は私も使用しています。大学の講義やアルバイト先の研修でも接する機会があり、利便性を感じています。

今回は、未経験からエンジニアとしての経験を積むことができることに興味を持ち志望しました。私はエンジニアとしての実績やキャリアはなく、システムに関する知識が浅薄です。貴社のインターンに参加し、自分に足りていない知識や技術などを身に付け、向上させたいと考えています。分からないところは積極的に質問し、自分を高めていきます。

実際の開発の手順を理解し、これから先、自分がシステムエンジニアとして活躍する未来の一歩にしたいと思い、今回のインターンを志望しました。(400字以内)

この志望動機では、開催されるインターンの内容について言及しています。インターンの本旨は職業体験であり、その体験を通じて何を学習したいのかが、志望動機を書く大きなポイントです。そのなかで、純粋に「インターンの内容に興味がある」ことは、企業としても「企業研究を行っている」「目的が明確である」と判断でき、好印象でしょう。

また、自分自身が実際にエンジニアを目指していることから、参加の動機と目的、そして、内容が一致していることもポイントです。目標が明確になるほど、企業が提供する業務内容も、それに即したものになります。

自分のキャリア実現を目的にした志望動機

例文

私は地元企業をサポートし続けている貴行のインターンシップに参加し、地元の〇〇市のまちづくりに取り組みたいという将来的な目標実現に活かしたいと考えています。

貴行は、地元企業を応援する取り組みを積極的に行っており、その取り組みが何度も表彰されている実績があります。

特に、今回の貴行のインターンでは、実際に法人営業の場にも同行できることに魅力を感じました。同行させて頂き、地元企業に対して地方銀行は何をしているのか。どのように銀行と企業がつながっているのかなどを、実際に体験し深く理解したいです。今回のインターンを通じて、地方企業とのつながりについてを学び、私の目標であるまちづくりに活かしたいと考えています。

インターン中は積極的に質問をし、地域社会での銀行の役割を学ぶだけではなく、自分が理想とするまちづくりとは何か、具体的にどうしていくべきなのかまで答えが出せるよう理解を深めていきます。(400字以内)

インターンは入社の動機ではありませんが、やはり「なぜ自社に興味を持ったのか」という点は、企業が最も気にするところです。この志望動機であれば「最終目標はまちづくりであり、そのために地元銀行に就職を目指す」という明確な軸があり、それが、今回のインターンに対する「まちづくりに関わる銀行」を知りたいという動機につながっています。

また、実際の内容にも言及することは、インターンへの積極性を示すことにもつながります。インターンに参加できたとしても、結局、社員の真似事をしただけで終わってしまっては、参加する意味がありません。自分の行動軸を示すことで、企業側も「何をしてもらうか」を考えやすくなります。

インターンは業界のことを深く知ることのできる、絶好の機会です。特に、実際に働いている人に求められる能力などは、確かめてみないと分からないことも数多くあります。だからこそ「分からないこと」は「知りたいこと」と考えてみましょう。その「分からない」を知りたいから、インターンに参加すると考えれば、目的も定まりやすくなります。

志望業界・企業との相性の確認を目的にする志望動機

例文

私は、今回のインターンシップで将来自分が不動産業界、特にディベロッパーとして働くときのイメージをより具体的にしたいと考えています。実際に業界で働く方々と一緒に働くことで業界の実態や仕事のやりがいを学びたいと思い、応募しました。

私は都市開発を通じて、人々の生活を豊かにするという目標があります。そこで業界のなかでも、都市開発専門のディベロッパーとして高い評価を受けている貴社に魅力を感じます。日本各地で宅地開発だけではなく、駅前の再開発に携わった実績のある貴社であれば、住民や利用者の要望や意見を反映させたまちづくりへの取り組みを知れるのではないかと考えています。

また、私は貴社の掲げる「人を、想う力」という方針に感銘を受けました。是非、貴社のインターンシップに参加して、貴社のまちづくりを体感するとともに、課題や目標を明確にし、より具体性をもったキャリアビジョンを描きたいと考えています。(400字以内)

企業と就活生のミスマッチを避けるためにも、相性確認を目的にすることはインターンの主旨に合致しています。業務内容が就活生の求めることであっても、実際の職場の雰囲気が就活生の求めているものとは限りません。特に、第一志望である企業は、今後のインターンや選考でも参加することが考えられます。インターンを活用して、企業と自分の相性が事前に分かれば、そこからの軌道修正も容易です。

また、実際に会社の中に入ることで、外からは見えない部分も見えるようになります。例えば通勤時間が長すぎると、それだけで体力を使ってしまいます。また、オフィスの状況なども、実際に働き始めると意外に気になるポイントです。騒音や日当たり、昼食を取る場所など、こういったものも中に入るからこそ分かることです。

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スキルを身に付けることを目的にした志望動機

例文

貴社のインターンシップを通じて、貴社が実践している広告の生み出し方を体験したいと考え志望しました。私は将来コピーライターとして広告業界への就職を希望しており、そのためのスキルを学ぶ一環として参加を決意しました。

私は受験の時に、通っていた塾のコピー広告に励まされた経験から、目にした人の心を動かすキャッチコピーの強さに惹かれました。そして、写真や音楽など様々な表現方法がある中で、純粋に言葉だけで人を惹きつけるコピーライターに興味を持つようになりました。

今回のインターンシップで業界の仕事を知ることで理解を深め、就職活動に役立てたいと考えています。また、貴社のインターンシップは、実際の現場を想定して実施されます。その場で、自分の現状を把握し、将来コピーライターとして広告業界に携わるためのノウハウや知識を吸収し、自分のものとして将来の目標に活かしていきたいです。(400字以内)

インターンの志望動機は、言い切ることがポイントです。自分の考えていることなので、「~だと思います」「~だろう」というような曖昧な文末にすると、「自分に自信がない」と企業に評価されてしまいます。言い切るだけでも自信のある文章になるため、文末には注意しましょう

この志望動機では、インターンを通じてスキルを身に付けることを目的にしています。大学での研究と企業の業務内容は必ずしもイコールではないため、全く知らない業界に飛び込むのであればインターンは有効な手段です。単なる憧れを自分の現実にするために、何をするのか、そして、何をしたいのかという目的を明確にすることが大切です。

インターンシップの志望動機を差別化するポイント

その企業「だからこそ」の理由を考える

本選考でも同じですが、インターンを開催する企業が知りたいことは、「なぜ数ある企業から自社を選んで応募したのか」ということです。極端な例を挙げれば、「お金に関わる仕事がしたい」という理由で銀行のインターンを希望しても、参加は難しいでしょう。単純に「お金に関わる仕事」は、銀行だけではないからです。保険会社や証券会社などお金に関わる業界は幅広く存在します。加えて言えば、他業界の経理部でも「お金に関わる仕事」です。

あまりにも漠然とした目的や理由では、企業側も「自社である必要性がない」と考えます。もっと深く踏み込んで、その会社でしか出来ないこと、例えば独自の技術がある、限定された地域にしか存在しない、など企業独自の長所、もしくは、そのインターンだからこそ経験できることなどインターン独自の魅力を挙げてみましょう。他に替えの利かないことを理由にすると、企業側も納得できる志望動機になるでしょう。

自分なりのエピソードを述べる

インターンに参加する動機は入社の意思とは異なるため、どうしても本選考の志望動機に比べると、弱いものになることは避けられません。また、書くことができる文字数も少ないため、あまり多くの内容を盛り込むことができず、定型的な文章になりがちです。

だからこそ、自分自身の背景を際立たせると、それだけで魅力的な志望動機になります。インターンに参加する目的は同じでも、そのきっかけになったことは1人ずつ異なるはずです。何故、参加しようと思ったのか、参加することで何を得たいのかなど、自己分析の結果と合わせて考え、自分らしい志望動機をつくりましょう。

また、行われるインターンの「何」に、「どのような」魅力を感じたのか、ということも差別化する重要なポイントです。インターンへの参加が自分にとって、どう利点となるのかを考えてみると書きやすいかもしれません。

インターンシップの志望動機を書くときの注意点

インターンは本選考とは無関係

採用に直結するインターンの開催が正式に許可されたことで、企業の採用活動におけるインターンの重要性は、より高まることが予測されます。もちろん、インターンに参加することで、就活生も早期に内定を獲得できる可能性があるため、採用を意識して参加することは、何も間違ったことではありません。

しかし、学生側のメリットである早期内定などは、あくまでもインターンの参加後に得られる副次的な効果です。先の採用に直結するインターンも、参加者に正規ルートとは別の参加者限定の選考が行われるようになる、というものに過ぎません。

そのため、あまりにも志望動機に「選考」や「内定」を意識した内容を書くと、「インターンの主旨を理解していない」と判断されてしまいます。インターンは「教育」であり「採用活動」ではありません。その主旨を履き違えては、インターンに参加はできないでしょう。あくまでもインターンの志望動機で尋ねられているものは、「インターンに参加する動機」であることを忘れてはいけません。

誤字脱字や言葉の誤用はないか

インターンの志望動機は、本選考と同じように参加の選考が行われます。そのため、志望動機に誤字脱字や言葉の誤用があると、一気に心証が悪くなります。確かに、インターンに参加を表明するということは、志望度が高いことと同義です。そんな学生を企業としても積極的に採用したくなるのは、自然なことでしょう。

しかし、基本的な日本語の文章が書けないとなると話は別です。メールやチャットツールなど何を使うにせよ、仕事の基本はコミュニケーションです。誤字脱字の多い志望動機は、それだけで「コミュニケーションができない」と判断されてしまいます。また、それらに気が付かない「注意力のなさ」が露呈してしまいます。書き上げた志望動機は、必ず一度見直して、不自然な文章になっていないか確認しましょう。

特に、敬語は要注意です。志望動機には、企業を指す「貴社」「御社」など就活を始めて、ようやく知る敬語も数多く用いられます。本当に、その使い方であっているのか、自信がないときはキャリアセンターなどに添削を依頼しましょう

その他、業界用語も注意すべきポイントです。どの業界にも、その業界でしか使わない用語というものが存在します。業界用語の誤用は、業界研究の甘さを露呈します。間違える方が企業の心証を悪くするため、意味が分からない言葉は、潔く使わない選択をしましょう。

本選考の志望動機は別に考える

インターンに参加することで、企業に名前や顔を覚えてもらうことができれば、今後の選考も有利に進むことでしょう。ただ、インターンと選考は無関係に行われているため、再度本選考で志望動機が求められることも考えられます。再度求められた志望動機は、インターンの志望動機とは別のものにしましょう。そもそも、インターンと本選考では、企業の目的が全く異なります。

そのため、あまりにもインターンの参加理由で、企業や業界への情熱あふれる志望動機を書くと今度は本選考の志望動機に書く内容がなくなってしまいます。インターンの参加理由は、インターンの内容に着目する、今後の就職活動でどう活かすか、など、インターン「そのもの」に的を絞ったものにするのがおすすめです。

目的を明確にして有意義なインターンシップにしよう

今後、採用活動におけるインターンシップは、ますます重要なものになるでしょう。学年を問わずに参加できるインターンも多いため、早い段階から興味のある企業を詳しく知ることも可能です。ただ、それだけ参加者の間口が広まれば、選考も厳しくなります。「弊社のインターンにぜひ参加してほしい」と言われるほどの魅力的な志望動機を書き上げましょう。

インターンへの参加は強制ではありません。そんな中、自らイベントに参加するからには、是非とも有意義なものにしてください。志望動機でも問われる参加の理由、そして、実現したい目標などを明確にしておけば、インターンを通して新しい発見も見つかるでしょう。また、キャリアや適性を見直して自分自身の成長を促すことにもつながります。

今、インターンシップ自体が大きな変革期を迎えています。自分がインターンシップに参加する意味を今一度考えて、意味のあるインターンにしましょう。

自己PRと長所の違いとは?同じ内容にならないESの書き方のコツ【例文あり】

面接やESでよくされる質問に「自己PR」「自分の長所」があります。企業としては、これから一緒に働く仲間を見極めるための重要な質問です。そのため、この質問に対して適切に返答できるかが、採用の可否を決めると言っても過言ではないでしょう。

ただ、この2つの質問は、どちらも「自分の強み」に関する質問であるため、多くの就活生が混同して適切ではない回答をしています。この記事では、これら2つの質問の違いを解説するとともに、それぞれの質問に合わせた回答の書き方を解説していきます。

就職活動における自己PRと長所の違い

就職活動に限らず「自己PR」を求められたとき、自分のスキルや経験・実績を話す人もいれば、「優しい」「協調性がある」など自分の性格を話す人もいるでしょう。

しかし、同時に「長所」を質問された場合、多くの人が先の自己PRで回答した内容と同じような回答をしてしまいます。どちらも「自分の強み」に関する質問であるため、似た回答になりやすいためです。

しかし、実はこの2つの質問は似ているように見えて、全く別の質問です。特に、就職活動においては、企業は2つの質問に対して明確に異なる意図を持たせています。企業がこの2つの質問をする理由、そして、それに対する適切な回答とはどのようなものなのかを把握して、的確な回答を行いましょう。

企業が自己PRと長所を尋ねる理由とは?

自己PRと長所の両方を質問する企業は珍しくありません。IT化を筆頭とした技術の進歩により、企業としても以前までの「単純に働かせる」だけではなく、求職者の持つ「強み」を考えたマネジメントに迫られています。人をどう活かすかは企業の腕の見せ所と言えるでしょう。

適切に人を配置し活躍してもらうためには、企業としても求職者の持つ「強み」を多面的に判断しなければなりません。この2つの質問は、どちらも強みを多面的に判断する質問の筆頭です。ただし、自己PRは企業側から見た強み、長所は求職者側から見た強みという点で大きく異なります。

自己PRは「会社に貢献できるか」を尋ねている

自己PRの目的は「会社に貢献できる人材か」を確認することです。企業は様々な能力を持った人たちが集まり、互いに協力しあう共同体です。自社製品を売る営業もいれば、製品を作る人、会社を管理する人、業務内容も多岐に分かれます。

しかし、その共同体の目的は「利益を得る」ことで一致しています。つまり、就活における自己PRとは、突き詰めて言えば「あなたを雇うことで、会社にどのような利益をもたらしてくれるか」という質問です。

単に「メリットがあります」というのは簡単ですが、それだけでは企業も採用できません。企業側の視点に立ち、自分の強みが企業にとって、どのように役に立つのかを考えてみましょう。

長所は「会社に合っているか」を見極めている

長所に関する質問は「企業の社風とマッチしているか」という確認です。会社に貢献してくれる人材であったとしても、企業の雰囲気が合わないということは珍しくありません。社風が合わないということは働くうえで大きなストレスであり、実際にエン・ジャパンの調査では10人に1人が社風を理由に退職しています。

企業としても折角採用した人材が早々に辞めていくのは大きな痛手です。そこで、求職者の性格や主義主張を推し量るような質問を投げかけることで、企業と求職者のミスマッチを防止しています。

そのため、長所は自己PRとは異なり自分を起点にして「自分がどういう人間か」を伝えることが必要です。自分の性格や性質、能力などで自分が特に優れている点を洗い出して回答に臨みましょう。

自己PR と長所はアピールするものが違う

前述の通り、自己PRと長所では企業の質問の意図が全く異なります。回答も自己PRは企業目線でアピールし、長所は自分目線で優れているポイントを伝えるという違った視点で回答しましょう。

この違いを理解せずに似たような回答をしてしまうと、面接官にとっては「自分たちの知りたいことが分からない」という印象になってしまいます。単純にアピールが不十分なだけではなく、質問の意図を理解していないと判断されてしまうため注意しましょう。

自己PRは企業に対するメリットを提示する

例えば、いくら「英語が話せます」とアピールしても、国内限定の業務しかない企業では採用に結びつかないでしょう。自己PRの判断基準は「企業へのメリット」にあるため、どれだけ優れた能力の持ち主でも企業にとってメリットが薄いと判断されると評価につながりません。

自己PRは、企業に「欲しい」と思ってもらえることが最大の目的です。そのためには、まず業界研究や企業研究を徹底的に行いましょう。その中で企業が求める人物像を把握し、企業の中で発揮できる自分の強みを分析する必要があります。

その上で、単純に「〇〇力があります」や「〇〇の資格があります」と回答するだけではなく、それを使って「どのような利益をもたらせるか」「入社後にはこのような活躍ができる」ということを、根拠となる具体的なエピソードとともに伝えましょう。

長所は自分の人となりを伝える

長所に関する質問では、自分の性格や性質、能力などの自分の特徴で特に優れた点を回答しましょう。自分が「すごい」と思っている部分をアピールすることで、企業に対して「自分が何を大切にしているか」といった価値観を伝えることになります。

自分からの視点で伝えるため一見簡単そうに見えますが、その長所は自分で思い込んでいるだけということも珍しくありません。自己分析だけではなく、周囲からの評価も参考にして「自分の人となり」を見直しておきましょう。

また、単に人となりを伝えるだけではなく、それが仕事の場面でどのように役に立つのかも考えると良いでしょう。特に、過去の経験の中で、具体的にその長所が役に立ったというエピソードがあると、企業も就職後の働く姿がイメージしやすくなります。

自己PRと長所を書くときのポイント

アピールポイントは1つに絞る

これまで生活してきた中で、自信が持てるモノが1つもないという人は少ないでしょう。しかし、学生生活で苦労して得た知識や経験、そこから身に付けた技術などアピールできる「強み」はいくつも考えられます。

ただし、強みをいくつもアピールするのは避けた方が良いでしょう。自己PRで1つ、長所で1つというように、伝える自分の強みは必ず1つに絞ります。自分をよく見せたいと思っても、複数のアピールをすると他人からは冗長で自慢のようにも見えます。

また、複数のアピールをすることで文章の構成が難しくなります。自己PRも長所も規定の文字数はおよそ300〜500字程度です。複数のアピールは、字数内に収まりきらず、それぞれの強みが薄くなるだけではなく、まとまりのない文章になってしまうため、「何を伝えたいのか分からない」文章になってしまいます。1つのポイントに絞り、わかりやすい簡潔な文章を目指しましょう。

2つのエピソードが重複しないようにする

この2つの質問は、どちらも自分の「強み」を尋ねられている質問です。そのため、内容が重複することは決して問題ではありません。むしろ一貫性が生まれるため「強み」は同じであることが良い場合もあります。ただし、この2つの質問への回答として、同じエピソードの使いまわしは厳禁です。

全く同じエピソードを話してしまうと、採用担当からは「学生時代に頑張ったことがない」「就活に対する準備ができていない」と判断されてしまいます。また、自分の強みの根拠としても弱く、説得力のない文章になってしまいます。

同じ「強み」の根拠となるエピソードとして、例えば片方は部活におけるエピソード、もう一方はアルバイトにおけるエピソードというように複数用意しましょう。自分の経験を隅々まで振り返り、自己分析しておけば強みが発揮できたエピソードは必ず見つかるはずです。

2つに関連性を持たせると説得力が増す

例として、自己PRでは積極性をアピールし、長所では慎重さをアピールしていると、相手に違和感を与える可能性があります。

質問に対する回答に矛盾や齟齬があると、書いてある内容に対する信頼性が失われてしまいます。もしそれぞれの質問に対して別々の強みを回答するならば、必ず関係性を持たせましょう。こうすることで「自己PRの強みが性格から生まれたものである」といった印象を持ってもらえます。

また、この関連性は他の自身の性格に関する質問や志望動機などでも同様です。自分の回答には一貫性を持たせることで、自分は「こういう人間である」ということを企業により知ってもらえるでしょう。

企業が重視しているポイントを考える

伝える「強み」は、応募先の企業に合わせて考えましょう。同じ業界であっても企業ごとに価値観は異なり、その違いは面接やESの質問にも現れます。企業が欲しい人材は「能力があって、会社に適正がある」人物です。企業にとっての就活はそんな人物を探し出すための方法です。

そのため、企業が求める人物像と自分の「強み」が一致すると、企業側も働くイメージがつきやすく、好印象につながります。自分の言いたいように、書きたいようにアピールするのではなく、企業が「何を求めているのか」を考えましょう。

そのためには、書き始める前の業界研究・企業研究が欠かせません。企業が求める人材を理解した上で、自分が企業にとって必要な人物であることをアピールしていきましょう。

自己PRと長所を書き始める前の準備

自己PRや長所を質問されて「私の強みは〇〇です」というのは簡単です。しかし、これだけでは企業が求めている回答とは言えません。その強みを深く掘り下げて、「実際に入社後に活躍できるのか」までを面接官たちは見ています。

企業を納得させられる話につなげていくためには、事前の入念な準備が欠かせません。自己分析や企業研究など、自分と企業を知ることが自己PRと長所を書くための最初のステップです。

まずは徹底的な自己分析から

長所も自己PRもアプローチの違いはあれども、どちらも自分の強みをアピールする質問です。強みとなるものは、これまでに経験した知見や得られた見識、身に付けた技術といったものから、自分の性格や主義主張まで様々です。

しかし、これらを回答として書くためには客観性が重要です。自己申告よりも何かしらの資格がある、他者からの評価を得た経験があるといった方が信頼できるため、まずは「本当にそれが自分の強みなのか」という点から振り返ってみましょう。

その強みが身に付いたのはいつごろか、また、どのような場面で発揮できたかなどこれまでの過去を振り返り、もう一度、就活の中で自分が大切にしたいこと、自分の求めていることなどを明確にしておきましょう。

分からないときは第三者に聞いてみる

一人で「自分とはどういう人間か」を考えていると、どうしても結論が主観的になりがちです。主観的な評価では、自分の思う「自分」と他人から見た「自分」にズレが生じやすくなります。このズレがあると、自分の思っている強みが強みとして認識されないばかりか、エピソードとの関連性も希薄なものになってしまいます。

就職活動においては、初めて自分に出会う人から評価してもらうことになります。そのため「他人から見た自分」が、どういう人物なのかを再認識しなければなりません。自己分析においては、ほかの人の意見を聞くことも大きな手助けになります。

短所も含めて自己分析をする

強みを振り返るときは、自分自身の短所も振り返ると効果的です。例えば「落ち着きがない」というと一般的には欠点でしょう。しかし、その欠点は裏を返せば「好奇心がある」「物怖じしない」という強みとして捉えることもできます。

このように、一見すると自分では欠点だと思っていたことが思わぬ強みとなることも少なくありません。短所は長所を考えるための起点になることも多いため、自分の良いところばかりを探すのではなく、欠点にも目を向けてみましょう。

業界研究・企業研究で企業が求める人材を知る

どれだけ素晴らしい経歴や能力があったとしても、企業の最大の判断基準は「一緒に働きたいか」という点になります。企業が求める能力を持つ人材でなければ、その経歴や能力も評価されません。

どのような能力を重視しているかは、公開されている企業理念や活動などを深く読んでいくと分かります。企業が求める人材であることを伝えるためにも、業界研究や企業研究は欠かせません。

特に、社風や職場の雰囲気などは実際に企業の中に入らないと分からないことも多いため、志望する業界が決まっているのであれば早いうちに積極的にインターンや企業見学などに参加していきましょう。

強みを発揮できたエピソードを用意する

単純に「〇〇ができる」と言うことは簡単です。しかし、それだけでは主観的すぎて、信憑性に欠けます。相手を納得させる自己PRや長所の回答をつくるためには、客観的に相手が判断できる具体的な根拠が必要です。

その根拠となるのがエピソードです。その力が発揮できたエピソードを強み1つに対して必ず1つ用意しましょう。過去の華々しい成功体験でなくてもかまいません。失敗したエピソードや現在でも継続的に続けているエピソードでも大丈夫です。

具体的にどのように発揮したのか、結果としてどのように役に立ったのか、また、そのときの周囲の反応や数値としての変化など、エピソードが具体的であればあるほどに説得力が増します。

自己PRや長所で使える「強み」の具体例【一覧表】

自己PRや長所は自分自身の強みです。そして、その強みは自分自身の性格や嗜好、考え方に由来します。つまり、「強み」を考えるためには今一度、自分は「どういう人間なのか」を考える自己分析が必要となります。

また、単に「優しい」とするよりも、「人の気持ちに寄り添える優しさがある」や「温厚で衝突を生まない優しさを持っている」などと、「どんな」優しさなのかを具体的にすると、企業も就職後の働く姿をイメージしやすくなります。

以下は、自己PRや長所として考えられる強みを一覧にしたものです。自分がどのような人間かが分かれば、それを仕事のなかでどのように活かすのか、また、企業の求める人材と合致しているかが見えてくるはずです。一覧表を参考に、自分の強みを具体的に表してみましょう。

性格や嗜好長所(人となりや働く姿勢)自己PR(仕事につながる強み)
優しい・人に寄り添える
・周囲と衝突しない
・顧客ファーストを実現する
・共感力や傾聴力がある
明るい・人を笑顔にする
・元気にするのが得意
・物事を前向きに捉えられる
・困難も楽しく乗りきれる
積極的・新しいことを知っている
・すぐに仲良くなれる
・困難にも果敢に挑戦できる
・スキルの向上に余念がない
社交的・すぐに他人と打ち解けられる・組織の一員として協調性を持つ
責任感・最後まで責任を持てる
・こだわりが強い
・継続力や諦めない気持ち
・我慢強さや粘り強さ
好奇心・多様な知識やスキル
・能動的に行動できる
・チャレンジ精神
・物怖じしない積極性
独創的・自由な発想を持っている
・形式にとらわれない
・問題解決力
・多角的な思考
観察力・物事を観察して的確に判断する・課題発見能力
・問題解決力
理解力・考えを端的に捉えられる
・考えを簡潔に伝えられる
・論理性や言語化能力に優れる

自己PRと長所の書き方

PREP法の構成
  1. 結論(Point)
  2. 理由(Reason)
  3. 具体例(Example)
  4. 結論(Point)

自己PRや長所に関する回答は、PREP法に基づいて書き進めていきます。PREP法は文章構成の方法の1つであり、結論(Point)→理由(Reason)→具体例(Example)→再び結論(Point)の順番で文章を進めていきます。文章が端的にまとまるため、ESだけではなくビジネス文書全般で広く使われています。

慣れるまでには難しいPREP法ですが、この構成を意識して書くと要点がまとまり、論理的に物事を伝えられます。また、余計な装飾が入る余地もなくなるため

全体的にすっきりとまとまった印象になります。ここではPREP法に基づいた自己PRと長所の書き方を解説していきます。

最初は結論から書き始める

最初に書く結論は自分の「強み」です。具体的な説明ではなく、ストレートに「私の強みは〇〇です」と言い切ってしまいましょう。最初に結論を置くことで自分が何をアピールしたいのかが伝わり、話のゴールも明確になります。

また、最初に強みを書くことは、相手の時間を短縮する効果もあります。企業の面接官は忙しい業務の合間を縫って、毎日何千枚と届くESを読んでいます。書類審査の段階では、自社の求める人材に合致するかを素早く見極めなければなりません。

最初の結論で自分が企業に必要な人材だとアピールするためにも、まずは端的に自分の強みをアピールしましょう。

自分のアピールポイントを裏付けるエピソードを書く

単に強みをアピールするだけでは、説得力に欠けます。次の理由と具体例の部分では、その強みを裏付けるエピソードを紹介します。ここでは「~を頑張りました」だけではなく、「いつ」「何を」「どのように」頑張ったのかまで詳しく書きましょう。さらに客観的な数値を入れると、より説得力が増します。

この段落で最も重要なのは「その結果どうなったのか」です。自分の成長や変化など、具体的な実例を挙げると企業も採用後の働く姿がイメージしやすくなります。

仕事や会社でどのように活かせるかを書く

最後の締めの結論は、仕事にどのように活用できるかで締めましょう。自己PRでは「採用後は戦力になりうるか」、長所では「職場環境にマッチするか」という観点で企業は判断しています。

そのため自己PRでは、志望している企業の業務内容に関連させて、実際にどのように活かすことができるのかという点で考えてみましょう。企業研究を丁寧に行っているアピールにもつながり、好印象です。

また、長所では業界や企業、その職種の特徴に結論を絡めるとよいでしょう。自己PRと似ていますが、長所は「自分の持つ強みを活かして、どのような姿勢で仕事に取り組んでいくのか」という部分に重点を置くと分かりやすいかもしれません。

自己PRと長所をアピールする例文

課題解決能力をテーマにした例文

自己PR

例文

私は問題の原因を突き止め解決に導く力に自信を持っています。入社後は顧客の問題を適切に解決できるコンサルタントとして活躍したいと考えています。

私は、学習塾で個別指導をしていました。そこには、様々な理由で勉強が続けられず、なかなか成績が上がらない生徒がたくさんいました。そこで、まず私は丁寧に話を聞き取り、成績が上がらない原因を突き止めることから始めました。そして、それぞれの要因に合わせたカリキュラムを作成することで、今年の春は10人の生徒を志望校合格に導きました。

この経験を活かし、入社後もコンサルタントとして、人の悩みに真摯に向き合い、それぞれの個別の問題を解決に導けるよう努力していきます。(300字以内)

問題を解決する力は、どの企業も就活生に求めている力です。なかでも、他者の問題を把握し、解決策を提示できる能力は必須です。

この例文では、その能力を分かりやすく業務に使うことを前面に押し出した文章です。自分の強みと業務内容が密接につながっているだけではなく、すでに実績があることもアピールすることで、その能力に説得力が増しています。

具体的に取り組んだ内容や解決策をもう少し深掘りできると、より説得力のあるその人ならではの自己PRとなるでしょう。

長所

例文

私の強みは、人の悩みや問題などを解決する問題解決力です。私は、大学時代に吹奏楽部のキャプテンを務めており、日々問題解決のために尽力しました。

特に、私の所属する部活は人数が多いため、音楽性の違いや練習への参加などの問題でメンバー同士の対立は毎日のことでした。そのたびにお互いの意見を聞き、橋渡し役となることで、両者や周囲の人間も納得できる落し所を考え解決に導きました。

このようなことを繰り返していると、部活の雰囲気もまとまりはじめ、メンバーの意見のすり合わせもスムーズにいくようになりました。その結果、大会では何度も入賞を経験しました。

チームの和は成果にもつながります。貴社に入社後も対立が起きた場では、お互いの橋渡し役として、意見をまとめていき良好な関係を保てる社員を目指します。(350字以内)

同じ問題解決力をテーマにした文章ですが、長所として書くためには「その能力は働くときにどのように使われるのか」という点を考えてみましょう。企業から見て「業務に役立つ」自己PRとは異なり、長所は「働き方」や「雰囲気」といったものです。

ここでは、チームの和が重要であるとし、その和を保つためにも対立という問題を解決に導くような、いわゆる潤滑油のような役割を果たすことを考えた文章になっています。

継続力をテーマにした例文

自己PR

例文

私の強みは、困難に負けない粘り強さです。

私は10歳の時から今まで書道を続けています。最初は単純に「字が上手になれば良い」と始めさせられた習い事でしたが、初めて教室に行ったときに見た書に感激を受け、「あのような字が書けるようになりたい」と現在でも続けています。書の方は現在でも納得する出来栄えとは言えません。これからも、まだ精進が必要だと思っています。

貴社は、技術や考え方の革新に重きを置いた企業だとうかがっています。現状に甘んじることなく更にその先へ進んでいこうという姿勢は、私の書の道に通じるものがあると思います。

貴社に入社後は持ち前の粘り強さを発揮して、自分のスキルや能力をより高めていくことを考えています。その高めたスキルで貴社の発展に尽くします。(350字以内)

継続力をアピールするならば、できるだけ長年続けてきたことを取り上げましょう。特に、子どものころから長年続けているような物事だと、そこから現在に至るまで価値観が一貫しており、少しの事では揺らがない強い精神性をアピールすることにもつながります。

ただし、同時に「頑固」「融通が利かない」というようなマイナスのイメージにもつながる可能性があることには注意が必要です。

長所

例文

私の長所は、最初に決めたことを最後までやり抜く粘り強さです。私は長年、短距離走を専門としていましたが、なかなか芽が出ず、大学では思い切って長距離に転向しました。

練習方法が短距離とは全く異なるため、当初は練習についていくのも精一杯でした。心の限界を感じる場面も多く、何度も辞めようと考えることもありました。しかし「成果が出なければ辞める」と決めていた私は、そのたびに自分に喝を入れ、練習を続けました。

その毎日の練習の成果が出たのか、昨年の大会では6位入賞、今年は準優勝と確かな成績を残すことができました。貴社に入社後は、持ち前の粘り強さを発揮してどんなに困難な業務でも投げ出さずに最後までやりきります。(300字以内)

継続力は、様々な言い換えが利く強みです。特に長所で述べることは、企業にとっての安心感につながるでしょう。入った新入社員のうち「3人に1人が辞めていく」と言われる現代の状況で、「長く続けてくれる」可能性のある社員はそれだけで貴重です。

また、困難に対して行動を続ける努力家であるとの印象にもつながります。ただし、単に「努力しました」では企業は評価しません。努力した「成果」こそが評価するポイントになるため、必ず成果となる部分を加えましょう。

自己PRと長所の違いをおさえて書き分けよう!

どちらも自分の強みに関する質問であるため、一見すると同じように見える自己PRと長所ですが、それぞれの質問の意図は全くの別物です。両方を質問する企業も少なくないため、書き分けられるようにするためにも違いをおさえておきましょう。

この違いを正しく認識して回答できれば、面接でもESでも面接官に自分の魅力を最大限に伝えることができます。効果的な自己PRと長所を作成し、就活を有利に進めていきましょう。

自己PRで真面目さを伝えるコツは?書き方と注意点を解説【例文あり】

真面目さは自己PRとしてありきたりなようですが、十分に有効な長所です。ただし、真面目さをアピールする学生は少なくないため、他の学生にはない自分なりの真面目さを掘り下げて伝える必要があります。

この記事では、企業が評価する真面目さとは何かを解説するとともに、オリジナリティのある真面目さエピソードの作り方や、真面目さをPRする時の注意点なども紹介します。

自己PRで企業が評価する真面目さとは

真面目という言葉は一般的には「嘘やいい加減なところがなく誠実である」という意味があり、社会で働く上では必須のスキルです。しかし、企業が評価する真面目さはさまざまで、業務の性質に応じて求められる真面目さが異なります。

ここでは、就活の自己PRで真面目さを伝えるときにアピールするべきポイントを紹介します。

困難な場面でも諦めず最後まで仕事を完遂できる

社会に出て仕事を始めると、思う通りにいかないことはいくらでもあります。困難な場面に直面した時、途中で投げ出さずに最後まで成し遂げる力は、社会ではなくてはならない能力です。

真面目な人は難しい問題にも責任を持って正面から向き合い、目標を達成するために努力を継続することができます。

学生時代に学業やアルバイトなどで困難を乗り越えて成果を出した経験がある人は、ぜひそれを真面目さとしてアピールしましょう。

仕事を計画的に進められる

限られた時間の中で与えられた仕事を終えなければならないシーンは少なくありません。真面目な人は目標から逆算して事前にやるべきタスクを洗い出し、優先順位や効率性を考えた上で計画的に行動できます。最終的に決められた期限や納期を守って仕事を完了できるため、社内外から信頼されやすいのも特徴です。

このような人材は自己管理能力が高いだけでなく、分業が必要なプロジェクトなどでも段取り良くチームの仕事をまとめてくれることが期待できます。計画性はどのような業務であっても重要となる能力であるため、企業から高く評価されやすいでしょう。

地道な努力を続けられる

世の中の仕事は、取り掛かってすぐに成果が出るものだけではありません。営業やマーケティングなど、チャレンジを継続して初めて望んだ結果が得られる仕事もあります。

真面目な人はそうした地道な努力を必要とする仕事であっても、コツコツと粘り強く取り組むことができます。

なかなか結果が出ない時期でも、誰かに管理されなくとも自分が今何をすべきか考え、行動し続けられる人であれば、企業としても安心して仕事を任せられるでしょう。

周囲から信頼されやすく人望が厚い

真面目な人は嘘や誤魔化しを嫌い、曲がったことを良しとしません。そのため仕事で手を抜いたり、いい加減に済ませたりすることなく、何事にも真剣に取り組みます。

「自分に非があれば素直に認めて謝る」、「言動に一貫性がある」、「裏表がなく誰に対しても平等に接する」といった姿勢も真面目な人の強みです。真面目さは誠実さとも言い換えられます。

仕事ぶりが誠実な人は「あの人に任せておけば大丈夫」と社内外から人望を得やすいため、どこの企業でも求められる人材といえます。

自己PRで真面目さを効果的に伝える構成

<真面目さを伝える構成>

①最初に真面目さが強みであることを述べる

②真面目さを発揮したエピソードを紹介

③真面目さがどのような成果・結果につながったか

④真面目さを仕事にどう活かすか

まずは、自分の強みが「真面目さ」であるという結論を述べましょう。結論ファーストで書くことで話の内容が明確になり、読み手にも言いたいことがストレートに伝わります。

また、単に「私の強みは真面目なことです」と書くよりも「私は地道な努力を粘り強く続けることが得意です」など、どのように真面目なのかを具体的に表現した方が読み手に印象づけることができます。

結論を述べたあとは、真面目さが強みであることを裏付ける具体的なエピソードを説明しましょう。例えば、アルバイトで真面目さを発揮した経験について書くのであれば、自分が直面した問題や課題、それに対するアクション、成果・結果をまとめます。

自己PRでは、あなたが自発的に考えて行動したことと、その結果が重要視されます。そこにあなたの人間的な魅力仕事に対する向き合い方が表れるからです。エピソードトークに終始せず、自分の考えや行動を伝えることを意識しましょう。

最後に、この真面目さを仕事にどう活かすのか、企業に貢献できるポイントを絡めてアピールします。採用するメリットを感じてもらい、入社後に活躍してくれそうなイメージを持ってもらえる内容になっているか確認しましょう。

オリジナリティのある真面目さエピソードの作り方

真面目さをアピールする他の学生の中から採用担当者の目に留まる自己PRを作るには、エピソードにオリジナリティが必要です。

ありきたりなエピソードではなく、自分らしい真面目さを見つけるための方法を解説します。

1.自分の真面目エピソードを書き出す

自分らしい真面目さとは何かを見つける上で自己分析が欠かせません。アルバイトや大学のゼミ、部活、インターン、習い事、友人や家族との関係など、どんな場面でも構わないので、真面目さを褒められた経験を思い返してみましょう。

褒められた経験はなくとも、長く続けている部活やアルバイト、習い事などがある人は、それだけで物事を真摯に継続する力が備わっているといえます。

エピソードが上手く思いつかない場合、特別なエピソードが必要だと考えている可能性があります。自己PRは自分の人柄や能力をアピールすることが目的ですので、人より優れていることをアピールする必要はありません。一度友人や家族に尋ねてみると、それまで自分では気づかなかった自分の真面目な一面が見えてくるでしょう。

2.エピソードの共通点を探し深掘りする

真面目エピソードを掘り下げていくつか書き出していくと、自分の行動や考え方に共通点が見えてくるはずです。シチュエーションや相手に関係なく発揮される真面目さ、それが「自分にとっての真面目さ」です。

同じ真面目さのアピールでも、例えば「地道な努力を続けられる真面目さ」や「仕事を計画的に遂行する真面目さ」など、自分なりの真面目さを定義することで、他の学生との差別化ができます。

このステップを踏まえて抽出された真面目さは、過去の複数の経験に基づいている強みであるため、採用担当者に説得力のある自己PRができるでしょう。

3.自分の真面目さをどう発揮するか提案する

自分らしい真面目さの定義づけができたら、どのような場面でその強みが発揮できるのかを企業の求める人材像や志望職種に応じて提案しましょう。

取引先に断られても粘り強く交渉することが求められる営業などの職種であれば、「困難にぶつかっても諦めずに挑戦を継続できます」といった提案が効果的です。採用担当者に入社後のあなたの活躍をイメージさせることができれば成功といえます。

自己PRでは真面目さを言い換えて差別化する

シンプルに「真面目」と表現するよりも、他の方法で言い換えた方がどのように真面目なのかが伝わりやすいものです。他の学生との差別化にもつながります。

真面目の言い換え表現は下記です。

  • 責任感が強い

  • 何事にも真摯に取り組む

  • 几帳面で細部まで手を抜かない

  • 忍耐強い

  • 最後までやり遂げ

  • 計画性がある

  • 誠実で信頼されやすい

  • 成長意欲がある

  • 向上心がある

  • 地道な努力を積み重ねられる

自分の真面目さが何か、深掘りしていくことで適切な言い換えが見つかるはずです。

「真面目さ」のエピソードから、どのように伝えると魅力が最大限に伝わるかを考え、自分に合ったフレーズを用いてみましょう。

【経験別】真面目さの自己PR例文

部活

例文

私は大学時代、サッカー部のキャプテンとして選手一人ひとりと誠実に向き合い、チームの成績向上につなげることができました。私が所属していたチームは過去数年間、全国大会への出場実績がなく、選手の士気も低下している状況にありました。そこで現状を変えるために選手全員にヒアリングを行ったところ、怪我の多さや練習スタイルに問題があることが判明しました。

私は怪我防止策として、疲労の溜まった状態で怪我のリスクが高い練習をしないことを提案し、体力のある前半に試合形式での練習を行い、後半で個別の技術練習や筋力トレーニングを行う体制に変更しました。その結果、選手の怪我が減少して徐々にチーム全体のモチベーションが高まり、公式戦での勝利回数も増えました。さらに3年次には念願の全国大会への出場も果たすことができました。

貴社に就職できた際には上記の経験を活かし、持ち前の誠実さと課題解決能力を武器に、周りから信頼される仕事をしてまいります。(450字以内)

この例文では、チームの現状把握から課題の発見、解決策の提案・実施と、目標を達成するために自分で考えて行動したことが順序立てて説明されている点がポイントです。

実際の業務は個人で完結できるものは少なく、チームで取り組むものが多くあります。個々のメンバーが能力を発揮できる環境を整え、目標を達成したチームマネジメントの経験は、社会に出てからも応用できるでしょう。

アルバイト

例文

私の強みは何事も自責思考で捉え、前向きに取り組むことです。大学時代、居酒屋でアルバイトをしていた際、繁華街という立地もあって来客が多く、マニュアル通りの提供時間が守れずに多数のクレームが発生する事態が発生していました。

クレームへの不満から愚痴をこぼしたり、すぐに退職してしまったりする人が多いなか、私は現状を改善すべく、従来の「注文ベース」から店の一押しメニューを積極的に勧める「提案ベース」での接客を意識することに努めました。

最初は想定通り進まず苦労しましたが、仕込みや在庫管理の状況に合わせて料理やドリンクを提供できるようになったことで、徐々に提供時間が短縮され、クレームが減少しました。また、スタッフの定着率も少しずつ改善していき、それまでの活躍が評価されて3ヶ月後にはアルバイトリーダーに抜擢されました。

このように現状を素直に受け止めて改善策を講じ、成果が出るまで継続する経験は貴社での業務でも生かせると考えております。(450字以内)

アルバイトという立場ながら課題に対して自分なりにできることを模索し、継続することでクレーム減少と責任ある立場への抜擢、社内での品質表彰という3つの成果につなげた理想的なエピソードです。

すぐには成果に結びつかなくても、投げ出さずに仕事に向き合う姿勢から真面目さがうかがえます。

可能であれば、クレーム発生率やスタッフの定着率の変化を具体的な数字とともにアピールできると、より説得力が高まるでしょう。

資格取得

例文

計画的に物事を進め、目標達成のために行動できるのが私の強みだと考えます。私は大学時代、授業と競技ダンス部での活動、将来に向けたIT関連資格の勉強の両立を目指していました。

しかし、授業とハードな練習で1日が終了してしまい、資格の勉強ができるのは通学中の電車内と、授業の休み時間のみでした。そこで限られた時間でも効率的に勉強するために1年間の勉強計画を立て、通学中はインプットの時間に当て、休み時間は友人に出題してもらい、アウトプットする形で毎日勉強しました。

結果的に、競技ダンス部の全国大会の出場メンバーとして活躍していた傍ら、2年次の終わりに資格試験に合格できました。授業と部活に並行して試験に合格する前例がなかったため、校内でも文武両道の活動を表彰されました。

上記の通り、私は時間が限られる中でも計画を立てて目標に向かって継続して取り組むことができます。貴社でも常に計画的に行動して貢献していきたいと考えています。(450字以内)

普段の授業とハードな部活動をしっかりこなしつつ、将来を見据えて資格取得のために計画的に勉強し、合格を果たすというのは、簡単に実現できることではありません。

計画性忍耐力も同時に兼ね備えていることが伝わる理想的な自己PRといえます。

やや全体に占めるエピソードの割合が多いため、もう少し「計画的に物事を進める能力」を応募職種の特性に絡めて書けると良いです。

留学

例文

私は周囲に流されず自身の目標を持って行動することができます。私は大学4年時にフランスの国際大学へ交換留学した経験があります。しかし、英語での授業が中心だったため、フランス語や現地の文化を学ぶためには英語だけに頼らず地元のコミュニティに溶け込むことが必要でした。

留学先には日本人も多く、休日は日本人同士で過ごす学生が多かった一方、私は積極的にフランス人中心のゼミや授業へ参加するなどして現地の言語と文化を学びました。1年間という短期間の留学でしたが、最終的には現地試験の「日常会話に問題ないレベルとされる」B2レベルに合格することができました。また、現地で仲良くなったフランス人の友人の親族内クリスマスイベントに招待されるなど思い出深い経験をすることができました。

このように、自身の目標のために流されずに行動することが私の強みです。社会人になってからも会社の目標を自身の目標に落とし込んで最後まで一貫して取り組んでまいります。(450字以内)

周囲に流されず自分で設定した目標に向かって努力する力も、真面目な性格のアピールには効果的です。語学試験への合格という実用的で目に見える形での成果に加え、現地の人と交流を深め、温かい関係を築くというヒューマンスキルもアピールできています。

ただ、この例文でも自分の強みをどう業務に活かしていくかという内容がやや薄いため、実際の業務での再現性を意識するとベターです。

ゼミ

例文

私の強みは困難な課題に対して真摯に向き合い、望んだ成果を得るために努力を継続できることです。大学院のゼミで「急速なデジタル化の進展に伴う倫理的・法的な問題」について研究していた際にこの強みを発揮しました。

研究では、まだ社会的にそれほど注目されていないデジタル化の弊害を浮き彫りにすることが目的でした。それには膨大な文献を調査してその中から質の高いものを選別し、適切に分析や批評を行う必要がありました。長い時間と根気を要する作業でしたが、教授や研究室の仲間に協力してもらいながらコツコツと情報収集に努め、多角的な視点からの情報を総合的に分析することで、現実の課題を正確に捉え、知識を深めることができました。最終的にはデジタル化が社会にもたらす隠れた倫理的・法的問題を学会で指摘し、解決への第一歩として議論の俎上に載せることができました。

貴社の業務においても、答えのない課題に対して正面から取り組み、よりよい社会の実現に向けて貢献していきたいと考えています。(450字以内)

膨大な文献を読み込み、その品質も精査しながら情報を取捨選択するというハードな研究を途中で投げ出さずにやり遂げたことから、意志の強さや粘り強い性格が伝わってきます。

研究過程のアピールで終わらず、学会での発表という具体的な成果にもつなげられており、堅実な仕事ぶりが期待できそうな自己PRに仕上がっています。

自己PRで真面目さをアピールする際に注意すること

真面目さは長所になり得る一方で、短所とも捉えられる性格です。真面目な性格の魅力を理解してもらうためには、真面目な性格が持つマイナスな側面も押さえておく必要があります。

そこで自己PRで真面目さをアピールする際の注意点を紹介します。

主体性がなく受け身な印象にならないようにする

受けた指示に素直に従う、ルールを守ることも真面目さのひとつですが、場合によっては「言われたことしかやらない」「指示待ち人間」「成長意欲がない」とネガティブに評価されてしまう可能性もあります。

実際のビジネスの場では、与えられた仕事をこなし、時間や期限を守るだけでは十分ではありません。自分で考えて行動すること、自分の意見をきちんと主張することも重要です。

真面目さをアピールする時には、課題に対して自発的に行動したエピソードを伝えるように意識してすることが大切です。

誇張や嘘は避ける

エントリーシートにある自己PRは、誇張や嘘の多い項目として注意して見られています。自己PRに書ける内容がうまく思いつかないと、つい実際の経験を盛って書いてしまうかもしません。

しかし、面接では書かれてある内容を深掘りされることがほとんどです。質問への回答に矛盾があったり、あやふやなところがあったりすると確実に企業に怪しまれます。

また、前章で真面目さは誠実さとも言い換えられると述べましたが、真面目さをアピールする文章で嘘を書くというのは、それ自体が信用を失う行為です。

自己PRでは必ずしも周囲に誇れるような派手なエピソードがなくても構いません。学生時代の経験から「自分なりの真面目さ」を分析して正直に書くことが大切です。

ネガティブに捉えられないように注意する

真面目で正義感の強い性格は、一方で「自分のルールにこだわる」「頑固」「融通が効かない」「柔軟な対応ができない」といったマイナスのイメージを抱かせる可能性もあります。

実際の業務ではイレギュラーな事態が発生することも多く、職種や業種に関係なく臨機応変な対応ができることは業務をスムーズにこなす上で不可欠な能力です。

周囲との協調性を持ち合わせていること、状況に応じた対応もできることを伝える一言を付け足せれば、真面目さをネガティブに捉えられるリスクを回避できるでしょう。

真面目さの伝え方を押さえて効果的な自己PRにしよう

真面目さは多くの企業で効果的なアピールポイントですが、オリジナリティの低い内容や、短所を分析できていないような内容では、かえって低い評価になってしまうおそれがあります。

自己PRで個性を出すためには、エピソードの深堀りが必要不可欠です。この記事を参考にして、これまでの経験を振り返り、より魅力の伝わる自己PRを作成できるようにしましょう。

【例文あり】ガクチカで「アルバイト経験」をアピールする書き方とコツ

ガクチカでアルバイトについて書くのはあり?

ガクチカでアピールする内容としてアルバイトの経験を選ぶのは問題ありません。

ただ漠然と経験談を話すだけでは、他の学生と似通ったガクチカとなってしまい、印象を残すのは難しくなります。

ガクチカにアルバイト経験を書く人は多いため、差別化が大切だとされています。「差別化」や「個性」「オリジナリティ」といった言葉から、特殊なエピソードが必要だと考えがちな人も多いです。

しかしながら、経験してきたことに対する「考え方」は人それぞれなので、自分の考えをクリアにして言語化し、アピールできれば良いのです。

例えばアルバイトをするなかで失敗した時、うまくいった時、課題が見つかった時などに自分は「どう感じたか?」「何を考えたか?」「どんな行動を起こしたか?」といったことを深掘りすると良いでしょう。

ガクチカを通して採用担当者が見るポイントとは

学生の思考力

ガクチカからは、学生の思考力を推し測ることができます。思考する力は社会で働くうえで重要視される力です。

ガクチカとしてアルバイト先の業務をただ書いているだけの人からは思考力を感じることができません。アルバイトをしているなかで経験した成功・失敗体験、課題に直面した経験を通して、自分の感情や起こした行動、その理由背景まで伝えることで思考力をアピールすることができます。

また、自分の経験を客観的かつ端的にまとめ、初めてガクチカを読んだ人でも納得のいく内容に仕上げることで自分の思考力を伝えることもできるのです。

会社と学生との相性

どれだけスキルの高い人であっても、社風や、将来の同僚との相性が良くなさそうな人材であれば、内定は難しくなるでしょう。

ガクチカから滲み出る学生の考え方や人柄を通じて、社風と合いそうか、働いている社員たちとは協働できそうかという側面を見られています。

受かるために自分自身を偽る必要はないですが、企業の求める人物像を分析し、共通点のあるガクチカになれば良いでしょう。

学生が持つポテンシャル

就活の場では、入社してから活躍してくれそうな、ポテンシャルのある学生が求められます。

ガクチカの中で述べられている、壁にぶつかって乗り越えた経験や、目標を達成するために行ってきたことなどから、入社後に活躍しているイメージを浮かべることができるのです。

選ぶべき内容としては、入社後の社会人生活で活かせそうな学びや経験を選ぶようにするのがおすすめです。

たんなる状況の説明で終わらない、自分の魅力が伝わるガクチカを作成して、効果的にアピールしていきましょう。

責任感

責任感のある人には仕事を安心して任せることができます。

例えば自分も関係者である、責任の一旦を担っているといった意識や、ミスが問題が起きた時に自分は無関係だと切り離さない当事者意識を持つことは働くうえでとても大切です。

入社したてでも責任感を持って仕事をしてくれそうな人材だと思ってもらえれば、好印象を残すことができます。

ただし、責任感のアピールはさじ加減を誤ると、マイナスな印象にもなりかねません。「一人で突っ走るタイプなのかな?」「抱え込むタイプなのかな?」といったマイナス面も想定されます。

責任感と共に柔軟性や、周囲との調和も感じられる内容になるとベストです。もしくは、ガクチカ以外のところでこれらのアピールをしても良いでしょう。バランスが大切です。

主体性

主体性は社会人にとって必要な力です。

学生時代と異なり、社会人は自分で課題を見つけたり目標を設定して行動していかなくてはなりません。学生は受ける授業が決まっていたり、課題を課せられたりと先生が決めてくれたことをこなしていくシーンが多いのが特徴です。

社会人と学生の大きな違いは、自ら考えて行動する主体性をいかに発揮できるかどうかという点にあります。そのため主体性はガクチカの有効なアピールポイントとなるでしょう。

粘り強さ

会社では継続的に働いて成果をあげてくれる人や、課題や目標から逃げずに達成できる人が求められます。そこで重視されるのが「粘り強さ」です。

継続できる力と忍耐力のある人は粘り強いと考えられます。

例えば「くじけそうになったけど諦めなかったこと」「苦しい経験から逃げ出さなかったこと」「自分の弱点との向き合い方や克服方法」などをアピールすると粘り強さが伝わるでしょう。

特に長期間同じアルバイトを続けられている人は良いアピール材料になります。長期間アルバイトする中では、辞めたいと思ったことや、大きな失敗、気持ちが沈む経験をすることも多いです。そんななかで続けられた理由はなんなのか、自分の思い価値観を伝えてみると良いでしょう。

柔軟性

会社が進化していくためには、変化がつきものです。会社が常により良い結果を求めていくなかで、環境の変化にも柔軟に対応できる力を持つ学生は高評価を受けられるでしょう。

また、働くにあたって意見の異なる人や、自分と異なる立場の人の意見も、理解しようと努める姿勢が求められます。

ガクチカの中で臨機応変に対応できた経験と共に、自分の考え方をアピールできると良いでしょう。

アルバイト経験のガクチカを書く構成

結論

ガクチカは結論から書き始めるのが基本です。最初に内容のまとめを伝え、どのようなテーマなのかを明確にしておくことで、その後に続くアピールポイントがわかりやすくなることが期待できるためです。

ただし、あくまで導入であるため、長々とは書かず簡潔にまとめるようにしましょう。1~2文程度で内容のポイントを取り上げることで、読みやすさを向上させることができます。

取り組みやエピソード

ここでは、ガクチカの具体的な内容を記載します。アルバイトについてのガクチカであれば、職場での取り組みや成果を挙げるのが一般的でしょう。

内容には具体性を持たせることで、その状況をイメージしやすくなるだけでなく、説得力も増します。特に、成果に関するエピソードでは、数値を記載すると非常に効果的です。

どのような課題に対して、どのような取り組みをして、どんな成果を上げたのかという流れをはっきりと示すことで、自身の能力の高さをアピールすることができます。

得た学びと貢献できること

最後は、その経験から得た学びを述べた上で、それを活かして志望企業へどのように貢献できるかを明確にして締めましょう。

ただ取り組んだだけで振り返りや反省がないのは、企業には好まれない姿勢です。取り組みからどんな学びを得たのかを自分の言葉で表現することで、仕事への適正をアピールできます。

また、その学びを踏まえて、企業にどのように貢献できるかを示すのも重要です。ここでは志望業種に合わせた内容にし、企業が求めていることを理解しているという点も同時にアピールするのがポイントです。

ガクチカでアピールに繋がるアルバイトとは

長期間続けているアルバイト

高校生から続けているアルバイトや、大学入学以来続けている長期間のアルバイト経験はガクチカで使いやすいです。

継続して続けられているという点が良い評価に繋がります。数ヶ月単位の短期間でアルバイトをたくさんしている人よりも、長く続けている人の方が、就職後の短期離職の可能性が低いと思ってもらえるのです。

できる限り戦力として働き続けてほしいのが企業なので、すぐに辞める可能性が低いと思ってもらえることはメリットとなります。

ただし、アルバイト暦よりも自分がその中で考えて行動したことや、アルバイトとの向き合い方といった価値観まで伝えることが重要です。自己分析もしっかりと行いましょう。

応募先企業の業務とリンクするアルバイト

例えば応募先企業がサービス業である場合、接客の業務が含まれているアルバイト経験があるとアピールしやすいです。応募したい職種が営業職であれば、販売スタッフのアルバイト経験なども良いでしょう。

入社後に従事することになる業務の経験が既にあると、採用担当者に安心感を持ってもらえることができます。

自分がアルバイトをしている時に意識していることや、取り組んでいたことを伝えられると、業務に対する姿勢がわかるので入社後に働く姿を想像しやすいです。

応募先企業での業務と同じ業務をアルバイトで経験している時のメリットは大きいので、ガクチカのアピールで活用していきましょう。

成果を残したアルバイト

成果とは良い結果のことを指しているので、なんらかの成果を残せたアルバイト経験はガクチカでのアピールに使うことができます。

分かりやすい成果は売上げなど数値で表せるものから、表彰されたり何かに選ばれた経験、周囲からの評判などが挙げられます。また、マネジメント経験を任された、なども日頃の働きぶりの成果であるとアピールできるでしょう。

自分が行った行動によって、成果をあげたことが伝えられるエピソードを探してみましょう。

長期のインターンシップ

お金をもらって実務経験をさせてもらえるものが多いのが長期のインターンシップです。期間は企業によって異なりますが、2、3日ではなく3ヶ月以上や場合によっては1年近く働く場合もあります。

普通では学生アルバイトの募集をしていない企業でも、長期インターンシップでは実践的な業務に携われるチャンスがあります。実際にインターン先企業で働いている人と同じ実務が経験できるため、長期インターンでの学びは大きな強みになるでしょう。

ガクチカでアルバイトを書く時のポイントとコツ

自分の「考え」を伝える

ガクチカにアルバイトのことを書く際、結果の凄さを伝えないといけないと思ってしまい、自分自身の考えが反映されていない内容になってしまうことがあります。

採用担当者が知りたいのは結果に至るまでの過程であり、経験のなかで学生が何を考え、感じ、どのような行動を行ってきたのか、というところです。

もし、社員を差し置いて全国1位の売り上げ成績を残したり、会社に影響を与えるほどのプロジェクトの立案をした、などといった目を見張る結果を残した場合であれば、結果自体が大きな評価になり得るかもしれません。

結果の凄さを伝えることに注力するよりも、「どうして成し遂げられたのか」「どのように乗り越えてきたのか」「どう考えて行動をとってきたのか」といった自身の考えを的確に伝えられること方が、自分の魅力をアピールすることに繋がります。

エピソードは1つに絞る

例えば、粘り強さをアピールしたいと思った時に、Aの場面、Bの場面、Cの場面のように1つのガクチカに複数のエピソードを盛り込まないようにしましょう。

自身が持つ「柔軟性」や「粘り強さ」といった「アピールポイントが最も伝わるエピソード」を1つ選びます。エピソードを絞るためにも自己分析と企業分析は必須です。

様々なエピソードに焦点が散らばってしまうと、読み手の集中力が切れてしまったり、エピソードの紹介で字数がいっぱいになってしまいます。

大切なのは力を発揮した場面の多さではないので、エピソードの取捨選択をしましょう。

数字があると伝わりやすい

アルバイトで得た経験をガクチカでアピールする際には、数字を用いると読み手がイメージしやすくなるので、おすすめです。

例えば数字が使える場面としては、◯年、◯人、◯円、◯個などを表すときが挙げられます。

数字を入れることにこだわる必要はありませんが、自分の取り組みを効率良くアピールできるので、ガクチカ内で使えそうな数字はないか振り返り、あれば記載するようにしましょう。

【仕事別】アルバイトを用いたガクチカの例文

飲食店のキッチン

例文

キッチンスタッフとして働いているアルバイト先での後輩指導に力を入れました。私が働く店舗には新人が3人おり、その大半がキッチン初心者でした。しかし新人に教える担当や、調理方法の基準が決まっておらず、業務効率が悪いという課題がありました。そこで私は2つの取り組みを行いました。1つ目は調理方法をマニュアル化し共有すること、2つ目は業務外でのコミュニケーションを図ることです。その結果、入って1ヶ月目でも戦力として働けるほど成長することができました。また、コミュニケーションが増えたことで、多忙な時間帯でも会話しやすい雰囲気となり、気になったことはすぐに質問してもらえるのでミスなくスムーズに業務を進めていけるようになりました。社員の方から「あなたが働いてくれて本当に良かった」と言ってもらえた時はとても嬉しかったです。今後も自分なりの工夫をしながら様々なことに挑戦し、成長していきたいです。(400字以内)

「2つの取り組みを行いました。」と、最初に自分が取り組んだことを数字と共に伝えることで、行ったことが複数あっても分かりやすい内容に仕上がります。複数伝えたいことがある時は、最初にいくつ述べるのか伝えると良いでしょう。

また、この例文では同僚とのコミュニケーションを大切にしている学生の価値観が伝わるので、入社後に働く姿を想像しやすいガクチカとなっています。

さらに、社員の方からの言葉といった、他人からの評価が書かれていることで、客観的に学生の人柄や成果を知ることができます。評価された言葉があれば、取り入れてみるのがおすすめです。

スーパー

例文

スーパーのアルバイトでコミュニケーション能力の向上に力を入れました。私には「人と話すことが苦手」という弱点がありましたが、勤務先の店舗ではお客様が通いやすいスーパーづくりを目指していたため、まずは笑顔で接客することを心がけました。最初はマニュアル通りの受け答えと挨拶をこなすだけでしたが、ちょっとした日常会話を積極的に取り入れるようにしたところ、名前を呼んでくれる常連のお客様の数が増えていきました。この経験から、「会話」を通して信頼関係を築くことの大切さを学びました。これから働くうえでも、お客様との信頼関係を築き、笑顔で帰っていただけるような仕事をしていきたいと考えています。(300字以内)

自分の苦手なことを書くと、マイナス評価になるのではないかと心配になりますが、苦手なことを苦手なままにしない姿勢が高評価に繋がります。

また、苦手なことを克服していける力や、ネガティブな物事からも学びを深め新たな価値観を手にできる力は社会人としてとても重要な力なので、ガクチカに取り入れてみましょう。「売上2倍」などの輝かしい成果だけが評価の対象ではないのです。

カフェ

例文

カフェでのアルバイトでお客様満足度の向上に取り組みました。自店舗は常に人手不足ということもあり、接客の質が落ちているという課題を抱えていました。そこで、お客様にとって居心地が良い空間とは何なのかを考え、「特別感のある言葉かけ」とお客様のニーズを先読みし「主体的に行動すること」を心がけました。試飲を勧めるときには「試飲どうそ」ではなく、「今できあがったところなので、ぜひ飲んでみてください」のような+αの言葉を意識する。お客様に呼ばれる前にテーブル状況を把握して声掛けに伺う。この2点を意識することで、お客様とのコミュニケーションが増え、名前を覚えていただくことも多くなりました。結果お客様アンケートの「満足度」が向上し、アルバイトリーダーに任命されました。この経験から、仕事においても問題に対してどう改善するのかを考え、主体的に行動していきます。(400字以内)

課題に対して、どう考え行動を起こしたのかがわかる例文になっています。この経験からアピールしたいポイントは「問題課題解決能力」です。そのため、実際に行った事例をわかりやすく説明するのではなく、「課題」「行動」「結果」がより明確にわかるよう深掘りした内容にまとめられるとより良いでしょう。

今回の例文では、顧客満足度の向上が結果になりますが、数字を用いた結果が出ている場合は、具体的な数字を用いるのがおすすめです。例えば、「店舗の売り上げが12%アップ」「顧客満足度が3.2点→4.0点にアップ」など。数字があることで成果がわかりやすく、採用担当者にイメージしてもらいやすいでしょう。

アパレルショップ

例文

アパレルショップでのアルバイトです。初めての物を売るアルバイトということもあり、当初はお客様からクレームをいただくこともありました。そこで、「また来たい」と思ってもらうことを目標に、2点の改善に取り組みましたました。1つ目は商品知識の質をあげること、2つ目はお客様との会話の中から本音を引き出し、それに見合った接客を心がけることです。この取り組みを始めてから、商品の相談をしてくださるお客様や、指名して購入してくれるお客様が徐々に増えていきました。この経験から、相手の立場に立って物事を考えることの大切さを学びました。貴社においても常に相手の目線に立って業務に取り組んでいきたいです。(300字以内)

目標を定めて行動した経験はガクチカにぴったりのエピソードです。目標と、達成するためにとった行動、結果の達成度合いを伝えるようにしましょう。特に、達成度合いが記されていることで、考えて動けるだけでなく結果を出せる人材だということが伝わるようになります。

また、業務のことに限らず働くこと全体に対する学びの活かし方が書かれていると、得たことをあらゆる面で活かせる力を持っているアピールにも繋がります。

コンビニ

例文

コンビニエンスストアでのアルバイトで「問題解決力」を発揮し、店の売り上げに貢献しました。私が働いていた店舗は来店数が多く、忙しい時間帯に規則性がない店舗でした。そのためお客様の多い時間が続くと、やらなければならない業務が時間内に終わらせられない状況が続いていました。そこで、業務の優先順位を決めることや、作業にかかる時間を計測し、該当する空き時間に進めること、忙しい時間の業務の振り分け方を店長に提案しました。また自分からも他のアルバイトにも働きかけたところ、積極的に協力してくれるようになり、効率的に業務が進むようになりました。結果、時間内に作業が終わるだけではなく発注のミスやロスが減り、月間の売り上げも向上しました。貴社においても、受け身にならず主体的に働いていきたいです。(350字以内)

ガクチカにアルバイトのことを書く場合、業務の効率化を図った経験も有効です。業務を効率化できる力は社会人としても必須になりますが、効率化を目指すなかで自分のどんな力が発揮されたのかまで述べられるのがベストです。

この例文では上司に提案できる力や、周囲に協力を仰げる力が伺えます。

またガクチカを書く際は、なぜ自分が行った取り組みが必要だったのか、という背景理由を述べることで、自分が起こした行動に説得力が増します。

ガクチカに書かない方が良いアルバイト

短期間で辞めたアルバイト

2、3ヶ月など半年に満たない短期間で辞めたアルバイトは書くのを控えた方が良いです。できれば1年以上続けているアルバイトの経験を使ってガクチカのアピールをしていきましょう。

ガクチカで使うアルバイト経験が長期で働くアルバイト経験でなかった場合、「採用したとしても短期間で辞めてしまうのかも」といったマイナスな印象を抱かせてしまいかねません。

文章のなかに勤務期間を書いていなくても、面接のときにどれくらい働いていたのか聞かれる可能性もあるので、できる限り働いている期間の長いアルバイト経験を伝えることをおすすめします。

もしも半年以上1年未満のアルバイト経験で、どうしてもアピールしたいことがあったり、選考において有利になりそうであれば書いてみるのも良いかもしれません。しっかりと自分の学びや強みが伝わるアピールの仕方を考えましょう。

人によって抱く印象が分かれるアルバイト

人によってアルバイト経験に対する印象が分かれるものは記載しないのが無難です。

代表的なものはいわゆる水商売と呼ばれる仕事です。得られるスキルや経験は他の仕事と比べて特別なものもありますが、採用担当者にアルバイト経験を伝えた際、難色を示す人がいる可能性があります。

金融業界などお堅い業界とされている企業へのアピールには使わないことをおすすめします。どうしてもアピールしたい場合は、「飲食店」のようにぼかしてアピールするのが良いでしょう。

他にもパチンコやスロットに力を入れて稼いでいたという場合も、良く無い印象を持たれる可能性が高いので、他のアピールできそうなアルバイト経験を探してみてください。

ガクチカにアルバイトのことを書く際の注意点

会社名は書かない

一般的には働いている店の名前や会社の名前を書く必要はありません。「ファストフード店」「カフェ」「コーヒーショップ」「テーマパーク」「レストラン」などと書くようにしましょう。面接で聞かれた時に答えれば良いのです。

また、コンビニやファミレスといった略称は使わずに、「コンビニエンスストア」「ファミリーレストラン」と正式名称で書くのがマナーとなっています。

専門用語を使わない

アルバイト先の情報が何も無い人でも十分に理解できる内容にするのが基本です。例えば「パートナー」「ハウスルール」「フェイス」「バッシング」といった言葉は、読み手が文脈から推測することはできても、解釈が一致しているかはわかりません。

一般的に使われている表現で伝える必要があります。アルバイトに入って初めて使った言葉かどうか振り返ると、専門用語かそうでないか見分けやすいでしょう。

嘘はつかない

輝かしい成果を語らなければならないと考えてしまい、エピソードを盛ってしまったり、全く違う内容にしてしまうのはやめましょう。

採用担当者に見抜かれる可能性があるうえに、嘘をついていると感じ取られてしまうとマイナス評価に繋がります。

ガクチカの内容は面接の場でも触れられることが多く、選考を通して嘘を突き通すのは難しいでしょう。また、採用担当者は数多くの学生の選考をしているので、態度や口にした言葉を通して容易に見抜かれてしまいます。

嘘はつかず誠実に向き合いましょう。

アルバイトのガクチカは成果をはっきりアピールしよう

アルバイトは仕事の経験として強くアピールできるポイントです。そのため、アルバイトをテーマにしたガクチカは、自分が有用な人材であることを直接的にアピールできるチャンスとなります。

さらに、具体的な成果を記載することで、実際に結果を出すことができる人材だということが企業に伝わり、選考を有利に進めることができるでしょう。

こちらを参考に、自身の経験や強みを効果的に表現できるガクチカを作成しましょう。

IT業界を突破する志望動機の書き方|新卒や未経験向けの例文付き

ESを仕上げる就活生に向け、IT業界の高い競争率を突破する志望動機の書き方を説明します。

市場の拡大が続くIT業界は、自身の成長を実感しながら働ける魅力があります。その反面、継続的な学びを要求され、心から情熱を傾けられる人でないと挫折する恐れもあります。中途半端な意志では務まらないため、志望動機には「明確な目標」を書くことを強く求められます。

目標設定には業界研究が欠かせません。この記事ではIT業界の全体像から、目標を導く方法、志望動機の書き方を解説します。文系や未経験者でも、ビジョンを明確に打ち出した志望動機を書けるようになるでしょう。業種別・職種別の例文も参考にしてください。

IT業界の志望動機を書く前に業界を理解しよう!

IT業界は学生から高い人気を誇ります。マイナビが実施した「2025年卒大学生就職意識調査」によれば、「ソフトウェア・情報処理・ネット関連」は「学生が現時点で志望する職種」の第2位につけています。理系はもちろん、文系でも志望者が比較的多いのが特徴です。インターンシップの参加割合も高く、学生が積極的に就職を検討する様子が伺えます。

人気の背景には高い成長率が挙げられます。近年はDXの推進やリモートワークの普及により、年々業界へのニーズが高まっています。堅調な伸び率が期待できるため、学生が安心してキャリアパスを描けるのです。AIやVRなど技術革新が進めば、ニーズはますます高まるでしょう。

しかし成長率や技術革新を志望動機に据えても、良い結果は得られません。企業が知りたいのは、あなたのビジョンです。業界研究・企業研究をしっかりと行い、自身のビジョンを明確に定めることが、志望動機をつくる第一歩だと考えましょう。

(参照:2025年卒大学生就職意識調査 | 株式会社マイナビ)

(参照:2025年卒 大学生インターンシップ・就職活動準備実態調査|株式会社マイナビ)

IT業界は5つの業種に細分化できる

プログラムを開発する「ソフトウェア業」

パソコンやスマートフォンを動かすOSや、ユーザーが操作するアプリ(ソフト)をソフトウェアと呼びます。ソフトウェアを開発するのがソフトウェア業です。

ソフトウェア業は大きく2つに分けられます。パッケージソフトを開発する企業と、受託開発を行う企業です。私達が日常的に使用するのがパッケージソフト、取引先のニーズに応じて開発されるのが受託開発ソフトです。受託開発には、あらゆるニーズに臨機応変に対応する技術力が求められます。

社内ではソフトウェアエンジニアやプログラマー、セキュリティエンジニアなどが活躍しています。人手不足が深刻化していることから、大学で専門知識を習得した人でなくても、努力次第で挑戦できるフィールドがあります。

主な企業

NEC、IBM、ジャストシステム、トレンドマイクロ、日本オラクル、富士通、ソースネクスト

機械や装置を製造する「ハードウェア業」

ソフトウェアに対して、パソコンやスマートフォンなどの物理的な筐体をハードウェアと呼びます。ハードウェアを開発するのがハードウェア業です。

ハードウェアはキーボード・マウスなどの入力装置、HDD・SSDなどの記憶装置、CPU・GPUなどの制御・演算装置、モニター・プリンターなどの出力装置に分けられます。各種装置とソフトウェアが組み合わさり、一つの製品が出来上がるイメージです。近年は物とインターネットを繋ぐIoT技術の開発が進み、家電や建物などさまざまな物がハードウェアの役割を担うようになりました。事業領域も拡大し、エンジニアには広範な知識と技術が要求されます。

社内ではハードウェアエンジニア、組み込みエンジニアなどが活躍しています。高い技術力だけでなく、変化に対応できる柔軟性や新たな知識を習得する姿勢が求められます。

主な企業

日立製作所、SONY、パナソニック、三菱電機、富士通、キャノン、NEC

堅牢なシステムを構築する「情報処理サービス業」

企業が扱うデータは膨大です。クライアント企業に適した情報システムを開発・運用することでビッグデータを安全に管理し、堅牢なセキュリティシステムを提供するのが情報処理サービス業の役割です。事業内容は「システムを取りまとめる」という意味で「System Integrator(SI)」と呼ばれ、サービス提供企業は「SIer(エスアイヤー:SIを提供する者)」と称されます。

SIerの事業形態は3つに分かれます。ハードウェアメーカーから分離して設立された「メーカー系」、企業の情報システム部門が独立した「ユーザー系」、元になる会社を持たない「独立系」です。多くのSIerは独立系で、クライアント企業に合わせた独自のサービスを提供しています。

社内ではネットワークエンジニアやサーバーエンジニア、セキュリティエンジニアが協力して業務を推進しています。ITコンサルタントやDXコンサルタントも多数在籍しているため、クライアント企業のコンサルティグも得意です。

国ぐるみのDX推進やセキュリティ意識の高まりにより、SIerの社会的責務は年々大きくなっています。強い使命感と責任感を持ち業務にあたる人材が求められます。

主な企業

NTTデータ、富士通、NEC、野村総合研究所、大塚商会、TIS、Sky

通信サービスを整備する「通信インフラ業」

インターネットやWi-Fiなど、通信環境を整備し提供するのが通信インフラ業です。通信基盤の設計から機器の導入、ネットワークの構築までを一手に担い社会を支えます。通信環境を維持する責務を負うため、障害発生時には早急な対応を迫られます。大変なことが多い分、自身の力で社会を支える喜びを得られるのが特徴です。

社内ではネットワークエンジニア、サーバーエンジニア、セキュリティエンジニアなどが活躍しています。業務の特性上、仕事を全うする強い責任感と、トラブルに臨機応変に対応できる技術力が必要です。

今後はネットワーク上でソフトを使用する「SaaS(サース)」や6Gへの対応など、業務領域が広がることが予想されます。エンジニアは新たな知識を貪欲に吸収し、変化に柔軟に対応する必要があります。

主な企業

NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、ビッグローブ、朝日ネット、フリービット、GMOインターネット

サービスを提供する「インターネット・Web業」

Webサイトの制作や運営、ECサイト構築、検索エンジンの開発などを行うのがインターネット・Web業です。私達が日々利用するSNSやオンラインショッピングサイトなどの個人向けサービスはもちろん、企業のブランディングやSEO対策、広告制作・運用など幅広い業務を担います。

社内ではWebデザイナーやWebコーダー、Webエンジニアなどが協力し合って仕事を進めています。文章制作やマーケティングを専門に行う職種もあり、文系から就職しやすいのも特徴です。人材不足が進んでおり、未経験者でも積極的に採用される傾向があります。技術を貪欲に吸収し、変化に対応していける人材が求められます。

主な企業

リクルートホールディングス、楽天グループ、LINEヤフー、Amazonジャパン、Google、サイバーエージェント、DeNA

新卒未経験で就ける職種もある!IT業界の代表職種

業種に応じて種類が多い「システムエンジニア」

システムエンジニア(SE)は顧客から要望を聞き出し、システム要件を明確にして開発を指示する職業です。実装する機能を具体化しながら大枠の仕様を決め、徐々に詳細な設定に煮詰めていきます。設計書をプログラマーに回すことで、実際にシステムが構築されます。

SEはソフトウェアエンジニア、ハードウェアエンジニア、ネットワークエンジニア、サーバーエンジニア、セキュリティエンジニア、Webエンジニアなど、事業領域ごとに細分化されます。異なる分野のSEが専門性を発揮し合い、一つの商品(サービス)を作り上げていきます。

入社後はプログラマーとして経験を積み、十分な技術力をつけてSEにキャリアアップするのが通例です。(大学でプログラミングを習得していれば、SEとして就職できる可能性もあります)SEで実績を残せば、プロジェクトリーダープロジェクトマネージャーに昇進する道が開けます。

就職ではプログラミングなどの開発スキルやコミュニケーション能力、課題発見力、論理的思考力が求められます。常に新しい知識を吸収する姿勢も必要です。

努力次第で幅広い業務ができる「プログラマー」

SEが作った設計書をもとに実際にプログラムを組むのがプログラマーです。所属する会社や顧客のニーズにより、手掛ける領域が大きく異なります。複数のプログラム言語を習得しておけば、業務領域を広げられるでしょう。

日々の業務は地道な努力の連続です。納期に追われ、厳しさを感じることもあるかもしれません。しかし自身の努力でシステムを動かせる喜びは何物にも代えがたく、技術者としてのやりがいを強く感じられます。明確な目標を持ちスキルを高めていける人ならば、成果を積み重ねていけるでしょう。実績を残せば、SEへステップアップする道も開けます。

なおプログラマーは技術職ではあるものの、未経験者にも門戸が開かれています。ニーズの増加に人材が追いつかないためです。自分でできる限りの技術を身につけ、アピール材料をつくりましょう。

企業イメージを形にする「Webデザイナー」

顧客からのヒアリングに基づき、ブランディングや購買に最適なデザインを作成・提案するのがWebデザイナーです。コーポレートサイトは企業イメージをビジュアルで表現する役割を担います。センスや独創性だけではなく「ヒアリングした内容を形にする力」が必要です。

業務では顧客のニーズを正確に掴み取る傾聴力、情報をデザインへ繋げる発想力などが求められます。業務の幅を広げるには、コーディングやWebマーケティングの知識も習得すると良いでしょう。ユーザーにとってより使いやすく、効果が実感できるサイトを構築できます。

なおコードを書くWebコーダーが別にいる企業では、Webデザイナーの業務領域はデザイン作業のみです。未経験者や文系出身者でも比較的取り組みやすく、努力次第で活躍のチャンスが広がります。

サイトの戦略を練る「Webマーケター」

インターネット上でユーザーの行動分析や市場調査を行い、「売れる」または「ブランディングに成功する」戦略を策定・実行するのがWebマーケターの役割です。サイトのアクセス数をアップさせるSEO対策や、Web広告の出稿、SNS運用などを行います。Webサイトはつくって終わりではありません。コンバージョンを上げてこそ意味があります。Webデザイナーやエンジニアの技術を活かすためにも、Webマーケターの存在は欠かせません。

業務では高度な分析力や、課題を解決に導く論理的思考力が求められます。Googleサーチコンソールやアナリティクスを使用するため、自身でサイトを運営した経験があれば大きな武器になります。未経験者は書籍や動画などで最低限の知識をつけると良いでしょう。

顧客のIT課題を解決する「営業」

営業職は、顧客のニーズが高い業界ほどやりがいを感じられます。国を挙げてのDX推進やリモートワークの普及により、IT業界のニーズは高まるばかりです。「ITで顧客の課題を解決する」「社会をより便利にする」といったビジョンを掲げながら、誇りを持って仕事ができるでしょう。

業務にはITへの知識や興味が強く求められます。人に説明できるだけの専門性がなければ、日々の仕事が務まらないからです。継続的な勉強が必要になることを覚悟しなければなりません。

一般業務に加えIT関連のサポートもする「事務」

IT業界の事務職は、通常事務に加え自社商品(サービス)のサポートも求められます。具体的には問い合わせ電話への応対や、製品マニュアルの作成、IT機器のインストール・初期設定などです。一般の事務とは毛色が異なるため、「IT事務」と区別して呼ばれることもあります。

IT事務には多様な能力が必要です。自社商品(サービス)に関わる深い知識が必要な点では、エンジニアに通じるものがあります。製品マニュアルを作成する際には、論理的な構成力や文章力など文系的な力も求められるでしょう。文系・理系でどちらが有利とも言えないのが特徴です。自社の業務領域に関して誰よりも詳しくなる気概と、勉強を続ける姿勢をもって仕事に臨みましょう。

変化が速い業界だからこそ力を発揮する「人事」

IT業界は需要の高まりに対し、人手が圧倒的に足りない状態です。人材確保・育成に関わる人事の役割は他の業界以上に大きいと言えます。特に人材育成システムの構築は急務です。社内に知識や技術を習得できる仕組みがあれば、未経験者をポテンシャル採用しても実務レベルに育てられます。

通常、人事に求められるのは高いコミュニケーション能力や管理能力です。IT業界では、それに加えて業界の未来を予測する能力や、自社の課題を適切に見抜く観察眼が必要です。変化の速い業界だからこそ、経営者的な目線で長期人事戦略を練れる人材が求められます。

IT業界を目指すなら必須になる能力

スキルを日々上げる高い「学習意欲」

IT技術の進歩は目覚ましく、今年の常識は来年には通用しません。常に新しいことを取り入れ勉強する姿勢がなければ、変化に対応できないでしょう。「今ある技術で安泰」と考えるエンジニアや、「将来の成長」だけを求めて就職する人には不向きです。常に自身のスキルを上げ、高い学習意欲を持ち業務に取り組む必要があります。

変化や要望に柔軟に対応できる「対応力」

IT業界では臨機応変な対応力が求められます。システムにバグがあった場合はもちろん、顧客からの要望にも真摯に対応しなければなりません。技術の進化に伴い、仕様を変更した方がよりユーザーライクになるケースもあります。一つの技術に凝り固まるのではなく、多角的に判断し対応する力が求められます。

状況を分析する「課題発見力」

想定外の事態が起こったとき、エンジニアは冷静に状況を分析し解決に努めなければなりません。特に客先からのクレームがあれば、迅速な対応が必要です。緻密な現状分析で課題を発見し、対策を講じる力が求められます。

課題発見力は営業やIT事務にも必須です。顧客からの意見を最初に聞き出すのは営業や事務職です。的確に課題を突き止め、エンジニアに伝える役割を担います。

知識と論理的思考力を元にした「課題解決能力」

発見した課題は解決に導かなければなりません。課題の解決には、知識と経験、論理的思考力が必須です。

自社製品(サービス)に関する知識が多いほど多角的に原因を考察でき、複数の策で問題解決にあたれます。さらに問題解決の経験があれば、過去の事象と照らし合わせて考えることもできるでしょう。知識と経験をバックグラウンドに持つことで、初めて論理的に解決の筋道を立てることができ、論理的思考力を活かせるのです。

就職する分野の知識をできるだけ多く身につけ、論理的思考力を鍛えておくことが大切です。

チームワークに必須の「コミュニケーション能力」

IT業界では商品(サービス)開発に向け、臨機応変にチームを組んで動きます。そのため、チーム内でのやりとりを円滑にするためのコミュニケーション能力は必須です。円滑なコミュニケーションには、チーム全体が同じ目的を共有すること、互いの専門性を尊重し合い働くことが大切です。

新入社員はプロジェクトを成し遂げる強い意志を持つことや、各分野のエンジニアを尊重し学ぶ姿勢を心がけます。あなた自身が成長することで、徐々に先輩社員と同じ専門性を持ち、対等に話せるようになるでしょう。

IT業界の志望動機が思いつかない?目標を引き出す方法

IT業界のニーズと自身の力を照らし合わせる

明確な志望動機が思い浮かばないときには、業界研究を徹底します。業界の現状と展望を知ることで、「今どのような人材が求められているか」「この先必要な技術は何か」が分かるでしょう。業界のニーズと自身の力を照らし合わせ、目標を引き出します。プログラミングなどの技術力でなくても、「課題発見力」「柔軟な対応力」などIT業界の人材に求められる力があれば十分です。

例えばIT業界で求められる人物像を「企業のDX化を加速させられる人材」だと読み取ったら、「プレゼンテーション能力」「傾聴力」などを軸に営業やIT事務の仕事ができるかもしれません。自分にでき得る仕事が分かったら、職種への学びを深めましょう。徐々に目指すべき将来像を絞り込めます。

アルバイトの経験からテーマを導く

アルバイト先での体験を就労意欲に結びつける手法もあります。「成功体験をさらに深める」「課題解消を目指す」か、どちらかのスタンスに立つのがおすすめです。

例えば店のブログ更新を任され、SEOの知識をつけながら集客に成功してきた自負があるなら、知識を深め Webマーケターとして社会貢献の道を目指す流れが自然です。成功体験はビジネスモデルに応用しやすく、入社して知識を深めれば、より大きな商業的成功に結びつけられます。

ポジティブな内容が書けない人は、業務で感じた課題を取り上げます。例えばIT技術導入の効果が見込まれるにもかかわらず、導入コストの問題で見送っている現状を取り上げれば、業界への問題提議になります。課題解決のために何が必要か考えることで、あなたがIT業界で目指すビジョンが見えてくるでしょう。

安価なシステムを開発するSE、業界特化型のシステムを提案する営業職など、自身に出来得る範囲内で目標を見定めます。

制作ノウハウを学び魅力を見つける

プログラミングやWebサイトの構築を独学で始める手もあります。学んだものが少しずつ形になる快感は、ものづくりの醍醐味です。「とりあえずやってみる」ことで、魅力に引き込まれ、気づけば虜になることも少なくありません。就職して「つくりたいもの」「実現したいこと」も自然と見えてくるでしょう。

現在はプログラミング・Web制作ともに良質なハウツー本が数多く出版されています。評判の良い本を入手し、お手本のとおりに作ることから始めましょう。原理を理解しながら進めれば、応用が効くようになります。じっくり取り組むうちに、最低限のレベルが身につくでしょう。もちろん、時間やお金に余裕があればスクールでプロに習うのも良い方法です。

基礎の習得過程で気づいた魅力を軸に、IT業界でのビジョンを見定めていきます。学びが深まるほどに、ビジョンが具体化します。

新卒未経験でIT業界の志望動機を書く際のポイント

業界の現状を理解し将来のビジョンを明確に持つ

IT業界の業務は多岐にわたります。「IT業界で何をしたいか」というビジョンを明確に持つことが大切です。専門性の高い仕事が多いため、知識とスキルの習得には努力が欠かせません。ビジョンが不明瞭なままだと、困難を克服できず、途中で挫折する恐れがあります。

ビジョンを見定めるには、業界研究をじっくりと行います。業界の現状と展望を理解し、これからのIT業界であなたにできることを考えましょう。

企業の強みとあなたのビジョンを照らし合わせる

ビジョンを見定めたら、企業研究をしっかりと行います。実現に最適な企業を選び出しましょう。同じ業種に属する企業でも、それぞれ強みに据える領域が異なります。「ビジョンの実現には、この会社が最適」と思える企業が見つかるまで、研究を続けましょうす。あなたのビジョンと企業の強みがうまく結びつけば、志望動機に強い説得力が生まれます。

自己の強みを入れ企業に貢献できる根拠を示す

あなたが会社に貢献できる根拠も必要です。根拠がなければ、目標を掲げても実現の可能性を疑われます。仕事に繋がる強みを示しましょう。

プログラミングやWeb制作などを大学で専攻し高い専門性を有する人は、その専門性こそ強みになります。できることを具体的に示し、可能であればポートフォリオを用意しましょう。

未経験の場合は、これまでの学校生活、アルバイトなどで培った力が、社会でも活きることを説明します。IT業界に必要とされる「課題発見力」「課題解決能力」「臨機応変な対応力」などを挙げると、仕事に結びつけやすいでしょう。

IT業界の急速な変化にも対応する学習意欲を示す

IT業界は日進月歩です。入社後は常に知識をアップデートすることを求められます。学習を続け、最先端の技術を身につける意志を強く示しましょう。

企業は新卒の多くをポテンシャルで採用します。学びを続ける中で技術を身につけ、業界を引っ張る人材になることを期待しているのです。学習意欲が低いと、将来有用な人材になる可能性を感じられません。

経験から得た学びを入社後の仕事に繋げる

志望動機に説得力を出すために、アルバイトや部活動などで経験したエピソードを記述します。エピソードは単なる自慢話で終わらないよう注意しましょう。経験を通して得られた学びを挙げ、それが仕事に繋がることを記述します。企業はそこから仕事への姿勢や適性を読み取ります。

新卒未経験でIT業界の志望動機を書く5STEP

IT業界の志望動機を効果的に書く5STEP

①IT業界で成し遂げたいビジョンを明確にする

②具体的なエピソードを示し、IT業界を目指す理由と具体的なエピソードを示す

③選考を受ける企業に絞った理由を書く

④入社後に当該企業で活躍できると考える根拠を挙げる

⑤今後の学習意欲と入社後の決意で締める

IT業界の志望動機は、①〜⑤の流れで書くと説得力があります。論理的思考力が強く求められる業界だけに、志望動機も論理的に構成する必要があります。この順番なら理屈が通りやすく、伝えたい内容も明確です。ESにぴったりの350〜400字程度で仕上げられるでしょう。

①IT業界で成し遂げたいビジョン

志望動機で最も伝えなければならないのは、IT業界で成し遂げたい目標です。「何をしたいのか」はっきりしない人は、自分の中に軸を持てません。ビジョンを掲げ、強い意志で仕事に取り組む心意気をはっきりと示しましょう。

②IT業界を目指す理由と具体的なエピソード

IT業界を目指すきっかけを、具体的なエピソードと共に紹介します。学生生活での成功体験やアルバイトでの課題発見、幼い頃に感じたものづくりへの情熱など、内容は問いません。

大切なのは、記述の内容がIT業界での仕事に繋がることです。「他の業界でも実現できるのでは?」と疑問を持たれると、選考に通りません。例えば「技術で人の役に立ちたい」といったエピソードでは、IT業界に絞る理由が明確に示せません。そのため、「〇〇の技術で人の役に立ちたい」と具体化させ、業界を絞る内容にする必要があります。

③選考を受ける企業に絞った理由

選考を受ける企業に絞った理由を明確にします。ホームページやパンフレットを参照することはもちろん、会社説明会にも積極的に参加し、強みを的確に理解しましょう。会社の強みとあなたのビジョンが結びつけば、当該企業に絞る理由ができます。「競合する他の会社でも良いのでは?」と思われないよう、注意しながら記述します。

④入社後に活躍できる根拠

理由からすぐに今後の決意へ繋げると、会社に貢献する根拠に乏しく感じられます。例えば「一流のエンジニアを目指して頑張ります」と書いても、「何を根拠にそう考えているのか」が不明瞭になってしまいます。そのため、仕事に繋がる強みを掘り起こし、会社で活躍できる根拠を示しましょう。

内容はプログラミングやWebデザインなどの保有スキルでも、「論理的思考力」「課題発見力」などの抽象的な力でも構いません。「この強みがある人なら会社に貢献できるだろう」と思ってもらえるよう記述します。

⑤今後の学習意欲と入社後の決意

最後に入社後の決意を示します。ビジョンの達成に向け、社内でどのように仕事をしていくか、熱意をはっきりと示しましょう。「今後も勉強を怠らない」「〜の知識を広げていきたい」など、学習意欲を同時に示すと効果的です。貪欲に学びを深められる人材だと分かれば、企業も採用しやすいでしょう。

【業種別例文】未経験でIT業界を目指す志望動機①

ソフトウェア業

例文

クラウドで一括展開する自治体向けソフトウェアを開発したいと考え、貴社を志望しました。

自治体DXが思うように進まない理由の一つに、導入コストの高さが挙げられます。兄が勤務する町役場でも、DXを導入できずに業務過多の状態が続いています。解決策として考えたのが、必要なソフトをクラウド上で一括展開する手法です。クラウド版はインストール版と比べコストが下げられます。汎用性のある商品を開発できつくれれば、受託開発に高い費用をかける必要もなくなります。私はエンジニアとして、このソフトの実現に努めたいです。

貴社は教育機関にクラウドパックを展開した実績があります。実績豊富な貴社でなら、自治体向けの開発も目指せると考えます。

私は中学生の頃から趣味でプログラミングを続けており、 C++の基礎が身についています。入社後はプログラマーとして開発のノウハウをしっかりと学び、ソフトウェアエンジニアを目指して努力します。(400字以内)

プログラミングを長く続けてきた立場で、総務省が進める自治体DXに対して問題提議しています。課題を発見し解決策を考える姿勢は、入社後の業務でも強く求められます。エンジニアとしての姿勢に高い評価を得られるでしょう。挫折しやすいC++を自己アピールに取り上げたのも評価ポイントです。

ハードウェア業

例文

視力が落ちた高齢者にも見やすいディスプレイを開発したいと考え、貴社を志望しました。

現在はスマホの普及により、多くの高齢者が電子機器に触れています。しかしパソコンは使い勝手が良いと言えないのが現状です。70代の祖父も「見えにくい」と自宅のパソコンを毛嫌いしています。高齢者でも見やすいディスプレイの条件は、ピンチアウトが自由にできること、人間工学に基づく照度、形状だと考えます。私はこれらを満たすディスプレイを開発したいと考えるようになりました。

貴社は人間工学に基づくキーボードやマウスの開発で知られています。貴社でなら、ディスプレイの研究を深め、夢を実現できるのではないかと考えます。

私は大学で電子工学を専攻しており、電子基板の仕組みを理解しています。入社後は知識を実務レベルに引き上げられるよう勉強を重ねていきたいです。社会に役立つ製品を作れる一流のハードウェアエンジニアを目指して努力します。(400字以内)

実生活から成し遂げたい夢を見つけたパターンです。高齢者の実際の声を引用することで、話に切実さが生まれます。開発で克服するべき条件を自身で考えられるところが、電子工学を専攻する学生らしく好印象です。

仕事に繋がる学びを大学で続けている人は、それを伸ばす方向で書くと自然な決意になります。入社後に努力する方向性も明確で、高い評価を得られるでしょう。

情報処理サービス業

例文

私はクラウドサービスのセキュリティ技術を顧客に分かりやすく説明するセールスエンジニアになりたいと考え、貴社を志望しました。

ユーザーとしてクラウドを利用し実感するのは、「自分がどこまで管理しているか分からない」不安感です。中身がブラックボックス化しており、ユーザー自身で安全性の判断ができません。実際、3割近くの人が情報漏洩やセキュリティリスクを感じているとのデータもあります。エンジニアは、セキュリティについてより分かりやすく顧客に説明する必要があると考えます。私自身が説明する立場になり、クライアント企業に技術を分かりやすく正確に伝えたいと考えるようになりました。

私はアルバイトで数多くの新規企画に携わりました。プレゼンテーション能力には自信があります。入社後は技術的な知識をしっかりと身につけ、一刻も早く客先へ出向けるよう努力します。(400字以内)

SIerが提供するサービスにユーザーの立場で問題を提起し、自ら解決する意志を示しています。データを調べ客観的に証拠を示す書き方は、顧客にプレゼンする未来の姿を想像させ、高評価を得られるでしょう。

今回の志望動機では「プレゼンテーション能力」を会社に貢献できる根拠に挙げています。文系からIT業界に挑戦する場合、技術的なアピールができる人は多くありません。このように実際の業務に結びつく力を記述すると、説得力のある志望動機になります。

通信インフラ業

例文

通信インフラを整備することで「日本のどこにいても働ける環境」をつくりたいと考え、貴社を志望しました。

私の実家は東北の山村です。介護を理由に父が実家に戻ったとき、地元に働き口はほとんどありませんでした。このような状況が地方衰退を招いてきたのだと感じます。現在リモートワークが普及しているのは良い流れです。エンジニアとして通信インフラを日本中に整備し、この流れを加速させることが私の夢になりました。どこにいても仕事ができ、家族や故郷を大切にできる社会をつくりたいです。

貴社は高速回線を日本の隅々にまで整備する理念を掲げています。理念に深く共感し、私も貴社の一員として働きたいと強く願っています。

ネットワークエンジニアには一からの挑戦です。現在はプログラミングの勉強を進めています。ディベートで鍛えた論理的思考力や推論する力も活かし、少しでも早く会社に貢献できるよう努力を重ねていきたいです。(400字以内)

理念への共感を理由に企業を絞り込んだパターンです。それ自体はありきたりな内容に終止するものの、きっかけ部分の経験に説得力があり、強い想いで入社を希望していることが伝わります。未経験を克服するための努力や、自身の強みを端的に説明しているのも評価ポイントです。

インターネット・Web業

例文

商品の魅力を端的に伝えるWebデザインを手掛けたいと考え、貴社を志望しました。

私はこれまでサークルや趣味のWebサイトを独学で制作してきました。さまざまなサイトを見てデザインを研究するうちに、「良いデザインとは何か」を真剣に考えるようになりました。特に消費意欲の向上に繋げるランディングページは、趣向が凝らされています。デザイナーとして、私もランディングページを手掛けたいと考えるようになりました。

私が目指すのはすっきりしていながらも、写真やキャッチコピーに説得力のあるデザインです。貴社の制作物は季節感を大切にした美しいデザインと、心に残るキャッチコピーが魅力です。表現手法に強く惹かれ、貴社で仕事がしたいと考えるようになりました。

これまでの制作経験から、デザイン案を提示することには自信があります。入社後はコーディングの知識を貪欲に習得すると共に、社会に受け入れられるデザインを追求していきます。(400字以内)

選考を受ける企業が手掛ける作品に惹かれ、入社を強く希望する文章です。このパターンでは、当該企業に絞る理由が明確で、志望動機にブレがありません。

注意したいのは魅力の取り上げ方です。企業が別の魅力を発信することに注力している場合、「過去の魅力」「一部の魅力」だけを切り取ると不快感を与える恐れがあります。企業研究をしっかりと行い、企業が注力するポイントを確かめておきましょう。

【職種別例文】未経験でIT業界を目指す志望動機②

システムエンジニア

例文

業界や業種を限定した特化型のソフトウェア開発に携わりたいと考え、貴社を志望しました。

私の父は小さな町工場を経営しています。会社にあるのはパッケージソフトばかりで、事業の特異性をカバーするものではありません。受託開発のソフトはコストがかかり、簡単に導入できるものではないそうです。状況改善のため、私は業種を限定した「業種特化型」のパッケージソフトを開発したいと考えるようになりました。

貴社は小売・卸業向けのソフトウェア開発で有名です。貴社でなら一つの分野に特化した開発が可能です。私の夢も実現できるのではないかと考えました。小売・卸業界をしっかりと見つめることから始め、業界・業種を広げていきたいです。

私は大学で情報工学を学んだことで、プログラミングには自信があります。プログラマーとして実務経験を積み、ゆくゆくはSEを目指します。また業界研究を怠らず、顧客ニーズを的確に判断できるよう努力したいです。(400字以内)

SEは業務領域が広いため、「どの業種で」「何をしたいのか」を明確にする必要があります。この文章では家族の経験からヒントを得て、開発したいものを特定しています。明確なビジョンを持つことで、選考を受ける企業に絞る理由にも納得できます。

ただし、SEの職に新卒で就くことは稀です。まずはプログラマーとして就職し、ゆくゆくはSEを目指す姿勢を示すと良いでしょう。

プログラマー

例文

Webサイトやアプリケーションを制御するWebプログラマーを目指すため、貴社を志望しました。

私はアルバイト先でWebサイトの管理を行っています。ブログや写真の更新から始め、現在は簡単なコーディングも手掛けるようになりました。管理を続けるうちに、サイトを思いどおりに動かすにはプログラミングの知識が不可欠なことに気づかされました。必要に迫られJavaを勉強していくうち、楽しさに魅せられプロを志すようになりました。

貴社はデザインに頼るだけでなく、ユーザーに便利な機能を実装したサイトづくりに定評があります。特にECサイトの使いやすさは群を抜いています。貴社に入社し、プログラミングの腕を高めたいと考えるようになりました。

入社までにJavaの知識を深め、できるだけ早く活躍できるよう努力します。他言語も貪欲に習得し、どのような要求にも応えられるプログラマーを目指したいです(400字以内)

プログラミングは地道で細かな作業です。ときには忍耐力が必要になることもあるでしょう。未経験からプログラマーを目指す場合、「楽しさへの気付き」を全面に出すと良い評価を得られます。挫折しやすいプログラミングだからこそ、仕事を楽しめる人材は貴重です。

Webデザイナー

例文

企業の魅力を形にし、ブランディングに寄与できるWebデザイナーを目指すため貴社を志望しました。

現在はどのような企業でもWebサイトを持ち、情報を発信しています。サイトを持つのが当たり前だからこそ、SEO対策やSNSでの情報発信の強さにばかり注目が集まります。私は大学で四年間グラフィックデザインを専攻してきました。デザインは人を喜ばせることも、感動させることもできると知っています。だからこそ、Webでデザインで力を試したいと考えるようになりました。

貴社は「Webデザインによるブランディング」が得意です。デザインの力で企業イメージを形成する考え方に深く共感し、入社を強く希望するようになりました。自身のデザイン力を高め、貴社の力になりたいです。

イメージを形に変える感性、表現力には自信があります。今後はhtmlやcssの知識を学び、さまざまな企業を支えるWebデザイナーを目指します。(400字以内)

デザイン系の学部からWebデザイナーを目指す想定です。デザインに関わってきた人だからこそ感じる強い想いは、採用担当者に伝わります。デザイナーとしての軸が感じられ、しっかりしている印象を与えられます。

仕事への素養がある人は、学びの姿勢を忘れずに入れることが重要です。新卒は社会での実績がないため、「現在の力で勝負したい」という書き方は通用しません。学びを継続することで技術を高め、会社に貢献する意志を示しましょう。

Webマーケター

例文

コーポレートサイトの効果を最大限に引き出し、地域を支えるWebマーケターを目指したいと考え貴社を志望しました。

私はボランティア活動で地域創生に関わってきました。その中で印象的だったのが特産物を売り出す手法です。他地域の類似品を分析しターゲット層を確定、アピールポイントを明確にしてWebページに掲載する手順を見て衝撃を受けました。この体験からWebマーケティングに興味を持ち、仕事にしたいと考えるようになりました。

貴社はサイト制作からSEO対策まで一貫して請け負っています。地域創生分野にも深く携わり、観光振興に大きな影響を与えています。貴社でなら、Webマーケターとして地域を支える存在になれると確信しています。

これまでの経験から、丁寧なヒアリングと課題発見力には自信があります。情報分析の手法やSEO対策のノウハウなどをしっかりと学び、貴社の一員として活躍できるよう努力します。(400字以内)

マーケティングの必要性を実感した体験を、Webマーケターを目指す強い意志に繋げています。マーケティングは学生にとって馴染みが薄い分野です。だからこそ、アルバイトやボランティアで感じた経験は貴重です。実体験を書けるなら、積極的に取り上げましょう。

営業

例文

教育機関へのIT機器導入を支援するため、貴社営業職を志望しました。

私は通信制高校の卒業生です。私が所属した高校では完全オンラインで授業を実施し、年に数度のスクーリング以外では学校に通う必要がありません。IT技術のお陰で、誰でも平等に教育を受けられることを実感しました。大人になった今、オンライン授業のシステムは地方と都市部の教育格差是正に一役買うのではないかと感じます。営業職としてIT技術導入を提案し、日本中に平等な教育環境を行き渡らせたいと考えるようになりました。

貴社は教育業界へのITコンサルタント業務から、ITシステムの導入までを一貫して行っています。貴社でなら私の夢が叶えられると考えます。

大学時代に福祉施設でアルバイトをしたことで、人に寄り添うコミュニケーションには自信があります。入社後はITに関する知識を全力で学び、技術を誰にでも丁寧に説明できる営業職を目指します。(400字以内)

自身の経験からIT技術の必要性を実感し、仕事での目標に繋げた文章です。強い想いのお陰で、仕事への熱意や営業職としてのビジョンが明確に伝わります。企業も採用しやすいでしょう。

注意したいのは短期目標の欠落です。長期的な目標に終止すると、目前の取り組みが見えにくくなる恐れがあります。入社後の決意を示す場面で、日々の努力をできるだけ具体的に伝えましょう。

事務(IT事務)

例文

貴社製品の技術的サポートを行う事務職になりたいと考え志望しました。

私は現在家庭教師のアルバイトに従事しています。分からない原因を突き止め適切な解決策を提示することが、成績アップに繋がります。人に寄り添いアドバイスすることに大きな喜びを感じるようになりました。IT事務を志すようになったのも、顧客に寄り添い適切な解決策を伝える喜びを味わえるからです。今までの経験を活かし、社会に貢献したいと考えています。

IT事務になるには、製品への深い知識と技術的な理解が必須です。貴社は経理ソフトのパイオニアです。経理は私が大学で学んだ分野で、強い興味と関心があります。貴社でなら専門性を身につけ、IT事務として大成できると考えます。

私はこれまでの経験から傾聴力と課題解決能力に自信があります。入社後は実務で能力を発揮できるよう努力したいです。同時にソフトに対する知識習得に全力で取り組みます。(400字以内)

IT事務の志望動機を書くポイントはITにこだわる理由を明確にすることです。ここではアルバイトの経験を持ち出し、「人に解決策を伝える喜び」を挙げています。理由が曖昧だと「一般事務でも良いのでは?」と思われ、IT業界に絞る説得力がなくなります。

さらに難しいのが選考を受ける企業を選ぶ理由です。最も簡単なのは、当該企業の製品(サービス)を実際に利用し、その魅力を書くことでしょう。「好きな商品をサポートしたい」という方向に話を持っていけば、採用担当者を納得させられる志望動機をつくれます。

人事

例文

人事として人材育成システム構築に参画することで、日本のIT業界を支える力になりたいと考え貴社を志望しました。

企業の経営を左右するのは「人、モノ、お金」の活用だと言われます。中でも人的資源をいかに活かすかは円滑な企業活動を継続するポイントです。私は経営的視点から人材育成に携わりたいと考えています。IT業界は深刻な人材不足に直面しており、人材育成システムの構築が急務です。数ある業界の中でも最も仕事にやりがいを感じられると考えました。

貴社はさまざまな人材育成ツールを開発・導入しています。旧来の人事のあり方とは一線を画す点に強く惹かれました。貴社でなら変化に対応する人事戦略をつくれると考え、入社を強く希望するようになりました。

私は大学での学びから、人材マネジメント理論を習得しています。入社後は理論を実践に移せるよう努力します。またIT業界を俯瞰する目を持てるよう、現状分析を続けていきたいです。(400字以内)

ITの専門性とは最も遠い場所にいるのが人事職です。書き方によっては業界を絞る理由が曖昧になります。この文章のようにIT業界ならではの特徴を挙げると、業界を絞る明確な理由を示しやすくなります。

記述の際には「ITに全く興味がない」という印象を与えないよう注意しましょう。興味がない業界では仕事を続けられません。ITツールや業界の動向に言及することで興味を表現でき、自然な志望動機をつくれます。

IT業界の志望動機で避けるべき内容

成し遂げたい仕事に対する具体性がない

IT業界は5つの業種に細分化され、さらに企業ごとに得意とする領域が異なります。それぞれが高い専門性を持つプロ集団であるため、やりたいことが明確で、ビジョン達成に向け一途に努力できる人でなければ、仕事が務まりません。具体性が感じられない志望動機では、まともに取り合ってもらえないでしょう。

給与や待遇を前面に出す

平成29年に経済産業省がまとめた「IT関連産業の給与等に関する 実態調査結果」によれば、IT関連産業における新人・初級者レベルの平均年収は437.8万円です。大卒新規学卒者の平均年収が280〜330万円と言われる中で、この金額は目を引きます。給与を理由にIT業界を目指す人がいても不思議はありません。

しかし給与や待遇は志望動機としては不適切です。企業が知りたいのは、「あなたが何をしたいか」「どのように会社に貢献できるか」です。給与は働きへの対価でしかありません。給与を志望動機に挙げるのは、選考を受ける企業に対して失礼だと考えましょう。

(参照:IT関連産業の給与等に関する 実態調査結果|経済産業省)

会社に期待し自ら学ぶ姿勢が感じられない

IT業界はこの先も高い成長率が予測されます。会社に在籍していれば自身も成長でき、将来も安泰だと考える人もいるかもしれません。しかし自ら学ぶ姿勢が感じられない人は、IT業界では敬遠されるでしょう。主体的な勉強で知識と技術をアップデートし、技術革新に対応する必要があるからです。受け身の姿勢を感じ取られないよう十分な注意が必要です。

専門性のアピールで終わる

プログラミングやWebデザイン、コーディングなどの専門技術を持つ人は、専門性を強くアピールするでしょう。アピール自体には問題がないものの、それが自慢で終わってしまっては効果的な志望動機にはなりません。あなたの持つ能力が会社の業務に繋がることや、確実に貢献できることを示しましょう。

企業には新卒社員を即戦力として雇う意思は強くありません。能力そのものよりも、能力獲得の過程で得た学びや気づきに重点が置かれます。アピールだけで終わらないよう注意が必要です。

IT業界は未経験や文系でも挑戦できる?

意外と多いIT業界の文系職

IT業界で文系から挑戦できる職種は「プログラマー」「Webデザイナー」「Webマーケター」「営業」「事務(IT事務)」「人事」などです。IT業界の根幹となるエンジニアは、専門性の高い理系の職業です。そのため「IT業界」=「理系」というイメージが染み付いている人もいるかもしれませんが、実際には文系社員も数多く活躍しています。

ヒューマンリソシアの集計によれば、2023年時点でIT業界の志望者は理系以外の学部出身者が6割強です。文系出身者が理系出身者を上回っている現状が分かります。企業の教育・育成システムがしっかり構築されてきた証左と言えるでしょう。

新卒でITエンジニアとなる卒業者は大きく増加|ヒューマンリソシア)

プログラマーは未経験者や文系からでも挑戦可能

プログラマーは理系職ではあるものの、ポテンシャルさえあれば学部学科を問わず未経験でも挑戦できます。IT技術者の不足が問題視される中で、人材の育成・教育システムを構築する会社が増えているためです。

経済産業省の調査によれば、2030年には約59万人(中位シナリオ時)のIT技術者が不足状態に陥ると言われています。そのため、業界にとってポテンシャルのある人材の確保が急務です。明確なビジョンを持ち、熱意を持って就活にあたる人は採用されやすい状況だと言えます。

プログラミングは2020年度以降学校教育でも必須化され、学びのハードルが下がっています。教育版マインクラフトなど子ども達が取り組みやすい教材も増え、難しいイメージは消えつつあります。しかし業務レベルに持って行くには、長い時間がかかることも事実です。侍エンジニアの調査によれば、エンジニアになるための学習時間の目安は1,000時間です。未経験から挑戦する人は大きな覚悟で挑む必要があります。

(参照:参考資料(IT人材育成の状況等について)|経済産業省)

(参照:プログラミング習得にかかる勉強時間の目安|侍エンジニア)

Webマーケターは文系有利な側面も

Webマーケターの業務には文系の方が有利な面が多々あります。例えばユーザーの心理分析です。感情や印象を分析するには、ユーザー視点に立った共感力が必要です。共感力は芸術や文学などで培われやすく、文系学部の方が身近です。

また、分析結果を元にしたプレゼン資料作成SEOライティングは、普段から文字の扱いに長けている文系に軍配が上がります。文系の人が長所を活かし、活躍できる条件が揃った職種です。

知っておきたいIT業界の現状と展望

市場の拡大により人材不足が続く

ITサービスの市場は、一つの市場が成熟し需要が落ち着いた頃に、新たな技術で市場が活性化する流れを繰り返しています。経済産業省の調査によれば、現在は「第3のプラットフォーム」と呼ばれる領域が活性化しています。第3のプラットフォームには「クラウド」「ビッグデータ」「モバイル」「ソーシャル技術」が含まれます。これらはICT(情報通信技術)の普及に欠かせない要素だと言われています。

市場は堅調に成長を続けています。IDC JAPANの調査によれば、国内ITサービス市場は2028年まで5%前後の成長率で推移し、2028年には8兆円を超える規模になることが予測されています。それに対し人材数は2019年を境に減少に転じており(経済産業省調査参照)、人材不足が深刻です。

しかし「やる気があれば誰でも歓迎」とは言い切れないのが現実です。人材のニーズは「第3のプラットフォーム領域」の技術者(新たな技術を持つ人材)が中心だからです。少ない技術者を多くの企業が奪い合う未来は、業界全体にとって健全とは言えません。ポテンシャルのある人材を有効活用する人材育成システムの構築が急がれます。

(参照:参考資料(IT人材育成の状況等について)|経済産業省)

(参照:国内ITサービス市場予測を発表|IDC JAPAN)

DXの普及は安定期に入る

DXは「デジタルトランスフォーメーション」の略です。IT技術を導入することで組織全体を変革し、より効率的で優位性のあるビジネスモデルの構築を目指す取り組みです。2018年より政府主導で進められ、IT業界に高い需要をもたらしました。

2024年現在、DX化の波が引いたことで、IT業界の需要は勢いを失っています。独立行政法人情報処理推進機構の調査によると、2023年度時点で何らかの形でDX化に取り組んでいる企業は73.7%、従業員1001人以上の企業では96.6%に達しています。大企業は既にIT技術の導入を終えていると考えられます。

そのため、DX化に踏み切っていない小規模企業の需要を喚起するしかありません。しかしDX化に踏み切らない企業の87.3%は「取り組む予定はない」または「分からない」と回答しています。現在は既に「必要なところに必要な技術が行き渡った」状態だと考えるべきでしょう。

今後はDX導入後の問題点把握と改善、より低コストな仕組みの構築などに取り組み、業界全体で安定を維持していく必要があります。

(参照:DX動向2024 | 独立行政法人情報処理推進機構)

メタバースは将来急速に拡大か

メタバースはインターネット上の仮想空間でユーザー同士が交流する仕組みです。ユーザーはアバターと呼ばれる分身を動かし、ネット上での生活を楽しみます。ビジネスに活用すれば、バーチャルオフィスへの出社やバーチャルイベントの開催などが可能になります。家にいながら親密なコミュニケーションをとれるのが魅力です。

EMERGEN RESEARCHによれば、メタバース市場は2023年から2032年までに47.2%の成長を遂げると予測されています。今後のIT業界を支える大きな柱になるかもしれません。

(参照:Metaverse Market Size | EMERGEN RESEARCH)

AI技術の進歩が業界にさらなる発展をもたらす

IT業界の一部の仕事は、「将来AIに代替されるのではないか」との懸念があります。仕事が奪われることを危惧する人もいるかもしれません。

しかしAI技術を発展させるのはエンジニアの仕事です。既存のAI技術を保守、管理するニーズも生まれます。企業にAIを本格導入するための下地づくり(DXの推進など)も大きな仕事だと言えるでしょう。AIは業界にさらなる発展をもたらす可能性の方が高いのです。

競争が激しい業界だからこそ目的を示す志望動機を

文系理系を問わず志望者が多いIT業界は、就活の激戦区です。成長が感じられる業界の中で自身の能力を伸ばしながら、腰を据えて仕事ができます。

競争が激しい業界だからこそ、志望動機には明確なビジョンと仕事への熱意が必須です。「仕事をしていくうちに目標を見つけよう」という受け身の姿勢では、難関を突破することはできません。業界研究、企業研究をしっかりと行い、選考を受ける企業にあなたの魅力を十二分に伝える内容に仕上げましょう。

ESは手書きで熱意を伝える!文字の大きさや文字数など最適な書き方を解説

手書きのエントリーシート(以下、ES)は、志望度の高い企業に熱意を伝えるのに最適です。時間と手間がかかるデメリットを受け入れられれば、企業に強くアピールできます。

この記事ではこれから手書きESを作成する人に向け、書き方の手順や綺麗に仕上げるコツ、作成の注意点を説明します。ESは分量が多い分、失敗があると書き直しが大変です。注意点を理解し手順をしっかり踏むことで、円滑に仕上げられるでしょう。

就活生も企業も戦略的に手書きESを活用している

パソコンでESを作成する人が多い中、気持ちを込めた手書きESは目立ちます。手に取ってもらいやすい分、アピール力が高まるのは就活生にとって大きな魅力です。

企業にも手書きESのメリットがあります。応募者が多数に及ぶ場合、手書きを指定することで人数を絞り込めるのです。手書きには時間も手間もかかります。苦労して仕上げる応募者は、志望度が高く努力を惜しまない人材だと判断できるでしょう。熱意ある応募者を絞り込むことで、効率的に選考を進められます。

パソコン主体の中でも、手書きESは時代遅れではありません。手書きが少なくなっている現在だからこそ、就活生にとっても企業にとっても武器になるのです。

ESで手書きを選択するべき企業の特徴

社員の年齢層が高い

20年ほど前までは履歴書や職務経歴書、ESを紙で提出するのは「ごく当たり前」でした。年齢が高い社員ほど、手書きESに馴染みがあります。中には「選考書類は紙でなければならない」と固定観念をもっている人もいるかもしれません。

厚生労働省の統計によると、一般労働者の平均年齢はおよそ44歳です。社員の平均年齢が45歳を超える企業は「年齢層が高い」と言えます。ホームページや企業パンフレットを通し、選考を受ける企業の平均年齢を事前に把握することで、手書きした方が良いかの判断基準となります。

(参照:付2-(1)-9図 一般労働者の平均年齢の推移 | 厚生労働省)

しきたりや伝統を重んじる

しきたりを大切にする社風の企業は、就活生にも昔ながらの作法を求めます。ESも「手書きが当たり前」と判断するかもしれません。理念やビジョンに保守的な雰囲気を感じるなら、手書きを選択しましょう。

注意したいのは、業種で早計に判断しないことです。伝統の技を継承する職人の世界でも、革新的な思想を持つ企業もあります。革新的な事業でも、経営陣の方針によっては保守的な価値観で動くこともあるかもしれません。企業研究をしっかりと行い、社風を的確に把握しましょう。

人間性や性格を重視して採用している

採用にあたり「人物重視」を明確に打ち出している企業も手書きESが効果的です。文字には人柄が現れます。筆圧が強ければエネルギッシュな性格を、止めや払いまでしっかりと書けば几帳面さや真面目さが伝わるでしょう。通常、応募者の人柄はESの中身を読むまで判断できません。手書きESなら、書類の見栄えも一つの判断材料になります。

志願者数が多い

応募者が多数に及ぶ企業は、毎日何通ものESを処理しています。パソコンで作成された書類は、見た目がほぼ同じです。中身で差別化を図らない限り、採用担当者の目に留まることはありません。手書きであれば、見た目に個性が現れます。多数の応募者に埋もれづらく、手に取り精査してもらえる可能性が高まります。

なぜ手書きESが評価される?3つのメリット

熱意や志望度の高さが伝わる

手書きのESからは高い心意気が伝わります。「選考を受ける企業のために苦労して書いた」ことが想像できるからです。エネルギッシュな文字、丁寧な文字であれば尚更です。中身を読まずとも、熱意や志望度の高さが窺えます。採用担当者も「きちんと想いを受け止めよう」と書類を精査するでしょう。

企業が社風への一致を判断しやすくなる

手書きの文字からは人柄が窺い知れます。企業にとって、人柄は社風への適合を判断する大きな材料です。社風に合わないと円滑な人間関係を築けず、早期離職の恐れがあります。慎重を期すため、企業はできるだけ多くの情報から人柄を判断したいと考えるでしょう。手書きESは、判断材料の一つとして歓迎されます。

多数のライバルに埋もれないESをつくれる

志願者数が多い企業ほど、手書きESは目立ちます。タイムパフォーマンス(タイパ)が重視される時代の中で、多くの就活生はパソコンでESを作成するでしょう。手間を惜しまず丁寧に書かれたESは、それだけで目を引く存在になり得ます。ライバルの中で埋もれず、手にとってもらえる確率が高まります。

あらかじめ知っておきたい手書きESのデメリット

パソコンのESに比べ時間と手間がかかる

ESの作成は簡単な作業ではありません。350字前後の回答項目が多く、全てを手書きするのは骨が折れます。タイピングよりも時間がかかる上に、間違えたら一から書き直さなければなりません。時間と手間がかかることを嫌う人にとっては、デメリットが大きく感じられるかもしれません。

手書きESは文字に癖があると読みづらい

手書き文字は個性を伝えるメリットがある反面、読みづらくなる恐れがあります。特に丸文字や角文字は、度が過ぎると個性よりも読みづらさが勝ります。採用担当者が読みづらさを感じたら、それ以上読んでもらえないことを念頭に置かなければなりません。他人に字の癖を指摘されるようなら、パソコンに切り替えた方が無難です。

手書きESの上手な書き方7STEP

手書きES作成の7STEP

①あらかじめパソコンでESの中身を作成する

②コピーしたESに実際に書き、文字数の過不足を確認

③原稿の文字数を調整し内容を確定

④提出する本番のESに鉛筆で薄く罫線を入れる

⑤鉛筆で下書きする

⑥ボールペンで清書する

⑦インクが乾いたら下書きと罫線を消す

ESの手書きには手間がかかります。できる限りミスを減らし、少ない行程で仕上げるには、7つのステップを順に辿ると良いでしょう。手間がかかる作業でも、飛ばさずに行うことでミスが減ります。

①あらかじめパソコンでESの回答を作成する

ESの文章を失敗なく一度で仕上げるのは現実的ではありません。まずは付け足しや削除、文章の変更が簡単にできるパソコンを使うのが賢明です。納得のいく文章が仕上がるまで、何度も校正を重ねながら内容を詰めていきます。

②コピーしたESに記入し過不足を確認

内容が固まったら、コピーしたESに実際に記入しましょう。文字数を調整したつもりでも、手書きにすると過不足が生じがちです。読みやすい文字の大きさで書いたときに、余白を残しすぎず、かつ枠がびっしりにならない量に調整しなければなりません。項目ごとに付け足す文量、削る文量を概算しましょう。

③原稿の文字数を調整し内容を確定させる

概算した結果を踏まえ、パソコンで再度文章を調整します。超過していれば文字量を減らす。余白が目立つようなら、文字数を増やし、内容を推敲します。

注意したいのは、明確な理由なく文字量を増やさないことです。書いた文章は既に推敲を終え、一度は「これ以上増やす余地はない」と判断しているはずです。むやみに増やすと蛇足になる恐れがあります。内容の付け足しではなく、表現の入れ替えで対応すると良いでしょう。

④ESに鉛筆で薄く罫線をいれる

本番用のESの各記入欄に鉛筆で薄く罫線を引いていきます。コピーに記入した文章をもとに行幅を決定し、等間隔に横線を引きましょう。

まっすぐに手書きするのは意外と難しく、無意識に曲がることが少なくありません。罫線がガイドラインになることで、ズレを意識せず記入に集中できます。罫線は清書した後に消すため、薄く引くことを心がけましょう。

⑤鉛筆で下書きする

転記での誤字脱字を防ぐには、鉛筆での下書きが欠かせません。下書きをしないと書き直しの可能性が高まり、かえって時間と手間がかかります。清書後に消すことを考慮し、できるだけ薄く書きましょう。Hや2Hの鉛筆があると便利です。シャープペンシルは筆圧が強くなるため、下書きには向きません。注意しましょう。

⑥ボールペンで清書する

下書きを終えたらボールペンで清書します。0.5〜0.7mmの太さを選びましょう。0.4mm以下の極細タイプは字が弱々しく見え、志望度の高さや熱意を伝えるのに不適切です。インクは字が滲みやすい水性を避け、ゲルインクまたは油性インクの黒色を選択します。下書きを消すときに滲みが出ると台無しになるため、インクの確認は必須です。

⑦インクが乾いたら下書きと罫線を消す

インクが十分に乾くのを待ち、下書きと罫線を消しゴムで消します。消しゴムをかける際にインクが滲む恐れがあるため、完全に乾かしてから作業することを徹底してください。別の紙で実験し、乾燥時間を把握しておくと良いでしょう。消し忘れを防ぐには、全体を一気に消さず、一文字ずつ消すのがポイントです。

手書きESを綺麗に仕上げる工夫

手書きESの文字数は下書き時に調整を

手書き原稿は、パソコンで作成したものよりも文字数を減らすことが多いです。大きめに書かないとはっきりした文字にならず、読みづらい印象を与えてしまうためです。下書き時に「文字を正確に読めるか」「余白が十分にあるか」を確認し、適切な分量に整えましょう。

手書きESの文字の大きさは罫線を目安にする

手書きだと余白があっても窮屈に感じられることがあります。原因の多くは文字の大きさです。行間が詰まると窮屈に感じられ、途端に読みづらくなります。枠に引いた罫線をガイドラインとし、8割程度の高さを目安にしましょう。2割の余白があれば、読みやすくなります。

行頭には縦の罫線も引くとずれない

手書きでは行頭位置が横方向にずれる可能性もあります。ずれて不格好に見えるのは、上下も左右も同じです。長くなるほど失敗の可能性が上がるため、行頭のみ縦の罫線も引くと良いでしょう。位置揃えに留意する必要がなくなります。

止め・跳ね・払いを意識しメリハリをつける

手書き文字は、メリハリがないとぼんやりとした印象を与えます。「止め」「跳ね」「払い」の基本を意識しましょう。文字に抑揚がつき綺麗に見えます。さらに漢字の長い部分、短い部分にきっちり差をつけると、立体感も生まれます。字が活き活きと感じられるようになるでしょう。

手書きで仕上げるESだからこそ意識すべき注意点

間違えたら最初から書き直しが手書きESの鉄則

書き損じが生じた場合、新しいESに一から書き直す必要があります。二重線や修正液(テープ)の使用はNGです。ESは他の書類と比べ文字数が多いため、書き直しには大きな労力がかかります。できるだけ失敗を避けられるよう、罫線の書き入れや下書きを徹底しましょう。

消せるボールペンは水性のため手書きESに不適

消せるボールペンは水性です。滲みやすいだけでなく、温度変化でインクが消える可能性もあります。せっかく書いた文章を台無しにしないためにも、ボールペンはゲルインクまたは油性インクを使用しましょう。消せるボールペンは公的な書類に使うことはできないため、ESも同様に避けましょう。

下書きや罫線の消し忘れには十分注意!

鉛筆で書いた下書きや罫線が残された状態で提出すると、雑な印象を与えてしまいます。文字が二重に見え、読みづらくもなるでしょう。読み手への配慮を欠くことで、「会社に対して失礼」とみなされるかもしれません。一字一字丁寧に消す癖をつけましょう。

文字の装飾はNG

ESを目立たせるため、文字に装飾を加えるのはNGです。装飾のない綺麗な形で企業に渡すのがマナーだと考えましょう。文字を意図的に大きくする、太くするのも不適切です。強調したい部分を見た目で目立たせるのではなく、文章で伝わるよう工夫します。

手書きESはコピーしたら意味がない

手書きESは企業へ志望度の高さを伝える手段です。コピーを使い回したら、手書きにする意味がありません。企業研究をしっかりと行い、選考を受ける会社ごとに異なるESを用意しましょう。選考のたびに書くのが面倒なら、手書きは志望度の高い企業に絞り、他はパソコンを使用するのをおすすめします。

手書きESを企業に提出する方法

普通郵便やレターパックライトで郵送する

手書きESは郵送で送るのが最も簡単です。データに変換する必要がなく、書いた書類をそのまま送付できます。挨拶状とA4サイズの封筒を用意し、切手を貼って普通郵便で送りましょう。確実性を重視するなら、追跡サービスがある「レターパックライト」も便利です。受け取りにサインが必要な簡易書留や「レターパックプラス」は、企業にかかる手間を考えると不適切です。

手書きしたESを変換しメールに添付する

ESをメールで送るよう求められた場合は、スキャナー(またはスマホのスキャン機能)でPDFファイルに変換します。変換したファイルをメールに添付し、指定されたアドレスに送信しましょう。添付ファイルは写真(jpgやpng)ではなくPDF形式にするのがマナーです。スキャン時にファイル形式を「PDF」に指定します。

【リストあり】手書きES提出前のチェックポイント

手書きES提出時のチェックリスト
  • 誤字脱字はないか
  • 文字の大きさは揃っているか
  • 適切に改行を入れているか
  • ESのコピー(スキャン)をとったか
  • 必要書類は全て揃ったか

企業への提出前に、上記5項目を確認しましょう。ESは将来を決定し得る大切な書類です。一つのミスで書類全体が台無しにならないためにも、細部まで注意を払うようにしましょう。

誤字脱字はないか

手書きESはパソコンでの文書作成、紙への転記、下書き、本番と4度の校正の機会があります。そのため、パソコンのみの作成に比べ、誤字脱字が起こりづらい環境です。

しかし転記でのうっかりミスや、同音異義語の勘違いがないとは言えません。自分だけで校正を終わらせず、周囲の人にもお願いしましょう。

文字の大きさは揃っているか

完成した原稿を少し遠くから眺め、文字の大きさを確認しましょう。項目ごとに大きさが異なると、全体の統一感がなくなります。手書きの場合、枠の大きさや文量によって文字サイズが引きずれられがちです。大きさが揃わない場合は、新しい用紙に等間隔で罫線を引き、8割の高さを目安に書き直しましょう。

適切に改行を入れているか

文字がぎゅうぎゅうに詰まった原稿は読みづらく、読み手に配慮していると言えません。内容だけでなく、「読みやすさ」に焦点を当て改行を入れる癖をつけます。最後まで円滑に読んでもらえなければ、選考の土俵に上がれないことを強く意識しましょう。

ESのコピー(スキャン)をとったか

完成したESはコピーやスキャンで保存しましょう。面接に進んだ場合、ESの内容をもとに質問が行われるため、あらかじめ備えておくためにコピーを確認することが有効となります。

また、会社資料や企業研究ノートと一緒に大切に保管(保存)しましょう。郵送の場合、コピーを取り忘れると何も手元に残りません。十分な注意が必要です。

必要書類は全て揃ったか

郵送では挨拶状を忘れずに用意します。ESに限らず、「企業に書類を郵送するときには、必ず挨拶状を付ける」と覚えておきましょう。メールの場合は本文が挨拶の役目を担うため、別途書類を添付する必要はありません。

企業によっては、ESと同時に履歴書の送付も要求されるケースがあります。応募要項を確認し、必要書類の漏れに細心の注意を払いましょう。

手書き以外でESを作成・提出する方法

企業のWebフォームから入力しそのまま送る

企業の採用ページにES提出用のWebフォームが用意されている場合、作成・提出手段は当該フォームのみです。郵送やメールの利用はできません。

Webフォームは入力した内容がそのまま送信されるため、下書きが必須です。質問への回答をテキストやWordファイルで用意し、自分の回答をコピーしながら進めましょう。

パソコンで作成しPDFをメールする

テキストやMicrosoft Wordで作成したデータを、PDFファイルに変換してメールする方法もあります。ESはどのような手段で提出する場合も、テキストやWordで最初に原稿を作成するのが一般的です。「そのまま送れば良い」と考えれば、就活生にとって最も進めやすい手段と言えるでしょう。

ただし「ファイルをPDF化する」「メールソフトに適切に添付する」といった最低限のパソコンスキルは不可欠です。

手書きとパソコンのどちらでESを作成するか悩んだときは?

企業の指定形式に則るのが基本

ESの作成・提出手段に指示がある場合は従わなければなりません。異なる方法で提出しても、受け取ってもらえないでしょう。

提出手段のみ指定された場合は、作成の仕方は自由です。基本はパソコンで作成し、志望度や社風に応じて手書きにする工夫をします。

指定がなければパソコンでの作成・送付が一般的

ESの作成・提出手段に指定がない場合は、パソコンで作成し、メールで送るのが一般的です。作成にも送付にも時間がかかりません。

「ESは手書きが最適」「重要書類は郵送に限る」といった考えを持つ企業は、作成・提出方法に指示を出すはずです。指示がなければ「内容重視」と捉えて差し支えないでしょう。手段にこだわる必要はありません。

志望度の高さや企業の特徴を鑑みて手段を選ぶ

手書きを選ぶポイントは、志望度の高さと企業風土です。志望度の高い企業には、熱意をより強く伝えるために手書きを選択します。しきたりや伝統を重んじる企業にも、手書きで送付すると良いでしょう。

反対に、積極的にパソコンでの作成を選ぶべきケースもあります。ベンチャーやスタートアップなどの平均年齢が若い企業は、効率的な手段を好む傾向にあるため、紙のESを提出するメリットはほぼないでしょう。

ITやクリエイティブ系など高度なパソコンスキルが要求される業種も、パソコン向きです。手書きだと「パソコンが十分に使えないのでは」と誤解を与える恐れがあります。

手書きが評価されない会社があることも、念頭に入れる必要があります。

強く志望する会社にこそ手書きESで想いを伝えよう

手書きのESは高い志望度や真面目な印象を与えられます。強く入社を希望する企業へ送るESは、手書きで作成するのもひとつの手です。

所属する会社を特別に評価され、悪く感じる採用担当者はいません。自社に誇りを持ち仕事をしている人ほど、手書きESに良い印象を持つはずです。

選考を受ける企業の全てに手書きをする必要はありません。「どうしても入社したい」と強く思える会社に出会ったら、心を込めて手書きしましょう。丁寧に仕上げることで、結果を左右する大きな武器になります。

ガクチカがない場合は何を書く?テーマの探し方も解説【例文付き】

エントリーシートを書くうえで、「ガクチカがない」と感じるときはどうしても焦ってしまうものです。

しかし、ガクチカは特別な実績や経験がなくても問題ありません。多くの企業がガクチカで見ているのは、学生の人柄や価値観です。そのため、あなたが学校生活で経験したことを通じて、どんな考えや価値観を持っているのかをアピールすることが大切です。

本記事では、「ガクチカがない」と悩んでいる時の探し方や、ガクチカの基本的な書き方を解説します。また、テーマ別の例文もあわせて紹介していますので、ガクチカの内容に自信が持てない方はぜひ参考にしてください。

ガクチカがない時の探し方は?

自己分析を徹底する

自己分析の進め方

まずは、自己分析として自分が大学時代にしたことを何でも書き出してみましょう。

ガクチカのテーマに決まりはありません。アルバイトやサークル活動、ボランティア経験など、これまで打ち込んできたことであれば何でもガクチカとしてアピールできます。

大学時代の経験を細かにリストアップすれば、そこから自分自身の強みや興味・関心、価値観などが見えてきます。これらをもとにして、アピールしたい自分の強みを定めることができるでしょう。

小さな成功体験を掘り下げる

ガクチカに書くべき経験

ガクチカに記載する体験は、派手でなくても構いません。ガクチカで重視されるのは、結果の大きさではなく、その取り組み内容です。

小さな成功体験でも掘り下げてみれば、あなたの人柄が伝わるような取り組み内容が見つかります。詳細に書くことのできる経験があれば、どんなテーマでもガクチカとしてアピール可能です。

企業視点で考えてみる

企業がガクチカを通じて知りたいこと

企業は、ガクチカから応募者の人柄やモチベーションを判断します。特に、物事への取り組み方と考え方にはその人の個性が表れるため、なるべく細かく知りたいと考えています。

そのため、よくあるテーマであっても、自分が興味を持って打ち込んだエピソードでなければ、企業の知りたいことは伝えられません。企業側の視点からすると、「興味を持っていた経験」なら、テーマはどんなものでも問題ないといえます。

趣味や特技が全く無いという方はほとんどいません。自分が自信を持って好きだと思えることであれば、十分にガクチカのテーマとして使えるでしょう。

ガクチカが見つからない時に使えるエピソードの例

ガクチカのエピソード例
  • 趣味・特技
  • アルバイト
  • インターンシップ
  • ゼミ活動
  • サークル・部活動
  • 資格勉強
  • ボランティア

趣味・特技

好きなこと・趣味に熱中して得られた経験は、あなたの個性や能力をアピールするうえで大きな武器となります。好きなことや趣味をガクチカに取り入れるメリットは、自分の言葉で具体的かつ情熱的に表現できる点です。

明確な成果が出るような趣味でなくとも、好きなことを通じて、あなたがどんな学びや気づきを得られたのかを伝えられれば十分です。

好きなこと・趣味からガクチカを探すときは、あなたの興味・関心と結びついたエピソードを記述しましょう。

アルバイト

アルバイト経験は、社会に出て働くうえで基本的なスキルを身につける絶好の機会です。

お客様対応やチームワーク、トラブル対応など、さまざまな経験を身につけられます。例えば、「レジ打ちでミスをしてしまった」という失敗談も、そこから学んだことや成長した点を語れば、あなたの強みに変えられます。

なお、アルバイト経験をガクチカに取り入れる際は、企業が求める人物像に関連した仕事を選ぶのがポイントです。ホスピタリティを重視する企業であれば、接客・サービス業などの人にかかわる仕事がガクチカに活かしやすいでしょう。

インターンシップ

企業で実際に働く経験は、あなたが将来のキャリアを考えるうえで貴重な機会となります。仕事内容だけでなく、社員とのコミュニケーションを通じて得た気づきや学びを具体的に記述しましょう。

また、インターンシップは就業体験の一種なので、何らかの課題がぶつかった時の姿勢が前向きなものであれば、企業に入社後の活躍をイメージしてもらいやすい経験のひとつです。

インターンシップをガクチカに取り入れるときは、インターンシップでの経験で企業に好印象を残す意気込みで臨むと良いでしょう。

ゼミ活動

ゼミは多くの大学生が経験するため、採用担当者の共感も得やすいテーマです。また、研究内容も多彩であり、他の応募者との差別化も図りやすいこともポイントです。

ゼミ活動は、卒論制作のように一人で行うものもあれば、グループ研究のように複数人で行うものもあります。

卒論制作では、自分が困難を乗り越えた経験や研究過程のエピソードが使えます。グループ研究では、周囲との協調やスケジュール管理などの経験がアピールできるでしょう。

サークル・部活動

サークル・部活動は、コミュニケーション能力やチームワークを示すのに絶好のテーマです。

目標意識を共有しやすいため、メンバーと綿密なコミュニケーションをとったエピソードなどから、自身の個性を深掘りできるでしょう。大会やコンクールなどに向けて一丸となった経験は、特に目に留まるガクチカになります。

資格勉強

資格取得の過程で得た知識やスキルは、あなたのスキルや継続性をアピールする材料となります。資格取得に向けて努力したプロセスや壁にぶつかった時どう乗り越えたか、勉強を通じて得られたものを具体的に記述しましょう。

資格取得の勉強は地道であり、いわば自分との闘いといえます。目標にむかってコツコツ努力を積み重ねたことを伝えられれば、「粘り強く頑張れる人物」という印象を残すことができ、目標達成能力もアピールできます。

ボランティア

ボランティア活動は、社会貢献だけでなく、自己成長にもつながる貴重な経験です。自分一人ではなく、多くの方々がいて成り立つものだからこそ、多くの気づきや学びを得られるので、ガクチカを探しやすい経験といえます。

例えば、「高齢者の方々との交流を通して、コミュニケーション能力が向上した」や「チームで目標達成できた経験から、協調性の大切さを学んだ」など、あなたの成長に繋がったエピソードを探してみましょう。

【テーマ別】ガクチカが見つからない時に参考にしたい例文10選

ゼミ活動

例文

大学3年時、ゼミの研究発表会で、発表資料作成のリーダーを務めました。当初はメンバー間の意見が一致せず、発表内容がまとまらない状況でした。
そこで、面談を通じて30人以上のメンバーの意見を聞き取り、個々の考えの共通ポイントと違いを整理し、発表資料の構成を提案しました。
その結果、発表内容はメンバー全員が納得できるものとなり、発表会では高い評価を得ることができました。この経験から、私は一人ひとりが持つ意見や考えをまとめ上げ、一つの目標に向かって協力することの大切さを学びました。
これらの経験を活かして、貴社へ入社した後はメンバー一人ひとりを牽引するマネージャー職への昇進を目指し、花形部署である営業部を引っ張っていきたいと考えています。(350字以内)

面談を行ったメンバー数が数字で表現されており、問題解決のために取った行動を具体的にアピールできています。もう少し具体的に、これらの経験を通じてどのように成長できたのかが書かれていると、より説得力が増すでしょう。

例えば、「メンバーの意見を聞き出すために、一人ひとりと面談を行い、彼らの考えを深く理解しようと努力しました。」のように、具体的な行動を付け加えてみると良いでしょう。また、「発表会で高い評価を得た」だけでなく、「具体的な評価」や「その評価によって得られた手ごたえ」などを加えれば、貢献度の高さがより明確になります。

アルバイト

例文

飲食店でアルバイトをしていた際、お客様対応を担当していました。ある日、料理の提供が遅れてしまい、お客様から強い口調でクレームを受けてしまいました。パニックになりかけましたが、焦らずに深呼吸をし、丁寧な言葉遣いで誠意を持って謝罪しました。
その後、店長へ状況を詳しく説明し、お詫びの品としてデザートを差し上げることを提案しました。お客様はお怒りでしたが、私の対応を理解してくれ、「さっきはごめんね。ありがとう」と言って笑顔で店を出ていかれました。
この経験から、私は問題が発生した際にも、冷静さを保ち、お客様の気持ちに寄り添うことの大切さを学びました。また、誠意ある対応が、お客様との信頼関係を築く上で重要であることを実感しました。貴社へ入社した後は、これまでの経験を通じてお客様に笑顔になってもらえるような販売スタッフとして成長したいと考えています。(400字以内)

飲食店でのクレーム対応という具体的なエピソードがあり、読み手にとって情景が浮かびやすい点が印象深い例文です。

また、クレームを受けたときもパニックにならずに冷静に対応し、問題解決に導いた点も評価できます。さらに、この経験から何を学び、どう成長したのかが明確に書かれているので説得力があります。

今後の目標と過去の経験との関連性が分かりやすいので、企業への貢献意欲が伝わってくる内容です。

サークル活動

例文

私が所属していた映画サークルのイベント企画で、メンバーの意見が対立し、企画が頓挫しかけた経験があります。私は、全員の意見を丁寧に聞いて共通の目標を見つけ出すことで、全員が「やってみたい」と言ってくれた、これまで参加したことがない映画コンテストへ参加を提案しました。
半年間にもわたる映画の企画・撮影は非常にハードでしたが、イベントは成功し、50チーム中3位という好評価を得ることができました。この経験から、私は、多様な意見を尊重し、チーム全体が納得できるような企画を立案することの重要性を学びました。特に、メンバー一人ひとりの意見に耳を傾け、共通点を見つけることの大切さを実感しました。
今後もこの経験を活かして、周囲の方々と協力し合いながらより良いものを創り上げ、目標達成に貢献したいと考えています。(350字以内)

映画サークルでの経験が具体的に書かれており、「何をしたか」「どんな困難があったか」「そこから何を学んだか」が明確に伝わってきます。特に、「意見対立を乗り越えた」という点は、多くの企業が求める協調性や問題解決能力を示すことができており、印象に残るエピソードです。

意見対立に関するエピソードがもう少し深掘りされていると、より臨場感が増すかもしれません。また、映画コンテストでどのような評価を得たのかが具体的に書かれていると説得力が増すでしょう。

趣味(筋トレ)

例文

学生時代、私は筋トレに2年間取り組んできました。筋肉をつけるためには、単に運動するだけでなく、食事管理やトレーニングメニューの計画など、総合的なアプローチが必要だと学びました。
ハードな筋トレもおこなっていたので、体調面・メンタル面ともに辛い時期もありましたが、毎日続けることを習慣化することで、目標達成のために必要な「継続力」を養うことができました。また、効率的なトレーニングを行うために、計画的に曜日や回数などを決めるなど、「計画性」も身につきました。
これらの経験から、私はどんな目標に対しても、計画的に行動し、継続して取り組むことができるという自信を得ました。御社でも、この力を活かして、目標達成に貢献したいと考えています。(350字以内)

筋トレという具体的な経験を通して、「継続力」と「計画性」という、社会人として求められる重要なスキルを身につけていることが明確に伝わるガクチカです。

筋トレで得た「継続力」や「計画性」が仕事でどのように活かせるのかが少々曖昧な印象なので、仕事との関連性をもう少し具体的に書くとより効果的です。

例として、「御社の〇〇というプロジェクトでは、長期的な視点で目標達成に向けて継続的に努力することが求められると考えています。私のこれまでの経験から、このような状況でも計画的に行動し、目標達成に貢献できる自信があります」のように、企業の仕事内容と結びつければ、より説得力のある文章になります。

趣味(神社巡り)

例文

私は幼少の頃から歴史に興味があり、特に日本の伝統文化である神社に惹かれてきました。そこで大学2年生の夏休みに、全国各地の神社を巡ってその歴史や文化を深く掘り下げる中で、日本のルーツや思想に触れ、文化に対する理解を深めました。
神社を訪れることは、単なる観光ではなく、私にとって自己と向き合う貴重な時間でもあります。静寂な空間で、自分自身と対話することで、心の安定を図り、日々の生活に活かせる気づきを得られました。
貴社へ入社した後は、生活相談員として多くの方々から生活に関する悩みを聞くだけでなく、相手がどうしたら安心して生活できるのかを親身になってアドバイスをしたいと思います。(300字以内)

このガクチカは、全国各地の神社を巡ったという独自のエピソードから、読み手の興味を惹くことが期待できます。

神社巡りを通して、文化に対する理解を深め、心の安定を図ったという自己成長が伝わってきます。また、神社巡りで得た経験と、生活相談員という仕事への志望動機が繋がっており、説得力があります。

改善点としては、志望企業でどのようなことをしたいのか、より具体的な目標を提示すると良いでしょう。また、「単なる観光」という表現は少しネガティブな印象を与えます。「単なる」の部分を削除したり、「観光というだけでなく」のように言い換えたりすれば、より積極的な印象になります。

部活動(文化部)

例文

私は大学時代において、吹奏楽部でクラリネットを担当しました。特に力を入れたのは、大学2年生の夏のコンクールでした。部員全員で目標を共有し、演奏クオリティ向上を目指しました。私はパートリーダーとして、パート練習の企画や音色の統一などを中心に活動しました。演奏会前には、パート練習の効率化を図るため、個人練習メニューを作成し、部員一人ひとりのレベルアップをサポートしました。
その結果、全国大会コンクールでは銀賞を受賞し、日々の努力が実を結んだ喜びを味わいました。金賞には及ばなかったものの、コンクールで上位に入れた喜びは今でも忘れることなく、自分の誇りと自信につながっています。
貴社では、広報職に深い興味を持っています。吹奏楽部での経験で培ったコミュニケーション能力、計画性、問題解決能力などを活かして、チームの一員として目標達成に貢献したいと考えています。(400字以内)

吹奏楽部の経験を具体的に記述しており、熱意が伝わってくる内容です。特に、パートリーダーとして行った活動やコンクールでの成果、そして得られた学びが明確に示されており、説得力があります。

改善点として、個人練習メニューを作成したパートにおいても具体的な数字を入れた方がアピール力が上がります。

全国大会コンクールで銀賞を受賞した実績は素晴らしいですが、結果だけでなく、その結果を通じて感じた自分自身の成長に焦点を当てると良いでしょう。「銀賞受賞により、全国レベルの演奏を経験し、より高い目標を持てるようになりました」のように記述すれば、成長度がより明確になります。

部活動(運動部)

例文

大学生活において、私はサッカー部に4年間所属しました。部活動で培った協調性や責任感、そして最後までやり抜く力は、今の私を形作る上で非常に大きな支えとなっています。
特に印象に残っているのは、大学2年生の頃に全国大会の決戦で敗戦した経験をし、そこから立ち上がってチームを勝利に導くために努力したことです。チームメイト一人ひとりと話し合い、課題を共有し、練習メニューを改善しました。その結果、次の試合では見事勝利を収めることができ、チーム全体の士気を高めることができました。
この経験を通して、困難に立ち向かう力、チームで目標を達成する喜びを学びました。困難に立ち向かう力は、仕事で壁にぶつかった際にも諦めずに解決策を探し続けることにつながると考えています。入社後、営業職に就いた際は、内勤さんや同部署のメンバーと協力し、大きな目標を達成したいと思っています。(400字以内)

サッカー部の経験を軸に、協調性や責任感、最後までやり抜く力といった、企業が求める人物像を明確に示せているガクチカです。

フィードバックできる部分は、数字を用いるとより具体性が上がる点です。「チームメイト一人ひとりと話し合い」ではなく、「15人のチームメイトと個人面談を行い」など、数字を入れれば、より具体性が増します。

また、サッカー部の経験が、なぜ営業職に活かせるのかをもう少し具体的に説明できると良いでしょう。「サッカー部の経験で培ったコミュニケーション能力を活かし、お客様との信頼関係を築き、契約へとつなげたいと考えています」のように、具体的な行動と結びつけると伝わりやすくなります。

資格取得(TOEIC)

例文

大学2年の春、私はTOEICのスコアアップを目標に英語学習を始めました。単語帳と問題集を片手に、毎日2時間、机に向かう日々を送りました。最初は苦戦しましたが、少しずつスコアが伸びていくにつれ、英語学習の楽しさを感じ始めました。特に、洋画を字幕なしで見れるようになった時は、大きな達成感を得ることができました。
この経験を通して、私は英語力だけでなく、目標に向かって努力を続けることの大切さを学びました。また、英語という一生もののスキルを得られたのは私の大きな自信につながっています。貴社へ入社した後は、これまで培った英語力を活かして、世界の人々と深いコミュニケーションが取れるコンサルタントとして成長したいと考えています。(350字以内)

TOEICのスコアアップという具体的な目標に向かって努力したエピソードは、多くの企業が求める「目標達成力」や「継続力」をアピールできる経験です。

肉付けできる部分としては、モチベーションを維持した方法が挙げられます。スコアが伸び悩んで苦労した点と、それを乗り越えた経験も入れると、より努力の度合いが伝わります。

また、入社後にどのように英語力を活かしたいのか、もっと具体的なイメージを示せると良いでしょう。「海外のクライアントとのコミュニケーションを円滑に進めたい」「グローバルなプロジェクトに貢献したい」など、将来の目標と企業のビジョンを結びつければ、入社意欲がより伝わります。

ボランティア活動

例文

私は大学1年生から、地域の高齢者の方々とかかわるボランティア活動に積極的に参加しました。この活動を始めたきっかけは、私の祖母がボランティア団体の方に非常に親身になってもらったことを嬉しそうに話してくれたことです。
私が人見知りな性格なのもあって、最初は皆さんと打ち解けるのが大変でしたが、高齢者の方々の生活を少しでも豊かにしたいという想いを持ち、積極的にコミュニケーションを取りました。
その結果、コミュニケーション能力が向上し、人との触れ合いがいかに大切かを実感しました。また、様々な人生経験をお持ちの方々との交流を通じて、社会に対する視野が広がり、自分自身の成長に繋がりました。これらの経験を活かして、相手のためを想って行動し、心からの「ありがとう」をもらえる介護スタッフとして成長したいと思います。(350字以内)

ボランティア活動を通して得られた経験が具体的に書かれており、熱意が伝わってくる内容です。特に、祖母とのエピソードからボランティアを始めたというきっかけが明確で、説得力があります。

「積極的にコミュニケーションを取りました」の部分をもう少し具体的にすると、より伝わりやすくなります。どの程度の頻度でボランティアに参加し、コミュニケーションを努力したのかが分かる内容だとなお良いでしょう。

また、「コミュニケーション能力が向上した」だけでなく、「最初は緊張して言葉が出てこなかったのが、今では積極的に会話できるようになりました」のように、具体的な変化を記述しましょう。

一人暮らし(家計管理)

例文

私は大学時代に一人暮らしを始めたことをきっかけに、家計管理を徹底的におこないました。限られたアルバイト収入の中で、食費や光熱費を効率的にやりくりし、毎月50,000円の貯蓄を目標に設定しました。
特に苦労したのが、食費のやりくりでした。そこで、料理研究家のレシピサイトを参考に、食材費を安く抑えられるメニューを考案しました。さらに、家計簿アプリを活用し、支出を細かく記録したり、無駄遣いを減らしたりする習慣を身に付けて、将来への備えにつなげられました。
この経験から、私は限られた資源の中で最大限の結果を出すことの大切さ、計画性や実行力、そして何よりもお金の大切さを学びました。貴社へ入社した後は、一流のファイナンシャルプランナーとしてお客様のマネープランを最適なかたちでご提案し、顧客満足度の向上を目指したいと思います。(400字以内)

この文章は、一人暮らしを通して得た経験が具体的にまとまっており、内容が分かりやすいのが良い点です。

また、「毎月50,000円の貯蓄」のように、具体的な数字で表現されているので、努力が伝わりやすい点も評価ポイントです。家計簿アプリを使った理由や節約のために工夫した点も具体的に書けており、行動力や工夫する力がアピールできています。

入社後にやりたいことがファイナンシャルプランナーである点も、お金に携わる仕事としてエピソードとの親和性が高いガクチカと言えます。

ガクチカの基本的な書き方

企業の求める人物像を把握する

ガクチカを書く前に、まず企業研究を行って「企業の求める人物像」を確かめておきましょう。

ガクチカでは人柄や考え方のアピールが重要となるため、そもそも企業がどんな人材を求めているのかを把握する必要があります。

求める人物像は、企業ホームページに掲げられていることが多いです。さらに、SNSの発信内容や、就職エージェントで確認できる社員の口コミを参照すれば、より企業に合った人物像を掴めるでしょう。

「STAR法」で書くのがおすすめ

STAR法

  • Situation(状況)
  • Task(課題)
  • Action(取り組み)
  • Result(結果)

ガクチカはSTAR法に沿った文章構成で書くと効果的です。STAR法とは、Situation(状況)、Task(課題)、Action(取り組み)、Result(結果)の頭文字を取ったもので、過程を説明するのに適した文章の書き方です。

ガクチカでは結果よりも過程の具体性が重視されるため、このような書き方で作成することでアピールポイントが伝わりやすくなります。

また、最後にはその経験から学んだことを必ず示しましょう。ただ単に「〇〇をして〇〇を成し遂げた」という内容では、エピソードの紹介をしただけになってしまいます。

面接で質問されることを想定しておく

面接では、ガクチカの内容について高確率で質問されます。そのため、質問されそうな箇所をある程度把握しておき、適切な回答ができるように備えておく必要があります。

質問に対して、ガクチカで既に書いた内容ばかりを答えていると、追加でアピールできる機会を逃してしまいます。また、受け答えがちぐはぐであれば、そもそもガクチカの内容自体が嘘だと疑われかねません。

可能であれば、エピソードを追加で1~2個用意しておき、質問された際にそれを引き合いに出しましょう。そうすることで、多様な経験が伝わり、内容の信憑性も高まります。

ガクチカが書けない時に意識したいポイント

エピソードは1つに絞る

ガクチカのエピソードを絞るメリット

まず意識しておくべきなのは、エピソードを1つのみに絞ることです。アピールしたい気持ちのあまり、つい複数のエピソードを盛り込みがちですが、人事担当はあなたの強みや経験を深く理解したいと考えています。

1つのエピソードを深く掘り下げれば、あなたの熱意や成長過程を具体的に伝えられます。また、文章が整理されて読みやすくなるのも、エピソードを1つに絞る方が良い理由です。

エピソードをいかに深掘りできるかが、ガクチカ全体のクオリティを左右する重要なポイントです。

一文は短く簡潔な文章で書く

ガクチカを簡潔な文章で書くべき理由

一文を短く簡潔な文章で書くことは、ガクチカにおける鉄則です。あまりにも長文だと、人事担当に「長すぎて何が言いたいのかが分からない」と思われてしまい、途中で飛ばされてしまうおそれがあります。

一文をできるだけ短く簡潔にすれば、人事担当はあなたが何をアピールしたいのかをスムーズに理解できます。また、あなたに伝えたい要点を簡潔にまとめる能力があることもアピールできるでしょう。

具体的な数字を入れてアピールする

ガクチカの内容に具体性を持たせる方法

具体的な数字を入れた方が、あなたのエピソードがより説得力のあるものに仕上がります。例えば、「アルバイトで月100件以上の注文に対応しました」というように書けば、能力の高さを具体的にアピールしやすくなります。

また、数字を入れれば文章にメリハリが生まれ、特にアピールしたい部分を際立たせることもできます。

しかし、エピソードの内容的に、数字で表現するのが難しい場合もあります。その場合は、名称や難しさなどを詳細に書くなど、抽象的になりすぎないような工夫が有効です。

嘘をつかない

ガクチカで嘘がNGな理由

ガクチカがないと感じてしまうと、つい脚色したり、架空のエピソードを作り上げたりしがちですが、これらは絶対にNGです。嘘のエピソードは面接で必ず見抜かれ、「嘘をつく人」とみなされて信頼を失うことにつながります。

多くの企業は、あなたの経験そのものだけでなく、その経験を通して何を学び、どう成長したかを見たいと考えています。

そのため、嘘のエピソードで飾るよりも、自分の経験を正直に伝えましょう。小さなことでもそこから得られた学びや気づきがあれば、立派なガクチカになります。

自己PRと混合しない

自己PRとガクチカの違い

ガクチカと自己PRは、似ているようで異なるものです。まず、自己PRの目的は自分の強みやスキルをアピールすることです。一方、ガクチカは具体的なエピソードを通して、物事への取り組み方や人柄を伝えることが目的です。

ガクチカを書くときは、強みだけでなく個性が伝わるようなエピソードを探しましょう。そのエピソードを通して、あなたがどのような人物であり、どんな強みや能力を培ったのかを具体的に伝えることが大切です。

「ガクチカがない」と悩んでいる時によくある質問

Q.ガクチカのエピソードは大学以前のことでもOK?

ガクチカは「学生時代に力を入れたこと」なので、大学時代の活動でないといけないというわけではありません。多くの方にとって、大学生活において注力したエピソードを複数見つけることは決して簡単ではないので、大学入学前の経験を伝えるのもひとつの手です。

大学入学以前の経験を述べれば、あなたの強みや人格形成の原点を伝えられるというメリットもあります。

ただし、高校までのエピソードに終始していると、大学で何の学びも得なかったと判断されるおそれがあります。あくまで大学時代の経験に繋げられるようなエピソードを意識しましょう。

Q.ESのガクチカは何割くらい書くのがベスト?

企業によって異なりますが、ガクチカの文字数指定がない場合は300~400文字を目安に書きましょう。この文字数にまとめれば、アピールしたい内容を簡潔な文章で伝えられます。

ただし、文字数を厳守するよりも、あなたの経験から得られた学びや企業で活かせるスキルを具体的に記述することが重要です。むやみに長文にするのではなく、簡潔かつ具体的にあなたの経験を伝えられるように心がけましょう。

Q.困難だったことがないエピソードは弱い?

ガクチカにおいては、必ずしも困難な経験だけをアピールすれば良いわけではありません。新しいことにチャレンジして成功した経験や、チームで目標を達成した経験なども、あなたの積極性や努力をアピールできる立派なエピソードです。

そのため、困難にぶつかった経験がなくても問題ありません。大切なのは、その経験から何を学び、どのように成長したのかを具体的に説明することです。十分に自己分析を行い、あなた自身をアピールするガクチカを練り上げましょう。

Q.ガクチカで成果として出せる具体的な数字がなくても良い?

具体的な数字がない場合でも、他の方法で成果を示すことは可能です。例えば、「周囲の人からどのように評価されたか」「その経験を通して、自分がどのように変わったか」を具体的に記述すれば、あなたの成長を具体的にアピールできるでしょう。

数字を用いなくても、内容に具体性を持たせることはできます。際立たせたい部分についての記述を多めにするなど、表現の工夫次第で見え方は大きく変わってくるでしょう。

「ガクチカがない」と感じたら経験を振り返ってみよう

目に見える成果や実績にかかわらず、あなたが全力で取り組んだ多くの経験はガクチカに活かせます。

就職活動は内定を勝ち取るための競争だからこそ、周りに負けたくないという気持ちは自然なものです。しかし、焦らずに自分らしい等身大のガクチカを探すことが大切です。

あなたの経験は、あなただけの宝物です。学生生活で頑張ったことを今一度振り返り、魅力的なガクチカを作りましょう。

ガクチカの書き方は?テーマの探し方や注意点も解説【例文あり】

ESを作成する際、ガクチカの書き方に悩む方は多くいます。就活において企業から必ずと言ってもいいほど質問されるガクチカは、学生時代に頑張ってきたこと自分の良さを最大限にアピールできる項目です。

本記事では、ガクチカの書き方や構成づくりのポイントを解説します。さらに、記事後半ではテーマ別に具体的なガクチカの例文を紹介しますので、自分の経験や強みに合わせて参考にしてみてください。

就活で「ガクチカ」を問われる3つの理由

ガクチカとは、就活で使われる用語で、「学生時代に力を入れて取り組んだこと」という意味です。ガクチカの書き方や構成づくりのポイントを把握する前に、その意味や就活でなぜ重要な項目であるのかを理解することが大切です。

企業はガクチカを通して、応募者の価値観能力など様々な要素を評価しようとしています。質問の意図を把握し、読み手の心を掴むガクチカを作成することが重要です。

何に挑戦してどんな成果を出したのかを把握するため

就活でガクチカを問われる理由の一つ目は、学生時代に何に挑戦し、どのような成果を出した経験があるのかを把握するためです。ただし、成果の大きさに注目しているわけではありません。

企業はガクチカを通して、その背景にある努力挑戦への意欲などを評価したいと考えています。もちろん、他の学生が経験できないような輝かしい実績がある場合は、大きなアピール材料になります。しかし、自慢する内容ではなく、あくまでも過程を重視した書き方を意識することが大切です。

自社の文化や価値観とマッチするかを確かめるため

二つ目は、自社の文化や価値観との適合性を確認するためです。ガクチカを通して、人柄や価値観、モチベーションの源泉など応募者の内面を読み取りたいと考えています。

企業が求める人物像と応募者の人柄や価値観にミスマッチがある場合、早期退職に繋がる恐れがあります。採用コスト面も考えると、そのような事態は防ぎたいところです。

企業の掲げる理念やビジョンに共感し、環境に適応できるかを評価するためにガクチカを尋ねています。

自社で活かせる学びを得ているかを知るため

三つ目は、採用後に自社で活かせる学びを得ているかを知るためです。

ガクチカのなかでも、留学やサークル活動などテーマが他の就活生と被ることがあります。しかし、テーマが一緒とはいえ、そこから得たスキルや学びは人によって違います。企業側はその経験からどのような学びを得ているか、なおかつ入社後にどう活かせるのかを評価したいと考えています。

つまり、入社後にどのような活躍をしてくれるのか、期待値を判断されていると言えるでしょう。

就活でアピールできるガクチカのテーマの探し方

学生時代を振り返って自己分析をする

「ガクチカがない」と感じている学生でも、自己分析を深めることで新たなアピールポイントを発見できます。学生時代に取り組んだことや経験、興味関心を振り返り、自身の強みや成長点を見つけてみましょう。また、達成感を得た経験や、何かに挑戦した経験もガクチカに相応しいテーマです。

大きな成果や実績を挙げた経験でなくても大丈夫です。自分自身を客観的に見つめ直し、自らの経験特性をより深く理解することで、ガクチカのテーマが見つかります。

周囲の人からフィードバックやアドバイスを受ける

ガクチカがないと感じる場合は、周囲の人からのフィードバックやアドバイスを受けてみましょう。友人や家族、先生、先輩などからの率直な意見は、ガクチカのテーマ探しにおいて貴重な情報源です。

自分にとっては当たり前な行動でも、周囲の人から褒められた経験もガクチカとして十分に効果があります。自分では気付かなかった強みや良さを発見できる機会になります。

他者の視点を取り入れながら、自分自身をより深く理解し、就活での差別化を図りましょう。

企業の求める人物像とマッチする経験・エピソードを選ぶ

自らの経験やエピソードのなかから、企業が求める人物像とマッチするものを選び出すことが重要です。学生時代に参加したプロジェクトやボランティア活動、リーダーシップを発揮した経験など、培ってきたスキルや経験を踏まえて、特に企業が重視する要素に焦点を当てましょう。

企業がどのような要素を重視しているのかを理解するためには、企業・業界研究が必要です。企業や業界への理解を深め、自らの経験をリンクさせることで就活でのアピール力を高めることができます。

ガクチカの書き方6つのステップ

<ガクチカの書き方>

①結論:学生時代何に取り組んでいたのか?

②背景:そのことに注力した理由は?

③目標と課題:どのような目標を掲げ、どのような困難や課題があったのか?

④行動:困難や課題に対して、どのように取り組んだのか?

⑤成果:どのような成果が得られたのか?

⑥学び:経験からどのようなことを学んだのか?

①結論

まずは、学生時代に力を入れて取り組んでいたことを記載します。ガクチカは、結論から書き始めることがポイントです。

例えば、「私が学生時代に力を入れて取り組んだことは、〇〇です。」というように、簡潔に書き始めます。冒頭に結論を書くことで、何に取り組んでいたのかを明確に伝えることができます。

始めたきっかけや背景、エピソードから書き始めると、文章全体が分かりづらくなるため、結論ファーストで書くということを意識しましょう。

②背景

結論に続いて、なぜそのことに力を入れて取り組んだのか、背景や理由を説明します。例えば、留学をテーマにしたガクチカを書く場合は、留学をしようと思ったきっかけや理由を伝えましょう。

ここで大事なことは、簡潔に述べるということです。一般的に、ESでは文字数が指定されていることが多く、ガクチカを書く範囲も決められています。このあとの行動をしっかり伝えられるように、背景や理由は簡単に伝えることを意識しましょう。

③目標と課題

次に、経験のなかで掲げた目標や、直面した困難課題について書きます。例えば、部活での目標であれば、「〇〇リーグで1位を目指して活動していた」というように、具体性を出すことがポイントです。

企業はガクチカで努力の過程を知りたいと考えています。しかし、具体的にどのような困難を経験したのかを伝えないと、取り組んでいた物事の困難度が伝わりません。

採用担当者が同じような経験をしているとは限りませんので、状況がイメージしやすいように分かりやすく書きましょう。

④行動

この部分は、企業がガクチカのなかでも最も注目している内容です。自分が直面した困難や課題に対して、どのように対処したのかを具体的に伝えることが求められます。

「努力しました」「頑張りました」というような抽象的な表現ではなく具体的な行動や取り組み、工夫した点を書きます。同じ困難や課題に遭遇しても、人によって解決の仕方は異なります。

読み手に、困難を克服するためにどのような努力をしたのかを鮮明に伝えることが重要です。

⑤成果

努力や工夫の結果、どのような成果が得られたのかについても触れていきましょう。その際、具体的な数字を盛り込むことで、より努力の過程が伝わりやすくなります。

例えば、アルバイト先で実施した工夫によって、売上がかなり上がったとします。この場合、「かなり」という表現を使うよりも、「売上が前月よりも〇%アップした」「〇〇円売上に貢献できた」というような表現のほうが適切です。

「かなり」「非常に」というような人によって評価の差が生まれる表現ではなく、具体的な数値を使って成果を伝えましょう。また、主観的な評価を避けるために、他者からの評価を交えるとなお良いです。

⑥学び

ガクチカの最後は、ここまで伝えた一連の経験からどのようなことを学んだのか、そして入社後にどう活かしていくのかを書きます。

企業は、大勢の応募者のなかから、より活躍する人材を探しています。経験から得た学びやスキルは、企業に対してどのようなメリットがあるのか、企業が求める人物像とどれほどマッチしているのかをアピールすることが大切です。

今後の展望や成長への意欲も強調し、企業との共通の目標に向けて貢献する意思を示しましょう。

効果的なガクチカを書くポイント

独自性や具体性を重視する

ガクチカは、他の就活生とテーマが被ることもあるため、独自性具体性を重視した内容を書くことがポイントです。

具体的なエピソードや事例を交えることで、読み手に自分の経験をよりリアルに伝えることができます。また、具体的な数値やデータを挙げることで、自身の成果や実績をより明確にアピールすることができます。

オリジナル性や具体性を高めることで、他の就活生と差別化したガクチカが作成でき、志望企業から高く評価されます。

自己PRとは違うことを理解する

ガクチカを作成する際に、自己PRと内容が一緒になってしまうという方も多いでしょう。しかし、ガクチカと自己PRは、それぞれ企業が把握したいポイントが異なります。

ガクチカは、物事に対する努力の過程やモチベーションの源泉を中心にチェックされています。一方、自己PRは自分自身の強みや価値、キャリア目標をアピールする項目です。

自分をアピールするという部分では共通していますが、質問の意図が異なるということを理解しておきましょう。

読み手に価値を伝える

ガクチカをより効果的な内容にするためには、志望企業の興味を引くことが大事です。自分の経験や取り組みから得られる、企業にとっての具体的なメリットを示し、企業に対する貢献度スキルを明確に示します。

また、自身の行動や成果が企業の目標や価値観と一致していることを強調することで、読み手に共感を呼び起こします。

志望企業が求める人物像やビジョンを意識してガクチカを書くことで、自分の独自性志向性をアピールできます。

ポジティブな表現を使用する

ガクチカでは、ポジティブな表現を使用することが効果的です。ポジティブな表現は、自身の経験や取り組みをより魅力的にし、読み手により良い印象を与えます。また、自らの積極性前向きな姿勢をアピールしやすくなります。ただし、誇張や誤解を招くような内容にならないように注意が必要です。

自身の経験や取り組みを正確に伝えることが重要ですが、それをポジティブな視点から描写することで、自信を持ってアピールすることができます。

評価されるガクチカの例文5選

例文1:部活・サークル活動

例文

私が学生時代に力を入れて取り組んだことは、キャプテンを務めていたバスケットボール部での活動です。私たちのチームは負けが続いており、練習の質も低いという課題がありました。そこで私はキャプテンとして、チーム目標のために何が必要か考え、実行しました。具体的には、部員全員に積極的に話しかけ、自分の考えを発信することを心がけました。さらに、各自が得意な分野や強みを活かした指導を実践しました。その結果、徐々にチームのレベルが上がり、全国大会出場を果たしました。この経験から、リーダーシップの重要性を学びました。また、チーム全体の目標に向けて、個々の強みを最大限に活かすことの大切さを理解しました。私は、貴社に入社後も困難な状況に直面した際には、柔軟な発想とリーダーシップを発揮し、チームを前進させることに貢献したいと考えています。(400字以内)

部活動をテーマにしたガクチカでは、活動中に直面した課題や困難、それに対してどのように対処したのかを明確に伝えることで、差別化が図れます。

リーダーシップ力を持つ人材は多くの業界・企業で重宝されます。全体的に具体性があり、志望企業にとっての価値を示す内容となっています。自らの経験やスキル企業の文化やニーズにどのようにマッチするのかを明確に示すことで、より効果的になります。

例文2:学業・ゼミ

例文

私が学生時代に力を入れて取り組んだことは、経営学のゼミ活動です。ゼミに参加することで、理論だけでなく現場での経営課題を知り、解決策を模索する経験を得たいと考えました。ゼミで初めて参加したプロジェクトでは、チームメンバーとの意見の不一致や課題の優先順位の決定において摩擦が発生する出来事がありました。私はこれらの問題を解消するために、話し合いの場を設け、全員の意見を尊重し、議論を深めました。これにより、共通の目標に向けて、意見がまとまり、改善策を発見することができました。私はこの経験から、問題解決能力を向上させることができました。将来は、この経験や能力を活かし、チームの調和と業績向上に貢献したいと考えています。(350字以内)

この例文は、経営学のゼミ活動に焦点を当て、具体的な経験や取り組みを明確に示しています。経験を通じて得た学びや成果を伝えることで、自己成長と専門知識の獲得をアピールできます。

さらに、その経験を将来のキャリアにどのように活かしたいのかを記しており、目標に対する意欲を強調しています。このように、経験の具体性や成果への言及、そして将来への展望を表現することが、良いガクチカを書くポイントになります。

例文3:アルバイト

例文

私が学生時代に力を入れて取り組んだことは、カフェでのアルバイト活動です。私は社会経験を積むために、大学1年次にカフェのアルバイトを始めました。しかし、初めのうちはお客様と会話をする機会が少なかったため、上手く接客をすることができませんでした。そこで、まずは自分が積極的に話しかけることを心がけました。すると次第に、「あなたがいるから大丈夫」という言葉を頂けるようになり、徐々に信頼関係を築くことができました。その結果、常連のお客様も増え、店長から「あなたなら任せられる」と言っていただけるようになりました。このような経験から、コミュニケーション能力を向上させることができました。また、顧客サービスの向上に取り組む喜びを学びました。私はこれらの学びを活かし、組織内での円滑なコミュニケーションや顧客サービスの向上の貢献に努めていきたいと考えています。(400字以内)

アルバイトを通じて得た成長や学びについて明確に示すことが大事です。具体的なエピソードを通じて、初めは苦労したが積極的な努力によって成果を得た経験が描かれています。

また、その経験を通じて得たコミュニケーション能力や顧客サービス向上への意欲が、将来のキャリアにどのように活かされるかが示唆されています。アルバイトをテーマにしたガクチカも十分効果的です。差別化を図るために、オリジナル性を意識して書いてみましょう。

例文4:インターン

例文

私が学生時代に力を入れて取り組んだことは、営業職の長期インターンシップです。私は、ビジネスの実践的なスキルを身につけたいと思い、企業での長期インターンシップに挑戦しました。最初は、新規顧客の獲得や既存顧客との関係構築など、営業活動における様々な課題に直面しました。しかし、それらの課題に真摯に向き合い、粘り強く取り組むことで、成果を挙げることができました。具体的には、新規顧客の開拓に成功し、既存顧客からの信頼を得て、リピート率を向上させました。これらの経験を通じて、営業活動における効果的なコミュニケーションや交渉のスキルを磨くことができました。入社後には、この経験を活かし、営業チームの一員として積極的に市場開拓に取り組み、貴社のさらなる発展に貢献したいと考えています。(350字以内)

長期インターンもガクチカで効果的なテーマの一つです。ここでは、営業職の長期インターンに焦点を当て、具体的な挑戦や成果を明確に示しています。挑戦に対する姿勢や解決策への取り組み方も強調されており、自己成長と貢献意欲が感じられる内容になっています。

営業職を目指す学生はたくさんいます。実践的なスキルを持つ人材は、高い評価を受けられますので、自信を持ってアピールしましょう。

関連記事:長期インターン経験をガクチカで活かすには?

例文5:留学

例文

私は学生時代、アメリカに短期留学をし、語学力向上に努めました。私は大学2年次に短期留学をしましたが、当初は語学力不足で現地の友人を作ることに苦労していました。そこで、現地の学生と積極的に交流することを心がけました。また、授業外でも積極的にコミュニケーションを取り、会話の機会を増やしました。その結果、現地の友人を作ることができ、今でもメールや電話でやり取りをすることができています。また、TOEICの結果も留学前と比べて、150点アップすることができました。私はこのような経験から、語学力はもちろん対人スキルも向上しました。貴社に入社後には、これらのスキルを活かし、国際的なプロジェクトに積極的に参加し、グローバル展開に貢献したいと考えています。(350字以内)

長期や短期というように期間に関わらず、留学も立派なガクチカのテーマです。ただし、留学したこと自体が強みになるのではなく、そこで何を学んだのかが大事なポイントです。

この例文では、留学前後の語学力向上や対人スキルの成長が数字や具体的な例を交えて伝えており、説得力のあるガクチカになっています。また、将来のキャリアの展望を述べており、入社後の活躍がイメージできます。

ガクチカを書くときの5つの注意点

専門用語は使用しない

ガクチカを作成する際は、専門用語を使わずに、自分自身の経験や取り組みを分かりやすく説明しましょう。専門用語は読み手にとって理解が難しい場合があります。誰が読んでも理解できる内容を書くことで、伝えたいことがより効果的にアピールできます。

また、ES全体で一貫した言葉遣いを保ち、できるだけ一般的な言葉簡潔な表現を使用することが大切です。読み手に分かりやすく、魅力的な内容を提供することで、ガクチカの効果を最大限に引き出しましょう。

誤字脱字をチェックする

ガクチカを書き終わったら、もう一度読み返して誤字脱字がないかチェックしましょう。万が一、誤字脱字を発見した場合は、修正液で修正するのではなく書き直しましょう。

ES内に誤字脱字があるまま提出すると、マイナスな印象を与えかねません。書き上げた文章を繰り返しチェックし、誤字脱字を見逃さないようにしましょう。

また、他の人に目を通してもらうことも有効です。誤字脱字がないことで、ガクチカを含めたESのクオリティを向上させることができます。企業からの信頼性を損なわないためにも、丁寧にチェックをするようにしましょう。

世間的に良くないイメージのテーマは避ける

ガクチカはテーマ選びが大事なポイントです。ガクチカを書く際には、世間的に良くないイメージのテーマは避けるようにしましょう。

例えば、趣味をテーマにする場合、パチンコや競馬などのギャンブル系の内容は就活の場に相応しくありません。そのような内容は、読み手に不快感を与える可能性があり、マイナスの評価を受ける恐れがあります。

代わりに、社会的に受け入れられ、ポジティブなイメージを持たれる活動や経験を選びましょう。

嘘や誇張した内容は書かない

ガクチカを通して、自分をアピールすることは大事ですが、そこに嘘や誇張した内容を含めることはいけません。ESや履歴書に虚偽の情報を記載すると、信頼性を失い、信用を損なう恐れがあります。真実を基にした客観的で、正確な情報を提供することが重要です。

自分自身の経験や成果を素直に表現し、読み手に信頼感を与えることがガクチカの重要な要素となります。嘘や誇張はむしろガクチカの評価を落とし、求められる人物像とのミスマッチを招く可能性があるため、避けるべきです。

面接時の深掘り質問に備える

ガクチカを書く際は、面接時に深掘りされる可能性があることを考慮しておくことが大事です。ESに書かれた内容について、面接官から具体的な質問が出されることがよくあります。

そのため、経験や取り組みに関する詳細や背景を把握し、具体的な事例や結果を準備しておく必要があります。また、自らの行動や考え方、得た学びやスキルを説明できるようにしておきましょう。

面接官からの深掘り質問に備えることで、自信を持って的確に回答することができ、より効果的にガクチカを伝えられます。

ガクチカの書き方を理解して自分の経験をアピールしよう!

ガクチカは、結論ファーストでオリジナル性具体性を意識して書くことが大切です。また、抽象的な表現ではなく、誰が読んでもその状況や場面をイメージできる内容かどうかもポイントです。

最後に、一度書いた文章は再度確認し、不明瞭な部分や誤字脱字を修正してから提出しましょう。そうすることで、自分の経験や強みをより鮮明に伝えることができ、印象に強く残るガクチカが完成します。

ガクチカの書き方に悩んでいる方は、今回ご紹介したポイントを踏まえて、構成づくりからスタートしてみましょう。

志望動機がない場合の書き方は?思いつかない時に参考になる例文付きで解説

就職活動において自己PR、ガクチカと並んで企業から質問されるのが志望動機です。「どうして弊社を選んだのか」という質問とそれに対する回答は、最早鉄板とも言える採用現場でのやり取りでしょう。

やはり企業としても、数多く存在する企業の中から自社を選んだ理由を知りたいと思っています。また、他の2つの質問とは違い、志望動機は今後働いていく上でのモチベーションにもつながるため、質問の中で特に重視している企業も少なくありません。

しかし、企業の希望とは裏腹に「志望動機が思い浮かばない」と困っている就活生が多いことも事実です。また、しっかりした志望動機に見えても、そもそも「なぜ選んだのか」「どうして応募しようと思ったのか」など、突き詰めて考えていくと、実際は穴だらけということも珍しくありません。

この記事では、志望動機が思い浮かばずに悩んでいる就活生に向けて、志望動機の見つけ方や、その後の志望動機の書き方について解説していきます。

志望動機が「ない」就活生は意外と多い

例えば、幼少の時分から入社したい企業が決まっていて、それに向かって人生設計を組み立ててきたというような志の高い学生は確かに存在します。しかし、そのような人は極少数でレアケースな存在です。

現代は就活サイトを活用した就活がスタンダードです。就活サイトでは大半の学生が、「何となく」興味を持った企業にエントリーし、「とりあえず」説明会に参加するという状況から始まります。このような「何となく」や「とりあえず」の状態では、志望動機が「見つからない」「思い浮かばない」のは当然です。

就活サイトでは、今まで接点のなかった企業とも簡単に接点を持つことができます。しかし、最初は相手のことを何も知らない状態です。興味や関心がなければ志望動機は書けません。事実、就職ジャーナルのアンケート結果では6割の就活生が「志望動機が書けなかった」と回答しています。

しかし、いつまでも「ない」状態では選考が先に進みません。その状態から企業に興味を持ったきっかけを言語化すると同時に、自己分析や企業研究を進め「志望動機」を作っていきましょう。

参考:「志望動機が書けない」で困った就活生は半数以上!|就職ジャーナル

企業が志望動機を求める理由とは

会社と志望者の相性を確認するため

企業が人の集まりである以上、どうしても企業と労働者には「相性」というものが存在します。相性のよい企業であれば長く働き続けてくれるかもしれませんが、相性の悪い企業であれば、転職や退職につながってしまいます。

企業としては一人の人に長く働き続けてもらうことを希望しています。それは新入社員も同じです。折角、長い時間をかけて採用活動をしたのに、早期退職となってしまっては企業としても大きな負担となります。

企業は、志望動機から就活生の働き方の方針や自社への興味関心を読み取ろうとしています。当然ですが、方針が合致していて、興味関心があれば企業としても長く勤めてくれるという期待が持てるでしょう。このような相性の良い就活生を探すために志望動機を企業は質問しています。

学生の志望度を測るため

志望動機を書くためには、企業のことを知らなければなりません。どのような仕事内容なのか、どのような商品を販売しているのか、取引企業はどこがあるのかなど、企業が発表していることだけでも分かることは多種多様です。

志望動機の源泉は、企業に対する興味関心にあります。企業としても「何となく」選んだ就活生よりも、強い興味を持っている就活生の方が「採用しよう」という気分になるのは当然です。

志望度とは「どれだけ自分たちのことを知ろうとしてくれているのか」という企業からの期待と同義です。「知ろうとする気持ち」は、そのまま志望動機につながります。志望動機を書く前には、その企業だからこそできることを必ず調べてみましょう。

入社後の活躍を想像するため

人事の仕事は人を採用して終わりではありません。その人が適切に能力を発揮できる場所に配置する、引き出してくれる仲間を用意するなど、マネジメントも人事担当の重要な仕事です。

それは新卒の就活生に対しても同様です。企業は志望動機の内容から「その人が何をしたいのか」を読み取ろうとしています。そして、企業としてその「したいこと」が実現できる場所が提供できるかを常に考えています。

志望動機には臆することなく自分がその企業でしたいことを記載しましょう。そうすることで企業も入社後の姿が想像しやすくなります。更に「何を」「誰と」というところまで具体的に記載できると、さらに入社後の姿が企業にもクリアに見えてきます。

企業が志望動機を評価しているポイント

自分の考えを適切に表現できるか

昨今、ネットを開けば志望動機の例文がいくつも存在します。その中には確実に企業の求めるポイントを突いた名文と評価すべき志望動機が存在することも事実です。しかし、それはあくまでも「書いた人」が思っていることだということを忘れてはなりません。

働く業界も企業も私たちは自由に選べます。そして、その無数にある業界や企業の中から「自分が選んだ」理由が必ず存在するはずです。企業も、自社を選んでくれた理由については是非とも知りたいと思っています。

志望動機が素晴らしい理由である必要は全くありません。志望動機は自分の思っていることを素直に伝える場所です。自分らしさがストレートに伝わる志望動機の方が企業も評価してくれるでしょう。

面白い話ができるか

ここでいう「面白い」話とは「相手が興味を持てる」話です。志望動機は企業に対する興味関心が源泉になるため、しばしば他の就活生と内容が似通ってきます。そうなると、評価する側としては目新しさを感じられず興味も持てません。

逆に言えば、その中で目新しい志望動機が書くことができる就活生は、企業も興味を持ってくれます。例えば、自分だけが知っている商品をきっかけにしてみる、自分の経験と結び付けてみるなど、目新しさを出す方法はいくつも考えられます。

他にも、文章力に自信があるならば、志望動機の書き方のセオリーを崩してみるのも良いでしょう。ただし、文章構成の変更は文章の説得力や論理性を犠牲にする可能性もあるため注意が必要です。

どの程度業界や企業を調べているか

志望動機は、業界や企業への理解を示すものでもあります。採用活動で企業が最も避けたいのは、内定後や入社後に採用辞退や早期離職をされることです。そのため、選考段階で就活生の思い描いている企業像を確認し、ミスマッチを防止できれば企業も採用を円滑に進められます。

このミスマッチを防ぐためには、就活生側にも「業界や企業を調べて、正しく理解する」ことが求められます。調べた上で悩むようであれば、その業界を志望しないという選択肢も視野に入るでしょう。

また、同じ業界でも企業が変われば、企業の風土や教育体制など様々な要素が異なります。その中には「その企業だけ」でしか行われていないことも存在します。本当に「その企業は自分のイメージと一致しているのか」を説明会や企業見学などを通じて確かめていきましょう。

話は論理的か

例えば、金融業界を志望しているのにもかかわらず「人助けがしたい」というような志望動機を書いても、ほとんどの企業は評価しません。抽象的であるだけでなく、業界と志望理由の関連性が薄いためです。

話を論理的にするためには、志望動機に対する適切な「理由」が必要です。先の例ならば同じ「人助け」であっても、「地域経済に貢献したい」や「金融を通じて人の暮らしを豊かにしたい」など、その業界や企業ならではの理由にしましょう。

また、より論理的な志望動機にするならば、冒頭で「理由」の数を伝えることもポイントです。それだけでも読み手や聞き手が内容を整理でき、より話が相手に伝わりやすくなります。

話の内容に説得力はあるか

志望動機は「とにかく入りたい」という熱意を伝えれば良いわけではありません。動機に対する理由をつけ、企業側に納得してもらえるように話を進めていかなければ、自身の意欲は伝わりません。

説得力のある志望動機にするためには、結論から書き始めることが効果的です。相手に対して自分が何を伝えたいのか最初に明示することで、相手も話を整理しながら読み進めていくことができます。

他にも、文章の構成や文の順番、言葉選び次第で志望動機の説得力を強めることは可能です。話の内容は勿論ですが、何よりも「相手が読んで理解できる文章」であることは、志望動機を書く上で最も気をつけなければならないポイントです。

説得力のある文章のポイント
  • 志望動機は結論から書き始める
  • 客観的に伝わる理由を用意する
  • 伝わりにくい専門用語や、難しい言葉は避ける
  • 理由は段階を踏んで、「AだからB」「BだからC」と順番に進めていく

志望動機が思いつかない理由とは

そもそもその企業の中身に興味がない

昨今は就活サイトを使えば、いくつもの企業へ手軽にエントリーできます。しかし、そのような状態の企業の志望動機を考えても、企業のことを何も知らないため志望動機は思い浮かびません。

志望動機を考えるためには、まずは「どのような企業なのか」を知るところから始めましょう。その中で「面白そう」「楽しそう」というポジティブな気持ちが湧き上がってきたときに改めて志望動機を考えてみましょう。

給与や福利厚生などの面だけで評価している

昨今、働き方改革やワークライフバランスの重視など、働き方そのものが変わっています。その中で給与の高さや年間休日などの話も企業選びのポイントになっているということ自体は、社会的には評価されるべきことでしょう。

しかし、これらを理由にしてしまうと、「給与が高いならどこでも良いのか」「仕事の内容は気にしないのか」という印象を与えてしまいます。これでは企業としても、「自社である必要がない」として志望動機を評価できません。

志望動機は、その企業に対する興味です。給与や福利厚生も重要な要素ですが、それだけを見ていると志望動機は生まれません。もっと取り扱っている商品や働いている人に目を向けてみましょう。

自分のやりたいことが定まっていない

同じ企業でも、営業がしたい人と商品開発がしたい人では志望動機は大きく異なります。企業に興味があっても、その企業の中で「したいこと」が思い浮かばない、もしくは明確に決まっていない場合も志望動機は思い浮かびません。

就活生の視点から考えた志望動機とは、自身の仕事に対する価値観でもあります。仕事への価値観とは、簡単に言えば仕事に対して何を望むかです。お金を求める人、やりがいを求める人、ワークライフバランスの充実を求める人など、仕事に対する思いは人それぞれです。

自分が仕事の中で最も大切にしたい物は何か、それを実現するために最適な企業とは、というような視点で志望動機を考え始めるのもよいでしょう。そうすると、自分の「したいこと」と企業で「できること」が自然とつながります。

その会社である理由が曖昧になっている

志望動機が思いつかない理由の4つ目は、その企業を選ぶ明確な理由がないことです。特に、業種で選んでいる人や特定の企業への憧れが強い人は「何故その企業に入りたいのか」という具体的な理由が伴わず、志望動機が思い浮かびません。

企業のネームバリューや業務に対する憧れなど表面的な理由では、入社にかける熱意は伝わりません。企業に入社することでやりたいことや成し遂げたいこと、その他、自分がどのように成長していきたいかなど、その企業だからこその理由が志望動機には求められます。

憧れは志望動機のきっかけにはなりますが、志望動機そのものにはなりえません。企業研究を進める中で、その企業が他とどのような点で異なるのかについて目を向けてみると、自然とその企業である理由も見えてくるでしょう。

自分の考えを整理できていない

業界研究を十分に行い、企業研究や自己分析を終えてもなお、志望動機が書けないという人は、自分の考えが整理できていない可能性があります。志望動機は単に書いて終わりではなく、企業に「入社してほしい」と思ってもらわなければなりません。思いつくまま書くと説得力のない文章になってしまい、熱意が伝わりません。

思い浮かんだ志望動機は、一度紙に書き出すか、他人に話すなどして整理しましょう。そうすることで、志望動機とその理由に対するつながりも明確になり、スムーズに書くことができるようになります。キャリアセンターやOB訪問などを有効に活用しましょう。

また、考えを言語化して吐き出すことは客観的な評価を受けることでもあります。自分では完全だと思っていても、まだ話の展開が強引であったり、根拠が薄弱であったりする可能性は大いにあります。そのような穴を見つけるためにも、一度自分の考えを整理する時間を設けましょう。

志望動機が思いつかないときの対処法

興味のない企業はそもそも応募しない

企業を選んでいると、どうしても「興味が持てない」という企業は少なからず出てきます。業務内容が面白そうではない、社風が自分に合っていないなど、人と企業の相性とも言うべき問題です。

そのような企業の志望動機を考えても、結局は取ってつけたようなありきたりの内容で終わってしまいます。志望動機は、言い換えれば「企業に対する興味関心」です。興味が持てない企業には見切りをつけ、次の「興味を持った」企業の志望動機を考える方が有意義です。

特に、これまで全く接点のなかった企業に対しては、興味を持てないことも多いでしょう。企業研究をしてもなお、興味が持てない企業とは「今回は縁がなかった」と割り切って、次へ進みましょう。

企業研究を徹底して特徴を把握する

志望動機は、その企業1社に対するものでなければ熱意が伝わりません。同じ業界のどの企業でも汎用できるような志望動機は、企業から「自社である必要性がない」と判断されてしまいます。その1社である理由を明確にするためにも、企業研究は欠かせません。

ポイントは、同業他社と比較することです。同じ業界であっても、企業ごとに力を入れているものは全く異なります。他社と比較すると、別の企業では自分の志望動機が叶わない可能性に気が付くこともあります。それを繰り返すことで「その企業ではないといけない理由」も見えてくるようになるでしょう。

最終的に、「同業他社と比べると、貴社は〇〇です。だから〇〇ができる貴社を志望しました」という流れで志望動機が書けるようになれば、企業研究は十分です。自分だけが見出した理由があれば、企業も高く評価してくれるはずです。

「SWOT」分析で自分のやりたいことを見つける

SWOT分析

S:Strength(自分の強みや経験)

W:Weakness(短所や嫌いなこと)

O:Opportunity(志望企業で活かせること)

T:Threat(志望企業と合っていないと思えること)

自分のやりたいことが見つからず、志望動機が思い浮かばないという人は一度企業を見ることを止めて、自分自身を見つめなおしましょう。自分自身の経験や強みといった「自分のできること」と、夢や希望といった「自分のしたいこと」を明確にすると、志望すべき業界や企業もクリアになります。

このような場合は、SWOT分析を活用してみるとよいでしょう。本来は、企業が自社の内部環境と外部環境を、強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)として洗い出し、企業や事業の現状を把握するためのフレームワークであり、就活生にも応用の効く考え方です。

本来、就活においては強みを活かすことが最善ではありますが、強みがあっても志望先で活かせないようでは実力を発揮できないでしょう。企業に入って実現できることも、やりたいことを見つけるためには重要なポイントです。

就活の軸を考え直す

就活の軸とは、就活を行ううえで譲れない、自分なりの基準です。例えば商社やIT業界など業界や企業の内情を基準にする人もいれば、「人と接する仕事がしたい」と業務内容で選ぶ人もいるでしょう。勿論、「給与が良い」といったやや俗な理由もあります。軸となる部分は様々ですが、その軸は志望動機にもつながってきます。

志望動機が思い浮かばないのは、その軸が曖昧になっている可能性があります。現代の就活はインターネットの利用が主流であるため、多くの企業を知ることができます。多くの企業を知っていくと、何もかもが魅力的に見えてしまうこともあるでしょう。しかし初心を忘れてしまっては理想的な志望動機は書けません。

自分の就活における軸を明確にするためには、自問自答するのも効果的です。特に、「なぜ」という理由と「どうやって」という方法、そして、「何を」という仕事の対象は、納得がいくまで考えてみましょう。

他人に相談する

志望動機に悩むようであれば、自分の今の考えや状況などを他人に話すことで解決を図ることも考えられます。他人から客観的な意見を受けることで、新しい発見や別の表現、自分だけでは分からなかった志望動機の穴も見えてくるはずです。

相談する相手は友人や家族でも構いませんが、最も効果的なのは大学のキャリアセンターの職員や就活エージェントなどのプロの意見です。他にも、OB・OG訪問や企業見学のときに実際に働く方から経験談を聞いて参考にするのも1つの方法です。

重要なことは、志望動機は「他人から読まれて評価される」ものであるということです。他人の目線が入ることで、一層、志望動機にも磨きがかかることでしょう。

志望動機を書くときのポイント

結論から書き始める

志望動機における最も重要なポイントは書き出しです。書き出しは採用担当者を最初に惹きつける部分であり、ここで「続きを読みたい」と惹きつけることができなければ、全体を読まれなかったり、読んだとしても流し読みされてしまいます。

書き出しで引き付けるためには、企業が最も知りたいこと、つまり「なぜ自社を志望するのか」という結論の部分から始めます。結論から最初に伝えることで、相手に伝わりやすく、分かりやすい志望動機になります。

このような結論から伝える方法をPREP法と呼びます。「Point(結論)」「Reason(理由)」「Example(実例・具体例)」「Point(結論)」の頭文字をとったものであり、主張を伝えやすくするコミュニケーションの手法として、ビジネスでは幅広く使われています。

PREP法の構成

Point(結論)

Reason(理由)

Example(実例・具体例)

Point(結論)

具体的なきっかけや理由を伝える

結論の次には理由を続けます。この理由が具体的になるほど、その会社でなければならない理由が伝わりやすくなります。まずは業界に興味を抱いた小さなきっかけから始め、業界や企業を絞り込んでいった理由へ繋ぐ、というような流れ話を展開すると論理的で説得力のある文章になります。

また、志望理由を書く時には競合他社の調査も行い、会社ごとの違いを見つけておきましょう。例えば、「金融業界だから」というだけでは、なぜその企業を選んだのかが分かりません。間違いなく企業からは「〇〇社も金融業界ですが、なぜ弊社なのですか?」などと深掘りされてしまうでしょう。

同じ企業にエントリーする就活生は大勢います。ありきたりな内容やどの企業でも通じる理由では企業の目に留まりません。自分にしかない理由を探し出して、採用担当者の印象に残る志望動機にしましょう。

企業でどのように活躍したいかで締める

志望動機の最後は、自分の強みや経験を活かして、会社に対してどのように貢献できるかを伝えます。どれだけ立派な理由であっても、最終的な判断材料は「入社後に活躍できそうか」「企業と相性は良いか」の2つです。その点において、入社後の活躍する姿を話すことは重要と言えるでしょう。

例えば、「英語を活かして、海外展開を推進している貴社を志望します」という志望理由は、確かに英語は海外展開の手助けになるでしょう。しかし、英語という個人の能力と海外展開という企業の方針は別物です。企業の側に立てば、個人の能力よりも事業方針に賛同してくれる人を選びます。その意味では「相性」が良いとは言えません。

同様に、「強みであるコミュニケーション能力を活かして、事務として活躍します」のように伝えると、自分の強みが志望職種や業界に直接的な関連が見つけられません。結局、企業側も採用するメリットが感じられず、志望動機としては印象の薄いものになってしまいます。

評価される志望動機には、自分を採用する場合のメリットが必ず記載されています。企業の方針や考え、そして、事業に対して自分の強みがどのように役立つのかを考えて志望動機は締めくくりましょう。

志望動機が思い浮かばない場合の参考に!業界別の例文集

①商社

例文

私が貴社を志望する理由は、グローバルに活躍できる環境があるからです。

私は大学時代に経験した留学や海外インターンシップを通して、異文化理解や国際的なビジネスの流れを学び、日本と世界を繋ぐ架け橋になりたいという思いが強くなりました。

貴社は総合商社として幅広い事業展開を持ち、高い技術力とともに新しいことに挑戦し続ける姿勢に非常に魅力を感じています。特に、貴社が掲げる「お客様のニーズに応える」という目標に深く共感しており、貴社での仕事を通じてその実現に貢献したいと強く思っています。さらに、留学や海外インターンシップで培った挑戦心やチャレンジ精神は、グローバルなビジネス環境で十分に発揮できると確信しています。

貴社へ入社した際には、お客様の課題解決に積極的に取り組み、さらなる発展に貢献できるよう全力を尽くしたいと考えています。(400字以内)

この志望動機は非常に具体的で、企業に対する熱意がしっかりと伝わってきます。留学や海外インターンシップの経験を通じて培ったスキルや意欲を強調し、グローバルな環境で活躍したいという明確なビジョンが示されています。

商社は企業によって扱う商材や事業規模なども異なるため、「なぜその企業を志望しているのか」が明確に伝わるよう、志望企業の研究が重要となります。具体的にどのような部分に共感しているのかを伝えることで、熱意や意欲がアピールできるでしょう。

②IT業界

例文

私が貴社を志望する理由は、「教育×テクノロジー」という革新的なアプローチで業界をリードしている点に強く魅了されたからです。

教育の多様化が進む現代において、貴社の提供するeラーニングプラットフォームが、学校や企業、家庭における学びの新しいスタイルを実現するための重要な役割を果たしていると感じています。

私自身、大学では情報工学を専攻し、卒業研究ではオンライン学習システムの開発に取り組みました。この経験から、「一人ひとりに最適な教育の提供」という貴社のビジョンに共感し、その実現に貢献したいと考えるようになりました。

技術的なスキルはもちろん、教育に対する情熱と理解を活かして、貴社チームの一員として成長し、価値あるサービスを提供できるよう尽力します。(350字以内)

この志望動機は、非常に説得力のある志望動機に仕上がっています。

まず、志望理由が明確であり、具体的にどのような部分に共感しているかが伝わります。冒頭部分に、なぜ貴社を志望するのかを明確に伝えることで、読み手側の興味を引く文章となります。さらに企業が取り組んでいるサービスや事業について触れることで、企業のことを理解できていることがアピールできます。また、貢献意欲を含めることで、ポジティブな印象も与えられます。

IT業界は、幅広い業種があるため、志望する業種に合わせた内容を意識しましょう。

③食品業界

例文

私が貴社を志望した理由は、地元の銘菓として親しまれている貴社の製品を生産ラインから関わり、支えたいと強く思ったからです。

私は、地元の銘菓が地元の文化や風土を象徴する大切な存在であり、それを残していくべきだと考えています。

大学時代、食品科学を専攻し、特に地域特産品の開発とその品質管理について学んできました。さらに、卒業研究では、地元食材を使った新商品の開発プロジェクトに参加し、商品の企画からマーケティングまで経験しました。この経験を活かし、貴社の製品開発や品質管理に貢献したいと考えています。

私は、食品を通じて消費者に喜びを届けることは、大きなやりがいを感じるとともに、自分自身の成長にも繋がると確信しています。貴社の一員として、地元を代表する商品を創り出し、多くの人々に喜びと満足を提供することに全力を尽くします。(400字以内)

具体的で説得力のある志望動機が書かれています。地元の文化や風土を大切にする姿勢が伝わり、企業の製品を支えたいという強い意欲が感じられます。

また、大学での具体的な経験が挙げられており、実務に役立つスキルを持っていることがアピールされています。食品業界の場合は、食への関心の強さをアピールし、関心を持ったきっかけや理由を述べるとより印象に残る志望動機となります。さらに、なぜその業種や企業を志望するのかを伝えることで、他の就活生と差別化が図れます。

④小売業界

例文

私が貴社を志望する理由は、ファッションを通じて人々の生活を豊かにし、ブランドの魅力を最大限に引き出すことに強い関心があるからです。

大学時代にはファッションビジネスとマーケティングを専攻し、アパレル業界でのインターンシップを通じて実践的な経験を積みました。特に、販売促進やイベント企画に携わり、ブランドと消費者の橋渡しの重要性を実感しました。

貴社は独自のブランドイメージを確立し、多くのファッション愛好家から支持を得ている企業です。私は特に、貴社が重視する「顧客第一主義」や「持続可能なファッション」という理念に共感し、その一員としてブランドの成長を支えたいと考えています。

入社後は、これまで学んだ知識やインターンシップで培った経験を活かし、ブランドのプロモーション活動や顧客対応において積極的に貢献したいと考えています。(400字以内)

企業を志望する理由が明確で具体的に記されています。特に、個人的な動機や具体的な経験はオリジナリティのある内容となり、他の就活生と差別化が図れます。また、企業理解や貢献意欲を示すことで、数ある企業の中でも、なぜその企業を志望しているのかが明確に伝わります。

全体を通して、企業に対してポジティブな姿勢を示すことができ、読み手に対して良い印象を与える文章になっています。小売業界も幅広い業界であるため、自分が目指す企業に焦点を当てて内容を考えることが重要です。

⑤不動産業界

例文

私が貴社を志望する理由は、お客様の人生に寄り添い、笑顔で幸せな時間を提供できると信じているからです。

大学時代に部活で部長を務め、チームワークの大切さや積極的なコミュニケーションの重要性を学びました。

この経験から、人々と共に課題解決を行う不動産業界の営業職に魅力を感じました。中でも貴社を志望する理由は、お客様との信頼関係構築力や提案力が高いと感じたからです。

貴社の顧客志向の姿勢や丁寧なサービスに共感し、お客様に真に価値ある提案を行いたいと考えています。入社後は、学生時代に培ったコミュニケーション能力やリーダーシップを活かし、お客様との信頼を築きながら、幸せな暮らしの実現に貢献していきたいと思っています。(350字以内)

全体として、具体的な経験や志向性を示し、企業に対する理解と意欲がしっかりと表現されています。不動産業界の場合は、業界や業種を選んだ理由、活かせるスキルや経験、やる気をアピールすることがポイントとなります。

注意点としては、待遇面を理由にしないことと学びの姿勢をアピールしないということです。「学びたい」「スキルを身に付けたい」を強調すると、スキルを身に付けたら辞めてしまうのではと思われてしまいます。そのため、貢献意欲をアピールすることが大切です。

志望動機を書くときに注意したいこと

他の企業でもいい理由は書かない

例えば、「人助けがしたい」「社会貢献がしたい」というような志望理由を挙げる就活生は少なくありません。確かに立派な志ですが、企業は「別に自社でなくてもよい」と判断します。どの業界・企業でも通用する理由は志望動機になり得ないことに注意しましょう。

また、同様に「パイロットになりたい」「運転士になりたい」というような憧れだけを前面に押し出した動機も、企業からすると評価が低くなります。業種や職種への憧れは、志望動機につながりますが、それだけでは「その企業」に対する熱意は伝わりません。

就活生の中には、その1社に対する熱意を記載できていない人がいます。数ある業界・数ある企業の中から、そのたった1つの企業を選んだ理由が必ず存在するはずです。その企業独自の強みや特徴などを捉えて志望動機を仕上げましょう。

コピペした例文は使わない

昨今、インターネット上には志望動機の例文がいくつも掲載されています。書き方の参考にはなりますが、そのまま使うことは厳禁です。自分自身の経験に基づかない志望動機では、運良く入社できたとしてもいずれ現実と想像のギャップから退職につながるだけです。

また、自分で考えていない志望動機は、間違いなく採用担当には見破られます。志望動機は面接でも尋ねられる質問です。志望動機に書いた経験を更に深掘りされることも珍しくないでしょう。結局、自分の経験ではないので、適切な回答になりえません。

志望動機が尋ねられるのはESだけではありません。選考が進むごとに、より深さが求められます。あくまでもネット上の志望動機は参考程度に留め、必ず自分の考えや経験をもとに考えましょう。自分らしさがある志望動機の方が企業も評価してくれます。

その企業の商品の感想だけで終わらせない

その企業が販売している商品やサービスは、企業に対する興味関心としては十分な材料です。事実、「貴社の販売している〇〇に興味があって」という志望動機を書く就活生は数多く存在します。その中には無事に内定を勝ち取っている人も少なくありません。

しかし、商品やサービスは企業を知るためのきっかけでしかありません。そこから先の、その商品を多くの人に知ってもらう広報や営業をしたいのか、改善するための開発をしたいのか、といった「入社後にしたいこと」がないようでは志望動機としては不完全です。

これは仕事内容についても同様です。仕事内容が素晴らしいと称賛することが志望動機ではありません。その仕事の「何」に対して素晴らしいと感じて、実際に自分が「どうしたいのか」を考えましょう。

給与や福利厚生を理由にしない

給与の高さや福利厚生などの待遇の良さを志望動機に挙げることはやめておきましょう。単純に仕事に対する意欲や企業に対する興味関心がないと思われてしまい、非常に印象が悪くなってしまいます。

勿論、働く上で報酬は大事です。企業選びの基準に給与や福利厚生に関することを含めることも何一つ間違っていません。しかし、待遇面を押し出した志望動機は、その1社を選ぶ理由としては不適切です。意欲を疑われかねないだけでなく、「より待遇のよい企業が現れたときに転職するのでは」と企業に思わせてしまいます。

その企業の待遇にどれほどの魅力を感じていても、ESや面接など選考時に言及することは避けたほうが無難でしょう。それよりも事業内容や企業理念、社風など、その企業だからこその魅力を回答の軸にしましょう。

志望動機は「ない」からがスタート

昨今の就活は就活サイトの活用がスタンダードです。そこでは今まで知らなかった企業と自分の接点が生まれますが、最初は全く知らない相手です。興味や関心がないのは自然なことでしょう。そのような状態では志望動機は生まれません。

志望動機をつくるためには、そこから相手の企業のことを深く知っていくことが重要です。事業内容や企業理念、社風や社員構成などホームページを見るだけでも、幾つかは知ることができます。もっと深く知りたいならば、インターンの活用も良いでしょう。

そうして、相手を知る中で自己分析も進めていきましょう。自分の働く目的を明確にした上で、やりたいことやできること、企業で実現したいことを考えて、志望動機を練り上げていきましょう。